JP3371559B2 - 溶鋼の加熱精錬方法 - Google Patents

溶鋼の加熱精錬方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転炉などの精錬炉にお
いて精錬を完了した取鍋内溶鋼を連続鋳造などに供給す
るための加熱精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製鋼プロセスにおいて、転炉などの精錬
炉で精錬を完了した取鍋内溶鋼を連続鋳造などに供給
し、あるいはさらに取鍋精錬を行う場合には、溶鋼温度
を補償する必要がある。この方法として、例えば特開昭
60−73529 号公報および特開昭64−56816 号公報には、
取鍋底部のガス吹き込み孔や浸漬ランスからガスを吹き
込んで溶鋼を撹拌しつつ、この取鍋内に浸漬管を挿入し
て浸漬管内の溶鋼表面に上吹きランスをとおして酸化性
ガスを吹き付ける方法が提案されている。
【0003】しかし、この酸化性ガスを溶鋼に供給する
溶鋼加熱方法は、酸化精錬法であり溶鋼の清浄性の向上
に問題がある。そこで、次に述べる電気加熱方法が提案
されている。
【0004】特開平5−1317号公報には、取鍋に貫通孔
を有する蓋を取り付け、取鍋内溶鋼の酸化や窒化を防止
しながら、溶鋼をプラズマアークにより加熱する方法が
提案されている。特開昭60−152610号公報および特開平
3−294414号公報には、取鍋内溶鋼上のスラグに還元剤
を添加し、プラズマ加熱してスラグを改質する方法が示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では、
以下の問題点がある。
【0006】特開平5−1317号公報の方法では、取鍋蓋
を使用する必要がある。ところが、取鍋上部の周囲には
スラグや地金が不可避的に付着するために、取鍋蓋を取
鍋上部に乗せた場合に溶鋼と雰囲気との遮断が十分では
なくなる。したがって、この発明の請求項に記載されて
いるように、取鍋内雰囲気を酸素濃度 0.2〜3.0 %、窒
素濃度 0.8〜12.0%まで低減するには、多量の雰囲気置
換用の不活性ガスを使用する必要がある。また、プラズ
マ加熱精錬時の精錬能を向上させるために撹拌ガス流量
を増やした場合、取鍋上部と取鍋蓋の間あるいは取鍋蓋
に溶鋼やスラグが吹き上げられ、上記隙間や取鍋蓋に地
金やスラグが付着するという問題も生じる。取鍋蓋に地
金が付着すると地金除去の作業が煩雑となり、操業に支
障をきたしてしまう。さらに、取鍋上部と取鍋蓋の間に
地金やスラグが付着すると、精錬後に取鍋蓋の取り外し
が困難となり、やはり操業上問題となる。
【0007】特開昭60−152610号公報および特開平3−
294414号公報の方法では、いずれも雰囲気の制御方法に
ついてまで言及していないが、それらの実施例からみる
と取鍋蓋方式であり、上記と同様の問題点がある。
【0008】スラグ−メタル間反応を促進して鋼の清浄
性向上、脱硫と脱りんなどの精錬処理を行う場合、上記
の発明の方法ではいずれも、取鍋内溶鋼上面の全面積に
わたってスラグが存在するため、取鍋内径が大きくなる
ほど、すなわち溶鋼処理トン数が増加するにしたがって
スラグ全体の加熱が困難となる。プラズマアーク近傍の
スラグは加熱されて滓化し、反応性は高まるが、取鍋内
壁近傍のスラグの加熱は十分でなく、スラグの滓化性も
十分なものとならないため、反応性が低くなってしま
う。
【0009】ここで、取鍋内壁近傍のスラグの加熱も十
分に実施しようとして、プラズマ出力を上げすぎたり、
プラズマアークの位置を取鍋内壁近傍に置くと、取鍋や
取鍋蓋の耐火物の溶損が無視し得ないものとなり、操業
上問題となってしまう。また、プラズマアーク近傍のス
ラグと取鍋内壁近傍のスラグとが混合するように撹拌ガ
ス流量を増加させると、逆に上述の問題が生じてしま
う。
【0010】本発明の目的は、上記のような耐火物の溶
損の防止と鋼の清浄化を同時に達成することができる溶
鋼の加熱精錬方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)〜(4) の溶鋼の加熱精錬方法にある。
【0012】(1)取鍋中溶鋼に浸漬管を浸漬し、浸漬
管内を不活性ガスで充満させ、取鍋内溶鋼下部に挿入し
たインジェクションランスまたは取鍋底吹き羽口から撹
拌用ガスを吹き込む溶鋼の精錬方法において、前記浸漬
管の内径D0と前記取鍋の内径D1との比D0/D1が 0.5
〜0.8であり、浸漬管内に挿入したプラズマトーチから
プラズマアークを発生させることにより溶鋼を加熱する
ことを特徴とする溶鋼の加熱精錬方法。
【0013】(2)プラズマアークにより溶鋼を加熱する
前および/または溶鋼の加熱中に、浸漬管内のスラグ上
に還元剤を添加することを特徴とする上記(1) の溶鋼の
加熱精錬方法。
【0014】(3)プラズマアークにより溶鋼を加熱する
前および/または溶鋼の加熱中に、溶鋼中のC、Siおよ
びAlの一種以上により、スラグ中の酸化物を還元するこ
とを特徴とする上記(1) または(2) の溶鋼の加熱精錬方
法。
【0015】(4)溶鋼への合金成分を酸化物として、浸
漬管内のスラグ上に添加すること、またはインジェクシ
ョンにより溶鋼中へ供給することを特徴とする上記(1)
から上記(3) までのいずれかの溶鋼の加熱精錬方法。
【0016】
【作用】図1に基づいて上記の本発明方法を実施するた
めの装置の例を説明する。
【0017】図1は、この装置構成の概略を示す縦断面
図である。取鍋1内の溶鋼2に浸漬管3を浸漬し、浸漬
管3内を不活性ガスで充満させ、取鍋1内の溶鋼2の下
部に設けた取鍋底吹き羽口4から撹拌用ガス5を吹き込
むとともに、浸漬管3内に挿入したプラズマトーチ6か
らプラズマアーク7を発生させることにより溶鋼2を加
熱する。取鍋底吹き羽口4は、浸漬管3の取鍋1の底部
に対する投影面積内に設けられる。
【0018】この他、浸漬管3には、還元剤や合金成分
材などの投入口8と集塵設備へ接続される排気口10が備
えられる。この投入口8は、必要時には浸漬管3の内部
と外気とを遮断することが可能な機能(例えば、ゲート
弁など)を有する。
【0019】加熱精錬の開始時において溶鋼2の表面に
は、浸漬管3の内外ともにスラグ9が存在する。このス
ラグ9は、転炉、AOD炉などの精錬炉で溶鋼2を溶製
した際の溶融スラグが出鋼時に取鍋1内に流出したも
の、あるいは出鋼時および/または出鋼後に添加された
フラックスなどであり、熱放散の抑制と後述する脱硫、
合金成分源などの役割を担う。スラグ9の量の望ましい
範囲は、溶鋼トンあたり5〜30kgである。
【0020】取鍋底吹き羽口4の代わりにインジェクシ
ョンランス(図示せず)を用いて、浸漬管3から溶鋼2
の下部にその先端部を挿入し、撹拌ガス5が底吹き羽口
4の場合と同様に浸漬管3内に浮上するようにしてもよ
い。
【0021】浸漬管3内は、プラズマトーチ6またはイ
ンジェクションランスなどの可動部や排気口10を除け
ば、ほぼ完全に外気と遮断することができるように配慮
されている。
【0022】本発明の第1の方法において、「取鍋中溶
鋼に浸漬管を浸漬し、浸漬管内を不活性ガスで充満さ
せ、取鍋内溶鋼下部に挿入したインジェクションランス
または取鍋底吹き羽口から撹拌用ガスを吹き込む溶鋼の
精錬方法において、浸漬管内に挿入したプラズマトーチ
からプラズマアークを発生させることにより溶鋼を加熱
精錬する」としたのは、上記のような装置を用いること
で、浸漬管内をほぼ完全に外気から遮断することができ
るからである。
【0023】したがって、浸漬管内の雰囲気中の酸素濃
度や窒素濃度を低減することも比較的容易であり、シー
ル用の不活性ガスの使用量も、大幅に低減することが可
能である。
【0024】さらに本発明方法では、基本的にプラズマ
作動用と溶鋼撹拌用の不活性ガスのみで浸漬管内の置換
が可能であり、前記の特開平5−1317号公報や特開平3
−294414号公報で示されているようなシールのためだけ
に用いる無駄な不活性ガスを使用する必要はない。
【0025】ただし、極低N鋼などを加熱精錬する場合
は、小量のシール用ガスを用いることも可能であり、そ
の場合も従来法よりもそのガス使用量を大幅に低減する
ことができる。
【0026】図1に示す筒状の浸漬管3を用いること
で、撹拌用ガス流量を増加させた場合にも、撹拌力増大
による溶鋼表面の波立ちが浸漬管により抑制されるた
め、浸漬管3の外側で溶鋼2が取鍋1から横溢する恐れ
がなくなる。また、浸漬管3の外側ではスラグ9の波立
ちも抑制されるために取鍋耐火物の溶損はほとんど発生
しない。さらに、取鍋蓋を使用する場合のように取鍋上
部と取鍋蓋との間に形成される接合部がないので、地金
やスラグの付着により取鍋蓋の取り外しが困難となるこ
とがないという利点がある。
【0027】取鍋内下部に挿入したインジェクションラ
ンスまたは底吹き羽口から撹拌用ガスを吹き込むのは、
プラズマアークにより熱せられた取鍋上部の溶鋼を撹拌
し循環させることにより、取鍋内溶鋼全体を加熱するた
めである。この効果は、取鍋底吹き羽口が、浸漬管の取
鍋の底部に対する投影面積内に設けられるか、または撹
拌ガスが浸漬管内に浮上するように配置したインジェク
ションランスを用いる場合に最もよくもたらされる。も
しも、この撹拌用ガスを導入しない場合には、浸漬管内
上部のみ溶鋼温度が上昇し、浸漬管の溶損などにつなが
るため撹拌ガスの使用は必須である。望ましい撹拌ガス
使用量の範囲は3〜20Nリットル/min・溶鋼トンであ
る。
【0028】プラズマアークが浸漬管により取鍋内壁と
遮断されているため、取鍋耐火物溶損は、従来の方法に
よる処理の場合に対して無視し得る範囲にある。浸漬管
耐火物の溶損は、浸漬管の管径が小さい場合にはプラズ
マアークによるものが認められるが、試験的に管径を変
えて加熱精錬を行ったところ、浸漬管内径D0と取鍋内
径D1との比D0/D1が 0.5〜0.8の範囲であれば、浸漬
管溶損はほとんど無視できることが判明した。したがっ
て、内径比D0/D1の範囲は 0.5〜0.8とする。
【0029】本発明の第2の方法は、上記の第1の方法
において、プラズマアークにより溶鋼の加熱を開始する
前および/または溶鋼の加熱中に、浸漬管内のスラグ上
に還元剤を添加するものである。この添加には、図1に
示す投入口8を用いる。
【0030】この目的は、溶鋼の加熱と同時に、溶鋼の
清浄性を高めること、脱硫を促進することおよびスラグ
中に酸化物の形で存在する有価元素を還元して溶鋼中へ
回収することにある。
【0031】溶鋼の清浄性を向上させるには、スラグ中
の低級酸化物(FeO 、MnO 、SiO2など)の低減が必要で
あり、また、脱硫を促進させるには、やはり上記の低級
酸化物を低減させ、スラグ中の酸素ポテンシャルを低下
させる必要があり、いずれもスラグ中に還元剤を添加し
なければならない。例えば、転炉、AOD炉などでステ
ンレス粗溶湯の脱炭中に生成したクロム酸化物、マンガ
ン酸化物などの低級酸化物を還元するためには、還元剤
の添加が必要となる。
【0032】上記の処理に用いる還元剤は、スラグ中の
低級酸化物を還元する能力があればよいが、C、Siおよ
びAlの一種以上、またはこれらを含有する合金を使用す
ればよい。これらの還元剤は、例えば75%Si−残Feのよ
うに、その比重がスラグとほぼ同じであって、スラグ中
に浮遊する塊状のものであるのが望ましい。
【0033】このような還元剤を浸漬管内のスラグ上に
添加し、プラズマアークにより加熱すると、スラグ上部
から熱が加わるため、浸漬管内ではスラグ温度が溶鋼温
度よりも常に高くなり、還元反応性が高められることに
なる。この効果は、雰囲気調整が比較的容易な浸漬管内
で還元反応が行われることでさらに高められる。また、
プラズマアークによる加熱を用いることで加熱が容易で
あるので、溶鋼の加熱を開始する前に還元剤の全量を添
加しても、上記反応性をすばやく与えることができる。
したがって、還元剤は溶鋼の加熱を開始する前および/
または溶鋼の加熱中に添加することとした。
【0034】望ましい還元剤添加量の範囲は、取鍋内溶
鋼トンあたり 0.2〜2kg程度であり、その添加時期の分
割は任意とすることでよい。また、還元剤にCaCO3 など
のスラグ成分をさらに添加してもよい。この場合のスラ
グ成分の望ましい添加量の範囲は、取鍋内溶鋼トンあた
り5〜30kg程度である。
【0035】本発明の方法では、従来の方法と同様に浸
漬管外のスラグ、すなわち取鍋内壁近傍のスラグを加熱
することはできない。しかし、本発明の第2の方法は次
の〜のような利点を有している。
【0036】加熱および還元反応の効率を向上させる
ために、プラズマアークの出力を上げ、浸漬管内のスラ
グを高温に維持しても、その範囲は浸漬管内にとどまっ
ているため、取鍋耐火物の溶損をもたらすことがない。
【0037】同様の目的で撹拌ガスの流量を増加させ
ても溶鋼面の波動が激しい範囲は、やはり浸漬管内であ
るため、取鍋からの溶鋼の横溢が発生しない上に、取鍋
内全体の温度の均一化は十分達成される。
【0038】取鍋蓋を用いないので、地金やスラグの
付着による蓋取り外しや雰囲気制御の困難性も発生しな
い。
【0039】浸漬管内径D0 と取鍋内径D1 との比D
0 /D1 を前述のように 0.5〜0.8の範囲にしておけ
ば、浸漬管の溶損は、還元剤などを添加しない単なる加
熱精錬の場合とほとんど差がない程度に少なくすること
ができる。
【0040】本発明の第3の方法は、本発明の第1また
は第2の方法において、プラズマアークにより溶鋼の加
熱を開始する加熱する前および/または溶鋼の加熱中
に、溶鋼中に添加したC、SiおよびAlの一種以上によ
り、スラグ中の酸化物を還元するものである。
【0041】この方法の目的は、前述の本発明の第2の
方法の場合と同じである。ただし、還元剤を溶鋼中に溶
解させ、還元反応はスラグ−メタル界面またはスラグ内
とスラグ−メタル界面で行う。
【0042】溶鋼中に溶解させる還元剤は、製品鋼にも
含有が許容され、しかもクロム酸化物、マンガン酸化物
などの還元力を有するC、SiおよびAlの一種以上を選ん
で用いる。溶鋼中への添加は、精錬炉から取鍋への出鋼
時に予め行う方法、加熱中に行う方法、またはこれらを
組み合わせる方法のいずれでも、同様の還元効果を得る
ことができる。例えば、転炉からの出鋼時に予めAlなど
の還元剤を添加しておけば、プラズマアーク印加開始
後、すぐにスラグ中の低級酸化物を低減する還元処理に
入ることができる。
【0043】これらの元素による還元反応を促進させる
には、浸漬管内のスラグ上部からの加熱と撹拌ガスによ
る取鍋内溶鋼全体に及ぶ撹拌とが有効である。スラグ上
と溶鋼中に還元剤を添加し、還元反応をスラグ内とスラ
グ−メタル界面との双方で行う場合には、最も高い還元
効果を得ることができる。
【0044】本発明の第4の方法は、溶鋼への合金成分
を酸化物として浸漬管内のスラグ上に添加するか、また
はこの酸化物をインジェクションにより溶鋼中へ供給す
るものである。酸化物としては有価元素を含むクロム鉱
石、マンガン鉱石などが挙げられる。例えば、ステンレ
ス鋼の場合であれば前者、Mn含有鋼であれば後者を用い
ることができる。ステンレス鋼、高合金鋼では、両者を
併用することができる場合もある。インジェクションに
よる場合は、撹拌用ガスを吹き込むインジェクションラ
ンスを用いて粉体状の酸化物を溶鋼中へ供給するのがよ
い。
【0045】上記の酸化物を添加または供給して、本発
明の第1〜第3の方法を適用すれば還元反応により安価
な鉱石から高価な有用元素を溶鋼中へ回収することがで
き、コスト低減を達成することが可能である。酸化物を
添加する場合は、本発明の第1の方法を基本とし、浸漬
管内のスラグ上から添加を行い、さらに還元剤も同じ場
所か、またはさらに溶鋼中にも添加して、プラズマアー
クを印加する第2の方法を組み合わせて用いるのが最も
望ましい。
【0046】
【実施例】
(試験1)図1に示す構成の装置を用いて、下記および
表1に示す条件で溶鋼の加熱精錬を行い、浸漬管内径D
0 と取鍋内径D1 との比D0 /D1 と浸漬管の溶損との
関係、D0 /D1 およびガス撹拌時間(加熱精錬処理時
間)とスラグ中のFeO 濃度変化および溶鋼の清浄性を調
査した。
【0047】取鍋容量:250 トン(転炉溶製、出鋼時に
Alを添加し、溶鋼中sol.Al濃度を0.08〜0.21%に調整) 取鍋内径D1 :4m で一定 取鍋底吹き羽口:ポーラス煉瓦使用 撹拌ガス:Ar、2Nm3/min (8Nリットル/min ・溶
鋼トン)で一定 浸漬管内径D0 :1.5m、1.8m、2.0m、2.5m、3.0m、3.5m
で変化 浸漬管内の置換ガス:Ar プラズマ出力:4MWで一定 溶鋼温度:処理前後ともに1600〜1630℃ 溶鋼の清浄性は、処理後の溶鋼から採取したサンプルを
用いてミクロ検鏡し、D0 /D1 =0.375 の場合を基準
とした指数で評価した。浸漬管の溶損はD0 /D1 =0.
375 の場合を基準とした浸漬管寿命指数と、D0 /D1
=0.625 の場合を基準とした浸漬管補修頻度指数とで評
価した。
【0048】これらの結果を表1および表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】表1に示すように、D0 /D1 が0.5 以上
においてスラグ中のFeO 濃度の低減効果が大きく、鋼の
清浄性向上効果も著しい。表2から、D0 /D1 が0.5
未満であるか、または0.8 を超えると、浸漬管の寿命が
低下し、また補修頻度が著しく増加することがわかる。
【0052】(試験2)試験1と同じ装置を用い、金属
還元剤とCaCO3 とを浸漬管内のスラグ上に添加して加熱
精錬を行い、スラグ中のFeO 濃度変化および溶鋼の清浄
性を調査した。
【0053】試験1と異なる条件は、次のとおりであ
る。
【0054】転炉出鋼時にAlを添加し、処理前の溶鋼中
のAl濃度が0.02〜0.07%になるように調整した。添加物
は、溶鋼の加熱開始前に金属Al含有物質(Al粉)とCaCO
3 との混合物(Al含有率40%)を 1.5kg/溶鋼トンとし
た。清浄性は、試験1と同様に、D0 /D1 =0.375 の
場合を基準とした指数で評価した。
【0055】上記以外の試験条件と試験結果を表3に示
す。
【0056】
【表3】
【0057】表3に示すように、D0 /D1 が0.5 以上
においてスラグ中のFeO 濃度の低減効果が大きく、鋼の
清浄性向上効果も著しい。D0 /D1 が0.8 を超えて
も、上記効果は同様に認められるが、試験1と同様に浸
漬管の溶損が増加した。
【0058】(試験3)試験1と同じ装置を用いて、金
属還元剤としてSiを溶鋼中に添加して加熱精錬を行い、
スラグ中のFeO 濃度変化および溶鋼の清浄性を調査し
た。試験1と異なる条件は、次のとおりである。
【0059】転炉出鋼時にFeSi(Si含有率75%)を添加
し、処理前の溶鋼中のSi濃度が0.15〜0.42%になるよう
に調整した。清浄性は、同様にD0 /D1 =0.375 の場
合を基準とした指数で評価した。
【0060】上記以外の試験条件と試験結果を表4に示
す。
【0061】
【表4】
【0062】表4に示すように、D0 /D1 が0.5 以上
においてスラグ中のFeO 濃度の低減効果が大きく、鋼の
清浄性向上効果も著しい。D0 /D1 が0.8 を超えて
も、上記効果は同様に認められるが、やはり浸漬管の溶
損が増加した。
【0063】
【発明の効果】本発明の加熱精錬方法によれば、浸漬管
や取鍋内壁の溶損を少なくしながら、清浄性の高い鋼を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の構成例を示
す縦断面図である。
【符号の説明】
1:取鍋、2:溶鋼、3:浸漬管、4:取鍋底吹き羽
口、5:撹拌ガス、6:プラズマトーチ、7:プラズマ
アーク、8:投入口、9:スラグ、10:排気口
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/072 C21C 7/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】取鍋中溶鋼に浸漬管を浸漬し、浸漬管内を
    不活性ガスで充満させ、取鍋内溶鋼下部に挿入したイン
    ジェクションランスまたは取鍋底吹き羽口から撹拌用ガ
    スを吹き込む溶鋼の精錬方法において、前記浸漬管の内
    径D0と前記取鍋の内径D1との比D0/D1が 0.5〜0.8
    であり、浸漬管内に挿入したプラズマトーチからプラズ
    マアークを発生させることにより溶鋼を加熱することを
    特徴とする溶鋼の加熱精錬方法。
  2. 【請求項2】プラズマアークにより溶鋼を加熱する前お
    よび/または溶鋼の加熱中に、浸漬管内のスラグ上に還
    元剤を添加することを特徴とする請求項1記載の溶鋼の
    加熱精錬方法。
  3. 【請求項3】プラズマアークにより溶鋼を加熱する前お
    よび/または溶鋼の加熱中に、溶鋼中のC、SiおよびAl
    の一種以上により、スラグ中の酸化物を還元することを
    特徴とする請求項1または請求項2記載の溶鋼の加熱精
    錬方法。
  4. 【請求項4】溶鋼への合金成分を酸化物として、浸漬管
    内のスラグ上に添加すること、またはインジェクション
    により溶鋼中へ供給することを特徴とする請求項1から
    請求項3までに記載のいずれかの溶鋼の加熱精錬方法。
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