JP3384249B2 - 軟質光輝化製品の製造方法 - Google Patents

軟質光輝化製品の製造方法

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JP3384249B2
JP3384249B2 JP14725096A JP14725096A JP3384249B2 JP 3384249 B2 JP3384249 B2 JP 3384249B2 JP 14725096 A JP14725096 A JP 14725096A JP 14725096 A JP14725096 A JP 14725096A JP 3384249 B2 JP3384249 B2 JP 3384249B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟質光輝化製品の
製造方法に係り、詳しくは、基材が変形可能な軟質樹脂
材料よりなるとともに、表面の少なくとも一部が金属光
沢を有する軟質光輝化製品の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、図8に示すように、軟質
光輝化製品51は、例えばポリウレタンよりなる基材5
2と、その基材52上に塗布形成されたベースコート層
53と、ベースコート層53上に形成された金属薄膜層
54と、さらにその上に塗布形成されたトップコート層
55とからなっている。前記ベースコート層53は、金
属薄膜層54を形成する際に、主として被薄膜形成表面
を鏡面状に形成するため及び金属薄膜層54の付着性向
上のために設けられるものであって、トップコート層5
5は、主として金属薄膜層54等を保護するために設け
られるものである。
【0003】しかしながら、上記軟質光輝化製品51
は、金属薄膜層54が連続的な膜を構成しているが故に
以下に示すような問題の生じるおそれがあった。すなわ
ち、軟質光輝化製品51は、本来何らかの応力を受けた
ときに自身が撓んだり変形したりしてその応力を吸収す
るものである。そして、上記軟質光輝化製品51の各構
成要素のうち、基材52、ベースコート層53及びトッ
プコート層55は、実際に何らかの応力を受けて、変形
したとしてもその形状を維持することができ、応力の解
除に伴い再度元の形状に復元しうる。ところが、ベース
コート層53及びトップコート層55間に位置する金属
薄膜層54は、その変形に追従できず、図9に示すよう
に、金属薄膜層54の途中に亀裂が生じてしまうおそれ
があった。そして、このように亀裂が発生した場合に
は、当該亀裂が白い筋として視認される等して外観品質
が著しく低いものとなってしまっていた。
【0004】このような不具合を解消する技術として、
例えば特公昭59−40105号公報に開示されたもの
が知られている(第1の従来技術)。この技術では、例
えばスパッタリングによって、ニッケル−クロム系の合
金よりなる金属薄膜層が形成される。この金属薄膜層
は、連続膜であり、その膜厚は「150Å〜500Å」
程度となっている。この技術によれば、金属薄膜層が所
定の展性、延性を有しているため、多少の曲げ応力等に
も追従することができる。従って、この技術では、上述
した亀裂等の発生の防止が図られる。
【0005】また、別の技術として、特公昭61−21
146号公報に開示されたものも知られている(第2の
従来技術)。この技術では、例えばインジウム等の耐食
性を有しない微細金属粒子からなる薄層が真空蒸着法に
より形成される。この薄層は、隣りあう金属粒子同士が
接触していない。このため、製品が曲げ応力を受けたよ
うな場合には、金属粒子間の隙間部分が延ばされること
となり、本来的に亀裂等の不具合が生じることはない。
また、金属粒子同士が接触していないため、腐食の伝搬
が抑制され、一部の箇所で腐食が起こったとしても、そ
の腐食が全体に行き渡ってしまうのが抑制されうる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記第1及
び第2の従来技術においては、それぞれ以下に示すよう
な問題があった。まず、第1の従来技術では、金属薄膜
層が所定の展性、延性を有しており、多少の曲げ応力等
には追従できるものの、一枚の連続膜であるが故に、そ
の追従にも限界があった。すなわち、所定の曲率半径よ
りも小さい曲げ角度で曲げ応力が加わったような場合に
は、一定の箇所から亀裂が発生することとなり、その結
果、上述したように、その亀裂が白い筋として視認され
て、外観品質が著しく低いものとなってしまってしまう
おそれがあった。
【0007】また、第2の従来技術では、微細金属粒子
からなる薄層を形成できるのは、インジウム等のごく限
られた金属に限定されるものであった。そして、このよ
うにインジウムが採用された場合には、金属粒子同士が
接触していないとはいえ、インジウム自身が耐食性を有
しないため、結局のところ、腐食は起こりやすい。従っ
て、依然として、耐食性の面で問題は残存していた。
【0008】さらに、第2の従来技術では、微細金属粒
子間には隙間が形成されるため、ベースコート層とトッ
プコート層とが直接的に接合しあう部分が存在する。そ
して、その接合部分には、日光(紫外線等)が直接的に
照射しうる。このため、ベースコート層及びトップコー
ト層間の接合力、耐候性等が充分に考慮されていないよ
うな場合には、当該接合部分においてトップコート層が
剥離してしまうという問題もあった。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、軟質樹脂よりなる基材
と、その少なくとも一部の表面に設けられた金属薄膜層
とを備えた軟質光輝化製品において、応力によって金属
薄膜層に亀裂が発生するのをより確実に抑制することが
でき、もって外観品質の低下を防止することができ、し
かも、耐食性、耐候性に優れた軟質光輝化製品の製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、ポリプロピレン
系の素材よりなる基材の表面の少なくとも一部にベース
コート塗料を塗布し、焼付けることによりベースコート
層を設ける工程と、前記ベースコート層表面の少なくと
も一部に、耐食性を有する厚さ150Å以上800Å以
下の金属よりなり、結晶粒界を有する金属薄膜層を設け
る工程と、少なくとも前記金属薄膜層を被覆するようト
ップコート塗料を塗布し、焼付けることによりトップコ
ート層を設ける工程とを備えてなる軟質光輝化製品の製
造方法において、前記金属薄膜層を設けるに際しては、
前記ベースコート層を有する基材を、40℃以上に加温
せしめることをその要旨としている。
【0011】ここで、金属薄膜層の厚さは150Å以上
800Å以下である必要がある。厚さが150Å未満の
場合には、金属光沢を有しないおそれがある。また、厚
さが800Åよりも大きい場合には、結晶粒界を形成す
ることが困難となり、当該結晶粒界のない連続膜が形成
されてしまうおそれがある。
【0012】上記請求項1に記載の発明により得られた
軟質光輝化製品によれば、金属薄膜層の存在により、軟
質光輝化製品は金属光沢を有しうる。また、トップコー
ト層により、金属薄膜層が保護されうる。
【0013】さて、本発明においては、軟質光輝化製品
が何らかの応力を受けた場合、ポリプロピレン系の素材
よりなる基材、ベースコート層及びトップコート層は、
その応力に対し追従して変形されうる。また、金属薄膜
層については、自身が結晶粒界を有しているため、応力
を受けたとしても、隣接しあう結晶粒(金属粒)がずれ
たり、両者の間隔が広がったりするだけで、金属薄膜層
を構成する金属自身が応力を受けることはほとんどな
い。また、巨視的には、上記金属薄膜層を構成する微細
な金属により、平面的な金属膜として視認されうる。
記ポリプロピレン系の素材としては、ゴム成分及び極性
基を有するポリマー成分の混入されたポリプロピレンが
好適に採用されうる。特に、このゴム成分等の混入によ
り、基材の軟化が図られうるとともに、基材に極性基が
導入され、ベースコート層の接合力の増大が図られう
る。加えて、基材は、ポリプロピレン系の素材よりなる
ため、コストが増大してしまうのが抑制されうる。
【0014】さらに、本発明では、金属薄膜層は、耐食
性を有するため、腐食等を懸念する必要がない。併せ
て、金属薄膜層の結晶粒界には、トップコート層を構成
する素材が侵入しにくいため、少なくとも金属薄膜層の
存在する部位においては、ベースコート層及びトップコ
ート層間が直接的に接合しあう部分は存在しないことと
なる。このため、ベースコート層及びトップコート層間
の接合力の低下等を懸念する必要がない。
【0015】また、本発明の軟質光輝化製品の製造方法
によれば、前記基材の表面の少なくとも一部にベースコ
ート塗料が塗布され、焼付けられることによりベースコ
ート層が設けられる。また、ベースコート層表面の少な
くとも一部に金属薄膜層が設けられる。さらに、少なく
とも金属薄膜層を被覆するようトップコート塗料が塗布
され、焼付けられることによりトップコート層が設けら
れ、軟質光輝化製品が製造される。
【0016】さて、前記金属薄膜層が設けられるに際し
ては、ベースコート層を有する基材が、常温(一般には
「15℃〜25℃」)よりも加温させられる(好ましく
は40℃以上、より好ましくは60℃以上)。このた
め、金属薄膜層が設けられる際には、ベースコート層表
面のエネルギーが比較的高いものとなり比較的自由度が
高められる。このため、金属薄膜層を構成する金属がベ
ースコート層に対し密着する際に、当該密着に関し最も
安定した位置に収まることが可能となる。従って、ベー
スコート層及び金属薄膜層間の密着力が高められること
となる。また、金属薄膜形成時にもその金属最表面のエ
ネルギーが高いため、安定な位置での膜成長ができるの
で、内部応力が緩和され、クラックの発生が抑制され
る。
【0017】また、これとともに、金属薄膜層が設けら
れるに際しては、上記加温により、ベースコート層及び
基材は幾分膨張した状態となる。そして、その後、トッ
プコート塗料が塗布される際には、基材等の温度は下が
るため、基材、ベースコート層及び金属薄膜層は、上記
膨張した状態から熱収縮を起こす。従って、金属薄膜層
を構成する金属の単位面積当たりの密度が大きいものと
なる(結晶粒界の隙間が小さいものとなる)。そのた
め、結晶粒界にトップコート塗料中の溶媒が浸透しにく
いものとなり、トップコート塗料の塗布に際し、ベース
コート層に対する金属薄膜層の密着力が弱められるのが
抑制されうる。
【0018】また、請求項2に記載の発明では、請求項
1に記載の軟質光輝化製品の製造方法において、前記金
属薄膜層は、クロムよりなることをその要旨としてい
【0019】また、本発明によれば、前記金属薄膜層
は、クロムよりなるため、上記請求項1に記載の発明の
作用がより確実なものとされうる
【0020】さらに、請求項3に記載の発明では、請求
項1又は2に記載の軟質光輝化製品の製造方法におい
て、前記加温時の温度は60℃以上であることをその要
旨としている。
【0021】本発明によれば、上記作用に加え、加温時
の温度は60℃以上であるため、ベースコート層及び基
材の膨張をより確実なものとすることができ、もってそ
の後の基材、ベースコート層及び金属薄膜層の熱収縮を
確実にひき起こすことが可能となる。このため、請求項
1に記載の発明で説明した作用をより確実ならしめるこ
とができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明の軟質光輝化製品を
自動車用のフロントグリルに具体化した第1の実施の形
態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0023】図1,2に示すように、軟質光輝化製品と
してのフロントグリル1は、基材2と、その基材2表面
に塗布形成されたベースコート層3と、ベースコート層
3上に形成された金属薄膜層4と、さらにその上に塗布
形成されたトップコート層5とからなっている。前記基
材2は、ゴム成分(例えばエチレン−プロピレン系)及
び水酸基を有するジエン系ポリマー成分の混入されたポ
リプロピレン(例えば三菱化学株式会社製 商品名:F
G5)により、公知の射出成形法により成形されてい
る。従って、基材2の表面には付着性成分として水酸基
(OH基)等が導入されている。また、ベースコート層
3は、アクリル系ウレタン塗料(例えばNBC株式会社
製 商品名:KX5247)と塩素化ポリプロピレンと
を含有したものが塗布され、80℃で60分間焼付けら
れることにより構成されている。さらに、トップコート
層5は、ウレタン系のトップコート塗料(例えば NB
C株式会社製 商品名:KX−242−2)が塗布さ
れ、80℃で60分間焼付けられることによりそれぞれ
構成されている。さらに、金属薄膜層4は、クロム(例
えば高純度化学株式会社製 純度99.99%)によ
り、その膜厚が「約400Å」程度に形成されている。
【0024】本実施の形態において、上記金属薄膜層4
は、巨視的には、金属膜として視認されうるものである
が、微視的には、微細な金属粒を敷き詰めたような連続
的な(隣りあう金属粒が接触している)組織構造を有し
ている。より詳しくは、金属薄膜層4は、ベースコート
層3上に形成された多数の金属粒が敷き詰められること
により構成され、金属粒同士の境界部分は、いわゆる結
晶粒界6となっている。
【0025】次に、上記のように構成されてなるフロン
トグリル1の製造方法について説明する。まず、図3に
示すように、公知の射出成形法により、フロントグリル
1の外観形状とほぼ同等の基材2を成形する。また、基
材2の表面をイソロピルアルコール等により脱脂洗浄
し、風乾させる。次に、ベースコート層3用の塗料を膜
厚「約15μm」となるよう塗布し、80℃の高温下で
60分間焼付ける。この焼付により、基材2表面にはベ
ースコート層3が形成される。
【0026】続いて、公知の真空蒸着装置に上記ベース
コート層3の形成された基材2をセットする。但し、こ
のときの真空蒸着装置内の温度を80℃とし、ベースコ
ート層3及び基材2を加温させた状態とする。そして、
この状態で初期真空度「2.0×10-3Pa」に達した
時点でクロムを蒸着させる。なお、このときの真空蒸着
レートは、例えば「1.0Å/秒」である。すると、図
4に示すように、前記ベースコート層3上には、上述し
た結晶粒界6を有する金属薄膜層4(結晶平均サイズ:
200Å)が形成される。
【0027】次に、まず常温で、トップコート層5用の
トップコート塗料を膜厚「約25μm」となるよう塗布
する。その後、トップコート塗料を80℃の高温下で6
0分間焼付ける。この焼付により、金属薄膜層4上に
は、トップコート層5が形成される。そして、焼付完了
後、一日室温で放置することにより、上述したフロント
グリル1が得られるのである。
【0028】このようにして構成されたフロントグリル
1によれば、フロントグリル1自身が外部から何らかの
応力を受けた場合、図5に示すように、軟質樹脂よりな
る基材2、ベースコート層3及びトップコート層5は、
その応力に対し追従して変形されうる。また、金属薄膜
層4については、自身が結晶粒界6を有しているため、
かかる応力を受けたとしても、隣接しあう結晶粒間(結
晶粒界6)が広がったりするだけで、金属薄膜層4を構
成する金属自身が応力を受けることはほとんどない。こ
のため、金属薄膜層4に亀裂が発生してしまうおそれは
全くない。従って、変形に伴って金属薄膜層4に亀裂が
生じることによる外観品質の低下を確実に防止すること
ができる。
【0029】また、微視的に見ると、上記金属薄膜層4
は微細な金属粒子によって構成されてはいるものの、巨
視的には、上記微細な金属粒の集合により、平面的な金
属膜として視認されうる。つまり、本実施の形態のよう
な構成とした場合であっても、普通に肉眼で見る限り
は、従来と同様の普通の金属薄膜と同様に視認されう
る。従って、本実施の形態の構成とすることにより、従
来技術(1枚の連続膜)と比較した場合の外観品質が劣
ることもない(可視光反射率:55%)。
【0030】さらに、本実施の形態では、金属薄膜層4
は、耐食性を有するクロムにより構成されているため、
腐食等を懸念する必要がなく、従来技術で示したような
腐食が起こりにくいものとなる。特に、本実施の形態で
は、金属薄膜層4は、結晶粒界6を有しているので、隣
接しあう結晶粒間の導電性が遮断されやすく、仮に一部
で腐食が起こったとしても、当該腐食の伝搬を抑制する
ことができる(当該金属薄膜層4の面抵抗は250kΩ
/□であった)。
【0031】併せて、金属薄膜層4の結晶粒界6には、
トップコート層5を構成する素材が侵入しにくい。より
詳しくは、少なくとも金属薄膜層4の存在する部位にお
いては、ベースコート層3及びトップコート層5間が直
接的に接合しあう部分は存在しないこととなる。このた
め、ベースコート層3及びトップコート層5間の接合力
の低下等を懸念する必要がない。そのため、たとえ日光
等が照射されてもトップコート層5がベースコート層3
から剥離してしまうのを防止することができる。その結
果、耐候性の向上を図ることができる。上記効果を確認
するべく促進耐候性の試験(Sunshine Weather-O-Meter
での1000時間後の評価:外観及び密着性についての試
験)を行った結果、外観及び密着性についての異常は認
められなかった。
【0032】加えて、基材2は、ポリプロピレン系の素
材よりなるので、ポリウレタン等により基材が構成され
た場合に比べて、著しいコストの低減をも図ることがで
きる。
【0033】さらにまた、本実施の形態では、基材2の
表面にベースコート層3を形成するようにした。このた
め、上記作用効果に加えて、基材2の表面を別途鏡面加
工せずとも、ベースコート層3自身の表面が平滑化(鏡
面化)されうる。このため、さらなる外観品質の向上を
容易に図ることができる。
【0034】また、本実施の形態のフロントグリル1の
製造方法によれば、金属薄膜層4が設けられるに際して
は、ベースコート層3を有する基材2が、常温よりも加
温させられる(80℃)。このため、金属薄膜層4が設
けられる際には、ベースコート層3表面のエネルギーが
高いものとなり当該表面における自由度が比較的高めら
れる。このため、金属薄膜層4を構成する金属がベース
コート層3に対し密着する際に、当該密着に関し最も安
定した位置に収まることが可能となる。従って、ベース
コート層3及び金属薄膜層4間の密着力をより高めるこ
とができる。
【0035】また、これとともに、金属薄膜層4が設け
られるに際しては、上記加温により、ベースコート層3
及び基材2は幾分膨張した状態となる。そして、その
後、トップコート塗料が塗布される際には、基材2等の
温度は下がる(常温で塗布される)ため、基材2、ベー
スコート層3及び金属薄膜層4は、上記膨張した状態か
ら熱収縮を起こす。従って、金属薄膜層4を構成する金
属の単位面積当たりの密度が大きいものとなる(結晶粒
界6の隙間が小さいものとなる)。そのため、当該結晶
粒界6にトップコート塗料中の溶媒が浸透しにくいもの
となり、ベースコート塗料の塗布に際し、ベースコート
層3に対する金属薄膜層4の密着力が弱められるのが抑
制されうる。その結果、トップコート層5を形成するに
際しての外観品質の低下を防止することができる。
【0036】一方、上述した第1の従来技術に相当する
方法でもって製膜した場合、すなわち、ニッケル−クロ
ム系の合金により連続膜を形成した場合には、曲げ試験
に際し、金属薄膜層にクラックが生じてしまい、外観品
質が著しく低下してしまった。また、金属薄膜層の面抵
抗は0.01kΩ/□と非常に低く、このことからも、
金属薄膜層が連続膜となっていると考えることができ
る。そのため、金属薄膜層の一部において腐食が起こっ
た場合には、それが伝搬されやすいと考えられる。
【0037】また、第2の従来技術に相当する方法でも
って製膜した場合、すなわち、インジウムを蒸着するこ
とにより島状の結晶粒により製膜した場合には、曲げ試
験に際してはさほど異常は認められなかったものの、上
記と同様の促進耐候性の試験を行った結果、ベースコー
ト層及びトップコート層間で剥離が生じ、また、白化が
起こってしまった。また、金属薄膜層の面抵抗は100
000kΩ/□と非常に高く、このことからも、結晶粒
間の隙間が大きいものと考えられる。そのため、ベース
コート層及びトップコート層間での接合が起こり、上記
剥離、白化等の不具合が起こるものと考えることができ
る。
【0038】(第2の実施の形態)次に、本発明を具体
化した第2の実施の形態について説明する。但し、本実
施の形態の構成等においては上述した第1の実施の形態
と同等である部分については同一の符号を付してその説
明を省略する。そして、以下には、第1の実施の形態と
の相違点を中心として説明することとする。
【0039】図6,7に示すように、本実施の形態で
は、金属薄膜層11の製膜法において上記第1の実施の
形態とは異なっている。すなわち、本実施の形態におい
ても、金属薄膜層11は、クロムにより、その膜厚が
「約400Å」程度に形成されており、巨視的には、金
属膜として視認されうるものであるが、微視的には、微
細な金属粒を敷き詰めたような連続的な組織構造を有し
ている。つまり、金属薄膜層11は、ベースコート層3
上に形成された多数の金属粒(第1の実施の形態よりも
微細)が敷き詰められることにより構成され、金属粒同
士の境界部分は、いわゆる結晶粒界12となっている。
【0040】上記のように構成されてなるフロントグリ
ル1は、例えば次のようにして製造される。すなわち、
まず、上記同様、基材2を成形し、ベースコート層3を
形成する。但し、本実施の形態では、ベースコート層3
用の塗料として、アクリルウレタン塗料(藤倉化成株式
会社製 商品名:PB2233)が用いられ、該塗料が
膜厚「約25μm」となるよう塗布され、100℃の高
温下で60分間焼付けられることによりベースコート層
3が形成される。
【0041】続いて、公知のスパッタリング装置に上記
ベースコート層3の形成された基材2をセットし、初期
真空度「6.0×10-3Pa」、製膜真空度(Arガス
圧)「1.0×10-1Pa」、或いは「5.0×10-2
Pa」の条件下で、クロムによるスパッタリングを行
う。なお、このときの電圧は「550V」、電流は
「1.0A」、或いは「1.5A」、時間(レート)は
「3分」、或いは「3.5分」である。また、このとき
の装置内の温度を調節し、ベースコート層3及び基材2
を70℃、或いは90℃に加温させた状態とする。する
と、図6,7に示すように、前記ベースコート層3上に
は、上述した結晶粒界12(結晶平均サイズ:100Å
以下)を有する金属薄膜層11(膜厚:600Å、或い
は800Å)が形成される。
【0042】その後、トップコート層5用の塗料たるア
クリルウレタン塗料(藤倉化成株式会社製 商品名:P
T2234)を膜厚「約25μm」になるよう塗布し、
70℃の高温下で60分間焼付ける。この焼付により、
金属薄膜層11上には、トップコート層5が形成され
る。そして、焼付完了後、一日室温で放置することによ
り、上述したフロントグリル1が得られるのである。
【0043】このようにして構成されたフロントグリル
1によっても、基本的には、上記第1の実施の形態と同
等の作用効果を奏する(尚、当該金属薄膜層11の面抵
抗は、それぞれ4kΩ/□、及び5kΩ/□であった。
また、可視光反射率はそれぞれ60%、及び65%であ
った。)。
【0044】さらに、特に、本実施の形態では、スパッ
タリングにより金属薄膜層11を形成するようにした。
このため、粒子の運動エネルギーが第1の実施の形態の
蒸着の場合に比べて大きくなり、ベースコート層3に対
する密着性の向上を図ることができるとともに、結晶サ
イズがより微細化されるため、変形自由度が増し、クラ
ックの発生抑止効果のさらなる向上が図れる。
【0045】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものではなく、例えば次の如く構成してもよい。 (1)前記各実施の形態では、金属薄膜層4,11をク
ロムにより構成する場合に具体化したが、その外にも耐
食性を有する金属素材であれば、例えばニッケル、チタ
ン、タンタル、アルミニウム又はそれらの合金等、種々
の金属材料によって金属薄膜層を形成するようにしても
よい。
【0046】(2)前記各実施の形態では、金属薄膜層
4,11に結晶粒界6,12を形成する場合に、真空蒸
着法、或いはスパッタリング法を採用したが、その外に
も、イオンプレーティング法等を採用することもでき
る。
【0047】(3)前記各実施の形態では、軟質光輝化
製品を自動車用のフロントグリル1に具体化するように
したが、その外の製品、例えば自動車用エンブレム、サ
イドモール等の外装品や、種々の内装品に具体化するこ
ともできる。
【0048】(4)前記各実施の形態では、基材の色調
は特に指定しなかったが、基材2を着色(例えばカラー
NO.101Bグレー)してもよい。また、上記色相当
に着色されたベースコート層3であってもよい。
【0049】(5)前記各実施の形態では、加温時の温
度を80℃、70℃、90℃としたが、基材2等が常温
時に比べて多少なりとも膨張し、かつ、基材2等の応力
変形をさほど起こさない温度であれば、当該温度は特に
限定されるものではない。但し、上記作用を奏せしめる
ためには、60℃以上であることがより望ましく、70
℃以上であることがより一層望ましい。さらには、基材
2等の材質にもよるが、上記実施の形態における素材が
採用されるような場合には、加温時の温度は100℃以
下であることが望ましい。
【0050】特許請求の範囲の各請求項に記載されない
ものであって、上記実施の形態から把握できる技術的思
想について以下にその効果とともに記載する。 (a)請求項1〜3に記載の軟質光輝化製品の製造方法
において、前記ベースコート層及びトップコート層は、
共に金属薄膜層と強固に接合しうる素材よりなることを
特徴とする。
【0051】このような構成とすることにより、層間剥
離をより一層確実に防止することができる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の軟質光輝
化製品の製造方法によれば、応力によって金属薄膜層に
亀裂が発生するのを抑制することができ、もって外観品
質の低下を防止することができ、しかも、耐食性、耐候
性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のフロントグリルを模式的に
示す拡大断面図である。
【図2】フロントグリルを模式的に示す一部破断部分斜
視図である。
【図3】フロントグリルの製造方法を説明する基材等の
断面図である。
【図4】フロントグリルの製造方法を説明する基材等の
断面図である。
【図5】第1の実施の形態の作用を説明するための拡大
断面図である。
【図6】第2の実施の形態のフロントグリルを模式的に
示す拡大断面図である。
【図7】フロントグリルを模式的に示す一部破断部分斜
視図である。
【図8】従来技術の軟質光輝化製品の構造を模式的に示
す断面図である。
【図9】従来技術の軟質光輝化製品の不具合を説明する
断面図である。
【符号の説明】
1…軟質光輝化製品としてのフロントグリル、2…基
材、3…ベースコート層、4,11…金属薄膜層、5…
トップコート層、6,12…結晶粒界。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−70920(JP,A) 特開 平7−323260(JP,A) 特開 平9−74273(JP,A) 特開 昭59−49961(JP,A) 特開 平2−38160(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/00 - 15/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系の素材よりなる基材
    (2)の表面の少なくとも一部にベースコート塗料を塗
    布し、焼付けることによりベースコート層(3)を設け
    る工程と、 前記ベースコート層(3)表面の少なくとも一部に、耐
    食性を有する金属よりなり、結晶粒界(6,12)を有
    する厚さ150Å以上800Å以下の金属薄膜層(4,
    11)を設ける工程と、 少なくとも前記金属薄膜層(4,11)を被覆するよう
    トップコート塗料を塗布し、焼付けることによりトップ
    コート層(5)を設ける工程とを備えてなる軟質光輝化
    製品の製造方法において、 前記金属薄膜層(4,11)を設けるに際しては、前記
    ベースコート層(3)を有する基材(2)を、40℃以
    上に加温せしめることを特徴とする軟質光輝化製品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 記金属薄膜層(4,11)は、クロム
    よりなることを特徴とする請求項1に記載の軟質光輝化
    製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記加温時の温度は60℃以上であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の軟質
    光輝化製品の製造方法。
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