JPH06210126A - 排ガスの処理方法およびその装置 - Google Patents

排ガスの処理方法およびその装置

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JPH06210126A
JPH06210126A JP5005737A JP573793A JPH06210126A JP H06210126 A JPH06210126 A JP H06210126A JP 5005737 A JP5005737 A JP 5005737A JP 573793 A JP573793 A JP 573793A JP H06210126 A JPH06210126 A JP H06210126A
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organic acid
exhaust gas
absorbent slurry
limestone
slurry
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JP5005737A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Matsuda
敏昭 松田
Tadaaki Mizoguchi
忠昭 溝口
Hiroyuki Kako
宏行 加来
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿式排ガス脱硫法等に用いられる吸収剤スラ
リ中の塩化物濃度の上昇に伴って脱硫性能が低下する問
題を解決し、吸収剤スラリが高濃度の塩化物を含有する
場合においても高い脱硫性能を確保する。 【構成】 高濃度の塩化物を含有する吸収剤スラリを用
いて排ガス中の硫黄酸化物等の酸性物質を吸収除去する
方法において、吸収剤スラリ中に有機酸もしくは有機酸
塩を添加し、吸収剤スラリ中の塩化物濃度またはpH値
もしくはその両方を検出し、その検出値により有機酸も
しくは有機酸塩の添加量を調整し制御する方法およびそ
の装置。 【効果】 高塩化物濃度の吸収剤スラリで高性能の脱硫
が可能となり、かつ低排水化運転を実現することができ
るので脱硫システムの低コスト化がはかられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排ガスの処理方法に係
り、特に石灰石を用いた吸収剤スラリ中に高濃度の塩化
物を含有した状態であっても排ガス中の硫黄酸化物(S
Ox)等を高効率で吸収除去し、副生品として石膏を回
収するのに好適な湿式排ガス処理方法およびその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】環境問題が地球的視野で論じられている
が、その汚染源としての主要物質は窒素酸化物(NO
x)および硫黄酸化物(SOx)である。我国の火力発
電所においては、排ガス中のNOxおよびSOx等の汚
染物質の濃度レベルを所定値以下に抑制する措置が講じ
られているが、ヨーロッパやアメリカなど一部の地域を
除くと、海外ではこのような対策は大きく立ち後れ深刻
な酸性雨問題を引き起こしている。環境汚染防止装置に
ついて、我国では既に20年以上の実績があり、技術的
信頼性は高いが、これを今後全世界的に普及させて行く
ためには装置の低コスト化を果たす必要がある。硫黄酸
化物(SOx)に限定して述べると、石炭または重油焚
きボイラの排ガスは、通常の場合数百ppmのSO2
含有し、これを脱硫装置で処理することによって煙突か
らは数十ppm程度のSO2を含有する排ガスを放出さ
せるのが最も一般的な脱硫方法である。現在、火力発電
所におけるボイラ排ガスを対象とした湿式排煙脱硫装置
の代表的な方式は、SO2の吸収剤として石灰石スラリ
を用い、最終的に石膏を副生させて回収する方法であ
る。この石灰石−石膏法による湿式脱硫方法のうち、現
在主流となりつつある1塔式の脱硫方法について、図4
を用いて説明する。なお、従来の湿式排煙脱硫装置とし
て、例えば特公昭61−16491号公報が挙げられ
る。図4において、排ガス1は吸収塔2に導かれる。吸
収塔2においては、その下部では主として冷却および除
塵が行われ、一方、吸収塔2の上部では脱硫反応が進行
する。吸収塔2を通過した排ガスは、同伴するミストを
デミスタ3によって除去し吸収塔2に導入される排ガス
1とガス・ガスヒータ4で熱交換された後に、浄化ガス
5として煙突6から大気中に排出される。一方、吸収剤
スラリとなる石灰石7は、石灰石スラリタンク8に供給
され石灰石スラリとなる。石灰石スラリは、その所定量
が石灰石スラリ供給ポンプ9により吸収塔循環タンク1
0に供給される。石灰石スラリの供給量は、処理される
硫黄酸化物(SOx)の量によって主に決定される。吸
収剤スラリは、吸収塔循環・抜出し兼用ポンプ11によ
ってタンク部から取り出され、吸収塔2内にスプレされ
て吸収塔2内を上昇する排ガスと気液接触しながら落下
し吸収塔循環タンク10に戻る。吸収塔循環タンク10
に戻った時点での吸収剤スラリは、SO2の吸収によっ
て生成した亜硫酸カルシウムを含有しているが、図4に
示したシステムでは、空気12を微細な気泡としてスラ
リ中に分散させる撹拌機13が吸収塔循環タンク10内
に設置されているので生成した亜硫酸カルシウムは石膏
に酸化される。このように、吸収塔循環タンク10に落
下した吸収剤スラリ中の亜硫酸塩は速やかに酸化される
ため、吸収塔循環タンク10内のスラリ中の固体物質の
大部分は石膏となり、石灰石および亜硫酸塩の含有量は
少量である。吸収塔循環タンク10内のスラリは、その
所定量が吸収塔循環・抜出し兼用ポンプ11により石膏
分離機14に送られ、粉末の石膏15が回収される。石
膏分離機14で発生する石膏分離母液16は、必要に応
じていったん排水タンク17に貯えられ、その所定量が
ポンプ18によって石灰石スラリタンク8に導かれ石灰
石スラリの調製に使用される。湿式排煙脱硫装置の吸収
部においては、排ガス中の塩化水素(HCl)やフッ化
水素(HF)等を吸収除去し、一方、石膏回収系で発生
する石膏分離母液16は吸収系に循環されるために、所
定量の排水を行わないと 吸収系内の塩化物(Cl-)濃
度が著しく高くなる。スラリ中の塩化物の濃度の上昇
は、装置材料を腐食させ、また副生品である石膏の純度
を低下させるという問題が生じるが、吸収剤スラリ中の
塩化物濃度を低レベルに維持して運転することは脱硫装
置への補給水量を増大させ、また排水処理設備が大型に
なるという問題がある。したがって、用水の確保あるい
は排水の投棄(放流)に対して厳しい規制を受ける場合
には、脱硫系内のCl-濃度を極力高めた状態で装置を
運転せざるを得なくなる。極端なケースとしては、排水
を全く出さないか、あるいは排水を乾燥固化するなどし
て、溶液状態での廃棄物を排出しないシステムが要求さ
れる。ところで、吸収剤スラリ中のCl-濃度が増大す
ることは、対イオンとしてのカルシウムイオン(Ca2
+)の増大を意味する。したがって、Ca2+濃度が高ま
ると共通成分としてのCaを含有する石灰石の反応性
(溶解反応)を低下させ脱硫装置全体の脱硫性能の低下
をもたらすという問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の湿式排煙脱硫法等に用いられる石灰石を含む
吸収剤スラリ中の塩化物(Cl-)濃度上昇に伴って脱
硫性能が低下するという問題点を解決し、吸収剤スラリ
が高濃度のCl-を含有する場合においても高い脱硫性
能を確保することができる排ガスの処理方法およびその
装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するために、高濃度の塩化物(Cl-)を含有する吸収
剤スラリを用いて排ガス中の硫黄酸化物等の酸性物質を
吸収除去する方法において、吸収剤スラリのpHと共
に、該スラリ中の塩化物濃度を検出し、その検出値によ
って有機酸もしくは有機酸塩の添加量を調整して吸収剤
スラリ中の石灰石の溶解速度を制御し、また排ガス処理
によって生じた亜硫酸塩を吸収塔循環タンク内で酸化し
ながら石膏として回収することにより脱硫反応を高効率
に維持するものである。本発明は、排ガス中に含まれる
酸性物質を、石灰石と有機酸もしくは有機酸塩を含有す
る吸収剤スラリを用いて吸収除去する排ガスの処理方法
であって、上記有機酸もしくは有機酸塩の添加量を、上
記吸収剤スラリ中に含まれる塩化物濃度または吸収剤ス
ラリのpH値もしくはその両方の値によって調整し制御
する排ガスの処理方法である。本発明の吸収剤スラリ中
に添加する有機酸もしくは有機酸塩としては、酢酸、蟻
酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸もしくは
これらの塩のうちから選ばれる少なくとも1種を用いる
ことができる。そして、有機酸もしくは有機酸塩の添加
量は、吸収剤スラリのpH値が4.5以下であって、塩
化物濃度が0、0.5、1.0、1.5または2.0モルの
場合に、それぞれ0、0.2、0.3、1.0または1.8
ミリモル以上含有することが好ましい。また、吸収剤ス
ラリのpH値が5.0以下であって、 塩化物濃度が
0、0.5、1.0、1.5または2.0モルの場合に、そ
れぞれ0、0.2、0.7、3.0または13ミリモル以
上含有することが好ましい。さらに、吸収剤スラリのp
H値が5.5以下であって、塩化物濃度が0、0.5、
1.0、1.5または2.0モルの場合に、それぞれ0、
0.8、2.0、6.0または20ミリモル以上含有する
ことが好ましい。本発明は、排ガス中に含まれる硫黄酸
化物、塩化物、フッ化物等の酸性物質を、石灰石と有機
酸もしくは有機酸塩を含有する吸収剤スラリを循環させ
ながら気液接触により吸収除去する吸収塔と、該吸収塔
の下部に設けられた吸収剤スラリ循環タンクと、該吸収
剤スラリ循環タンク内に空気を供給して硫黄酸化物の吸
収によって生じた亜硫酸塩を酸化して石膏とする手段を
有する湿式排ガス処理装置において、上記吸収剤スラリ
循環タンク内の吸収剤スラリ中の塩化物濃度測定器と、
上記吸収剤スラリのpH測定器と、上記塩化物濃度測定
器からの塩化物濃度検出値または上記pH測定器からの
pH検出値もしくはその両方の検出値から有機酸または
有機酸塩の添加量を調整し制御する手段を少なくとも備
えた排ガス処理装置である。
【0005】
【作用】本発明の排ガス処理方法は、高濃度の塩化物を
含有する吸収剤スラリ(固体の主成分は石膏であり、そ
れ以外に少量の石灰石を含む)中に有機酸もしくは有機
酸塩(以下単に有機酸塩と言う)を共存させることを特
徴とするが、この有機酸塩は吸収塔循環タンク内におけ
る吸収剤スラリ中の石灰石の溶解反応に対して、次に示
す(化1)〜(化8)の反応により石灰石の溶解反応が
制御されるものと考えられる。石灰石(CaCO3)の
溶解反応はミクロ的に見た時、次のように進行するもの
と考えられる。 CaCO3=Ca2+ +CO32- …(化1) CO32- +H2O=HCO3- +OH- …(化2) CO3 2- +H+ =HCO3- …(化3) HCO3- +H+ =H2CO3 …(化4) H2CO3=CO2+H2O …(化5) OH- +H+ =H2O …(化6) 吸収剤スラリ中の石灰石の粒子表面では(化1)の反応
が進行するが、表面近傍の液と液本体とは瞬時に混合す
るのではなく、液本体と比較すると石灰石粒子表面近傍
の炭酸イオン(CO32-)濃度は高い。石灰石の溶解反
応が進行するためには(化1)の反応が右向きに進行し
なければならない。 このためにはCO32-の除去反
応、したがって(化2)〜(化6)の反応が右向きに進
行しなければならない。換言すれば、吸収剤スラリ中に
存在する水素イオン(H+)によってCO32-が分解さ
れ、CO2として気相中に飛散することによって(化
1)の反応が進行することになる。CaCO3の溶解反
応の促進に対する有機酸塩の添加効果は、次のように説
明することができる。すなわち、有機酸(RH)は(化
7)のように解離反応をおこし、各化学種の濃度
([ ]で表わす)の間には、酸解離定数kaによって
決定される(化8)の関係が存在する。 RH=R- +H+ …(化7) ka=[R-][H+]/[RH] …(化8) H+が添加されると液中の有機酸イオン(R-)がH+を
受取ってRHを生じ、一方、H+が消費された場合に
は、RHが酸解離反応を起こしてからH+が供給され
る。なお、石灰石の粒子表面近傍は液本体よりも高いp
H条件にあり、この部分にRHが接近した場合には(化
7)の反応によってH+を放出する。したがって、有機
酸塩が存在する場合の方が石灰石の溶解速度は上昇する
ことになる。石灰石の粒子表面近傍でH+を放出して生
じたR-が液本体に拡散して戻ると(化8)の関係を保
つために、液中のH+を奪ってRHの量を増大させる方
向に反応が進行する。このことは、液中のH+濃度の低
下、すなわちpHの上昇を意味するものであり、この場
合には新たな酸が添加される。このように有機酸イオン
(R-)はH+のキャリアとして石灰石の溶解反応に対し
て触媒的に作用することになる。酢酸塩や蟻酸塩などの
ような有機酸塩が脱硫性能を向上させること、一方塩化
物(Cl-)が存在すると脱硫性能を低下させることは
よく知られている事実である。したがって、Cl-濃度
が高い石灰石含有スラリを用いる脱硫方法において、有
機酸塩を添加することによって脱硫性能を向上させるこ
とは容易に理解される。ところで、排煙脱硫装置におい
て吸収剤スラリ中の石灰石の利用率を最終的に決定する
のは吸収塔循環タンクであり、該タンク内において石灰
石の残存量が低下するように反応(挙動)させない限
り、脱硫装置全体における石灰石の利用率を所期の値に
確保することはできない。本発明者らは上述の石灰石の
溶解制御反応を考慮し、高Cl-濃度吸収剤スラリを用
いる場合に好適な排煙脱硫方法を開発するに至った。す
なわち、循環タンク内において、石灰石はスラリ中の酸
と反応するが、この酸のH+は元来SO2がCaCO3
有スラリによって吸収された際に生じた亜硫酸イオン
(HSO3-)中のH+である。HSO3-中のH+がCaC
3に渡される反応として2種類が考えられる。その1
つは、HSO3-がスラリ液中のCa2+との間でCaSO
3・1/2H2Oを沈澱させる場合の(化9)に示される
反応であり、他方は、HSO3-が硫酸に酸化された場合
の(化10)に示される反応である。 CaCO3
H+の反応自体は速やかに進行するため、吸収塔循環タ
ンク内におけるCaCO3の消費速度は、前段のH+放出
反応(化9)の速度に依存することになる。 2HSO3- +Ca2+ +H2O=CaSO3・1/2H2O+2H+ …(化9) 2HSO3- +O2=2SO42- +2H+ …(化10) 後者の(化10)に示される反応は、人為的にその速度
を調整することができ、前者よりも速やかに進行する。
すなわち、SO2の吸収によって生じたHSO3-を酸化
させることによってH+を速やかに生成することがで
き、それによって吸収塔循環タンク内におけるCaCO
3の消費(溶解)速度が増大することになる。吸収剤ス
ラリ中にCl-が存在する場合は、石灰石(CaCO3
とH+との反応速度は低下するが、この反応速度を高め
るためには、その分解剤となるH+が速やかに供給され
ることが前提となる。したがって、亜硫酸塩を酸化して
速やかにH+を放出させることは、石灰石との反応性を
高める上で望ましいことである。また、有機酸塩の添加
効果もH+が十分な速度で供給される場合において初め
て顕著に発現するものである。脱硫反応によって生じた
HSO3-からH+を放出させる反応が(化9)に示すよ
うなCaSO3・1/2H2Oの析出と連動している場合
には、折角有機酸塩を添加してもその効果を十分に発揮
させることができない。このようにCl-濃度が高い場
合において、吸収剤スラリ中の亜硫酸塩濃度を極力低減
させた状態で運転することは有効であり、また有機酸塩
の添加効果も吸収剤スラリ中の亜硫酸塩濃度を極力低減
させた状態で運転する場合において顕著となる。なお、
この有機酸塩の添加をより効率的に行うためには、液中
のCl-濃度およびpHによって添加する有機酸塩の量
を調整すべきである。すなわち、Cl-濃度およびpH
によって石灰石の反応性が異なり、所期の脱硫性能を確
保するためにはCl-濃度およびpHによって有機酸塩
の添加量を調整し制御すべきである。これが、本発明の
排ガス処理方法の基本的原理である。
【0006】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ、図面を用いて
さらに詳細に説明する。 〈実施例1〉図1は、本実施例において例示した排ガス
処理装置の構成を示す模式図である。本発明の排ガス処
理方法は、吸収剤スラリの成分調整、すなわち吸収剤ス
ラリ中に有機酸塩を添加含有させること、またその添加
量の決定方法に特徴を有するものであって、SO2等の
吸収に関しては従来の装置と同様の方式で実施すること
ができる。排ガス1中のSO2は、吸収塔循環・抜出し
兼用ポンプ11によって抜出された吸収剤スラリを吸収
塔2に供給して排ガスと接触させることによって除去さ
れるが、SO2吸収条件、吸収塔循環タンク10内にお
ける亜硫酸塩の酸化方式などによって本発明の排ガス処
理方法が制約を受けることはない。このうち亜硫酸塩の
酸化に関しては、上記タンク10内に微細空気を供給す
ることによって、また微細空気の気泡の発生方法として
は、撹拌機13の撹拌翼近傍に空気12を供給する方法
によって容易に達成することができる。なお、図1はS
2吸収剤として石灰石を用い、石膏を回収する場合の
装置のフローを示した図であるが、石灰石7を用いる方
式で石膏を回収しない場合には、図1における石膏回収
相当部を省略する形で本発明の排ガス処理方法を実施す
ることもできる。本発明の排ガス処理方法は、吸収剤ス
ラリ中の塩化物濃度およびpHの値によって有機酸塩の
添加量を制御することに特徴を有するものであり、有機
酸塩の種類およびその添加方法によって本発明は制約を
受けるものではない。有機酸塩としては、酢酸、蟻酸、
アジピン酸、コハク酸、酒石酸またはクエン酸などの
酸、あるいはこれらの有機酸に相当する塩を、固体ある
いは液体状態で吸収塔循環タンク10内、あるいは石灰
石スラリタンク8に供給することができる。本発明の方
法においては、吸収剤スラリ中の塩化物濃度およびpH
を測定し、それに対応する量の有機酸塩を添加するが、
塩化物濃度およびpHの測定は吸収塔循環タンク10内
のスラリを対象とすることを基本とする。なお、スラリ
中の塩化物濃度を測定する代りに排ガス中の塩化水素
(HCl)濃度を測定し、それに応じて有機酸塩を添加
する方法も考えられる。図1には、循環タンク内スラリ
を対象として塩化物濃度およびpHを、それぞれ塩化物
濃度測定器20およびpH測定器21によって測定し、
両測定信号により、石灰石スラリタンク8において石膏
分離母液16と石灰石7とから石灰石スラリを調製する
際に、所定量の有機酸塩19を添加するようにした場合
のフローを示すものである。有機酸塩の適正添加量は、
所定のpHを有する吸収塔循環タンク10内のスラリが
事実上塩化物の影響を受けない場合と同等の石灰石の反
応性を与えるのに必要な有機酸塩の量とすることが合理
的であり、本発明の排ガス処理方法においてもこれを基
本指針とする。すなわち、吸収剤スラリ中における石灰
石の反応性は、Cl-濃度およびpHによって影響を受
けるが、本発明の方法はpHが一定の場合にはCl-濃
度によらずに所定の石灰石の反応性が得られるように有
機酸塩を添加することができる。なお、塩化物濃度が6
0mM(ミリモル)未満の場合には石灰石の反応性に及
ぼす影響は小さい。しかし、石灰石の反応性に及ぼす有
機酸塩の添加効果は顕著に現われるため、有機酸塩を添
加することによりSO2吸収部および吸収塔循環タンク
部のコンパクト化をはかることができる。
【0007】本発明の方法によって有機酸塩の添加量を
調整し制御すれば、Cl-濃度のレベルに無関係に所定
の石灰石の脱硫反応性を確保することができるが、有機
酸塩の添加量を増加させたり、あるいは有機酸塩の添加
量一定の条件で吸収剤スラリの pHを低下させれば、
石灰石の脱硫反応性がさらに上昇することは明らかであ
る。ただし、有機酸塩を添加すると排水中のCODが増
大し排水処理の面で好ましくなく、また多量に添加する
ことは当然に経済的な問題を生ずる。一方、低pH条件
下での運転では装置材料の腐食や副生する石膏の品質上
に問題が生じるため、適正な排ガス処理の運転条件とし
ては吸収剤スラリのpHと有機酸塩の添加量の双方を考
慮して決定することが必要となる。湿式排ガス脱硫処理
を図1にしたがって運転を続けると、吸収剤スラリ中に
塩化物が蓄積してくる。塩化物の濃度が所定値以上にな
ると、装置材料の腐食を進行させ、また脱硫性能そのも
のが低下するという不具合が生ずる。したがって、石膏
分離母液16の一部を系外に排出するという措置がとら
れる。本発明の方法においても有機酸塩を含有する石膏
分離母液16を所定の割合で系外に排出する必要があ
り、有機酸塩は循環使用されるとしても絶えず吸収剤ス
ラリ中の濃度を所定レベルに維持するように添加(メイ
クアップ)し調整する必要がある。このように本発明の
排ガス処理方法は、有機酸塩を絶えず供給するために、
不必要に添加し高濃度にすることは経済的ではない。有
機酸塩の濃度は、20mM(ミリモル)程度が実用的に
みた上限値であり、またこの範囲の添加量で十分な効果
が発現することは、以下に示す実施例から明らかであ
る。
【0008】〈実施例2〉次に、具体的実験結果をもと
に本発明の排ガス処理方法について説明する。100m
l(ミリ リットル)ビーカに水90mlを入れて恒温
水浴中に浸漬した。 マグネチックスターラで撹拌を続
け、液温が50℃になったことを確認した時点で平均粒
径10μmの石灰石2m mol(ミリモル…アルカリ
含有量基準)および石膏0.4gを添加した。液のpH
が4.5になるまで自動滴定装置を用いて1Nの硫酸を
滴下し、以後、液のpHが4.5を維持するように1N
の硫酸を滴下し続けた(pHスタット法)。 同様に、
pHを5.0、5.5および6.0としてpHスタット法
滴定実験を行った。石灰石の溶解残量Cを反応時間tに
対してプロットし、Cとtの間に(数1)の関係が成立
するものとして結果を整理した。 C=C0exp(−kt) (数1) その結果、pH4.5、5.0、5.5および6.0におけ
るk値としてそれぞれ4.19、2.55、1.41およ
び0.75h~1が得られた。次に、所定pHにおける石
灰石と酸との反応に対する塩化物濃度の影響について調
べた。ただし、この場合には所定量の塩化カルシウム
(CaCl2)を含有する溶液に、石膏および石灰石を
添加したものを試料溶液(吸収剤スラリ)とした。得ら
れた石灰石の溶解速度指数kを図2に示す。pH4.5
の場合には、塩化物濃度が20mMまでは石灰石の反応
性に影響を及ぼさないが、それ以上になると石灰石の反
応性は次第に低下し、0.2、1.0および2.0M(モ
ル)の場合のk値は、それぞれ3.29、2.78および
2.09となった。このように塩化物濃度が2.0Mと高
い場合には、塩化物がない場合のk値(4.19)の半
分以下になる。pH5.0および5.5の場合も同様であ
り、塩化物濃度が数10mM以上で石灰石の反応性はし
だいに低下することが明らかである。また、pHが低い
場合の方が石灰石の反応性が高いことを示している。上
記と同様の方法で、pH4.5、塩化物濃度2.0M(C
aCl2として1.0M)の場合に、酢酸ナトリウムを
1、5および10mM添加すると、k値はそれぞれ3.
52、6.19および6.91が得られた。酢酸塩濃度に
対してk値をプロットし、塩化物が共存しない場合にお
けるk値と同一のk値を示すに必要な酢酸塩の添加濃度
(以下「最小有機酸塩添加濃度」という)として1.8
mMを得た。同様にして、塩化物濃度が0.5、1.0お
よび1.5Mの場合の有機酸塩の最小添加濃度として、
それぞれ0.2、0.3および1.0mMが得られた。図
3に示す曲線Aは上記の方法で求めたものである。以
下、同様にして、pH5.0および5.5の場合について
塩化物濃度と有機酸塩の最小添加濃度との関係を求め
た。その結果を図3の曲線BおよびCに示す。以上の結
果から明らかなように、図3によって所定濃度の塩化物
を含むスラリ溶液中において、塩化物が存在しない場合
と同等の石灰石の反応性を得るに必要な有機酸塩の添加
量を求めることができる。本発明の排ガス処理方法によ
れば、Cl-濃度による石灰石の反応性の低下を有機酸
塩の添加によって補償することができる。なお、Cl-
濃度およびpHが一定の場合には、図3により求められ
る量よりも多量の有機酸塩を添加したり、あるいは有機
酸塩の添加量を図3から決定される量とした状態でpH
を低下させれば、石灰石の反応性は対照区(所定pHで
Cl-濃度を含有しない場合)よりも上昇することは明
らかである。
【0009】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の排
ガス処理方法によれば、吸収剤スラリ中に有機酸または
有機酸塩を添加してpHを制御することにより、高塩化
物濃度の吸収剤スラリであってもスラリ中の石灰石の溶
解速度を高めることができるので、脱硫性能が向上し、
高効率の排ガス脱硫システムを実現することができる。
また、低排水化運転が可能となるので排ガス脱硫装置の
低コスト化がはかられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で例示した湿式排ガス脱硫装置
の構成を示す系統図。
【図2】本発明の実施例で例示した吸収剤スラリ中の塩
化カルシウムの濃度と石灰石の溶解速度指数との関係を
示すグラフ。
【図3】本発明の実施例で例示した吸収剤スラリの塩化
物濃度と有機酸塩の最小添加濃度との関係を示すグラ
フ。
【図4】従来の湿式排ガス脱硫装置の構成を示す系統
図。
【符号の説明】
1…排ガス 2…吸収塔 3…デミスタ 4…ガス・ガスヒータ 5…浄化ガス 6…煙突 7…石灰石 8…石灰石スラリタンク 9…石灰石スラリ供給ポンプ 10…吸収塔循環タンク 11…吸収塔循環・抜出し兼用ポンプ 12…空気 13…撹拌機 14…石膏分離機 15…石膏 16…石膏分離母液 17…排水タンク 18…ポンプ 19…有機酸塩 20…塩化物濃度測定器 21…pH測定器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排ガス中に含まれる酸性物質を、石灰石と
    有機酸もしくは有機酸塩を含有する吸収剤スラリを用い
    て吸収除去する排ガスの処理方法であって、上記有機酸
    もしくは有機酸塩の添加量を、上記吸収剤スラリ中に含
    まれる塩化物濃度または吸収剤スラリのpH値もしくは
    その両方の値によって調整し制御することを特徴とする
    排ガスの処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、吸収剤スラリ中に添加
    する有機酸もしくは有機酸塩は、酢酸、蟻酸、アジピン
    酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸もしくはこれらの塩の
    うちから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴と
    する排ガスの処理方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、有機酸
    もしくは有機酸塩の添加量は、吸収剤スラリのpH値が
    4.5以下であって、塩化物濃度が0、0.5、1.0、
    1.5または2.0モルの場合に、それぞれ0、0.2、
    0.3、1.0または1.8ミリモル以上含有することを
    特徴とする排ガスの処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1または請求項2において、有機酸
    もしくは有機酸塩の添加量は、吸収剤スラリのpH値が
    5.0以下であって、塩化物濃度が0、0.5、1.0、
    1.5または2.0モルの場合に、それぞれ0、0.2、
    0.7、3.0または13ミリモル以上含有することを特
    徴とする排ガスの処理方法。
  5. 【請求項5】請求項1または請求項2において、有機酸
    もしくは有機酸塩の添加量は、吸収剤スラリのpH値が
    5.5以下であって、塩化物濃度が0、0.5、1.0、
    1.5または2.0モルの場合に、それぞれ0、0.8、
    2.0、6.0または20ミリモル以上含有することを特
    徴とする排ガスの処理方法。
  6. 【請求項6】排ガス中に含まれる硫黄酸化物、塩化物、
    フッ化物等の酸性物質を、石灰石と有機酸もしくは有機
    酸塩を含有する吸収剤スラリを循環させながら気液接触
    により吸収除去する吸収塔と、該吸収塔の下部に設けら
    れた吸収剤スラリ循環タンクと、該吸収剤スラリ循環タ
    ンク内に空気を供給して硫黄酸化物の吸収によって生じ
    た亜硫酸塩を酸化して石膏とする手段を有する湿式排ガ
    ス処理装置において、上記吸収剤スラリ循環タンク内の
    吸収剤スラリ中の塩化物濃度測定器と、上記吸収剤スラ
    リのpH測定器と、上記塩化物濃度測定器からの塩化物
    濃度検出値または上記pH測定器からのpH検出値もし
    くはその両方の検出値から有機酸または有機酸塩の添加
    量を調整し制御する手段を少なくとも備えたことを特徴
    とする排ガス処理装置。
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