JP3375881B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

電子写真用トナー

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JP3375881B2
JP3375881B2 JP07531398A JP7531398A JP3375881B2 JP 3375881 B2 JP3375881 B2 JP 3375881B2 JP 07531398 A JP07531398 A JP 07531398A JP 7531398 A JP7531398 A JP 7531398A JP 3375881 B2 JP3375881 B2 JP 3375881B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式を利
用した画像形成装置、例えば複写装置、プリンタ、ファ
クシミリ装置に備えられる像担持体上の潜像を可視像化
するための電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、プリンタ、さらにファクシミリ
装置などの電子写真方式を採用してなる画像形成装置に
おいては、静電潜像担持体である感光体表面に静電潜像
を形成し、これを可視像化するために着色剤であるトナ
ー等の現像剤を感光体側へと供給し、トナーを付着させ
るようにしてなる現像装置が備えられている。
【0003】上記現像装置にて、上記感光体に形成され
た静電潜像を現像し、その現像されたトナー像は、転写
材であるシート等に転写されている。そして、転写後、
上記感光体表面には、転写しきれなかった一部のトナー
が残留する。この残留する不要トナーは、次の画像形成
を繰り返し行うためにも感光体表面から除去される。そ
のため、転写後には感光体表面に残留するトナーを除去
するクリーニング装置が設けられており、該クリーニン
グ装置において除去された不要トナーがクリーニング装
置内の収容部に収容される。
【0004】また、シートに転写されたトナー像は、未
定着状態でるため、シート上への定着処理が行われる。
この定着処理としては、通常熱加圧式による定着方法が
採用されている。例えば、トナー像と接触する側に、ト
ナーが溶融する温度に加熱されたヒートローラと、この
ヒートローラに対して、トナー像を担持してなるシート
をヒートローラ側に密着するために適度の圧力によに圧
着さてなる加圧ローラとを備えて定着装置が構成されて
いる。このような構成の加熱加圧方式の定着装置を利用
することで、熱効率の点、及び定着効率が上がる点で広
く利用されている。
【0005】しかし、上述した定着方式によれば、熱効
率が良くなる反面、ヒートローラ表面とトナーが溶融状
態で接触するため、トナーがヒートローラ表面に転移
し、次のシートに再転移されるといったオフセット現象
が生じる問題がある。このような問題を解消するため
に、定着処理後のヒートローラ表面をクリーニング装置
を用いてクリーニングしている。このようなクリーニン
グ装置を利用しても、完全に付着したトナーを除去でき
ない場合がある。そのためにも、トナーが、ヒートロー
ラに付着しないような手段が備えられている。
【0006】その一例としては、ヒートローラにオフセ
ット防止剤を塗布するようにしている。例えば、トナー
に対して離型性のよりシリコーンオイル等の離型剤を、
ヒートローラに塗布して、定着処理時にシート上に担持
されたトナーがヒートローラに付着しないようにしてい
る。
【0007】これとは別の方法として、トナー自身がヒ
ートローラに付着しないように配慮されて製造されたも
のがある。例えば、トナーを製造する過程において、ト
ナーの原材料の混合時に、離型剤である低分子量ポリプ
ロピレンワックス等を添加し、溶融混練時に分散させる
ようにしている。これにより、シート上に担持されたト
ナーが、ヒートローラに付着しなくなる。
【0008】上記トナーに離型剤であるワックスを含有
させるトナー及びその製造方法としては、例えば特許第
2583754号公報に記載されているように、オフセ
ット現象を防止するために、低分子量ワックスを含有さ
せ、離型性をもたせている。これにより、耐オフセット
性を向上するようにしている。ここで、ワックスとし
て、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン等
がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにトナー
に含有されるワックスを選ぶことにより、ヒートローラ
への付着を防止し、よって定着処理時にヒートローラ等
に付着するといったオフセット現象を無くす効果があ
る。
【0010】その反面、ワックスの分散性の問題、及び
離型性を良好にするためにワックスを多量に使用する
と、現像時に感光体にワックスが付着し、画像欠陥が発
生するといった新たな問題が発生する。つまり、ワック
スが感光体に付着するとクリーニング装置に除去される
ことなく、フィルム状に付着するといったフィルミング
現象が発生する。
【0011】これにより、感光体の特性が劣化し、画像
濃度の増減やカブリ等が上昇し、画質に大きな影響が生
じる。これは、トナー側の問題ではなく、画像形成装置
の高速化に伴う、現像装置内での高温化も原因している
と考えられている。
【0012】以上のことから、多量のワックス類を使用
しないで、感光体上のフィルミング現象を無くすと同時
に、定着処理時のオフセット現象を無くし、安定した画
質を得ることができるトナーが要求さるようになった。
【0013】さらに、高温化に伴い、現像装置内でのト
ナー、現像剤の劣化による画質低下および定着性の低下
が懸念されており、上述の問題とあわせて、これらを解
消するトナーが望まれるところである。
【0014】本発明は、上述した各種の問題を解消する
ためのトナーを提供するものであって、特にトナーを構
成する着色剤を配慮することにより、オフセット現象
や、これに伴うフィルミング現象を生じさせないトナー
を提供することを目的とする。
【0015】また、本発明の目的は、ワックスの分散等
を配慮し、よってオフセット現象及びフィルミング現象
を防止するようにした電子写真用トナーを提供すること
にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明による上述した目
的を達成するために、トナーの主成分でる結着樹脂(バ
インダ樹脂)に着色剤を含有されてトナーを得る場合、
着色剤表面にCOOH、OH、CO等の酸性官能基が存
在しており、これら官能基がすくないほど正帯電しやす
い傾向を持つ。バインダ樹脂及び着色剤の官能基の量を
顕す指標の一つとして酸価数およびpH値があり、この
酸性官能基の量が少ないほど樹脂の酸価数は小さくな
り、着色剤のpHは大きくなる。
【0017】これらトナー中の主材料の極性を統一する
ことによりトナー粒子ここの帯電の不均一性抑制するこ
とができる。すなわち、通常、トナーの帯電性はトナー
中の最大の荷電体である帯電制御剤(CCA)によって
決定されている。そのため、樹脂、着色剤他の材料の極
性がCCAと異なる場合、最大の荷電体の電荷量を相殺
し、かつトナー表面に逆極性分布を持つこととなる。し
かし、樹脂、着色剤の極性をCCAと同一に、あるいは
相殺しないようにすることにより逆極性トナー等をなく
し、トナー全体の電荷、特にその帯電の不均一性をなく
し、帯電量分布の狭い優れた良好なるトナーを得ること
ができる。これにより、現像を安定させることができ、
カブリや、濃度低下のない良好なる現像を行える。
【0018】しかも、帯電性を安定させることでトナー
飛散を防止でき、またフィルミング現象を抑制でき、ま
たオフセット現象をも抑制することが可能となる。
【0019】また、本発明によるトナーは、バインダ樹
脂中に低分子量ポリプロピレンをあらかじめ内添させて
おき、その内添量を配慮しておくことで、感光体へのフ
ィルミング防止効果が助長され、これによる画質劣化、
例えば濃度変化を押さえ、かつカブリ等を防止するよう
にしている。
【0020】また、本発明による電子写真用トナーは、
着色剤のDBP吸油量を規定することで、粘度性特性に
代表される定着性、耐オフセット性を向上させるように
している。
【0021】さらに、本発明の電子写真用トナーは、上
述した構成に加え、着色剤の1次粒子径を規定してい
る。これは、トナーの粘弾性に関係し、この値が小さい
ほど耐オフセット性等に良好な結果を与える。そこで、
本発明は、着色剤の1次粒子径を小さくすることで、粘
弾性特性に代表される定着性、耐オフセット性を向上さ
せることができる。
【0022】そして、本発明の電子写真用トナーは、着
色剤中に種々の不純物が存在していることに鑑み、バイ
ンダ樹脂の弾性率向上を阻害するのを解消する。つま
り、これら不純物の多いほど着色剤の揮発分が多くな
る。そのため、本発明は、この着色剤の揮発分を所定範
囲に規定するトナーとして優れた帯電特性、弾性向上に
よる定着性、及び耐オフセット性を向上させている。
【0023】いずれにおいても、トナーには離型剤であ
るワックスが適正量含有されていることから、同時にオ
フセット防止効果を助長することは勿論であり、またこ
れによるフィルミング現象の防止を図っている。
【0024】本発明においては、上述した目的を達成す
るためにの構成要件は、以下に説明する実施の形態の説
明及び実施例において、より明瞭になるであろう。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
詳細に説明する。本発明によるトナーを利用する画像形
成装置に設けられた現像装置について図1を参照して説
明しておく。
【0026】図1において、画像形成装置は、ほぼ中央
部に矢印方向に一定速度て回転駆動される像担持体であ
るドラム形状の感光体1の周囲に複数の画像形成を行う
ためのプロセス手段が配置されている。この画像形成プ
ロセス手段は、まず感光体1表面を均一に帯電する帯電
器2、図示しない画像に応じた光による像を照射する光
学系からの光像、上記光学系により光像を照射すること
で感光体1表面に形成された静電潜像を可視像化するた
めの本発明にかかる現像装置4、現像された像(トナー
像)を適宜搬送されてくるシート状の転写剤である用紙
に転写する転写器及び転写後の用紙を感光体1より剥離
する剥離用帯電器5、転写後に感光体1表面に転写され
なかった残留現像剤(トナー)を除去するクリーニング
装置6、及び感光体1表面に残る帯電電荷を除去する除
電器7が、この順序で感光体1の回転方向に配置されて
いる。
【0027】用紙Pは、例えば図示していないが、トレ
イ又はカセットに多量に収容されており、該収容された
用紙が給送手段にて1枚給紙され、上述した転写器5が
配置された、感光体1と対向する転写領域へと、感光体
1表面に形成されたトナー像の先端と一致するように送
り込まれる。この転写後の用紙は、剥離用帯電器にて、
感光体1より剥離され、定着装置8へと送り込まれる。
【0028】上記定着装置は、用紙上に転写された未定
着のトナー像を永久像として定着させるものであって、
トナー像10と対向する面が、トナーを溶融し、定着さ
せる温度に加熱されたヒートローラ8aからなり、該ヒ
ートローラ8aに対して加圧され用紙をヒートローラ側
へと密着させる加圧ローラ8b等を設けて構成してい
る。この定着装置8を通過した用紙Pは、画像形成装置
外へと排出ローラ(図示せず)を介して排出処理され
る。
【0029】上記光像3を感光体1表面に照射するため
の光学系は、複写装置であれば原稿台上に載置された原
稿を光照射し、該原稿からの反射光をミラー及び結像レ
ンズを介して結像するものである。また、画像形成装置
がプリンタやファクリミリ装置の場合には、上記光学系
は、入力されてくる画像データに応じてON−OFF駆
動制御される半導体レーザからの光ビームを、偏光器等
を介して感光体1上に照射するように構成されている。
この光学系により、原稿の反射光像3を直接、または画
像データに応じた光像3を感光体1上に照射するように
し、均一帯電された感光体1表面に静電潜像を形成する
ようにしている。
【0030】このようにして、感光体1表面に形成され
た静電潜像は、図1において感光体1と対向するように
配置された現像装置4にて現像される。つまり、現像剤
であるトナーが静電潜像にて選択的に付着し、トナーに
て顕像化される。
【0031】この現像装置4は、図2にその一例を示す
ように、現像剤9を収容する現像槽11内に回転可能に
現像ローラ12、現像剤を搬送又は(及び)撹拌する撹
拌搬送手段13を備え、現像槽11の上部に必要に応じ
てトナーを補給するトナー補給装置を設けている。
【0032】現像ローラ12は、例えば2成分現像剤、
あるいは磁性を有する1成分系トナーを用いるものであ
れば、円筒形状の非磁性スリーブ12a内に多数の磁極
からなるマグネットロール12bを備えて構成されてお
り、スリーブ12aが矢印方向に回転駆動されること
で、マグネットロール12bの磁力により現像剤を吸着
し、感光体1と対向する現像領域へと搬送する。そのた
め、現像剤9は、マグネットロール12bの磁力によ
り、スリーブ12a上に吸着され、該スリーブ12aの
回転により搬送され、感光体1と対向する現像領域へと
搬送される。そして、現像領域に対向するマグネットロ
ール12bの一つの磁極の位置で、現像剤はブラシ状に
穂立ち、これが感光体1表面に摺擦され、感光体1表面
に形成された静電潜像にトナーが付着し、現像すること
になる。
【0033】上記現像剤9は、例えばトナー及び磁性キ
ヤリアからなる2成分系のもの、トナー自身が磁性を有
する1成分系のもの以外に、非磁性の1成分系のトナー
からなる現像剤が一般的に知られている。
【0034】また、現像ローラ12に吸着された現像剤
は、現像剤位置へと搬送される前に、その吸着量が一定
になるように規制部材(ドクタ)14にて一部が除去さ
れる。つまり、規制部材は、一端側が現像槽11に固定
され、他端が現像ローラ12と一定の隙間(間隔)を隔
てて配置されており、この規制部材を摺り抜ける現像剤
が一定量に規制され、現像ローラ12表面には現像剤9
による薄層が形成され、現像領域へと搬送されることに
なる。
【0035】また、トナー補給装置は、トナーを収容す
るホッパ内に、トナーを補給する補給ローラ等が設けら
れている。この補給ローラは、例えば多孔質部材(例え
ばスポンジ)等から構成されており、トナーを多孔部分
に保持し、現像槽11に形成されている補給口を介して
補給するようにしている。
【0036】上記補給口に対向して上述した現像槽11
側には、撹拌搬送手段15が配置されており、補給され
てくるトナーを、現像槽11内の現像剤9と撹拌し、現
像ローラ12へと供給される。
【0037】なお、上述したように現像剤9は、キャリ
ア及びトナーからなる2成分系、トナーのみからなる1
成分系のもの以外に、1成分系において非磁性のものが
存在する。非磁性の1成分系トナーの場合には、磁力に
より現像ローラ12表面に吸着できないため、摩擦帯電
等を利用して現像ローラ12表面に吸着させて搬送する
ようにしている。この場合の現像ローラ12としては、
ゴム等の弾性部材が利用されることが多い。そして、規
制部材14等にて現像ローラ12表面に吸着されるトナ
ー層が一定の薄層になるようにしている。
【0038】なお、1成分系トナーによる現像剤9にお
いては、その現像剤中のトナー濃度を制御する必要がな
いため、トナー補給装置を設けることなく、現像槽11
にトナーカートリッジ等を介して一度の補充されるよう
に構成されている。また、現像槽11内に一定量の1成
分トナーを補充しておく必要がある場合には、トナー補
給装置に上記トナーカートリッジ内のトナーを一度に補
充し、このトナー補給装置より必要に応じてトナー補給
することになる。
【0039】(一実施形態)本発明による上述した現像
装置4の特に現像槽11に収容されてなる現像剤9を構
成するトナーの組成物及びトナーの製造方法について以
下に説明する。
【0040】トナーは、通常結着樹脂に離型性をもたす
ためにもワックスを添加し、さらに着色剤であるカーボ
ンブラック、さらに帯電制御を行うために帯電制御剤等
の原材料を混合し、これを混練し、粉砕、分級して所望
の粒子径、例えば10μ程度のトナーを得ており、この
トナーに必要に応じて外添剤を添加処理して現像剤とな
る外添処理されたトナーを得るようにしている。
【0041】上記結着樹脂としては、通常一般的に用い
られる公知の樹脂を利用できる。例えば、スチレンアク
リル系樹脂等である。このスチレンアクリル系樹脂と
は、例えばスチレンを主体に、他のビニル単量体を共重
合されたものである。
【0042】また、ワックスとしては、比較的低い融点
を有するもので、さらに重量平均分子量が約1000か
ら45000、好ましくは2000〜10000程度の
ポリオレフィンである。具体的には、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリブチレン等が挙げられる。本発明に
よれば、特に低分子量のポリプロピレンが最も好まし
く、必要に応じて上述したようなワックス材を利用でき
る。
【0043】さらに着色剤としてカーボンブラックを使
用する場合には、トナーによる画像がブラックとなり、
イエロー、シアン、マゼンタ等のトナーを得ようとする
場合には、それに応じた周知の着色剤を選択し使用すれ
ばよい。
【0044】また、トナーにおいて適正な帯電量、及び
帯電極性を決めるために、帯電制御剤(CCA)が添加
されるが、この帯電制御剤についても周知のものを必要
となる極性に合わせて適宜選択される。例えば、以下に
示す実施例においては、4級アンモニウム塩を使用して
おり、これに限るものではく、周知の材料を任意に選択
すればよいことである。
【0045】以上のように、結着樹脂、ワックス、着色
剤、帯電制御剤が添加されたトナー原材料を、混合し、
混練し、粉砕し、所望の粒子径のものを分級し、トナー
を得ている。このトナーを現像剤として使用する場合に
おいては、さらに帯電性や流動性を向上させるために、
流動化剤、例えばシリカ等を外添処理し、使用可能なト
ナーを得ている。
【0046】一方、上述したトナーは、1成分系の現像
剤として利用する時には、そのまま使用され、2成分系
の現像剤として利用するときには、外添処理したトナー
と磁性キャリアとを混合して現像剤を得るようにしてい
る。
【0047】また、1成分系の現像剤において、磁性特
性を有するようにするためには、上述したトナーの原材
料にさらに、磁性粉、例えば磁性酸化鉄、還元酸化鉄等
を添加し、上述したようにして混合、混練、粉砕、分級
して所望の粒子径の磁性トナーを得ることができる。こ
の磁性トナーにおいて、流動性を良好にするために、シ
リカ等を外添処理される。
【0048】ここで、本発明においては、定着装置8、
特にヒートローラ8a等へのトナーが付着するオフセッ
ト現象を防止するために、ヒートローラ8aに対して離
型性のよいワックスをトナーに含有させ、またこのワッ
クスが感光体に付着するフィルミングを阻止するための
ワックスの含有量を規定している。
【0049】そこで、本発明によるトナーの原材料とな
る主成分の結着樹脂であるバインダ樹脂には、予め低分
子量のポリプロピレンワックスが複合化(内添)されて
いる。ここで、内添とは、樹脂の重合段階に行われ、こ
の重合とは溶液重合、乳化重合等の一般的なバインダ樹
脂製造に用いられる重合である。この点は、特に限定さ
れるものではないが、溶液重合が好ましく、本発明によ
るバインダ樹脂、例えばスチレンアクリル系樹脂に上述
したポリプロピレンが内添されている。
【0050】このようにして作成されたワックスを予め
内添されたバインダ樹脂を、トナーの原材料として使用
することで、画像形成装置において1分間に70枚以上
の高速で画像形成(画像形成装置より画像形成後の用紙
が排出される状態)可能な装置で問題となる、感光体1
表面へのワックスのフィルミング現象や、定着のために
ヒートローラ8aへのオフセット現象を防止できる。
【0051】つまり、上述した効果を向上させるため
に、内添してある低分子量ポリプロピレン等のワックス
の樹脂中への分散径を0.5μm以下にしている。
【0052】さらに、ワックスが内添されたバインダ樹
脂に対する添加量を、バインダ樹脂の100重量部に対
して0.5重量部以上5重量部以下にすることで、トナ
ー粒子中のワックスの分散状態をより均一にすることが
できる。特に、ワックスの添加量を1重量部〜2重量部
の範囲にすることで、より一層の効果が得られる。
【0053】一方、高速の画像形成装置での課題は、用
紙Pへの定着強度が低くなる事がある。これは、高速処
理するため、定着装置8をトナーを担持した用紙Pが通
過する時間が非常に短くなり、よって十分にトナーが溶
融されないまま定着処理される。これより、用紙上のト
ナーの定着が強固に行われず、剥がれることがある。ま
た、この時に、ヒートローラにトナーが付着するオフセ
ット現象が生じることがある。しかも、現像装置4にお
いて高速処理するために、撹拌手段13等による撹拌時
に、トナーが破壊され微細化されることで、フィルミン
グ現象が発生すると同時に定着性においても悪化する。
【0054】このような不具合を解消すると同時に、上
述したオフセット現象やフィルミング現象を防止するた
めのトナーを得るために、バインダ樹脂の特性として破
壊靭性を高め、粘性を向上させるようにしている。つま
り、トナーの帯電量を安定させ、画像濃度低下やカブリ
を防止するためにも、トナーが現像槽11内での撹拌等
によって破壊されないように、かつ定着性を良好にする
ために、上記トナーが破壊されないようにし、定着性を
向上するためにも粘性を向上させるようにする。
【0055】そのためにも、トナーの主成分となるバイ
ンダ樹脂の破壊強度を支配する高分子側の数平均分子量
Mnを、1.0×105≦Mn≦2.5×105、粘性を
支配する低分子側の数平均分子量Mnを2.0×103
≦Mn≦3.2×103の範囲に適正化することで、上
述した問題点を解消し、画質劣化を防止し、定着性を良
好に保った状態で、かつフィルミング及びオフセット現
象を防止できる。
【0056】以下に実施例を示し、本発明の電子写真用
トナーの作用効果を確認した。また、実施例において
は、本発明によるトナーと比較するためのトナーを製造
して、画像形成を行った例を含めて示している。
【0057】ここで、本発明において使用したトナーの
効果を確認するために、シャープ株式会社製の機種SD
−4085(1分間に85枚のコピーを行う高速機)を
用いて、画像濃度、カブリに基づいた評価を行った。画
像濃度は、マクベス濃度計(マクベス社製)、カブリは
Z−II OPTICAL SENSOR(日本電色社
製)を用いて計測した。このカブリは、用紙の白紙部分
(バックグランド)の濃度計測である。
【0058】また、評価の基準は、複写初期、及び10
0000(以後100Kと記す)での画像判定で行っ
た。また、耐フィルミング性、定着性、耐スペント性、
耐オフセット性等は目視判定により3段階評価を行っ
た。
【0059】さらに、以下に示す実施例に用いたスチレ
ンアクリル系のバインダ樹脂、及びバインダ樹脂に内添
されるポリプロピレンの内添量、ドメイン径について
は、表1に示した通りのものを使用している。なお、表
1に示したバインダ樹脂は、三洋化成社製である。ま
た、ワックスは三洋化成社製のビスコール660P(ポ
リプロピレンワックス)である。
【0060】
【表1】
【0061】また、バインダ樹脂に予め内添されている
ワックスは、低分子量ポリプロピレンである。ここで、
ドメイン径とは、バインダ樹脂中に分散してワックスの
長径をさす。相溶性のない2つの高分子体を混合した場
合、互いの界面張力の違いにより分離がおこり混合比の
少ない高分子体は、混合比の多い高分子中に島構造をも
って分散する。この島構造のことをドメインといい、液
体状ではほぼ球形となる。本発明の場合、混合比の多い
高分子体が樹脂であり、少ないものがワックスとなり、
樹脂中にワックスが島構造(ドメイン)をもち分散する
こととなる。
【0062】その径は、試料であるバインダ樹脂を、テ
トラヒドラフラン(THF)に溶解し、THF不溶分を
細孔径0.1μmのメンブレンフィルタを用いて回収す
る。そのフィルタを株式会社日立製作所製のSEM(S
2500)により計測した。また、粘弾性特性は、レオ
メトリックス社製のレオメーター RDS−7700に
より測定し、分子量分布である高分子側の数平均分子量
(HpMn)及び低分子側の数平均分子量(LpMn)
については、株式会社島津製作所製LC6Aにより測定
した。
【0063】(実施例1)上記表1に示した“実施例
1”のワックス内添量が1.0重量部のバインダ樹脂を
100重量部と共に、着色剤としてカーボンブラック
(デグサ社製:Printex70)10重量部、帯電
制御剤として4級アンモニウム塩(オリエント化学社
製:P−51)1.5重量部を、混合機であるスーパミ
キサー(株式会社カワタ社製)に仕込んで混合すること
により、トナーの原材料混合物を調整した。
【0064】次に、混練装置として2軸混練機(株式会
社池貝社製:PCM65)に上記調整した原料混合物を
仕込み、混練シリンダ温度(混練温度)を150℃に設
定し、溶融混練を行った。その後、混練を終了した混練
物を、粉砕し、分級することで平均粒子径として約1
0.0μmのトナーを得た。
【0065】そして、上記混合機に、上述した製造工程
を経て得られたトナー100重量部と、外添剤としてシ
リカ粉末(日本アエロジル株式会社製:R972)0.
1重量部と、マグネタイト粉末(関東電化株式会社製:
KBC100)0.1重量部を仕込んで混合(外添)す
ることにより、外添処理された電子写真用トナーを得
た。
【0066】さらに、混合機であるナウターミキサー
(ホソカワミクロン株式会社製)に、上述した外添処理
後のトナー4重量部と、フェライト系コア材をシリコン
系樹脂で被覆処理(コーティング)してなるフェライト
系キャリア100重量部とを仕込んで、撹拌、混合し、
2成分系の現像剤を得た。
【0067】そこで、上述したように、得られたトナー
粒子中のワックスの分散径、特にドメイン径について、
先に説明したバインダ樹脂中の分散粒子径を計測するの
と同様にして、確認したところ0.3μmであった。
【0068】以上のようにして得られた2成分系の現像
剤を適正量、現像槽に充填し、補給トナーとして外添処
理後のトナーを必要に応じて補給しながら、SD−40
85複写機にて100K枚の実写を行った。実写条件と
しては、温度25℃、相対湿度60%の雰囲気中で行っ
た。
【0069】結果は、複写初期から100Kまで安定し
た画像濃度が得られ、カブリも上昇することもなく、感
光体へのフィルミングもなく、良好なる画質状態を維持
できた。なお、その結果は表2に示した通りである。
【0070】
【表2】
【0071】上記表2は、実施例1によるトナーとの対
比を行うために、以下に示す実施例2乃至21によるト
ナーの評価結果を含めて示している。ここで、N mo
de及びP modeは、それぞれノーマル及び写真に
よるモードであり、例えば感光体を帯電する時の電位を
変えて行ったものである。例えば、感光体を一様に帯電
するためのスコロトロン方式の帯電器を用いて帯電する
場合、N modeにおいては帯電器のグリットに−6
50V、P modeにおいてはグリットに−440V
の電圧を供給し、感光体をそれぞれの電位に帯電させ
た。この時の画像状態、つまりトナー画像の状態として
濃度、カブリとして測定した結果での評価である。
【0072】(比較例1) 表1に示す“比較例1”の処方によるバインダ樹脂及び
着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にてトナーの
原材料混合物を調整した。この比較例1においては、実
施例1とは、バインダ樹脂の酸価数を3.0(mg4K
OH/g)とした以外は、全て同一にし、また同一条件
にて電子写真用トナーを作製した。
【0073】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は、上記表2に示した通りである。この比較例1にて
得たトナーの評価結果は、画像濃度に関しては特に問題
ないレベルであったが、帯電量分布が広く逆極性トナー
が多数存在し、カブリの多い画像となった。
【0074】その他の耐フィルミング性、耐オフセット
性等には問題はなかった。これは、バインダ樹脂に内添
される分散されたワックスの添加量等が適正であるため
と思われる。
【0075】(比較例2) 表1に示したように“比較例2”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例2におい
ては、実施例1とは、特に着色剤であるカーボンブラッ
クダを三菱化学社製のMA−100Sにした以外は、全
て同一とした。このカーボンブラックにおいては、表面
酸価処理していないpHが3.5であり、実施例1によ
るデグサ社製のPrintex70のpH9.0に比べ
て小さい。このカーボンブラックを用いて、製造時の条
件は実施例1と全て同一にして電子写真用トナーを作製
した。
【0076】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った結果は
表2に示す通りである。この比較例2にて得たトナーの
評価結果は、画像濃度は特に問題はなかったが、帯電量
が全体的に低く、カブリの多い画像となった。この比較
例2においても、実施例1と同様に、耐オフセット性、
耐フィルムング性においては良好な結果を得た。これ
は、比較例1記載のものと同様であるためである。
【0077】(比較例3) 表1に示したように“比較例3”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例3におい
ては、実施例1とは、バインダ樹脂が高分子量側の数平
均分子量HpMnを0.8×105、低分子側の数平均
分子量LpMnを1.5×103である点で異なるだけ
で、その他は全て同一にした。また実施例1と同一条件
にて電子写真用トナーを作製した。
【0078】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例3にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペント
性、さらに耐オフセット性に欠ける。
【0079】これは、バインダ樹脂の分子量によるもの
であり、これを実施例1に示すような範囲内にすること
で、上述した不具合を解消できるものといえる。
【0080】(比較例4) 表1に示したように“比較例4”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例4におい
ては、実施例1とは、バインダ樹脂が高分子量側の数平
均分子量HpMnを3.0×105、低分子側の数平均
分子量LpMnを3.5×103で異なるだけで、その
他は全て同一にし、また同一条件にて電子写真用トナー
を得た。
【0081】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例4にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであった。また、比較例3による不具合、つま
り耐フィルミング性、オフセット性を改善できる反面、
定着性が劣る。
【0082】(比較例5) 表1に示したように“比較例5”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例5におい
て、実施例1とは、バインダ樹脂として樹脂の保存弾性
率G(1[N/cm2]で示す温度)が、150(℃)
と異なる他は、全て同一にし、また同一条件で電子写真
用トナーを得た。
【0083】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例5にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであったが、耐フィルミング性、耐スペント
性、耐オフセット性に欠ける。
【0084】(比較例6) 表1に示したように“比較例6”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例6におい
て、実施例1とは、バインダ樹脂として樹脂の保存弾性
率G(1[N/cm2]で示す温度)が、220(℃)
と異なる他は、全て同一にし、また同一条件で電子写真
用トナーを得た。
【0085】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価の
結果は表2に示す通りである。この比較例6にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、比較例5における不具合を解消
できたものの、定着性が劣る。
【0086】(比較例7) 表1に示したように“比較例7”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例7におい
て、実施例1とは、バインダ樹脂の溶融粘度Tη(複素
粘度率|η*|が1000Pa・sになる温度)が、1
10(℃)と異なる他は全て同一にし、また同一条件に
て電子写真用トナーを作製した。
【0087】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例7にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0088】(比較例8) 表1に示したように“比較例8”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料混合物を調整した。この比較例8におい
て、実施例1とは、バインダ樹脂の溶融粘度Tη(複素
粘度率|η*|が1000Pa・sになる温度)が、1
40(℃)と相違する他は、全て同一にし、また同一条
件にて電子写真用トナーを作製した。
【0089】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例8にて得たトナ
ーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題な
いレベルであったが、上述した比較例7による不具合を
解消できるものの、定着性が劣る。
【0090】(比較例9) 表1に示したように“比較例9”の処方によるバインダ
樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件にて
トナーの原材料料混合物を調整した。この比較例9にお
いて、実施例1とは、バインダ樹脂の損失弾性率G′
が、140℃において3.0[N/cm2]とした点で
相違する他は全て同一にし、また同一条件にて電子写真
用トナーを作製した。
【0091】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この実施例10にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0092】(比較例10) 表1に示したように“比較例10”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例10
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂の損失弾性率G′
が、140℃において5.0[N/cm2]とした点で
相違する他は、全て同一にし、また同一条件にて電子写
真用トナーを作製した。
【0093】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例10にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度はあるものの帯電量分布が
広く逆極性トナーが多数存在しカブリの多い画像となっ
た。また比較例9による不具合を解消できたものの、定
着性が大きく劣る。
【0094】(比較例11) 表1に示したように“比較例11”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例11
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂のガラス転移温度
(℃)を55℃とした以外は、全て同一にし、また同一
条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0095】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例11にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、保存性に欠ける。
【0096】(比較例12) 表1に示したように“比較例12”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例12
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂のガラス転移温度
(℃)が75℃である点を除き、その他を全て同一に
し、また同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0097】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例12にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、比較例11とは異なり保存性は
解消されたが、定着性に欠けることが判る。
【0098】(比較例13) 表1に示したように“比較例13”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例13
おいて、実施例1とは、着色剤であるカーボンブラック
をデグサ社製のPrintex95を用いた以外、全て
同一にした。このカーボンブラックは、DBP吸油量が
52(ml/100g)である。そして、実施例1と同
一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0099】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例13にて得たト
ナーの評価結果は、初期状態から画像濃度が低く、回復
の兆しが認められなかった。またカブリに関してはそれ
ほど悪化はしないものの、100Kにおいて、感光体上
にフィルミングが発生し、耐スペント性、耐オフセット
性に欠ける。
【0100】(比較例14) 表1に示したように“比較例14”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例14
おいて、実施例1とは、着色剤であるカーボンブラック
をデグサ社製のPrintexAを用いた以外、全て同
一にした。このカーボンブラックは、1次粒子径が41
nm、揮発分(%)が0.7%と低い。そして、実施例
1と同一条件にて電子写真用トナーを作製した。
【0101】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例14にて得たト
ナーの評価結果は、初期状態から画像濃度が低く、回復
の兆しが認められなかった。またカブリに関してはそれ
ほど悪化はしないものの、100Kにおいて、感光体上
にフィルミングが発生し、耐スペント性、耐オフセット
性に欠ける。
【0102】(比較例15) 表1に示したように“比較例15”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例15
おいて、実施例1とは、着色剤であるカーボンブラック
を三菱化学社製のOIL31Bとした以外は同一材料を
用いた。このカーボンブラックは、揮発分が、5.5%
と非常に大きい。またDBP吸油量が107(ml/1
00g)、1次粒子径も30nmと割合と大きい。そし
て、実施例1と同一条件で電子写真用トナーを作製し
た。
【0103】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例15にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度は確保できるものの、帯電
量が低く、カブリの多い画像となった。また、耐オフセ
ット性、及び定着性に欠ける。
【0104】(比較例16) 表1に示したように“比較例16”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例16
おいて、実施例1とは、着色剤であるカーボンブラック
の添加量を3重量部に変えた以外は、全て同一とした。
そして、実施例1と同一条件で電子写真用トナーを作製
した。
【0105】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例16にて得たト
ナーの評価結果は、トナー自体の隠蔽力が低く、かつ帯
電量が高くなり、画像濃度が薄い。そして、耐フィルミ
ング性、耐スペント性に欠け、また耐オフセット性にや
や欠ける。
【0106】(比較例17) 表1に示したように“比較例17”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例17
おいて、実施例1とは、着色剤であるカーボンブラック
の添加量を13重量部に変えた以外は、全て同一とし
た。そして、実施例1と同一条件で電子写真用トナーを
作製した。
【0107】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例17にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度は得られるものの、帯電量
が十分に得られず低くなる結果、カブリの多い画像とな
った。しかし、耐フィルミング性、耐スペント性、耐オ
フセット、定着性、さらに保存性にも優れる結果となっ
た。
【0108】(比較例18) 表1に示したように“比較例18”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例18に
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂に内添されている
ワックスの内添量を“0”、つまりワックスを含まない
他は、全て同一にし、また同一条件にて電子写真用トナ
ーを作製した。
【0109】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例18にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、耐オフセット性に欠ける。
【0110】(比較例19) 表1に示したように“比較例19”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例19
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂に内添されている
ワックスの内添量を6.0重量部とした以外は、全て同
一とし、また同一条件にて電子写真用トナーを作製し
た。
【0111】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例19にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、比較例18による耐オフセット
性を改善できるものの、耐フィルミング性、及び耐スペ
ント性に欠ける。
【0112】(比較例20) 表1に示したように“比較例20”の処方によるバイン
ダ樹脂及び着色剤、帯電制御剤を実施例1と同一条件に
てトナーの原材料混合物を調整した。この比較例20
おいて、実施例1とは、バインダ樹脂に内添されるワッ
クスのドメイン径が1.0μmである点で異なる以外
は、全て同一にし、また同一条件にて電子写真用トナー
を作製した。
【0113】この電子写真用トナーを用いて、実施例1
と同様の複写機を用いて100Kの複写を行った評価結
果は表2に示す通りである。この比較例20にて得たト
ナーの評価結果は、画像濃度及びカブリに関しては問題
ないレベルであったが、耐フィルミング性、耐オフセッ
ト性に欠ける。
【0114】以上の各種実施例に示したように、表1及
び表2の評価の結果、画像濃度及びカブリを含めて耐フ
ィルミング性、耐スペント性、耐オフセット性、定着
性、及び保存性に優れたトナーとしては、実施例1によ
るものとなる。そこで、実施例1に示すトナーと、実施
例1及び比較例1のトナーとを対比すれば、バインダ樹
脂の酸価数が0.3(mgKOH/g)の場合には良好
であり、その酸価数が3.0(mgKOH/g)であれ
ばカブリの問題が発生している。これは、バインダ樹脂
の酸価数を小さいものを選べばよいことを示している。
そのため、バインダ樹脂としては、その酸価数が小さい
ものを用いるとよく、3.0(mgKOH/g)未満
に、好ましくは1.0(mgKOH/g)以下にすると
よい。さらに好ましくは実施例1の示したように、その
酸価数が0.5(mgKOH/g)とすれば好適であ
り、よって1.0(mgKOH/g)未満のものを選定
すれば最良であるといえる。
【0115】また、実施例1及び比較例2のトナーとを
対比すれば、着色剤であるカーボンブラックが異なるこ
とで、実施例1のトナーのように良好なる画像濃度、及
びカブリのない画質を得ることができる一方、比較例2
によればカブリの多い画質となる。この差異は、表面酸
価処理していないpHが大きく左右している。つまり、
このpHが実施例1では9.0であり、比較例2ではp
Hが3.5と小さい。そのため、カーボンブラックであ
る着色剤のpHが3.5を越えるものでる必要があり、
少なくとも5.0を越えるもので、好ましくはpH7.
0以上の着色剤を用いることが好適である。
【0116】これは、バインダ樹脂、着色剤、例えばカ
ーボンブラック表面には、COOH、OH、CO等の酸
性官能基が存在しており、これら官能基がすくないほど
正帯電しやすい傾向を持つ。バインダ樹脂およびカーボ
ンブラックの官能基の量を顕す指標の一つとしては、酸
価およびpH値があり、この酸性価値の量がすくないも
のほど樹脂の酸価は小さくなり、カーボンブラックのp
Hは大きくなる。
【0117】これらトナー中の主材料の極性を統一する
ことによりトナー粒子個々の電荷の不均一性を抑制でき
る。即ち、通常、トナーの帯電性は、トナー中の最大の
荷電体である帯電制御剤(CCA)によって決定されて
おり、バインダ樹脂、カーボンブラック等他の材料の極
性がCCAと異なる場合、最大の荷電体の電荷量を相殺
し、かつトナー表面に逆極性分布を持つこととなる。し
かし、バインダ樹脂、カーボンブラックの極性を帯電制
御剤であるCCAと同一にすることにより上記不具合を
なくし、トナー全体の電荷、特にその帯電の不均一性、
帯電量分布に優れたトナーを得ることができる。
【0118】よって、着色剤及びバインダ樹脂、そして
トナーの帯電極性を決める帯電制御剤を選択すれば、バ
インダ樹脂及び着色剤としては、上述したようにバイン
ダ樹脂の酸価と、着色剤のpHの組み合わせを最適化す
ることで、帯電性を安定でき、シャープな(狭い)帯電
量分布を示すトナーを得ることができる。特に、実施例
1記載のものは、正帯電トナーとなる。
【0119】また、本発明においては、電子写真用トナ
ーの主成分となるバインダ樹脂の数平均分子量Mnとし
ては、実施例1と比較例3及び4との対比において、高
分子量側での数平均分子量Mnは、1.75×105
場合には、良好であって、実施例4における数平均分子
量Mnが0.8×105、比較例4における数平均分子
量Mnが3.0×105において問題が生じる。そこ
で、実施例1における数値の前後で良好であり、比較例
3と4の範囲内に設定すればよい。これは、バインダ樹
脂の高分子量側の数平均分子量Mnは、1.0×105
以上、2.5×105以下の範囲において良好な結果が
得られる。
【0120】そして、バインダ樹脂の低分子量側での数
平均分子量Mnについては、2.0×103以上、3.
2×103以下の範囲において良好な結果が得られる。
【0121】これは、電子写真用トナーとして使用され
るバインダ樹脂は、高速複写(高速現像)により要求さ
れる耐久性に差があり、複写速度が速いほど耐久性が要
求される。そのため、バインダ樹脂の分子量及びその高
分子体と低分子体の比率を最適化することにより、例え
ば毎分70枚以上の高速化に対応できるようになる。こ
の場合、特にフィルミングやオフセット等の問題が生じ
るものの、これはバインダ樹脂と共にトナーに含有され
るワックスの量等を考慮すれば、さらに良好な結果を得
ることができる。
【0122】また、実施例1と、比較例5及び6を対比
すれば、バインダ樹脂の保存弾性率、つまり1[N/c
2]で示す温度が、186℃前後において良好である
ことが実施例1から理解できる。また、比較例5及び6
からは、バインダ樹脂の保存弾性率が150℃以下であ
れば耐フィルミング性、オフセット性が悪くなる一方、
220℃以上となれば、耐フィルミング性、オフセット
性が改善されるものの、定着性に劣る結果となる。その
ためにも、バインダ樹脂の保存弾性率としては、少なく
とも180℃以上、200℃以下に範囲に設定すること
で良好な結果が得られる。
【0123】つまり、バインダ樹脂の粘弾性はトナーの
定着性、耐オフセット性、及び材料分散性に大きく関連
しており、高速対応した高分子樹脂の場合、定着特性、
耐オフセット性および材料分散性が低下する傾向にあ
る。この点、高速対応した樹脂においても、粘弾性特性
を最適化することにより、優れた定着特性、耐オフセッ
ト性、優れた材料分散性を持たせることができる。即
ち、上述したように保存弾性率が1[N/cm2]にな
る温度は、耐オフセット特性に大きな相関があり、この
温度が高くなると、高温オフセット発生温度が高くはる
反面、定着性が悪化する。従って、保存弾性率を上述し
た範囲に設定することで、耐オフセット性及び定着性を
良好にすることができる。
【0124】そして、実施例1と、比較例7及び9を対
比すれば、バインダ樹脂の溶融粘度Tη(複素粘度率|
η*|が1000Pa・sになる温度)が、122℃前
後で良好であり、110℃以下では耐オフセット性が悪
く、140℃以上では定着性が悪くなる。そのため、バ
インダ樹脂の溶融粘度Tηは、120℃以上、130℃
以下とすることで良好な結果が得られる。
【0125】これは、溶融粘度Tη(複素粘性率|η*
|が1000Pa・sになる温度)は、定着性と大きな
関連性があり、溶融粘度Tηが低いと定着性はよくな
る。その反面、耐オフセット性が低下する。これた高い
と定着性は悪くなるが、耐圧オフセット性が良好になる
傾向にある。この点、本発明においては、上述したよう
な溶融粘度Tηの範囲にすることで、耐オフセット性、
及び定着性を満足させることができる。
【0126】次に、実施例1と、比較例9及び10を対
比すれば、バインダ樹脂の140℃における損失弾性率
については、3.8[N/cm2]前後では、良好であ
り、3.0[N/cm2]以下では耐オフセット性が悪
くなり、5.0[N/cm2]では定着性が悪くなる。
そのため、バインダ樹脂の損失弾性率は、3.4[N/
cm2]以上、4.5[N/cm2]以下の範囲に設定す
ることで耐オフセット性、定着性を含むめて良好な結果
を得ることができる。
【0127】この140℃における損失弾性率について
は、定着性、耐オフセット性、材料分散性と大きな関連
性がある。この損失弾性率が低いと、定着性と材料分散
性はよくなるが、耐オフセット性が低下する。そして、
損失弾性率が高いと定着性は悪くなるが、耐オフセット
性と材料分散性が良くなる傾向をもつ。この点、上述し
ような、損失弾性率の範囲にすることで、耐オフセット
性と、定着性を良好にでき、しかも材料分散性をよくで
きる。そのため、バインダ樹脂に内添されているワック
スの分散性も良好になる。
【0128】また、実施例1と、比較例11及び12
対比すれば、バインダ樹脂のガラス転移温度Tgが、比
較例20から65℃前後において良好であるが、55℃
以下の場合には保存性において問題があり、75℃以上
となれば溶融等の問題から定着性が問題になる。そのた
め、バインダ樹脂のガラス転移温度としては、60℃以
上70℃以下の範囲に設定することで、保存性及び定着
性の問題を解消できる。
【0129】つまり、ガラス転移温度Tgは、トナーの
保存性に大きく関連している。そのため、この値が低い
と保存性が悪くなり、高いと保存性は改善されるもの
の、定着性の問題が生じてくる。そのため、ガラス転移
温度Tgとしては、上述した範囲に設定することで、保
存性及び定着性を十分に確保できる。
【0130】一方、上述したようにバインダ樹脂とは別
に、トナーを構成する他の材料、特に本発明における着
色剤であるカーボンブラックについても、種々の問題が
あり、その範囲を適宜設定することで良好な結果を得る
ことができる。
【0131】そこで実施例1と、比較例13乃至15
対比すれば、カーボンブラックのDBP吸油量、1次粒
子径、揮発分が適正な範囲に設定しなければ、耐フィル
ミング性、耐スペント性、耐オフセット性等に問題が生
じる。
【0132】例えば、比較例13によればDBP吸油量
が52(ml/100g)と小さい場合、定着性および
耐オフセット性に問題が生じる。これは、カーボンブラ
ックは、1次粒子が集合した糸状のストラクチャーを形
成し、トナー中に分散している。このストラクチャーの
大きさは、トナー自体の黒色度、定着性、及び耐オフセ
ット性に大きく関連している。一般的にストラクチャー
の短いものほど、上記特性に良好な傾向があることが知
られている。このストラクチャーの大きさを表す指数の
一つとして、DBP吸油量があり、この吸油量が大きい
ほどストラクチャーは小さくなることが知られている。
そのため、このDBP吸油量を規定することにより、優
れたトナー黒色度、定着性、及び耐オフセット性を得る
ことができる。そのため、DBP吸油量としては、実施
例34等から52(ml/100g)よりさらに大きい
値に設定することが重要であり、少なくとも90(ml
/100g)以上にするとよい。
【0133】また比較例14のように1次粒子径が41
(nm)と大きい時には、特に耐オフセット性、さらに
定着性等が悪くなる。これは、カーボンブラックの1次
粒子径として、トナーの粘弾性、黒色度に大きく関連し
てくる。そのため、カーボンブラックの1次粒子径が小
さいほど、粘度性、及び黒色度が良好になる傾向にな
る。よって、着色剤であるカーボンブラックの1次粒子
径を比較例14のように41(nm)よりさらに小さい
ものを選ぶことで、トナーの黒色度、粘弾性特性に代表
される定着性、および耐オフセット性を向上できる。こ
の着色剤の1次粒子径としては、実施例1からも勘案
し、30(nm)未満に設定することで、良好な結果を
得ることができる。
【0134】さらに、比較例15のカーボンブラックに
おいては、揮発分が5.5(%)と非常に多い。その結
果、帯電性の問題、また定着性、および耐オフセット性
が問題となる。そこで、実施例1と比較すれば、その揮
発分が1.2(%)と非常に小さい。そのため、着色剤
であるカーボンブラックの揮発分は、2.0(%)未満
にすれば、定着性が改善できる。
【0135】これは、着色剤であるカーボンブラック
は、その中に種々の不純物が存在しており、一般的には
それらは強い負帯電特性を有するとともに、樹脂の弾性
率向上の障害ともなることが知られている。また、これ
ら不純物の多いものほどカーボンブラックの揮発分が多
くなる。そのため、着色剤の揮発分を上述したように規
定することで、トナーとして優れた帯電特性、そしてバ
インダ樹脂による弾性向上による定着性、耐オフセット
性等を向上できる。
【0136】また、カーボンブラックは、優れた隠蔽力
をもつ。その反面、高い導電性を示す。そのため、少量
のカーボンブラックの添加では、黒色度は不足し、かつ
高抵抗、高帯電となり隠蔽力低下をもたらす。逆に多量
の添加では隠蔽力が増すものの、抵抗値が低下しトナー
飛散やカブリの原因にもなる。
【0137】そのため、比較例16及び17に示すカー
ボンブラックの含有量では適正とはいえない。このカー
ボンブラックの添加量は、黒色度を良好に、定着性及び
耐オフセットを良好にするために、4重量部以上15重
量部以下にする。これにより、良好な結果を得ることが
できる。
【0138】さらに、バインダ樹脂に内添されるワック
スの量については、比較例18及び19と、実施例1と
を対比すると理解できる通りである。つまり、ワックス
が内添されていない場合には、耐オフセット性が悪くな
る。その反面、そのワックス量が多くなれば、耐フィル
ミング性が問題になる。そのため、ワックスの内添され
ている量としては、比較例20から1.0重量部が最小
限度であり、また上限としては6.0重量部未満であ
り、好ましくは5.0重量部以下にすることで、耐フィ
ルミング性及び耐オフセット性を改善できる。
【0139】つまり、ワックスはトナー中に均一に分散
し、その添加量が耐オフセット性、及び耐フィルミング
性に大きく関連する。そのため、ワックスの添加量を上
述したように規定することで、耐オフセット性、及び耐
フィルミング性を向上できる。特に、ワックスがバイン
ダ樹脂に内添されている場合、その分散状態を均一にし
ておくことで、トナー製造時に溶融、混練により均一に
分散させることができる。また、その内添量を上述した
範囲にすれば、さらに良好な結果を得ることができる。
【0140】以上のように、ワックスはその添加量及び
分散性において耐フィルミング性や、耐オフセット性に
大きく関連している。また、ワックスのドメイン径にお
いても、分散性等に影響がでるものといえる。
【0141】そのため、実施例1及び比較例20を対比
すれば、バインダ樹脂に内添されているワックスのドメ
イン径としては、比較例20によれば1.0μm以上で
は耐フィルミング性、耐オフセット性に問題が生じ、実
施例1の0.3μmでれば上述した不具合が解消でき
る。よって、少なくとも1.0μm未満とするとよい。
これはバインダ樹脂に分散した内添されている状態での
ワックスの径であり、好ましくは、内添ワックスの径と
しては、0.5μm以下とすることが好適であるといえ
る。
【0142】ここで、バインダ樹脂といてスチレンアク
リル系の場合、高分子、高弾性樹脂であり、これにワッ
クスを含め、トナー製造を行う場合、ワックスのドメイ
ン径を制御することは非常に困難となる。そのため、製
造したトナー中のワックスのドメイン径を最適化するに
は、予めその径を適正状態にし、かつバインダ樹脂に均
一に分散させた状態で内添させおくことで、良好な結果
を得た。
【0143】特に、バインダ樹脂中のワックスのドメイ
ン径を最適化するためには、溶液重合法による内添化が
非常に優れていることを見いだした。この溶液重合法に
よりワックスを内添したバインダ樹脂を用いることで、
上述したように耐オフセット性及び耐フィルミング性を
向上を図ることができた。
【0144】以上説明した各種実施例においては、トナ
ーとキャリアとを混合した2成分系の現像剤を用いたも
のである。しかし、1成分系トナー単体(外添処理され
たもの)を現像剤として使用し、現像する場合において
も当然本発明のトナーをそのまま利用できることは勿論
である。そして、1成分系トナーとして磁性トナーとす
る場合には、バインダ樹脂に着色剤、帯電制御剤等、そ
れに加えて磁性材を添加することで簡単に得ることがで
き、上述の実施例にて明記した効果を十分に発揮し、画
像濃度の増減、カブリの増加を防止し、かつフィルミン
グ等を防止できるトナーを得ることができる。同時に定
着性にも優れ、オフセット現象が生じない良好なるトナ
ーを得ることができる。
【0145】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーによれば、定
着処理時のオフセット現象を阻止できると同時に、この
オフセット現象を防止を高めるためのトナーが感光体に
付着するといったフィルミング現象を良好に阻止でき
る。
【0146】また、画像濃度の大きな変化や、ガブリの
上昇がない非常に安定した帯電性、帯電分布の狭い良好
なる特性を有し、定着性においても良好なるトナーを得
ることができる。
【0147】特にトナーに含有される着色剤のDBP吸
油量、1次粒子径、揮発分を所定範囲内に規定すること
で、上述した帯電性に優れた電子写真用トナーを得るこ
おができ、よって画質を安定させる一方、バインダ樹脂
の粘弾性等を良好にでき、よってオフセット現象を改善
できるとともにフィルミング現象をも合わせて解消でき
るトナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるトナーも利用してなる画像形成
装置の構造の一例を示す構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の詳細を
示す構成図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体) 4 現像装置 9 現像剤 10 トナー 11 現像槽 12 現像ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾藤 貴広 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 本田 陽康 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−10782(JP,A) 特開 平8−314281(JP,A) 特開 平8−171229(JP,A) 特開 平6−317926(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダ樹脂を主成分とし、着色剤、及
    び帯電制御剤を含有した電子写真用トナーにおいて、酸
    価数1.0(mgKOH/g)以下、分子量分布におけ
    る数平均分子量Mnが高分子量側で1.0×10 5 ≦M
    n≦2.5×10 5 、かつ低分子量側で2.0×10 3
    Mn≦3.2×10 3 であり、樹脂の保存弾性率G(1
    [N/cm 2 ])で示す温度が180℃以上、200℃
    以下であり、樹脂溶融粘度が1000Pa・sとなる温
    度が120℃以上、130℃以下であり、温度140℃
    における樹脂の損失弾性率G’が3.4[N/cm 2
    以上、4.5[N/cm 2 ]以下であり、更に、ガラス
    転移温度が60℃以上70℃以下である上記バインダ樹
    100重量部に、表面酸化処理していないpH7.0
    以上の着色剤であって、DBP吸油量が90(ml/1
    00g)以上であり、更に、1次粒子径が30(nm)
    未満である着色剤を4重量部以上、15重量部以下の範
    囲で含有させ、更に、上記バインダ樹脂にドメイン径が
    0.5μm以下である低分子量ポリプロピレンワックス
    が内添されており、該低分子量ポリプロピレンワックス
    が該バインダ樹脂100重量部に対して0.5重量部以
    上5重量部以下で含まれてなることを特徴とする電子写
    真用トナー。
  2. 【請求項2】 上記着色剤の揮発分が2.0(%)未満
    であること特徴とする請求項1記載の電子写真用トナ
    ー。
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