JP7151055B2 - 焼結での製鋼スラグの使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼スラグなどの難溶融物を焼結鉱の原料として有効に使用して、焼結鉱を製造する技術に関する。
焼結とは、炭材の燃焼熱でもって溶剤として添加した石灰石と、一部の鉄鉱石を反応させることで、カルシウムフェライト(CF)系の融液を生成させて、鉱石どうしを液相(融液)結合で塊成化して、焼結鉱を製造するプロセスである。
ところで近年では、焼結工場に対しては、製鉄所内の各プロセスで生じる発生品(副産物)を、有価な原料としてリサイクルする役割が期待されている。
焼結工場でリサイクルされる対象となる発生品の一つとしては、例えば、路盤材などの原料として商品化されている製鋼スラグなどが挙げられる。
このような製鋼工程で発生する製鋼スラグ(例えば、脱珪スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、転炉スラグなど)には、精錬特性を発現させるため、CaO,MgOなどが多く含まれている。
これらCaO,MgOなどの成分は、焼結鉱の結合生成や性状向上において必要とされているので、石灰石(CaO源)やドロマイト(CaOおよびMgO源)などを副原料として、添加されている。
そのため、製鋼スラグの中でも、不純物(燐、硫黄分など)が比較的少ない、すなわち燐、硫黄分の濃度が低い転炉スラグを、焼結鉱の原料として活用(リサイクル)することについては、石灰石やドロマイトの添加量の削減や、スラグ処理にかかる費用低減など、製造コストに対して多くのメリットが得られる。
このような、転炉スラグを焼結鉱の原料として用いて、焼結鉱を製造する技術としては、例えば、特許文献1~4に開示されているものがある。
特許文献1は、焼結原料用の造粒物において、転炉スラグと微粉原料を付着層内に配置した造粒物を用いて焼結鉱を製造することを目的としている。
具体的には、造粒物を分割造粒し、転炉スラグを含む造粒物Aの被覆層の母材の[C/F]を0.15以上0.49以下とし、且つ、付着層の厚みを1.0mm以上3.5mm以下、且つ、付着層内の転炉スラグの体積比率を0より大きく40vol%以下とすることとしている。残りの原料を用いた造粒物Bと混合して、焼成することで、溶融性の低い転炉スラグを母材から生成する融液で結合させて取り込むことができるとされている。
特許文献2は、製鋼スラグ中のCaOを最大限、同化反応に活用し、焼結歩留まりの向上を図ることを目的としている。
具体的には、転炉スラグを1-3mmの分級点で粗粒と細粒に分け、細粒側は遊離CaOが多いため生石灰代替としてその他配合原料と混合・造粒して造粒物Aとする。また粗粒側の転炉スラグは核とし、周囲に石灰石と鉄鉱石の微粉の付着層を形成した造粒物Bとする。この造粒物AとBを混合し、焼結機のパレット上に供給して焼結鉱を製造することとしている。
特許文献3は、転炉スラグを用いた低シリカ塊成鉱を高生産率で製造する方法において、投機困難となった転炉スラグを塊成鉱製造プロセスに積極的に利用することを目的としている。
具体的には、塊成鉱製造方法において、転炉スラグを-3mmに粉砕して、平均粒子径が0.4-0.6mmとなるように粒度調整し、塩基度[CaO/SiO2]を1.80~2.20荷維持するように転炉スラグを石灰石または生石灰の代替として、フラックスとして使用することとしている。
特許文献4は、焼結鉱製造用の炭材内装擬似粒子とその製造方法において、製鉄ダストやミルスケールなどの金属鉄含有酸化鉄粉を用いることなく、鉄含有原料と炭材とが近接配置された炭材内装焼結鉱を得ることを目的としている。
具体的には、中心部に炭材核としての小塊コークスを有し、その炭材核の周囲を融点を調整した鉄鉱石粉で被覆した擬似粒子を、ペレタイザーを用いて造粒する。該鉄鉱石粉に生石灰を添加して融点を低下させて、焼成時に緻密質の外層を形成させることによって、炭材核の燃焼・消失を防止する。炭材内装擬似粒子は、従来の原料をドラムミキサなどで攪拌し、造粒することで得られる通常の焼結用造粒粒子と合流させて両造粒粒子を混在させて焼結機のサージホッパに搬入して焼成することとしている。
特開2018-066046号公報 特開2015-183289号公報 特開平05-051653号公報 特開2015-129353号公報
ところで、転炉スラグは、製鋼工程(1500℃以上)の熱履歴を受けた影響により、(Fe, Mg)O個溶体(=マグネシオウスタイト,FMO)や、Mnなどの焼結工程(1200℃~1400℃)では、溶融しない組織を含有している。
そのため、図1に示すように、転炉スラグは、同じCaO源として添加している石灰石から生成されるカルシウムフェライト系融液と比較すると、融液が少なく固液共存となるため粘性が上昇し、流動性が悪いため、結合剤しての機能が弱いものとなっている。
つまり、石灰石が1250℃で溶融同化が完了するのに対し、転炉スラグは1300℃~1350℃で溶融同化が完了する。このことより、転炉スラグは、焼結結合強度を高める結合剤としての役割が弱いことが分かる。そのため、転炉スラグは、焼結成品(焼結原料用の造粒物)へ溶融同化しにくく、焼結成品への転炉スラグ歩留は低くなる。
また、流動性の悪い高粘性(低流動性)の融液は、原料充填層の粒子間に滞留して空隙を閉塞してしまうため、焼成中の通気性を悪化させ、生産性を低下させるものとなる。
さて、特許文献1は、転炉スラグを含む高石灰側(石灰石が多く配合)の造粒物Aの被覆層組成に関しての記載はされているものの、低石灰側(造粒物Aに対して石灰石の配合が少ない)の造粒物Bの被覆層組成について触れられていない。すなわち、特許文献1は、造粒物Aに関する技術であり、本発明は造粒物Bに関しても考慮することとしている。
特許文献2は、転炉スラグを核とする高石灰側の造粒物の構造について記載されているが、低石灰側の造粒物の被覆層構造については記載や示唆が全くないので、被覆層の[C/F]が不明である。さらに、低石灰側の造粒物、高石灰側の造粒物ともに転炉スラグを含有しており、転炉スラグを片寄せ配合(一方側の造粒物に多く配合)して、溶融同化促進を図ることを目的としている本発明とは技術が異なる。また、焼結鉱を製造する際、造粒物Aと造粒物Bとの混合比に関しても、明確な記載はない。
特許文献3は、高石灰側の擬似粒子Aと低石灰側の擬似粒子Bとを作り分けることが可能な並列造粒設備を対象とした技術ではない。また、造粒物の構造に関する記載や示唆が全くなく、被覆層の組成設計の思想が本発明と異なる。
特許文献4は、未燃焼の炭材を残留させる炭材内装焼結鉱を製造する技術であり、転炉スラグの溶融同化を促進することを目的としている本発明とは目的が異なる。また、炭材内装擬似粒子側の造粒物の外層については融点に関する記載があるが、通常の造粒物については記載や示唆が全くなく、被覆層の[C/F]が不明である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、石灰石が配合された造粒物Aと造粒物Bとを造粒し、それらを混合して焼結鉱を製造する際に、製鉄所で発生する製鋼スラグを、焼結原料として焼結プロセスでリサイクルしても、生産性や品質を低下させることなく、焼結鉱を製造することができる焼結での製鋼スラグの使用方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる焼結での製鋼スラグの使用方法は、核粒子の外周囲に被覆層が形成されている焼結原料用の造粒物を用いて、焼結鉱を製造する方法において、ドラムミキサごとに装入する石灰石の量を変更して配合する「石灰石の傾斜配合」によって造粒される、組成が異なる複数種類の前記焼結原料用の造粒物を用い、前記被覆層の平均成分におけるCaOとFe2O3との質量比である[CaO(mass%)/Fe2O3(mass%)]が、0.15以上0.25以下とされ且つ、前記石灰石が多く配合されている造粒物Aと、前記被覆層の[CaO/Fe2O3]が、0.10以上0.15未満とされ且つ、前記石灰石が前記造粒物Aより少なく配合されている造粒物Bと、を造り分けておき、製鋼スラグを前記造粒物Aに配合するものとし、前記造粒物Aと前記造粒物Bとを混合し焼結機に装入して、前記焼結鉱を製造する際に、前記造粒物Aの配合原料全体の割合が、前記造粒物Aと前記造粒物Bとの合計に対して、0より大きく55重量%以下となるように混合して、前記焼結鉱の製造することを特徴とする。
本発明によれば、石灰石が配合された造粒物Aと造粒物Bとを造粒し、それらを混合して焼結鉱を製造する際に、製鉄所で発生する製鋼スラグを、焼結原料として焼結プロセスでリサイクルしても、生産性や品質を低下させることなく、焼結鉱を製造することができる。
石灰石と転炉スラグの溶融同化性を比較したものを模式的に示した図である。 石灰石の傾斜配合(ドラムミキサ毎に異なる量の石灰石を配合)による溶融制御のコンセプトの概要を示した図である。 焼結層内のヒートパターンの一例を示した図である。 CaO-Fe2O3系の状態図である。 焼結鍋試験の焼成結果を示した図である。 拡散対試験の同化率と、試験後サンプルの断面を示した図である。 焼結鍋試験の焼成結果を示した図である。 転炉スラグの組織を撮影した写真(画像)である。 焼結鍋試験の焼成結果を示した図である。 焼結鍋試験装置の概要を模式的に示した図である。
以下、本発明にかかる焼結での製鋼スラグの使用方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
また、以降の説明において、ドラムミキサ8,9の転動により造粒される焼結用原料1を、擬似粒子又は造粒物と呼ぶこともある。その焼結用原料1の元となる原料を、造粒原料と呼ぶこともある。
まず、本発明の焼結での製鋼スラグの使用方法の概要について、述べる。
図2に、石灰石4の「傾斜配合(詳細は後述)」による溶融制御のコンセプトの概要、すなわち本発明の焼結での製鋼スラグの使用方法の概要を示す。
図2に示すように、本発明の焼結での製鋼スラグの使用方法は、並列造粒設備7において、石灰石4の「傾斜配合(石灰石4をドラムミキサ8,9毎に異なる量を配合)」によって、石灰石4が多く配合された造粒物Aと、その造粒物Aに対して石灰石4が少なく配合された造粒物Bとに作りわける際に、融液生成量の多い造粒物Aに転炉スラグ5(製鋼スラグ)を配合することで、造粒物Aと造粒物Bとを混合して焼結鉱を製造する際に、多量の融液で転炉スラグ5の溶解を促進させて、流動性悪化に伴う原料充填層の通気阻害を解消し、焼結結合強度を高めることができるものとしている。
これにより、製鉄所で発生する転炉スラグ5を、焼結原料として焼結プロセスでリサイクルする際に、高生産性および高強度の焼結鉱を製造することができる。
次に、本発明の焼結での製鋼スラグの使用方法について、詳しく説明する。
焼結プロセスでは、鉄鉱石に対して、石灰石4などの溶剤および炭材(例えば、粉コークスや、ブリーズと呼ばれる高炉用コークスの篩下など)を添加して、焼結鉱の原料(焼結用原料1)を造粒した後、その焼結用原料1を焼結機10で焼き固めて、焼結鉱を製造する。
造粒とは、造粒原料(鉄鉱石や石灰石など)に水分を添加して転動作用を与えることで、核となる粒子2(粒径が1mm以上)に、微粉(粒径が1mm以下)を被覆させた擬似粒子1(造粒物)を製造することで、粒径を大きくする工程である。
ここで、粒子径(mm)について、述べる。
例えば、粉体工学便覧(粉体工学会編,日刊工業新聞社,初版(昭和61年2月28日),P.1)によれば、「粉体は、色々な大きさを持つ多くの粒子からなるが、この構成粒子群の平均的な大きさの概念を粒度と呼び、個々の粒子の大きさの代表寸法を粒子径と呼ぶ。実際の粒子は複雑な形状を有するために、球や直方体などの単純なものに還元した代表寸法が用いられる。」と記載されている。このことから、粒径は、粒子径とも表し、粒子の大きさを指す代表寸法である。
また、粒子径を測定する方法の一つとして、「篩い分け法」が挙げられる。「篩い分け法」は、見開きの分かった大小2種の篩いによって粉体を分けると、細かい方の篩い網の上に残留した粒子群は二つの目開きの間の大きさを有する。ここで、篩い目の上に残留したものを篩目寸法を超える粒径とし、その篩い目を通過したものを篩目寸法以下の粒径と定義する。
擬似粒子化された造粒物1は、核粒子2の外周に、微粉が水の表面張力によって被覆しており、あたかもひとつの粒子であるかの様に振る舞っている。つまり、造粒物1は、核粒子2を有し、その核粒子2の外周囲には被覆層3が形成されている。
造粒の工程により、擬似粒子化された造粒物1の平均粒径が大きくなり、未造粒の微粉が減少することで、擬似粒子化された造粒物1を焼結機10に充填した際に、原料充填層内の空隙が多く保たれることとなる。
焼結機10では、原料充填層の下方から大気を吸引することで、炭材の燃焼を上層から下層にかけて連続的に伝播させている。そのため、原料充填層内の空隙が多いほど、ガスが流れやすくなるので、焼成が速く完了することとなり、焼結鉱の生産性が向上する。
このような製鉄原料における造粒の工程においては、例えば、ドラムミキサやパンペレタイザなどの造粒設備を用いることが一般的である。
図2に示すように、本発明は、焼結機10に対して、造粒設備7を複数で且つ並列に配備された焼結工場6に適用するものとしている。
並列に配備された造粒設備7の場合、同時に成分の異なる擬似粒子化された造粒物1を造粒することができ、それらの造粒物1を混合した上で、焼結機10に供給することができる。
ただし、図2に示した造粒設備7のフローや、造粒設備7の構成は一例であり、本発明を限定するものではない。
例えば、成分の異なる複数の造粒物1を造り分けることができれば、直列に配備された造粒機であっても良いし、バッチ式の造粒機で複数の造粒物1を交互に製造するものであっても良い。
焼結鉱の成分については、高炉の操業設計に合わせて決められており、焼結プロセスで使用できる石灰石4(CaO源)の量も規定されている。
ところで、石灰石4の「傾斜配合」とは、並列に配備された造粒設備7(本実施形態では、ドラムミキサ8,9)において、石灰石4の総使用量を一定とした下で(石灰石の全体量を変えずに)、各ドラムミキサ8,9毎に石灰石4の量を変えて配合する方法である。例えば、一方側(A系統)のドラムミキサ8に石灰石を多く配合し、他方側(B系統)のドラムミキサ9に石灰石4を少なく配合する方法である。
このように、ドラムミキサ8,9に対して、石灰石4を「傾斜」して(石灰石4の量を変えて)配合することで、石灰石4の配合量が多い造粒物A(溶剤が多く溶けやすい)と、石灰石4の配合量が少ない造粒物B(溶剤が少なく溶けにくい)とを、同時に製造することができる。
なお、以降の説明においては、ドラムミキサ8,9ごとに石灰石4の量を変えて配合することを、石灰石4の「傾斜配合」と呼ぶこととする。
また、その石灰石4の「傾斜配合」により、石灰石4の配合量を多くした造粒物1を、「高石灰側の造粒物A」又は単に「造粒物A」と呼び、造粒物Aより石灰石4の配合量を少なくした造粒物1を「低石灰側の造粒物B」又は単に「造粒物B」と呼ぶこととする。
以上より、本発明においては、核粒子2の外周囲に被覆層3が形成されている焼結原料用の造粒物1を用いて、焼結鉱を製造する方法において、ドラムミキサ8,9ごとに装入する石灰石4の量を変更して配合する「石灰石4の傾斜配合」によって造粒される、組成が異なる複数種類の焼結原料用の造粒物1を用いることとしている。
ところで、焼結プロセスでは、鉄鉱石に対して、溶剤としてCaO源である石灰石4を添加することで、低融点のカルシウムフェライト(CF)系の融液が生成され、粒子間に浸潤して凝固し、結合を形成して塊成化される。
このとき、造粒物1全体が溶融してしまうと、溶けた融液により原料充填層の空隙が閉塞されてしまい、炭材の燃焼を維持して伝播させるために必要な空気が通過しなくなり、不具合が生じる。
一方で、溶融した融液量が不足すると、十分な結合が形成されず、低強度の焼結鉱となってしまう。
すなわち、マクロでは、焼結鉱成分の均一性を保ちつつ、焼成時に溶融する部分と溶融しない部分を作るためのミクロな不均一性を制御する必要がある。
そこで、本発明者は、溶剤である石灰石4を「傾斜配合」する上での適正な配合条件を検討した。
図3に示すように、焼成過程の原料充填層内では、炭材の燃焼により、次のように温度が変化する。
すなわち、造粒時に添加した水分が蒸発するまで100℃以下で推移し(湿潤帯)、乾燥過程(乾燥予熱帯)に入ると急激に温度が上昇し、炭材の燃焼により1200℃~1400℃に到達する(燃焼帯)。この間に、カルシウムフェライト系の融液が生成され、鉄鉱石の粒子間に浸潤して結合を形成する。
その後、炭材の燃焼が終了すると、緩やかな冷却過程(酸化帯、冷却帯)に入り、融液が凝固することとなる。
図4に、カルシウムフェライト系のCaO-Fe2O3状態図を示す。
図4を参照すると、1200℃~1400℃の焼成温度域で多量の融液を生成させるためには、液相線温度が1400℃以下となるように、被覆層3の平均成分におけるCaOとFe2O3との質量比である[CaO(mass%)/Fe2O3(mass%)](以下、[C/F]と記載する)を、0.15以上とすることが好ましいことがわかる。
そこで、本発明者は、図4のCaO-Fe2O3状態図上での検討を基にして、実際の焼結プロセスでの[C/F]の適正範囲を見極めるため、焼結機10上での焼成を模擬することができる焼結鍋試験を実施した。
本実験は、大型の焼結鍋試験装置11を用いて実施した(図10参照)。
焼結鍋試験の詳細については、以下の通りである。
・試験装置:大型の焼結鍋(焼成面積=280mm×280mm)
・鉱石層厚:500mm
・原料装入量:80kg
・焼成条件:大気吸引(点火時=-1.0kPa、焼成時=-1.6kPa)
・点火時間:90sec
まず、角型で大型の焼結鍋12に、パレットの保護用床敷きとして、粒径が10mm~20mmの焼結鉱を装入する。その焼結鉱の上に鉄鉱石、石灰石4等の副原料、凝結材として粉コークスを疑似粒子化した造粒物1を装入した。
なお、配合条件としては、焼結後の成品中のSiO2が5.4質量%、塩基度[CaO/SiO2]が2.1となるように、調整した。
次いで、風箱13に接続された排風機14(吸引機)で、吸引圧=-1.0kPaの一定条件下において、点火バーナーで原料充填層の表面に着火した。その後、吸引圧=-1.6kPaの一定条件下で大気吸引して、造粒物1中の粉コークスを燃焼させた。
なお、焼成終了については、排ガス中CO2濃度が0.5%以下に到達した時刻とした。
焼成した焼結ケーキを、落下強度試験装置(JIS M8711:1993)を用いて、床敷きを除いた焼成物全量を2mの高さから4回落下させて、粒径が10mm以上として残留したものを成品とした。
その後、成品中の粒径が10mm~50mmを、更に2mの高さから4回落下させて、落下試験を行った。
なお、焼成時間(min)については、点火バーナでの着火から、焼成終了(排ガス中CO2濃度が0.5%以下)までの時間と定義する。
また、生産性(t/h/m2)については、以下の式で求めることができる。
・生産性(t/h/m2)={成品重量(kg)÷1000(kg/t)}÷{焼成時間(min)/60(min/hr)}÷焼結鍋の焼成面積(m2)
また、落下強度(%)については、以下の式で求めることができる。
・落下強度(%)=落下試験後の10mm以上の残存量(kg)÷10mm~50mmの成品重量(kg)×100
表1に、2系統の並列造粒設備7を模した条件での焼結鍋試験の配合条件を示す。なお、表1の混合割合の単位は(重量%)であり、造粒物1の配合割合の単位は(質量%)である。また、表1は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
Figure 0007151055000001
ここで、[CaO/Fe2O3(mass%/mass%)]について、より詳しく説明する。
図3に示すように、焼結プロセスでは、1200℃以上での高温の時間が数分と短く、完全な平衡状態には到達し得ないものとなっている。その結果、擬似粒子化された造粒物1の表層に位置する被覆層3において、細かく反応しやすい粒子が主に溶融することとなる。
そのため、本実施形態での[CaO/Fe2O3](=[C/F])は、擬似粒子化された造粒物1の被覆層3中の平均成分におけるCaOとFe2O3との質量比を表している。
被覆層3は、主に1mm以下の微粉で構成されているため、造粒した造粒物1中の1mm以下の各銘柄配合量および成分から、被覆層3の[C/F]を予測することができる。
また、擬似粒子化された造粒物1を乾燥させた後に振動などで崩壊させ、粒径が1mm以下の微粉成分を測定することでも、[C/F]を特定することができる。
本実施形態では、[C/F]を、造粒物1中の1mm以下の各銘柄配合量と成分から計算で求めた値とした。
なお、転炉スラグ5由来のCaOについては、高融点物質と共存しており反応性が悪い。このことから、[C/F]は、転炉スラグ5由来のCaOを除いて計算している。
表1の比較例1は、転炉スラグ5および石灰石4を均等に配合した条件である。本実施形態においては、比較例1をベースの条件としている。
なおこのとき、造粒物Bと造粒物Aの混合比については、65重量%対35重量%とした。
また、返鉱とブリーズの配合割合は、その他の原料(新原料と呼ばれるもの)の合計を100%としたときの割合(外数)で示している。
なお、比較例1において造粒物Aの[C/F]が低いことについては、粒径が1mm以下の粒子を多く含む微粉鉱石を配合しているためである。
比較例2~3は、石灰石4の「傾斜配合」を過剰に行い、高石灰側の造粒物Aへ転炉スラグ5を配合した条件である。
比較例4は、石灰石4の「傾斜配合」を過少に行い、高石灰側の造粒物Aへ転炉スラグ5を配合した条件である。
実施例1~4は、石灰石4の「傾斜配合」を適正に行い、高石灰側の造粒物Aへ転炉スラグ5を配合した条件である。
ここで、使用原料について、述べる。
表2に、本実験で使用した鉄鉱石および副原料の成分、粒径が-1mmの割合を示す。なお、表2の配合割合の単位は(質量%)である。また、表4は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
Figure 0007151055000002
表2に示すように、鉄鉱石については、3銘柄を以下のようにブレンドして使用した。
低石灰側の造粒物Bについては、Ore A:Ore Bを、50:50の比率で混合して使用した。
高石灰側の造粒物Aについては、Ore A:Ore B:Ore Cを、5:50:45の比率で混合して使用した。
表3に、焼結鍋試験の結果を示す。なお、表2の混合割合の単位は(重量%)である。また、表3は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
Figure 0007151055000003
表3、図5などを参照すると、高石灰側の造粒物Aの[C/F]が、0.17付近で生産性が最大となっていることがわかる。
なお、焼結鉱の生産性は、歩留と焼成速度を掛け合わせた指標である。また、歩留は、成品の回収量を原料の総量で除した値である。焼成速度は、焼成時間の逆数である。
すなわち、焼結鉱の生産性が高いことを示した範囲の[C/F]は、カルシウムフェライト(CF)系融液の主要成分である、CaO・2Fe2O3(以下、CF2とする)組成である0.17に近い。
また、高石灰側の造粒物Aの[C/F]については、0.15を超えた付近より、焼成速度が向上し、焼成時間が短縮するという効果が得られた。
この理由については、高石灰側の造粒物Aに配合した転炉スラグ5の近傍に存在する融液の量が増大し、その融液により転炉スラグ5の溶解を促進させた結果、融液の流動性が向上して原料充填層の通気阻害が解消されたためと推察される。なお、このことについては、後ほど詳しく述べる。
上記の効果については、[C/F]が0.25のときの条件まで確認することができた。しかし、局所的な過溶融による原料充填層の閉塞が見られた。
したがって、[C/F]を0.25より高くすると、原料充填層の通気性悪化による生産性の低下を招くものと推定される。すなわち、焼成時間が長くなってしまうものと推察される。
以上の結果より、本発明の効果が発現する範囲は、高石灰側の造粒物Aの[C/F]が0.15以上0.25以下と知見した。
なお、図5中の横線は、ベース条件(比較例1)の測定値(生産性=1.56t/h/m2,焼成時間=18.2min)を示す。この測定値を閾値として、生産性と焼成時間の改善の有無を判断した。
つまり、本発明においては、被覆層3の平均成分におけるCaOとFe2O3との質量比である[CaO(mass%)/Fe2O3(mass%)]が、0.15以上0.25以下とされ且つ、石灰石4が多く配合されている造粒物を「造粒物A」としている。
さて、[C/F]が低い低石灰側の擬似粒子化された造粒物Bについては、単独で十分な融液を生成しない。そのため、造粒物Aと造粒物Bとを混合して焼結鉱を製造する際に、高石灰側の造粒物Aの融液を受けて同化させる必要がある。
そこで、本発明者は、歩留低下の原因などを調査するため、被覆層3の成分を模擬したタブレットを作成し、高石灰側の造粒物Aから低石灰側の造粒物Bへの融液の浸潤状態を観察した。
図6に、拡散対試験の同化率と、試験後サンプルの断面を示す。
低石灰側の造粒物Bの上に、高石灰側の造粒物Aのタブレットを重ねて拡散対を作成し、焼結プロセスの焼成過程と同等の熱履歴で、電気炉にて焼成した。
冷却後の拡散対を樹脂に埋め込み、中央を切断して研磨した後に浸潤界面を観察し、高石灰側の造粒物Aから低石灰側の造粒物Bへの融液の浸潤範囲を測定した。
拡散対試験の詳細については、以下の通りである。
・試験装置:高周波加熱炉
・タブレット形状
・上側:φ10mm×高さ10mm(造粒物Aの被覆層3を模擬)
・下側:φ20mm×高さ10mm(造粒物Bの被覆層3を模擬)
・焼成条件:昇温速度=400℃/min、保持温度=1200℃、保持時間=3min、焼成雰囲気:大気
表4に、タブレット(拡散対)試験の[C/F]の条件を示す。
Figure 0007151055000004
まず、表4に示すように、粒径が-1mmの鉄鉱石と石灰石4を混合して、[C/F]を調整する。その際、3質量%相当の転炉スラグ5を、上側(高石灰側の造粒物A)のタブレット原料に混合した。
その上側のタブレット原料(高石灰側の造粒物A)をφ10mmの型に入れ、高さ10mmになるように1tonの荷重をかけて整形した。また、下側のタブレット原料(低石灰側の造粒物B)も同様にφ20mmの型に入れ、高さ10mmになるように1tonの荷重で整形した。
整形した上側のタブレットと下側のタブレットを重ねて、高周波加熱炉内に設置し、大気中で400℃/minにて1200℃まで昇温して3min保持した。
その炉冷した拡散対を樹脂に埋め込み、中央を切断して研磨した後に浸潤界面を観察し、高石灰側の造粒物Aから低石灰側の造粒物Bへの融液の浸潤範囲を測定した。
なお、浸潤により同化した範囲の同化率すなわち、拡散対試験の同化率については、次のように定義した。
・同化率(%)=浸潤が認められる領域(m2)/低石灰側(造粒物B)のタブレットの断面積(m2)×100
また、浸潤している領域については、顕微鏡観察でカルシウムフェライトの生成による反射率の違いで判断した。
図6に示すように、拡散対タブレット試験の結果、造粒物Aへの石灰石の「傾斜配合」の割合が75重量%を超えると、同化率が低下することがわかった。
すなわち、焼結鍋試験における焼結鉱の強度の低下は、高石灰側の造粒物Aで生成された融液が、低石灰側の造粒物Bへ浸潤することができず、擬似粒子化された造粒物A、Bどうしの溶融同化が不十分であったためと推察される。
拡散対の浸潤界面をより精緻に観察し、走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分析装置(EDS)で浸潤形態を特定した。
低石灰側の造粒物Bへ融液が良く浸潤している拡散対(A)では、浸潤界面が低石灰側の造粒物Bの石灰石4を起点に櫛歯状に浸潤しており、融液の先端部までCF2組成が残留していることを確認した。
一方で、低石灰側の造粒物Bの[C/F]が低い拡散対(B)では、浸潤界面が平板状に停止し、融液の最前面が脈石が溶け込んだ高融点の4元系カルシウムフェライト(SFCA)組成に変化していることを確認した。
このことから、低石灰側の造粒物Bの被覆層3の[C/F](すなわち、石灰石4の配合量)には、下限が存在すると知見した。
図7に示すように、上記と同様の観点で、焼結鍋試験の結果を整理すると、低石灰側の造粒物Bの[C/F]が0.10より大きくなると、焼結鉱の強度の向上が認められた。また、低石灰側の造粒物Bの[C/F]が0.10以上、0.13より小さい場合には、生産性の向上が確認された。
なお、[C/F]が0.13以上において、焼結鉱の強度および生産性が低下に転じているのは、高石灰側の造粒物Aの[C/F]低下に伴う融液の流動性低下によるものと考えられ、低石灰側の造粒物Bの[C/F]の上限を意味するものではない。
ただし、低石灰側の造粒物Bの[C/F]を高くし過ぎると、原料全体が溶融して原料充填層の空隙が閉塞されてしまうことから、低石灰側の造粒物Bの[C/F]は、高石灰側の造粒物Aよりも低く設定する必要がある。
ここで、図4に戻って、CaO-Fe2O3状態図より、焼成時に完全に溶融させないためには、液相線温度が1400℃以上となるように、[C/F]を0.15以下とすることが好ましいことがわかる。
以上の検討より、本発明の効果が発現する範囲は、低石灰側の造粒物Bの[C/F]が0.10以上0.15未満と知見した。
なお、図7中の横線は、ベース条件(比較例1)の測定値(生産性=1.56t/h/m2,落下強度=82.0%)を示す。この測定値を閾値として、生産性と落下強度の改善の有無を判断した。
つまり、本発明においては、被覆層3の[CaO/Fe2O3]が、0.10以上0.15未満とされ且つ、石灰石4が造粒物Aより少なく配合されている造粒物を「造粒物B」とし、その造粒物Bと造粒物Aとを造り分けておくこととしている。
ところで、近年では、焼結工場6に対しては、製鉄所内の各プロセスで生じる発生品(副産物)を、有価な原料としてリサイクルする役割が期待されている。
焼結工場6でリサイクルされる対象となる発生品の一つとしては、例えば、路盤材などの原料として商品化されている製鋼スラグ5などが挙げられる。
このような製鋼工程で発生する製鋼スラグ5(例えば、脱珪スラグ、脱硫スラグ、脱燐スラグ、転炉スラグ5など)には、精錬特性を発現させるため、CaO,MgOなどが多く含まれている。
これらCaO,MgOなどの成分は、焼結鉱の結合生成や性状向上において必要とされているので、石灰石4(CaO源)やドロマイト(CaOおよびMgO源)などを副原料として、添加されている。
そのため、製鋼スラグ5の中でも、不純物(燐、硫黄分など)が比較的少ない、すなわち燐、硫黄分の濃度が低い転炉スラグ5を、焼結鉱の原料1として活用(リサイクル)することについては、石灰石4やドロマイトの添加量の削減や、スラグ処理にかかる費用低減など、製造コストに対して多くのメリットが得られる。
一方で、図8に示すように、転炉スラグ5は、製鋼工程(1500℃以上)の熱履歴を受けた影響により、(Fe, Mg)O個溶体(=マグネシオウスタイト, FMO)やMnなどの焼結工程(1200℃~1400℃)では、溶融しない組織を含有している。
そのため、転炉スラグ5は、同じCaO源として添加している石灰石4から生成されるカルシウムフェライト系融液と比較すると、融液が少なく固液共存となるため粘性が上昇し、流動性が悪いため、結合剤しての機能が弱いものとなっている(図1参照)。
また、流動性の悪い高粘性(低流動性)の融液は、原料充填層の粒子間に滞留して空隙を閉塞してしまうため、焼成中の通気性を悪化させ、焼結鉱の生産性を低下させるものとなる。
そこで、本発明者は、転炉スラグ5を多量の石灰石4と混ぜて造粒物Aを造粒し、転炉スラグの近傍で発生する低融点のカルシウムフェライト系融液により、転炉スラグ5の溶解を促進させて、融液の流動性を向上させることを着想した。
高石灰側の造粒物Aと、低石灰側の造粒物Bとの両方に転炉スラグ5を配合した場合(表1、3の比較例1参照)は、上で述べたとおり、適正な[C/F]に被覆層3を制御した配合条件(例えば、表1、3の実施例3参照)と比較して、焼成時間が長く、焼結鉱の強度も低いものとなっている。
この理由としては、低石灰側の造粒物Bに含まれる高融点の転炉スラグ5が、高石灰側の造粒物Aからの融液浸潤を阻害し、通気パスの形成や結合強度の発現に悪影響を及ぼすためと推察される。
なお、本発明については、転炉スラグ5に限らず、製鉄所内の高温プロセスで熱履歴を受けた、他の発生品についても同様の効果を期待することができる。
以上より、本発明においては、転炉スラグ5(製鋼スラグ)を造粒物Aに配合するものとしている。
さて、高石灰側の造粒物Aは、融液の供給源であり、焼結鉱を製造する際、適正な造粒物1の配合量であれば、原料充填層内の液相結合や、通気パスの形成を促進させる効果を期待することができる。
しかし一方で、造粒物Aと造粒物Bを混合する際、高石灰側の造粒物Aを配合し過ぎると、融液の過剰生成により原料充填層の空隙が閉塞されて、通気性が悪化してしまう。
そこで、本発明者は、擬似粒子化された、高石灰側の造粒物Aと低石灰側の造粒物Bの適正な配合割合を、焼結鍋試験で検討した。
本実験は、小型の焼結鍋試験装置15を用いて実施した。なお、その装置構成については、図10に示す大型の焼結鍋試験装置11と同様である。
焼結鍋試験の詳細については、以下の通りである。
・試験装置:小型の焼結鍋(焼成面積=φ130mm)
・鉱石層厚:350mm
・原料装入量:8kg
・焼成条件:大気吸引(点火時=-1.0kPa、焼成時=-1.0kPa)
・点火時間:90sec
まず、丸型で小型の焼結鍋16に、パレットの保護用床敷きとして、粒径10mm~20mmの焼結鉱を装入する。その焼結鉱の上に鉄鉱石、石灰石4等の副原料、凝結材として粉コークスを疑似粒子化した造粒物1を装入した。
なお、配合条件としては、焼結後の成品中のSiO2が5.4質量%、塩基度[CaO/SiO2]が2.1となるように、調整した。
次いで、風箱17に接続された排風機18(吸引機)で、吸引圧=-1.0kPaの一定条件下において、点火バーナーで原料充填層の表面に着火した。その後、吸引圧=-1.0kPaの一定条件下で大気吸引して、造粒物1中の粉コークスを燃焼させた。
なお、焼成終了については、排ガス中CO2濃度が0.5%以下に到達した時刻とした。
焼成した焼結ケーキを、落下強度試験装置(JIS M8711:1993)を用いて、床敷きを除いた焼成物全量を2mの高さから2回落下させて、粒径が10mm以上として残留したものを成品とした。
なお、焼成時間(min)については、点火バーナでの着火から、焼成終了(排ガス中CO2濃度が0.5%以下)までの時間と定義する。
表5に、2系統の並列造粒設備7を模した条件での焼結鍋試験の配合条件を示す。なお、表5の配合割合の単位は(質量%)であり、混合割合の単位は(重量%)である。また、表5は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
Figure 0007151055000005
実施例5~7は、適正な割合で高石灰側の造粒物Aを配合した条件である。
比較例5、6は、過剰な割合で高石灰側の造粒物Aを配合した条件である。
ところで、高石灰側の造粒物Aから生成される融液が、低石灰側の造粒物Bへ浸潤して吸収されることで、通気パスが形成される。このことから、造粒物Bに対する造粒物Aの配合量は、等量以下が好ましいと推測される。
表6に、焼結鍋試験の結果を示す。なお、表6の混合割合の単位は(重量%)である。
Figure 0007151055000006
生産性(t/h/m2)については、以下の式で求めることができる。
・生産性(t/h/m2)={成品重量(kg)÷1000(kg/t)}÷{焼成時間(min)/60(min/hr)}÷焼結鍋の焼成面積(m2)
また、落下強度(%)については、以下の式で求めることができる。
・落下強度(%)=10mm以上の成品重量(kg)÷焼結ケーキ重量(kg)×100
なお、小型の焼結鍋試験では、得られる成品量が少ないため、大型の焼結鍋試験とは異なる方法で強度を指標化した。
造粒物Aの配合比(重量%)は、返鉱や炭材(粉コークス、ブリーズ)を含む、造粒物1全体に対する造粒物Aの配合比(混合割合)であり、以下の式(1)で定義される。
・造粒物Aの配合比(重量%)=造粒物Aの配合量(kg)/{造粒物Aの配合量(kg)+造粒物Bの配合量(kg)}×100 ・・・(1)
表6、図9に示すように、高石灰側の造粒物Aの配合量が35重量%付近で焼成時間が最小となり、55重量%を超えると急激に焼成時間が延長する傾向が認められた。
また、造粒物Aの配合量の増加に伴い、焼結強度の低下が見られることから、過溶融部の増加によりガス流れが不安定化し、焼成ムラ(過溶融部の直下にガスが流れず、焼成が不十分となる現象)が生じていることが推察される。
以上の結果より、本発明の効果が発現する範囲は、高石灰側の造粒物Aが原料(造粒物A+造粒物B)全体の0より大きく、55重量%以下(式(1)が0より大きく、55重量%以下)と知見した。
つまり、本発明においては、造粒物Aと造粒物Bとを混合し焼結機10に装入して、焼結鉱を製造する際に、造粒物Aの配合原料全体の割合を、造粒物Aと造粒物Bとの合計に対して、0より大きく55重量%以下となるように混合して、焼結鉱の製造することとしている。
まとめると、本発明にかかる焼結での製鋼スラグの使用方法は、核粒子2の外周囲に被覆層3が形成されている焼結原料用の造粒物1を用いて、焼結鉱を製造する方法において、ドラムミキサ8,9ごとに装入する石灰石4の量を変更して配合する「石灰石4の傾斜配合」によって造粒される、組成が異なる複数種類の焼結原料用の造粒物1を用い、被覆層3の平均成分におけるFe2O3とCaOとの質量比である[CaO(mass%)/Fe2O3(mass%)]が、0.15以上0.25以下とされ、石灰石4が多く配合されている造粒物Aと、被覆層3の[CaO/Fe2O3]が、0.10以上0.15未満とされ、石灰石4が造粒物Aより少なく配合されている造粒物Bと、を造り分けておき、転炉スラグ5(製鋼スラグ)を造粒物Aに配合するものとし、造粒物Aと造粒物Bとを混合し焼結機10に装入して、焼結鉱を製造する際に、造粒物Aの配合原料全体の割合が、造粒物Aと造粒物Bとの合計に対して、0より大きく55重量%以下となるように混合して、焼結鉱の製造することを特徴としている。
以上、本発明によれば、並列造粒設備7において、石灰石4の「傾斜配合」をすることよって、石灰石4が多く配合された「高石灰側の造粒物A」と、その造粒物Aに対して石灰石4が少なく配合された「低石灰側の造粒物B」とに作りわける際に、融液生成量の多い高石灰側の造粒物A(擬似粒子)に転炉スラグ5を配合することで、造粒物Aと造粒物Bとを混合して焼結鉱を製造する際に、多量の融液で転炉スラグ5の溶解を促進させて、流動性悪化に伴う原料充填層の通気阻害を解消し、焼結結合強度を高めることができる。
その結果、製鉄所で発生する製鋼スラグ(転炉スラグ5)を焼結プロセスでリサイクルする際に、高生産性および高強度の焼結鉱を製造することができる。
すなわち、本発明によれば、生産性や焼結鉱の品質を低下させること無く、製鋼スラグ(転炉スラグ5)を焼結鉱の原料1としてリサイクルすることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 造粒物(擬似粒子)
A 造粒物(擬似粒子)
B 造粒物(擬似粒子)
2 核粒子
3 被覆層
4 石灰石
5 転炉スラグ(製鋼スラグ)
6 焼結工場
7 並列造粒設備
8 ドラムミキサA
9 ドラムミキサB
10 焼結機
11 焼結鍋試験装置(大型)
12 焼結鍋(角型)
13 風箱
14 排風機
15 焼結鍋試験装置(小型)
16 焼結鍋(丸型)
17 風箱
18 排風機

Claims (1)

  1. 核粒子の外周囲に被覆層が形成されている焼結原料用の造粒物を用いて、焼結鉱を製造する方法において、
    ドラムミキサごとに装入する石灰石の量を変更して配合する「石灰石の傾斜配合」によって造粒される、組成が異なる複数種類の前記焼結原料用の造粒物を用い、
    前記被覆層の平均成分におけるCaOとFe2O3との質量比である[CaO(mass%)/Fe2O3(mass%)]が、0.15以上0.25以下とされ且つ、前記石灰石が多く配合されている造粒物Aと、
    前記被覆層の[CaO/Fe2O3]が、0.10以上0.15未満とされ且つ、前記石灰石が前記造粒物Aより少なく配合されている造粒物Bと、を造り分けておき、
    製鋼スラグを前記造粒物Aに配合するものとし、
    前記造粒物Aと前記造粒物Bとを混合し焼結機に装入して、前記焼結鉱を製造する際に、前記造粒物Aの配合原料全体の割合が、前記造粒物Aと前記造粒物Bとの合計に対して、0より大きく55重量%以下となるように混合して、前記焼結鉱の製造する
    ことを特徴とする焼結での製鋼スラグの使用方法。
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