JP3158989B2 - 熱交換器用部材 - Google Patents

熱交換器用部材

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JP3158989B2 JP23574695A JP23574695A JP3158989B2 JP 3158989 B2 JP3158989 B2 JP 3158989B2 JP 23574695 A JP23574695 A JP 23574695A JP 23574695 A JP23574695 A JP 23574695A JP 3158989 B2 JP3158989 B2 JP 3158989B2
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直也 藤原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水性の高い皮膜
を形成するための被覆剤、および該被覆剤で被覆するこ
とにより表面の親水性を高めた熱交換用部材に関するも
のであり、この発明は、例えば空調機等の熱交換器の放
熱板として用いられる熱交換器用AlまたはAl合金製
フィン材への水滴の付着を防止して水の流下を容易に
し、熱交換器の通風抵抗を低減するための皮膜形成剤と
して有効に活用することができるので、本明細書では熱
交換器用のフィン材表面に親水性皮膜を形成する場合を
主体にして説明するが、本発明はもとよりそれらの用途
に限定されるものではない。
【0002】
【従来の技術】空調機等に用いられる熱交換部材は、通
常0.1mm程度のAl合金製薄板をプレス成形したフ
ィン材に銅管などを差し込み、これを拡管して製造され
ものが多いが、このタイプの熱交換部材では、空調機の
運転時にフィンの表面温度が大気の露点以下となると、
空気中の水分の凝縮により生成する結露水が表面に付着
し、フィン間が該水滴によって封鎖され通風抵抗が増大
するいわゆる「ブリッジ現象」を引き起こし、熱交換効
率が低下したり或は付着水の飛散や騒音の発生とい問題
を招くことがしばしば経験されている。こうした問題
は、近年ますます進行する傾向の強い熱交換器の小型化
に伴うフィンピッチの狭隘化によって一段と顕著になる
傾向が見られる。こうした問題を解決するため、Al合
金製フィン材の表面に親水性を付与して水滴の付着を抑
え、フィン間のブリッジ現象を防ぐ方法が種々提案され
ている。
【0003】例えばAl合金製フィン材の表面に親水性
を付与する方法としては アルカリ珪酸塩(水ガラス)などの無機系化合物を用
いて親水化処理する方法(特開昭58−126989号
等)、 ポリビニルアルコールやセルロース系ポリマー、ポリ
アクリル酸系ポリマー等の親水性高分子化合物や界面活
性剤などを含有する被覆剤を塗布することにより、フィ
ン材表面に親水性を与えて水濡れ性を高める方法(特開
昭64−38481号等) が知られている。これらの表面処理により、水の接触角
で定量評価することのできるフィン材表面の親水性が高
められ、それに伴って、通風抵抗で定量評価することの
できる熱交換器の熱交換効率向上に寄与できることが確
認されており、こうした傾向は銅合金製の熱交換器用フ
ィン材にも共通する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の方
法により表面処理されたフィン材表面の親水性は改善さ
れるものの表面硬度が高くなり、熱交換器用フィン材を
製造する際のプレス加工性が低下するばかりでなく金型
摩耗も著しくなるという難点が生じてくる。しかも、該
親水性皮膜にはシリカ独特の臭気があるため、屋内に設
置される空調機に適用すると不快臭を生じるという難点
も指摘される。一方、上記の高分子樹脂皮膜で表面被
覆されたフィン材では、上記の様な加工性の低下や金型
摩耗、更には臭気発生といった問題を生じることはない
が、親水性樹脂や界面活性剤の流出により皮膜の親水性
が短時間のうちに低下するという問題がある。
【0005】そこで、被覆の表面積を増大させて見掛け
の親水性を高める方法が検討されている。被覆の表面積
を増大させる方法としては、無機質もしくは有機質の微
粒子を被覆剤中に含有させて被覆表面を粗面化する方
法、フィン材の表面にクレーターを形成したりショット
ブラスト処理によって表面を粗面化する方法なども試み
られている。しかしながら無機質微粒子を含有させる方
法では、一般に無機質微粒子が硬質であるため、プレス
成形型の摩耗が激しくなるという問題が再び問題とな
り、しかも、フィン材としての実用化時に該微粒子の剥
離・脱落が起こって被覆が破損したり、更にはフィン材
の腐食が進行するといった新たな問題が生じてくる。ま
た該微粒子は2次凝集を起こし易いため、表面積の増大
に有効な凹凸を被覆表面に効果的に形成することができ
ず、配合量に応じた表面粗面化効果も得られにくい。更
に、ショットブラスト法等によって被覆表面を粗面化す
る方法では、表面の耐食性皮膜までも傷つけるため、フ
ィン材としての耐食性を大幅に劣化させる。
【0006】本発明はこの様な従来技術の問題点に着目
してなされたものであって、その目的は、優れた親水性
を有し水膜形成を助長して水滴の付着を長期間にわたっ
て確実に阻止し、かつ被覆形成素材としての成形加工性
が良好で金型摩耗も少なく、更には耐食性等に悪影響を
及ぼすことのない、優れた性能の親水性皮膜を形成し得
る様な皮膜形成用被覆剤を提供しようとするものであ
り、ひいては、空調機等の熱交換器用フィン材として利
用することにより、水滴の付着を効果的に阻止して水の
流下を容易にし、通風抵抗の低減等に優れた特長を発揮
する、親水性の高められた熱交換器用部材を提供しよう
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の熱交換器用部材は、熱交換器部材の表
面に、ポリ(メタ)アクリルアミド(a)と、ポリアル
キレングリコール(b)と、分子内に少なくとも2個の
アルデヒド基を有する化合物(c)とを必須成分として
含有する水性液の焼き付け膜が形成されていて、且つ該
焼き付け膜表面に、直径0.1〜3.0μmの粒状突起
物が、独立して、或いは互いに接触もしくは連結して多
数存在しているところに特徴を有している。
【0008】上記ポリアルキレングリコール(b)とし
ては、分子量2000〜200000のポリエチレング
リコール又はポリエチレングリコール−ポリプロピレン
グリコール共重合体が、また分子内に少なくとも2個の
アルデヒド基を有する化合物(c)としてはグリオキザ
ールが、夫々特に好ましいものとして挙げられる。ま
た、本発明被覆剤における上記各化合物(a)〜(c)
の好ましい含有率は、分子内にアミド基を有する高分子
化合物(a): 0.5〜5%、分子内にエーテル結合を有
する高分子化合物(b):1〜10%、分子内に少なく
とも2個のアルデヒド基を有する化合物(c): 0.2〜
2%より好ましくは分子内にアミド基を有する高分子化
合物(a): 1.5〜 3.5%、分子内にエーテル結合を有
する高分子化合物(b):3〜 6.0%、分子内に少なく
とも2個のアルデヒド基を有する化合物(c): 0.4〜
1.0 %の範囲である。
【0009】本発明の被覆剤は、必要により他の成分と
して、上記成分(a)〜(c)以外の水溶性高分子化合
物、たとえばカルボキシメチルセルロースやポリビニル
アルコール等を適量含有させ、あるいは適量の界面活性
剤を含有させることによって、塗装・焼付けによって形
成される被覆の粗面度および親水性を一段と高めること
ができるので好ましい。ここで、必要により含有させる
ことのできる水溶性高分子化合物の好ましい配合量は
0.8〜3.0重量%、より好ましくは1.2〜2.0
重量%、界面活性剤の好ましい配合量は0.1〜1.0
重量%の範囲である。
【0010】また、本発明に係る熱交換用部材とは、上
記の親水性皮膜形成用被覆剤を熱交換部材の表面に塗布
し焼付け被覆することによって表面の親水性を高め、表
面の水膜形成能を高めて水滴としての付着を防止し、熱
交換効率などを高めたところに特徴を有するものであ
り、たとえば被覆基材となる熱交換部材としてAlもし
くはAl合金製の熱交換器用フィン材に適用することに
より、優れた性能のフィン材を得ることができる。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】前述の如く本発明に係る親水性皮
膜形成用被覆剤は、分子内にアミド基を有する高分子化
合物[以下、アミド基含有高分子ということがある]
(a)と、分子内にエーテル結合を有する高分子化合物
[以下、エーテル含有高分子ということがある](b)
と、分子内に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化
合物[以下、アルデヒド基含有化合物ということがあ
る](c)とを必須成分として含有する水性液からなる
ものであり、これらを好ましい比率で含有する水性液を
熱交換用部材の表面に塗布し焼付け処理すると、表面に
微細凹凸を無数に有する粗面度の高い親水性被覆が形成
されるが、この被覆は、その高い粗面度によってもたら
される表面積拡大と当該被覆自体の高い親水性が有効に
作用し、該被覆表面に凝集付着した結露水などは速やか
に水膜を形成して下方に流下することになり、水滴状態
での滞留が阻止される結果、従来の熱交換器用フィン材
等に見られる結露水の付着滞留による熱交換器の性能低
下、結露水の飛散、騒音の発生といった問題を悉く解消
することが可能となる。
【0013】以下、本発明に係る親水性皮膜形成用被覆
剤の構成を詳細に説明すると共に、該被覆剤を塗布・焼
付けすることによって形成される被覆の表面性状などを
主体にして説明を進める。
【0014】被覆剤の必須成分として規定されるアミド
基含有高分子(a)とは、例えばポリ(メタ)アクリル
アミドやアミノポリ(メタ)アクリルアミドの如く、分
子中にアミド基を有する水溶性の高分子化合物であり、
この高分子(a)は、塗布・焼付け処理によって後述す
るアルデヒド基含有化合物(c)と架橋反応し、親水性
でしかも水には溶出しない被覆成分を構成する。しかも
この架橋反応物は、エーテル含有高分子(b)等との共
存系では非常に高い凝結力を示し、焼付け被覆の表面に
該架橋反応物が、独立して、或は互いに接触もしくは連
結して多数の粒状突起物を形成し、被覆の表面積拡大に
寄与する。また、一般に市販されているアミド基含有高
分子の中には、分子内にカルボキシル基を有するものが
あり、該カルボキシル基は、エーテル含有高分子(b)
中のエーテル結合と会合し、被覆層中で上記架橋反応物
の言わばマトリックス(分散層)として存在するエーテ
ル含有高分子(b)とも物理的に結合し、該高分子
(b)の水への溶出を抑えると共に、被覆全体としての
耐久性を高める作用も発揮するものと考えられる。
【0015】こうした作用が最も有効に発揮されるの
は、分子中に1級アミド基を有するポリ(メタ)アクリ
ルアミドであるが、要は分子中にアルデヒド基との反応
性を有するアミド基を有し且つ水溶性であるものであれ
ばこれに限定されず、(メタ)アクリルアミドを重合成
分として含有する様々の水溶性共重合体やそれらの各種
変性物(たとえば、アニオン変性やカチオン変性などを
含む)等を使用することも可能である。更には、分子中
に2級アミド基からなるポリアミド結合を有する水溶性
ポリアミド化合物も有効に活用することができる。
【0016】ポリ(メタ)アクリルアミドを選択すると
きの好ましい分子量は、被覆形成能と塗工作業性等を加
味して数平均分子量で1万〜200万、より好ましくは
5万〜100万の範囲のものである。尚ポリ(メタ)ア
クリルアミドとしては、一般に市販されている未変性物
の他、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のポリ(メ
タ)アクリルアミドが包含される。
【0017】該アミド基含有高分子(a)の被覆剤中に
占める好ましい含有量は0.5〜5.0重量%、より好
ましくは1.5〜3.5重量%の範囲であり、含有量が
不足する場合は、焼付け被覆の粗面度と親水性が十分に
上がりにくくなり、被覆の水膜形成能が不足気味とな
り、一方含有量が多過ぎると、架橋反応によって生成す
る微粒子が多くなりすぎて被覆の全面に多量の微粒子が
生成し、却って被覆表面の粗面度が低下してくる。
【0018】次にエーテル含有高分子(b)は、上記の
様に焼付け被覆中に生成する架橋反応物のマトリックス
成分となる成分であり、市販されているポリ(メタ)ア
クリルアミド等に若干量含まれているカルボキシル基と
水素結合による会合体を形成し、水に非溶出性の親水耐
久性に優れた被覆を形成するうえで欠くことのできない
ものである。好ましいものとしては、親水性に加えて塗
膜潤滑性を高めフィン材等としての成形性を高める作用
も備えたポリアルキレングリコール(例えばポリエチレ
ングリコール、ポリジオキソラン、ポリエチレングリコ
ールとポリプロピレングリコールのブロック或はランダ
ム共重合体など)が挙げられるが、要は分子中にエーテ
ル結合を有する水溶性の高分子化合物であれば、他の様
々のエーテル含有高分子化合物を使用することができ
る。
【0019】エーテル含有高分子(b)としてポリアル
キレングリコールを使用するときの該グリコールの好ま
しい分子量は2,000〜200,000、より好まし
くは6,000〜100,000の範囲であるが、被覆
剤としての塗工作業性等を高めるため、より低分子量の
ポリアルキレングリコールを少量併用することも有効で
ある。また、該エーテル含有高分子(b)の好ましい含
有量は1.0〜10.0重量%、より好ましくは3.0
〜6.0重量%の範囲であり、含有量が不足する場合は
被覆形成能が不足気味となり、逆に多過ぎる場合は被覆
剤の粘度が高くなりすぎて塗工性が悪くなる傾向が現わ
れてくる。
【0020】アルデヒド基含有化合物(c)は、前述の
如くアミド基含有高分子(a)中のアミド基と架橋反応
を起こし、微細凹凸源となる親水性の粒状微粒子を形成
するうえで必須の成分であり、架橋剤としての作用が最
も有効に発揮されるのはグリオキザールであるが、この
他こはく酸ジアルデヒド、ジアルデヒド澱粉等を使用す
ることも可能でありる。
【0021】該アルデヒド基含有化合物(c)の好まし
い含有量は0.2〜2.0重量%、より好ましくは0.
4〜1.0重量%の範囲であり、この範囲を外れると、
いずれの場合も被覆の親水性が低下したり粗面度が不十
分になる傾向が生じてくる。
【0022】本発明被覆剤における必須の成分は上記3
成分であり、これらを水に混合・溶解することによって
被覆剤とされるが、このとき、更に他の成分として、前
記成分(a)〜(c)以外の水溶性高分子化合物や界面
活性剤を適量配合し、被覆性能を一段と高めることも有
効である。ここで用いられる水溶性高分子化合物として
は、カルボキシメチルセルローズ、メチルセルローズ、
ヒドロキシエチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビ
ニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、水溶
性ナイロン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ドメチルプロパンスルホン酸等が例示されるが、これら
の中でも特に好ましいのはカルボキシメチルセルロース
である。そしてこれを0.8〜3.0重量%程度添加す
ると、造膜性が一段と向上すると共に焼付け被覆表面の
粗面度と親水性も一層高められる。但しその含有量が多
くなりすぎると、被覆剤としての粘度が高くなって塗工
性が低下したり、あるいは被覆剤の状態で固形物が生成
することがあるので注意しなければならない。
【0023】また、必要に応じて用いられる界面活性剤
は、焼付き被覆の親水性を更に高める作用を有するばか
りでなく、塗工時の被覆剤の基材に対する濡れ性を高め
るうえで有効に作用する。また、たとえばAlフィン材
などの表面被覆に適用する場合、焼付け被覆中に存在す
る界面活性剤や前記非架橋の水溶性高分子化合物は、焼
付け被覆表面に凝縮した水と共に溶出するが、その際に
被覆表面に付着しているごみや油などの撥水化因子を伴
って流下するため、被覆の親水性持続にも有効に作用す
る。
【0024】こうした作用を有効に発揮させる上で好ま
しい界面活性剤の含有量は、被覆剤中に占める量で0.
1〜1.0重量%の範囲である。界面活性剤の種類は特
に制限されず、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、
両性の全ての界面活性剤を使用することができ、たとえ
ばアニオン系としてはアルキルスホン酸エステルやポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等;ノ
ニオン系としてはポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテルやポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン
共重合体脂肪酸エステル等;カチオン系としてはアルキ
ルアミン塩やアルキルメチルトリメチルアンモニウムク
ロリド等;両性としてはアルキルアミノプロピオン酸塩
やアルキルジメチルベタイン等が好ましいものとして例
示される。
【0025】本発明の被覆剤中には、更に他の添加剤と
して必要に応じて防かび剤、抗菌剤、消臭剤、着色剤、
分散剤等を添加し、被覆剤としての塗工性や基材への密
着性を高めたり、被覆の耐久性等を一層高めることも有
効であり、それらも勿論本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0026】本発明の親水性皮膜形成用被覆剤は、前述
の必須成分(a)〜(c)および必要により併用される
水溶性高分子化合物や界面活性剤その他の副添加成分を
水に均一に溶解(もしくは乳化状態で均一に分散)して
なる水性液であり、適度の粘度を有するものであって、
例えばAlやAl合金等からなる熱交換器用フィン材の
表面に、乾燥状態での付着量で好ましくは1〜50mg
/dm2 、好ましくは3〜30mg/dm2 程度となる
様に塗布し、通常は130〜260℃程度、好ましくは
160〜240℃程度で10秒〜5分程度加熱焼付け処
理すると、水膜形成能の非常に高い被覆が形成される。
こうした塗布・焼付け工程は、生産性を高める意味か
ら、帯状の被覆基材に対してオンラインで連続的に実施
することが望ましい。そしてこの様な条件で焼付け処理
を行なうと、先に説明した様に、アミノ基含有高分子
(a)がアルデヒド基含有化合物(c)と架橋反応を起
こして表面粗面度を高める粒状物が生成し、またエーテ
ル含有高分子(b)は該粒状物のマトリックス層を形成
すると共にアミノ基含有高分子(a)と会合体を形成
し、水に非溶出性の親水性被覆が形成される。
【0027】この被覆は、前述の如くその表面に架橋反
応物からなる直径0.1〜3.0μm程度の粒状突起物
が、独立して、或は互いに接触もしくは連結して多数存
在する表面性状を有しており、該被覆表面は全面に渡っ
て高い親水性を示すと共に、粒状突起物によって表面に
微細な凹凸が無数に形成されて大きな表面積を有してい
る。従って、該被覆の表面に結露水が水滴状で付着した
としても、その水滴は直ちに被覆表面に沿って流延し水
膜を形成して流下する。従って、先に従来技術で指摘し
た様な水滴の付着・滞留が起こって通風抵抗が増大す
る、いわゆる「ブリッジ現象」が確実に阻止され、熱交
換効率の低下や付着水の飛散や騒音の発生とい問題を悉
く解消することが可能となる。しかも、該焼付け被覆は
水に対する耐溶出性にも非常に優れたものであるから、
上記の様なブリッジ現象阻止効果を長期間持続すると共
に、該被覆は潤滑性においても優れているので加工性も
良好であり、被覆形成後に2次加工を行なうことも容易
であるなど、従来の親水化処理法に比べて多くの利点を
享受できる。
【0028】尚、上記本発明の被覆剤は、表面の親水性
を高めて水膜形成能向上が求めらる様々の用途に適用で
きるが、中でも現在最も広く実用化されているAlやA
l合金製熱交換器用フィン材の表面被覆に利用すれば、
その性能が遺憾なく発揮される。AlやAl合金フィン
材の表面にこの被覆を形成するに当たっては、該被覆の
形成に先だって基材表面にクロメート処理やりん酸塩処
理、あるいはクロム化合物や燐酸塩化合物等を含む有機
樹脂被覆処理等を施し、フィン材としての耐食性などを
高めることも有効である。
【0029】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明のを
より具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例
によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に
適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿
論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に
含まれる。
【0030】実施例 脱脂処理と水洗により清浄化したAl板(材質:113
0,H26、厚さ:0.1mm)よりなる熱交換器用フ
ィン材を基材とし、その表面に耐食性改善のため塗布型
クロメート処理またはりん酸クロメート処理を施し、親
水性被覆形成基材として使用した。
【0031】表1に示す成分組成の親水性皮膜形成用被
覆剤を調製し、各被覆剤を上記フィン基材の表面に乾燥
後の付着量が約10mg/dm2 となる様に塗布した
後、表2に示す条件で焼付け処理を行なって親水性被覆
を形成した。得られた各表面被覆Alフィン材につい
て、下記の方法で水濡れ性と対水接触角を測定すると共
に被覆の表面構造を観察し、更に加工性を調べることに
よりフィン材としての有用性を評価した。尚、水濡れ性
と対水接触角の測定は、親水持続性を確認するため下記
の耐久処理を行なった後に実施した。
【0032】まず初期耐久処理として、各試料片を純水
に24時間浸漬し、その後80℃で30分間乾燥処理し
た後の各試料表面の接触角と水濡れ性を測定した。また
長期耐久処理として、純水浸漬8時間→80℃乾燥16
時間を1サイクルとする乾・湿サイクル試験を5サイク
ル実施した後の接触角を測定した。
【0033】尚、対水接触角は協和界面科学株式会社製
の接触角計「CA−A」によって測定し、また水濡れ性
は、純水の霧吹き噴霧による水の付着状況から、下記の
基準で評価した。 ◎:全面濡れ ○:表面積の10%以内で水はじきあり △:表面積の50%以内で水はじきあり ×:表面積の50%超で水はじきあり
【0034】また加工性は、耐久性処理を施していない
試料片を使用し、被覆物表面の動摩擦係数の数値(新東
科学社製の表面性測定器を使用、荷重50g、掃引速度
100mm/分)により下記の基準で評価した。 ◎:動摩擦係数0.10以下 ○: 同 0.11〜0.19 △: 同 0.20〜0.29 ×: 同 0.30以上
【0035】更に、被覆の表面構造の観察は、前述の方
法で初期耐久処理を施した試験片に金蒸着を施した後、
電子顕微鏡により表面性状を観察し、下記の基準で評価
した。 ◎:被覆表面に0.1〜3.0μm程度の微細突起が多
数形成されて表面が高度に粗面化されているもの ○:被覆表面に凹凸が認められ、表面がかなり粗面化さ
れているもの ×:被覆表面が平滑で殆んど粗面化されていないもの、
あるいは被覆が剥離し基材表面が露出しているもの 結果を表2に一括して示す。
【0036】尚、表1に記号で示した被覆構成成分は下
記の通りである。アミド基含有高分子(a) C:アニオン性ポリアクリルアミド(数平均分子量30
万〜50万)(ハリマ化成社製、商品名「ハーマイドC
−10」) D:カチオン性ポリアクリルアミド(数平均分子量10
万〜20万)(ハリマ化成社製、商品名「ハリフィック
スUF−570」) E:ノニオン性ポリアクリルアミド(数平均分子量、約
30万)(ハリマ化成社製、商品名「ハリコート105
7」)エーテル含有高分子(b) F:ポリエチレングリコール(数平均分子量約100
0) G:ポリエチレングリコール(数平均分子量約600
0) H:ポリエチレングリコール(数平均分子量約2000
0) I:PEO−1(住友精化社製、数平均分子量約15万
〜40万) J:PEO−3(住友精化社製、数平均分子量約60万
〜110万) K:ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコー
ル共重合体(PEG:PPG=8:2、数平均分子量約
20000)
【0037】アルデヒド基含有化合物(c) L:グリオキザール(試薬) M:こはく酸ジアルデヒドその他の水溶性高分子化合物 N:カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬社製、
商品名「セロゲンWS−C」 O:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社
製、商品名「メトローズ 60SH−4000」 P:ポリビニルアルコール(信越化学社製、商品名「信
越ポバール C−05」) Q:ポリビニルピロリドン(BASF社製「K−3
0」)界面活性剤 R:ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(花
王社製、商品名「エマルゲン840S」) S:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社
製、商品名「ネオペレックスF−65」) T:エチレンオキサイド付加型アンモニウムクロライド
(ライオン社製、商品名「エソカードC/25」) また、表2における下地皮膜の構成は、A:塗布型クロ
メート処理、B:りん酸クロメート処理を表わしてい
る。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表1,2より次の様に考察できる。実施例
1〜39は、本発明の規定要件を全て満足する被覆剤を
用いて得た親水性被覆であり、水濡れ性、対水接触角、
加工性、表面構造のいずれにおいても非常に良好な結果
が得られている。尚実施例33〜39は、被覆剤を構成
する各成分が好ましい範囲を若干外れるものであるが、
比較例に比べると優れた性能を有していることが分か
る。
【0041】これらに対し比較例1〜7は、被覆剤の成
分組成が本発明の規定要件を外れる例であり、いずれも
被覆の表面構造が悪く(粗面化が殆んどなされておら
ず)、そのため水濡れ性と対水接触角がいずれも実施例
に比べて劣悪であることが分かる。
【0042】尚図1〜4は、上記表1,2に示した実施
例、比較例で得た被覆のうち代表的な表面構造を示す図
面代用顕微鏡写真であり、図1は実施例1,図2は実施
例4,図3は実施例24の各表面構造であって、いずれ
も表面に微細な微粒子が独立しあるいは相互に接触もし
くは連結して多数存在して多数の凹凸が形成されている
ことが分かる。これに対し図4は、比較例3で得た被覆
の表面性状を示すものであり、被覆表面には極く微細な
凹凸が認められるものの全体としては殆んど平滑であ
り、粗面化による表面積拡大効果を期待し得ないもので
あることが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、被
覆剤の成分組成を特定することによって、優れた親水性
を有し水膜形成を著しく助長して水滴の付着を長期間に
わたって確実に阻止し、かつ被覆形成素材としての成形
加工性が良好で金型摩耗も少なく、更には耐食性等に悪
影響を及ぼすこともない、優れた性能の親水性皮膜を形
成し得る様な皮膜形成用被覆剤を提供することができ、
これを空調機等の熱交換器用フィン材として利用するこ
とにより、水滴の付着を効果的に阻止して水の流下を容
易にし、通風抵抗の低減等に優れた特長を発揮する高性
能の表面処理熱交換器用部材を提供し得ることになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得た被覆の表面性状を示す図面代用顕
微鏡写真である。
【図2】他の実施例で得た被覆の表面性状を示す図面代
用顕微鏡写真である。
【図3】更に他の実施例で得た被覆の表面性状を示す図
面代用顕微鏡写真である。
【図4】比較例で得た被覆の表面性状を示す図面代用顕
微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F28F 13/18 F28F 13/18 B (72)発明者 神谷 憲一 栃木県真岡市鬼怒ケ丘15番地 株式会社 神戸製鋼所 真岡製造所内 (56)参考文献 特開 昭62−273843(JP,A) 特開 昭63−249643(JP,A) 特開 平7−102189(JP,A) 特開 平7−216259(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 5/00 C09D 101/08 - 101/32 C09D 133/26 C09D 171/02 - 171/03 F28F 1/32 F28F 13/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換器部材の表面に、ポリ(メタ)ア
    クリルアミド(a)と、ポリアルキレングリコール
    (b)と、分子内に少なくとも2個のアルデヒド基を有
    する化合物(c)とを必須成分として含有する水性液
    焼き付け膜が形成されていて、 且つ該焼き付け膜表面には、直径0.1〜3.0μmの
    粒状突起物が、独立して、或いは互いに接触もしくは連
    結して多数存在している熱交換器用部材
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコール(b)は、分
    子量2000〜200000のポリエチレングリコール
    又はポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコー
    ル共重合体を含む請求項1に記載の熱交換器用部材
  3. 【請求項3】 分子内に少なくとも2個のアルデヒド基
    を有する化合物(c)が、グリオキザールである請求項
    1または2に記載の熱交換器用部材。
  4. 【請求項4】 重量%で、ポリ(メタ)アクリルアミド (a):0.5〜5%、ポリアルキレングリコール (b):1〜10%、 分子内に少なくとも2個のアルデヒド基を有する化合物
    (c):0.2〜2%を含有するものである請求項1〜
    3のいずれかに記載の熱交換器用部材
  5. 【請求項5】 他の成分として、上記成分(a)〜
    (c)以外の水溶性高分子化合物を含有するものである
    請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用部材
  6. 【請求項6】 水溶性高分子化合物がカルボキシメチル
    セルロースである請求項5に記載の熱交換器用部材
  7. 【請求項7】 他の成分として界面活性剤を含有するも
    のである請求項1〜6のいずれかに記載の熱交換器用部
  8. 【請求項8】 熱交換部材がAlもしくはAl合金製の
    熱交換器用フィン材である請求項1〜6のいずれかに記
    載の熱交換器用部材。
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