JP3335285B2 - 熱交換器用プレコートフィン材 - Google Patents

熱交換器用プレコートフィン材

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JP3335285B2
JP3335285B2 JP3331897A JP3331897A JP3335285B2 JP 3335285 B2 JP3335285 B2 JP 3335285B2 JP 3331897 A JP3331897 A JP 3331897A JP 3331897 A JP3331897 A JP 3331897A JP 3335285 B2 JP3335285 B2 JP 3335285B2
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美智男 小林
正裕 倉田
建次 須藤
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スカイアルミニウム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルームエアコン等
の熱交換器用フィン材およびそれに用いる塗料に関し、
特に親水性および潤滑性に優れた熱交換器プレートフィ
ン材およびそれに用いる塗料に係る。
【0002】
【従来の技術】ルームエアコン等に使用される熱交換器
には、放熱性を高めるためにアルミニウム製フィン材が
使用されている。近年、ルームエアコン等のコンパクト
化及び省エネルギー化に伴い、熱交換率の向上が種々検
討され、フィンの親水性化が求められている。これは、
冷房運転時にフィン表面に水滴が付着しフィン間にブリ
ッジが形成されると、フィン間を通る空気等気体の抵抗
があがり冷却効率が低下する。これを解消するためフィ
ン表面の水滴の接触角を非常に小さくし、水膜として流
下させ水滴形成を防ごうというものである。また生産性
を高めるため、従来のフィン成形・組立後に親水化処理
するポストコートに代わり、アルミコイルにあらかじめ
親水化処理し、それを成形するプレコート化が進んでい
る。その結果、アルミフィン材に親水性と共に成形性が
求められるようになった。
【0003】親水性に関しては、アルミニウムフィン材
の表面に、化成処理(クロメート処理、ベーマイト処理
等)を施した後、水ガラス、コロイダルシリカ等のケイ
酸またはケイ酸塩を中心とする無機系親水性皮膜を塗布
・焼き付けまたは浸漬処理等により形成させ、フィン表
面の親水性を高めることが広く行われている。
【0004】しかし、このような無機系皮膜は硬く、皮
膜に伸びが無いため成形しにくく、また金型の磨耗も激
しいといった不具合がある。このため、親水性と成形性
の両立を図るべく、以下のような種々の改良がなされて
いる。
【0005】特開平4−198287号:有機樹脂10
0重量部に対し、粒径=0.05〜2μmのシリカ粒子
5〜200重量部と粒径=0.1〜10μmの有機樹脂
粒子2〜100重量部を含む塗料を0.1〜5μmの厚
さに塗布する。 特開平5−311123号:水溶性アミノ樹脂以外の樹
脂100重量部、水溶性アミノ樹脂5〜50重量部、粒
径0.05〜2μmのシリカ微粒子5〜150重量部、
HLB=8〜18の界面活性剤20〜150重量部を含
有する塗料を0.1〜5μmの厚さに塗布する。これら
の発明の方法では、塗膜表面にシリカ粒子と有機樹脂粒
が混在して並び、あるいは基剤樹脂にシリカ粒が分散
し、基剤樹脂の表面にシリカ粒が露出し、さらにシリカ
粒の露出した基剤樹脂層の表面を覆う形で界面活性剤が
存在し、表面に露出したシリカ粒により親水性を、同じ
く表面に露出した有機樹脂粒あるいは界面活性剤により
金型摩耗性あるいは潤滑性を向上させている。しかし、
塗膜表面に硬いシリカ粒子が露出しやすく、金型磨耗を
防ぎきることはできない。また、親水性を担うシリカ粒
子の塗膜表面に占める面積は小さくなるため、親水性が
充分発揮されない。また、成形性を向上するために、有
機樹脂成分の混合比を高くすると、熱交換器の銅パイプ
のろう付け時に塗膜の焦げが発生しやすくなり、焦げ臭
による作業環境の悪化、親水性の低下等の不具合を生じ
やすい。
【0006】特公平2−42389号:アルカリケイ酸
塩1重量部に対し、アルデヒド類等のカルボニル基を有
する低分子有機化合物を0.1〜5重量部、またはさら
にポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリオキシ
エチレングリコール等の水溶性有機高分子化合物を0.
01〜5重量部配合した塗料を塗布する。 特公平4−48875号:アルカリケイ酸塩1重量部に
対し、無機硬化剤0.1〜5重量部、水溶性有機高分子
化合物0.5〜5重量部とした塗料を塗布する。これら
の方法では、ケイ酸塩が塗膜中に分散し、金型と接触す
るため金型摩耗を防ぎきれず、皮膜の柔軟性を上げよう
と有機高分子の割合を高くすると、水中への溶出量が増
加し、同時に分散したケイ酸塩までも溶出してしまうた
めに、親水性が低下しやすく、いわゆる「親水持続性」
の低下が起こる。
【0007】特公平1−21785号:親水性皮膜上に
ワックス及び水溶性高分子化合物の混合物を塗布する。
さらに液状の界面活性剤を基剤とする潤滑層を設ける。 特公平2−25692号:親水性表面処理皮膜上に水溶
性の高級脂肪酸ナトリウム塩またはカリウム塩を塗布す
る。 特開平4−68300号:無機系親水性皮膜の上に界面
活性剤または有機高分子とアルカリケイ酸塩を固形分重
量比が5:1〜1:1の範囲で混合した混合物を塗布す
る。 特開平6−39347号:親水性皮膜上に親水性潤滑剤
(ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等)
を塗布する。これらの方法によれば、最表層に十分な量
の親水性潤滑層が形成されるので、成形性および親水性
の両方を満足することが可能である。しかし、多数の皮
膜層を設けるために多段処理が必要で、工程数が多くな
り生産性が劣る。また、親水性の皮膜層に潤滑性を有す
る液体を設ける際、ハジキを生じたり、潤滑層厚みのバ
ラツキが発生しやすく十分な成形性が確保されない場合
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は粘度の低い揮
発性のプレスオイルを使用しても潤滑性・成形性に優
れ、かつ親水性、親水持続性が良く、銅パイプろう付け
時に焦げ発生の無い、熱交換器用フィン材を安価に提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者等は上記問題を解
決するために種々検討した結果、本発明の考案に至っ
た。本発明はアルミニウム板にケイ酸塩、水溶性有機
物、有機樹脂の特定組成からなる塗料を焼付塗装するこ
とにより、皮膜外表面が水溶性有機物からなる構造の皮
膜密着性、親水性、潤滑性ならびに成形性に優れた皮膜
を設けたプレコートフィン用アルミニウム板であり、ま
たその塗料であり、塗装方法である。すなわち本発明は
アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、アルミニ
ウムという)の表面に、A.珪酸または珪酸アルカリ金
属塩8〜500mg/m2 、B.−OH基,−COOH
基,エポキシ基、りん酸基、スルホン酸基、またはこれ
らの金属塩、またはモノエタノールアミン等との中和
物、またはエステルの内の1種以上を有する分子量10
0〜5000の水溶性有機物20〜3125mg/m
2 、C.ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸または
ポリヒドロキシアクリル酸あるいはその塩、またはエス
テルの内の1種以上あるいはそれらの共重合体からなる
有機樹脂5〜125mg/m2 からなる皮膜を設けたこ
とを特徴とする親水性および潤滑性に優れた熱交換器用
プレコートフィン材である。また本第2発明は皮膜中の
水溶性有機物(B)の濃度がアルミニウム板表面側から
漸次増加し、皮膜最外表面が水溶性有機物のみからなる
ことを特徴とする請求項1記載の親水性および潤滑性に
優れた熱交換器用プレコートフィン材である。また本第
3発明はA.珪酸または珪酸アルカリ金属塩、B.−O
H基,−COOH基,エポキシ基、りん酸基、スルホン
酸基、またはこれらの金属塩、またはモノエタノールア
ミン等との中和物、またはエステルの内の1種以上を有
する分子量100〜5000の水溶性有機物、C.ポリ
アクリル酸またはポリメタクリル酸またはポリヒドロキ
シアクリル酸あるいはその塩、またはエステルの内の1
種以上あるいはそれらの共重合体からなる有機樹脂を、
有機樹脂(C)100重量部に対して、珪酸または珪酸
アルカリ金属塩(A)を珪酸分に換算して150〜50
0重量部、水溶性有機物(B)を3〜5000重量部と
して構成される、親水性および潤滑性に優れた熱交換器
プレートフィン用塗料である。さらに本第4発明は請求
項3記載の塗料をアルミニウム材に塗布し、120〜3
50℃で4〜120秒の熱風乾燥を施すことを特徴とす
る親水性および潤滑性に優れた熱交換器用プレコートフ
ィンの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について説明す
る。
【0011】皮膜組成のうち、まず無機分について説明
する。無機分は皮膜に長時間の親水性を持たせるために
添加する。無機分としてはケイ酸またはケイ酸アルカリ
金属塩、より具体的には水ガラスなどが好ましい。ケイ
酸アルカリ金属塩を用いる場合はケイ酸とアルカリ金属
の比は(ケイ酸/アルカリ金属)≧1が良く、好ましく
はこの値が2〜5が良い。1未満ではケイ酸に対してア
ルカリ金属分が多すぎてアルミニウムの侵食作用が増
す。ただし、5を越えるとケイ酸分が多くなりすぎ膜が
脆くなるので好ましくない。
【0012】次に有機樹脂について説明する。皮膜の耐
水性を向上するために、ケイ酸アルカリ金属塩と相溶性
が有りかつ塗料の塗布・焼き付け時に空気側に浮きでな
い樹脂成分を添加する。樹脂成分として、具体的にはポ
リアクリル酸またはポリメタクリル酸またはポリヒドロ
キシアクリル酸、またはその塩、またはエステルの中の
一種またはそれらの共重合物等が上げられる。
【0013】次に水溶性樹脂について説明する。上記の
ようなケイ酸アルカリ金属塩と有機樹脂を主体とした成
分に、塗装焼き付け時にケイ酸塩皮膜の上に浮き上が
り、ケイ酸皮膜を均一に覆うような水溶性有機物を添加
する。添加する水溶性有機物としては、アニオン性また
はノニオン性界面活性剤、特に、分子量100〜500
0の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤とし
ては、ラウリルリン酸エステル等のリン酸エステル、ま
たはリン酸エステルをモノエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン等で中和したリン酸エステル中和物、スル
ホン酸エステル、またはスルホン酸エステル中和物等が
上げられる。特に、リン酸エステル及び中和物が動摩擦
係数の低減効果が大きいので好ましい。またノニオン性
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン
ラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエー
テル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロ
ックポリマー類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ソルビタンモノラウレート等のソルビタン類
または誘導体、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル
等のポリオキシエチレン誘導体、しょ糖脂肪酸エステル
等が上げられる。この中では、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテルの動摩擦係数低減効果が大きいの
で好ましい。
【0014】設ける皮膜量としては、皮膜中のケイ酸分
を8〜500mg/m2 の範囲とすればフィン材として
要求される性能を満足するが、より好ましくはケイ酸分
24〜400mg/m2 の範囲が良好である。
【0015】上記のように、ケイ酸またはケイ酸塩と水
溶性有機物、有機樹脂を混合塗布し、塗装.焼き付け時
に図1に示すように水溶性有機物がケイ酸塩皮膜の上
(空気側)に浮きでる。このように浮きでた水溶性有機
物層は潤滑効果が高いため、成形加工の際に金型とケイ
酸塩皮膜層が直接接触することを防止し、揮発性プレス
オイルのような粘度の低いプレスオイルを用いても良好
な成形が可能となる。特に、塗装焼きつけ条件を選定し
て、水溶性有機物のみからなる層を20〜1000mg
/m2 とすることにより潤滑性が向上しフィンの形状に
成形する際の成形性が優れた皮膜とすることができる。
20mg/m2 未満では薄すぎるためにケイ酸塩皮膜と
金型が直接接触する部分が生じ、焼き付き、座屈、カラ
ー飛び等の成形不良及び金型摩耗量の増加が起こりやす
い。一方、1000mg/m2を越えても性能の向上は
望めない。なお、水溶性有機物層のみからなる層の厚さ
は製造条件により多少不均一になるが、その最大量と最
小値の差が平均量の30%以下であるならば特に問題は
無い。
【0016】従来発明のように脂肪酸金属塩、ワックス
(パラフィンワックス等)類を分散させた層を最表面に
設けると、水溶性の部分のみが凝縮水等により流れさ
り、疎水性の物質が表面に濃化し、使用中に親水性が低
下する場合がある。さらに、この疎水性物質はケイ酸塩
皮膜にも吸着するので、ケイ酸塩皮膜が本来持っている
高い親水性が発揮されなくなる。これに対して本発明で
は、疎水性物質を含んでいないため上記のような疎外作
用が無く、また水溶性有機物自体の親水性も高いため、
良好な親水性が実現される。
【0017】また、従来材では潤滑のために金属石鹸ま
たは樹脂、特に熱硬化性樹脂を塗布するが、数100℃
に加熱してもフィン上に有機物の加熱残査が残るため、
黄変、焦げ臭の発生を引き起こし、さらにケイ酸塩皮膜
層に多量に付着し、親水性が低下する。しかし本発明に
よれば、使用している水溶性有機物の沸点が低いので、
銅パイプろう付け時等においてフィンが加熱された場
合、水溶性有機物は揮発し、フィン表面上に残留しない
ため、黄変、焦げ臭等の不具合を生じない。また、有機
物の加熱残査が残らないか、ごく微量で清浄なケイ酸塩
がフィン表面を覆っているため、親水性の低下を引き起
こさない。
【0018】さらに、本発明によれば表面の水溶性有機
物層の下(アルミ側)にケイ酸塩皮膜層が形成されるの
で、長年の使用の後、表層の水溶性有機物層が凝縮水等
によって流れさっても、ケイ酸塩皮膜層が親水性を示す
ため、長期間にわたり高い親水性が維持される。すなわ
ち親水持続性に優れたものとなる。
【0019】次に塗料としての組成について説明する。
塗料組成としては、樹脂100重量部に対し、ケイ酸分
はケイ酸アルカリ金属塩の場合はケイ酸に換算した値で
150〜500重量部、水溶性有機物は3〜5000重
量部とする。ケイ酸分が150重量部未満では樹脂分が
多くなりすぎ、ケイ酸皮膜の上を樹脂が覆ってしまい、
親水性が低下し、銅パイプのろう付け時に焦げが発生し
やすい。一方、500重量部をこえると耐水性が悪くな
りケイ酸塩が早期に流れさってしまい、親水性特に親水
持続性が悪くなってしまう。水溶性有機物は、3重量部
未満では添加した効果が無く、5000重量部をこえて
も性能の飽和してしまい無駄である。また、より好まし
い配合割合としては、樹脂100重量部に対し、ケイ酸
分を160〜400重量部、水溶性有機物を400〜2
500重量部である。この配合により安定して優れた皮
膜密着性、親水性、親水持続性が得られる。なお、上記
の成分に加え、塗装時の発泡を抑えるために、HLBの
低い界面活性剤を別途適量添加しても良い。具合的には
ソルビタンモノオレート、ソルビタンセキスオレート、
脂肪酸系界面活性剤等が上げられる。添加量は適宜で良
いが、好ましくは、固形分比で5%以下である。5%を
越えると親水性が低下する場合があり好ましくない。
【0020】次に、本発明の塗膜を生成する製造条件に
ついて説明する。焼き付け温度は塗料の組成に合わせ適
宜選択すれば良いが120〜350℃の温度で4〜12
0秒の熱風乾燥とする。より好ましくは150〜230
℃の温度範囲で7〜60秒が望ましい。120℃未満で
は乾燥に時間がかかり生産性が低く、ケイ酸塩のポリマ
ー化も進みにくいため、耐水性が不十分である。一方3
50℃を越えると添加した水溶性有機物の揮発量が多く
無駄である。
【0021】本発明は、従来法のようなケイ酸塩の塗布
後さらに潤滑層を設ける2段処理とは異なり、1コート
で2層を形成させることができるため、コイル材の全長
にわたり均一な厚みの潤滑層(水溶性有機物層)がえら
れるので、安定した成形が可能である。また、2段処理
に比べ、製造工程が短くなるので、生産性が高く、コス
トを低くすることが出来る。2段処理では、ケイ酸塩皮
膜層の上に潤滑物質を塗布する場合、ハジキ等が発生し
塗布ムラがでやすい。また、ロールコーター等を用いて
も、20〜1000mg/m2 程度の薄膜をコイル全長
にわたり均一に塗布するのは難しく、潤滑層の厚みにバ
ラツキを生じる。このような状態では、安定した成形性
が得られない。しかし、本発明によれば、このような問
題は生じない。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0023】実施例−1 アルミニウム板を脱脂し、塗料の組成としてケイ酸アル
カリ金属塩として水ガラス(Na2SiO3)を用い、ま
た樹脂成分としてアクリル系樹脂[日本ペイント社製
「SAT131」]を用い、水溶性有機物としてアニオ
ン性界面活性剤としてはリン酸エステル系[第一工業製
薬社製「エレノン19M」]、ノニオン性界面活性剤と
してはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
[第一工業製薬社製「エマルジット25」]を用いた塗
料を、塗膜中のケイ酸の量が100mg/m2 となるよ
うに表1に示す塗装を施し、200℃で15秒焼き付け
して供試材とした。初期親水性は塗装・焼き付け直後の
水接触角を測定した。また親水持続性は純水中に200
時間浸漬した後の水接触角を測定した。摩擦係数はバウ
デン試験機にて3/16φ鋼球を使用し、荷重=500
gf、無潤滑にて測定した。成形性は実機フィンプレス
にて揮発性プレスオイルRF190(昭和シェル石油)
を使用し、しごき率50%、成形スピード250spm
(ストローク毎分)でドローレス成形を実施し、成形後
のキズ等の状況で評価した。評価は、◎:非常に良好、
○:良好、△:カラー部内面にキズ発生、×:不良(座
屈,カラー飛び発生)とした。
【0024】
【表1】
【0025】表1に示すように、本願発明の条件を満た
す発明例ではいずれも初期親水性に優れているとともに
長時間使用後の親水持続性にも優れ、また摩擦係数が小
さく潤滑性に優れ、さらに成形性も良好である。特に本
願発明の限定された条件範囲ではさらに優れた特性を示
している。これに対して、本願発明の条件から外れた比
較例では初期親水性が劣り、あるいは初期親水性が良好
なものでも親水持続性が劣っている。あるいは親水性・
親水持続性が良好なものでは潤滑性が悪く摩擦係数が大
きくなっており成形性も劣っているといったように、い
ずれかの特性で問題がある。
【0026】実施例−2 アルミニウム板を脱脂した後、実施例1−4の組成の塗
料を用いで塗膜厚さを様々に変化させて皮膜量の異なる
塗装を施し、200℃で15秒焼き付けし供試材とし
た。初期親水性、親水持続性、摩擦係数、成形性は実施
例1と同じ条件で試験、評価した。その結果を表2に示
す。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示すように、本願発明の塗料を用い
ても、皮膜量が極端に薄いものでは初期の特性は優れて
いるものの、長時間の使用には耐えきれず親水持続性が
低下している。しかしケイ酸分換算で8〜500mg/
2 の皮膜量であれば充分実用に耐えることができる。
【0029】実施例−3 アルミニウム板を脱脂した後、ケイ酸成分、樹脂成分、
水溶性有機物は実施例−1と同じものを用い、水溶性有
機物量を様々に変えた塗料を皮膜量を変化させて塗布
し、200℃で15秒焼き付けし供試材とした。そし
て、初期親水性、親水持続性、摩擦係数、成形性は実施
例1と同じ条件で試験、評価した。その結果を表3に示
す。
【0030】
【表3】
【0031】表3に示したように表面層として水溶性有
機樹脂層のみからなる層が20〜1000mg/m2
けられているものでは、初期親水性、親水持続性、摩擦
係数、成形性のいずれにおいても優れた特性を示してい
る。なお、1000mg/m2 を超えたものでは性能が
飽和してしまっており、コスト増などの別の問題をまね
いている。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により提供
されるフィン材は、ケイ酸またはケイ酸アルカリ金属塩
に−OH基、−COOH基、エポキシ基、リン酸基、ス
ルホン酸基またはこれらの金属塩またはモノエタノール
アミン等との中和物またはエステルの内の一種以上を有
する分子量100〜5000の水溶性有機物、さらにポ
リアクリル酸またはポリメタクリル酸またはポリヒドロ
キシアクリル酸あるいはその塩、またはエステルの内の
1種以上あるいはそれらの共重合体からなる有機樹脂を
混合した塗料を塗布・焼き付けしたものであり、焼き付
け中にケイ酸塩と水溶性有機物が分離し、水溶性有機物
を空気側に浮き出させることにより、アルミと塗料の界
面にケイ酸塩を析出させ、その上に20〜1000mg
/m2 の水溶性有機物のみからなる層を設けたものであ
る。この本発明によれば、粘度の低い揮発性のプレスオ
イルを使用しても潤滑性・成形性に優れ、また塗膜表面
に硬いシリカ粒子が露出していないため、成形時の金型
磨耗を防ぐことができるフィン材を提供することができ
る。また、表面に設けられた水溶性有機物層により高い
親水性を示すとともに、長期間の使用により表面層の水
溶性有機物層が凝縮水等により流失しても下層のケイ酸
塩層が親水性を示すことから、長期間にわたる親水性い
わゆる親水持続性に優れている。そしてこのような二層
の親水層を一回の塗装焼き付けにより設けることができ
るため、親水性フィン材を効率良く、安価に提供でき
る。さらに、塗装中の樹脂分が少なくて済むため、熱交
換器の銅パイプのろう付け時に高温に曝されても、焦げ
臭気の発生、黄変といった不具合が発生せず、作業環境
の悪化、親水性の低下等の不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプレコートフィン材を示す断面図であ
る。
【符号の説明】 1‥‥‥アルミニウム 2‥‥‥皮膜 3‥‥‥水溶性有機物のみからなる層 4‥‥‥珪酸または珪酸アルカリ金属塩
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木延義 東京都中央区日本橋室町4丁目3番18号 スカイアルミニウム株式会社内 審査官 小石 真弓 (56)参考文献 特開 平5−125555(JP,A) 特開 平6−39347(JP,A) 特開 昭61−246059(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B05D 7/14 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金
    (以下、アルミニウムという)の表面に、 A 珪酸または珪酸アルカリ金属塩8〜500mg/m
    2 、 B −OH基,−COOH基,エポキシ基、りん酸基、
    スルホン酸基、またはこれらの金属塩、またはモノエタ
    ノールアミン等との中和物、またはエステルの内の1種
    以上を有する分子量100〜5000の水溶性有機物2
    0〜3125mg/m2 、 C ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸またはポリ
    ヒドロキシアクリル酸あるいはその塩、またはエステル
    の内の1種以上あるいはそれらの共重合体からなる有機
    樹脂5〜125mg/m2 、からなる皮膜を設けたこと
    を特徴とする親水性および潤滑性に優れた熱交換器用プ
    レコートフィン材。
  2. 【請求項2】 皮膜中の水溶性有機物(B)の濃度がア
    ルミニウム板表面側から漸次増加し、皮膜最外表面が水
    溶性有機物のみからなることを特徴とする請求項1記載
    の親水性および潤滑性に優れた熱交換器用プレコートフ
    ィン材。
  3. 【請求項3】A 珪酸または珪酸アルカリ金属塩。 B −OH基,−COOH基,エポキシ基、りん酸基、
    スルホン酸基、またはこれらの金属塩、またはモノエタ
    ノールアミン等との中和物、またはエステルの内の1種
    以上を有する分子量100〜5000の水溶性有機物 C ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸またはポリ
    ヒドロキシアクリル酸あるいはその塩、またはエステル
    の内の1種以上あるいはそれらの共重合体からなる有機
    樹脂を、有機樹脂(C)100重量部に対して、珪酸ま
    たは珪酸アルカリ金属塩(A)を珪酸分に換算して15
    0〜500重量部、水溶性有機物(B)を3〜5000
    重量部として構成される、親水性および潤滑性に優れた
    熱交換器プレートフィン用塗料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の塗料をアルミニウム材に
    塗布し、120〜350℃で4〜120秒の熱風乾燥を
    施すことを特徴とする親水性および潤滑性に優れた熱交
    換器用プレコートフィンの製造方法。
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