JP3372872B2 - 水性ボールペンに使用する直詰めインキ - Google Patents

水性ボールペンに使用する直詰めインキ

Info

Publication number
JP3372872B2
JP3372872B2 JP19490098A JP19490098A JP3372872B2 JP 3372872 B2 JP3372872 B2 JP 3372872B2 JP 19490098 A JP19490098 A JP 19490098A JP 19490098 A JP19490098 A JP 19490098A JP 3372872 B2 JP3372872 B2 JP 3372872B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
weight
water
ballpoint pen
direct
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP19490098A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11349885A (ja
Inventor
輝明 深澤
和博 吉井
貴史 大野
Original Assignee
株式会社パイロット
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社パイロット filed Critical 株式会社パイロット
Priority to JP19490098A priority Critical patent/JP3372872B2/ja
Publication of JPH11349885A publication Critical patent/JPH11349885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3372872B2 publication Critical patent/JP3372872B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性ボールペンに使
用する直詰めインキに関する。
【0002】
【従来の技術】剪断減粘性、つまりインキ筒内では高粘
度で、筆記時のボールの回転による剪断力によって低粘
度となして、良好な筆記性能をもたらすインキをインキ
筒に直詰めした水性ボールペンは、例えば特公昭64−
8673号、特公平1−16437号、U.S.P.5
013361号等により知られている。しかし、これ等
のインキは多くの技術的問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような問題の主た
るものは、インキに剪断減粘性を付与するために用いる
水溶性または分散性樹脂が、非常に高分子量であるため
インキ中の水分が蒸発した際、著しく増粘したり、ペン
先において造膜して筆記性能に悪影響を及ぼすことであ
る。この点、水分蒸発に伴うインキ増粘率が比較的小さ
く、造膜性のない架橋型アクリル酸重合体を剪断減粘性
付与剤として用いたインキも本発明者により発明された
特開平7−179804号公報に開示されており、これ
等の問題を最小限のものとしている。しかしながら架橋
型アクリル酸重合体を用いたインキは揺変度が小さいた
め筆記時の剪断力によって所望のところまで粘度が低下
しない場合があり、筆跡に泣きボテ、カスレを生じたり
することもあり、筆記性能を重視してインキ粘度設定を
した場合には、ペン先からのインキ垂れ下がり性能を低
下させる傾向が大きい。一方、色材として顔料を用いる
と筆跡の堅牢性は良好となるものの、耐ドライアップ性
は著しく劣化する。インキ中の水分がペン先で蒸発する
と、顔料の分散が破壊するためペン先において顔料粒子
が強固な固まりとなり、インキ詰まりを発生するからで
ある。また、顔料を用いたインキでは、その分散が破壊
すると、再び水分が補給されたとしても再分散せず、良
好な状態には回復しない。このように、筆記性能が充分
でしかも耐ドライアップ性に優れ、ペン先からのインキ
垂れ下がり性能をも充分満足させたインキはまだ知られ
ていない。このような問題があるため、剪断減粘性を付
与したインキを用いた水性ボールペンは、インキ中の水
分の蒸発防止策をボールペン構造体の中に常に具備する
必要があり、場合によってはペン先に特殊キャップを採
用する必要もあった。本発明は、問題が何によって発生
するか、どのようにしてこの問題を解決することができ
るかを解明し、筆跡に泣きボテ、カスレを生じない良好
な筆跡性能をもたらし、耐ドライアップ性能に優れ、し
かもペン先からのインキ垂れ下り性能をも満足させたキ
ャップレス型ボールペンにも採用できる水性ボールペン
用の直詰めインキを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明は、 「1. 架橋アクリル酸重合体100重量部に対して
キサンタンガム50〜100重量部とサクシノグリカン
10〜75重量部を混合してなる剪断減粘性付与剤0.
2〜0.8重量%、染料2〜10重量%、保湿湿潤剤1
5〜30重量%、尿素3〜10重量%、ソルビット1〜
7.5量%、残部水からなる、水性ボールペンに使用
する直詰めインキ。 2. 防錆潤滑剤0.2〜1.5重量%を添加した、1
項に記載された水性ボールペンに使用する直詰めイン
キ。 3. pH調整剤1.0〜6.0重量%を添加した、1
項または2項に記載された水性ボールペンに使用する直
詰めインキ。 4. 防菌剤0.1〜1.0重量%を添加した、1項な
いし3項のいずれか1項に記載された水性ボールペンに
使用する直詰めインキ。 5. 保湿湿潤剤が2価アルコール、3価アルコール、
これ等のアルコールの誘導体から選んだ1または2以上
である、1項ないし4項のいずれか1項に記載された水
性ボールペンに使用する直詰めインキ。 6. 防錆潤滑剤が燐酸エステル系界面活性剤、ベンゾ
トリアゾール、脂肪酸エステルから選んだ1または2以
上である、2項に記載された水性ボールペンに使用する
直詰めインキ。 7. pH調整剤がトリエタノールアミンである、3項
に記載された水性ボールペンに使用する直詰めイン
キ。」に関する。
【0005】本発明は、インキの粘度構造に剪断減粘性
を付与するため架橋型アクリル酸重合体とキサンタンガ
ムさらにサクシノグリカンを用い、三元系とすることを
必須とする。架橋型アクリル酸重合体はインキ中の水分
が蒸発しても著しく増粘したり造膜することはない。し
かし、揺変度が小さくインキ粘度を筆記時に所望の粘度
まで低下させ、かつ静止時に高い粘度に保つことが難し
いといった問題を抱えている。また、キサンタンガムは
揺変度が大きくボールペン用インキに使用したときイン
キがペン先から垂れ下がることなく、筆記するとき良好
な筆跡となるインキ粘度に調整することは容易である
が、インキ中の水分蒸発に伴う造膜のため耐ドライアッ
プ性能が低下するという問題を有しており、キサンタン
ガムのみでは良好なインキとすることができない。一
方、サクシノグリカンは極めて少ない添加量で非常に大
きな揺変度をインキに与えることができる。この点、添
加量が少なくて済むためインキ中の水分蒸発に伴うドラ
イアップの問題を最小限にとどめた上でペン先からのイ
ンキ垂れ下がりと筆記性能をともに良好な状態とするイ
ンキ粘度設定が容易となるものの、インキとして流動性
に欠けるため早書き追従性に欠けるといった欠点があ
る。
【0006】本発明者らはこの辺りの状況を踏まえ、鋭
意検討した結果、次に示すような知見を得た。 1. 架橋型アクリル酸重合体とキサンタンガムを同時
に使用した二元系では耐ドライアップ性能と垂れ下がり
性能をともに良好とすることができない。架橋型アクリ
ル酸重合体を単独で使用すると前述のような揺変性が小
さい欠点が発生する。この欠点を補うためキサンタンガ
ムを併用し、インキの垂れ下がりを防止するに充分な粘
度となるまでキサンタンガムを添加すると耐ドライアッ
プ性能が低下し、耐ドライアップ性能を満足する程度に
キサンタンガムの添加量をとどめた場合にはインキ垂れ
下がり性能が低下する。 2. 架橋型アクリル酸重合体とサクシノグリカンを同
時に使用した二元系ではインキ流動性が欠けるためにイ
ンキ追従性が低下し、早書き性能が低下する。 3. キサンタンガムとサクシノグリカンを同時に使用
した二元系ではインキ流動性がさらに低下し、早書き性
能に欠点が生じる。また、ペン先におけるインキ乾燥時
の析出や造膜のために耐ドライアップ性が著しく低下す
る。 4. 架橋型アクリル酸重合体とサクシノグリカンを同
時に使用した場合については前述の通りの欠点が生ずる
が、これにキサンタンガムを加えると耐ドライアップ性
も良好となりペン先からのインキ垂れ下がりを発生せ
ず、筆記性能の優れたインキを得ることができた。本
来、揺変度の比較的大きいキサンタンガムをさらに加え
ることは架橋型アクリル酸重合体とサクシノグリカンの
二元系よりさらにインキ追従性を低下させるものと予想
したが、結果は予想に反し非常に良好なインキを得るこ
とができた。発明者らの鋭意研究の結果によれば、これ
等架橋型アクリル酸重合体とサクシノグリカンとキサン
タンガムの関係が、三者の配合総量がインキ全組成物に
対し0.2〜0.8重量%の場合において、架橋型アク
リル酸重合体100に対しキサンタンガム50〜100
重量%、サクシノグリカン10〜75重量%の場合に限
り、これ等の相乗効果によって諸性能が良好となること
がわかった。
【0007】次に本発明は、インキ中の色材として染料
を採用する。顔料を採用した場合にはインキ中の水分蒸
発によりインキ安定性が壊れ、固化すると再びインキが
供給されても元の良好な分散状態とならない。これに対
して染料は、再溶解性を有するので万が一ペン先で固化
しても、インキが供給されると再び元の良好な状態に戻
るといった特徴がある。つまり、色材として染料を採用
すると、インキ中の水分蒸発によってペン先のインキが
乾燥しても、インキが供給されると乾燥したインキが再
溶解し、書き出し性能を損なわないといった利点があ
る。
【0008】本発明は、インキ成分として尿素を添加す
ることも必要である。尿素は水分蒸発抑制作用とともに
染料溶解性能も併せ持ちインキ中の水分が蒸発して染料
が固化した場合、再溶解のための溶解助剤として大きく
働く。つまり、色材として染料を用いた場合、尿素との
組み合わせによって耐ドライアップ性能向上に大きく寄
与するものである。ところが、顔料との組み合わせの場
合にはインキ安定性に欠けるため、インキ中に尿素を添
加することが難しい。また、顔料が再分散しないため、
尿素の働きも充分に活用できない。このように染料を用
いるインキにおいて、耐ドライアップ性能向上のために
尿素の添加は特に効果がある。
【0009】本発明はソルビットを添加することも必要
である。ソルビットは吸湿性に富み、インキ中の水分保
持に大きな働きをもつ。また、インキドライアップによ
る増粘率も比較的低いことからボールペンの経時的な性
能維持に大きく寄与する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、架橋型アクリル酸重合
体、キサンタンガム、サクシノグリカンからなる剪断減
粘性付与剤と水と染料と保湿湿潤剤と尿素とソルビット
とからなる水性ボールペンに使用する直詰めインキであ
る。染料の使用量は、インキ全組成物に対し2〜10重
量%である。2重量%未満では筆跡が淡く、10重量%
を越えるとペン先におけるインキドライアップ時の固化
が激しく書き出し性能が劣化する。
【0011】保湿湿潤剤は2価アルコール、3価アルコ
ール、これ等の誘導体から選んだ1または2以上のもの
が採用される。具体的にはエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、グリセリンであり、これ等の多価ア
ルコールから選んだ1または2以上である。保湿湿潤剤
の配合量は15重量%未満では耐ドライアップ性能が良
好とならず、ペン先でインキ固化が発生しやすい。ま
た、30重量%を越えると筆跡に滲みや泣きボテを発生
する。したがって配合量は、インキ全組成物に対し15
〜30重量%である。
【0012】尿素の使用量は、3重量%未満では保湿性
や染料再溶解性能が良好とならず、耐ドライアップ性能
が充分でない。また、10重量%を越えると水分蒸発の
際、尿素の結晶が析出するための逆に弊害となってしま
う。従って配合量は、インキ全組成物に対し3〜10重
量%である。ソルビットの使用量は、インキ全組成物に
対し1〜7.5重量%である。1重量%未満では保湿性
能が欠除し、7.5重量%を越えるとインキ中の水分の
蒸発に伴うインキ増粘率が上昇するための逆に耐ドライ
アップ性能を低下することになる。
【0013】剪断減粘性付与剤の使用量は、インキ全組
成物に対し0.2〜0.8重量%である。0.2重量%
未満ではインキ垂れ下がりを防止するに充分なインキ粘
度とならず、0.8重量%を越えるとインキ中の樹脂含
有率が高くなるためインキ中の水分蒸発の際、著しく増
粘したり、樹脂が析出したり、ペン先で造膜したりして
耐ドライアップ性能が著しく低下する。剪断減粘性付与
剤の組成比は架橋型アクリル酸重合体100に対してキ
サンタンガム50〜100重量%、サクシノグリカン1
0〜75重量%でなくてはならない。架橋型アクリル酸
重合体に対してキサンタンガムが50重量%以下、サク
シノグリカン10重量%以下では所望のインキ粘度が得
られず、インキ垂れ下りを発生する。また、キサンタン
ガム100重量%以上、サクシノグリカン75重量%以
上ではインキ垂れ下がり性能は良好となるが、耐ドライ
アップ性は著しく低下する。キサンタンガムの配合比が
少なくサクシノグリカンの配合比が多すぎた場合にはイ
ンキ追従性が低下し、キサンタンガムの配合比が多すぎ
サクシノグリカンの配合比が少ない場合には耐ドライア
ップ性が著しく低下することになる。
【0014】この他、防錆潤滑剤を0.2〜1.5重量
%、pH調整剤を1.0〜6.0重量%、防菌剤を0.
1〜1.0重量%を添加することができる。防錆潤滑剤
は燐酸エステル系界面活性剤、ベンゾトリアゾール、脂
肪酸エステルから選んだ1または2以上である。pH調
整剤はトリエタノールアミンが挙げられる。
【0015】
【実施例】次に実施例を示して本発明を説明する。 実施例1 ダイレクトブラック 154 7.5 重量% 保湿湿潤剤 20.0 重量% 尿素 5.0 重量% ソルビット 3.0 重量% 防錆潤滑剤 1.0 重量% pH調整剤 2.0 重量% 防菌剤 0.5 重量% 架橋型アクリル酸重合体 0.25重量% キサンタンガム 0.15重量% サクシノグリカン 0.10重量% イオン交換水 60.5 重量% イオン交換水60.5重量%、保湿湿潤剤であるエチレ
ングリコール20.0重量%をマグネットホットスター
ラーで60℃加温混合する。次いで尿素5.0重量%、
ソルビット3.0重量%、防錆湿潤剤として燐酸エステ
ル界面活性剤である商品名プライサーフ A−208S
(第一工業製薬株式会社製)1.0重量%、pH調整剤
としてトリエタノールアミン2.0重量%、防菌剤とし
て1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン0.5重量
%、染料としてダイレクトブラック 154 7.5重
量%を同様にして混合撹拌し、完全に溶解させた。次に
架橋型アクリル酸重合体として商品名ハイビスワコー
104(和光純薬工業株式会社製)0.25重量%、キ
サンタンガムとして商品名ケルザン(三昌株式会社製)
0.10重量%、サクシノグリカンとして商品名メイポ
リ(三昌株式会社製)0.10重量%を添加し、ホモジ
ナイザー撹拌機を用いて均一な状態となるまで混合撹拌
して最終のインキとした。
【0016】実施例2〜12 インキの配合を表1および表2に示す通りとした以外
は、実施例1と同様の手順で直詰め水性ボールペン用イ
ンキを得た。
【0017】比較例 インキの配合を表3および表4に示す通りとした以外
は、実施例1と同様の手順で直詰め水性ボールペン用イ
ンキを得た。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】試験及び評価 実施例1〜12及び比較例の直詰め水性ボールペン用イ
ンキについて下記の試験を行い、評価した。 筆記性能;筆跡の泣きボテ、カスレなく、筆跡が特に良
好なものを◎とし、実用できるレベルものを○とし、や
や劣るものを△とし、非常に劣るものを×とした。 耐ドライアップ性;50℃、30%RHの環境下にボー
ルペンのキャップを外した状態で横向きに3ヶ月間放置
する。放置後、室温に戻したレフィールで直線を筆記し
3cm以内で良好に書き出せたものを◎とし、3〜5c
mで書き出せたものを○とし、5〜10cmで書き出せ
たものを△とし、10cm以上書き出せなかったものを
×とした。 インキ垂れ下がり;30℃、80%RHの環境下にペン
先下向きで2時間放置し、ペン先からのインキ漏れを確
認する。全く垂れ下がりの発生しなかったものを◎と
し、ペン先に泣き程度の濡れが発生したものを○とし、
ペン先にインキ滴が発生した物を×とした。 インキ安定性;50℃、0%RHの環境下にキャップオ
フのボールペンを放置し、3ヶ月以上インキ中に析出物
の発生がなく、インキ粘度の変化率が30%以内のもの
を◎とし、2〜3ヶ月間インキ中に析出物の発生がな
く、インキ粘度の変化率が30%以内のものを○とし、
1〜2ヶ月間インキ中に析出物の発生がなく、インキ粘
度の変化率が30%以内のものを△とし、1ヶ月以内で
安定な条件から外れるものを×とした。各実施例及び比
較例の評価結果は表1、表2及び表3に示す通りであ
る。
【0022】比較例1は染料の配合量が多すぎる例であ
る。ペン先でインキが乾燥した場合、強固な固まりとな
るため筆記不良の原因となる。従って耐ドライアップ性
が良好でない。また、染料の影響で増粘剤が充分に潤滑
分散しないため、適当な粘度設定もできなくなり筆記性
能の劣化や、インキ垂れ下がりの原因となる。比較例2
は染料の配合量が少ない例である。この場合、筆跡の濃
度が低く実用に耐えないばかりでなく、インキ乾燥時に
増粘剤の影響が強く出るため耐ドライアップ性やインキ
垂れ下がりの原因にもなる。比較例3は顔料を色材とし
て採用した例である。顔料インキはペン先の潤滑性能に
劣るため筆感や筆跡が良好とならない。また、乾燥固化
が激しいためインキ垂れ下がり性能は良好となるが、再
分散性がないため耐ドライアップ性能は著しく劣る。比
較例4は保湿湿潤剤の配合量が多すぎる例である。この
場合、耐ドライアップ性能が良好となることはもちろん
であるが、ペン先での乾燥が垂れ下がり防止に寄与しな
くなるためインキ垂れ下がり性能は良好とはならない。
また、増粘剤が充分に膨潤分散しないため、適当な粘度
設定もできなくなり筆記性能の劣化や、インキ垂れ下が
りの原因となる。
【0023】比較例5は保湿湿潤剤の配合量が少ない例
である。この場合、ペン先での乾燥が急速に進むためイ
ンキ垂れ下がり性能は良好となる。しかし、当然のこと
ながら耐ドライアップ性能は著しく劣化することとな
り、インキ湿潤性に欠けるため筆記性能も良好とはなら
ない。比較例6は尿素の配合量が少ない例である。尿素
の配合量が少ないとインキ中の水分蒸発抑制がうまくコ
ントロールできず、耐ドライアップ性が良好とならな
い。また、その影響で筆跡に泣きボテやカスレを発生し
やすく筆記性能も良好とはならない。比較例7は尿素の
配合量が多すぎる例である。この場合、インキ中に尿素
の結晶が析出してインキとして安定とならないため、ボ
ールペン評価は実施しなかった。比較例8はソルビット
の配合量が少ない例である。この場合も尿素の配合量が
少ないときと同じくインキ中の水分蒸発抑制がうまくコ
ントロールできず、耐ドライアップ性が良好とならな
い。また、その影響で筆跡に泣きボテやカスレを発生し
やすく筆記性能も良好とはならない。比較例9はソルビ
ットの配合量が多すぎる例である。ソルビットの配合量
が多いと吸湿によるインキ中の水分蒸発抑制には効果的
であるが、配合量が多すぎると僅かな水分蒸発によって
も増粘性が発生するためインキとして増粘を来たし、初
期の適正なインキ粘度を維持できなくなる。従って筆記
性能はもちろん、水分蒸発による顕著な増粘のために書
き出し性能も良好とならない。また、増粘はするものの
水分蒸発抑制効果のためにペン先における乾燥が遅くな
るためインキ垂れ下がり性能も良好とはならない。
【0024】比較例10は架橋型アクリル酸重合体の配
合量に対しキサンタンガムの配合量が非常に多く、サク
シノグリカンの配合量が少ない例である。この場合、イ
ンキ粘度が高くなりすぎインキ垂れ下がり性能は良好と
なるものの筆跡にカスレが発生し筆感も重い。また、イ
ンキ乾燥時にペン先において析出や造膜を生ずるため耐
ドライアップ性能が著しく低下する。
【0025】比較例11は剪断減粘性付与剤の配合総量
が少ない例である。この場合、ペン先での析出、造膜が
生じないので耐ドライアップ性能は良好となるものの所
望のインキ粘度とならないため良好な筆記性能、インキ
垂れ下がり性能が得られない。比較例12、13は剪断
減粘性付与剤の配合総量が多い例である、この場合、イ
ンキが適正より高粘度となるためインキ垂れ下がり性能
は良好となるものの、筆跡にカスレが発生し良好な筆記
性能が得られない。また、インキ乾燥時にペン先におい
て強固な乾燥残渣が発生するため耐ドライアップ性能が
著しく低下する。
【0026】比較例14は架橋型アクリル酸重合体の配
合量、サクシノグリカンの配合量に対してキサンタンガ
ムの配合量が少ない例である。この場合、サクシノグリ
カンの配合量も下限以下にあるため耐ドライアップ性は
良好となるものの、所望のインキ粘度とならず良好な筆
記性能、インキ垂れ下がり性能が得られない。比較例1
5は架橋型アクリル酸重合体の配合量に対し、サクシノ
グリカンの配合量が少ない例である。この場合、架橋型
アクリル酸重合体、キサンタンガムの配合量を最大限ま
で増量した結果、やっとインキ垂れ下がり借り性能を防
止することに成功したが、そのために剪断減粘性付与剤
総量が増し良好な筆記性能、耐ドライアップ性が得られ
なくなった。
【0027】比較例16は架橋型アクリル酸重合体に対
して、キサンタンガムの配合量が多すぎる例である。耐
ドライアップ性を良好とするためにサクシノグリカンの
配合量を極力少なく設定してみたが、キサンタンガムの
配合量が架橋型アクリル酸重合体の配合量よりも多くな
ったために架橋型アクリル酸重合体の耐ドライアップ性
への効果が薄くなり耐ドライアップ性能は良好とはなら
なかった。また、筆記性能は良好となったが、サクシノ
グリカンの配合量を敢えて低く設定したのでインキ垂れ
下がりを防止するに充分なインキ粘度とならなかった。
【0028】比較例17は架橋型アクリル酸重合体の配
合量に対してキサンタンガム、サクシノグリカンの配合
量がともに少ない例である。この場合、架橋型アクリル
酸重合体に頼った粘度設定を強いられたために筆跡に泣
きボテを生じ、インキ垂れ下がりも発生した。比較例1
8は架橋型アクリル酸重合体の配合量に対しキサンタン
ガム、,サクシノグリカンの配合量がともに多すぎる例
である。この場合、インキ垂れ下がり性能が良好となる
ことはもちろんのことであるが、インキ追従性に欠け、
ペン先での乾燥によって耐ドライアップ性能も著しく低
下する。
【0029】
【発明の効果】本発明の直詰めインキは筆跡に泣きボテ
やカスレを生ぜず、耐ドライアップ性に優れ、ペン先か
らのインキの垂れ下がりを防止した優れた効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−25444(JP,A) 特開 平10−130563(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋アクリル酸重合体100重量部に
    対してキサンタンガム50〜100重量部とサクシノグ
    リカン10〜75重量部を混合してなる剪断減粘性付与
    剤0.2〜0.8重量%、染料2〜10重量%、保湿湿
    潤剤15〜30重量%、尿素3〜10重量%、ソルビッ
    ト1〜7.5重量%、残部水からなる、水性ボールペン
    に使用する直詰めインキ。
  2. 【請求項2】 防錆潤滑剤0.2〜1.5重量%を添加
    した、請求項1に記載された水性ボールペンに使用する
    直詰めインキ。
  3. 【請求項3】 pH調整剤1.0〜6.0重量%を添加
    した、請求項1または2に記載された水性ボールペンに
    使用する直詰めインキ。
  4. 【請求項4】 防菌剤0.1〜1.0重量%を添加し
    た、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された水性
    ボールペンに使用する直詰めインキ。
  5. 【請求項5】 保湿湿潤剤が2価アルコール、3価アル
    コール、これ等のアルコールの誘導体から選んだ1また
    は2以上である、請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載された水性ボールペンに使用する直詰めインキ。
  6. 【請求項6】 防錆潤滑剤が燐酸エステル系界面活性
    剤、ベンゾトリアゾール、脂肪酸エステルから選んだ1
    または2以上である、請求項2に記載された水性ボール
    ペンに使用する直詰めインキ。
  7. 【請求項7】 pH調整剤がトリエタノールアミンであ
    る、請求項3に記載された水性ボールペンに使用する直
    詰めインキ。
JP19490098A 1998-06-08 1998-06-08 水性ボールペンに使用する直詰めインキ Expired - Lifetime JP3372872B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19490098A JP3372872B2 (ja) 1998-06-08 1998-06-08 水性ボールペンに使用する直詰めインキ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19490098A JP3372872B2 (ja) 1998-06-08 1998-06-08 水性ボールペンに使用する直詰めインキ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11349885A JPH11349885A (ja) 1999-12-21
JP3372872B2 true JP3372872B2 (ja) 2003-02-04

Family

ID=16332208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19490098A Expired - Lifetime JP3372872B2 (ja) 1998-06-08 1998-06-08 水性ボールペンに使用する直詰めインキ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3372872B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020060267A (ko) * 1999-12-24 2002-07-15 추후제출 볼펜용 잉크 및 볼펜
JP2014139295A (ja) * 2012-12-20 2014-07-31 Pilot Corporation 筆記具用水性インキ組成物およびそれを用いた筆記具
JP6062084B1 (ja) * 2016-01-27 2017-01-18 ゼブラ株式会社 ボールペン用水性インキ組成物及び水性ボールペン

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11349885A (ja) 1999-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100290049B1 (ko) W/0형 분산잉크
JP7412896B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP3372872B2 (ja) 水性ボールペンに使用する直詰めインキ
JP2978773B2 (ja) 水性ボールペンに使用する直詰めインキ
EP0587291B1 (en) Ink composition for a ball-point pen
JP7378222B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP3327466B2 (ja) 水性ボールペンに近似した筆跡を形成するゲル状の油性ボールペン用インキ及びそのインキを用いたボールペン
JP3379849B2 (ja) 水性ボールペン
JP4836816B2 (ja) 水性ボールペン
US5767172A (en) Water base ink composition directly fed to a pen body of a ball-point pen
JP7430105B2 (ja) ボールペン用インキ組成物およびそれを用いたボールペン
JP6585437B2 (ja) 筆記具用水性インク組成物
JP7210265B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP2018109113A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP3311242B2 (ja) 水性ボールペン用インキとこのインキを直詰した水性ボールペン
JP3032516B1 (ja) 水性ボ―ルペン用インキ組成物
JP3609481B2 (ja) 固形状筆記具
JPH07179804A (ja) 水性ボールペンに使用する直詰用インクとこのインクを直詰したキャップ式ボールペン
JP4008150B2 (ja) 筆記具用水性インキ組成物
JP7370241B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP2002226759A (ja) ボールペン用水性インキ組成物
KR100275814B1 (ko) 수성볼펜에 사용하는 직접충전잉크
JP3720151B2 (ja) ボールペン用水性インキ
JP7325183B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP2020180197A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081122

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081122

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091122

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101122

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101122

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111122

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121122

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121122

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141122

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term