JP3327466B2 - 水性ボールペンに近似した筆跡を形成するゲル状の油性ボールペン用インキ及びそのインキを用いたボールペン - Google Patents
水性ボールペンに近似した筆跡を形成するゲル状の油性ボールペン用インキ及びそのインキを用いたボールペンInfo
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Description
インキとこれを用いたボールペンに関するものである。
さらに詳細には非ニュートン粘性付与剤を配合して擬塑
性とし、重量平均分子量が約4〜10万のポリビニルピ
ロリドンからなる増粘剤を配合して凝集力を付与し、イ
ンキの泣きボテと筆跡カスレを解消した油性インキとこ
れを用いた油性ボールペンに関する。
10,000〜30,000mPa・s(20℃)に設
定し、インキの漏れ出しを防止する設計を施してきた。
しかし、このように筆記時の粘度が大きいと筆記時のボ
ール回転抵抗が自ずと大きくなり書き味が非常に重く良
好とならなかった。また、筆記の際には強筆圧が必要と
なり、場合によっては500gf以上の荷重がペン先に
付与されることとなり、それが原因でペン先の損傷が進
み、ボールの欠落や筆記不良が発生することが多かっ
た。一方、特開平6−313143号公報、特開平6−
313144号公報、特開平7−196972号公報、
特開平9−48941号公報で開示されているようにイ
ンキ粘度特性を擬塑性として筆記時のインキ粘度を低粘
度とし、筆記していないときのインキ粘度を比較的高粘
度として上記欠点を改善しようとする試みもあるが、書
き味を良好としてかつインキの漏れ出しを完全に防止す
るに充分なものではない。
めて良好となし、水性ボールペンインキのような低圧で
筆記でき、瑞々しい筆跡を形成し、筆跡の泣きボテ、筆
跡の滲みをなくし、インキ漏れを完全に防止できるイン
キを提供するものであって、さらに筆記によるインキ移
動の際、インキ収容管内壁にインキが付着することなく
インキ残量が明確である油性ボールペンを提供するもの
である。
ン粘性付与剤、及び重量平均分子量4〜10万のポリビ
ニルピロリドンのみからなる増粘剤を含有し、かつ非ニ
ュートン粘性指数が0.1以上0.4未満であり、剪断
速度500 sec−1における粘度が1,000以上3,
000mPa・s(20℃)未満であって、剪断速度
0.19 sec−1における粘度が40,000mP
a・s(20℃)以上70,000mPa・s(20
℃)以下である油性ボールペン用インキ。 2. 重量平均分子量4〜10万のポリビニルピロリ
ドン含有量がインキ組成物全量に対して1〜3質量%で
ある、請求項1に記載された油性ボールペン用インキ。3 . 請求項1または2に記載された油性ボールペン用
インキを直接インキ収容管に詰めてなるボールペン。4 . インキ収容管が内面にシリコーンを塗布したポリ
プロピレン製の管である、請求項3に記載されたボール
ペン。 」に関する。
上させるための方策が種々検討されてきた。その中で、
ボールの回転抵抗が極めて大きく筆感を左右しているこ
とは公知の事実であって、ボールの回転抵抗はインキの
粘度に依存していることも明らかである。つまり、筆感
を向上させるためには筆記時のインキ粘度を極力低く設
定し、ボールの回転抵抗を低減させることが最も有効な
手段となるわけである。しかしながら、インキ粘度をい
たずらに低く設定すると当然のことながらインキ漏れや
泣きボテ、さらには筆跡カスレ、筆跡滲みを増長するこ
とになる。前述の通り、インキ粘度特性を擬塑性として
これらの問題を解決しようとする技術が開示されている
が、水性ボールペンの如く極めて低筆圧筆記可能で滑ら
かな筆感を実現し、しかも瑞々しい筆跡を得るには至っ
ていない。具体的に解説すれば、水性ボールペンの如く
極めて低筆圧筆記可能で滑らかな筆感を実現し、しかも
瑞々しい筆跡を得るためには筆記時のインキ粘度を3,
000mPa・s未満としなければならない。本発明
は、それを前提に油性インキを検討し必然的に発生する
インキ漏れや泣きボテ、さらには筆跡カスレ、筆跡滲み
を防止し、筆感に優れ、良好な筆跡が得られ、しかもイ
ンキ漏れの発生しない油性ボールペン用インキを発明し
たものである。泣きボテとは、筆記時の余剰インキがペ
ン先に溜まる現象を言う。
おける粘度を1,000以上3,000mPa・s(2
0℃)未満とした。極めて滑らかな筆感を実現し、しか
も水性ボールペンの如く瑞々しい筆跡を得るに必須の粘
度領域である。1,000mPa・s未満ではいかなる
手段を講じても筆跡の滲みが防止できない。またボール
とボール座との間に良好な油膜が形成されずに油性ボー
ルペン本来の滑らかさが損なわれる。一方、3,000
mPa・s以上となると水性ボールペンのような瑞々し
い筆跡とはならない。詳細に説明すると、良好な筆感を
得るためには剪断速度500sec−1におけるインキ
粘度を概ね10,000mPa・s以下に設定する必要
があるとされている。しかしながら3,000mPa・
s以上となると完全な転写型ボールペン、つまりインキ
がボールを介してのみ紙面に転写される筆記システムと
なるためと、粘度が大きいので紙への浸透が小さくなる
ので瑞々しい筆跡が得られない。発明者らの実験によれ
ば、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が
3,000mPa・s未満であれば、紙面への浸透も利
用した筆記具となるので非常に瑞々しい筆跡が得られ
る。ここで言うインキ粘度は、英国キャリメ社製 CS
L レオメータを用い、20℃の測定環境で測定した。
500sec−1におけるインキ粘度を1,000以上
3,000mPa・s(20℃)未満とし、非ニュート
ン粘性指数を0.1以上0.4未満と極めて低く設定
し、さらに、剪断速度0.19sec−1における粘度
を40,000mPa・s(20℃)以上とし、インキ
を擬塑性にした点である。筆記時のインキ粘度を低く設
定することの必要性は、前述の通りであるが、この粘度
領域では、インキ漏れや泣きボテ、さらには筆跡カス
レ、筆跡滲みを増長してしまう。これらの欠点を防止す
べく、非ニュートン粘性指数を0.1以上0.4未満、
剪断速度0.19sec−1における粘度を40,00
0mPa・s(20℃)以上とする必要が発生するので
ある。換言すれば、インキ粘度特性の擬塑性を強く設定
し、低剪断時つまりボールペンを使用していない時のイ
ンキ粘度を高く設定することによって上記欠点を防止
し、しかも、インキ粘度が70,000mPa・s(2
0℃)を越えた場合には、インキの流動性が低下し、筆
記時におけるインキ追従体性が悪くなるため、筆記具用
インキとしては不適となるのを避けるためである。
擬塑性が強すぎるため、あらゆる手段を講じてもインキ
追従不良が発生する。一般的には、非ニュートン粘性指
数が0.4未満となるとインキ自体の凝集力が過度に強
大となってインキの追従不良が発生するが、剪断速度5
00sec−1におけるインキ粘度が3,000mPa
・s未満であればインキ通路の最細部であるチップ先端
において流路抵抗が発生せずにインキの追従不良が発生
しない。一方、非ニュートン粘性指数が0.4以上だ
と、擬塑性が大きくなり剪断速度500sec−1にお
けるインキ粘度を1,000以上3,000mPa・s
(20℃)未満とした場合には、インキ漏れや泣きボ
テ、さらには筆跡カスレ、筆跡滲みが防止できない。さ
らに、インキ漏れを徹底的に防止するためには、剪断速
度0.19sec−1における粘度が40,000mP
a・s(20℃)とする必要がある。40,000mP
a・s末満では完全にインキ漏れを防止することができ
ない。
付与剤には、脂肪酸アマイドワックス及びその誘導体、
直鎖脂肪酸エステル重合体、酸化ポリエチレン、硬化ヒ
マシ油、有機ベントナイト、シリカ、硫酸エステル系ア
ニオン活性剤等があるが、安定性から考えて脂肪酸アマ
イドワックスが好適である。さらにボールペンの高温保
存時の安定性を考慮すると、溶融温度140℃以上の脂
肪酸アマイドワックスを非ニュートン粘性付与剤として
選択することが、最も好適となる。脂肪酸アマイドワッ
クスの添加量は、他配合量によって異なるが非ニュート
ン粘性指数0.1以上0.4未満を実現するために概ね
2.0〜5.0質量%となる。ここで言う非ニュートン
粘性指数は、英国キャリメ社製 CSL レオメータを
用い、20℃の測定環境でコーンプレートの角度、直径
を適切な値として剪断速度1〜600sec−1の範囲
で測定した。
剤、有機溶剤、非ニュートン粘性付与剤及び重量平均分
子量4〜10万のポリビニルピロリドンのみからなる増
粘剤を含有した点にあり、筆感を良好とし、瑞々しい筆
跡を得るために、剪断速度500 sec−1におけるイン
キ粘度を1,000以上3,000mPa・s(20
℃)未満とした。ところで一般的に、筆跡の泣きボテを
防止するには、重量平均分子量100〜300万のポリ
ビニルピロリドンを採用する手段が用いられる。剪断速
度500sec−1におけるインキ粘度が3,000mP
a・s以上であれば極めて有効な手段であることは事実
であるが、本発明のように3,000mPa・s未満の
低粘度とした場合には、その効果が薄く、筆跡のカスレ
をいたずらに増長してしまう。さらに説明を加えれば、
重量平均分子量4〜10万のポリビニルピロリドンは、
ペン先においてインキのボール濡れを良好となし、筆跡
のカスレや線飛びを防止する効果がある。つまり、剪断
速度500 sec−1におけるインキ粘度を1,00
0以上3,000mPa・s(20℃)未満とした場合
には、重量平均分子量4〜10万のポリビニルピロリド
ン以外の増粘剤では良好な筆跡を形成することができな
い。重量平均分子量4〜10万のポリビニルピロリドン
としては、PVP K−30(GAF社製、重量平均分
子量5.5万)が挙げられる。インキ中の配合量は、全
組成物に対して1〜3質量%が好適である。1質量%未
満では筆跡のカスレを充分に防止できない問題が発生
し、また3質量%を越えると、逆に筆跡のカスレが発生
し易くなる。
ルペンインキのような瑞々しい筆跡を得るために剪断速
度500sec−1におけるインキ粘度を1,000以
上3,000mPa・s(20℃)未満とした。また非
ニュートン粘性指数を0.1以上0.4未満と極めて低
く設定し、剪断速度0.19sec−1における粘度を
40,000mPa・s以上とすることで泣きボテやイ
ンキ漏れ、筆跡滲みの防止に寄与させた。さらには、増
粘剤成分を重量平均分子量4〜5万のポリビニルピロリ
ドンのみとしたことによって筆跡のカスレを防止したも
のである。つまり、これら組み合わせは必要不可欠なも
のであって一つでも欠けた場合には、目標が達成できな
い重要なものである。
る。着色剤は従来から油性ボールペンに採用している染
料または顔料を特に限定することなく用いることができ
る。顔料としては、有機、無機、加工顔料、例えば、カ
ーボンブラック、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリ
ドン系、アントラキノン系、インジゴ系等がある。ま
た、染料としてはアルコール可溶染料、油溶性染料、直
接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造
塩タイプの染料が採用可能である。また、これらは単
独、あるいは混合して使用することができる。配合割合
はインキ全組成物に対して5〜50質量%、特に20〜
40質量%が好ましい。本発明に採用する有機溶剤は、
インキ組成物の溶媒、分散媒として用いる。具体的には
ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ブチレン
グリコール等のアルコール系及びグリコール系、フェニ
ルセロソルブ等のセロソルブ系、フェニルカービトール
等のカービトール系、N−メチルピロリドン等の含窒素
系溶剤系が単独または混合して使用可能である。配合割
合はインキ全組成物に対して30〜70質量%が好まし
い。
油性ボールペン用のインキ収容管としては、耐薬品性、
水分透過性、空気透過性等の観点から採用可能な材料に
制限がある。その点、従来からポリプロピレンを材料と
して用いることが、最も一般的である。しかし、本発明
において非ニュートン粘性付与剤として特に脂肪酸アマ
イドワックスを選択した場合、脂肪酸アマイドワックス
とポリプロピレンは非常に親和性が強く、インキ収容管
内をインキが移動する際、インキが内壁に付着しインキ
残量が明確とならない欠点を生じてしまう。発明者ら
は、その欠陥を対策するため、ポリプロピレンをインキ
収容管とする場合はそのインキ収容管内壁をシリコーン
で処理することを見出した。シリコーンをインキ収容管
内壁に塗布することは、収容管材料であるポリプロピレ
ンとインキとが直接接することなく、あくまでもシリコ
ーンを中間に介在させた関係を維持し、インキが移動す
る際において収容管内壁への付着防止を具現化したもの
である。シリコーンの材料としては、TSF−4420
(東芝シリコーン株式会社)が挙げられる。塗布の方法
は押出成形時において内壁に同時に均一に塗布すること
が最も効果的である。インキ収容管としてポリエチレン
テレフタレートやナイロン製の管を用いる場合はシリコ
ーンの塗布は必ずしも必要ではない。
溶解させ、脂肪酸アマイドワックスを均一にインキ中に
分散させて黒色油性ボールペン用インキを得た。染料は
ニグロシン EX、バリファーストバイオレット 17
01(ともにオリエント化学工業株式会社製染料)を採
用して黒色に調色した。脂肪酸アマイドワックスは非ニ
ュートン粘性付与剤としてターレン 7200(共栄社
化学株式会社製)を採用した。粘度調整剤及び筆跡調整
剤としては、ポリビニルピロリドン K−30(GAF
社製、重量平均分子量5.5万)を採用した。ここで得
た黒色油性ボールペン用インキをシリコーン(東芝シリ
コーン株式会社製 TSF−4420)で内壁処理した
ポリプロピレン製のインキ収容管に直接つめ、該インキ
収容管を軸筒内に装着して油性ボールペンとした。
同様にして油性ボールペンとした。効果を表1に示す。
同様にして油性ボールペンとした。
ついて、下記の試験を行い評価した。 1.書き味;手書きによる評価 ボールペンの自重で筆記可能な程に低筆圧筆記可能で 滑らかで特に良好なもの …………………………… ◎ 良好なもの ………………………………………………… ○ やや劣るもの ……………………………………………… △ 低筆圧で筆記できずに滑り感のないもの ……………… × 2.筆跡の瑞々しさ;筆記直後の筆跡を評価 水性ボールペン筆跡と全く同じに紙面にインキが のって特に瑞々しく感じられるもの ………………… ◎ 瑞々しく感じられるもの ………………………………… ○ 筆跡が紙面にやや転写形態になっているもの 或いは、直ぐに浸透してしまうもの ………………… △ 筆跡が紙面に完全に転写形態になっているもの ……… × 紙面に均一に瑞々しくインキがのって筆記の充実感のあるものを良好として評 価した。 3.筆跡の泣きボテ;筆記荷重を1.96N(200gf)、筆記角度を65 °として筆記速度4m/minで螺旋筆記する筆記試験機を用いて100m筆記 した後の状態を確認した。 筆跡中に全くボテがなく、ペン先の泣き (インキ這い上がり)も全くなかったもの ……… ◎ 筆跡中のボテが1個以内、泣きが極僅かに発生したもの ○ 筆跡中のボテが1〜5個、泣きがやや発生したもの … △ 筆跡中のボテが5個以上有り、泣きが著しく発生したもの× 4.筆跡の滲み;30℃、60%RHの環境で筆記用紙Aに文字書きしてその 筆記紙面を24時間同様の環境に放置した後、筆跡の滲みを確認した。 全く筆跡の滲みのなかったもの ………………………… ◎ ほとんど滲みのなかったもの …………………………… ○ やや滲みの有ったもの……………………………………… △ 著しく滲んだもの ………………………………………… × 5.インキ漏れ;ボールペンを40℃、95%RHの環境にチップ下向きで2 4時間垂直放置してペン先からのインキ漏れを確認した。 ペン先からのインキ漏れが全く確認されなかったもの… ◎ ペン先からのインキ漏れがほとんど確認されなかったもの○ チップテーパー部の1/4迄インキ這い上がりが 確認されなかったもの …………………… △ チップテーパー部の1/4以上にインキが這い上がったもの× 各実施例及び比較例の評価結果は、表1及び表2に示す
通りである。
実施例及び比較例のボールペンは、各試験によるインキ
の消費にともないインキがインキ収容管を移動するが、
その際、インキがインキ収容管の内壁に付着しないの
で、インキ残量が明確に確認できた。
る脂肪酸アマイドワックスをインキ成分中に含まない例
である。インキの粘性特性は、勿論擬塑性とはならな
い。この場合極力インキ粘度を低く設定して良好な書き
味を具現化使用と試みてもインキ出の制御が不可能とな
り筆記時に不快感が発生する。また、インキ粘度特性が
擬塑性でなく、剪断速度500sec−1のインキ粘度
を低く設定したために紙面へのインキ浸透性が極めて速
く筆記と同時に浸透してしまうため、水性インキのよう
な紙面にインキが均一にのったいわゆる瑞々しい筆跡と
はならない。泣きボテ性能についてもインキ出の制御が
ままならず、インキの粘弾性も不足するために良好とは
なり得ない。さらに擬塑性インキでないために剪断速度
500sec−1のインキ粘度を1000以上3000
mPa・s未満、0.19sec−1のインキ粘度を4
000mPa・s以上とする試みも達成できず、インキ
漏れを発生する。比較例2は、インキ成分中にポリビニ
ルピロリドン K−30含まない例である。非ニュート
ン粘性付与剤である脂肪酸アマイドワックスの調整によ
ってインキ漏れは発生しない配合は具現化できるが、ペ
ン先のボールに均一にインキがのりずらく良好な書き味
と瑞々しい筆跡を具現化できない。また、脂肪酸アマイ
ドワックスだけではインキの粘弾性が不足して泣きボテ
性能が良好とならない。また、筆跡の滲みも同様の原因
で良好とはならない。
ぎて極めて流動性の悪いインキとなる例である。インキ
の流動性が悪いため良好な書き味、筆跡を具現化するこ
とはできない。また、筆記するときの粘度がペン先のボ
ール回転によって極めて低くなり、筆記できたとしても
筆跡の滲みをコントロールすることができない。比較例
4は、インキの非ニュートン粘性指数が0.4を越え、
しかも剪断速度500sec−1のインキ粘度が3,0
00mPa・sを越えた例である。この場合、筆記時の
インキ粘度が高すぎ良好な書き味と瑞々しい筆跡を具現
化することはできない。また、インキの粘弾性が不足し
て泣きボテの制御ができない。筆跡中にはボテによる余
剰インキが転写されるため、その部分の筆跡滲みも必ず
しも良好とはいえない。一方、0.19sec−1のイ
ンキ粘度は40,000mPa・s以上となるが、非ニ
ュートン粘性指数が狙いより高いために擬塑性が弱く、
インキ漏れも充分に対策できない。比較例5は、比較例
3と同様にして非ニュートン粘性指数を極端に低く設定
した例である。剪断速度500sec−1のインキ粘度
を狙いの1,000以上3,000mPa・s未満とす
べく1,200mPa・sとしたが、さらにインキ流動
性を損なう結果となった。評価は、比較例3と同様であ
る。
ン粘性指数が0.4を越えているが、剪断速度500 s
ec−1のインキ粘度は狙いの2,500mPa・sとし
た例である。インキとして擬塑性が弱くなるため剪断速
度0.19sec−1のインキ粘度は40,000mP
a・s少し上回るのが限界であった。これ以上剪断速度
500 sec−1のインキ粘度を低く設定すること
は、直接インキ漏れの原因となるために不可能である。
また、剪断速度500 sec−1のインキ粘度は狙い
のものとしたが、ペン先のボール回転によって期待程に
インキ粘度が低下せず、良好な筆記性能を得ることがで
きなかった。
ンキ粘度が狙いを上回った例である。比較例4に対して
極端に非ニュートン粘性指数を低く設定してインキの擬
塑性を強くしてみたが、筆跡の滲みとインキ漏れ性能が
改善されるのみで筆記性能は、何等改善されずに比較例
4と同様であった。この配合ではインキの擬塑性を強く
した効果として、筆記時ボールの回転によってインキ粘
度が適性のものとなることを期待したが、インキの粘弾
性が強すぎ、平滑なインキ流を形成することができなか
った。したがって、良好な書き味、瑞々しい筆跡を具現
化できず、インキに平滑性が欠落するために泣きボテ性
能も良好とはならなかった。比較例8は、剪断速度50
0 sec−1のインキ粘度と剪断速度0.19 sec
−1のインキ粘度が共に狙いより低い例である。非ニュ
ートン粘性指数を可能な限り高く設定してインキ出の制
御に努力したが、充分な成果を得ることができなかっ
た。筆記時のインキ粘度が低すぎ、紙面への浸透が速す
ぎ瑞々しい筆跡が得られなかった。同様にして筆跡の滲
みも良好とすることができなかった。勿論、インキ漏れ
も発生した。比較例9は、剪断速度500 sec−1のイ
ンキ粘度のみ狙いより高く設定した例である。勿論、狙
いの筆記性能を得ることはできなかった。比較例10
は、ポリビニルピロリドン K−30に替わって重量平
均分子量128万のポリビニルピロリドン K−90を
採用した例である。インキ物性は狙いのものとしたが、
インキの粘弾性が強くなり過ぎ狙いの筆記性能を得るこ
とができなかった。
のインキを収容した油性ボールペンは、書き味が極めて
良好で、水性ボールペンインキのような低圧で筆記で
き、瑞々しい筆跡を形成でき、筆跡の泣きボテ、筆跡の
滲みがなく、インキ漏れを完全に防止できるという特性
を有する。また非ニュートン粘性付与剤として特に脂肪
酸アマイドワックスを選択し、インキ収容管がポリプロ
ピレン製の場合には、インキ収容管の内壁面にシリコー
ンで処理すると、インキが内壁面に付着しないのでイン
キ残量が明確に確認できる利点がある。
Claims (4)
- 【請求項1】 主成分として、着色剤、有機溶剤、非ニ
ュートン粘性付与剤、及び重量平均分子量4〜10万の
ポリビニルピロリドンのみからなる増粘剤を含有し、か
つ非ニュートン粘性指数が0.1以上0.4未満であ
り、剪断速度500 sec−1における粘度が1,000
以上3,000mPa・s(20℃)未満であって、剪
断速度0.19 sec−1における粘度が40,00
0mPa・s(20℃)以上70,000mPa・s
(20℃)以下である油性ボールペン用インキ。 - 【請求項2】 重量平均分子量4〜10万のポリビニル
ピロリドン含有量がインキ組成物全量に対して1〜3質
量%である、請求項1に記載された油性ボールペン用イ
ンキ。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載された油性ボー
ルペン用インキを直接インキ収容管に詰めてなるボール
ペン。 - 【請求項4】 インキ収容管が内面にシリコーンを塗布
したポリプロピレン製の管である、請求項3に記載され
たボールペン。
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