JP3342108B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

Info

Publication number
JP3342108B2
JP3342108B2 JP14651293A JP14651293A JP3342108B2 JP 3342108 B2 JP3342108 B2 JP 3342108B2 JP 14651293 A JP14651293 A JP 14651293A JP 14651293 A JP14651293 A JP 14651293A JP 3342108 B2 JP3342108 B2 JP 3342108B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brake
control
slip
value
fluid pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14651293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH072080A (ja
Inventor
晴樹 岡崎
知之 平尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP14651293A priority Critical patent/JP3342108B2/ja
Publication of JPH072080A publication Critical patent/JPH072080A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3342108B2 publication Critical patent/JP3342108B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車両のスリップ制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、滑り易い路面での車両の発進
時、またコーナリング時などに駆動輪の路面に対するス
リップ率が過大(空転状態)になるのを防止して、発進
性、加速性や車両の走行安定性を満足させるようにした
所謂スリップ制御装置(ブレーキトラクションおよびエ
ンジントラクション制御装置)が種々提案されるように
なっている。
【0003】上記スリップ制御は、要するに駆動輪への
付与トルク(トラクション)を低減することにより行なわ
れ、このため駆動輪へブレーキ力を与えるブレーキ制御
やエンジンの発生トルク(出力)を低下させるエンジン制
御(例えば燃料カット、点火時期のリタードなど)が行な
われる。このブレーキトラクション制御およびエンジン
トラクション制御の場合共に、駆動輪の路面に対する実
際のスリップ値が所定の目標値となるようにフィードバ
ック制御される。
【0004】ところで、上記のようなスリップ制御装置
におけるブレーキトラクション制御では、駆動輪側ブレ
ーキ用ホイールシリンダに油圧を供給する油圧源を運転
者のペダル操作に応じて作動する通常のブレーキ油圧系
統から運転者の意志と関係なく作動するブレーキトラク
ション制御用油圧系統に切換える油圧系統切換バルブと
ブレーキトラクション制御において上記ブレーキホイー
ルシリンダの油圧値の増減圧状態を制御する増減圧コン
トロールバルブとを有しており、該油圧系統切換バルブ
の切換えにより上記2組の油圧系統を任意に選択する一
方、ブレーキトラクション制御中には上記増減圧コント
ロールバルブによりブレーキ力を制御するようになって
いる。
【0005】しかし、上記通常のブレーキ系統からブレ
ーキトラクション制御系に切換えられた時、作動油圧の
油圧値Pが判明しないと正確な増減圧コントロールバル
ブの開閉弁時間の制御を行うことはできない。
【0006】そこで、例えば特開昭63−17158号
公報に示されるように、車輪にスリップが生じ、通常の
ブレーキ油圧系統からブレーキトラクション制御用油圧
系統に切換えられた場合、ブレーキトラクション制御用
油圧系統による制御の終了時点を特定の累積値を使用し
て決定することにより、ブレーキトラクション制御(ス
リップ制御)の信頼性を向上させるようにしたものが提
案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
スリップ制御装置では、上記ブレーキ油圧推定の累積値
の演算に際し、上述の油圧系統切換バルブが通常のブレ
ーキ油圧系統からブレーキトラクション制御用油圧系統
に切換えられた時点から上記ブレーキトラクション制御
時の油圧コントロール用増減圧コントロールバルブの油
圧増減動作に応じた値(開閉弁時間)を単純に累積的に加
算又は減算しているだけであり、該累積値が油圧値0等
所定の値に達すると上記油圧系統切換バルブへの通電を
停止し、通常のブレーキ油圧系統による制御に切換える
ようにしている。しかし、該構成のように、増減圧コン
トロールバルブの油圧増減動作に対応した値を累積して
も、例えば一旦ブレーキペダルが踏まれてブレーキトラ
クション制御系の油圧値が零になった後、再びブレーキ
トラクション制御に移った時に実際の油圧値と関係なく
零から累積して行くことになるから正確な油圧の推定は
不可能で、ブレーキトラクション制御(スリップ制御)の
信頼性が低くなる問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1〜各項
記載の発明は、各々上記従来の問題を解決することを目
的としてなされたもので、各々次のように構成されてい
る。
【0009】(1) 請求項1記載の発明の構成 この発明の車両のスリップ制御装置は、駆動輪に対しブ
レーキ作動液圧に応じた制動力を付与するブレーキ装置
と、該ブレーキ装置にブレーキ作動液圧を供給するため
のオイルポンプと、弁部の開閉により上記オイルポンプ
から上記ブレーキ装置に供給されるブレーキ作動液圧を
増減圧調整する電磁開閉弁と、該電磁開閉弁の開閉弁時
間を上記駆動輪の路面に対するスリップ量に応じて制御
するスリップ制御手段と、該スリップ制御手段の作動時
における上記電磁開閉弁の開閉弁時間に対応した値を累
積的に加算又は減算することにより上記ブレーキ装置
ブレーキ作動液圧を推定するブレーキ作動液圧推定手段
とを備えてなる車両のスリップ制御装置において、車両
のブレーキペダルの操作に応じて上記ブレーキ装置にブ
レーキ作動液圧を供給するマスタシリンダと、上記ブレ
ーキ装置に対するブレーキ作動液圧の供給源を上記オイ
ルポンプ又はマスタシリンダのいずれかに切換える電磁
式の開閉弁を有する液圧切換回路とをさらに備え、上記
スリップ制御手段は、その作動時に上記オイルポンプか
らブレーキ装置へブレーキ作動液圧が供給されるように
上記液圧切換回路を切換えるようにし、また、上記ブレ
ーキ作動液圧推定手段は、上記ブレーキ装置非作動状
態のブレーキ作動液圧に対応する第1の基準値と該第1
の基準値よりも高い第2の基準値とを有し、上記スリッ
プ制御手段の非作動時でかつ上記ブレーキペダルが踏み
操作されて上記ブレーキ装置が作動しているときには、
ブレーキ作動液圧が上記第2の基準値であると推定し、
この推定値を上記スリップ制御手段の作動開始時に推定
演算の初期値とす ようにしたことを特徴とするもので
ある。
【0010】(2) 請求項2記載の発明の構成 この発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1記
載の発明の構成において、上記ブレーキ作動液圧推定手
段が上記スリップ制御手段によるスリップ制御終了後も
推定値が上記第1基準値に達するまではブレーキ作動
液圧の推定を続けるように構成されていることを特徴と
するものである。
【0011】(3) 請求項3記載の発明の構成 この発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1記
載の発明の構成において、上記ブレーキ作動液圧推定手
が、上記ブレーキ装置が作動状態から非作動状態に移
行したときはブレーキ作動液圧を上記第2の基準値から
第1の基準値側に徐々に変化するように推定するように
構成されていることを特徴とするものである。
【0012】(4) 請求項4記載の発明の構成 この発明の車両のスリップ制御装置は、上記請求項1
2又は3のいずれかに記載の発明の構成において、上記
ブレーキ作動液圧推定手段の第2の基準値が、上記ブレ
ーキ装置のブレーキパッドがブレーキディスクに当接す
る圧力値に対応した値に設定されていることを特徴とす
るものである
【0013】
【作用】本願の請求項1〜各項記載の発明の車両のス
リップ制御装置は、各々上記構成に対応して次のような
作用を奏する。
【0014】(1) 請求項1記載の発明の作用 この発明の車両のスリップ制御装置の構成では、上記の
如くブレーキ作動液圧推定手段が、スリップ制御手段の
非作動時であってかつブレーキペダルが踏み操作されて
ブレーキ装置が作動しているときには、ブレーキ作動液
圧をブレーキ装 置の非作動時よりも高い第2の基準値に
推定し、この推定値をスリップ制御手段の作動開始時に
推定演算の初期値とするように構成されており、このこ
とで、従来までと比べて正確なブレーキ作動液圧の推定
が可能となり、正確なその時のブレーキ作動液圧に応じ
た電磁開閉弁の適正な増減圧制御が実現される。
【0015】(2) 請求項2記載の発明の作用 この発明の車両のスリップ制御装置の構成では、上記請
求項1記載の発明の構成において、上記ブレーキ作動液
圧推定手段が上記スリップ制御手段によるスリップ制御
終了後もその推定値が上記第1の基準値に達するまでは
ブレーキ作動液圧の推定動作を続けるように構成されて
いるので、スリップ制御がOFFになって所定時間後に
再びスリップ制御状態に入ような時にも液圧0から推
定するようなことなく可及的に正確な初期値でスリップ
制御を行うことができる
【0016】(3) 請求項3記載の発明の作用 この発明の車両のスリップ制御装置の構成では、上記請
求項1記載の発明の構成において、上記ブレーキ作動液
圧推定手段が、上記ブレーキ装置の作動状態から非作動
状態に移行したブレーキ作動液圧を上記第2の基準値か
ら徐々に第1の基準値側に推定するように構成されてい
るので、例えばブレーキパッドのブレーキディスク当接
状態からの戻り状態に応じた液圧の推定が可能となり、
次のスリップ制御開始に備えて初期値を適正に設定する
ことができる。
【0017】(4) 請求項4記載の発明の作用 この発明の車両のスリップ制御装置の構成では、上記請
求項1,2又は3のいずれかに記載の発明の構成におい
て、上記ブレーキ作動液圧推定手段の第2の基準値が、
上記ブレーキ装置のブレーキパッドがブレーキディスク
に当接する圧力値に対応した値に設定されていることか
ら、実際のブレーキパッド移動に要する時間に対応した
正確な液圧推定が可能となる。
【0018】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の車両のスリップ
制御装置によると、従来のようなバルブ開閉弁時間の加
算値、減算値の累積値のみでブレーキ作動液圧を推定す
るものと異なり、推定液圧の精度が高く、従って新な制
御開始時の初期値の精度が高くなり、制御精度も向上す
る。
【0019】
【実施例】以下本願発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
【0020】先ず図1は同実施例における車両のスリッ
プ制御装置の全体的な構成を示し、この車両は、左右の
前輪2FL,2FRが従動輪とされ、左右の後輪2RL,
2RRが駆動輪(FR)とされていて、駆動輪2RL,2
RRの駆動力を制御してスリップ量をコントロールする
ために、ブレーキ制御とエンジン制御と変速制御用のA
Tコントローラ60を介したロックアップ制御とを行う
スリップ制御手段70を備えている。
【0021】上記車両は、その車体前部にエンジン1が
搭載されており、該エンジン1の発生トルクが、流体式
自動変速機3、プロペラシャフト4およびデファレンシ
ャルギア5を経た後、左駆動軸6Lを介して左後輪2R
Lに、右駆動軸6Rを介して右後輪2RRにそれぞれ伝
達されるようになっている。
【0022】上記自動変速機3は、流体コンバータ11
と多段変速歯車機構12とから構成されている。この多
段変速歯車機構12は、既知のように油圧作動式とされ
て、実施例では、前進4段、後進1段用とされている。
すなわち、その油圧回路に組込まれた複数のソレノイド
13aの励磁と消磁との組合わせを変更することにより
変速が行われる。また、流体コンバータ11は、油圧作
動式のロックアップクラッチ11Aを有し、その油圧回
路に組込まれたソレノイド13bの励磁と消磁とを切換
えることにより、締結と締結解除とが行われる。
【0023】上記ソレノイド13a,13bは、自動変速
機3の変速制御用のATコントローラ60によって制御
される。該ATコントローラ60は、変速特性とロック
アップ特性とを予め記憶しており、これに基いて変速制
御とロックアップ制御とを行なう。このため、ATコン
トローラ60には、メインスロットルバルブ43の開度
を検出するメインスロットル開度センサ61及びサブス
ロットルバルブ45の開度を検出するサブスロットル開
度センサ62からの各スロットル開度信号と、車速を検
出する車速センサ63からの車速信号(実施例ではプロ
ペラシャフト4の回転数信号)とが入力される。
【0024】(制動力調節機構) 各車輪2FL,2FR,2RL,2RRには、上記ブレー
キ制御のためのブレーキ21FL〜21RRが設けられ
ている。該ブレーキ21FL〜21RRのキャリパ(ホ
イールシリンダ)22FL〜22RRには、それぞれ配
管23FL〜23RRを介してブレーキ液圧(ブレーキ
作動液圧)が供給されている。また各駆動輪2RL,2R
Rのキャリパ22RL,22RRに対しては、後述する
ように、それぞれ該キャリパ部に作用するブレーキ液圧
を推定するためのブレーキ液圧推定手段(ブレーキ作動
液圧推定手段)が設けられている。
【0025】これら各キャリパへのブレーキ液圧供給の
ための構成は、次のようになっている。先ず、ブレーキ
ペダル25の踏込力が、液圧真空倍力式の倍力装置26
によって倍力されて、タンデム型のマスタシリンダ27
に伝達される。該マスタシリンダ27の第1の吐出口2
7aには左前輪用のブレーキ配管23FLが接続され、
また同マスタシリンダ27の第2の吐出口27bには右
前輪用のブレーキ配管23FRが接続されている。
【0026】上記倍力装置26には、配管28を介して
オイルポンプ29からの作動液圧が供給され、余剰液圧
はリターン用配管30を介してリザーバタンク31へ戻
される。上記配管28の途中から分岐した分岐管28a
は、後述する合流部aに連なっており、この分岐管28a
には電磁式の開閉弁32が介設されている。また、倍力
装置26で発生される倍力用液圧は、配管33を介して
上記合流部aへと供給されるようになっており、この配
管33にも電磁式の開閉弁34が介設されている。そし
て、上記配管33には、開閉弁34と並列に、合流部a
へ向けての流れのみを許容する一方向弁35が設けられ
ている。
【0027】上記合流部aには、左右後輪用のブレーキ
配管23RL,23RRが接続されている。この配管2
3RL,23RRには、電磁式の開閉弁36Aまたは3
7Aが介設されていると共に、該開閉弁36A,37A
の下流に接続されたリリーフ通路38Lまたは38Rに
対して、電磁式の開閉弁36Bあるいは37Bが接続さ
れている。
【0028】上記各電磁開閉弁32,34,36A,37
A,36B,37Bは、上記スリップ制御手段70によっ
て制御される。すなわち、スリップ制御(この場合、ブ
レーキトラクション制御)を行なわないときには、図示
のように開閉弁32が閉じ、開閉弁34が開かれ、かつ
開閉弁36B,37Bが閉じ、開閉弁36A,37Aが開
かれる。これにより、ブレーキペダル25が踏込まれる
と、前輪用ブレーキ21FL,21FRに対してはマス
タシリンダ27を介してブレーキ液圧が供給される。ま
た、後輪用ブレーキ21RL,21RRに対しては、液
圧倍力装置26からのブレーキペダル25の踏込み力に
応じた倍力用液圧が、ブレーキ液圧として配管33を介
して供給される。
【0029】また、後述するように、駆動輪としての後
輪2RL,2RRの路面に対するスリップ量が大きくな
ってスリップ制御(ブレーキトラクション制御)を行なう
ときには、開閉弁34が閉じられ、開閉弁32が開かれ
る。そして、上記開閉弁(36A,36B)、(37A,3
7B)のスリップ量に応じたデューティ制御によって、
適切なブレーキ液圧の保持と増圧(昇圧)と減圧(降圧)と
が行われる。より具体的には、開閉弁32が開いている
ことを前提として、各開閉弁36A,36B,37A,3
7Bが閉じているときにブレーキ液圧の保持となり、開
閉弁36A(37A)が開き、開閉弁36B(37B)が閉
じているときに増圧となり、開閉弁36A(37A)が閉
じ、開閉弁36B(37B)が開いているときに減圧とな
る。これら開閉弁36A・36B、37A・37Bがブ
レーキトラクション制御時の増減圧開閉弁として機能す
る。そして、分岐管28aを経たブレーキ液圧は、一方
向弁35の作用によって、ブレーキペダル25に対する
反力としては作用しないようになっている。
【0030】すなわち、上記ようなスリップ制御(ブレ
ーキトラクション制御)を行っているときにブレーキペ
ダル25が踏み込まれると、この踏み込みに応じた倍力
装置26からのブレーキ液圧は、一方向弁35を介して
後輪用ブレーキ21Rl,21RRに供給される。
【0031】(エンジン出力調節機構) 上記スリップ制御手段70は、駆動輪2RL,2RRの
駆動トルクを低減するために、上述のような駆動輪2R
L,2RRに対するブレーキトラクション制御(ブレーキ
TC制御)を行うと共に、さらに同駆動輪2RL,2RR
に伝達される駆動力、つまりエンジン1の出力(発生ト
ルク)の低減制御、すなわちエンジントラクション制御
(エンジンTC制御)をも行う。このため、エンジン1の
吸気通路41には、アクセルペダル42に連結された上
述のメインスロットルバルブ43と、さらにステッピン
グモータ等スロットル開度調節用電動アクチュエータ4
4に連結された上述のサブスロットルバルブ45とが配
設され、該サブスロットルバルブ45を上記スリップ制
御手段70により上記電動アクチュエータ44を介して
開閉制御することによりエンジントルクを低減するよう
になっている。
【0032】(スリップ制御手段) 次に上記スリップ制御手段70には、上述したスロット
ル開度センサ61,62および車速センサ63からの信
号が入力される他、各車輪2FL〜2RRの車輪速度を
検出する車輪速センサ66FL〜66RRからの各車輪
速検出信号、アクセル踏込量を検出するアクセル踏込量
センサ67からの踏込量信号(アクセル開度信号)、ギヤ
ポジションを検出するギヤポジションセンサ68からの
ギヤポジション信号、ハンドル舵角を検出する舵角セン
サ69からの舵角信号、マニュアル走査されるスイッチ
71からのモード信号、並びに制御規制手段78からの
規制信号が入力される。
【0033】また、上記スリップ制御手段70は、上記
各センサからの信号を受け入れる入力インターフェイス
と、CPUとROMとRAMとからなるマイクロコンピ
ュータと、出力インターフェイスと、電磁開閉弁32,
36A37A,36B,37B及び電動アクチュエータ4
4を駆動する駆動回路とを備えており、ROMには上述
した各スリップ制御に必要な制御プログラム、各種のマ
ップ等が設けられ、またRAMには当該制御を実行する
のに必要な各種のプログラムメモリが設けられている。
【0034】(スリップ制御手段70の具体的構成) スリップ制御手段70は、図2に示すように、スリップ
検出手段72、目標スリップ量(閾値)を設定する目標値
設定手段73、路面摩擦係数算出手段74、スリップ判
定手段75、基本制御量演算手段76、駆動輪2RL,
2RRのブレーキ液圧を推定するブレーキ液圧推定手段
77、ブレーキ液圧をスロットル開度の量に換算するブ
レーキ液圧補正量演算手段78、基本制御量補正手段7
9、サブスロットルバルブ45のブレーキ液圧推定手段
77、電動アクチュエータ44を駆動するバルブ駆動手
段78、及び電磁開閉弁32,36A37A,36B,3
7Bを駆動する弁駆動手段82を備えている。
【0035】(スリップ検出手段72について) 駆動輪のスリップ量は、各車輪速センサ66FR,66
FL,66RR,66RLからの検出信号に基いて検出さ
れる。すなわち、スリップ検出手段72は、駆動輪2R
L,2RRの速度から従動輪2FL,2FRの速度を差し
引くことによりスリップ量Sを算出するものである。な
お、このスリップ量Sの算出にあたっては、エンジント
ラクション制御の場合、駆動輪の速度は左右駆動輪のう
ちの大きい方が選択され、従動輪の速度は左右従動輪の
平均値が用いられる。ブレーキトラクション制御の場
合、従動輪の速度はエンジン制御用と同じであるが、駆
動輪の速度は左右駆動輪に付与する制動力を互いに独立
して制御するための左右駆動輪の速度が用いられる。
【0036】(目標スリップ量設定手段73について) 図3はエンジントルク制御用の目標スリップ量SET及
びブレーキ力制御用の目標スリップ量SBTを決定する
回路をブロック図的に示したものであり、決定パラメー
タとしては、車速と、アクセル踏込量と、ハンドル舵
角、モードスイッチ71の操作状態と、路面摩擦係数μ
とがある。なお、ここで上記SBT>SETである。
【0037】すなわち、同図において、SETの基本値
STAOと、SBTの基本値STBOとが、路面摩擦係
数μをパラメータとして、マップ81に記憶されてい
る。この場合、路面摩擦係数μが大きくなるに従って上
記基本値STAO及びSTBOは大きくなる(STBO
>STAO)。そして、この基本値STBO,STAO
に、それぞれ補正ゲイン係数KDを掛け合わせることに
より、各制御の目標スリップ量SETおよびSBTが得
られる。
【0038】上記補正ゲイン係数KDは、各ゲイン係数
VGとACPGとSTRGとMODEGとを掛け合わせ
ることにより得られる。上記ゲイン係数VGは、車速を
パラメータとするもので、マップ82として記憶されて
いる。また、ゲイン係数ACPGは、アクセル開度をパ
ラメータとするもので、マップ83として記憶されてい
る。ゲイン係数STRGは、ハンドル舵角をパラメータ
とするもので、マップ84として記憶されている。ゲイ
ン係数MODEGは、運転者にマニュアル選択されるも
ので、テーブル85に記憶されている。このテーブル8
5では、スポーツモードとノーマルモードとセーフティ
モードとの三種類が設けられている。
【0039】後述する下限制御値SMは、図4に示すよ
うに、車速と路面摩擦係数μとをパラメータとして、マ
ップ91として記憶されている。なお、図4において、
μ=1が摩擦係数最小であり、μ=5が摩擦係数最大で
ある。
【0040】(路面摩擦係数算出手段74について) タイヤと路面との摩擦係数である路面摩擦係数μは、車
体速Vrと車体加速度VGとに基いて算出される。
【0041】すなわち、車体加速度VGの演算には、タ
イマA(100msecカウント)と、タイマB(500msec
カウント)とを用いる。すなわち、車体加速度VGは、
スリップ制御開始から500msec経過まで(車体加速度
が十分に大きくない)は、100msec毎に100msec間
の車体速Vr(本例の場合は前輪2FL,2FRの両車輪
速のうち速い方の車輪速、単位;km/h)の変化に基いて
次の(1)式により求め、500msec経過後(車体加速度
が十分に発達)は100msec毎に500msec間の車体速
Vrの変化に基いて次の(2)式により求める。
【0042】 VG=GK1×[Vr(k)−Vr(k−100)] ・・・・(1) VG=GK2×[Vr(k)−Vr(k−500)] ・・・・(2) 上記GK1及びGK2は係数である。また、Vr(k)は現
時点、Vr(k−100)は100msec前、Vr(k−500)
は500msec前の各車体速である。
【0043】そして、上述の如くして算出された車体加
速度VGと車体速Vrとから次のマップ1(表1)により
3次元補間によって路面摩擦係数μを求める。
【0044】
【表1】
【0045】(スリップ判定手段75について) スリップ判定手段75によるスリップ判定は、スリップ
検出手段72によるスリップ量Sと目標スリップ量SE
T及びSBTとに基いて行われる。すなわち、スリップ
判定手段75は、スリップ量SがSETよりも大のと
き、エンジントルク制御要と判定して制御フラグF=1
とし、スリップ量DがSET以下の状態が設定時間t以
上継続したときにF=0とする。また、上記スリップ量
SがSBTよりも大のときブレーキ力制御要と判定し
て、同様に制御フラグF=1,F=0とする。
【0046】(基本制御量演算手段76について) 基本制御量演算手段76によるサブスロットルバルブ4
5の開閉制御量(エンジントルク制御量)及びブレーキ力
制御量の演算は、上記スリップ量Sと目標スリップ量S
ET,SBTとに基いて行われる。すなわち、上記スロ
ットル開度制御量は、次の(3)式で求まるスリップ量の
偏差ENと、この偏差ENの時間変化率DENとをパラ
メータとして、次のマップ2(表2)により、まず基本ス
ロットル制御量Tが求められる。
【0047】 EN=S−SET ・・・・・(3)
【0048】
【表2】
【0049】この場合、上記マップに記載の記号ZOは
スロットル開度の保持を表わし、Nは閉動、Pは開動を
表わす。また、N及びPの添字S,M,Bは制御量の大き
さを表わすもので、「S」は小(開動量小、閉動量小)、
「N」は中(開動量中、閉動量中)、「B」は大(開動量
大、閉動量大)の意味であり、同じ添字であれば、開動
も閉動も制御量の大きさ自体は同じである。
【0050】次に、上記基本スロットル制御量Tにおけ
るスロットル制御量補正係数TGを次のマップ3(表3)
により求め、最終的なスロットル開閉制御量であるスロ
ットル開度の基本制御量Tn(=T×TG)を算出する。
【0051】
【表3】
【0052】このマップ3においては、スロットル開度
とエンジン回転数NERをスロットル制御量補正係数T
Gのパラメータとして用いている。この補正係数TG
は、スロットル開度が小さいほど、またエンジン回転数
が低いほど、エンジン回転に敏感に反応するため、より
小さな値に設定されている。なお、このスロットル制御
量補正係数TGは、スロットル開度のみをパラメータと
して用いてもよい。
【0053】ブレーキ制御量の演算制御についても、基
本的には上記開閉制御量の場合と同様であり、具体的な
マップは省略する。
【0054】(ブレーキ液圧推定手段77について) 本実施例のブレーキ液圧推定手段77は、ブレーキ液圧
センサを用いず、例えば、図10の(a)〜(c)に示すよう
に上記電磁開閉弁36A,36B,37A,37Bによる
ブレーキ液圧の増圧と減圧との時間(開閉弁時間)を検出
し、それらの加算、減算値の累積値を基にブレーキ液圧
を推定して算出するようにしている。
【0055】そして、本実施例では該ブレーキ液圧の推
定に際し、例えば図10の(c)に示すように低圧側第1
の基準値P1と高圧側第2の基準値P2とを各々設定し、
実際に推定されたブレーキ液圧Pが当該第2基準値P2
よりも低い時は同第2基準値P2よりも高い時に比較し
て減圧時間に対するブレーキ液圧の低下割合が緩やかに
なるようにしているとともに該ブレーキ液圧の推定制御
を上記ブレーキトラクション制御(ブレーキTCS)終了
後も上記ブレーキ液圧が第1基準値P1に低下するまで
継続するようにしている
【0056】 (ブレーキ液圧補正量演算手段78について) ブレーキ液圧補正量演算手段78は、式(4)により、上
記ブレーキ液圧推定手段77により推定して算出された
左右の駆動輪のブレーキ液圧の内、低い側のブレーキ液
圧をこれに相当するエンジン出力に換算して、ブレーキ
液圧補正量TBを算出する。
【0057】 TB=K×min(PL,PR) ・・・・・(4) ここで、Kは、スロットル制御量換算係数、min(PL,
PR)は、左右の駆動輪のブレーキ液圧の内の低い側の
値を示す。
【0058】(基本制御量補正手段79について) 基本制御量補正手段79は、上記の基本制御量演算手段
76により算出された基本スロットル制御量Tから、上
記ブレーキ液圧補正量演算手段78により算出されたブ
レーキ液圧補正量TBを低減することにより基本スロッ
トル制御量を補正して最終的なスロットル開度の制御量
Tnを算出する。具体的には、この最終的なスロットル
開度の制御量Tnは、次式(5)により算出される。
【0059】 Tn=(T−TB)TG ・・・・・・(5) (バルブ速度設定手段80について) バルブ速度設定手段80は、上記基本制御量補正手段7
9により求められたスロットル開度の制御量Tnに基い
て、サブスロットルバルブ45のバルブ開閉速度(単位;
%/秒)を次のマップ4(表4)により設定するものであ
る。なお、スロットルバルブ45の全開時が開度100
%である。
【0060】
【表4】
【0061】この場合、バルブ速度は、制御量の領域に
おいては閉動速度の方が開動速度よりも高くなるよう
に、つまり、NBの方がPBよりもバルブ速度が大きく
設定され、制御量小の領域では制御量が同じであれば、
閉動速度と開動速度とは等しくなるように設定される。
【0062】(駆動手段81,82について) バルブ駆動手段81は、上記基本制御量補正手段79に
より求められた開閉制御量が得られるように、上記バル
ブ速度設定手段80により設定された速度で上記サブス
ロットルバルブ45を駆動すべく、電動アクチュエータ
44に駆動信号を出力する。
【0063】また、電磁開閉弁駆動手段82は、上記基
本制御量補正手段79により求められたブレーキ制御量
が得られるように、電磁開閉弁32,36A37A,36
B,37Bに駆動信号を出力する。
【0064】次に図5を参照して、サブスロットルバル
ブ45の制御内容を説明する。なお、図5において、S
1〜S13は各ステップを示す。
【0065】先ずステップS1において、データが入力
され、次にステップS2において、スリップ制御中(F=
1)であるか否かを判定する。スリップ制御中(F=1)
であれば、ステップS3において、スリップ量の偏差E
N及びその変化率DENが演算される。その後、ステッ
プS4において、上記EN及びDENに基いて上記マッ
プ2及びマップ3より上記サブスロットルバルブ45の
スロットル開度の基本制御量Tn(=T×TG)が演算さ
れる。
【0066】次にステップS5において、駆動輪のブレ
ーキ液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0であるか否かを
判定する。このフェーズ判定を図6及び図7により説明
する。図6において、L1は駆動輪の車輪速、L2は従動
輪の平均速度、L3は目標スリップ量SBTを示してい
る。図7は、図6の車輪速に対応するブレーキ液圧を示
している。フェーズ0では、スリップ量が増大して、こ
のスリップ量に応じてブレーキ液圧を増大若しくは急増
大させ、フェーズ1では、スリップ量が減少し、このた
めブレーキ液圧を減圧し、さらにフェーズ2では、スリ
ップ量が目標スリップ量SBTより小さくなり、そのた
めブレーキ液圧を保持する。
【0067】ステップS5において、駆動輪のブレーキ
液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0であると判定される
と、ステップS6において、以下のステップS7以降のス
テップで説明するスロットル開度の制御量の補正を規制
して、上記ステップS4において演算したスロットル開
度の基本制御量Tn(=T×TG)をスロットル開度の制
御量として設定する。駆動輪のブレーキ液圧が増圧又は
急増圧のフェーズ0の場合には、後述するスロットル開
度の補正(ステップS8及びS10)を行うとスロットルが
閉じ過ぎて加速遅れ等の問題が発生するため、このよう
な補正は行わないようにしている。
【0068】一方、上記ステップS5において、駆動輪
のブレーキ液圧が増圧又は急増圧のフェーズ0ではない
と判定されたNOの場合には、ステップS7に進み、エ
ンジン回転数NERが所定値以下か否かを判定する。こ
の所定値は、エンジン出力が過度に低下して車両の失速
や加速性の悪化等を防止すると共にスリップ制御を損な
わないようなエンジン回転数の下限値である。このエン
ジン回転数の下限値は、次のマップ5(表5)により求め
る。すなわち、この所定値であるエンジン回転数の下限
値は、従動輪車輪速の平均値と上記エンジン制御用基本
値STAOとの和を一のパラメータとし、上記ギヤポジ
ションを他のパラメータとして算出される。
【0069】
【表5】
【0070】ステップS7において、エンジン回転数N
ERが所定値以下でない、即ち所定値より大きい場合に
は、ステップS8に進み、上述した基本制御量補正手段
79により求められたスロットル開度の制御量Tn(=
(T−TB)TG)を設定する。すなわち、このステップ
8においては、左右の駆動輪のブレーキ液圧の内、低
い側のブレーキ液圧をこれに相当するエンジン出力に換
算し、このエンジン出力に対応するスロットル開度の量
だけスロットル開度の基本制御量から低減するようにし
ている。このため、ブレーキが負担する負荷の一部がエ
ンジン側に移行し、そのため、ブレーキの負担を軽減す
ることができ、さらに、この際、左右の駆動輪のブレー
キ液圧の内、低い側のブレーキ液圧を基準としてこれに
相当するエンジン出力に換算しているため、スリップ制
御中に所謂スプリット路面を車両が走行する場合におい
ても、駆動輪において通常走行に支障がない程度に駆動
トルクが確保され、これにより十分な発進性や加速性が
得られる。一方、左右が均一の低μ路では、左右の駆動
輪のブレーキ液圧の差は小さいので、左右の駆動輪のブ
レーキ液圧の低い側の値を使用しても、何ら問題がな
い。
【0071】また、上記ステップS7において、エンジ
ン回転数NERが所定値以下の場合には、さらにステッ
プS9に進み、スロットル開度信号が開き側信号か否か
を判定する。開き側信号であれば、エンジン回転数NE
Rが所定値以下の場合であっても、ステップS10に進
み、ステップS8と同様に、スロットル開度の制御量Tn
=(T−TB)TGを設定する。エンジン回転数NERが
所定値以下で且つ開き側信号でなければ、ステップS11
に進み、スロットル開度は、その時点の状態に保持され
る。
【0072】次にステップS12において、上記ステップ
6,S8,S10及びS11において、設定されたスロットル
開度の制御量に基づき、マップ4よりバルブ速度が演算
され、次にステップS13において、上記スロットル開
度の制御量とバルブ速度とでもってサブスロットルバル
ブ45が駆動される。
【0073】(スリップ制御の内容) 上記スリップ制御手段70によるスリップ制御の内容
を、エンジントルク制御(エンジントラクション制御)と
ブレーキ力制御(ブレーキトラクション制御)とに着目し
て示したのが図8である。
【0074】t1時点前までは、駆動輪に大きなスリップ
が生じていないので、エンジン側トルク制御は行われて
おらず、従ってサブスロットルバルブ45は全開であっ
て、スロットル開度TB(両スロットル弁43,45の合
成開度であって、開度の小さな方のスロットル弁の開度
に一致する)は、アクセル踏込量に対応してメインスロ
ットル開度TH,Mである。
【0075】t1時点では、駆動輪のスリップ量が、エン
ジン用目標スリップ量SETとなった大きなスリップ発
生時となる。実施例では、この駆動輪のスリップ量がS
ET以上となったときにスリップ制御を開始するように
なっており、このt1時点で、スロットル開度が下限制御
値SMにまで一挙に低下される(フィードフォワード制
御)。そして一旦SMとした後は、駆動輪のスリップ量
がエンジン用目標スリップ量SETとなるように、サブ
スロットルバルブ45の開度がフィードバック制御され
る。このとき、スロットル開度Tnはサブスロットル弁
開度TH,Sとなる。
【0076】t2時点では、駆動輪のスリップ量がブレー
キトラクション制御の目標スリップ量SBT以上となっ
たときであり、このときは、駆動輪のブレーキ21R
L,21RRに対してブレーキ液圧が供給され、エンジ
ントラクション制御とブレーキトラクション制御の両方
によるスリップ制御が開始される。
【0077】t3時点では、駆動輪のスリップ量がブレー
キトラクション制御用目標スリップ量SBT未満となっ
たときであり、これによって、ブレーキ液圧が徐々に低
下され、やがてブレーキ液圧は零となる。ただし、演算
制御は、なおも継続される。
【0078】ここで、上記エンジントラクション制御に
関して説明すると、上記t1時点で、スロットル開度が下
限制御値SMにまで一挙に低下された後も、スリップ量
は急激に増大していっている。このときは、上記偏差E
N及び偏差変化率DENは(+)に大きな値であるから、
例えば開閉制御量としてNBが演算される。その結果、
サブスロットルバルブ45は高い閉動速度でもって閉じ
られていく。よって、スリップ量はピークを越えて速や
かに目標スリップ量SETに近付いていく。
【0079】その後は、開閉制御量としてNM,NS,Z
Oが順に演算され、スロットル開度は閉じ気味で保持さ
れる。そして、スリップ量が目標スリップ量SET近傍
になると、開閉制御量としてPSが演算され、サブスロ
ットルバルブ45は開動されていく。このような小さな
開閉制御量においては、バルブ速度も遅いため、スリッ
プ量の急減や急増は生じ難く、従って、制御のハンチン
グも抑制される。
【0080】しかして、路面の摩擦係数が一時的に高く
なった場合、スリップ量は目標スリップ量SETを下回
るようになり、場合によっては、開閉制御量としてPB
が演算されることがある。しかし、この場合のバルブ速
度は上記NBに比べて遅い。よって、スロットル開度が
急激に過剰な開度になることはなく、従って、その後に
低μ路面に移行した際に、過大なスリップを生ずること
が防止される。
【0081】なお、実施例では、スリップ量がSETに
収束しアクセル踏込量零となった時点、もしくはメイン
スロットル開度がサブスロットル開度よりも小さくなっ
た時点、さらにブレーキペダルが踏み込まれた時点で
も、エンジントラクション、ブレーキトラクションより
なるスリップ制御を終了せしめるようにしている。
【0082】(ブレーキ液圧推定制御の内容) 次に、図9のフローチャートを参照して本実施例の要部
である上記スリップ制御手段70によるブレーキ液圧推
定制御の内容を詳細に説明する。
【0083】すなわち、先ずステップS1で実際に運転
者によりブレーキペダルが踏まれてブレーキスイッチが
ONになったか否かを判定する。その結果、ブレーキペ
ダルが踏まれておらずブレーキスイッチがONでないO
FFの時(NO)は、さらにステップS2に進んで、現在
ブレーキ制御によるトラクションコントロール(ブレー
キトラクション制御によるスリップ制御)中である否か
を判定する。
【0084】その結果、YES(ブレーキトラクション
制御中)と判定されると、さらにステップS3に進んで制
御フラグFの値をF=2(ブレーキトラクション制御中
であることを示す値)に設定した上で更に後述するステ
ップS4,S14の増減圧判定動作に進む。
【0085】一方、上記ステップS1のブレーキスイッ
チON/OFF判定の結果、ブレーキスイッチON(Y
ES)と判定されたブレーキペダルが踏まれている場合
には、ブレーキスイッチONによりブレーキトラクショ
ン制御は解除されているので次にステップS21に進み上
記ブレーキ液圧推定手段77のブレーキ液圧推定値とし
て上記ブレーキ21RL,21RRのブレーキパッドが
ブレーキディスクに当接した状態のブレーキ液圧に対応
する上記図10の第2基準値P2に設定し、さらにステ
ップS22で制御フラグFの値をF=1(ブレーキONで
第2基準値に設定)に設定した上でステップS1にリタ
ーンする。
【0086】他方、現在(今回)の判定ではブレーキスイ
ッチがOFFの状態にあるとして上記ステップS1から
ステップS2に進んだ場合において、さらに現在(今回)
ブレーキもOFFでしかもブレーキ制御によるトラクシ
ョンコントロール中でもないとして同ステップS2でも
NOと判定された場合には、さらにステップS6,S7
進んで、上記制御フラグFの値がF=1(前回ブレーキ
ONで第2基準値P2に設定されている時)であるか否
か、又はF=1とはなっていないがF=2(前回ブレー
キトラクション制御中)であったか否かを順次判定す
る。
【0087】その結果、現在F=1でもF=2でもない
時(ステップS6でNO、かつステップS7でもNOの
時)、すなわち、現在はブレーキペダル25が踏まれる
ことなく、しかもブレーキトラクション制御も行なわれ
ていない通常の走行状態が前回から継続されている時
は、続いてステップS8に進み、推定値をブレーキ非作
動状態に対応した上記図10の第1の基準値(液圧値0)
1に設定する。他方、ブレーキスイッチがOFFで、
かつブレーキトラクション制御中でもなく、さらにF=
1でもないがF=2であるステップS7でYESの今回
ブレーキトラクションが終了した時は、ステップS15
進んで現在のブレーキ液圧推定値Pが上記図10のブレ
ーキ作動時に対応する第2基準値P2以上に高くなって
いるか否かを判定し、高くなっているYESの時はステ
ップS16に進んで図10に示すように圧力低下度合の高
い減圧推定(Pk=Pk−1−5)を、また逆に高くない時
はステップ 17 進んで緩やかな減圧推定(Pk=Pk−1
−1)を行う。
【0088】また、以上の場合とは異なり、上記ステッ
プS6でF=1であるとしてYESと判定された前回ブ
レーキONで第2基準値P2に設定されている時は、他
方ステップS9に移って上記ブレーキスイッチが今回O
FFになったものであることを判定し、上記ステップS
1のブレーキスイッチOFFがON状態からOFF状態
に移行したものであれば(ステップS9でYES)、ステ
ップS10で前回のブレーキ液圧推定値Pk−1を所定ステ
ップ値1毎にPk=0となるまで緩やかに小さくして行
く。つまり、圧力低下度合の低い減圧推定が行われる。
そして、ステップS11でPk=0(YES)となったこと
が確認されると、ステップS12で上記制御フラグFの値
をF=0(液圧推定終了)にリセットした上でステップS
13に進み、ブレーキ液圧推定値を図10の第1基準値
(液圧0)P1に設定してステップS1にリターンする。
【0089】次に上述のステップS3(F←2)からステ
ップS4に進んだ場合、同ステップS4で、上記ブレーキ
液圧が増圧状態であるか否かを判定し、YES(増圧)状
態の時はステップS5に進んで前回の液圧推定値Pk−1
に所定のステップ値5を加算して推定値とする。他方、
NOの時はステップS14に進んで逆にブレーキ液圧が減
圧状態であるか否かを判定する。
【0090】該判定の結果、YES(減圧状態)の時は、
次にステップS15に進んで推定されたブレーキ液圧が上
記図10のブレーキパッドがブレーキディスクに当接す
る圧力に対応した第2基準値P2以上であるか否かを判
定する。その結果、YESの時は、ステップS16に進ん
で今回のブレーキ液圧の推定値Pkを前回の値Pk−1
ら所定のステップ値5を減算して推定値とする。
【0091】一方、上記ステップS14でもNOと判定さ
れたブレーキスイッチがONとなっておらず、しかもブ
レーキ圧が増圧状態でも減圧状態でもない時、例えばブ
レーキペダルが踏まれていて液圧変化はないにも拘わら
ず、ブレーキスイッチが故障しているためにブレーキペ
ダルが踏まれていることを検出できない時には、そのま
ま推定値の加算又は減算を行うことなく、リターンす
る。
【0092】他方、上記ステップS15でNOと判定され
た、その時のブレーキ液圧が上記第2基準値P2よりも
低い時は、ステップS17に進んで図10に示すように前
回の推定値Pk−1から所定のステップ値1を減算するこ
とによって圧力低下度合の低い推定値とする。
【0093】この結果、上記第2基準値P2よりも低い
時の減圧時の推定液圧の変化は図示のように緩やかなも
のとなる。
【0094】次にステップS18に進んで推定されたブレ
ーキ液圧PkがPk=0となったか否かを判定し、Pk=
0(YES)の時はステップS19に進んでF=0にリセッ
トした上でステップS20で推定値を最終的に図10に示
すスリップ制御開始時のブレーキ非作動状態に対応した
ブレーキ液圧第1基準値(液圧0)P1に設定する。他
方、Pk≠0(NO)の時は、そのままステップS1にリタ
ーンする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の実施例に係る車両のスリッ
プ制御装置の全体構成図である。
【図2】図2は、同装置の制御系のブロック図である。
【図3】図3は、同装置の目標スリップ量を決定するた
めの回路図である。
【図4】図4は、同装置の下限制御値SM設定のための
マップ図である。
【図5】図5は、同装置のエンジン制御のフローチャー
トである。
【図6】図6は、同装置のフェーズ判定のための車輪速
を示すタイムチャートである。
【図7】図7は、同装置のフェーズ判定のためのブレー
キ液圧を示すタイムチャートである。
【図8】図8は、同装置のスリップ制御のタイムチャー
トである。
【図9】図9は、同装置のスリップ制御に関連するブレ
ーキ液圧推定制御のフローチャートである。
【図10】図10は、同装置のブレーキ液圧推定動作を
示す説明図である。
【符号の説明】
2RL,2RRは駆動輪、70はスリップ制御手段、7
2はスリップ検出手段、73は目標スリップ量(閾値)設
定手段、74は路面摩擦係数算出手段、75はスリップ
判定手段、76は基本制御量演算手段、77はブレーキ
液圧推定手段、78はブレーキ液圧補正量演算手段、7
9は基本制御量補正手段、80はバルブ速度設定手段、
81はバルブ駆動手段である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−85051(JP,A) 特開 平5−4573(JP,A) 特開 昭63−17158(JP,A) 特開 平3−21554(JP,A) 特開 昭63−106168(JP,A) 特開 平2−38172(JP,A) 特開 平3−208758(JP,A) 特開 昭62−241754(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 7/12 - 8/96 B60K 41/20 F02D 29/02 311

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪に対しブレーキ作動液圧に応じた
    制動力を付与するブレーキ装置と、上記 ブレーキ装置にブレーキ作動液圧を供給するための
    オイルポンプと、 弁部の開閉により上記オイルポンプから上記ブレーキ装
    置に供給されるブレーキ作動液圧を増減圧調整する電磁
    開閉弁と、上記 電磁開閉弁の開閉弁時間を上記駆動輪の路面に対す
    るスリップ量に応じて制御するスリップ制御手段と、上記 スリップ制御手段の作動時における上記電磁開閉弁
    の開閉弁時間に対応した値を累積的に加算又は減算する
    ことにより上記ブレーキ装置ブレーキ作動液圧を推
    定するブレーキ作動液圧推定手段とを備えてなる車両の
    スリップ制御装置において、車両のブレーキペダルの操作に応じて上記ブレーキ装置
    にブレーキ作動液圧を供給するマスタシリンダと、 上記ブレーキ装置に対するブレーキ作動液圧の供給源を
    上記オイルポンプ又はマスタシリンダのいずれかに切換
    える電磁式の開閉弁を有する液圧切換回路とをさらに備
    え、 上記スリップ制御手段は、その作動時に上記オイルポン
    プからブレーキ装置へブレーキ作動液圧が供給されるよ
    うに上記液圧切換回路を切換えるようにし、 上記ブレーキ作動液圧推定手段は、上記ブレーキ装置
    非作動状態のブレーキ作動液圧に対応する第1の基準値
    と該第1の基準値よりも高い第2の基準値とを有し、
    記スリップ制御手段の非作動時でかつ上記ブレーキペダ
    ルが踏み操作されて上記ブレーキ装置が作動していると
    きには、ブレーキ作動液圧が上記第2の基準値であると
    推定し、この推定値を上記スリップ制御手段の作動開始
    時に推定演算の初期値とするようにしたことを特徴とす
    る車両のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 上記ブレーキ作動液圧推定手段は、上記
    スリップ制御手段によるスリップ制御終了後も推定値が
    上記第1基準値に達するまではブレーキ作動液圧の推
    定を続けるように構成されていることを特徴とする請求
    項1記載の車両のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 上記ブレーキ作動液圧推定手段は、上記
    ブレーキ装置が作動状態から非作動状態に移行したとき
    はブレーキ作動液圧を上記第2の基準値から第1の基準
    値側に徐々に変化するように推定するように構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の車両のスリップ制
    御装置。
  4. 【請求項4】 上記ブレーキ作動液圧推定手段の第2の
    基準値は、上記ブレーキ装置のブレーキパッドがブレー
    キディスクに当接する圧力値に対応した値に設定されて
    いることを特徴とする請求項1,2又は3のいずれかに
    記載の車両のスリップ制御装置。
JP14651293A 1993-06-17 1993-06-17 車両のスリップ制御装置 Expired - Fee Related JP3342108B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14651293A JP3342108B2 (ja) 1993-06-17 1993-06-17 車両のスリップ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14651293A JP3342108B2 (ja) 1993-06-17 1993-06-17 車両のスリップ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH072080A JPH072080A (ja) 1995-01-06
JP3342108B2 true JP3342108B2 (ja) 2002-11-05

Family

ID=15409320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14651293A Expired - Fee Related JP3342108B2 (ja) 1993-06-17 1993-06-17 車両のスリップ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3342108B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH072080A (ja) 1995-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2835761B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2902105B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP2902059B2 (ja) 車両のトラクション制御装置
KR950002001B1 (ko) 차량의 슬립제어장치
JP3393654B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2002356157A (ja) 車輌用制動制御装置
US5295552A (en) Slip control system for motor vehicle
JP2894752B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2855280B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3342108B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3153556B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3036956B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2869661B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3290539B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP3036955B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2898439B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2917059B2 (ja) 車両のアンチスキッドブレーキ装置
JP2904959B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP2966073B2 (ja) 車両のトラクションコントロール装置
JP3088512B2 (ja) 車両のトラクション制御装置
JP3016907B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JPH071996A (ja) 車両の出力低減装置
JP2785051B2 (ja) 車両のスリップ制御装置
JP3059226B2 (ja) 車両のブレーキ制御装置
JPH0516780A (ja) 車両のスリツプ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees