JPH1034080A - 金属材表面被膜構造とその形成方法 - Google Patents

金属材表面被膜構造とその形成方法

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JPH1034080A
JPH1034080A JP19750396A JP19750396A JPH1034080A JP H1034080 A JPH1034080 A JP H1034080A JP 19750396 A JP19750396 A JP 19750396A JP 19750396 A JP19750396 A JP 19750396A JP H1034080 A JPH1034080 A JP H1034080A
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resin
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JP19750396A
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English (en)
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Kishiro Abe
喜四郎 阿部
Toru Fujie
徹 藤江
Kenji Tsuchida
健次 土田
Shinichiro Azuma
新一郎 我妻
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NITSUTOUSHIYA KK
Topy Industries Ltd
Original Assignee
NITSUTOUSHIYA KK
Topy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐蝕性、コストダウン、リサイクル性、メッ
キ層の耐ひび割れ性を向上できる金属材表面被膜構造と
その形成方法の提供。 【解決手段】 金属材1の素地の上に、電着塗装層2、
粉体塗装層3、樹脂のアンダーコート層3A、金属また
は金属化合物の層4、トップコート層5の順で積層形成
した金属材表面被膜構造。ただし、アンダーコート層3
Aとトップコート層5の樹脂の熱膨張率はほぼ同じとす
る。金属材1の素地の上に、電着塗装層2、粉体塗装層
3、樹脂のアンダーコート層3A、金属または金属化合
物の層4、トップコート層5の順で積層形成する金属材
表面被膜構造の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材表面の被膜
構造と、被膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミホイールなどの金属材表面の被膜
構造の形成方法としては、従来、特開平4−13123
2号公報が知られている。そこでは、金属材表面をショ
ットブラスト加工した後、その面に粉体塗装して下地処
理を施し、中間層としてアンダーコートした後に、クロ
ムのスパッタリングをし、さらにトップコートして、光
輝面にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来方法に
は、つぎの問題がある。 粉体塗装層は金属素地との密着性が低く、熱膨張の
差、クッションなどによりひび割れが起こる。したがっ
て、耐蝕性、耐久性が低い。 光輝性を出すのにクロムを用いているので、コスト
が高くなる。 アルミと異なる金属(クロム)を用いるので、アル
ミのリサイクルをすることが困難である。 トップコート層焼付け時にクロム層に多数の微小ひ
び割れが生じやすい。 本発明の目的は、光輝性、高級感を従来クロムメッキタ
イプと同等かそれ以上に維持しつつ、耐蝕性、コスト低
減、リサイクル性、金属層の耐ひび割れ性を向上させる
ことができる、金属材表面被膜構造とその形成方法を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 金属材の素地に、樹脂の電着塗装層、樹脂の粉
体塗装層、樹脂のアンダーコート層、金属または金属化
合物の層、樹脂のトップコート層を、順に形成した金属
材表面被膜構造。 (2) 前記金属材がアルミニウム合金ホイールである
(1)記載の金属材表面被膜構造。 (3) 前記アンダーコート層の樹脂と前記トップコー
ト層の樹脂にはほぼ同じ熱膨張率を有する樹脂が用いら
れている(1)記載の金属材表面被膜構造。 (4) 前記電着塗装層、前記粉体塗装層、前記アンダ
ーコート層の何れか少なくとも1つの層が黒系の色を有
し、前記トップコート層がクリヤー層である(1)記載
の金属材表面被膜構造。 (5) 前記金属または金属化合物の層が、アルミニウ
ム、窒化チタン、金からなるグループから選択された少
なくとも1種の金属または金属化合物の乾式メッキ層か
ら構成されている(1)または(2)記載の金属材表面
被膜構造。 (6) 金属材の素地の上に樹脂塗料を電着塗装して樹
脂の電着塗装層を形成する工程と、前記樹脂の電着塗装
層の上に樹脂塗料を粉体塗装して樹脂の粉体塗装層を形
成する工程と、前記樹脂の粉体塗装層の上に樹脂のアン
ダーコート層を形成する工程と、前記樹脂のアンダーコ
ート層の上に金属または金属化合物の層を乾式メッキに
より形成する工程と、前記金属または金属化合物の層の
上に樹脂塗料を塗装して樹脂のトップコート層を形成す
る工程と、からなる金属材表面被膜構造の形成方法。
【0005】上記(1)、(2)の金属材表面被膜構造
および(6)の被膜構造の形成方法では、金属または金
属化合物の層はたとえば乾式メッキ層であるが、メッキ
の下地処理に電着塗装プラス粉体塗装プラス樹脂アンダ
ーコートを用いているので、電着塗装層が粉体塗装層に
比べて金属素地との密着性がよいことおよび緻密なこと
から、耐剥離性、耐蝕性が、従来の粉体塗装プラス中間
層構造に比べて向上される。上記(3)の金属材表面被
膜構造では、粉体塗装層と乾式メッキ層との間に樹脂の
アンダーコート層を設け、このアンダーコート層の樹脂
とトップコート層の樹脂にほぼ同じ熱膨張の樹脂を用い
ているので、メッキ層(金属または金属化合物の層)を
挟む2層がトップコート層の焼付け時にほぼ同量熱膨張
し、互いに異なる量熱膨張する場合に比べてメッキ層に
無理な荷重がかからず、メッキ層に多数の微小クラック
が生じることが抑制される。上記(2)、(4)、
(5)の金属材表面被膜構造では、金属または金属化合
物の層を純クロムとしなくても(たとえば、安価のアル
ミ層としても)下地の色(たとえば、黒系統)がある程
度透過して、深みのある高級感(あたかもクロムメッキ
のような色)を出すことができ、クロムを用いないこと
によりコスト低減をはかることが可能となる。また、金
属材がアルミホイールの場合、メッキ層をアルミ層とす
ることにより、同種金属となり、アルミホイールのリサ
イクルが容易になる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の金属材表面被膜構造は、
図1に示すように、金属材1の素地に、樹脂の電着塗装
層2、樹脂の粉体塗装層3、樹脂のアンダーコート層3
A、金属または金属化合物の層4(たとえば、金属の乾
式メッキ層)、樹脂のトップコート層5を、順に形成し
た構造からなる。金属材素地は、金属(合金を含む)素
地であればよく、たとえばアルミニウム合金、マグネシ
ウム合金、鉄などからなる。金属材1は金属(合金を含
む)からなる任意の部材であり、たとえばアルミニウム
合金ホイールからなる。
【0007】電着塗装層2は、金属材1の素地に直接密
着するように電着塗装により形成された樹脂層であれば
よく、たとえばエポキシ系のカチオン電着塗料の塗装層
からなり、層の厚さは10〜30μmである。この範囲
にするのは、10μmより薄いと鋳肌が出、30μmよ
り厚いと垂れが出るからである。電着塗装層2は、金属
素地への固着性、密着性が、粉体塗装層に比べてはるか
の良好で、かつ緻密で固いため、被膜構造の耐剥離性と
耐蝕性を向上させることができるとともに、素地の小さ
な凹凸を埋めることができその上の層の粉体塗装層3の
形成との密着性を良好にする。電着塗装層2は着色され
ており、被膜構造の外観をクロムに似た色とするには黒
系統の色に着色され、層3、3Aはクリヤー(透明)と
される。層3Aが黒系の塗料か、層3が黒系の塗料で層
3Aがクリヤーの場合は、層2は黒系である必要はな
く、クリヤーか他の色の塗料であってもよい。また、層
2、3、3Aを着色塗料とする場合、着色は黒系統に限
るものではなく、被膜構造の外観が下地の色が映えた色
となるため、たとえば被膜構造の外観を青みがかった色
とするには、電着塗装層2の着色を青色とする。
【0008】粉体塗装層3は、電着塗装層2の上に直接
密着するように粉体塗装により形成された樹脂層であれ
ばよく、たとえばエポキシ系、アクリル系、ポリエステ
ル系の粉体塗料の塗装層からなる。塗料粒の大きさは3
〜6μmであり、層3の厚さは60〜150μmであ
る。この値の範囲は、電着塗装層2と協働して、素地の
耐蝕性を保証するための値である。粉体塗装層3と電着
塗装層2との固着力、密着性は樹脂と樹脂との密着のた
め良好である。粉体塗装層3は電着塗装層2に比べて塗
料粒が大きく大きな凹凸を速く埋めることができる。電
着塗装層2の上側を粉体塗装層3とするのは、必要厚さ
の耐蝕層を速く安く形成するためである。電着塗装層2
が外観から要求される色に着色されている場合には、粉
体塗装層3はクリアー(透明)層か、あるいは電着塗装
層2と同系統の色に着色される。
【0009】樹脂のアンダーコート層3Aは、粉体塗装
層3の上に直接密着するように形成された、たとえばア
クリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリウレタン
系などの何れかの樹脂の塗装層からなる。樹脂のアンダ
ーコート層3Aの樹脂と、トップコート層5の樹脂と
は、ほぼ同じ(同一を含む)熱膨張率を有する樹脂から
なる。したがって、トップコート層5にアクリル系樹脂
を用いた場合はアンダーコート層3Aにも同じアクリル
系樹脂を用いる。塗装方法には、たとえばエアー吹きつ
け塗装を用いることができる。層3Aの厚さは15〜3
5μmである。15μmより小の場合は、トップコート
層5の焼付け時に粉体塗装層3のトップコート層5との
熱膨張差の影響が金属または金属化合物の層4に及ぶ度
合いが強くなり、トップコート層5の焼付け時に金属ま
たは金属化合物の層4に微小亀裂が発生するおそれが生
じるので、層3Aの厚さを15μm以上とする。また、
層3Aの厚さが35μmを超えると、金属材1の形をシ
ャープに反映させることができにくくなり、デザイン性
が低下するので、層3Aの厚さを35μm以下とする。
樹脂のアンダーコート層3Aの塗装方法は、エアー吹き
つけによる。他の塗装方法によってもよいが、粉体塗装
では15〜35μmの厚さは薄過ぎ、塗装に熟練を要す
る。樹脂のアンダーコート層3Aの塗装の焼付けは、ト
ップコート層5の焼付けとほぼ同じ温度かそれ以上で焼
付け、トップコート層5の焼付け時にアンダーコート層
3Aが変質しないようにする。電着塗装層2が外観から
要求される色(たとえば、黒系)に着色されている場合
には、粉体塗装層3とアンダーコート層3Aはクリアー
(透明)層か、あるいは電着塗装層2と同系統の色に着
色される。樹脂のアンダーコート層3Aが、外観から要
求される色(たとえば、黒系)に着色されている場合に
は、電着塗装層2と粉体塗装層3の色は任意であり、ク
リヤーでもよい。
【0010】金属または金属化合物の層4は、たとえ
ば、アルミニウム、窒化チタン、金のからなるグループ
から選択された少なくとも1種の金属(純金属、合金を
含む)または金属化合物の、乾式メッキ層から構成され
ている。金属または金属化合物のメッキ層4は、これら
以外の金属または金属化合物から構成されていてもよ
く、コストが従来のクロムメッキ層と同じように高くて
もよい場合はクロムでもよい。金属または金属化合物の
層4がアルミニウム(アルミニウム合金を含む)の薄層
からなる場合は、下地層2、3、3Aからの色(たとえ
ば、黒色)が若干透過してクロムメッキの色に近づきか
つ深みのある色を呈する。アルミを用いることによりク
ロムの場合よりもコストダウンをはかることができる。
また、アルミを用いることにより、金属材1がアルミの
場合熱膨張がほぼ同じになり、樹脂層の焼付時などに金
属または金属化合物の層4に金属材1との熱膨張差によ
る微小亀裂が発生することが抑制される。ただし、下地
の色を適量透過させるために、金属または金属化合物の
層4の厚さは0・04〜1.1μmにする。1.1μm
を越えると、下地の色が透過しにくくなり、下地の色の
映えが悪くなり、また0・04μmより小だと層4の形
成が難しくなる。乾式メッキは、スパッタリング、イオ
ンプレーティング、蒸着の何れによってもよい。金属ま
たは金属化合物の層4と下地の樹脂のアンダーコート層
3Aとの固着性、密着性を良くするために、金属メッキ
層4の形成前に、樹脂のアンダーコート層3Aの上にプ
ライマー6(下塗りのことで、たとえばエポキシ系のメ
タリックプライマーを用いる)を5〜10μm程度塗布
しておいてもよい。
【0011】樹脂のトップコート層5は、クリアー塗装
層(下地と金属層による高級感のある色を阻害しないた
めにクリアーとする)であり、アクリル系、ウレタン
系、またはエポキシ系の樹脂塗料をエアー吹きつけ塗装
(静電塗装でもよい)することにより、形成する。この
うち、アクリル樹脂は光沢および光沢保持性に優れてお
りかつ変色が少ないので、トップコート層5としてとく
に優れている。樹脂のトップコート層5の厚さは、金属
または金属化合物の層4を保護できる厚さであればよ
く、たとえば10〜40μm程度の厚さに形成される。
この領域にする理由は、40μm程度より厚くしても保
護機能は増さないし形成に時間がかかるだけであり、1
0μm程度より薄いと保護機能が十分でなくなるからで
ある。また、層3Aとほぼ同じ厚さにして、熱膨張性が
ほぼ同じ2つの層3A、5で金属または金属化合物の層
4をサンドイッチするようにし、これによって樹脂のト
ップコート層5の焼付時に金属または金属化合物の層4
に微小亀裂が発生することを抑制している。トップコー
ト層5と金属または金属化合物の層4との固着性、密着
性を良くするために、トップコート層5の形成前に、金
属または金属化合物の層4の上にプライマー7(たとえ
ば、エポキシ系のメタリックプライマー)を5〜10μ
m程度塗布しておいてもよい。
【0012】本発明の金属材表面被膜構造の形成方法
は、金属材1の素地の上に樹脂塗料を電着塗装して樹脂
の電着塗装層2を形成する工程と、樹脂の電着塗装層2
の上に樹脂塗料を粉体塗装して樹脂の粉体塗装層3を形
成する工程と、樹脂の粉体塗装層3の上にトップコート
層5の樹脂とほぼ同じ(同一を含む)熱膨張率を有する
樹脂のアンダーコート層3Aを形成する工程と、樹脂の
アンダーコート層3Aの上に金属または金属化合物の層
4を乾式メッキにより形成する工程と、金属または金属
化合物の層4の上に樹脂塗料を塗装して樹脂のトップコ
ート層5を形成する工程と、からなる。
【0013】金属材1は、たとえばアルミホイールであ
る。層2の電着塗装による形成工程では、まず金属材1
の素地を脱脂、水洗し、たとえば黒系統の色を着色した
エポキシ系カチオン電着塗料を用いて、電着塗装する。
電着塗装では、低濃度の水性塗料を満たした電着槽(温
度がたとえば27°C)内で電導体である金属材1と電
極との間に直流電圧(たとえば、210〜230V)を
2〜3分印加し、水中に分散している塗料の微粒子を電
気的力で金属材1に引きつけ、凝集析出させて塗膜を形
成させる。カチオン電着塗料は、塩基性アミノ基、アン
モニウム、スルホニウムなどのオニウム基をもつ樹脂を
ベースとし、低級有機酸などの酸で中和した陰極析出形
の塗料である。カチオン電着では、塗膜が塩基性である
ので金属イオンの溶出がなく、塗膜の耐アルカリ性、耐
蝕性に有利である。また、塗膜の塗装中の着色も少な
い。塗膜厚さは10〜30μmとする。塗装後、炉内に
て200〜210°Cで、約10〜25分、焼付け、乾
燥する。かくして形成された塗膜は緻密で固く、素地の
小さな凹凸を埋め、素地との密着性、固着性にすぐれ、
素地を保護して素地の耐蝕性を、従来の粉体塗装に比べ
て大きく向上させる。
【0014】層3の粉体塗装による形成工程では、接地
した被塗物(層2が形成された金属材1)とガンの電極
との間に直流高電圧(30〜90kV)を印加し、一
方、アクリル、ポリエステル、エポキシ系のクリアー粉
体塗料(粒径が約3〜6μmで、200°C程度に予熱
しておく)を空気力によってガンから噴射する。空気中
に分散した粉体粒子はガンの電極で起こるコロナ放電に
よって発生するイオン化空気と衝突して荷電し、ガンと
被塗物間の静電場の作用と空気流によって被塗物に向か
い、静電気力で被塗物表面に吸着する。粉体塗装は厚塗
りに適し、比較的大きな凹凸を埋める。層3の厚さを6
0〜150μmに形成する。塗装後、炉内にて、約17
0°Cで、約20〜30分、焼付け、乾燥する。
【0015】樹脂のアンダーコート層3Aの形成工程で
は、層3の上に、トップコート層5の樹脂とほぼ同じ熱
膨張率をもつ樹脂の層を、たとえばエアー吹きつけによ
り、厚さ15〜35μmに形成する。下地が黒系統の色
に着色されている場合は、層3Aはクリヤーかあるいは
黒系統の色とされ、下地が黒系統以外の色の場合は、層
3Aは黒系統の色に着色される。層3Aを塗装後、炉内
にて、約140〜160°Cで、約20〜30分、焼付
け、乾燥する。層3Aの存在により、下地の層3は、ト
ップコート層5と同じ種類の樹脂を用いる必要がなく、
樹脂材を比較的自由に選択できる。
【0016】金属または金属化合物の層4の、たとえば
乾式メッキによる、形成工程では、アルミニウム、窒化
チタン、金などの金属(純金属または合金)を、スパッ
タリング(金属、プラスチックなどの表面に、真空中
で、金属の薄い層を付着させる操作で公知の操作)、イ
オンプレーティング、蒸着のうちの何れかの方法によ
り、金属材1の層3の上に、厚さ0.04〜1.1μ
m、形成する。たとえば、アルミニウムを厚さ0.1μ
m形成する。その場合、下地の黒系統の色を若干透過し
て深みのある(アルミだけの軽い色合と異なる)、高級
感のある、クロムに似た色を、安価に、出すことができ
る。
【0017】トップコート層5の形成工程では、ブース
内にて、アクリル系、ウレタン系、またはエポキシ系の
クリアー塗料を、予熱した被塗物に、エアー吹き付けな
どにより吹きつける、溶剤吹きつけ塗装により形成す
る。トップコート層5は厚さ20〜40μmに形成す
る。かくして形成されたトップコート層5は金属層4の
保護層として機能する。
【0018】
【実施例】金属材1としてアルミホイールを選択してそ
の表面に被膜構造をつぎのように形成した。まず、アル
ミホイールの表面を脱脂、水洗した。ついで、エポキシ
径カチオン電着塗料(商品名:ニッペパワートップPT
U−600、黒系統)を、温度27°C、2〜3mi
n.、210〜230Vの条件で電着塗装し、厚さ20
μmの電着塗装層2を形成した。ついで、この層2を温
度約180°C×18分、焼付け、乾燥した。つぎに、
ポリエステル系粉体塗料(東亜合成、アロンパウダーP
220BK50)を(クリヤー)を、40〜60kVの
電圧条件で、層2の上に、厚さ約100μm、静電粉体
塗装し、温度170°C×25分、焼付け、乾燥し、粉
体塗装層3を形成した。ついで、層3の上に、アクリル
系塗料(たとえば、ニッペアミラック87ブラック)ま
たはアクリル変性樹脂(たてえば、アクリルメラミン)
を厚さ約25μm、エアー吹きつけにより、塗装した。
ついで、160°C×25分、焼付け、乾燥し、アンダ
ーコート層3Aを形成した。ついで、アルミを、スパッ
タリングして、層3Aの上に金属膜(乾式メッキ層)4
を、厚さ0.1μm、形成した。つぎに、下地に5〜1
0μmのメタルプライマーを塗布したのち、クリアー粉
体塗料(商品名:ニッペスパーラック5000BF)を
エアー吹きつけ、厚さ約25μmのトップコート層5を
形成した。ついで、140°C×25分、焼付け、乾燥
した。
【0019】なお、被膜構造は図2に示すように、ホイ
ール前面8のみならず、リムのドロップ部の内面9全長
まで、形成した(従来は、ホイール前面のみ)。かくし
て製造されたアルミホイールは、下地の黒さを映えた、
深みのある色合いを有していた。また、メッキ4の下地
の色に黒色系統を選定することにより、メッキ自体の黄
色味のある色が黒系統の色によって目立たなくなり、ま
さに鏡面色となる。また、塗装範囲をホイール前面だけ
でなくリムのドロップ部の内面全長まで拡大したので、
ホイール前面部は透過する色調効果を引出し、リムのド
ロップ部の内面9はその色がホイール前面部8の鏡面に
反映して大きなデザイン効果を出す。また、50個のア
ルミホイールに被膜形成後、トップコート層5の焼付時
に、メッキ層4に微小亀裂が発生していないかどうかを
目視により確認したが、何れのアルミホイールにもメッ
キ層4の微小亀裂発生は認められなかった。したがっ
て、層3Aを設けて、ほぼ同じ熱膨張率の層3A、5で
メッキ層4を挟むことが亀裂発生防止に効果があること
が判明した。また、温度39°C×24時間、−18°
C×20時間、室温4時間の熱耐久試験を10サイクル
行ったが、被膜構造に剥がれやひび割れが認められず、
良好な耐久性があることが判明した。また、pH2の酸
性液に1分浸漬し、その後pH7の蒸留水に1分浸漬す
ることを、2000回繰り返す耐蝕性試験を行ったが、
被膜構造下のアルミ素地に化学浸食は認められず、被膜
構造によりホイールは良好な耐蝕性を有することも判明
した。
【0020】
【発明の効果】請求項1の構造によれば、金属材の素地
に、樹脂の電着塗装層、樹脂の粉体塗装層、樹脂のアン
ダーコート層、金属または金属化合物の層、樹脂のトッ
プコート層を、順に形成したので、メッキの下地処理が
電着塗装プラス粉体塗装プラス樹脂のアンダーコートと
なり、耐蝕性、耐割れ性が従来の粉体塗装プラス中間層
構造に比べて向上される。請求項2の構造によれば、金
属材をアルミニウム合金ホイールとしたので、アルミホ
イールの耐蝕性を向上させることができる。請求項3の
構造によれば、樹脂のアンダーコート層と樹脂のトップ
コート層の熱膨張率をほぼ同じとしたので、トップコー
ト層焼付時に金属または金属化合物の層に微小亀裂が発
生することを抑制できる。請求項4の構造によれば、金
属または金属化合物の層より下の層の何れかの層を黒系
統に着色したので、金属または金属化合物の層に下地の
黒系統の色を反映させることができ、高級感を出すこと
ができる。請求項5の構造によれば、金属または金属化
合物のメッキ層を、アルミニウムなど純クロム以外の金
属から構成したので、メッキ層の金属を金属材(たとえ
ば、アルミホイール)の材料と合わせることにより、メ
ッキのコストダウンと、金属材のリサイクル(回収、再
利用)の容易化がはかられる。請求項6の方法によれ
ば、金属材の素地の上に樹脂塗料を電着塗装し、その上
に粉体塗装層を形成し、その上に樹脂のアンダーコート
層を形成し、その上に金属または金属化合物の層を形成
し、その上に樹脂のトップコート層を形成するので、で
きた製品が請求項1の効果と同等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の金属材表面被膜構造の拡大
断面図である。
【図2】本発明の一実施例の金属材表面被膜構造を適用
したアルミホイールの断面図である。
【符号の説明】 1 金属材 2 電着塗装層 3 粉体塗装層 3A アンダーコート層 4 金属または金属化合物の層 5 トップコート層 6、7 プライマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 健次 神奈川県藤沢市用田478番地の1 株式会 社日東社内 (72)発明者 我妻 新一郎 神奈川県藤沢市用田478番地の1 株式会 社日東社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材の素地に、樹脂の電着塗装層、樹
    脂の粉体塗装層、樹脂のアンダーコート層、金属または
    金属化合物の層、樹脂のトップコート層を、順に形成し
    た金属材表面被膜構造。
  2. 【請求項2】 前記金属材がアルミニウム合金ホイール
    である請求項1記載の金属材表面被膜構造。
  3. 【請求項3】 前記アンダーコート層の樹脂と前記トッ
    プコート層の樹脂にはほぼ同じ熱膨張率を有する樹脂が
    用いれている請求項1記載の金属材表面被膜構造。
  4. 【請求項4】 前記電着塗装層、前記粉体塗装層、前記
    アンダーコート層の何れか少なくとも1つの層が黒系の
    色を有し、前記トップコート層がクリヤー層である請求
    項1記載の金属材表面被膜構造。
  5. 【請求項5】 前記金属または金属化合物の層が、アル
    ミニウム、窒化チタン、金からなるグループから選択さ
    れた少なくとも1種の金属または金属化合物の乾式メッ
    キ層から構成されている請求項1または2記載の金属材
    表面被膜構造。
  6. 【請求項6】 金属材の素地の上に樹脂塗料を電着塗装
    して樹脂の電着塗装層を形成する工程と、 前記樹脂の電着塗装層の上に樹脂塗料を粉体塗装して樹
    脂の粉体塗装層を形成する工程と、 前記樹脂の粉体塗装層の上に樹脂のアンダーコート層を
    形成する工程と、 前記樹脂のアンダーコート層の上に金属または金属化合
    物の層を乾式メッキにより形成する工程と、 前記金属または金属化合物の層の上に樹脂塗料を塗装し
    て樹脂のトップコート層を形成する工程と、からなる金
    属材表面被膜構造の形成方法。
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