JP3362239B2 - 板状炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

板状炭酸カルシウムの製造方法

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祐作 滝田
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由加子 水原
久夫 杉原
良行 薬師寺
清 菅原
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祐作 滝田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、板状の形状を有する板
状炭酸カルシウムの製造方法に関し、更に詳しくは水酸
化カルシウムから均一な板状形状をした板状炭酸カルシ
ウムを効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭酸カルシウムは、周知のように製紙、
ゴム、樹脂、塗料、食品等の充填剤として広く利用され
ている。
【0003】炭酸カルシウムは、製造法により大別する
と石灰石を粉砕して製造される重質炭酸カルシウムと化
学的に炭素源とカルシウム源とを反応させて製造される
沈降製炭酸カルシウムとの2つに大別される。
【0004】重質炭酸カルシウムは、粉砕機の能力から
ミクロンオーダーが粒径限界となっており、その形状も
角張った不定形で、粒子径も分級しなければ、粒度幅の
狭いものが得られない等の問題があるため、その利用分
野は限定されてしまう。
【0005】一方、沈降製炭酸カルシウムは、典型的に
は水酸化カルシウムの懸濁液(スラリー)(以下、石灰
乳という。)に二酸化炭素あるいは二酸化炭素含有気体
(以下、炭酸ガスという。)を導入して反応させる炭酸
ガス化合法により、0.03〜0.06μmあるいは1
〜3μmの均一な粒子形状と粒子径を有するものの製造
が容易であるため、その利用分野も広い。
【0006】ここで、炭酸カルシウムの結晶系と粒子形
状に注目して考察すると次のようになる。結晶工学的に
カルサイト、アラゴナイト、バテライトの3種の同形多
像体が知られている。カルサイト型は、最も安定で、粒
子形状が立方状、紡錘状、連鎖状等の形状をとってい
る。又、アラゴナイト型は、カルサイト型に次いで安定
で、柱状、針状等の形状を有している。以上の2つの結
晶系のものは、現在、製造販売されているものである。
一方、バテライト型は、基本的に球状を有しているもの
の、結晶工学的に不安定で、水の存在状態では容易にカ
ルサイトあるいはアラゴナイトに結晶転移と同時に粒子
形状が変化するので、製造および表面被覆等の安定化に
コストがかかる等の理由から製造されていない。
【0007】前記した炭酸カルシウムの粒子形状におい
て、最近では前記したような形状でない板状形状のもの
が強く要求されるようになってきている。これは、炭酸
カルシウムと同様、製紙、ゴム、樹脂、塗料等の無機質
充填剤として多量に使用されているカオリナイト系充填
剤やパイロフィライト系充填剤が、六角板状や鱗片状結
晶により構成され優れた特性を発現しているためであ
り、その代替化のためには炭酸カルシウムの形状におい
て板状のものが不可欠である。
【0008】前記した板状形状の炭酸カルシウムを製造
する方法として、最近数例の研究報告がなされている
が、関与する反応が複雑であったり、多量の熱エネルギ
ーを使用し、生成物が高価になり、工業生産まで至って
いないのが現状である。
【0009】現在、炭酸カルシウムを含めて石灰関連の
板状物として、水酸化カルシウム、塩基性炭酸カル
シウム、炭酸カルシウムが開発研究されている。
【0010】前記したの板状の水酸化カルシウムの製
造方法としては、塩化カルシウムと水酸化ナトリウムの
溶液反応により得る方法(石膏石灰学会誌「石膏と石
灰」No.189)、酸化カルシウムの水和反応液に水
溶性カルシウム塩を加えて熟成する方法(特開昭58−
176124)が、又前記したの板状の塩基性炭酸カ
ルシウムの製造方法としては、石灰乳を部分炭酸化して
塩基性炭酸カルシウムを得る方法(特公昭62−321
30、特開昭61−219715および特開昭62−1
13718)等がある。しかし、これらの方法は、原料
が高価であったり、水が介在すると形状変化したり、水
中で高pHを示したりするなど、工業的素材としてはか
なりの難題が残されているものである。
【0011】これに比べて、炭酸カルシウムは、水中で
の形状変化、高pHの問題を解決するに十分な素材であ
る。前記したの板状の炭酸カルシウムの製造方法とし
ては、第一段階として水酸化カルシウム水溶液に炭酸ガ
スを反応させるか、あるいは石灰石スラリーに炭酸ガス
を反応させるかにより得られた炭酸水素カルシウム水溶
液を調整し、次いで第二段階として加熱制御が施された
水に滴下あるいは注入して得る方法(特開昭63−50
316、日本セラミックス協会誌「日本セラミックス協
会学術論文誌」Vol.100)、さらには石灰乳の部
分炭酸化により調整した板状の水酸化カルシウムあるい
は塩基性炭酸カルシウムを200℃以上の温度で炭酸化
する方法(石膏石灰学会誌「石膏と石灰」No.196
および特開昭61−219717)等がある。
【0011】しかし、これらの方法は、製造過程が2段
階で煩雑であり、大量生産が望めず、原料コストが高
く、さらには熱エネルギーの消費が大きい等の問題点が
あり、工業的生産に至るには困難な製造方法である。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】本発明者らは、前記した板状形状の石灰関
連物質、特に板状形状の炭酸カルシウムの従来の製造技
術にみられる欠点を解決すべき鋭意検討した結果、石灰
乳に炭酸ガスを導入して炭酸化反応を行なわしめる際
に、特定の反応条件下に下記構造式(1)、(2)、
(3)で表される第一級アミン、第二級アミン、第三級
アミン、第四級アミン化合物、あるいはそれらの重合物
である有機アミン化合物を共存させると極めて効率よく
板状の炭酸カルシウムが得られることを見い出し、本発
明を完成するに至った。本発明は、反応操作が容易であ
り、低コストでしかも大量生産が出来る板状炭酸カルシ
ウムの製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【構造式1】 (式中、R1は、アルキル基、オレフィン基、ジオレフ
ィン基または芳香族基である。R2とR3は、水素原子ま
たはアルキル基で、それぞれ異なっても差し支えな
い。)
【構造式2】 (式中、R1、R24とR5は、水素原子またはアルキル
基で、それぞれ異なっても差し支えない。R3は、アル
キル基、オレフィン基、ジオレフィン基または芳香族基
である。)
【構造式3】 (式中、R1、R24、R5、R7とR8は、水素原子また
はアルキル基で、それぞれ異なっても差し支えない。R
3とR6は、アルキル基、オレフィン基、ジオレフィン基
または芳香族基である。nは1以上の整数である。)
【0013】本発明を概説すれば、本発明は、石灰乳に
炭酸ガスを導入する炭酸化反応により炭酸カルシウムを
製造する方法において、炭酸カルシウムの生成過程にお
いて塩基性炭酸カルシウムを生成する反応条件下で、か
つ前記構造式(1)、(2)、(3)に示される有機ア
ミン化合物の共存下に炭酸化反応を行なわしめることを
特徴とする板状炭酸カルシウムの製造方法に関するもの
である。以下本発明の構成を詳しく説明する。
【0014】本発明は、石灰乳に炭酸ガスを導入して炭
酸化反応を行なわしめ、炭酸カルシウムを製造する、所
謂炭酸化合法において、炭酸化反応の過程において塩基
性炭酸カルシウムを生成させる反応条件下で、かつ前記
構造式(1)、(2)、(3)に示される有機アミン化
合物を共存させることに最大の特徴を有するものであ
る。
【0015】当業界において、炭酸カルシウム製造時に
有機薬品を使用する技術は公知であり、例えば、特公昭
48−17438(塗被物性にすぐれた炭酸カルシウム
の製造方法)、特開昭57−145030(微粉砕され
た沈降炭酸カルシウムの製造方法、日本接着協会誌Vo
l.21No.2(1985)(ポリビニルアルコール
存在下での炭酸カルシウムの作製に関する研究)、特公
昭60−33764(微細沈降炭酸カルシウムの製造方
法)、特開平1−252525(大表面積を有する炭酸
カルシウムの製造方法)に開示されている。また、炭酸
カルシウム製造時に有機溶媒として使用する技術も公知
であり、例えば、日本接着協会誌Vol.21、No.
10(1985)(メタノール系における炭酸カルシウ
ムの合成とその表面特性)、大分県工業試験場昭和60
年度業務年報(バテライト型炭酸カルシウムの合成方法
(第2報))特公平2−16244(アモルファス炭酸
カルシウムの製造方法)、特開平4−31315(単分
散した球状又は楕円球状バテライト炭酸カルシウム及び
その製造方法)、特開平5−201724(結晶質炭酸
カルシウムのエチレングリコール分散体および結晶質炭
酸カルシウム)、特開平5−294616(バテライト
型炭酸カルシウムの形態制御方法・粒子成長方法)、特
開平5−155613(形態制御された単分散バテライ
ト型炭酸カルシウムの製造方法)に開示されている。
【0016】しかしながら、前記した従来法において、
前者は、有機薬品を反応初期から添加し、製造炭酸カル
シウムの形状は、立方状炭酸カルシウムである。後者
は、溶媒としてアルコール類が使用されおり、更に製造
される炭酸カルシウムの形状は、不定形あるいは球状炭
酸カルシウムである。
【0017】これに対し、本発明の板状炭酸カルシウム
の製造方法においては、塩基性炭酸カルシウムを生成さ
せる反応条件下で、かつ前記構造式(1)、(2)、
(3)に示される有機アミン化合物の共存下に炭酸化反
応を行なわしめ、板状炭酸カルシウムを製造させること
である。
【0018】本発明者らは、前記した反応条件のもとで
前記構造式(1)、(2)、(3)に示される有機アミ
ン化合物を使用した場合、効率よく板状の炭酸カルシウ
ムが生成されるという極めて特異な現象が見い出した
が、その理論的解明は十分にはなされていない
【0019】本発明において、炭酸化反応系の条件は、
即ち石灰乳の濃度、炭酸ガスの濃度及び炭酸ガスのガス
量は別に規制しないが、反応条件として、反応途中で塩
基性炭酸カルシウムあるいは塩基性炭酸カルシウムと水
酸化カルシウムとの混合状態になる条件下の炭酸化反応
であることが必要である。この条件外の反応系に前記構
造式(1)、(2)、(3)に示される有機アミン化合
物を添加しても、0.1μm程度の立方状あるいは連鎖
状の炭酸カルシウムが生成するのみである。
【0020】本発明において、炭酸化反応中に塩基性炭
酸カルシウムを生成させるという条件が重要であるた
め、この点について説明する。炭酸化反応の過程におい
て、塩基性炭酸カルシウムが生成しているか否かは炭酸
化反応速度で区別をつけることができる。前記したよう
に炭酸化速度で塩基性炭酸カルシウムの生成条件を規定
することは、導入した炭酸ガス量に対する反応したガス
量の割合、水酸化カルシウムの粒子径等による反応性等
の要因から不正確な場合も生じる。より正確な条件規定
するには炭酸化途中の電気伝導度を採用すれば良い。塩
基性炭酸カルシウムの生成する反応では、炭酸化率が6
0%を越えるあたりから電気伝導度の3.5mS/cm
を越える降下が認められるが、そうでない反応では、炭
酸化率が60%を越える前に既に電気伝導度が3.5m
S/cmを越える降下が認められる。従って、塩基性炭
酸カルシウムの生成条件として炭酸化率が60%を越え
る前までに、電気伝導度の降下が反応前に対して3.5
mS/cm以内であることが重要である。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】上記構造式(1)、(2)、(3)に示さ
れる有機アミン化合物を具体的に挙げれば、メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘ
キシルアミン、ヘプチルアミン、ジメチルアミン、ジエ
チルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘ
キシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルア
ミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エ
チルブチルアミン、プロピルブチルアミン、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、メチルジエチルアミン、メチルジプロピ
ルアミン、メチルジブチルアミン、ジメチルエチルアミ
ン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、
ジエチルプロピルアミン、ジエチルブチルアミン、ジプ
ロピルブチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、メ
チルエチルブチルアミン、メチルプロピルブチルアミ
ン、エチルプロピルブチルアミン、トリエチルアミン、
ジイソプロピルアミン、エチレンジアミン、プロパノジ
アミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、
ジエチレントリアミン、テトラエチレンテトラアミン、
ペンタエチレンヘキサアミン、ヘキサエチレンオクタア
ミン、オクタエチレンデカアミン、ヘキサメチレンテト
ラアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルエチルジア
ミン、エチルエチレンジアミン、ジメチルエチレンジア
ミン、メチルプロピルジアミン、テトラメチルジアミ
ン、テトラメチルヘキサンジアミン、テトラメチルフェ
ニレンジアミン、トリレンジアミン、トリメチルエチレ
ンジアミン、フェニルジアミン、ジアミノヘプタン、ジ
メチレントリアミン、ジエチレントリアミン、メチレン
エチレントリアミン、エチレンプロピレントリアミン、
エチレンブチレントリアミン、メチレンプロピレントリ
アミン、プロピレンブチレントチアミン、トリメチレン
テトラミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレン
テトラミン、トリブチレンテトラミン、ジメチレンエチ
レンテロラミン、メチレンジエチレンテトラミン、テト
ラエチレンペンタミン、ジエチレンプロピレンテトラミ
ン、エチレンジプロピレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ヘキサエ
チレンオクタアミン、アニリン、トルイジン、キシリジ
ン、ナフチルアミン、ニトロアミン、フェニレンジアミ
ン、ジフェニルアミン、ジアミノジフェニルアミン、ク
リソイジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ベ
ンジルアニリン、クレアチン、メチルベンジルアミン、
フェニルエチルアミン、クレアチン、ジメタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、オクタデシルジエタノールア
ミン、ラウリルジポリグリコラミンなどが挙げられ、こ
れらの1種または2種以上を併用して使用される。
【0026】本発明において、前記構造式(1)、
(2)、(3)に示される有機アミン化合物は、前記し
た具体例に限定されるものではない。また、本発明にお
いて、前記した有機アミン化合物のうちエチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、
テトラエチレンペンタミンが好ましいものである。
【0027】本発明において、前記構造式(1)、
(2)、(3)に示される有機アミン化合物の添加時期
としては、反応前、反応途中のどちらか、あるいはその
両方に添加すればよく、実質的にな添加時期としては、
炭酸化率が0〜85%の間で、好ましくは5〜70%の
間がよい。炭酸化率が85%以上で添加すると、0.0
5μm程の立方状炭酸カルシウムが生成する。ここで炭
酸化率(G)とは、下記の式(1)で表すものとする。
【0028】
【式1】
【0029】本発明において有機アミン化合物の添加量
は有機アミン化合物の種類により異なるが、水酸化カル
シウムに対して0.01〜20重量%がよく、好ましく
は0.1〜10重量%がよい。0.01重量%以下だ
と、0.05μm程の立方状あるいは連鎖状炭酸カルシ
ウムが生成しやすくなり、20重量%以上だと、10μ
mほどの粗大粒子になりやすい上に経済的に好ましくな
い。
【実施例】
【0030】以下、本発明を実施例により更に詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例のものに限定されな
い。
【0031】
【実施例1】9g/100mlの濃度の石灰乳400m
lを15℃に調整し、25%の炭酸ガスを900ml/
分の速度で吹き込みを開始した。反応開始より45分経
過した時点でジエチレントリアミンの1.23gを添加
した。この時点の炭酸化率を常法に従って測定したとこ
ろ、約66%であった。また、この時点で、10mlを
取り出し、脱水、乾燥して得た粉末をX線解折装置で調
べたところ、塩基性炭酸カルシウムであった。添加後、
そのまま反応を継続して反応を終了させた。反応終了時
間は反応開始から約68分であった。炭酸化率60%ま
での電気伝導度の降下は、反応前を基準として1.9m
S/cmであった。この炭酸化された石灰乳を濾過、脱
水、水洗、メチルアルコール洗浄を行なっ後、100℃
で乾燥して48gの炭酸カルシウムを得た。この得られ
た炭酸カルシウムを走査型電子顕微鏡で形状観察したと
ころ、直径約1〜1.5μm、厚さ0.1〜0.15μ
mの板状粒子であった。図1にこのものの走査型電子顕
微鏡写真を示した。
【0032】
【比較例1】9g/100mlの濃度の石灰乳400m
lにジエチレントリアミンの1.23gを石灰乳に予め
添加しておき、25%の炭酸ガスを2,000ml/分
で導入し、反応中15±1℃に保温して炭酸化を行っ
た。反応開始20分で10mlを取り出し、脱水、乾燥
して得た粉末をX線解折装置で調べたところ、カルサイ
ト型炭酸カルシウムと水酸化カルシウムとの混合状態で
あった。反応終了時間は約35分であり、これにより約
0.04μmの立方状の炭酸カルシウムが生成した。ま
た、炭酸化反応において炭酸化率60%までの電気伝導
度の低下は、4.6mS/cmであった。
【0033】
【比較例2】ジエチレントリアミンを添加しない以外
は、実施例1と同様な操作を行ったところ、約68分で
炭酸化が終わり、約0.6μm立方状炭酸カルシウムが
生成した。この時の炭酸化率60%までの電気伝導度の
降下は、1.8mS/cmであった。また、反応開始4
5分で10mlを取り出し、脱水、乾燥して得た粉末を
X線解折装置で調べたところ、塩基性炭酸カルシウムで
あった。
【0034】
【比較例3】ジエチレントリアミンの代わりにトリエチ
レンテトラミン六酢酸5.23g添加した以外は、実施
例1と同様な操作を行ったところ、約1〜2μmの紡錘
状の炭酸カルシウムが生成した。
【0035】
【比較例4】ジエチレントリアミンの代わりにクエン酸
6.87g添加した以外は、実施例1と同様な操作を行
ったところ、約1〜2μmの紡錘状の炭酸カルシウムが
生成した。
【0036】
【実施例2】石灰乳濃度6g/100ml、反応開始温
度20℃、25%炭酸ガスを600ml/分で行った以
外は、実施例1と同じ操作を行ったところ、直径1〜
1.5μm、厚さ0.1〜0.15μmの板状の炭酸カ
ルシウム32gを得た。この時の炭酸化率60%までの
電気伝導度の降下は、反応前を基準にして2.2mS/
cmであった。
【0037】
【実施例3】6g/100mlの濃度の石灰乳400m
lを15℃に調整し、25%の炭酸ガスを300ml/
分の速度で吹き込みを開始した。反応開始より20分経
過した時点でトリエチレンテトラミンの4.46gを添
加した。この時点の炭酸化率を常法に従って測定したと
ころ、約17%であった。また、この時点で、10ml
を取り出し、脱水、乾燥して得た粉末をX線解折装置で
調べたところ、塩基性炭酸カルシウムと水酸化カルシウ
ムとの混合状態であった。添加後、そのまま反応を継続
して反応を終了させた。反応終了時間は反応開始から約
120分であった。炭酸化率60%までの電気伝導度の
降下は、反応前を基準として1.6mS/cmであっ
た。この炭酸化された石灰乳を濾過、脱水、水洗、メチ
ルアルコール洗浄を行なっ後、100℃で乾燥して32
gの炭酸カルシウムを得た。この得られた炭酸カルシウ
ムを走査型電子顕微鏡で形状観察したところ、直径1〜
1.5μm、厚さ0.1〜0.15μmの板状の粒子で
あった。
【0038】
【実施例4】ジエチレントリアミンの代わりにエチレン
ジアミン3.42g添加した以外は、実施例3と同様な
操作を行ったところ、直径1〜1.5μm、厚さ0.1
〜0.15μmの板状の炭酸カルシウムが生成した。
【0039】
【実施例5】ジエチレントリアミンの代わりにテトラエ
チレンペンタミン5.42g添加した以外は、実施例3
と同様な操作を行ったところ、直径1〜1.5μm、厚
さ0.1〜0.15μmの板状の炭酸カルシウムが生成
した。
【0040】なお、実施例2〜5においても、その反応
途中に塩基性炭酸カルシウムの生成が、X線解折により
確認された。また、いずれの実施例においても炭酸化率
60%までの電気伝導度の降下は反応前を基準にして
3.5mS/cm以内であった。
【発明の効果】
【0041】本発明の板状炭酸カルシウムの製造方法に
より、従来にない板状形状を有する炭酸カルシウムを容
易に製造することが出来る。その特徴として、まず、炭
酸化原料としての水酸化カルシウムと二酸化炭素、そし
て添加剤としての少量の有機アミン化合物を用いるため
安価な製造コストで生産できること、また有機アミン化
合物の添加時間が広域に渡っているため、反応操作が容
易であることが挙げられる。また、生成した板状炭酸カ
ルシウムは、他の板状水酸化カルシウムや板状塩基性炭
酸カルシウムのように溶解して高アルカリを示さないた
め、他の物質による表面被覆や加熱炭酸化等の煩雑な安
定化操作を必要としない。以上の観点から、本発明の板
状炭酸カルシウムの製造方法は、大量生産を前提とした
工業生産が容易な製造方法と言える。ところで、カオリ
ンクレーやタルク等で代表される従来の天然の板状化合
物は、資源の枯渇が叫ばれているものである。しかも、
製紙、樹脂、塗料、ゴム等に充填した場合、微量の不純
物の混入、産地あるいは時間的なばらつき等により製品
に着色、濁り等の影響を及ぼしたりする。従って、本発
明で得られた一定品質の板状炭酸カルシウムは、従来の
板状天然化合物の代替品としてきわめて重要なものであ
り、代替品の量的増大により一定品質の板状炭酸カルシ
ウムを大量に供給することができ、板状炭酸カルシウム
を充填した製品が、一定品質でしかも安定生産が出来る
と同時に、生産コストの低減にもなる。さらには、板状
炭酸カルシウムを充填した製品の表面の平滑性、光沢性
の向上等の諸物性の改善にもつながることが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【0042】第1図は、実施例1で得られた炭酸カルシ
ウムの粒子構造を示す図面代用の走査型電子顕微鏡写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉原 久夫 大分県大分市長浜町1丁目2番20号 (72)発明者 薬師寺 良行 大分県臼杵市大字井村2052番地の3 (72)発明者 菅原 清 大分県臼杵市大字江無田1044番地の54 (56)参考文献 特開 平2−184519(JP,A) 特開 平3−285816(JP,A) 特開 平4−97910(JP,A) 特開 平1−301511(JP,A) 特表 平5−509282(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 11/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化カルシウムの二酸化炭素による炭
    酸化反応により炭酸カルシウムを製造する方法におい
    て、炭酸カルシウム生成過程において塩基性炭酸カルシ
    ウムを生成する反応条件下で、かつ下記構造式(1)、
    (2)、(3)で表される第一級アミン、第二級アミ
    ン、第三級アミン、第四級アミン化合物、あるいはそれ
    らの重合物である有機アミン化合物の共存下に炭酸化反
    応を行なわしめることを特徴とする板状炭酸カルシウム
    の製造方法。 【構造式1】 (式中、R1は、アルキル基、オレフィン基、ジオレフ
    ィン基または芳香族基である。R2とR3は、水素原子ま
    たはアルキル基で、それぞれ異なっても差し支えな
    い。) 【構造式2】 (式中、R1、R24とR5は、水素原子またはアルキル
    基で、それぞれ異なっても差し支えない。R3は、アル
    キル基、オレフィン基、ジオレフィン基または芳香族基
    である。) 【構造式3】 (式中、R1、R24、R5、R7とR8は、水素原子また
    はアルキル基で、それぞれ異なっても差し支えない。R
    3とR6は、アルキル基、オレフィン基、ジオレフィン基
    または芳香族基である。nは1以上の整数である。)
  2. 【請求項2】 炭酸化過程において、炭酸化率60%
    を越える前までに、電気伝導度の降下が反応前に対して
    3.5mS/cm以内である請求項第1項の板状炭酸カ
    ルシウムの製造方法。
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