JP3328147B2 - 記録媒体液 - Google Patents

記録媒体液

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JP3328147B2
JP3328147B2 JP29714796A JP29714796A JP3328147B2 JP 3328147 B2 JP3328147 B2 JP 3328147B2 JP 29714796 A JP29714796 A JP 29714796A JP 29714796 A JP29714796 A JP 29714796A JP 3328147 B2 JP3328147 B2 JP 3328147B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録法において用いられる記録媒体液に関する。さらに詳
しくは、顔料がグラフト型等の重合体で処理されてなる
顔料複合ポリマーを着色剤成分として含有するインクジ
ェット記録用記録媒体液に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録法は、いわゆるイン
クと称される記録媒体液を液滴流として飛翔させ、記録
部材に付着させて記録を行なうものである。インクジェ
ット記録法には、記録媒体液の液滴の発生および制御方
法によって種々の方法が提唱され実用化されている。例
えば、液滴の発生方法としては、インク室の壁面の一
部を圧電素子(ピエゾ素子)で構成し、ここに記録信号
を与えて、インキを加圧し、該信号に応じて液滴を発生
させる圧電加圧方式、インキ室内の記録液に記録信号
に対応した熱エネルギーを与え、インクに気泡を発生さ
せその圧力で液滴を発生させる加熱加圧方式が実用化さ
れている代表的なものであり、その他にも比較的高圧
でノズルからインキを噴射させ飛行中に表面張力と帯電
とによって粒子化させる方式、比較的低圧でインキを
噴射させて超音波振動を重乗させる方式、メニスカス
で球形になったインキを高い電界で吸引する方式などが
知られている。
【0003】このようなインクジェット記録法において
用いるインクすなわち記録媒体液に対しては、吐出条件
(例えば、圧電素子の駆動電圧、駆動周波数、吐出オリ
フィスの形状と材質、吐出オリフィス径等)に適合した
液物性(粘度、表面張力、電導度等)を有しているこ
と、長期保存に対して安定でインクジェット装置の目詰
りを生じないこと、被記録材(紙、フィルム等)に対し
て定着が速くかつ確実であって、しかもドットの周辺が
滑らかでにじみの小さいこと、形成されたインク画像の
色調が鮮明で濃度が高いこと、形成されたインクの画像
の耐水性、耐光性が優れていること、インク周辺材料
(収納器、連結チューブ、シール材等)に対し腐食性が
ないこと、集気、毒性が少なく、引火性等の安全性に優
れたものであること等の諸特性を備えることが要望され
る。
【0004】従来、インクジェット記録法において用い
られる記録媒体液としては、基本的に着色剤成分として
の染料とその溶媒とから組成されるものが主として用い
られていた。このためその記録媒体液の物性は、用いら
れる染料固有の性質に左右されるところが大きく、例え
ば、水溶性の染料を含む記録媒体液を用いてインクジェ
ット記録を行なった場合、得られたインキ画像が水溶性
染料の物性に左右されて、その耐水性、耐光性において
劣ったものとなるという欠点があった。またこのような
水溶性染料を含んだインキ自体の保存安定性も十分なも
のではなかった。
【0005】このため、このような染料系のインキに代
えて、カーボンブラック等の顔料を着色剤成分として使
用した顔料系インキをインクジェット記録法に適用する
試みがなされている。この顔料系のインキは、得られた
インキ画像の耐光性や耐水性が、染料系のインクによる
画像に比べて極めて良好であるという利点がある。しか
しながら、一方で、顔料はインキの液媒体に不溶性であ
るため、インキの液媒体中に顔料を微分散させるには高
度な技術を要すると共に、その分散安定性を高めること
は非常に困難である。
【0006】ところで、カーボンブラックは、着色性、
耐候性、耐薬品性等に優れるため、着色剤、あるいはプ
ラスチックやエラストマーの補強剤や充填剤等種々の目
的で幅広く使用されている。しかしながら、カーボンブ
ラックは、その形状が粉状または粒状のため、単独で使
用されていることが少なく、通常、ゴムや樹脂等の固状
の基材または水や溶剤等の液体に均一に分散されてその
特性を発揮する。しかし、カーボンブラックは、粒子間
の凝集力に比べて他の物質、例えば有機高分子、水およ
び有機溶剤等との親和性が弱いために、通常の混合また
は分散条件では、均一に混合または分散することが極め
て困難であった。
【0007】この問題を解決するために、カーボンブラ
ック表面を各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固状ま
たは液状の基材との親和性を高めることにより、カーボ
ンブラックの分散性を改良する検討が数多くなされてい
る。
【0008】重合性単量体をカーボンブラック共存下に
重合させることにより得られるカーボンブラックグラフ
トポリマーは、重合性単量体の種類を適当に選択するこ
とにより、親水性および/または親油性を適宜変えるこ
とができるため注目されている(例えば、特公昭42−
22047号、特公昭44−3826号、特公昭45−
17248号、特公昭46−26970号)。しかしな
がら、これらの方法で得られるカーボンブラックグラフ
トポリマーの収率は数%〜10数%と低く、大半はビニ
ル系ホモポリマーの形で存在し、カーボンブラックの表
面処理効率は極めて低いものであった。このため、他の
物質との親和性は期待した程には改良されず、混合また
は分散条件によって分散状態が異なる場合が多々あっ
た。
【0009】この問題点を解決するために、エポキシ基
やアジリジン基などの反応性基を分子内に有する重合体
をカーボンブラックと反応させて得られるカーボンブラ
ックグラフトポリマーが提案されており(特公平2−2
4868号、特公平6−27269号)、このカーボン
ブラックグラフトポリマーは各種の物質への分散性が改
良されたものであった。
【0010】しかしながら、このカーボンブラックグラ
フトポリマーは、該重合体がカーボンブラックとの反応
性を有する官能基を有するもののその重合鎖が、親油性
あるいは親水性のいずれかの特性しか有しないものであ
ったため、カーボンブラックに対するグラフト効率とい
う面と、当該グラフト化された重合鎖によって付与しよ
うとする各種目的媒体への分散性向上という面の多くの
場合において相反する要求の双方を十分に満足すること
が困難であった。
【0011】それゆえ、該カーボンブラックグラフト
ポリマー中のカーボン含有量を大きくできない、極性
の高い媒体、例えばアルコール、セロソルブ系溶剤等、
あるいは極性の低い媒体、例えば炭化水素系溶剤やシリ
コーン系溶剤等には十分な分散性を付与できない、有
機溶剤中でのグラフト化が難しいなどといった問題点を
有していた。
【0012】このようなカーボンブラックグラフトポリ
マーを前記したようなバブルジェット記録法に用いる記
録媒体液の着色剤成分として用いることも考えられる
が、その場合、上記したような問題点に起因して、カ
ーボンブラック含有量を大きくできず、インク画像の色
調を十分に鮮明でかつ高濃度とすることができない、
吐出条件に適合した電導度に設定することが困難であ
る、安定した分散状態を保持し得ず、長期保存性の面
で不十分であるなどといった問題が生じるものであっ
た。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、新規な記録媒体液を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、着色剤成分の分散
性、長期保存安定性に優れ、形成画像の濃度、鮮明度、
耐水性、耐光性に優れた記録媒体液を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記
(1)〜(11)により達成される。
【0016】(1) 液媒体と着色剤成分とを含有する
記録媒体液であって、前記着色剤成分として、顔料表面
の官能基と反応し得る反応性基を有するセグメント
(A)と、前記反応性基を実質的に有さずかつ前記セグ
メント(A)よりも液媒体に対し高い親和性を示すセグ
メント(B)とを有するグラフト型重合体を、顔料と加
熱して得られる顔料複合ポリマーを含有することを特徴
とするインクジェット記録用記録媒体液。
【0017】(2) 前記顔料がカーボンブラックであ
る上記(1)に記載の記録媒体液。
【0018】(3) 前記セグメント(A)の有する反
応性基が、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン
基、N−ヒドロキシアクリルアミド基およびオキサゾリ
ン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種または2種
以上のものである前記(1)または(2)の記録媒体
液。
【0019】(4) 前記セグメント(A)が少なくと
も反応性基を有するビニル系単量体を含むビニル系単量
体組成物の重合により得られ、炭素−炭素結合を有する
主鎖を含有するものである前記(1)ないし(3)のい
ずれかの記録媒体液。
【0020】(5) 前記セグメント(A)が、少なく
とも反応性基を有するビニル系単量体を含むビニル系単
量体組成物の重合により得られ、重合鎖中に反応性基お
よび芳香環を含有するものである前記(1)ないし
(4)のいずれかの記録媒体液。
【0021】(6) 前記セグメント(A)が、芳香環
を有するビニル系単量体を50モル%以上含みかつ反応
性基を有するビニル系単量体を含むビニル系単量体組成
物の重合により得られたものである前記(1)ないし
(5)のいずれかの記録媒体液。
【0022】(7) 前記セグメント(B)が、ポリシ
ロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエ
ーテル構造、ポリ(メタ)アクリロニトリル構造、ポリ
エステル構造、ポリアルキレン構造、ポリアミド構造、
ポリイミド構造、ポリウレタン構造からなる群から選ば
れた少なくともいずれかのものを有するものである前記
(1)ないし(6)のいずれかの記録媒体液。
【0023】(8) カーボンブラックの平均粒子径が
0.0005〜0.4μmの範囲内である前記(2)な
いし(7)のいずれかの記録媒体液。
【0024】(9) 前記カーボンブラック100重量
部に対して、前記重合体1〜1000重量部がグラフト
化されてなるものである前記(2)ないし(8)のいず
れかの記録媒体液。
【0025】(10) カーボンブラックが、カルボキ
シル基を有するものである前記(2)ないし(9)のい
ずれかの記録媒体液。
【0026】(11) カーボンブラックがpH7未満
の酸性カーボンブラックである前記(2)ないし(1
0)のいずれかの記録媒体液。
【0027】
【作用】代表的な顔料の1つである、カーボンブラック
は、通常数nm〜数百nmの粒子径を持つ。しかし、カ
ーボンブラックは粒子同士の凝集力が大きいため、通常
数ミクロン以上の粒子径を持つ凝集体として取り扱われ
る。また、カーボンブラック同士の凝集力は、カーボン
ブラックと他の媒体との親和性に比べ著しく大きく、カ
ーボンブラックをサブミクロンで媒体中に分散させるこ
とは非常に困難である。このことは、他の多くの顔料に
関しても共通するものである。
【0028】一方、このような顔料を重合体と複合化さ
せてなる顔料複合ポリマー、例えば、カーボンブラック
グラフトポリマーにおいては、顔料の粒子間に重合体部
分が有効に入り込み、顔料同士の凝集力を弱めることが
できる。さらに、重合体部分が媒体と親和性のある時、
顔料複合ポリマーはサブミクロンで媒体中に分散でき
る。しかしながら、重合体部分が媒体と高い親和性を有
していたとしても、顔料部分に重合体部分が有効に複合
化ないしグラフト化されていないと、その特性は安定し
たものとはならずまたバラツキを生じやすくなり、一定
レベルの親和性を得ようとすると顔料複合ポリマーにお
ける顔料の含有量が低くなってしまうという結果ともな
り、その用途の上で制約を受けることとなる。
【0029】本発明者らは鋭意検討した結果、重合体部
分を形成する重合体としてグラフト型等といったそれぞ
れ性質の異なる複数のセグメントを有するものを用いる
ことで、より有効な複合化ないしグラフト化と、記録媒
体液の各種の媒体液に対して従来のカーボンブラックグ
ラフトポリマー等に比較してより優れた分散性を有する
顔料複合ポリマーを得ることができることを見い出し
た。すなわち、顔料に複合化させる重合体を、前記媒体
液に対する親和性の高いセグメント(B)と、このセグ
メント(B)よりも前記媒体液に対する親和性の低いセ
グメント(A)とを有し、かつ前記セグメント(A)の
みが顔料の表面官能基と反応して複合化ないしグラフト
化に寄与する反応性基を有するように分子設計し、前記
媒体液若しくはこれに近い性状(極性)を持つ媒体から
なる分散媒液中で、この重合体と顔料とを加熱して得ら
れる顔料複合ポリマーを、着色剤成分として用いるもの
である。
【0030】図1は、上記のように、媒体液若しくはこ
れに近い性状を持つ媒体からなる分散媒液中で、カーボ
ンブラックに上記した反応性基を有するグラフト型の重
合体を反応させた際における、カーボンブラック表面近
傍における状態を模式的に示す図である。本発明に係る
重合体は、上記したように反応性基を有するセグメント
(A)と前記媒体液に親和性を有するセグメント(B)
とからなるものであるため、反応系においては、図示す
るように、セグメント(B)が分散媒液中に向って伸び
きった形となるよう配向するため、必然的にセグメント
(A)がカーボンブラック粒子表面を取囲み、カーボン
ブラックとこの重合体がグラフト化するのに好適な反応
場が提供されるため、有効な複合化ないしグラフト化が
なされるものである。
【0031】これにより得られたカーボンブラックグラ
フトポリマーにおいて表面に結合したグラフト鎖は、前
記媒体液に対する親和性の高いセグメント(B)が外側
に露出するように配向されているので、媒体液に対し高
い親和性を示し、カーボンブラックグラフトポリマーは
サブミクロン単位で媒体液中に分散できるものである。
【0032】このようにして得られたカーボンブラック
グラフトポリマーは、重合体部分がより有効にグラフト
化されかつより優れた分散性を有するので、従来のカー
ボンブラックグラフトポリマーと比較して、媒体液中に
良好にかつ安定して分散でき、しかも、カーボンブラッ
クグラフトポリマー中のカーボン含有量を大きくでき
る、カーボンブラック自体がもつ重合禁止効果を緩和さ
せる、電気絶縁性を高くできるなどといった特徴を有し
得るものとなる。このため、着色剤成分としてこのカー
ボンブラックグラフトポリマーを含有する記録媒体液
は、インク画像の色調を十分に鮮明でかつ高濃度とする
ことができ、吐出条件に好ましく適合した電導度に設定
することができ、また、良好な着色剤成分の分散状態を
安定して保持し得、長期保存性の面で極めて良好なもの
となる。さらに、このように本発明に係る記録媒体液に
おいて用いられるカーボンブラックグラフトポリマー
は、カーボンブラックに対して上記したようなグラフト
型の重合体鎖が共有結合等を介して強固に結合してなる
ものであるので、例えば、同様のグラフト型の重合体
と、カーボンブラックとを未結合状態で液状媒体中に添
加することによって記録媒体液を調製した場合と比較し
ても、明らかに当該重合体鎖によるカーボンブラックの
分散性の改善が明確に発揮されるものである。
【0033】なお、顔料成分としてカーボンブラック以
外の顔料を用い、上記したような本発明に係る重合体成
分を複合化させてなる顔料複合ポリマーは、本発明に係
る前記カーボンブラックグラフトポリマーと同様に優れ
た特性を有し、かつこの顔料複合ポリマーを含有する記
録媒体液は、当然に上記と同様に優れた特性を発揮する
ものである。
【0034】なお、本明細書でいう「顔料複合ポリマ
ー」とは、顔料と、顔料の表面官能基に対して反応性を
有する反応性基を有する重合体とを加熱処理して得られ
たものであり、顔料の一次粒子あるいは数個の凝集体の
表面に、重合体が安定して付着した状態のものである。
顔料粒子表面への重合体の安定した付着は、顔料粒子表
面と重合体との間での何らかの化学結合、例えば以下に
述べるようなグラフト化が生じているためであると理論
上で考えられるが、分析的にこのようなグラフト化が生
じているか否かを示すことはある程度の困難性を伴な
い、また実際上では、多くの場合、このような化学結合
力のみならず物理的付着力も多分に作用しているもので
あろうゆえ、このような状態のものを包含する意味で、
「複合ポリマー」ないし「複合化」と規定したものであ
る。
【0035】また本明細書でいう「カーボンブラックグ
ラフトポリマー」とは、カーボンブラック部分に重合体
部分がグラフト化された微粒子をいう。カーボンブラッ
クグラフトポリマーは、カーボンブラックの一次粒子あ
るいは数個の凝集体に重合体がグラフト化されたもので
ある。さらに、ここでいう「グラフト化」とは、ドネ
(Jean−Baptiste Donnet)らがそ
の著書「カーボンブラック」(1978年 5月 1日
株式会社講談社発行)にて定義しているように、カーボ
ンブラックのような基質に対する重合体の不可逆的な付
加のことである。
【0036】不可逆的な付加反応を行うことによりカー
ボンブラック粒子表面部分に対し重合体部分を化学結合
させることができ、これにより、上記両者を確実に結合
させることができる。「グラフト化」に用いることがで
きる付加反応には、求電子付加反応、ラジカル付加反
応、求核付加反応、付加環化反応がある。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施態様に基づき
より詳細に説明する。
【0038】本発明に係る顔料複合ポリマーを製造する
上で用いられる顔料としては、特に限定されるものでは
なく、有機顔料でも、無機顔料でも、あるいはそれらの
混合物であっても構わない。
【0039】無機顔料としては、例えば、アルミナ、二
酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウ
ム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸
化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ
土、各種無機酸化物顔料、酸化クロム、酸化セリウム、
ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化
ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、シリカ微粉体、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化
ホウ素、炭化タングステン、炭化チタン、酸化セリウ
ム、カーボンブラックなどの粉末ないし粒子が挙げられ
る。さらにこのような無機顔料は、チタンカップリング
剤、シランカップリング剤もしくは高級脂肪酸金属塩等
の公知の疎水化処理剤により処理されたものであったも
よい。
【0040】また有機顔料としては、例えばネーブルス
イエロー、ナフトールイエローS、ハンザーイエロー
G、ハンザーイエロー10G、ベンジジンイエローG、
ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パ
ーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄
色顔料、キリブデンオレンジ、パーマネントオレンジR
K、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアン
トオレンジGK等の橙色顔料、パーマネントレッド4
R、リソールレッド、ピラゾロンレッド4R、ウォッチ
ングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアン
トカーミン6B、エオミンレーキ、ローダミンレーキ
B、ブザリンレーキ、ブリリアントカーミンB等の赤色
顔料、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレ
ーキ等の紫色顔料、アルカリブルーレーキ、ビクトリア
ブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシ
アニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファ
ストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等の青色
顔料、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレー
キ、ファイナルイエログリーンG等の緑色顔料等が挙げ
られる。
【0041】なお、以下においては、顔料としてカーボ
ンブラックを用い、このカーボンブラックに重合体を複
合化させて、顔料複合ポリマーを得る態様を中心として
本発明を説明する。また、本発明の理解をより容易とす
るために、以下において、当該態様において得られる顔
料複合ポリマーを「カーボンブラックグラフトポリマ
ー」と表現しているが、実際上では、上記に定義したよ
うに重合体が「グラフト化」したものものなみならず、
より広義な意味で、重合体が「複合化」したもの、すな
わちカーボンブラック複合ポリマーを含み得るものであ
ることに留意すべきである。
【0042】本発明に係るカーボンブラックグラフトポ
リマーを製造する上で用いられるカーボンブラックとし
ては、その表面にカルボキシル基、ヒドロキシ基等の官
能基を有するものであれば特に限定されず、例えばファ
ーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラ
ック、ランプブラック等のいずれの種類のものを用いる
ことができ、通常の市販品をそのまま使用できるが、中
でもカルボキシル基を有するものが好ましい。さらにカ
ーボンブラックとしてはpH7未満、特にpH1〜5の
カーボンブラックを用いることが好ましい。カルボキシ
ル基を有するカーボンブラックは、酸性カーボンブラッ
クとして容易に入手できるが、中性あるいは塩基性のカ
ーボンブラックを酸化処理することにより得られたもの
も本発明における原料として好適に用いることができ
る。カーボンブラックが、カルボキシル基等の官能基を
有していない場合、あるいはpH7以上である場合、グ
ラフト化が有効に行なわれないことがある。なお、カー
ボンブラックのpHの試験法はJIS K 6211に
よるものである。
【0043】また、カーボンブラックの平均粒子径は
0.0005〜0.4μm、特に0.001〜0.2μ
mの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.0
005μm未満のカーボンブラックは容易に得られない
ため、産業上意義が小さい。また、平均粒子径が0.4
μmを越える場合、得られたカーボンブラックグラフト
ポリマーに十分な分散性が付与できないことがある。
【0044】一方、このようなカーボンブラックにグラ
フト化されて重合体部分を形成するために用いられる重
合体は、カーボンブラック表面の官能基と反応し得る反
応性基を有するセグメント(A)と、前記反応性基を実
質的に有さずかつ前記セグメント(A)よりも記録媒体
液の分散液に対する親和性の高いセグメント(B)とを
有するグラフト型等の重合体である。
【0045】ブロックないしグラフト型重合体として
は、図2(a)において示すA−B型ブロック共重合
体、図2(b)において示すA−B型グラフト共重合体
といった単純な構造のものに限られず、図2(c)にお
いて示すB−A−B型ブロック共重合体、あるいはより
高度な交互ブロック共重合体、図2(d)において示す
複数のBセグメントがAセグメントにグラフトしてなる
櫛形グラフト共重合体、さらには図2(e)において示
す星型状のグラフト共重合体などといった各種のものが
含まれる。なお、図中Xは反応性基を表す。図2(f)
は、これらの各種のブロックないしグラフト型の重合体
がカーボンブラック粒子(CB)表面へ結合した状態を
表すものであるが、要は、カーボンブラック粒子表面に
結合した状態で、少なくとも1つのセグメント(B)が
カーボンブラック粒子表面より外側に向ってある程度の
自由度をもって配向できるものであれば、ブロックない
しグラフト型重合体はいかなる形態を有するものであっ
てもよく、さらに例えば、セグメント(A)に分類され
るものとして複数種のセグメントを有するものであって
も(セグメント(B)についても同様)、セグメント
(A)とセグメント(B)とは異なる性質、例えばこれ
らの中間的な性質を有する、あるいはグラフト鎖を延長
する、グラフト鎖の媒体液中での「ゆらぎ」(運動性)
を高めるないし低下させるなどといった機能を付する別
種のセグメント(以下、(C)セグメントという。)
を、これらセグメント(A)とセグメント(B)の中間
に配したような形のものなどであってもよい。ここで
(C)セグメントは反応性基を有しないものであっても
有するものであってもよいが、一般には反応性基を有し
ないものとすることが、グラフト効率を高める上からは
好ましいものと考えられる。さらに場合によっては、こ
の(C)セグメントに相互に架橋し得るような反応基等
を導入しておくことも可能である。なお、説明の上から
(C)セグメントと称したが、この(C)セグメントも
大きく分ければ、上記したようなセグメント(A)かセ
グメント(B)のいずれかに分類されるものである。
【0046】このようなグラフト型等の重合体におい
て、セグメント(A)中に含まれる反応性基としては、
カーボンブラック表面に存在する官能基と反応して当該
重合体のカーボンブラックへのグラフト化に寄与できる
ものであれば特に限定されるものではなく各種の反応性
基を利用できる。
【0047】ここで、グラフト化をより確実かつ安定な
ものとするためには、重合体部分が共有結合を介してカ
ーボンブラックに結合することが望まれ、特にエステル
結合、チオエステル結合、アミド結合、アミノ結合、エ
ーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオ
カルボニル結合およびスルホニル結合よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の結合、さらには、エステル結
合、チオエステル結合およびアミド結合よりなる群から
選ばれる少なくとも1種の結合であることが望まれる。
このような点も考慮すると、反応性基は、エポキシ基、
チオエポキシ基、アジリジン基、N−ヒドロキシアクリ
ルアミド基およびオキサゾリン基よりなる群から選ばれ
る少なくとも1種または2種以上のものであることが望
ましい。カーボンブラックに対する反応性基は必ずしも
これらのみに限定されるものではないが、これらの反応
性基以外の基を有する重合体を用いる場合、使用できる
カーボンブラックの種類に制限が生ずることがある。重
合体が前記反応性基を有するものであることが好ましい
理由は、使用できるカーボンブラックの種類や状態にか
かわらず、温和な条件においてもカーボンブラックと重
合体とが非常に高いグラフト化効率で付加反応すること
にある。特に、カーボンブラックが上記したようにカル
ボキシル基を表面官能基として有する場合、カルボキシ
ル基が、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、
N−ヒドロキシアクリルアミド基またはオキサゾリン基
と熱反応により高収率で不可逆的付加反応を行ない、こ
の付加反応により、カーボンブラック部分と重合体部分
に上記した共有結合が形成されるゆえ望ましい。
【0048】なお、これらの反応性基の重合体(セグメ
ント(A)部分)中への導入方法については後述する。
【0049】このような反応性基を有するセグメント
(A)は、そのセグメント鎖構造上で目的媒体に対し親
和性の低いものとする必要がある。なお、ここでいう低
い親和性とは、あくまで他方のセグメント(B)との対
比による相対的なものであるため、目的媒体の種類ある
いはセグメント(B)の構成いかんによって、セグメン
ト(A)は各種の構成とすることができ、一概には特定
できない。しかしながら、さらに別の観点からすると、
前記セグメント(A)は、カーボンブラックに対し親和
性が高いものとすることが、カーボンブラックに対して
より良好な配向性を示すものとなるゆえに望ましい。こ
の点から前記セグメント(A)は、その主鎖が炭素−炭
素結合を主とするもの、より好ましくは、例えばベンゼ
ン環、ナフタレン環、インデン環などのような芳香環を
主鎖に含むもので、かつ前記したような反応性基を分子
内に有するものとし、一方、前記セグメント(B)は、
セグメント(A)よりも炭素−炭素結合の少ない、特に
芳香環の少ない骨格構造、例えばポリシロキサン構造、
あるいはエーテル結合、エステル結合等の炭素−炭素結
合以外の結合を多く含むものとすることが望ましい。
【0050】ただ、セグメント(A)が実質的に高度の
縮合多環構造のみで構成されてしまうとセグメント
(A)の剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブ
ラックへのグラフト時にカーボンブラック表面へのセグ
メント(A)の近接が困難な虞れがあるために、適度な
線状構造を有することが望ましい。
【0051】上記したように、セグメント(A)の鎖構
造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面
から選択されるセグメント(B)の鎖構造に応じて、適
宜選択し得るものであり、例えば、スチレン系単量体、
(メタ)アクリル系単量体、アルキレン系単量体などの
単独もしくは共重合による各種ビニル系ポリマー、ポリ
エステル、ポリエーテル等の(上記反応性基を有する)
重合鎖とすることができるが、このうち、ビニル系ポリ
マー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分を50
モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含みかつ
反応性基を有するビニル系ポリマーであることが、使用
する液媒体に応じて選択される各種のセグメント(B)
との組合せが可能となるため望ましい。
【0052】さらに経済性等を考慮すると特に、スチレ
ン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とする
単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成分
を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上記
反応性基を有する)重合鎖が望ましい。
【0053】しかしながら、本発明においては、反応性
基を有するセグメント(A)は、そのセグメント鎖構造
上で目的媒体に対しセグメント(B)より親和性の十分
低いものとすれば、必ずしもセグメント(A)がカーボ
ンブラックに対し親和性の高いものとしなくともよく、
カーボンブラックに対してはセグメント(A)とセグメ
ント(B)の親和性に実質的な差異がなくとも、あるい
はセグメント(B)よりも親和性の低いものであっても
十分に使用可能であり、場合によっては、セグメント
(B)側を例えばスチレン系構造とすることも可能であ
る。
【0054】一方、セグメント(B)は、使用する液媒
体への分散性等、カーボンブラックに付与しようとする
特性によって、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ
(メタ)アクリル系構造、ポリアルキレングリコールな
どのポリエーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリア
ルキレン系構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポ
リウレタン構造などを有する重合鎖から適当なものが選
択される。
【0055】例えば、ポリシロキサン系構造鎖は、極性
の低い液媒体中への分散性を改善する目的、さらに撥水
性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れ
ていることや、低温脆性がないことを付与する目的で、
また(メタ)アクリル系鎖は、種々の(メタ)アクリル
エステル単量体成分を導入して、幅広い親水性−疎水性
を付与する目的で(例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロ
キシアルキルエステル等を導入して親水性を高め
る。)、またポリアルキレングリコール鎖は、親水性、
潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特性を付与する目的で、
それぞれ採用可能である。
【0056】このような反応性基を有するセグメント
(A)と使用する液媒体に対して高い親和性を有するセ
グメント(B)とを有する重合体を得る方法としては、
特に限定されず、公知の種々のグラフト型等の重合体の
重合技術と、反応性ポリマーの製造技術を適当に組合せ
ることで製造することができる。
【0057】グラフト型の重合体を得る方法としては、
例えば、グラフト鎖となる高分子量体の存在下に、重合
開始剤及び重合性単量体を溶液重合、乳化重合、塊状重
合又は懸濁重合して主鎖となる重合体を重合する方法す
る方法が知られている。しかしながら、前記高分子量体
がラジカル重合性官能基を持たないものであると、得ら
れるグラフト共重合体には多量のグラフト化されていな
い重合体が含まれており、グラフト効率が低いという欠
点をもっている。それ故、当該高分子量体としてラジカ
ル重合性高分子量体を用いて行なうことが好ましい。こ
のようなラジカル重合性高分子量体は、一般に、「マク
ロモノマー」と称され、片末端にラジカル重合性基、例
えば、(メタ)アクロイル基、スチリル基などを有する
高分子量体であり、例えば、有機溶剤中で片末端カルボ
キシル基を有する重合体とグリシジル基を有するラジカ
ル重合性単量体を反応させることにより得られるもので
ある(例えば、特公昭43−11224号公報には、有
機溶剤中でラジカル重合性単量体をメルカプト酢酸の存
在下で、ラジカル重合させて得られるプレポリマーとグ
リシジルメタクリレートをジメチルラウリルアミン触媒
の存在下で反応させて得る方法が開示されている。)。
【0058】従って、例えば、本発明に係るグラフト共
重合体を得るには、セグメント(B)を形成する成分と
しての上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)
存在下に、前記したようなカーボンブラックに対する反
応性基を分子内に有する重合性単量体(a)およびその
他必要により配合されるセグメント(A)の骨格を形成
する重合性単量体(c)重合すればよい。
【0059】カーボンブラックに対する反応性基を分子
内に有する重合性単量体(a)としては、
【0060】
【化1】
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
【化8】
【0068】
【化9】
【0069】
【化10】
【0070】
【化11】
【0071】
【化12】
【0072】
【化13】
【0073】(但し、これらの式中のR1 は水素または
メチル基を示し、nは0または1〜20の整数であ
る。)等の式で表されるエポキシ基含有重合性単量体
類;
【0074】
【化14】
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】
【化17】
【0078】
【化18】
【0079】
【化19】
【0080】
【化20】
【0081】
【化21】
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
【化24】
【0085】
【化25】
【0086】
【化26】
【0087】(但し、これらの式中のR1 およびnはエ
ポキシ基含有重合性単量体の場合と同様である。)等で
表わされるチオエポキシ基含有重合性単量体類;
【0088】
【化27】
【0089】
【化28】
【0090】
【化29】
【0091】
【化30】
【0092】
【化31】
【0093】
【化32】
【0094】
【化33】
【0095】
【化34】
【0096】
【化35】
【0097】
【化36】
【0098】
【化37】
【0099】
【化38】
【0100】
【化39】
【0101】
【化40】
【0102】
【化41】
【0103】
【化42】
【0104】
【化43】
【0105】
【化44】
【0106】
【化45】
【0107】
【化46】
【0108】
【化47】
【0109】
【化48】
【0110】
【化49】
【0111】
【化50】
【0112】
【化51】
【0113】
【化52】
【0114】
【化53】
【0115】
【化54】
【0116】
【化55】
【0117】
【化56】
【0118】
【化57】
【0119】
【化58】
【0120】
【化59】
【0121】
【化60】
【0122】
【化61】
【0123】
【化62】
【0124】
【化63】
【0125】
【化64】
【0126】
【化65】
【0127】
【化66】
【0128】
【化67】
【0129】
【化68】
【0130】
【化69】
【0131】
【化70】
【0132】
【化71】
【0133】
【化72】
【0134】
【化73】
【0135】
【化74】
【0136】
【化75】
【0137】
【化76】
【0138】
【化77】
【0139】
【化78】
【0140】
【化79】
【0141】
【化80】
【0142】等で表されるアジリジン基含有重合性単量
体類;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4
−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル
−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オ
キサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンなど
のオキサゾリン基含有重合性単量体類;N−ヒドロキシ
メチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリル
アミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒ
ドロキシイソブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシシ
クロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメ
タクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒド
ロキシイソブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ
シクロヘキシルメタクリルアミドなどのN−ヒドロキシ
アルキルアミド基含有重合性単量体類;を挙げることが
でき、これらの群から選ばれる1種または2種以上を使
用することができる。
【0143】また、セグメント(A)を上記したような
所望の骨格となすために、必要により使用できる重合性
単量体(c)としては、前記単量体(a)ならびに後述
するようなとセグメント(B)を形成する成分としての
上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)共重合
し得るものであれば特に限定されず、得ようとするセグ
メント(A)の分子構造に応じて、例えばスチレン、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o
−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルス
チレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリ
ル酸あるいはメタクリル酸系モノマー;エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビ
ニルピロリドン等の単量体を1種または2種以上適宜用
いることができる。
【0144】一方、セグメント(B)成分を構成するた
めラジカル重合性高分子量体(b)としては、所望の重
合鎖、例えば、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)ア
クリル系構造、ポリアルキレングリコールなどのポリエ
ーテル系構造、ポリエステル系構造、ポリアルキレン系
構造、ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン
構造などの重合鎖の片末端に反応性基を有するものであ
ればよい。
【0145】例えば、セグメント(B)をポリシロキサ
ン系構造を有するものとする場合、当該ポリシロキサン
系構造としては、ポリジメチルシロキサン基、部分アル
キル基置換のポリジメチルシロキサン基、部分アリール
基置換のポリジメチルシロキサン基、トリス(トリアル
キルシロキシ)シリルプロピル基等のポリオルガノシロ
キサンを含有するものなどが例示できる。
【0146】従って、ポリシロキサン系構造を有するラ
ジカル重合性高分子量体(b1 )としては、例えば(メ
タ)アクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン、スチ
リル基含有ポリジメチルシロキサン(メタ)アクリロイ
ル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、ス
チリル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキササ
ン、スチリル基含有部分フェニル置換ポリジメチルシロ
キサン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート等の重合性ポリシロキサン類が挙
げられ、これらの中から1種または2種以上を用いるこ
とができ、特に以下のものが望ましい。
【0147】
【化81】
【0148】(ただし、式中、Bは−COO−またはフ
ェニレン基を示し、R1 は水素原子またはメチル基を、
2 は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3 〜R13は同
一または異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル
基または炭素数1〜10のアルコキシル基をそれぞれ示
し、aおよびbは同一または異なって0〜10の整数
を、nは0〜200の整数をそれぞれ示す。) 同様に、セグメント(B)をポリメタ(アクリル)系構
造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量体
(b2 )としては、例えば、以下に示されるようなもの
が使用され得る。
【0149】
【化82】
【0150】(ただし、式中、R1 、R2 は同一または
異なって水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数
1〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であ
り、Yは開始剤末端またはH原子、nは0〜500の整
数を示す。)
【0151】
【化83】
【0152】(ただし、式中、R1 、R2 、R4 は同一
または異なって水素原子またはメチル基を示し、R3
5 は同一または異なって炭素数1〜25のアルキル基
を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端また
はH原子、m、nはそれぞれ同一または異なって0〜5
00の整数を示す。)
【0153】
【化84】
【0154】(ただし、式中、R1 、R2 は同一または
異なって水素原子またはメチル基を示し、R3 は炭素数
1〜25のアルキレン基を示し、R4 は炭素数1〜25
のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開
始剤末端またはH原子、nおよびmは同一または異なっ
て0〜500の整数を示す。) また、セグメント(B)をポリアルキレングリコール系
構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量
体(b3 )としては、例えば、以下に示されるようなも
のが使用され得る。
【0155】
【化85】
【0156】(ただし、式中、R1 、R2 、R3 は同一
または異なって水素原子またはメチル基を示し、nは0
〜500の整数を示す。)
【0157】
【化86】
【0158】(ただし、式中、R1 、R2 、R3 、R4
は同一または異なって水素原子またはメチル基を示し、
nおよびmは同一または異なって0〜500の整数を示
す。) さらに、セグメント(B)をポリスチレン系構造を有す
るものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b4
としては、例えば、以下に示されるようなものが使用さ
れ得る。
【0159】
【化87】
【0160】(ただし、式中、R1 は水素原子またはメ
チル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末
端またはH原子、Zは水素原子、ハロゲン置換基または
炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜500の整数を示
す。) なお、上記式群において示す連結鎖Xについては、例え
ば、「マクロモノマーの化学と工業」(山下雄也監修、
(株)アイピーシー発行、平成元年9月20日)に詳し
く示されており、これに示されているもののいずれを用
いることもできる。
【0161】このような重合体を得る際の重合方法とし
ては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、
塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法など
を挙げることができる。中でも、ラジカル触媒を用いて
の溶液重合法が好ましい。
【0162】ラジカル触媒としては、通常、ビニル単量
体の重合に用いられているものであればいずれも使用で
きる。代表的なものとしては、2,2´−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾリルパー
オキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ter
t−ブチルパーオクトエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系化合物
等が挙げられ、これらは通常単量体100重量部当たり
0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の範
囲内で使用される。また溶剤としては、用いられる単量
体、ラジカル重合性高分子量体の種類に応じて適宜選択
される。
【0163】重合終了後、得られた反応性基を有する重
合体の溶液をそのままカーボンブラックとの反応に用い
ることもできるし、また溶液の溶媒を留去して重合体を
取り出して用いることもできる。
【0164】本発明で用いることのできるグラフト型重
合体を得る別の方法としては、例えば、カーボンブラッ
クに対する反応性基を有する化合物を、該化合物と反応
し得る基をセグメント(A)に有しかつこのセグメント
(A)にセグメント(B)がグラフトしてなる前駆重合
体に反応させて該反応性基を該前駆重合体中に導入する
方法を挙げることができる。
【0165】上記化合物としては、例えば、カーボンブ
ラックに対する前記の反応性基の1種を分子内に2個以
上有する化合物、カーボンブラックに対する前記の反応
性基の2種以上を分子内に有する化合物、カーボンブラ
ックに対する前記の反応性基の1種以上と前記の反応性
基以外の官能基とを分子内に有する化合物等を挙げるこ
とができる。
【0166】ただし、上記の官能基とはエポキシ基、チ
オエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基およ
びオキサゾリン基以外のものであって、かつ、前記の前
駆重合体の有する当該反応し得る基と反応し得るもので
ある。前駆重合体の有する反応し得る基としては例えば
イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基、ビニル基等を挙げることができる。
【0167】またブロック型の重合体を得る方法として
は、例えばアニオンリビング重合法、カチオンリビング
重合法、イニファータ法等が知られており、さらに、他
の方法としては、セグメント(A)またはセグメント
(B)(本発明においてはセグメント(A)は反応性基
を導入するためセグメント(B)の方が好ましい。)の
単量体をラジカル重合する際に、チオールカルボン酸、
あるいは2−アセチルチオエチルチオール、10−アセ
チルチオデカンチオール等の分子内にチオエステルとチ
オール基とを含有する化合物を共存させて重合して得ら
れた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカ
リで処理して、片末端にチオール基を有する重合体と
し、得られた片末端にチオール基を有する重合体の存在
下でもう一方のセグメントの単量体成分をラジカル重合
する方法が知られている。
【0168】従って、ブロック共重合体を得るには、上
記したような公知の方法を適宜変更し、前記グラフト共
重合体を得る場合と同様に、セグメント(A)の重合性
単量体として少なくともその一部に前記したような反応
性基を有する重合性単量体(a)を用いて、ブロック共
重合体の重合の際にセグメント(A)に反応性基を導入
するか、あるいはブロック共重合体の重合後に、このよ
うな反応性基をセグメント(A)に導入すればよい。
【0169】この理解のために、ほんの一例を述べる
と、アニオンリビング法による合成方法として、4−ビ
ニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中窒
素気流中にスチレンを加え、重合した後、低温下でメタ
クリル酸メチルを重合させることによりA−Bブロック
(スチレン−メタクリル酸メチル)共重合体を得、その
後セグメント(A)の開始末端のビニル基を3−クロロ
過安息香酸を使ってエポキサイド基に変換することによ
ってセグメント(A)にカーボンブラックと反応性を有
する反応性基を導入することができる。あるいは、4−
ビニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中
窒素気流中にスチレンを加え、重合して、セグメント
(A)部分を得た後、反応系にグリシジルメタクリレー
トを添加してセグメント(A)に反応性基を有するセグ
メントを結合させ、さらにその後、低温下でメタクリル
酸メチルを重合させることによりといった手法を採るこ
ともできる。
【0170】このようにして得られるグラフト型等の本
発明に係る重合体の分子量については特に制限されない
が、カーボンブラックに対するグラフト化の効果や、カ
ーボンブラックとの反応時の作業性を考慮すると上記分
子量は平均分子量1000〜1000000の範囲とす
ることが好ましく、より好ましくは5000〜1000
00の範囲である。
【0171】また、本発明に係るこの重合体におけるセ
グメント(A)およびセグメント(B)の分子量として
も特に制限されるものではなく、これらのセグメントを
構成する重合鎖の種類等によっても左右されるが、カー
ボンブラックに対するグラフト効率の面からするとセグ
メント(A)は平均分子量300〜100000の範
囲、より好ましくは1000〜50000の範囲とする
ことが好ましく、またカーボンブラックに付与しようと
する分散性改質効果の面からするとセグメント(B)は
平均分子量300〜100000の範囲、より好ましく
は500〜50000の範囲とすることが好ましい。さ
らに、この重合体のセグメント(A)が有する反応性基
の数としても特に限定されるものではないが、重合体1
分子当り平均して50〜1、より好ましくは20〜1程
度有することが望まれる。
【0172】本発明において、上記したようなグラフ
等の重合体のカーボンブラックへの複合化ないしグラ
フト化は、得られるカーボンブラックグラフトポリマー
を分散性させようとする液媒体若しくはこれに近い性状
を有する媒体からなる分散媒液の存在下で加熱すること
により行なわれる。すなわち、この分散媒液は、当該重
合体のセグメント(B)に対し高い親和性ないし相溶性
を有しセグメント(A)に対しては親和性ないし相溶性
の低いものである。
【0173】従って使用される分散媒液は、当該重合体
におけるセグメント(A)とセグメント(B)の組合せ
に応じて、適宜選択される。
【0174】例えば、重合体におけるセグメント(A)
がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント(B)が
ポリシロキサン構造を有するものである場合、使用され
る分散媒液としては、ポリジメチルシロキサン、部分オ
クチル置換ポリジメチルシロキサン、部分フェニル置換
ポリジメチルシロキサン、フルオロシリコーンオイル等
のシリコーンオイルなどが好ましい。
【0175】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばポリメチルメタクリレートなどの疎水性
(メタ)アクリル系構造を有するものである場合、使用
される分散媒液としては、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ等のセロソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;、ピ
ロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシドなどの非プロトン性極性溶剤などが好まし
い。
【0176】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばメチルメタクリレート−ヒドロキシメチ
ルメタクリレートコポリマーなどの親水性(メタ)アク
リル系構造を有するものである場合、使用される分散媒
液としては、水、水−アルコール混液、メチルアルコー
ル、エチルアルコールなどのアルコール類;メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのエステ
ル類;アセトンなどのケトン類;ピロリドン、N,N−
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが好
ましい。
【0177】また例えば、重合体におけるセグメント
(A)がポリスチレン系構造を有し、かつセグメント
(B)が例えばポリアルキレングリコール系構造を有す
るものである場合、使用される分散媒液としては、水、
水−アルコール混液、メチルアルコール、エチルアルコ
ールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチ
レングリコールなどのグリコール類、グリセリンなどの
多価アルコール類などが好ましい。
【0178】このような分散媒液存在下においてカーボ
ンブラックと前記重合体とを加熱する際に、さらに該重
合体に該当しないポリマー、重合性単量体等の他の物質
を存在させることもできる。
【0179】この複合化ないしグラフト化する際の条件
としては、例えば、40〜300℃、好ましくは70〜
250℃の温度下に、0.5〜10時間、好ましくは2
〜5時間攪拌混合することを例示することができる。加
熱温度が40℃未満の場合にはグラフト化が進行しない
ことがあり好ましくない。300℃を越える場合は重合
体成分が変質することがあり、好ましくない。
【0180】反応の手順としては、カーボンブラックお
よび重合体と、前記分散媒体を反応装置に仕込み、加熱
下に混合すればよい。
【0181】反応装置としては、通常の攪拌に用いられ
る攪拌槽や混練に用いられるボールミル、ミキサー、ニ
ーダー等の混練機を用いることができるが、特に望まし
くは、被処理流体を内部に収容するためのベッセル、こ
のベッセル内部において回転する攪拌子、ベッセル内部
に収容された被処理流体を加熱するための加熱装置、お
よび、ベッセル内部に収容された複数の粒状分散媒体を
有してなる湿式分散処理装置である。攪拌子とビーズ等
の粒状分散媒体を併用して攪拌ないし解砕を行なう湿式
分散処理装置ないし湿式粉砕処理装置は、公知のものと
して数多く知られているが、本発明においては、このよ
うな処理装置に、被処理流体を加熱するための加熱装置
を付加するという装置構成として用いるものである。こ
のような構成の装置を用いれば、極めて高効率で、かつ
十分に小さな粒径を有する(即ち、二次凝集状態から良
好に解砕されたカーボンブラックに重合体がグラフト化
する。)カーボンブラックグラフトポリマーを得ること
ができる。
【0182】また加熱する際におけるカーボンブラック
と前記重合体との配合割合は、使用される前記重合体の
種類、得ようとする記録媒体液に求められる特性等に応
じて左右されるものであるため、一概には規定できない
が、カーボンブラック100重量部に対し、前記重合体
1〜1000重量部、より好ましくは2〜500重量部
程度とすることが望ましい。すなわち、重合体が1重量
部未満であると、カーボンブラックの表面性状を十分に
改質することが困難となる虞れがあり、一方1000重
量部を越えると、カーボンブラックに結合する重合体の
量が多くなり、経済的でないのみならず、本来的に要求
されるカーボンブラックの特性を損なう虞れがあるため
ある。
【0183】このようにして得られる本発明に係るカー
ボンブラックグラフトポリマーの平均粒子径は0.00
1〜0.5μm、特に0.005〜0.2μmの範囲内
であることが好ましい。平均粒子径が0.001μm未
満のカーボンブラックグラフトポリマーは、原料となる
カーボンブラックが容易に得られないため産業上意義が
小さい。また平均粒子径が0.5μmを越える場合、十
分な分散性が得られないことがある。
【0184】本発明に係るカーボンブラックグラフトポ
リマーは、カーボンブラック部分と重合体部分の割合
が、前者100重量部に対し後者1〜1000重量部、
特に5〜500重量部であることが好ましい。後者が1
重量部未満の場合、得られたカーボンブラックグラフト
ポリマー同士が凝集して、液媒体中で十分な分散性が得
られないという問題が起こることがある。また後者が1
000重量部を越える場合は、必要以上に重合体部分が
グラフト化されていることになりカーボンブラック本来
の特性を発揮できない虞れがある。
【0185】上記したような手法で得られたカーボンブ
ラックグラフトポリマーは、種々の物質、例えば有機高
分子、水、有機溶剤等への分散性が著しく優れており、
また一般に電気絶縁性が高くなることに加え、前記重合
体のセグメント(B)が導入されたことにより数多くの
特性を有することとなる。例えば、重合体のセグメント
(B)が、ポリシロキサン系構造鎖であった場合、撥水
性、離型性、耐熱性、耐候性、柔軟性、低粘性等が優れ
ていることや、低温脆性がないといった特性が、また
(メタ)アクリル系鎖であった場合、種々の(メタ)ア
クリルエステル単量体成分を導入して、特に幅広い親水
性−疎水性が、さらに、ポリアルキレングリコール鎖で
あった場合、親水性、潤滑性、柔軟性、帯電防止等の特
性が付与される。
【0186】しかして、本発明に係る記録媒体液は、上
記したようなカーボンブラックグラフトポリマーを着色
剤成分として含むものであれば良く、液媒体ないし他の
成分については特に限定されるものではなく、当該記録
媒体液を用いるインクジェット記録装置の方式(例え
ば、圧電加圧方式、加熱加圧方式等)、さらにその吐出
条件(例えば、圧伝加圧方式においては、圧電素子の駆
動電圧、駆動周波数、吐出オリフィスの形状と材質、吐
出オリフィス径等、また加熱加圧方式においては、単位
時間当りに作用する熱エネルギー量、熱交換エネルギー
の種類、吐出オリフィスの形状、吐出オリフィス径
等)、さらに被記録剤(紙、フィルム等)の種類等に適
合した液物性(粘度、表面張力、電導度、沸点、熱伝導
率、水溶性ないし非水溶性等)を有するように、適宜そ
の組成を選択すれば良い。
【0187】使用される液媒体としては、水;例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコ
ール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキ
シルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコ
ール、ノニルアルコール、デシルアルコール、フルフリ
ルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等の
1価アルコール系溶剤;例えば、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサン
トリオール、チオジグリコール等の多価アルコール系溶
剤;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプ
ロピルケトン、メチルアミルケトン、ジクロヘキサノ
ン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコ
ール系溶剤;例えば、エチルエーテル、ブチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレン
グリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテ
ル系溶剤;例えば、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸フェニル、乳酸エチル、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノ
エチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;例え
ば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン等のアミン系溶剤;ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;例え
ば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素環状化合
物系溶剤;例えば、ヘキサン、オクタン、シクロペンタ
ン、ベンゼン、トルエン、キシロール等の炭化水素系溶
剤;四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエ
タン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤
などの各種のものから、前述したような記録媒体に要求
される諸特性を満足し得るように適宜選択して、単独あ
るいは複数種組合せて用いることができる。
【0188】これらの液媒体のうち、入手の容易さ、経
済性、対環境性、記録媒体の調製の容易さ等を考慮すれ
ば、水、一価アルコール系ないし多価アルコール系、セ
ロソルブ、セロソルブアセテート等の液媒体が望まし
く、特に水、エタノールが望ましい。また特にインクの
目詰り防止の上からは、ジエチレングリコール、チオジ
グリコールが良く、画像濃度および吐出安定性の点で
は、含窒素環状化合物またはポリアルキレンオキシドの
エーテル化合物が良く、さらに周波数応答性の点から
は、低級アルコールの使用やあるいは後述するような界
面活性剤の添加が望ましい。
【0189】本発明に係る記録媒体液における液媒体に
対する上記カーボンブラックグラフトポリマーの配合量
は、特に限定されるものではなく、例えば、顔料濃度が
1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲内と
なるようにカーボンブラックグラフトポリマー量を調整
すれば良いが、液媒体100重量部に対し、カーボンブ
ラックグラフトポリマー1〜100重量部、より好まし
くは2〜50重量部である。
【0190】また、本発明に係る記録媒体液は、上記し
たような液媒体とカーボンブラックグラフトポリマーか
らなる着色剤成分とを基本構成成分としてなるものであ
るが、必要に応じて、例えば、粘度調整剤、表面張力調
整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、湿潤剤、赤外線吸収
発熱剤などといった各種の添加剤、さらに樹脂成分、ま
た本発明における効果を阻害しない範囲内で、着色剤成
分として各種染料および顔料などを添加しても良い。
【0191】粘度調整剤や表面張力調整剤は、主として
記録速度に応じて充分な流速でノズル内を流通するこ
と、ノズルのオリフィスにおいて記録媒体の回り込みを
防止すること、被記録材へ付与されたときの滲みを防止
すること等の目的で添加され得る。
【0192】粘度調整剤および表面張力調整剤として
は、使用される液媒体および着色剤成分に悪影響を及さ
ないものである限りにおいて、公知のいずれのものを用
いてもよく、粘度調整剤としては、例えば、ポリビニル
アルコール、ヒドロキシプロピルセロース、カルボキシ
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチ
ルセルロース、水溶性(メタ)アクリル系樹脂、ポリビ
ニルピロリドン、アラビアゴム、スターチ等が例示で
き、また表面張力調整剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールエーテル硫酸、エステル塩等のアニオン系
界面活性剤、ポリ2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−
ビニルピリジン誘導体等のカチオン系界面活性剤、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキ
ルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノ
ニオン系界面活性剤などといった各種界面活性剤;ジエ
タノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン酸等
のアミン酸;水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム等
の塩基性物質;N−メチル−2−ピロリドン等の置換ピ
ロリドン等が例示できる。
【0193】これら粘度調整剤および表面張力調整剤
は、必要に応じて、それぞれ複数種組合せて用いること
ができる。また、粘度調整剤および表面張力調整剤の添
加量としては、使用される液媒体の種類、着色剤成分の
添加量等によっても左右されるが、例えば、記録媒体液
100重量部当り、粘度調整剤0.1〜30重量部、表
面張力調整剤0.01〜10重量部程度が適当である。
【0194】またpH調整剤は、記録媒体液の化学的安
定性、例えば、長持間の保存による物性の変化や着色剤
成分、その他の成分の沈降や凝集を防止するために所定
のpH値となるように必要に応じて添加され得る。pH
調整剤としては例えば、低級アルカノールアミン;アル
カリ金属水酸化物等の一価の水酸化物;水酸化アンモニ
ウム等が例示できる。
【0195】本発明に係る記録媒体液の液滴を帯電して
記録する場合には、記録媒体液の比抵抗が、その帯電特
性に重要な因子である。このような記録方式における場
合、記録媒体液の比抵抗値を所定の範囲内に調整するよ
うに比抵抗調整剤を添加し得る。比抵抗調整剤として
は、例えば、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化
カリウム等の無機塩;トリエタノールアミン等の水溶性
アミン類および第4級アンモニウム塩等が例示できる。
【0196】また本発明の記録媒体液において使用され
得る湿潤剤としては、公知の各種のものを用いることが
でき、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール等のポリアルキレングリコール;エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール;
エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエー
テル等のアルキレングリコールないしジアルキレングリ
コールのアルキルエーテル;グリセリン;メトキシトリ
グリコール、エトキシトリグリコール等のアルコキシト
リグリコール;N−ビニル−2−ピロリドンオリゴマー
などが例示でき、これらを1種または複数種組合せて用
いることができる。なお、これらの多くは、液媒体とし
ても作用する。
【0197】本発明に係る記録媒体液を電磁波エネルギ
ー、特に赤外線を使用して加熱して記録する場合には、
記録媒体液中に赤外線吸収発熱剤を添加することも望ま
しい。前記したように本発明においては、着色剤成分と
してカーボンブラックを含有するものであり、カーボン
ブラックが赤外線吸収発熱剤としても作用するものであ
るが、赤外線吸収発熱剤としてはこれ以外に、例えば、
水溶性ニグロシン、変成水溶性ニグロシン、アルコール
可溶性ニグロシンなどといった染料、群青、カドミウム
イエロー、ベンガラ、クロムイエロー等の無機顔料、ア
ゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキ
ノン系、フタロシアニン系等の有機顔料等を用いること
が可能である。なお、これらの多くは、着色剤成分とし
ても作用することはもちろんである。
【0198】また本発明に係る記録媒体液の被記録材に
付着する際の被膜の形成性、被膜強度を高めるため、例
えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の
樹脂成分を添加してもよい。
【0199】以上、本発明に係る記録媒体液に関し、着
色剤成分として、カーボンブラック表面の官能基と反応
し得る反応性基を有するセグメント(A)と、前記反応
性基を実質的に有さずかつ前記セグメント(A)よりも
液媒体に対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有
する重合体を、カーボンブラックにグラフト化させてな
るカーボンブラックグラフトポリマーを用いた場合につ
いて詳述したが、着色剤成分として、カーボンブラック
以外の顔料に対し、顔料表面の官能基と反応し得る反応
性基を有するセグメント(A)と、前記反応性基を実質
的に有さずかつ前記セグメント(A)よりも液媒体に対
し高い親和性を示すセグメント(B)とを有する重合体
を、加熱混合して得られる顔料複合ポリマーを用いた場
合についても、同様にして記録媒体液を調製でき、かつ
同様の作用効果が期待できる。なお使用する顔料として
は、特に無機顔料をベースとした場合に、大きな改善効
果が期待できる。
【0200】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、以下において配合割合としての「部」は「重
量部」を表す。
【0201】合成例1 撹拌羽根、不活性ガス導入管、還流冷却管および温度計
を備え付けたセパラブルフラスコに、エタノール100
部、片末端に2重結合を有するメトキシポリエチレング
リコールメタクリレート(新中村化学工業(株)製、N
KエステルM−230G)75部、スチレン15部、イ
ソプロペニルオキサゾリン10部、開始剤として2,2
´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部
を仕込み、N2 気流下75℃にて5時間重合反応を行
い、不揮発分50%の反応性基としてオキサゾリン基を
分子内に有しエチレングリコール鎖を含有する重合体溶
液(1)を得た。
【0202】合成例2 実施例1と同様のフラスコにエポキシ当量1040であ
るラウリルアルコール(エチレンオキシド)15グリシジ
ルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、デナコールEX
−171)1040部、エタノール500部を仕込み、
アクリル酸72部、触媒量のピリジン、150ppmの
ハイドロキノンを加え、70℃にて2時間反応させた。
その後減圧下に、エタノールを留去し、片末端に2重結
合を有するラウリルアルコール(エチレンオキシド)15
を得た。
【0203】この片末端に2重結合を有するラウリルア
ルコール(エチレンオキシド)15を75部、エタノール
100部、スチレン15部、グリシジルメタクリレート
10部に、開始剤として2,2´−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)3部を加え、N2 気流下75
℃にて6時間重合反応を行った。その結果、不揮発分5
0%のラウリルアルコール(エチレンオキシド)15鎖を
含有する重合体溶液(2)を得た。
【0204】合成例3 合成例1において、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステル
M−230G)の代りに、メトキシポリエチレングリコ
ールメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエス
テル041MA)を用いた以外は合成例1と同様にして
不揮発分50%の反応性基としてオキサゾリン基を分子
内に有しエチレングリコール鎖を含有する重合体溶液
(3)を得た。
【0205】合成例4 合成例1において、エタノール100部の代わりに、エ
タノール50部、エチレングリコール50部を用いる以
外は合成例1と同様にして不揮発分50%の反応性基と
してオキサゾリン基を分子内に有しエチレングリコール
鎖を含有する重合体溶液(4)を得た。
【0206】実施例1 温度センサー、撹拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブ
ルフラスコに合成例1で得られたエチレングリコール鎖
を有する重合体溶液(1)を30部、カーボンブラック
スペシャルブラック250(デグサ(株)製)10
部、およびジルコニア製ビーズ1500部を仕込んだ。
回転数600rpmで攪拌しながら75℃にて2時間保
持した後、120℃に昇温し、エタノールを留去させな
がら1時間反応を行なった。その後冷却し、脱イオン水
75部を加え、分散させ、ビーズとの分離を行い、カー
ボンブラック分散体(1)を得た。
【0207】実施例2 実施例1と同様のフラスコに、合成例2で得られたラウ
リルアルコール(エチレンオキシド)15鎖を含有する重
合体溶液(2)を30部、カーボンブラックスペシャル
ブラック250(デグサ(株)製)10部、およびジル
コニア製ビーズ1500部を仕込んだ。回転数600r
pmで攪拌しながら75℃にて2時間保持した後、16
0℃に昇温し、エタノールを留去させながら1時間反応
を行なった。その後冷却し、脱イオン水75部を加え、
分散させ、ビーズとの分離を行い、カーボンブラック分
散体(2)を得た。
【0208】実施例3 実施例1と同様のフラスコに、合成例3で得られた重合
体溶液(3)を12部、カーボンブラック スペシャル
ブラック250(デグサ(株)製)20部、脱イオン水
75部およびジルコニア製ビーズ1500部を仕込ん
だ。回転数600rpmで攪拌しながら95℃まで昇温
してエタノールを除去し、さらに1時間反応を行なっ
た。その後冷却しビーズとの分離を行い、カーボンブラ
ック分散体(3)を得た。
【0209】実施例4 実施例3において重合体溶液(3)に代えて重合体溶液
(4)を用いる以外は実施例3と同様の操作を繰返し、
カーボンブラック分散体(4)を得た。
【0210】比較例1 実施例1と同様のフラスコに、ラウリルアルコール(エ
チレンオキシド)15グリシジルエーテル(ナガセ化成工
業(株)製、デナコールEX−171)15部、カーボ
ンブラック スペシャルブラック250(デグサ(株)
製)10部、およびジルコニア製ビーズ1500部を仕
込んだ。
【0211】その後実施例2と同様の操作を行い、比較
用カーボンブラック分散体(1)を得た。
【0212】比較例2 カーボンブラックMA−100R(三菱化学社製)10
0部、ラウリルアルコール(エチレンオキシド)15グリ
シジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、デナコール
EX−171)25部、ポリエチレングリコール(三洋
化成工業(株)製、PEG200(重合度4〜5))7
5部とを、ラボプラストミル(東洋精機(株)製)を用
いて150℃、100rpmの条件下に15分間混練
し、冷却して処理カーボン(1)を得た。この処理カー
ボン(1)20部、脱イオン水80部と混合し、攪拌機
にて分散させて、比較用カーボンブラック分散体(2)
を得た。
【0213】比較例3 カーボンブラック スペシャルブラック250(デグサ
(株)製)10部、ポリエチレングリコール15部、界
面活性剤(花王(株)製、エマルブン985)0.05
部および脱イオン水11.24部をサンドミルで18時
間分散した後、顔料濃度が10重量%になるように脱イ
オン水70部を加え、さらに30分間分散を行ない、比
較用カーボンブラック分散体(3)を得た。
【0214】これらの実施例1〜4および比較例1〜3
で得られた各カーボンブラック分散体に関し以下の方法
により記録媒体液の長期保存性の評価を行った。結果を
表1に示す。
【0215】<長期保存性>各カーボンブラック分散体
をφ18mmのパイレックス製試験管に入れて保持し、
室温で6カ月間放置して分散安定性を比較した。
【0216】
【表1】
【0217】合成例5 片末端メタクロイル基含有ポリ(メチルメタクリレート
−ヒドロキシエチルメタクリレート)マクロモノマー7
5部、スチレン15部、イソプロペニルオキサゾリン1
0部、およびアゾイソブチロニトリル3部を、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−
Ac)100部に溶解させ重合性単量体組成物を調製し
た。つぎに、攪拌機、還流冷却管、温度計、滴下漏斗、
2 吹込口を備えたセパラブルフラスコにPGM−Ac
50部を仕込み、80℃に昇温した。滴下漏斗に上記
重合性単量体組成物を仕込み、3時間にわたり滴下を行
い80℃にて重合を行った。滴下終了後さらに2時間8
0℃にて重合を続け、その後120℃に昇温し2時間熟
成を行い、最終的に不揮発分40%の重合体溶液(5)
を得た。
【0218】合成例6 合成例5においてイソプロペニルオキサゾリンを用いな
い以外は合成例5と同様の操作を行い、不揮発分40%
の反応性基を有しない重合体溶液(6)を得た。
【0219】実施例5〜10 温度計、撹拌羽根、冷却管を備え付けたセパラブルフラ
スコに合成例5で得られた重合体溶液(5)23.4
部、カーボンブラック31.2部、PGM−Ac10
1.4部、およびジルコニア製ビーズ800部を仕込ん
だ。なお、カーボンブラックとしては表2に示すような
粒径、吸油量、pHの異なる6種類のものを用いた。反
応系を回転数700rpmで攪拌しながら100℃にて
2時間保持した。その後冷却し、ビーズとの分離を行
い、カーボンブラック分散体(5)〜(10)を得た。
【0220】比較例4 実施例5において重合体溶液(5)に代えて合成例6で
得られた重合体溶液(6)を用いる以外は、実施例5と
同様の操作を行ない比較用カーボンブラック分散体
(4)を得た。なおこの分散体(4)においてカーボン
ブラックは重合体とグラフト化していないものである。
【0221】
【表2】
【0222】これらの実施例5〜10および比較例4で
得られた各カーボンブラック分散体に関し以下の方法に
より記録媒体液中のカーボンブラックの分散性、および
液安定性の評価を行った。
【0223】<カーボンブラックの分散性>各カーボン
ブラック分散体をガラス基板上にスピンナーにより塗布
し、十分乾燥した後20°グロス(光沢)を測定して分
散性を評価した。結果を表3に示す。なお、カーボンブ
ラックの場合、分散性が良いほど塗膜の光沢度が高く
(鏡面に)なりグロス値は大きくなる。
【0224】<液安定性>まず液安定性の粘度により評
価した。それぞれのカーボンブラック分散体を100m
lスクリュー管に入れて30日間にわたり粘度の変化を
測定した。測定はB型粘度系を用いて60rpmにて行
なった。得られた結果を図3に示す。またカーボンブラ
ック分散体を直径18mmのパイレックス製試験管に入
れて30日間放置したときの沈降の様子を観察し、安定
性を評価した。
【0225】
【表3】
【0226】表3に示すように原料として用いたカーボ
ンブラック粒子の粒径、吸油量、pHにより得られたカ
ーボンブラックグラフトポリマーの分散性は複雑に変化
することが判った。ただしグラフト化されていないカー
ボンブラックに比べてグラフト化を行うとグロス値が格
段に増加し、分散性が向上することが確認できた。
【0227】また図3に示すように比較例4で得られた
比較用カーボンブラック分散体(4)、すなわち、グラ
フト化していないカーボンブラック粒子分散液では時間
経過につれて溶液の粘度が増加するのに対し、実施例5
で得られたカーボンブラック分散体(5)、すなわち本
発明に係るカーボンブラックグラフトポリマー分散液で
は、粘度はほとんど変化しないことを確認できた。なお
図3には示していないが、実施例6〜9に係るカーボン
ブラック分散体(6)〜(10)も、図示したカーボン
ブラック分散体(5)とほぼ同様に、粘度の経時的変化
はほとんど見られなかった。この結果から、カーボンブ
ラック粒子表面にポリマーがグラフトすることにより、
ポリマーはあたかも界面活性剤のような働きをし、液中
でのカーボンブラック粒子の安定性に寄与することがで
きるものと考えられた。
【0228】またカーボンブラック分散体の沈降を観察
した結果、カーボンブラックの種類によらずグラフト化
したもの(実施例5〜10)では沈降は全く確認されな
かった。一方、グラフト化していない分散体(比較例
4)では沈降が確認された。
【0229】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、インクジェ
ット記録法において用いられる液媒体と着色剤成分とを
含有する記録媒体液であって、前記着色剤成分として、
カーボンブラック等の顔料の表面官能基と反応し得る反
応性基を有するセグメント(A)と、前記反応性基を実
質的に有さずかつ前記セグメント(A)よりも液媒体に
対し高い親和性を示すセグメント(B)とを有する重合
体を、カーボンブラック等の顔料と加熱して得られるカ
ーボンブラックグラフトポリマー等の顔料複合ポリマー
を含有することを特徴とする記録媒体液であるから、液
媒体中における着色剤成分の分散性、長期保存安定性に
優れたものとなり、また前記したような顔料複合ポリマ
ーにおけるカーボンブラック等の顔料含有率は極めて高
いものであるため、形成画像の濃度、鮮明度は良好なも
のとなり、かつ顔料系の着色剤成分を用いるために耐水
性、耐光性にも優れた記録媒体液となる。
【0230】本発明において、前記セグメント(A)の
有する反応性基が、エポキシ基、チオエポキシ基、アジ
リジン基、N−ヒドロキシアクリルアミド基およびオキ
サゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種また
は2種以上のものであると、より確実に反応性ポリマー
を固体微粒子表面に結合させることができ、より優れた
分散安定性を発揮する顔料複合ポリマーとなり、得られ
る記録媒体液の長期保存安定性を向上させることができ
る。
【0231】また本発明において、前記セグメント
(A)が少なくとも反応性基を有するビニル系単量体を
含むビニル系単量体組成物の重合により得られ、炭素−
炭素結合を有する主鎖を含有するものである、特に重合
鎖中に芳香環を含有するものである、さらには、前記セ
グメント(A)が、芳香環を有するビニル系単量体を5
0モル%以上含みかつ反応性基を有するビニル系単量体
を含むビニル系単量体組成物の重合により得られたもの
であると、より確実にかつ効率よく当該重合体を顔料に
複合化ないしグラフト化することができ、より優れた分
散安定性を発揮する顔料複合ポリマーとなり、得られる
記録媒体液の長期保存安定性を向上させることができ
る。
【0232】また、本発明において前記セグメント
(B)が、ポリシロキサン系構造、ポリ(メタ)アクリ
ル系構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリロニ
トリル構造、ポリエステル構造、ポリアルキレン構造、
ポリアミド構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造か
らなる群から選ばれた少なくともいずれかのものを有す
るものであると、使用される各種液媒体に対し、より優
れた分散性を発揮できるものとなる。
【0233】さらに本発明において、顔料として使用す
るカーボンブラックの平均粒子径が0.0005〜0.
4μmの範囲内であると、得られるカーボンブラックグ
ラフトポリマーの平均粒径を0.001〜0.5μm程
度とすることができ、着色剤成分の分散性がより向上
し、かつ画像のシャープさ、鮮明性が向上する。
【0234】また本発明において、前記カーボンブラッ
ク100重量部に対して、前記重合体1〜1000重量
部がグラフト化されてなるものであると、本来的に必要
とされるカーボンブラックの特性にほとんど影響を及ぼ
すことなく、表面性状を良好に改質でき、このようなカ
ーボンブラックグラフトポリマーを配してなる記録媒体
液による形成画像の濃度、鮮明度はさらに良好なものと
なる。
【0235】本発明において、カーボンブラックが、カ
ルボキシル基を有するもの、さらにはカーボンブラック
がpH6未満の酸性カーボンブラックであると、より確
実にかつ安定して前記重合体をグラフト化することがで
き、このようなカーボンブラックグラフトポリマーを配
してなる記録媒体液における分散安定性を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において用いられるカーボンブラック
グラフトポリマーを製造する際におけるカーボンブラッ
ク表面近傍における状態を模式的に示す図である。
【図2】 (a)〜(e)は、ブロックないしグラフト
型重合体の各種構造例を模式的に示す図であり、また
(f)は、これらの各種のブロックないしグラフト型の
重合体がカーボンブラック粒子(CB)表面へ結合した
状態を模式的に示す図である。
【図3】 本発明の実施例および比較例で得られた記録
媒体液の経時的な粘度変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 立人 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平7−53841(JP,A) 特開 昭64−79278(JP,A) 特開 昭63−270767(JP,A) 特開 昭63−265913(JP,A) 特開 平8−337737(JP,A) 特開 平9−3354(JP,A) 特開 平9−59331(JP,A) 特開 平9−272706(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20 C09C 1/00 - 3/12

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液媒体と着色剤成分とを含有する記録媒
    体液であって、前記着色剤成分として、顔料表面の官能
    基と反応し得る反応性基を有するセグメント(A)と、
    前記反応性基を実質的に有さずかつ前記セグメント
    (A)よりも液媒体に対し高い親和性を示すセグメント
    (B)とを有するグラフト型重合体を、顔料と加熱して
    得られる顔料複合ポリマーを含有することを特徴とする
    インクジェット記録用記録媒体液。
  2. 【請求項2】 前記顔料がカーボンブラックである請求
    項1に記載の記録媒体液。
  3. 【請求項3】 前記セグメント(A)の有する反応性基
    が、エポキシ基、チオエポキシ基、アジリジン基、N−
    ヒドロキシアクリルアミド基およびオキサゾリン基より
    なる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のも
    のである請求項1または2に記載の記録媒体液。
  4. 【請求項4】 前記セグメント(B)が、ポリシロキサ
    ン系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリエーテル
    構造、ポリ(メタ)アクリロニトリル構造、ポリエステ
    ル構造、ポリアルキレン構造、ポリアミド構造、ポリイ
    ミド構造、ポリウレタン構造よりなる群から選ばれた少
    なくともいずれかのものを有するものである請求項1〜
    3のいずれかに記載の記録媒体液。
  5. 【請求項5】 前記重合体が、セグメント(B)を形成
    するラジカル重合性高分子量体(b)の存在下に、前記
    反応性基を分子内に有する重合性単量体(a)およびセ
    グメント(A)を形成する成分としての重合性単量体
    (c)を重合したものである、請求項1〜4記載の記録
    媒体液。
  6. 【請求項6】 液媒体と着色剤成分とを含有する記録媒
    体液の製法であって、前記液媒体として、顔料表面の官
    能基と反応し得る反応性基を有するセグメント(A)
    と、前記反応性基を実質的に有さずかつ前記セグメント
    (A)よりも液媒体に対し高い親和性を示すセグメント
    (B)とを有するグラフト型重合体と、顔料とを湿式分
    散処理装置を用いて加熱下に混合することを特徴とする
    インクジェット記録用記録媒体液の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記顔料がカーボンブラックである請求
    項6に記載の記録媒体液の製造方法。
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