JP3358330B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置

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JP3358330B2
JP3358330B2 JP26610394A JP26610394A JP3358330B2 JP 3358330 B2 JP3358330 B2 JP 3358330B2 JP 26610394 A JP26610394 A JP 26610394A JP 26610394 A JP26610394 A JP 26610394A JP 3358330 B2 JP3358330 B2 JP 3358330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェールセーフ手段に
対する異常検出装置を備えた電動パワーステアリング装
置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動パワーステアリング装置の制御装置
に備えられたフェールセーフ手段としての例えばフェー
ルセーフリレーは、例えば補助操舵力を発生するモータ
に過電流が流れる異常が発生したときには、開放され
て、電動パワーステアリング装置はオフ状態にされ、こ
れにより、安全性の向上が図られている。しかしなが
ら、例えば異常放電等によりリレー接点が溶着する故障
が生じた場合には、フェールセーフリレーを開放にする
ことができずモータに継続して電流が流れ、フェールセ
ーフリレーの役割が果たされない。そこで、一般的に、
イグニッション・スイッチの投入時に、リレー接点を開
放状態にしてリレー接点の端子電圧が一定値以下である
かどうか判別し、フェールセーフリレーについての異常
検出を行っている。
【0003】従来、この種のフェールセーフリレーに対
する異常検出装置を備えた電動パワーステアリング装置
が、例えば特開平2−283568号公報に示されてい
る。この従来例では、フェールセーフリレーを開放状態
にして端子電圧を読み込む場合に、ハンドルを回転させ
ると電動モータによって起電力が発生し、この電圧がリ
レー回路に印加されて正確な異常検出を行うことができ
ないという点に着目し、トルクセンサ等によりハンドル
の回転状態を検出し、非回転状態のときにフェールセー
フリレーを開放状態にしてリレー異常検出手段でリレー
接点の端子電圧を読み込み、この端子電圧が一定値以下
であるか否か比較することによりフェールセーフリレー
が溶着等による異常状態にあるかどうかの判別を行って
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例にあっては、ハンドルの非回転状態を検知したとき
に、フェールセーフリレーが非導通状態にあるか否かの
異常検出を行っているが、ハンドルを僅かに回転させて
いる場合には、ハンドルが回転状態にあるにもかかわら
ず非回転状態であると誤判断する恐れもあり、ハンドル
の回転による電動モータの発電によりリレー接点の異常
検出が不確実になるという問題点を有している。
【0005】また、上記従来例にあっては、異常検査時
に運転者がハンドルを回転している場合には、ハンドル
が非回転状態になるまで異常検出を行うことができず、
リレー接点に溶着等の異常があっても電動パワーステア
リング装置は作動状態におかれ、電動モータに過電流等
が流れるという異常が生じたときに、フェールセーフリ
レーが働かず、安全が確保されないという問題点を有し
ている。
【0006】したがって、本発明は、上記問題点を解消
し、ハンドルが回転されていても確実にフェールセーフ
手段の非導通検査を行うことができる電動パワーステア
リング装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装
置は、図1のクレーム対応図に示すように、操舵系の操
舵トルクを検出するトルク検出手段と、操舵系に対して
操舵補助力を発生する電動モータと、該電動モータと前
記操舵系との間に介挿されたクラッチ手段と、少なくと
も前記トルク検出手段のトルク検出値に基づいて前記電
動モータを制御する制御信号を出力する制御手段と、電
源からの駆動電流が開閉指令に応動するフェールセーフ
手段を介して供給され、且つ、前記制御手段の制御信号
に基づいて前記電動モータを駆動する駆動手段とを備え
る電動パワーステアリング装置の制御装置において、
記フェールセーフ手段についての異常検査時に、前記ク
ラッチ手段を非接続状態とし、且つ、前記フェールセー
フ手段に開放指令を出力した状態で、当該フェールセー
フ手段の出力電圧を検出し、当該検出電圧値と設定値と
を比較して異常を検出するフェールセーフ異常検出手段
を備えたことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明によれば、フェールセーフ手段の短絡等
の異常検出を、所定の異常検査時、例えばイグニッショ
ン・スイッチがオン状態又はオフ状態となったときに行
い、このとき、電動モータと操舵系との間に介挿された
クラッチ手段を非接続状態にしてから異常検出を行う。
クラッチが切られているので、ステアリングホイールを
回転させも電動モータが回転することがなく、電動モー
タによる起電力が発生しない。したがって、フェールセ
ーフ手段についての異常検査時に、電動モータの発電に
よる電圧がフェールセーフ手段の検出端子に現れること
はない。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図2は、本発明に係る電動パワーステアリング
装置の概略構成図である。図中、1はステアリングホイ
ールであり、このステアリングホイールに作用された操
舵力は、入力軸2aと出力軸2bから構成されたステア
リングシャフト2に伝達される。この入力軸2aの一端
はステアリングホイール1に連結され、他端はトクル検
出手段としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一
端に連結されている。そして、出力軸2bに伝達された
操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャ
フト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6
を介してピニオンシャフト7に伝達される。操舵力は、
更にステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達さ
れて転舵輪を転舵させる。ステアリングギヤ8は、ピニ
オン8aとラック8bとを有するラックアンドピニオン
形に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラ
ック8bで直進運動に変換している。
【0010】ステアリングシャフト2の出力軸2bに
は、補助操舵力(アシスト力)を出力軸2bに伝達する
減速ギア10が連結されており、減速ギア10には、補
助操舵力の伝達・遮断を行うクラッチ手段としての例え
ば電磁式で構成されている電磁クラッチ装置11を介し
て、補助操舵力を発生する電動モータ12の出力軸が連
結されている。電磁クラッチ装置11はソレノイドを有
し、このソレノイドに後述するコントローラ13によっ
て励磁電流が供給されることにより、減速ギヤ10と電
動モータ12とは機械的に結合され、励磁電流の供給停
止により離脱される。
【0011】トルクセンサ3は、ステアリングホイール
1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検
出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出
力軸2b間に介挿したトーションバーの捩じれ角変位に
変換し、この捩じれ角変位をポテンショメータで検出す
るように構成される。このトルクセンサ3は、例えば、
図3に示すように、入力トルクが零のときには、所定の
中立電圧V0 を有するトルク検出値Tを出力し、右切り
するとそのときの操舵トルクに応じて中立電圧V0 より
増加する電圧を出力し、左切りするとそのときの操舵ト
ルクに応じて中立電圧V0 より減少する電圧を出力する
ようになされている。そして、出力されたトルク検出値
Tは、コントローラ13に入力される。
【0012】コントローラ13は、トルク検出値T及び
電動モータ12の電流検出値に応じて、電動モータ12
に供給される駆動電流を制御しており、コントローラ1
3には、電動モータ12の駆動電流に対応した信号がフ
ィードバックされ、このフィードバック信号によりコン
トローラ13から電動モータ12に出力される電流がフ
ィードバック制御されている。さらに、コントローラ1
3には、イグニッション・スイッチ14及びヒューズ1
5aを介してバッテリ16から電流が供給されると共
に、ヒューズ15bのみを介してバッテリ16から電流
が供給される。ヒューズ15bのみを介して供給された
バッテリ16の電流は、例えばバックアップメモリに供
給される。さらに、例えば変速機の出力回転数に対応し
た周期のパルス信号を発生する車速センサ17からの車
速検出信号Vp が、コントローラ13に入力され、車速
に応じた補助操舵力が発生される。
【0013】コントローラ13は、図4に示すように、
トルクセンサ3から供給されたトルク検出値Tの位相を
補償して電動パワーステアリング装置の安定性を高め、
補償されたトルク検出値TP をA/D変換器20aに出
力する位相補償回路18と、車速センサ17から供給さ
れた車速検出信号VP の単位時間当りのパルス数を積算
し車速検出値Vを出力すると共に、後述するマイクロコ
ンピュータ21に車速検出値Vが読み込まれたときにマ
イクロコンピュータ21によりカウント値がリセットさ
れるカウンタ回路19と、位相補償されたトルク検出値
P 、及び後述する端子電圧Vi及びモータ電流検出信
号IR,L をディジタル信号に変換し、それぞれトルク
検出値TD 、端子電圧値Vir及びモータ電流検出値iR,
L として出力するA/D変換器20a〜20dと、カ
ウンタ回路19及びA/D変換器20a〜20dの出力
信号、更に後述するイグニッション・スイッチ14の検
知信号IG が供給されるマイクロコンピュータ21と、
マイクロコンピュータ21の出力信号に基づいて電動モ
ータ12を駆動する駆動手段としてのモータ駆動回路2
2と、入力された電源電流をモータ駆動回路22に供給
するフェールセーフ手段としてのフェールセーフリレー
回路23と、マイクロコンピュータ21の出力信号に基
づいて電磁クラッチ装置11を駆動するクラッチ駆動回
路24と、モータ電流の大きさと方向を検出しそのモー
タ電流検出信号IR,L をマイクロコンピュータ21に
フィードバックする電流検出回路25と、イグニッショ
ン・スイッチ14のオフ後に、所定の時間マイクロコン
ピュータ21に電源を供給する電源保持回路VKと、安
定化電源回路VRとから構成される。そして、位相補償
回路18、A/D変換器20a及びマイクロコンピュー
タ21により制御手段が構成される。
【0014】マイクロコンピュータ21は、カウンタ回
路19及びA/D変換器20a〜20dの出力信号、更
に検知信号IG が入力される入力インタフェース21a
と、フェールセーフリレー回路23の異常検出処理を実
行すると共に、トルク検出値Tに応じて電動モータ12
の駆動制御処理を実行する中央処理装置(CPU)21
bと、フェールセーフリレー回路23の異常検出の処理
手順を記憶すると共に、電動モータ12の駆動制御処理
手順を記憶するメモリ21cと、フェールセーフリレー
回路23に異常があったことを記憶するバックアップメ
モリ21dと、出力インタフェース21eとを有してい
る。
【0015】出力インタフェース21eからは、中央処
理装置21bから出力される後述するモータ駆動信号S
M の電圧値に応じてパルス幅が変化するパルス幅変調信
号PWM、及び電動モータ12の回転方向を定める右方
向信号DR 及び左方向信号DL が出力され、これらの各
信号はともにモータ駆動回路22に供給されており、さ
らに、リレー制御信号SR 、クラッチ制御信号SC 及び
警告表示信号Aの各信号が出力され、それぞれフェール
セーフリレー回路23、クラッチ駆動回路24及び警告
表示回路26に供給されている。
【0016】また、マイクロコンピュータ21には、電
源保持回路VK及び安定化電源回路VRを介してバッテ
リ16の電流が供給される。電源保持回路VKは、イグ
ニッション・スイッチ14がオフ状態になったあとも、
所定の時間マイクロコンピュータ21に電源を供給して
所定の制御処理を可能にし、安定化電源回路VRは、電
源保持回路VKから供給された電源を一定電圧にしてマ
イクロコンピュータ21に出力している。
【0017】電源保持回路VKは、駆動回路VKdと電
源保持リレーVKrとを有しており、駆動回路VKdに
は、イグニッション・スイッチ14から供給された検知
信号IG が入力され、ハイレベルの検知信号IG の入力
によって駆動回路VKdがオン状態となり、これにより
電源保持リレーVKrの駆動コイルに励磁電流が供給さ
れて電源保持リレーVKrが閉じ、バッテリ16の電源
電流がマイクロコンピュータ21に供給される。また、
駆動回路VKdには出力インタフェース21eから電源
保持信号SV が供給されており、駆動回路VKdは、電
源保持信号SVと検知信号IG が共にローレベルのとき
に駆動回路VKdをオフ状態にするAND回路を有して
いる。したがって、駆動回路VKdは、共にローレベル
の電源保持信号SV 及び検知信号IG が供給されたとき
にオフ状態になり、これにより、電源保持リレーVKr
は開放し、マイクロコンピュータ21への電源供給は遮
断される。
【0018】ここで、バックアップメモリ21dにはヒ
ューズ15bを介して常時電源が供給されている。ま
た、イグニッション・スイッチ14を介して入力インタ
フェース21aに供給される検知信号IG は、イグニッ
ション・スイッチ14のオン時にハイレベルになり、オ
フ時にローレベルになる。これにより、マイクロコンピ
ュータ21でイグニッション・スイッチ14のオン・オ
フ状態が検知される。
【0019】モータ駆動回路22は、ゲート駆動回路2
2a、Hブリッジ回路22b、及び昇圧電源22cを有
している。ゲート駆動回路22aは、供給された左右方
向信号DR,L をHブリッジ回路22bに出力すると共
に、供給されたパルス幅変調信号PWMを、電動モータ
12の応答性を向上させるように波形整形してHブリッ
ジ回路22bに出力しており、供給された左右方向信号
R,L に応じてパルス幅変調信号PWMを切替えて出
力する。例えば、右方向信号DR が供給されたときに
は、Hブリッジ回路22bの後述するFET(電解効果
トランジスタ)22b2のみにパルス幅変調信号PWMを
出力し、左方向信号DL が供給されたときには、後述す
るFET22b1のみにパルス幅変調信号PWMを出力す
る。
【0020】Hブリッジ回路22bは、ゲート駆動回路
22aの出力信号に基づいて電動モータ12に駆動電流
を流し、4つのスイッチング・トランジスタ、例えば、
NチャンネルのパワーMOS型FET22b1〜22b4を
有しており、FET22b1のソース端子とFET22b3
のドレイン端子を接続した直列回路と、同様に、FET
22b2のソース端子とFET22b4のドレイン端子を接
続した直列回路とを並列に配設して、各直列回路におけ
るFETの接続部間に電動モータ12を介挿した構成を
有する。上段側の各FET22b1及び22b2のゲート端
子には、ゲート駆動回路22aから左右方向電流DR,
L に応じてパルス幅変調信号PWMが供給され、下段側
の各FET22b3及び22b4のゲート端子には、ゲート
駆動回路22aからそれぞれ右方向信号DR 及び左方向
信号DL が供給されている。FET22b1及び22b2の
各ドレイン端子には、フェールセーフリレー回路23、
ヒューズ15a、及びイグニッション・スイッチ14を
介してバッテリ16の電流が供給されており、FET2
2b3及びFET22b4の各ソース端子はそれぞれ電流検
出抵抗R1及びR2を介して接地されている。
【0021】ここで、FET22b3及びFET22b4
は、それぞれ右方向信号DR 及び左方向信号DL がハイ
レべルのときに、オン状態となる。FET22b3がオン
状態のときには、FET22b2にパルス幅変調信号PW
Mが供給されることにより、モータ駆動電流は、FET
22b2から電動モータ12、FET22b3の方向へと流
れる。一方、FET22b4がオン状態のときには、FE
T22b1にパルス幅変調信号PWMが供給されることに
より、モータ駆動電流は、FET22b1から電動モータ
12、FET22b4の方向へと流れる。
【0022】昇圧電源22cは、Hブリッジ回路22b
のうちFET22b1及び22b2を駆動するために必要と
なる例えばバッテリ電圧を2倍に昇圧した電圧をゲート
駆動回路22aに供給するよう構成されている。なお、
FET22b3及び22b4を駆動するために、バッテリ電
圧がフェールセーフリレー23aを介してゲート駆動回
路22aに供給される。
【0023】フェールセーフリレー回路23は、リレー
接点23cを有するフェールセーフリレー23aと、フ
ェールセーフリレー23aの駆動コイルに励磁電流を供
給するリレー駆動回路23bとから構成されており、リ
レー駆動回路23bは供給されたリレー制御信号SR
より制御されている。リレー接点23cの一端は、ヒュ
ーズ15a及びイグニッション・スイッチ14を介して
バッテリ16に接続され、他端は、Hブリッジ回路22
のFET22b1及び22b2の各ドレイン端子に接続され
ると共に、A/D変換器20bを介して入力インタフェ
ース21aに接続され、この他端の端子電圧Viの異常
検出が、マイクロコンピュータ21により実行される。
本実施例では、リレー制御信号SR がハイレベルのとき
に、リレー駆動回路23bがオン状態となりフェールセ
ーフリレー23aの駆動コイルに励磁電流が供給されて
リレー接点23cが閉じ、一方、リレー制御信号SR
ローレベルのときに、リレー駆動回路23bがオフ状態
となりリレー接点23cは開放される。一般的に、電動
パワーステアリング装置の作動中においてはリレー接点
23cは閉じられており、モータ駆動回路22等の異常
発生時には安全確保のためにリレー接点23cは開放さ
れる。
【0024】クラッチ駆動回路24は、供給されたクラ
ッチ制御信号SC を増幅して電磁クラッチ装置11を駆
動制御する信号を出力する。本実施例では、クラッチ制
御信号SC がハイレベルのときに電磁クラッチ装置11
は接続状態になり、ローレベルのときに非接続状態に保
持される。電流検出回路25は、入力された電流検出抵
抗RR ,RL の各端子電圧を増幅してそれぞれのモータ
駆動電流を検出してノイズを除去し、この検出した右方
向のモータ電流検出信号IR 及び左方向のモータ電流検
出信号IL を、それぞれA/D変換器20c及び20d
を介して入力インタフェース21aにフィードバックし
ている。これにより、マイクロコンピュータ21で、モ
ータ電流の実測値に応じて、パルス幅変調信号PWMの
パルス幅の補正及び異常時の電動パワーステアリング装
置の作動停止が行われる。
【0025】次に、マイクロコンピュータに電源を供給
して電動パワーステアリング装置を作動状態にするとき
に、中央処理装置によりリレー接点の異常検出を行う本
実施例に係る処理手順を、図5に示すフローチャートに
基づいて説明する。この処理は、イグニッション・スイ
ッチが投入されたときの初期状態における処理の一部と
して実行される。
【0026】先ず、イグニッション・スイッチ14のオ
ン動作によりマイクロコンピュータ21に電源が供給さ
れたときに、ステップS1で、バックアップメモリ21
dの所定の記憶領域に格納された異常検出フラグを読み
込む。バックアップメモリ21dには、後述するイグニ
ッション・スイッチ14のオフ状態のときの異常検出の
処理においてリレー接点23cの異常が検出されたとき
には、異常状態を示す論理値“1”の異常検出フラグが
記憶される。そこで、マイクロコンピュータ21の起動
とともにバックアップメモリ21dに格納された異常検
出フラグを読み込む。ここで、マイクロコンピュータ2
1は、ハイレベルの検知信号IG が入力されると、出力
インタフェース21cからハイレベルの電源保持信号S
V を駆動回路KVdに出力して電源保持回路VKの作動
状態を維持させ、イグニッション・スイッチ14がオフ
状態になると所定の処理を実行した後に、ローレベルの
電源保持信号SV を出力し、電源保持リレーVKrを開
放状態にしてマイクロコンピュータ21への電源供給を
停止させる。
【0027】次に、ステップS2に移行し、異常検出フ
ラグが“1”であるか否か判別する。論理値が“1”で
あると判断されたときにはステップS3に移行する。ス
テップS3では、出力インタフェース21eから警告表
示回路26にハイレベルの警告信号を出力して、例え
ば、運転席のインストルメントパネルに設けた警告灯を
点灯し、リレー接点が異常状態にあることを表示する。
そして、ステップS4に移行して、図6に示す電動パワ
ーステアリング装置のモータ駆動制御処理を実行しない
ように、メイン処理プログラム等の上位プログラムに異
常検出フラグが“1”であることの異常通知を行い、異
常検出の処理を終了する。
【0028】ステップS2の判定で、異常検出フラグ
が、正常状態を示す論理値“0”のときには、ステップ
5に移行して、出力インタフェース21eからローレベ
ルのリレー制御信号SR を出力して、リレー駆動回路2
3bをオフ状態にする。これにより、リレーコイルへの
通電が遮断されて、リレー接点23cは例えばバネ等の
付勢力により開放状態におかれる。そして、ステップS
6に移行して、出力インタフェース21eからクラッチ
をオフ状態にするローレベルのクラッチ制御信号SC
出力して、電磁クラッチ装置11を非接続状態に保持す
る。本実施例では、電磁クラッチ装置11は、リレー接
点23cについての異常検査が終了するまでは、非接続
状態に保たれる。
【0029】次に、ステップS7に移行して、リレー接
点23cの端子電圧値Virを読み込み、メモリ21cの
所定の記憶領域に記憶する。そして、ステップS8に移
行して、端子電圧値Virとメモリ21cに予め設定され
た設定電圧Vrとを比較して、端子電圧値Virが設定電
圧Vr以下であるか否か判定する。リレー接点23cが
溶着等により接触していない正常な場合には、Vir≦V
rとなり、一方、接点溶着等による異常がある場合に
は、リレー接点間が導通することによりバッテリ16と
ほぼ同じ電圧が測定端子に現れ、Vir>Vrとなる。こ
こで、設定電圧Vrは、設定電圧Vrと同一の電圧がH
ブリッジ回路22bに供給された場合であっても、電動
モータ12が駆動されない例えば上限の値に設定されて
いる。上記のステップS5〜S8により、フェールセー
フ異常検出手段としてのフェールセーフリレー異常検出
処理が実行される。
【0030】端子電圧Virと設定電圧Vrの比較の結
果、Vir≦VrのときはステップS9に移行する。ステ
ップS9では、出力インタフェース21eからハイレベ
ルのリレー制御信号SR を出力し、リレー駆動回路23
bがオン状態になりフェールセーフリレー23aのリレ
ー接点23cが閉じられて、Hブリッジ回路22bにバ
ッテリ16の電流が供給される。そして、ステップS1
0に移行して、出力インタフェース21eからハイレベ
ルのクラッチ制御信号SC を出力し、電磁クラッチ装置
11を接続状態にする。これにより、異常検出の処理は
終了し、これ以降は図6に示すパワーステアリング装置
のモータ駆動制御処理が開始される。
【0031】ステップS8での判定の結果、Vir>Vr
のときはリレー接点23cは異常である判断として、ス
テップS11に移行し、出力インタフェース21eから
出力されるパルス幅変調信号PWM、右方向信号DR
及び左方向信号DL をそれぞれローレベルにする。この
結果、Hブリッジ回路22bに駆動信号が供給されない
ため、パワーステアリング装置の作動は行われない。
【0032】そして、ステップS12に移行して、ステ
ップS3と同様に、警告灯を点灯して異常状態にあるこ
とを表示する。次に、ステップS13に移行して、ステ
ップS4と同様に、電動パワーステアリング装置のモー
タ駆動制御処理を実行しないように異常検出フラグを
“1”にセットして、メイン処理プログラム等の上位プ
ログラムにこの異常通知を行い異常検出の処理を終了す
る。
【0033】次に、上述した異常検出処理の結果、異常
なしと判定されたとき、上位プログラムによって起動さ
れる電動パワーステアリング装置の駆動制御処理の処理
手順を、図6に示すフローチャートに基づいて説明す
る。このモータ駆動制御処理は、予め設定された所定時
間毎のタイマ割り込みによって行われ、例えば、数ms
ec毎に実行される。
【0034】まず、ステップS21で、A/D変換器2
0aを介して、位相補償器18で位相補償を行ったトル
クセンサ3からのトルク電圧値Tを読み込む。次いで、
ステップS22に移行し、T=T−V0 なる演算を行
い、中立時のトルク検出値Tが零となるようオフセット
処理を行う。次に、ステップS23に移行し、カウンタ
19のカウント値、すなわち、車速検出値Vを読み込
み、カウンタ19にリセット信号を出力してカウンタ値
をリセットし、次いで、ステップS24に移行して、図
7に示す、操舵トルクと車速とモータ電流との対応を表
す特性線図を参照し、例えば、トルク検出値Tと車速検
出値Vとに対応するモータ電流を検索し、これをモータ
電流指令値SI として設定する。
【0035】この特性線図は、ステアリングシャフト2
に入力された操舵トルクに対応する操舵補助力を電動モ
ータ12に発生させるために電動モータ12を駆動する
のに必要とするモータ電流と、操舵トルクと、車速との
対応を表したものであり、車速が小さくなるほどモータ
電流指令値は大きくなり、また操舵トルクが大きくなる
ほどモータ電流指令値は大きくなり、ある値を越えると
それ以上は大きくならないように設定されている。
【0036】そして、ステップS25に移行し、モータ
電流指令値SI に対して微分処理を行いこれを微分処理
値fD とし、次いで、ステップS26で右方向のモータ
電流検出値iR 及び左方向のモータ電流検出値iL を読
み込み、右方向のモータ電流検出値iR を正の値、左方
向のモータ電流検出値iL を負の値として設定し、これ
ら検出信号の和からモータ電流検出値iM を算出する。
すなわち、iM =iR−iL により算出する。
【0037】ここで、電流検出回路25では、左右方向
のモータ電流検出値iR 及びiL の実効値が得られるよ
う、それぞれの信号に対し充分なフィルタ処理を行って
いるものとする。次に、ステップS27に移行し、例え
ば、図8のフローチャートに示すような異常監視処理を
行う。
【0038】異常監視処理は、先ず、ステップS27a
で、モータ電流検出値iM の絶対値|iM |が、モータ
駆動回路22が正常に作動しているとみなす予め設定し
た最大電流値IMAX よりも小さいか否かを判定する。絶
対値|iM |が最大電流値IMAX よりも小さいときは、
モータ駆動電流は正常範囲内にあると判定してモータ駆
動制御処理プログラムに戻る。
【0039】一方、ステップS27aの判定の結果、|
M |≧IMAX のときには、Hブリッジ回路22bに過
大電流が流れており、異常が発生したものと判定してス
テップS27bに移行する。ステップS27bでは、ゲ
ート駆動回路22aへの各指令信号SM ,DR ,DL
“LOW”として出力し、これによってHブリッジ回路
22bの通電を遮断する。次いで、ステップS27cに
移行して、クラッチ駆動回路24へのクラッチ制御信号
C の出力を停止することによって、電磁クラッチ装置
11を作動して電動モータ12の出力軸と減速ギヤ10
とを離脱状態にする。
【0040】そして、ステップS27dに移行し、リレ
ー駆動回路23bへのリレー制御信号SR を“LOW”
として出力することによって、フェールセーフリレー2
2aを開放して、バッテリ16からのHブリッジ回路2
2bへの通電を遮断する。次に、ステップS27eで、
例えば、メイン処理プログラム等の上位プログラムに異
常通知を行って、処理を終了する。以後、上位プログラ
ムでは、モータ駆動制御処理を実行しない。
【0041】ステップS27の異常監視処理の結果、モ
ータ駆動電流に異常が検出されなかったときには、ステ
ップS28に移行する。ステップS28では、ステップ
S24で設定したモータ電流指令値SI とステップS2
6で算出したモータ電流検出値iM との差、すなわち、
M =SI −iM により、電流偏差eM を算出する。
【0042】次いで、ステップS29で、電流偏差eM
に所定の比例ゲインを乗算してこれを比例処理値fP
し、さらに、ステップS30で、この比例処理値fP
積分しこれを積分処理値fI として、比例処理値fP
び積分処理値fI をメモリ21cの所定の記憶領域に記
憶する。そして、ステップS31で、微分処理値f
D と、比例処理値fP と、積分処理値fI とを加算し、
これをモータ駆動信号SM とし、ステップS32に移行
する。
【0043】このステップS32では、モータ駆動信号
M がSM ≧0であるか否かを判定し、SM ≧0である
場合には、ステアリングホイール1が右操舵されたもの
としてステップS33に移行し、電動モータ12の回転
方向を正回転方向に設定する右方向信号DR を“HIG
H”とすると共に、左方向信号DL を“LOW”として
出力する。また、モータ駆動信号SM を出力インタフェ
ース21eに出力し、出力インタフェース21e内で発
生される鋸歯状波をもとに、モータ駆動信号SM の電圧
を所定のパルス幅を有したパルス幅変調信号PWMに変
換し、これをゲート駆動回路22aを介してHブリッジ
回路22bに供給する。そして、モータ駆動制御処理プ
ログラムを終了してメインプログラムに戻る。
【0044】一方、ステップS32で、SM ≧0でない
場合には、ステアリングホイール1を左操舵した状態で
あるものと判定してステップS34に移行し、電動モー
タ12の回転方向を逆回転方向に設定する左方向信号D
L を“HIGH”とすると共に、右方向信号DR を“L
OW”として出力する。また、モータ駆動信号SM をパ
ルス幅変調信号PWMに変換し、これをゲート駆動回路
22aを介してHブリッジ回路22bに供給する。そし
て、モータ駆動制御処理プログラムを終了してメインプ
ログラムに戻る。
【0045】次に、電動パワーステアリング装置に印加
されている電源をオフ状態にするときに、中央処理装置
によりリレー接点の異常検出を行う本実施例に係る処理
手順を、図9に示すフローチャートに基づいて説明す
る。この処理も、例えば所定のメインプログラムに対し
て所定時間毎のタイマ割り込み処理により実行される。
【0046】先ず、ステップS1aで、イグニッション
・スイッチ14がオフ状態にされたかどうか検知する。
実施例では検知信号IG がローレベルのときがイグニッ
ション・スイッチ14のオフ状態となる。イグニッショ
ン・スイッチ14のオフ状態が検知されない場合には、
メインプログラムに戻る。一方、イグニッション・スイ
ッチ14のオフ状態が検出されたときには、ステップS
5aに移行する。
【0047】ステップS5aでは、出力インタフェース
21eからローレベルのクラッチ制御信号SC を出力し
て、電磁クラッチ装置11を非接続状態に保持する。次
に、ステップS6aに移行して、ローレベルのリレー制
御信号SR を出力して、リレー駆動回路23bをオフ状
態にする。そして、イグニッション・スイッチ14をオ
ン状態にしたときに行った異常検出と同様に、ステップ
S7及びS8の処理を実行する。上記ステップS5a、
S6a、S7、及びS8によりフェールセーフ異常検出
手段としてのフェールセーフリレー異常検出処理が実行
される。
【0048】ステップS8で、端子電圧値Virと設定電
圧Vrの比較の結果、Vir≦Vrのときには、リレー接
点23cは正常であると判断して、ステップS51に移
行し、ローレベルの電源保持信号SV を出力してマイク
ロコンピュータ21への電源供給を停止し、異常検出の
処理を終了する。ステップS8での比較の結果、Vir>
Vrのときには、リレー接点23cは異常であると判断
してステップS52に移行する。ステップS52では、
バックアップメモリ21dの所定の記憶領域に、例え
ば、異常状態を示す論理値“1”の異常検出フラグを記
憶する。そして、ステップS53に移行し、ステップS
51と同様に、ローレベルの電源保持信号SV を出力し
てマイクロコンピュータ21への電源供給を停止し、異
常検出の処理を終了する。
【0049】次に、本実施例の全体の動作を説明する。
本実施例では、先ず、イグニッション・スイッチ14の
オン時に、ステップS1に示したように、バックアップ
メモリ21dに異常検出フラグが“1”にセットされて
いるか否かの判別処理が実行される。異常検出フラグが
“1”にセットされている場合には、インストルメント
パネルに設けた警告灯が点灯され、リレー接点が異常状
態にあることを運転者に警告する。異常検出フラグが
“0”にセットされている場合には、電磁クラッチ装置
11を非接続状態にして、リレー接点23cの接点溶着
等の異常検出を行い、リレー接点23cの端子電圧の検
出処理が実行される。リレー接点23cの異常が検出さ
れたときには電動パワーステアリング装置の作動は行わ
れず、異常が検出されないときには通常の補助操舵トル
クの制御へと移行し、電動パワーステアリング装置の駆
動制御処理が実行される。
【0050】そして、イグニッション・スイッチ14の
オフ時にも同様に、電磁クラッチ装置11を非接続状態
にして、リレー接点23cの異常検出の処理が実行され
る。異常が検出されたときにはバックアップメモリ21
dに異常状態の記憶が行われ、次のイグニッション・ス
イッチ14のオン時の異常検査によりリレー接点23c
の異常が警告灯に表示される。異常が検出されないとき
にはそのまま異常検出の処理を終了する。
【0051】このように、本実施例によれば、イグニッ
ション・スイッチのオン及びオフ時のフェールセーフリ
レーの異常検出処理時に、電磁クラッチ装置を非接続状
態にしてからフェールセーフリレーのリレー接点の端子
電圧が一定値以下であるか否か検査している。このた
め、異常検出処理時に、ステアリングホイールが回転さ
れていても電動モータが回転することはないので、ステ
アリングホイールの回転による発電の影響を回避するこ
とができ、確実にリレー接点の溶着等の異常を検出する
ことができる。また、ステアリングホイールが非回転状
態になるまで異常検出処理が実行できないということも
回避され、イグニッション・スイッチのオン時にはリレ
ー接点の異常検出が実行され、異常が検出されたときに
は電動パワーステアリング装置の作動が停止されるため
安全性が確保される。また、特に、イグニッション・ス
イッチのオフ時の異常検出の結果フェールセーフリレー
に異常が発見された場合には、その異常が記憶され、車
両の始動時に警告灯の点灯等により異常状態が表示され
る。このため、運転者はフェールセーフリレーに異常が
あることを始動時に確実に知ることができる。
【0052】なお、上記実施例では、フェールセーフ手
段としてリレー回路を用いているが、リレー回路の代わ
りにスイッチング半導体素子例えばトランジスタ又はF
ET等を用いて構成してもよい。また、上記実施例で
は、イグニッション・スイッチの投入時にフェールセー
フリレーの端子電圧の異常検出を行っているが、これに
限定されることなく、キースイッチのオン時に、コント
ローラに電源を供給してフェールセーフリレーの異常検
出を行ってもよい。
【0053】また、上記実施例では、イグニッション・
スイッチのオン及びオフのときにフェールセーフリレー
の異常検出を行っているが、オン又はオフにいずれかの
ときに異常検出を行っても上記の効果を得ることができ
る。また、リレー接点の端子電圧の異常検出をコンパレ
ータで行い、例えばコンパレータの一の入力端子に設定
電圧Vrを入力し、他の入力端子にフェールセーフリレ
ーの端子電圧Viを入力して、各入力電圧を比較し異常
を検出する構成としてもよい。
【0054】また、上記実施例においては、中央処理装
置から出力されたモータ駆動信号値をパルス幅変調信号
に変換して電動モータを駆動しているが、モータ駆動信
号値をパルス幅変調信号に変換せずにアナログ電圧信号
に変換すると共に、パルス幅変調信号PWMが入力され
ている各FETの代わりにNPNトランジスタに用い
て、このアナログ電圧に比例した電圧を各NPNトラン
ジスタのベース端子に印加して、電動モータを駆動する
構成にしてもよい。
【0055】また、上記実施例では、比例処理、積分処
理、及び微分処理の全ての処理を行ってモータ駆動信号
値を算出しているが、どの処理を組合せてモータ駆動信
号値を算出するかは任意に設定してよい。また、上記実
施例では、フェールセーフ異常検出手段をマイクロンピ
ュータによって形成した場合について説明したが、これ
に限定されず、演算回路、加算回路、論理回路等の電子
回路を組み合わせて構成することも可能である。
【0056】また、上記実施例では、FETによりモー
タドライブ回路を構成した場合について説明したが、こ
れに限らず、バイポーラトランジスタ等、その他のスイ
ッチング素子を適用することも可能である。また、イグ
ニッション・スイッチをオフ状態にしたときのフェール
セーフリレーの異常検出において、ステアリングホイー
ルを操舵中に駆動電流を瞬時に停止したときに発生する
キックバックの低減のために、モータ駆動電流を徐々に
低下させるようにしてもよい。この場合には、フェール
セーフリレー回路23に供給される電流を、イグニッシ
ョン・スイッチ14及びヒューズ15aを介して供給す
るのではなく、安定化電源回路VRの出力から供給し、
イグニッション・スイッチ14がオフ状態になった後も
モータ駆動回路に駆動電流を供給できるようにしてお
く。そして、ステップS1aでイグニッション・スイッ
チ14がオフ状態であると判断したときに、マイクロコ
ンピュータ21から例えばハイレベル側のパルス幅が徐
々に狭くなるパルス幅変調信号PWMを出力して、モー
タ駆動電流を徐々に減少させ、モータ電流検出値が十分
に低下してからステップS5aに移行してクラッチを開
放状態にする。
【0057】また、上記実施例では、トルク検出値のみ
に基づいて操舵状態を検知し、このトルク検出値に応じ
て補助操舵トルクを発生するモータ駆動制御について説
明したが、この他に、例えば、高速走行中に走行車線を
変更する場合には、操舵トルクの他に更に、ステアリン
グホイールの舵角速度や舵角加速度に応じて操舵状態を
検知し、これらの値に応じた補助トルクを発生してモー
タ駆動制御を行ってもよい。トルク検出値、舵角速度値
及び舵角加速度値に基づいて操舵状態を検知する制御回
路の概略ブロック図を図10に示す。
【0058】制御回路21Aは、図示の如く、電流指令
演算器31と、加減算器32と、比例演算器33と、積
分演算器34と、加算器35と、舵角速度加速度演算回
路36と、ダンパ係数回路37と、慣性補償係数回路3
8とから構成される。トルク検出値Tは、制御回路21
Aの電流指令演算器31に入力され、所定のモータ電流
指令値SI に変換された後、加減算器32に供給され
る。加減算器32には、モータ電流指令値SI の他に更
に、電流検出回路25、ダンパ係数回路37及び慣性補
償係数回路38のそれぞれの出力信号である電流検出信
号iM 、ダンパ信号DI および慣性信号KI が供給さ
れ、モータ電流指令値SI に対して、電流検出信号iM
の減算、ダンパ信号DI の減算、及び慣性信号KI の加
算の処理が行われる。加減算器32の出力信号が供給さ
れる比例演算器33では所定の比例ゲインが乗算され、
その乗算値は、加算器35に直接供給されると共に、所
定の積分処理を行う積分演算器34を介して同じく加算
器35に供給される。そして、加算器35からは所定の
モータ駆動信号がモータ駆動回路22に出力される。モ
ータ駆動回路22では、所定のパルス幅を有するパルス
幅変調信号PWMを舵角速度加速度演算回路36に出力
すると共に、モータ駆動電流を電動モータ12に供給す
る。そして、電動モータ12からは、モータ駆動電流値
iが、舵角速度加速度演算回路36及び電流検出回路2
5に出力される。舵角速度加速度演算回路36では、入
力されたパルス幅変調信号PWM及びモータ電流値iに
基づいて算出した舵角速度ω0 をダンパ係数回路37に
出力すると共に、同じく算出した舵角加速度ω1 を慣性
補償係数回路38に出力する。
【0059】舵角速度加速度演算回路36での舵角速度
ω0 及び舵角加速度ω1 の算出は次のように行われる。
先ず、パルス幅変調信号PWMのデューティ比D及び電
源電圧VBAT を用いると、電動モータ12に供給される
平均電圧Vは、次式のように表せる。 V=D・VBAT …(1) また、電動モータ12は回転することにより逆起電力が
発生し、逆起電力定数をkT とすると、電動モータ12
に発生する逆起電圧はkT ・ω0 となるので、コイル抵
抗Rを有する電動モータ12に供給された平均電圧Vは
次式のようにも表せる。
【0060】 V=kT ・ω0 +R・i …(2) 式(1)及び(2)より、舵角速度ω0 は次のように求
められる。 ω0 =(D・VBAT −R・i)/kT …(3) 式(3)を時間tで微分することにより、舵角加速度ω
1 が算出される。算出された舵角速度ω0 は、ダンパ係
数回路37で所定のダンパ係数KV と乗算され、この乗
算値をモータ電流指令値SI から減算してダンパ制御を
実行し、これにより、操舵系に電気的粘性抵抗が与えら
れ車両の安定性の向上が図られる。また、算出された舵
角加速度ω1 は、慣性補償係数回路38で所定の慣性補
償係数KG と乗算され、この乗算値とモータ電流指令値
I とを加算して慣性補償制御を実行し、これにより、
モータ慣性に起因するモータの応答性の遅れが補償され
る。なお、舵角加速度ω1 はセンサーで直接検出しても
よく、また、例えば、モータ軸に取り付けた角度センサ
ーにより検出された角度値を、時間tで微分して先ず舵
角速度ω0 を求め、更にもう一度微分して舵角加速度ω
1 を求めるようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
ェールセーフ手段についての異常検査時に、電動モータ
と操舵系の間に介挿されたクラッチ手段を非接続状態に
してから異常検出を行っている。このため、異常検査時
にステアリングホイールを回転させても電動モータは回
転しないため発電することがなく、フェールセーフ手段
の非導通異常を確実に検出することが可能になる。
【0062】また、異常検査時には、ステアリングホイ
ールの回転状態にかかわらず異常検出処理が実行される
ため、フェールセーフ手段が異常のまま電動パワーステ
アリング装置が作動するということは防止され、電動パ
ワーステアリング装置の安全性が向上するという効果を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクレーム対応図である。
【図2】本発明の一実施例を示す電動パワーステアリン
グ装置の概略構成図である。
【図3】トルク検出信号の特性線図である。
【図4】本実施例に係る電動パワーステアリング装置の
制御装置のブロック図である。
【図5】本実施例に係る、イグニッション・スイッチの
オン時における中央処理装置によるリレー接点の異常検
出の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施例に係る、電動パワーステアリング装置
の作動時における中央処理装置による制御処理手順を示
すフローチャートである。
【図7】車速をパラメータとした操舵トルクに対するモ
ータ電流指令値を示す特性線図である。
【図8】本実施例に係るモータ駆動電流の異常監視処理
手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施例に係る、イグニッション・スイッチの
オフ時における中央処理装置によるリレー接点の異常検
出の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】トルク検出値、舵角速度値及び舵角加速度値
に基づいて操舵状態を検知する制御回路の概略ブロック
図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 ステアリングシャフト 3 トルクセンサ 10 減速ギア 11 電磁クラッチ装置 12 電動モータ 13 コントローラ 14 イグニッション・スイッチ 17 車速センサ 21 マイクロコンピュータ 22 モータ駆動回路 23 フェールセーフリレー回路 24 クラッチ駆動回路 S5〜S8 異常検出処理(異常検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−283568(JP,A) 特開 平6−298104(JP,A) 特開 平2−81769(JP,A) 特開 平7−33033(JP,A) 特開 昭60−67262(JP,A) 特開 昭63−215461(JP,A) 特開 平2−270675(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B62D 5/00 - 5/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵系の操舵トルクを検出するトルク検
    出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モ
    ータと、該電動モータと前記操舵系との間に介挿された
    クラッチ手段と、少なくとも前記トルク検出手段のトル
    ク検出値に基づいて前記電動モータを制御する制御信号
    を出力する制御手段と、電源からの駆動電流が開閉指令
    に応動するフェールセーフ手段を介して供給され、且
    つ、前記制御手段の制御信号に基づいて前記電動モータ
    を駆動する駆動手段とを備える電動パワーステアリング
    装置の制御装置において、前記フェールセーフ手段について の異常検査時に、前記
    クラッチ手段を非接続状態とし、且つ、前記フェールセ
    ーフ手段に開放指令を出力した状態で、当該フェールセ
    ーフ手段の出力電圧を検出し、当該検出電圧値と設定値
    とを比較して異常を検出するフェールセーフ異常検出手
    段を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装
    置の制御装置。
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