JP3388657B2 - オイルフリースクロール真空ポンプ - Google Patents

オイルフリースクロール真空ポンプ

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JP3388657B2
JP3388657B2 JP20760195A JP20760195A JP3388657B2 JP 3388657 B2 JP3388657 B2 JP 3388657B2 JP 20760195 A JP20760195 A JP 20760195A JP 20760195 A JP20760195 A JP 20760195A JP 3388657 B2 JP3388657 B2 JP 3388657B2
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勝 土屋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定スクロールと
旋回スクロールとにより流体を圧縮して外部に吐出する
オイルフリースクロール真空ポンプ、更に詳しくは、前
記固定スクロールにガスバラスト用の導入孔を設け、前
記各スクロールに設けられたラップとお互いに嵌合して
形成される密閉空間に前記導入孔から気体を導入し、前
記密閉空間内の圧縮流体を前記気体とともに外部に吐出
するオイルフリースクロール真空ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば図7に示すようスクロ
ール真空ポンプが知られている。それには、主軸56の
中央クランク部55aに支承され軸方向両面に各々旋回
ラップを形成した一の旋回スクロール51と、前記各ラ
ップに嵌合する固定ラップを形成した一対の固定スクロ
ール52A,52Bと、前記スクロールの外周側に、各
々120゜ずつ周方向に位置をずらして設けた自転規制
用の3個の偏芯回転軸53とから構成されている。
【0003】固定スクロール52A,52Bは円蓋状を
なし,ケーシングとして機能するその周壁をシール部材
を介して当接させてその内部に密閉空間を形成するとと
もに、その中心孔51aに軸受けを介して主軸56を貫
装させ、該主軸56が2点支持にて回転可能に軸支す
る。そして、前記軸受けの周囲には螺旋状の固定ラップ
50が互いに対面させて対称位置に配置されるととも
に、一の固定スクロール52Aの中心域側と外周縁に各
々吐出口57と吸い込み口58を形成する。
【0004】一方、旋回スクロール51は前記したよう
に軸方向両面に各々旋回ラップ54を形成したように軸
方向両面に各々旋回ラップ54を形成し、前記固定ラッ
プ51と互いに嵌合可能に構成するとともに、その周縁
側に偏芯回転軸53を軸支する。そして、該偏芯回転軸
53の両側支軸を固定スクロール52A,52Bに軸支
し、二点支持にて前記旋回スクロール51の自転規制を
行う。尚、59A,59Bはラップの先端に嵌合された
チップシールである。
【0005】このように構成しているので、主軸56を
駆動回転させると、偏芯軸部55aは偏芯した回転運動
を行い、これにより、旋回スクロール51が自転を阻止
されながら一定の半径で固定スクロール52A,52B
のラップ中心の周りを公転運動する。この結果、吸入口
58から吸入した気体は前記固定スクロール及び旋回ス
クロールのラップが形成する密閉空間に取り込まれ、順
次中央側に圧縮移動して圧縮気体は吐出口57から吐出
される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述する従来技術によ
ると、真空にしようとする密閉容器内の気体は、スクロ
ール真空ポンプにより、吸い出されているので、前記容
器内は圧力が低下するにつれて、容易に水分が気化す
る。したがって、スクロール真空ポンプ内には蒸気を含
むガスが吸引される。その場合は、蒸気を含むガスはポ
ンプ内部で圧縮され、飽和蒸気圧以上となり、蒸気が凝
縮し液化することとなり、圧縮気体のみが吐出ポートか
ら排出され、残った水分が旋回スクロールと固定スクロ
ールとで形成する最終空間内の吐出ポート内の下方に蓄
積される。
【0007】そして、圧縮気体が前段の密閉空間から送
り込まれるごとに、その蓄積された水分に圧縮気体が衝
突し、異常音を発生したり、ポンプ内部に使用されてい
る部材を劣化させるとともに、性能の低下及び耐久性の
低下をもたらす。上述の事情に鑑み、本発明の目的は、
ポンプ内に凝縮した液体を外部に排出するオイルフリー
スクロール真空ポンプを提供する事を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、固定スクロー
ルと旋回スクロールとにより流体を圧縮して外部に吐出
るスクロール真空ポンプにおいて、前記固定スクロー
ルにガスバラスト用導入孔を設け、該ガスバラスト用導
入孔の開口部を前記旋回スクロールのラップ摺動面に位
置づけ、前記旋回スクロールのラップの公転駆動により
前記ガスバラスト用導入孔の開口部が開閉されて、前記
固定スクロール及び前記旋回スクロールのラップが形成
する最終密閉空間が外部への吐出通路と導通する時期に
同期して前記ガスバラスト用導入孔の開口部を閉鎖し
て、前記最終密閉空間内の圧縮流体を、前記ガスバラス
ト用導入孔から導入した気体とともに前記固定スクロー
ルに形成された吐出孔から外部に吐出するように構成し
た。
【0009】このように構成したので、真空にしようと
する容器内の圧力が外部気圧に近いときは、前記導入孔
から気体が導入される密閉空間の内圧はすでに外部大気
より高く、また、導入される気体の圧力が前記内圧より
低いと前記導入孔を通って気体は導入されない。よっ
て、その時点ですでに容器内の気体が水蒸気を含んでい
ると最終密閉空間において飽和蒸気圧以上となり、蒸気
が凝縮して液化し、最終密閉空間を形成するラップの内
壁に付着して水分が蓄積される。
【0010】真空にしようとする容器内の圧力が低下す
るにつれて、容器内の水分は気化が進むが、前記導入孔
から気体が導入される密閉空間の内圧は、該密閉空間に
到るまでに取り込んだ流体が圧縮されたとしても、前記
導入孔から導入される気体の圧力より低くなり、前記導
入孔から気体が導入される。
【0011】この時点で導入された気体中の水蒸気の比
率が低下する。そして、前記最終密閉空間が圧縮され、
吐出孔と導通するときの水蒸気分圧を低下させ、スクロ
ールポンプの飽和蒸気圧以下とし、液化させずに、か
つ、前記凝縮して液化してラップ壁に付着した水分を気
化させるとともに、吐出孔から排出する。
【0012】また、流体が前記密閉空間によって圧縮さ
れ、前記気体が導入される気体導入空間に到る前段階に
おいて、3個以上の密閉空間が形成されるように構成す
ると好ましい。このように構成することにより、十分な
圧縮比を得ることができる。
【0013】
【0014】また、上述の構成では、前記固定スクロー
ル及び旋回スクロールが形成する最終密閉空間が外部へ
の吐出通路と導通する時期に同期して前記導入孔の開口
部を閉鎖しているので、最終密閉空間が吐出通路と導通
しているときに前記導入孔とは遮断され、前記導入孔へ
圧縮流体が逆流することが防止され、圧縮流体は吐出通
路から外部に排出される。したがって、導入孔開口部を
ラップ幅より小さい径に設定するという簡単な構成で前
記圧縮流体の逆流が防止でき、前記導入孔の部分に特別
な逆止め弁を設ける必要がない。この際、前記固定スク
ロールを構成するハウジングには導入管を設け、前記導
入管から気体を前記ガスバラスト用導入孔に導入するこ
とが好ましい。
【0015】また、前記旋回スクロールのプレートの表
裏面にそれぞれラップを形成し、これらのラップとお互
いに嵌合するラップを有する第1固定スクロール及び第
2固定スクロールとにより前記旋回スクロールを旋回駆
動可能に設け、前記第1固定スクロール及び第2固定ス
クロールのうちの一方の固定スクロールにガスバラスト
用導入孔を設けるとともに、前記旋回スクロールのプレ
ートには他方の固定スクロールとで形成する密閉空間に
前記気体を送る連通孔を開設し、 前記一方の固定スク
ロールに吐出孔を設け、前記密閉空間内の圧縮流体を前
記気体とともに圧縮して外部に吐出するように構成する
と好ましい。
【0016】このように構成すると、一方の固定スクロ
ールに前記導入孔を設けるとともに、圧縮流体の吐出孔
を設けているので、前記導入孔及び吐出孔が片方の固定
スクロール側のラップの反対側の部分に集中配置され、
それらを一方及び他方の固定スクロールに分散させて配
置するより、構成が簡単になり製造が容易になる。
【0017】また、前記導入孔から旋回スクロールの一
方のラップと一方の固定スクロールのラップとで形成さ
れる密閉空間に導入された気体は旋回スクロールのプレ
ートに設けられた前記連通孔を介して旋回スクロールの
他方のラップと他方の固定スクロールのラップとで形成
されるもう一方の密閉空間に導入される。したがって、
両方の固定スクロールにガスバラスト用の気体を導入す
る導入孔を設けなくても、一方の固定スクロールに導入
孔を設ければよいために、構成が簡単で製造が容易にな
る。なお、前記第1固定スクロール及び前記第2固定ス
クロールにそれぞれ前記ガスバラスト用導入孔を設ける
ようにしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例
を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載され
る構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特
に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0019】図1は、本発明の実施例に係るツイン式オ
イルフリースクロール真空ポンプの一部断面図、図2
は、図1の部分拡大図、図3〜図6は回転軸がそれぞれ
90゜ずつ回転変位した状態におけるスクロールの作用
を示す図であって、図3は、ガスバラスト用の気体の導
入を開始したスクロールの状態を示す概略図、図4は、
ガスバラスト用の気体の導入をしているスクロールの状
態を示す概略図、図5はガスバラスト用の気体の導入終
了直前のスクロールの状態を示す概略図、図6はガスバ
ラスト用の気体の導入孔を閉鎖したスクロールの状態を
示す概略図、図7は、従来例図である。
【0020】図1において、ポンプ本体1の回転軸11
は右端をモータ2の駆動軸に連結され、モータ2の回転
力により回転可能に設けられている。この回転軸11の
中央部分は、その外周が回転中心軸線よりは幾分膨らん
だ偏芯部11aを有し、その偏芯部11aの両端部はハ
ウジング4及び5の軸受け及びパッキング部に支持さ
れ、回転可能に設けられている。
【0021】固定スクロールを構成するハウジング4及
び5は、それぞれ円蓋状をなし、ケーシングとして機能
するその周壁をシール部材を介して当接させてその内部
に密閉空間を形成している。ハウジング4には、ラップ
摺動面4bが軸方向垂直に設けられ、その摺動面4bに
は、その中央部分に、前述の回転軸11の偏芯部11a
を外れた、偏芯しない部分が回転可能に嵌合する開口部
4i(図2)が設けられ、その開口部近傍を先端7a
(図3)として矢印30方向から見て時計方向回転に渦
巻状のラップ7が植設され、該ラップ7の上縁には溝が
設けられ、該溝には相手側摺動面と接触して密閉状態を
完全にするフッソ系樹脂等の自己潤滑性のあるチップシ
ール14が嵌入(図2)されている。
【0022】前記ラップ7の先端7aの近傍の摺動面4
bに開口部を有する吐出孔4c(図2、図3)が開設さ
れ、該吐出孔4cから吐出通路4dを通ってハウジング
4の外周面4aに設けた吐出口部9から外部に圧縮気体
が排出されるように構成されている。また、ハウジング
4のラップと反対側面にある基部4fにはガスバラスト
用の気体を導入する導入管10が設けられ、気体はこの
導入管10から通路4gを通って導入孔4eから密閉空
間Rに導入される。
【0023】また、ハウジング4の周壁部分には、12
0゜ずつ円周方向3箇所に3対の公転機構17が設けら
れている。この公転機構17は、後述する旋回スクロー
ルと連結している。また、ハウジング4の外周部4aに
は、吸入口部8が設けられ、該吸入口部8は図示しな
い、真空にしようとする容器と連結され、その容器から
開口部8aを介して、前記容器内の気体が吸引される。
【0024】一方、ハウジング5には、ラップ摺動面5
bが軸方向垂直に設けられ、その摺動面5bには、その
中央部分に、前述の回転軸11の偏芯部11aを外れ
た、偏芯しない部分が回転可能に嵌合する開口部が設け
られ、その開口部近傍を周端として矢印31方向から見
て反時計方向回転に渦巻状のラップ6が植設され、該ラ
ップ6の上縁には溝が設けられ、該溝には相手側摺動面
と接触して密閉状態を完全にするチップシール14が嵌
入(図2)されている。
【0025】ハウジング4及び5が形成する内部空間に
は、旋回スクロール3が公転可能に嵌挿される。旋回ス
クロール3は、円盤状に形成されたプレートの摺動面3
d及び3eに前記固定スクロールに設けられたラップと
嵌合可能なラップ26及び27が植設されている。
【0026】前記ラップ26は矢印30方向から見て、
時計方向回転に設けられ、前記ラップ27は矢印31方
向から見て、反時計方向回転に設けられている。旋回ス
クロール3の中央部分には、前述した回転軸11の偏芯
部分11aが回転可能に嵌合する開口部3aが開設さ
れ、該開口部3aの周囲は、前記回転軸11の偏芯部分
11aの全長に亙ってラップ26a及び27aによって
囲繞するように構成されている。
【0027】ガスバラスト用の気体を導入する前述した
固定スクロールのラップ7と旋回スクロール3のラップ
27とで形成される密閉空間Rに対応する、固定スクロ
ールのラップ6と旋回スクロール3のラップ26とで形
成される密閉空間Lとの間には連通孔3eが開設され、
導入管10から侵入する気体は、密閉空間Rから該連通
孔3eを通って密閉空間Lに充満されるように構成され
ている。
【0028】また、ハウジング5の外側と、ハウジング
4の外側の回転軸11には、この真空ポンプを冷却する
ファン12、13が設けられ、これらのファンを保護す
るカバー18、19が複数の空気流通孔を有してハウジ
ング5及び4に取付られている。また、旋回スクロール
の外周部には、前述したようにハウジング4に一端が支
持され、120゜ずつ円周方向3箇所に3対の公転機構
17の他端が支持され、該公転機構17を介して前記固
定スクロールとは偏心した回転中心を有して公転するよ
うに配置される。
【0029】次に、上述のごとく構成された本実施例の
動作を、図3〜図6を用いて説明する。図3〜図6中
(a)は図2におけるA−A方向から見た図であり、
(b)はB−B方向から見た図である。図1において、
回転軸11が回転すると、旋回スクロール3が公転し、
図示しない容器から気体を吸入し、固定スクロールのラ
ップ6、7の外周から気体を旋回スクロールのラップ2
6及び27によって、それらの固定スクロール及び旋回
スクロールのラップによって形成する密閉空間に取り込
み、この密閉空間によって圧縮され、3個以上の密閉空
間により圧縮された後に、図6(a)に示すR0密閉空
間から図3(a)に示す空間R1に到ると、導入管10
からの導入通路が開成する。
【0030】このとき、真空にしようとする容器内の圧
力が外部気圧に近いときは、前記導入孔から気体が導入
される密閉空間R1の内圧はすでに外部大気より高く、
また、ガスバラスト用の導入管10から導入される気体
の圧力が前記内圧より低いと導入孔を通って気体は導入
されない。旋回スクロールの公転駆動により、密閉空間
R及びLはR1、L1(図3)、R2,L2(図4),
R3,L3(図5)、R4,L4(図6)と変化して圧
縮気体は吐出孔4cから排出される。
【0031】よって、前記空間R1,L1の時点で、す
でに容器内の気体が水蒸気を含んでいると最終密閉空間
R4、L4においては飽和蒸気圧以上となり、蒸気が凝
縮して液化し、最終密閉空間を形成するラップの内壁に
付着して水分が蓄積される。
【0032】もし、すでに空間R1、L1に到るまでに
水蒸気が液化した場合は、若干の水分が固定スクロール
の導入孔4eから導入管10に逆流するが、導入孔4e
は狭く、且つ、ガスバラスト用気体が存在するので、導
入管10に侵入する水分は極めて少ない。
【0033】真空にしようとする容器内の圧力が低下す
ると、容器内の水分は気化が進むがガスバラスト用の前
記導入孔から気体が導入される密閉空間R1,L1の内
圧は、該密閉空間に到るまでに取り込んだ流体が圧縮さ
れたとしても、前記導入孔から導入される気体の圧力よ
り低くなり、前記導入孔から気体が導入される。
【0034】この時点で導入された気体中の水蒸気の比
率が低下する。そして、R2,L2(図4)、R3,L
3(図5)まで前記水蒸気を含んだ流体が圧縮される。
この時、この空間の圧縮流体の圧力はガスバラスト用の
気体の圧力より大きくなるが、導入孔4eが小径であ
り、旋回スクロールの駆動速度が早くかつ、ガスバラス
ト用の気体が存在するので、導入孔4eから逆流する圧
縮流体は少なく、また、R4,L4(図6)において密
閉空間が吐出孔4cと導通する直前に固定スクロールの
導入孔4eは旋回スクロールのラップ26a及び27a
によって閉鎖される。
【0035】そして、前記空間が圧縮され、吐出孔と導
通するとき(図6)の水蒸気分圧を低下させ、スクロー
ルポンプの飽和蒸気圧以下とし、液化させずに、かつ、
前記凝縮して液化してラップ壁に付着した水分を気化さ
せるとともに、吐出孔から排出する。
【0036】一方、図6に示す空間S0(a)、T0
(b)は、回転軸11が90゜回転すると、図3に示す
ようにS1(a),T1(b)と圧縮されるが、この圧
縮空間にはガスバラスト用の導入孔は存在しない。そし
て、図4のS2,T2を経て図5のS3,T3空間が吐
出孔4cと連通して圧縮流体は外部に吐出される。よっ
て、この行程においては、飽和蒸気圧以上となり、蒸気
が凝縮して液化し、最終密閉空間を形成するラップの内
壁に付着して水分が蓄積される場合がある。
【0037】この場合においても、ガスバラスト用の導
入管と連通する空間R4、L4(図6)が、空間S3,
T3の圧縮流体を吐出孔4cから吐出後に続いて吐出孔
4c導通するので、水蒸気分圧が低い、スクロールポン
プの飽和蒸気圧以下の圧縮気体が、前記空間S3,T3
において凝縮して液化した水分を気化させつつ、吐出孔
から排出する。
【0038】上述したように、本実施例は、ガスバラス
ト用の前記導入孔の開口部を前記旋回スクロールのラッ
プ摺動面に設けるとともに、前記開口部の開口孔径を前
記ラップ幅より小に形成し、前記旋回スクロールのラッ
プ駆動により前記導入孔の開口を開閉可能に構成し、前
記固定スクロール及び旋回スクロールが形成する最終密
閉空間が外部への吐出通路と導通する時期に同期して前
記導入孔の開口部を閉鎖するように構成しているので、
最終密閉空間が吐出通路と導通しているときにガスバラ
スト用の前記導入孔とは遮断され、前記導入孔へ圧縮流
体が逆流することが防止され、圧縮流体は吐出通路から
外部に排出される。したがって、導入孔開口部をラップ
幅より小さい径に設定するという簡単な構成で前記圧縮
流体の逆流が防止でき、前記気体導入孔の部分に特別な
逆止め弁を設ける必要がない。
【0039】また、前記旋回スクロールのプレートの表
裏面にそれぞれラップを形成し、これらのラップとお互
いに嵌合するラップを有する第1固定スクロール及び第
2固定スクロールとにより前記旋回スクロールを旋回駆
動可能に設け、前記第1固定スクロール及び第2固定ス
クロールのうちの一方の固定スクロールにガスバラスト
用導入孔を設けるとともに、前記旋回スクロールのプレ
ートには他方の固定スクロールとで形成する密閉空間に
前記気体を送る連通孔を開設し、前記一方の固定スクロ
ールに吐出孔を設け、前記密閉空間内の圧縮流体を前記
気体とともに圧縮して外部に吐出するように構成してい
るので、一方の固定スクロールに前記導入孔を設けると
ともに、圧縮流体の吐出孔を設けているので、前記導入
孔及び吐出孔が片方の固定スクロール側のラップの反対
側の部分に集中配置され、それらを一方及び他方の固定
スクロールに分散させて配置するより、構成が簡単にな
り製造が容易になる。
【0040】また、ガスバラスト用の前記導入孔から旋
回スクロールの一方のラップと一方の固定スクロールの
ラップとで形成される密閉空間に導入された気体は旋回
スクロールのプレートに設けられた前記連通孔を介して
旋回スクロールの他方のラップと他方の固定スクロール
のラップとで形成されるもう一方の密閉空間に導入して
いるので、両方の固定スクロールにガスバラスト用の気
体を導入する導入孔を設けなくても、一方の固定スクロ
ールに導入孔を設ければよいために、構成が簡単で製造
が容易になる。
【0041】尚、本実施例は種々変形することができ
る。上述したように、R空間、L空間にガスバラスト用
の導入孔からの気体を導入しているが、必ずしもこれに
限定されるものではなく、S空間,T空間にガスバラス
ト用の気体を導入するように構成してもよい。また、ガ
スバラスト用の導入管10及び吐出通路4c,4dはハ
ウジング4側に取付られているが、これはハウジング5
側に設けてもよい。また、ガスバラスト用の気体はハウ
ジング4及び5の両方に導入管を設け、旋回及び固定ス
クロールのラップで形成される空間R及びLに両方から
導入してもよい。その場合は、前記空間RとLを連通す
連通孔3eは不用となるとともに、両方から迅速にガ
スバラスト用の気体が導入されるので効率がアップす
る。また、吐出通路はハウジング4側の4c,4dとと
もに、ハウジング5側にも設けてもよいことは勿論のこ
とである。
【0042】また、ガスバラスト用の気体は導入管10
から外部大気を導入してもよいが、空気またN2 等乾燥
ガスに熱を加えて導入するのが望ましい。この場合は、
スクロールラップ内の蒸気または液体の乾燥が早めら
れ、劣化防止が促進される。また、本実施例は、容器か
ら有害なガスなどを吸引した場合は、導入管からN2 等
の希釈用ガスを導入して有害ガスを安全基準まで希釈す
ることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、固定ス
クロールにガスバラスト用導入孔を設け、固定スクロー
ルと旋回スクロールに設けられたラップとお互いに嵌合
して形成される密閉空間に前記導入孔から気体を導入
し、前記密閉空間内の圧縮流体を前記気体とともに圧縮
して外部に吐出するように構成しているので、ポンプ内
に凝縮した液体を外部に排出するオイルフリースクロー
ル真空ポンプを提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るツイン式オイルフリース
クロール真空ポンプの一部断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】ガスバラスト用の気体の導入を開始したスクロ
ールの状態を示す概略図である。
【図4】ガスバラスト用の気体の導入をしているスクロ
ールの状態を示す概略図である。
【図5】ガスバラスト用の気体の導入終了直前のスクロ
ールの状態を示す概略図である。
【図6】ガスバラスト用の気体の導入孔を閉鎖したスク
ロールの状態を示す概略図である。
【図7】従来例図である。
【符号の説明】 1 ポンプ本体 2 モータ 3 旋回スクロール 4、5 ハウジング 6、7、26、27 ラップ 8 吸入口部 9 吐出口部 10 導入管 11 回転軸 12、13 ファン 14 チップシール 15、16 パッキング 17 公転機構 18、19 カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−237378(JP,A) 特開 昭61−283783(JP,A) 特開 平7−139478(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04C 25/02 F04C 18/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定スクロールと旋回スクロールとによ
    り流体を圧縮して外部に吐出するスクロール真空ポンプ
    において、 前記固定スクロールにガスバラスト用導入孔を設け、
    ガスバラスト用導入孔の開口部を前記旋回スクロールの
    ラップ摺動面に位置づけ、前記旋回スクロールのラップ
    の公転駆動により前記ガスバラスト用導入孔の開口部が
    開閉されて、前記固定スクロール及び前記旋回スクロー
    ルのラップが形成する最終密閉空間が外部への吐出通路
    と導通する時期に同期して前記ガスバラスト用導入孔の
    開口部を閉鎖して、前記最終密閉空間内の圧縮流体を、
    前記ガスバラスト用導入孔から導入した気体とともに前
    記固定スクロールに形成された吐出孔から外部に吐出す
    るようにしたことを特徴とするオイルフリースクロール
    真空ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記旋回スクロールのプレートの表裏面
    にそれぞれラップを形成し、これらのラップとお互いに
    嵌合するラップを有する第1固定スクロール及び第2固
    定スクロールとにより前記旋回スクロールを旋回駆動可
    能に設け、前記第1固定スクロール及び前記第2固定ス
    クロールの一方の固定スクロールに前記ガスバラスト用
    導入孔を設け、前記旋回スクロールのプレートには他方
    の固定スクロールとで形成する密閉空間と連通する連通
    孔を開設して、前記一方の固定スクロールに前記吐出孔
    を設けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    オイルフリースクロール真空ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記旋回スクロールのプレートの表裏面
    にそれぞれラップを形成し、これらのラップとお互いに
    嵌合するラップを有する第1固定スクロール及び第2固
    定スクロールとにより前記旋回スクロールを旋回駆動可
    能に設け、前記第1固定スクロール及び前記第2固定ス
    クロールにそれぞれ前記ガスバラスト用導入孔を設ける
    ようにしたことを特徴する請求項1記載のオイルフリ
    ースクロール真空ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記ガスバラスト用導入孔の開口部の開
    口孔径を前記ラップ幅より小に形成したことを特徴とす
    る請求項2又は3に記載のオイルフリースクロール真空
    ポンプ。
  5. 【請求項5】 前記固定スクロールを構成するハウジン
    グには導入管を設け 、前記導入管から気体を前記ガスバ
    ラスト用導入孔に導入することを特徴とする請求項1に
    記載のオイルフリースクロール真空ポンプ。
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