JP3376621B2 - 低CaO焼結鉱の製造方法 - Google Patents

低CaO焼結鉱の製造方法

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JP3376621B2 JP03981193A JP3981193A JP3376621B2 JP 3376621 B2 JP3376621 B2 JP 3376621B2 JP 03981193 A JP03981193 A JP 03981193A JP 3981193 A JP3981193 A JP 3981193A JP 3376621 B2 JP3376621 B2 JP 3376621B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高炉に装入する原料
中の焼結鉱の比率を高めるために必要なCaO分の少ない
焼結鉱 (低CaO焼結鉱) を高い歩留で製造し、かつその
焼結鉱成品の冷間強度を向上させることができる低CaO
焼結鉱の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉に装入される焼結鉱の一般的な製造
工程は次のとおりである。即ち、まず鉄鉱石粉、粉コー
クス、石灰石等の焼結原料を混合造粒機内で適当量の水
分を加えつつ造粒する。こうして疑似粒化された焼結原
料を焼結機のパレットに装入し、焼結原料充填層の上部
から点火し、充填層の上部から下部に向かって空気を吸
引して、原料中の粉コークスを上部から順次燃焼させて
焼結原料を焼成する。焼成後はパレットを傾転して焼成
物(焼結ケーキと称する)を取り出し、破砕、冷却した
後に、一定粒径以上の成品が高炉原料として供される。
なお、一定粒径以下の粉粒体(返鉱と称する)は再び焼
結原料に供される。
【0003】上述の焼成過程において、石灰石のCaO成
分が鉄酸化物と反応して部分的に溶融し、この溶融部が
焼結原料粉粒体を相互に結合して塊状化する作用を持
つ。従って、溶融が不十分であると返鉱比率が上昇して
歩留が低下するだけでなく、焼結鉱成品の冷間強度が低
下して高炉操業に悪影響を及ぼす。
【0004】近年、良質の塊鉱が枯渇してきたため、高
炉装入原料に占める焼結鉱の比率(焼結比という)を高
める操業が一般的になってきた。ところが通常のCaO含
有率の焼結鉱を用いて焼結比を上げると高炉スラグの塩
基度が上昇し、粘性が大きくなって高炉操業に支障を来
す。これを回避するため、CaOの含有率の低い、いわゆ
る低CaO焼結鉱が必要になってくる。
【0005】低CaO焼結鉱を製造するために焼結原料に
配合する石灰石の使用量を制限すると、焼結反応時に生
成する融液量が低下するので、焼結の成品歩留や焼結鉱
の冷間強度が低下する。このような成品歩留や冷間強度
の低下なしに低CaO焼結鉱を製造する方法の開発が望ま
れてきた。
【0006】従来から焼結鉱の成品歩留や冷間強度を改
善する方法としては、大別して2種類の方法が一般的に
知られている。その第1は、造粒強化によって焼結原料
充填層の通気性を高めて、通気性上昇分を焼結機パレッ
トの充填層厚の増大に振り替える方法である。その第2
は、焼結原料充填層中におけるCaO成分の分布状態を制
御する方法である。
【0007】第1の方法について以下に詳述する。
【0008】造粒に使用される装置としてはドラムミキ
サーが主流である。しかし、焼結原料が細粒になるとド
ラムミキサーによる造粒では不十分となる。そこでドラ
ムミキサー以外の高性能造粒機を使用するなどの造粒技
術の改善が重要となる。
【0009】この造粒技術に関しては、従来から多くの
発明が開示されている。例えば特開平3−166321号公報
では、焼結原料の造粒機として振動型混練機および振動
型造粒機を使用することが提案されている。この方法で
は、まず振動型混練機を使用して焼結原料を圧密混練す
ることによって、水分を原料表面に滲み出させる。さら
に円振動もしくは水平揺動振動する振動型造粒機を使用
して原料同士を合体させる。その結果、擬似粒径が大き
くなって、焼結原料充填層の通気性が上昇する。また別
の例として特開昭57−174420号公報では、フレットミ
ル、ボールミル、アイリッヒミキサー、双軸ニーダーな
どを使用して焼結原料をねっか処理する方法が提案され
ている。これら2つの発明はいずれも、原料表面に均一
に水分をコーティングすることによって、原料の毛細管
力を上昇させ、その結果、擬似粒径を大きくするという
メカニズムによるものである。
【0010】しかし、これらの方法では焼結原料に剪断
力などの外力が加わるので粉粒体自身が破砕され粒度が
小さくなる場合がある。特開平3−166321号公報では、
混練後の原料はフレーク状になると記載されているが、
厳密には微粉の集合体になる。焼結原料中の石灰石が細
粒化されると、焼結反応における鉄鉱石と石灰石との溶
融反応が微妙に変化し、焼結の成品歩留や焼結鉱の冷間
強度に影響を及ぼすことが予想される。したがって混合
後の原料粒径を考慮して混合方法を選定する必要がある
が、この点については明確にされていない。
【0011】第2の方法について以下に詳述する。
【0012】焼結の成品歩留や焼結鉱の冷間強度の改善
には、冷間における焼結原料充填層の通気性の他に熱間
における原料の溶融状態にも着目する必要がある。特に
CaO成分を有効に活用する必要のある低CaO焼結鉱の製
造においては、原料の溶融状態が焼結の成品歩留や焼結
鉱の冷間強度に強く影響する。
【0013】石灰石はある粒径を有しているので、数mm
以下の微視的な範囲においてCaO成分は偏在している。
もちろん巨視的にはCaO成分の偏在は石灰石粒子の存在
状態に影響される。このような微視的もしくは巨視的な
CaO成分の偏在は、焼結の成品歩留や焼結鉱の冷間強度
に影響する。例えば「材料とプロセス」第3巻(1990
年)1065 頁には、融液流動性を確保するためにCaO成分
をある程度偏在させると焼結鉱の冷間強度が上昇するこ
とを示唆する基礎検討結果が報告されている。しかし、
実機操業における石灰石の適正粒径や石灰石粒子の適正
存在状態については明確にされていない。また「鉄と
鋼」第78巻 (1992年)1037 頁には、石灰石の粒径は7mm
を上限として粒径が大きい方が冷間強度が上昇すると報
告されている。しかし、適正粒度構成が定量的に示され
ているとは言えない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述のとおり、焼結鉱
の製造において、配合原料中のCaO成分が少なくなると
焼結反応の際に生成する融液が不足する。その結果、焼
結の歩留や焼結鉱の冷間強度が低下する。この歩留や冷
間強度を上昇させる方法として、焼結原料充填層の通気
性を上昇させ、この通気性の上昇分を充填層厚の増大に
振り替えて操業する方法がある。焼結原料充填層の冷間
通気性を上昇させるには、造粒の際に原料を混合して水
分を原料表面に均一に分散させる必要がある。しかし、
原料が破砕されるような混合では、CaO源である石灰石
の微細化によって歩留や冷間強度への好ましくない影響
が出てくる。
【0015】一方、原料中での石灰石の分布状態を制御
することによって、融液の粉粒体結合剤としての機能を
高めて、歩留や冷間強度を上昇させる方法が考えられ
る。しかし、適正な石灰石の分布状態についての明確な
指針は、いまだ確立されていない。
【0016】本発明の目的は、石灰石の粒度構成および
焼結原料の混合、造粒方法を適正化することにより、高
い冷間強度を有する低CaO焼結鉱を高い成品歩留で製造
できる方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の低CaO焼
結鉱製造方法を要旨とする。
【0018】成品焼結鉱中のCaO濃度に換算して 7.0〜
9.0 重量%となるように、完全乾燥状態で測定して下記
の粒度分布を有する石灰石を配合した焼結原料を、高速
回転羽根を内蔵した混合機で混合して焼成することを特
徴とする低CaO焼結鉱の製造方法。
【0019】0.5mm以下の粒子:20重量%から40重量%
まで 1mmを超え5mm以下の粒子:40重量%から60重量%まで 5mmを超える粒子:40重量%以下。
【0020】本発明において、粒子の大きさを表すmm
は、篩目の代表径である。
【0021】本発明方法で使用する高速回転羽根を内蔵
した混合機とは、円筒形パン内に攪拌を目的とする羽根
が設置されており、このパンと羽根の双方が回転運動す
る混合機であり、例えば、アイリッヒミキサーと呼ばれ
る混合機が代表的なものである。このタイプの混合機
は、羽根の回転速度が数百rpm と高速であり、圧密作用
がないので、十分な均一混合が可能で、しかも石灰石の
ような脆い成分でも不必要に破砕されることがない。
【0022】前記のような高速回転羽根を内蔵した混合
機で混合した後に、更に転動型造粒機を使用して造粒す
ることが望ましい。
【0023】本発明方法において、焼結鉱成品のCaO濃
度に換算して 7.0〜9.0 重量%となるように石灰石を配
合するのは、7.0 重量%未満ではあまりにもCaO濃度が
低過ぎて塊成化に必要な融液が不足するからであり、一
方、CaO濃度が 9.0重量%を超える焼結鉱では低CaO焼
結鉱とは言えず、これを高い比率で高炉に装入するとス
ラグ塩基度の過度の上昇という好ましくない影響が出る
からである。
【0024】なお、CaO量が多い場合には、後述する融
液の発生量が多く、焼結鉱製品の歩留と冷間強度は高く
なるから、敢えて本発明方法を採用する必要がない。言
い換えれば、本発明方法は低CaO焼結鉱を製造する際の
歩留および冷間強度の改善方法である。
【0025】
【作用】従来から、均一焼成を目的として数cm以上の巨
視的な範囲では石灰石は均一に分散させる方が焼結鉱の
成品歩留や冷間強度が上昇することが一般的に知られて
いたが、本発明者らは石灰石の混合度合と焼結鉱の成品
歩留や冷間強度との関係について更に詳細に検討した。
その結果、混合機としてドラムミキサーを使用した場合
は、細粒石灰石の混合が不十分であり、後述するように
石灰石の粒度構成に配慮しても、所期の効果が得られな
い。一方、振動型混練機のように被混合物に剪断力を与
える混合機を使用すると、混合自体は十分になるが石灰
石粉が破砕されてしまって、望ましくない粒度構成とな
り、やはり所期の効果が得られない。これに対して、高
速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用すると、ドラムミキ
サーでは混合不十分となる細粒石灰石を焼結原料内で均
一に分布させることができ、しかも石灰石の破砕が事実
上おこらないので焼結鉱の歩留や冷間強度が大きく改善
されることを見出した。
【0026】図1に高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使
用した場合と振動型混練機を使用した場合とにおける焼
結原料の擬似粒子構造を対比して示す。図1(b) に示す
とおり、高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用した場合
には、粗粒を核としてその回りに微粉が付着した擬似粒
子となっている。一方、振動型混練機を使用した場合に
は (a)に示すように原料が微粉砕された後に相互結合し
ている。
【0027】図1に示すそれぞれについて混合後の擬似
粒子を完全乾燥させて構成粒子レベルまで分解し、粒度
分布を測定した。(b) の高速攪拌羽根を内蔵した混合機
を使用した場合には、各原料粉の粒径は当初に配合した
ときの粒径と殆ど変わっていなかった。これに対して、
振動型混練機を使用した (a)の場合には、配合当初の石
灰石は粒径が 1.0mmを超えるものが 80 重量%であった
ものが、混練後は、粒径 0.125mm以下で 30 重量%、1.
0 mm以下で90重量%程度にまで微細化されていた。
【0028】上記の結果から、高速攪拌羽根を内蔵した
混合機を使用すれば、原料を破砕することなく、細粒原
料を原料層内に均一混合することができることが明らか
である。
【0029】次に石灰石の粒度分布の広い範囲において
適正な粒度構成を調査した結果、下記のような粒度分布
の場合に焼結鉱の成品歩留や冷間強度が改善されること
が判明した。
【0030】0.5mm以下の粒子:20重量%から40重量%
まで 1mmを超え5mm以下の粒子:40重量%から60重量%まで 5mmを超える粒子:40重量%以下 (なお、0.5 mmを超え 1mm以下の粒子が残部である。) ただし、上記の粒度分布の石灰石を使用しても、高速回
転羽根を内蔵した混合機を使用しないと初期の効果が得
られない。他の混合機を使用した場合には、均一混合が
できなかったり、石灰石粉が更に粉砕されて上記の粒度
分布から大幅にはずれてしまうからである。
【0031】本発明方法において使用する石灰石の適正
粒度分布が上記の範囲である理由は次のように考えられ
る。
【0032】前述のように、焼結鉱の製造において歩留
や製品の冷間強度を改善するには、焼結反応において生
じる融液を有効に活用する必要がある。
【0033】石灰石の粒径が上昇すると微視的なCaO成
分の偏在が生じる。その結果、局所ながら多量の高CaO
成分の融液が生じる。この融液は流動性が良好であり、
まわりの鉱石を広く取り込んで大きく塊成化する。逆に
細粒石灰石が独立して存在する場合、これが融液になっ
てもその量が微少であるため、次の反応で融液が回りの
鉄鉱石と接触同化して融液中のCaO濃度が瞬時に低下す
る。CaO濃度が低下すると、融点が上昇し、融液が固化
し塊成化が進行しない。このため、一般的には粗粒石灰
石の方が塊成化に有効に作用する。ただし、石灰石粒径
が大きすぎると未反応部が残存して原料層全体の融液量
が低下する。従って、石灰石粉の粒径の上限は5mm程度
までにとどめるのが望ましい。また石灰石の粗粒分の比
率が増大すると、装入偏析によりパレット内での焼結原
料充填層の下層部に石灰石が偏在するので、上層部の焼
結鉱の成品歩留や冷間強度が悪化する。
【0034】図2に、粒径が5mmを超える粗粒石灰石の
比率が、焼結の成品歩留((a) 図)および焼結鉱の冷間
強度((b) 図)に及ぼす影響を示す。なお、図中の記号
の定義は下記のとおりである。
【0035】● 印:粒径5〜1mmの粗粒石灰石を40重
量%の一定として、5mmを超える粗粒石灰石比率を変化
させ、残部を1mm以下の細粒石灰石とした粒度構成の場
合。
【0036】○ 印:粒径1mm以下の細粒石灰石を30重
量%の一定として、5mmを超える粗粒石灰石比率を変化
させ、残部を5〜1mmの粗粒石灰石とした粒度構成の場
合。
【0037】この試験の焼結原料の混合・造粒には、石
灰石の破砕を避けるためアイリッヒミキサーを使用し
た。また、焼結鉱の冷間強度はタンブラ回転強度(T.
I.)で示した。
【0038】図示のとおり、5mmを超える粗粒石灰石比
率が40重量%を超えると焼結の成品歩留、焼結鉱の冷間
強度(T.I.)が急激に悪化する。これは、上述した未反
応石灰石の増大による融液量低下の悪影響が顕在化した
ことによるものである。このデータから5mm以上の粗粒
石灰石比率は40重量%を上限とする必要があることが明
らかである。
【0039】次に、細粒石灰石の原料層内均一分布によ
る歩留および冷間強度改善機構について説明する。焼結
反応における融液は上述したように粗粒石灰石から発生
するが、この融液の流動性を維持するには融液発生箇所
の回りにCaO成分が存在している必要がある。このCaO
成分はそれ自身融液化しなくても、近傍の融液と接触し
た際にこの融液に対してCaO成分を供給する機能を持て
ばよい。融液へCaO成分が供給されれば、融液と鉄鉱石
の反応における融点の上昇が抑制でき、融液が広範囲に
流動化し塊成化が進行する。これが細粒石灰石の役割で
ある。
【0040】細粒石灰石が原料層内に均一に分布してい
ないと個々に発生した融液の移動領域にばらつきが生じ
て均一な塊成化が達成されない。その結果、歩留や冷間
強度が低下する。つまり、粗粒石灰石の均一分布は融液
発生箇所の均一化であるのに対して、細粒石灰石の均一
分布は発生融液の流動距離の均一化という意味を持つ。
【0041】本発明者らは更に粗粒石灰石として機能す
る粒度を定量化することを目的として石灰石粒径と原料
の溶融性の関係について調査した。その結果、石灰石の
粒径が1mmを超えるときに融液流動性が著しく改善する
ことを見出した。即ち、粒径1mmを超える粗粒石灰石が
融液発生源として機能し、粒径1mm以下の細粒石灰石が
融液流動性を維持する機能をもつことが確認された。
【0042】ここで粒径 0.5mm以下の細粒石灰石比率を
20重量%から40重量%までに限定した理由について以下
に説明する。
【0043】粒径 0.5mm以下の細粒石灰石が20重量%に
満たない場合には、石灰石の平均粒径が上昇して石灰石
粒子数が減少するため、石灰石粒子間距離が増大して発
生融液の流動性維持が困難になる。また40重量%を超え
る場合には、粒径 0.5mm以下の細粒石灰石は擬似粒子の
付着粉になりやすいため、装入偏析により細粒石灰石が
原料充填層下部に偏在して石灰石粒子間距離が不均一に
なり、しかも上層部の焼結の成品歩留および焼結鉱の冷
間強度の低下を招く。
【0044】本発明方法において原料の混合に高速攪拌
羽根を内蔵した混合機を使用するのは、この混合機であ
れば適正粒度構成を有する石灰石を破砕せず、従って、
適正粒度分布を維持したままで、原料層内での均一混合
が達成できるからである。
【0045】高速攪拌羽根を内蔵した混合機の代表的な
ものは、前述したアイリッヒミキサーと呼ばれるもので
あるが、その外、ドラムミキサー内部に回転羽根を取り
付けた造粒機も使用できる。
【0046】前記のように、高速攪拌羽根を内蔵した混
合機で混合した後に転動型造粒機、例えばドラムミキサ
ーやパンペレタイザーを使用して造粒すれば、擬似粒径
が大きくなり、焼結原料充填層の通気性が上昇する。そ
の結果、充填層厚を大きくすることが可能となり、焼結
の成品歩留や焼結鉱の冷間強度がさらに改善される。
【0047】高速攪拌羽根を内蔵した混合機によって原
料表面に水分をしみださせることができるので、後段に
使用する造粒機種はドラムミキサーやパンペレタイザー
などの転動型造粒機で十分である。
【0048】以下、実施例により本発明方法の効果を具
体的に説明する。
【0049】
【実施例1】本発明方法の効果を確認するため、石灰石
の粒度構成および混合、造粒方法を変更して、焼結鍋試
験を実施し、焼結の成品歩留および焼結鉱の冷間強度を
調査した。
【0050】焼結原料の配合は、表1に示すとおりであ
り、石灰石の添加量は、成品焼結鉱のCaO濃度換算で
8.5%とした。使用した石灰石の粒度構成を表2に示
す。
【0051】焼結原料の混合、造粒には、高速攪拌羽根
を内蔵した混合機の一種であるアイリッヒミキサーを使
用した。アイリッヒミキサーの仕様は下記のとおりであ
る。
【0052】寸 法 :直径 630 mm 、高さ 460 mm 回転数 :パン 50 rpm 、アジテータ 500 rpm 滞留時間:1分 造粒時の添加水分量は、粒径5〜10mmの擬似粒子が多く
生成する水分量を予備調査して決定した。
【0053】混合、造粒後の焼結原料は、装入偏析の影
響を実機に相似させるために実機をシミュレートした給
鉱装置を使用して給鉱し、その後、上、中、下層別にサ
ンプリングして焼結鍋試験に供した。
【0054】焼結鍋は直径 300mmのものを使用し、焼結
層厚 500mm、空塔風速20Nm3/m2の一定条件で焼成を行っ
た。空筒風速一定で焼成を行った理由は、ヒートパター
ンを一定条件として成品歩留や冷間強度を評価するため
である。なお点火条件は、LPG 87 リットル/minで2
分間とし、焼成終了はBTP(Burn Through Point、廃
ガス温度最高到達点) とした。
【0055】
【比較例1】石灰石の粒度構成を本発明で定めた範囲外
とし、それ以外は実施例1と同じ条件で焼結鍋試験を行
った。
【0056】
【比較例2】焼結原料の混合、造粒に2段のドラムミキ
サーを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で焼結
鍋試験を行った。
【0057】
【比較例3】石灰石の粒度構成を本発明で定めた範囲外
とし、かつ、焼結原料の混合、造粒に2段のドラムミキ
サーを使用した。それ以外は、実施例1と同じ条件で焼
結鍋試験を行った。
【0058】比較例2および比較例3で使用したドラム
ミキサーの仕様は下記のとおりである。
【0059】寸 法 :直径 600 mm 、長さ 1000 mm 回転数 :30 rpm 滞留時間:4分
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】表2では中央に石灰石の粒度構成を示し、
左右に混合機の種類を示した。同表の実施例1および比
較例1、2、3の表示は上記の各例に相当する。
【0063】図3の (a)と(b) に、石灰石粒度構成が焼
結の成品歩留および焼結鉱の冷間強度におよぼす影響を
実施例と比較例とを対比してそれぞれ示す。図中の符号
は表2の試験 No.に対応する。
【0064】図示のとおり、混合、造粒法は本発明の条
件であるが、石灰石の粒度構成が本発明で定めた範囲外
である比較例1では、成品歩留が79.9〜83.9%、冷間強
度(T.I.)が53.9〜59.0である。比較例1の中では1〜
5mmの粒子が40〜60重量%のNo.5、6、7が、成品歩
留、冷間強度ともに高く、1〜5mmの粒子が70重量%の
No.12 、13、14が成品歩留、冷間強度ともに低かった。
1〜5mmの粒子が20重量%の No.8、9、10、11は、成
品歩留は低いが冷間強度は高かった。
【0065】石灰石の粒度構成は本発明で定めた範囲内
にあるが、従来の混合、造粒法を用いた比較例2(No.1
5 、16、17、18) では、比較例1より若干高い成品歩留
83.3〜85.5%と、比較例1より若干低い冷間強度 (T.
I.) 54.1〜57.1が得られた。
【0066】石灰石粒度構成が本発明で定めた範囲外
で、従来の混合造粒法を用いた比較例3(No.19〜28) で
は、成品歩留が78.1〜83.4%、冷間強度(T.I.)が50.3〜
56.6であった。成品歩留、冷間強度ともに、比較例2、
3よりも更に低いものが多かった。
【0067】これに対し、実施例1( No.1、2、3、
4)では、どの比較例よりも高い成品歩留 (87.4〜88.0
%) と冷間強度 (T.I.60.9〜63.0) が得られている。
【0068】
【実施例2】実機操業を想定して、負圧を一定とし、層
厚を表3に示すように変化させて焼結鍋試験を行った。
他の条件は実施例1と同じにした。なお、後述する実施
例3、比較例4および参考例と焼成時間がほぼ等しくな
るように層厚を調整した。焼結原料に配合した石灰石の
粒度構成を表3に併せて示す。
【0069】
【実施例3】焼結原料の混合にはアイリッヒミキサー
を、造粒にはドラムミキサーを使用したこと以外は、実
施例2と同じ条件で焼結鍋試験を行った。
【0070】
【比較例4】焼結原料の混合、造粒に2段ドラムミキサ
ーを使用したこと以外は、実施例2と同じ条件で焼結鍋
試験を行った。
【0071】
【参考例】成品焼結鉱のCaO濃度に換算して 9.9重量%
の石灰石を配合 (前述の表1の原料配合で石灰石2重量
%増配、シンターフィード2重量%減配) した。それ以
外は、比較例4と同じ条件で焼結鍋試験を行った。
【0072】以上の実施例2、比較例3、4および参考
例の焼結鍋試験の結果を表3にまとめて示す。
【0073】表3に示すとおり、アイリッヒミキサーを
使用した実施例2では、ドラムミキサーを使用した比較
例4に比べて焼結の成品歩留及び焼結鉱の冷間強度(T.
I.)が大巾に改善されている。
【0074】また、アイリッヒミキサーとドラムミキサ
ーを併用した実施例3では、通気性改善による高層厚化
によってさらに成品歩留および冷間強度が改善されてい
る。
【0075】この改善効果は、通常高炉で使用されてい
るCaO濃度が 9.9%と高い参考例のレベルを凌ぐもので
あった。
【0076】
【表3】
【0077】
【発明の効果】本発明方法によれば、高い冷間強度をも
つ低CaO焼結鉱を高い成品歩留で製造することができ
る。本発明方法で得られる低CaO焼結鉱を用いれば、焼
結鉱の配合比を高めても高炉の安定操業が可能となり、
良質塊鉱原料の枯渇に十分に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動型混練機と高速攪拌羽根を内蔵した混合機
を使用した場合における焼結原料の擬似粒子構造を対比
して模式的に示す図である。
【図2】粒径が5mmを超える粗粒石灰石の比率が焼結の
成品歩留および焼結鉱の冷間強度に及ぼす影響を示す図
である。
【図3】石灰石の粒度構成が焼結の成品歩留および焼結
鉱の冷間強度に及ぼす影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22B 1/00 - 61/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成品焼結鉱中のCaO濃度に換算して 7.0〜
    9.0 重量%となるように、完全乾燥状態で測定して下記
    の粒度分布を有する石灰石を配合した焼結原料を、高速
    回転羽根を内蔵した混合機で混合して焼成することを特
    徴とする低CaO焼結鉱の製造方法。 0.5mm以下の粒子:20重量%から40重量%まで 1mmを超え5mm以下の粒子:40重量%から60重量%まで 5mmを超える粒子:40重量%以下
  2. 【請求項2】高速回転羽根を内蔵した混合機で焼結原料
    を混合した後に転動型造粒機を使用して造粒することを
    特徴とする請求項1の低CaO焼結鉱製造方法。
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