JP3322090B2 - イミド化合物および液晶配向剤 - Google Patents

イミド化合物および液晶配向剤

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JP3322090B2
JP3322090B2 JP23096095A JP23096095A JP3322090B2 JP 3322090 B2 JP3322090 B2 JP 3322090B2 JP 23096095 A JP23096095 A JP 23096095A JP 23096095 A JP23096095 A JP 23096095A JP 3322090 B2 JP3322090 B2 JP 3322090B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なイミド化合
物および当該イミド化合物をポリイミドとともに含有し
てなる液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示素子としては、透明導電
膜が設けられている基板の当該表面にポリイミドなどか
らなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、
その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を
有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構
造のセルとし、当該液晶分子の長軸が一方の基板から他
方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、
いわゆるTN型(Twisted Nematic)液
晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。ま
た、最近においては、TN型液晶表示素子に比してコン
トラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(S
uper Twisted Nematic)型液晶表
示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子
は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤
をブレンドしたものを液晶として用い、当該液晶分子の
長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる
状態となることにより生じる複屈折効果を利用するもの
である。これらTN型液晶表示素子およびSTN型液晶
表示素子における液晶の配向は、基板表面に形成された
液晶配向膜により発現されるものである。この液晶配向
膜の形成方法としては、ポリイミドなどを含有してなる
液晶配向剤を印刷法などによって基板の表面に塗布し、
これを乾燥して配向膜材料である塗膜を形成し、この塗
膜にラビング処理を施して液晶分子の配向能を付与する
方法が行われている。
【0003】しかして、液晶表示素子における表示特性
および電気的特性を良好なものとするためには、液晶配
向膜の膜厚が均一であること、具体的には、膜厚のバラ
ツキが±50Å以内であることが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来公
知の液晶配向剤を印刷法などにより塗布した場合におい
て、形成される塗膜には50Åを超える膜厚のバラツキ
が生じ、従って、膜厚の均一性に優れた良好な液晶配向
膜を得ることができない、という問題がある。本発明
は、このような問題を解決するためになされたものであ
る。
【0005】本発明の目的は、液晶配向剤の構成成分と
して有用である新規なイミド化合物を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、良好な配向特性を発現するこ
とができるとともに、膜厚の均一性に優れた液晶配向膜
を形成することのできる、塗布特性の良好な液晶配向剤
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の新規なイミド化
合物は、下記一般式(1)で表される構造よりなり、そ
の対数粘度(ηln)の値が0.05〜1dl/gであ
ことを特徴とする。
【0007】
【化3】
【0008】また、本発明の液晶配向剤は、上記のイミ
ド化合物〔以下、「イミド化合物(A)」ともいう。)
と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する
ポリイミド〔以下、「ポリイミド(B)」ともいう。)
とを含有することを特徴とする。
【0009】
【化4】
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 <イミド化合物(A)>本発明のイミド化合物(A)
は、(i)下記一般式(3)で表されるテトラカルボン
酸二無水物(以下「特定テトラカルボン酸二無水物」と
いう。)と、下記一般式(4)で表されるジアミン化合
物とを反応させることによりアミック酸化合物を得、こ
のアミック酸化合物を脱水閉環させることにより合成さ
れるか、または(ii)上記特定テトラカルボン酸二無水
物と下記一般式(5)で表されるジイソシアネート化合
物とを縮合させることにより合成される。
【0011】
【化5】
【0012】〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ、一
般式(1)におけるR1 およびR2 と同じ有機基であ
る。〕
【0013】上記一般式(3)で表される特定テトラカ
ルボン酸二無水物の具体例としては、2,3,5−トリ
カルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,
4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−メチ
ル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二
無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、1,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,3−トリメチル−
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、1−エチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2−ジエチル−1,2,3,
4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−
ジエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,4−ジエチル−1,2,3,4−シ
クロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3−ト
リエチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1−プロピル−1,2,3,4−シクロ
ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジプロピル
−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無
水物、1,3−ジプロピル−1,2,3,4−シクロブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,4−ジプロピル−
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,3−トリプロピル−1,2,3,4−シク
ロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−ブチル−1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
1,2−ジブチル−1,2,3,4−シクロブタンテト
ラカルボン酸二無水物、1,3−ジブチル−1,2,
3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,
4−ジブチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,3−トリブチル−1,2,
3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1−
フェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2−ジフェニル−1,2,3,4−
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジフ
ェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン
酸二無水物、1,4−ジフェニル−1,2,3,4−シ
クロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3−ト
リフェニル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカル
ボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−
フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−
ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)
−3−メチル−3ーシクロヘキセン−1,2−ジカルボ
ン酸二無水物などを挙げることができる。
【0014】上記(i)の合成において用いられる一般
式(4)で表されるジアミン化合物の具体例としては、
例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−
ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェ
ニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−
ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジ
アミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリ
ド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’
−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾ
フェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−
アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−
ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセ
ン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、
4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、
2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミ
ノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミ
ノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメ
トキシ−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジ
アミン;ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテ
ロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレ
ンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレ
ンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジ
アミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプ
タメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタ
ジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノイ
ンダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,
1,02 .7]−ウンデシレンジメチルジアミンなどの脂
肪族および脂環式ジアミン;下記化学式(1)〜(3)
で表される化合物などを挙げることができ、これらは単
独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】
【化6】
【0016】これらのうち、p−フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス
(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロ
プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサ
フルオロプロパンなどが好ましい。
【0017】上記(i)の合成反応は、有機溶媒中にお
いて、通常0〜150℃、好ましくは60〜100℃の
温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合
成されるアミック酸化合物を溶解できるものであれば特
に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクト
ン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミ
ドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシ
レノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフ
ェノール系溶媒を例示することができる。これらのう
ち、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラク
トンが好ましい。また、有機溶媒の使用量(a)は、通
常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の
総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.
1〜10重量%になるような量であることが好ましい。
【0018】なお、前記有機溶媒には、アミック酸化合
物の貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル
類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類な
どを、生成するアミック酸化合物が析出しない範囲で併
用することができる。斯かる貧溶媒の具体例としては、
例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸
ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチ
ルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチ
レングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリ
コール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−
n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエー
テル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタ
ン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロル
ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0019】上記(i)の合成反応において、アミック
酸化合物の繰り返し単位数(m)を1〜3の範囲に調整
する方法としては、アミック酸化合物を末端修飾型の化
合物として合成する方法とテトラカルボン酸二無水物と
ジアミン化合物との使用割合を調整して合成反応を行う
方法とが挙げられる。
【0020】末端修飾型のアミック酸化合物は、合成の
際に酸−無水物やモノアミン化合物を反応系に添加する
ことにより得られる。ここに、酸−無水物としては、例
えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ナジック酸な
どを挙げることができ、モノアミン化合物としては、例
えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミ
ン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘ
プチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミ
ン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ド
デシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシ
ルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシル
アミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルア
ミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができ
る。
【0021】酸−無水物およびモノアミン化合物の使用
割合は、ジアミン化合物1モルに対して酸−無水物0.
5〜1モル、または、テトラカルボン酸二無水物1モル
に対してモノアミン化合物0.5〜1モルとなる割合と
する。
【0022】テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合
物との使用割合を調整して合成反応を行う方法として
は、テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基/
ジアミン化合物に含まれるアミノ基の割合が、1当量/
1000当量〜2当量/3当量、または3当量/2当量
〜1000当量/1当量となる割合で合成反応を行うこ
とにより、得られるアミック酸化合物の繰り返し単位数
(m)を1〜3の範囲に調整することができる。
【0023】以上のようにして、アミック酸化合物の溶
液が得られる。そして、この溶液を大量の貧溶媒中に注
いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによ
ってアミック酸化合物を得ることができる。また、この
アミック酸化合物を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧
溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、
アミック酸化合物を精製することができる。
【0024】以上のようにして得られるアミック酸化合
物は、その対数粘度(ηln)の値が通常0.05〜5
dl/g、好ましくは0.05〜1dl/gである。本
発明における対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−
2−ピロリドンを溶媒として用い、濃度が0.5g/1
00ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測
定を行い、下記数式によって求められるものである。
【0025】
【数1】
【0026】上記のアミック酸化合物を脱水閉環(イミ
ド化反応)させて本発明のイミド化合物(A)を得る方
法としては、アミック酸化合物を加熱する方法、また
は、アミック酸化合物の溶液中に脱水剤およびイミド化
触媒を添加し必要に応じて加熱する方法が挙げられる。
【0027】アミック酸化合物を加熱する方法における
反応温度は、通常60〜200℃とされ、好ましくは1
00〜150℃とされる。反応温度が60℃未満ではイ
ミド化反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超
えると、生成するイミド化合物が激しく着色することが
ある。
【0028】一方、アミック酸化合物の溶液中に脱水剤
およびイミド化触媒を添加する方法において、脱水剤と
しては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリ
フルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱
水剤の使用量は、アミック酸化合物の繰り返し単位1モ
ルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。ま
た、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジ
ン、ルチジン、トリエチルアミンなどの第3級アミンを
用いることができるが、これらに限定されるものではな
い。イミド化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに
対して0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、脱
水閉環に用いられる有機溶媒としては、アミック酸化合
物の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙
げることができる。脱水閉環の反応温度は、通常0〜1
80℃、好ましくは60〜150℃とされる。また、こ
のようにして得られる反応溶液に対し、アミック酸化合
物の精製方法と同様の操作を行うことにより、本発明の
イミド化合物を精製することができる。
【0029】上記(ii)の反応において用いられる上記
一般式(5)で表されるジイソシアネート化合物の具体
例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂
肪族ジイソシアネート化合物;シクロヘキサンジイソシ
アネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート化合物;ジ
フェニルメタン−4,4' −ジイソシアネート、ジフェ
ニルエーテル−4,4' −ジイソシアネート、ジフェニ
ルスルホン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニル
スルフィド−4,4' −ジイソシアネート、1,2−ジ
フェニルエタン−p,p' −ジイソシアネート、2,2
−ジフェニルプロパン−p,p' −ジイソシアネート、
2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサ
フルオロプロパン−p,p' −ジイソシアネート、2,
2−ジフェニルブタン−p,p' −ジイソシアネート、
ジフェニルジクロロメタン−4,4' −ジイソシアネー
ト、ジフェニルフルオロメタン−4,4' −ジイソシア
ネート、ベンゾフェノン−4,4' ジイソシアネート、
N−フェニル安息香酸アミド−4,4' −ジイソシアネ
ートなどの芳香族ジイソシアネート化合物を挙げること
ができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用
いることができる。なお、(ii)の反応には特に触媒は
必要とされず、反応温度は、通常、50〜200℃、好
ましくは100〜160℃である。
【0030】上記(ii)の合成反応において、イミド化
合物の繰り返し単位数(m)を1〜3の範囲に調整する
方法としては、上記(i)の合成反応におけるアミック
酸化合物の繰り返し単位数を調整する方法に準じ、酸−
無水物やモノイソシアネート化合物を反応系に添加して
末端修飾型のイミド化合物を合成する方法と、テトラカ
ルボン酸二無水物とジイソシアネート化合物との使用割
合を調整して合成反応を行う方法とが挙げられる。
【0031】上記(i)および(ii)の反応によって得
られるイミド化合物は、その対数粘度(ηln)の値が
通常0.05〜1dl/gである。
【0032】本発明のイミド化合物(A)は、液晶配向
剤の構成成分としてきわめて有用であり、イミド化合物
(A)が含有されている液晶配向剤は、後述する実施例
の結果からも明らかなように、ポリイミドのみを有効成
分とするものに比べて塗布特性が格段に優れたものとな
り、当該液晶配向剤によってはじめて膜厚の均一性に優
れた液晶配向膜を形成することができる。
【0033】<ポリイミド(B)>イミド化合物(A)
とともに含有されて本発明の液晶配向剤を構成するポリ
イミド(B)は、(iii) 下記一般式(6)で表されるテ
トラカルボン酸二無水物と、下記一般式(7)で表され
るジアミン化合物とを反応させることによりポリアミッ
ク酸を得、このポリアミック酸を脱水閉環させることに
より合成されるか、または(iv)下記一般式(6)で表さ
れるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(8)で
表されるジイソシアネート化合物とを縮合反応させるこ
とにより合成される。
【0034】
【化7】
【0035】〔式中、R9 およびR10は、それぞれ、一
般式(2)におけるR9 およびR10と同じ有機基であ
る。〕
【0036】上記一般式(6)で表されるテトラカルボ
ン酸二無水物の具体例としては、例えば2,3,5−ト
リカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,
3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,
2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水
物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢
酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテト
ラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフラル)−3−メチル−3ーシクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,
2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカル
ボン酸二無水物などの脂肪族および脂環式テトラカルボ
ン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエ
ーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水
物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカ
ルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,
4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェ
ニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、
3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンテ
トラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェ
ニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−
ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレ
ン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(ト
リフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル
二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−
ジフェニルメタン二無水物、1,3,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオ
キソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン
−1,3−ジオンなどの芳香族テトラカルボン酸二無水
物を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0037】上記(iii) の反応において用いられる上記
一般式(7)で表されるジアミン化合物の具体例として
は、上記一般式(4)で表されるジアミン化合物を挙げ
ることができる。
【0038】ポリアミック酸の合成反応に供されるテト
ラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、
ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テ
トラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.7〜1.4
当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.8〜
1.2当量となる割合である。
【0039】上記(iii) におけるポリアミック酸の合成
反応は、有機溶媒中において、通常0〜150℃、好ま
しくは60〜100℃の温度条件下で行われる。ここ
で、有機溶媒としては、上記アミック酸化合物の合成反
応において使用できるものとして例示したものを挙げる
ことができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、通
常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の
総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.
1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0040】以上のようにして、ポリアミック酸の溶液
が得られる。そして、この溶液を大量の貧溶媒中に注い
で析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによっ
てポリアミック酸を得ることができる。また、このポリ
アミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で
析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリア
ミック酸を精製することができる。
【0041】以上のようにして得られるポリアミック酸
は、その対数粘度(ηln)の値が通常0.05〜10
dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。
【0042】上記ポリアミック酸を脱水閉環させてポリ
イミド(B)を得る方法は、上記(i)のアミック酸化
合物を脱水閉環させてイミド化合物(A)を得る方法に
準ずる。また、(iv)の方法において用いられる上記一般
式(8)で表されるジイソシアネート化合物の具体例と
しては、上記一般式(5)で表されるジイソシアネート
化合物を挙げることができる。(iv)の方法における反応
条件は、上記(ii)のイミド化合物(A)を得る方法の
反応条件に準ずる。
【0043】上記(iii) および(iv)の反応によって得
られるポリイミドは、その対数粘度(ηln)の値が通
常0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5d
l/gである。
【0044】<液晶配向剤>本発明の液晶配向剤は、イ
ミド化合物(A)と、ポリイミド(B)とが有機溶媒中
に溶解含有されて構成される。ここで、イミド化合物
(A)とポリイミド(B)とにおけるイミド化合物
(A)の割合としては、通常10〜70重量%とされ、
好ましくは10〜40重量%とされる。この割合が10
重量%未満である場合には、塗布特性の改良効果を十分
に発揮することができず、膜厚の均一性に優れた液晶配
向膜を形成できない場合がある。一方、この割合が70
重量%を超える場合には、液晶配向剤の粘度が低くなり
すぎ、再現性のある塗布膜厚を得ることができない場合
がある。
【0045】液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、
アミック酸化合物およびポリアミック酸の合成反応およ
びこれらのイミド化反応に用いられるものとして例示し
た溶媒を挙げることができる。また、アミック酸化合物
およびポリアミック酸の合成の際に併用することができ
るものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用するこ
とができる。
【0046】本発明の液晶配向剤におけるイミド化合物
(A)およびポリイミド(B)の有機溶媒溶液における
濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好
ましくは3〜10重量%とされる。濃度が3重量%未満
である場合には、形成される塗膜の膜厚が過小となって
良好な液晶配向膜を得ることができない。一方、濃度が
10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となっ
て良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配
向剤の粘性が増大して、良好な塗布特性が減殺されてし
まう。
【0047】本発明の液晶配向剤には、基板表面に対す
る塗膜の接着性を向上させる観点から、官能性シラン含
有化合物が含有されていてもよい。斯かる官能性シラン
含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラ
ン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エ
トキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルト
リエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピ
ルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシイシリ
ル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシ
シリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキ
シシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリ
エトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N
−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)
−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げる
ことができる。
【0048】<液晶表示素子>本発明の液晶配向剤を用
いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって
製造することができる。
【0049】(1)パターニングされた透明導電膜が設
けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例え
ば印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を
加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板とし
ては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラ
ス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートな
どのプラスチックなどからなる透明基板を用いることが
できる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、
酸化スズ(SnO2 )からなるNESA膜(米国PPG
社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In23
−SnO2 )からなるITO膜などを用いることがで
き、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・
エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電
膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の
一面および透明導電膜上に、官能性シラン含有化合物、
官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもでき
る。加熱温度は80〜200℃とされ、好ましくは12
0〜200℃とされる。形成される塗膜の膜厚は、通常
0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜
0.5μmである。
【0050】(2)形成された塗膜面を、例えばナイロ
ン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付
けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これ
により、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向
膜となる。
【0051】また、本発明の液晶配向剤により形成され
た液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報
や特開平6−281937号公報に示されているような
紫外線を部分的に照射することによってプレチルト角を
変化させるような処理、あるいは特開平5−10754
4号公報に示されているようなラビング処理を施した液
晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成し、先のラビ
ング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジ
スト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるよ
うな処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性
を改善することが可能である。
【0052】(3)上記のようにして液晶配向膜が形成
された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけ
るラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚
の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、
2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基
板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内
に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成
する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セル
を構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その
偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラ
ビング方向と一致または直交するように貼り合わせるこ
とにより、液晶表示素子が得られる。
【0053】ここに、シール剤としては、例えば硬化剤
およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有す
るエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶として
は、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を
挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好
ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、
ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エ
ステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロ
ヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液
晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用
いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレ
スチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステ
リルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名
「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売
されているようなカイラル剤などを添加して使用するこ
ともできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p
−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電
性液晶も使用することができる。
【0054】また、液晶セルの外表面に貼り合わされる
偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させ
ながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢
酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのもの
からなる偏光板を挙げることができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。なお、イミド化合物(A)およびポリイミ
ド(B)における繰り返し単位数は、GPCを用いて測
定されたスチレン換算分子量から求められた値である。
また、以下の実施例および比較例において、「膜厚の均
一性」および「液晶の配向性」についての評価方法は、
以下のとおりである。
【0056】〔膜厚の均一性〕ガラス基板に設けられた
透明導電膜上に液晶配向剤による塗膜を形成し、当該塗
膜の膜厚を、触針式の膜厚計「アルファステップ」(米
国テンコール社製)を用いて20個所にわたって測定
し、膜厚の平均値およびバラツキ(標準偏差)を求め
た。
【0057】〔液晶の配向性〕電圧をオン・オフさせた
ときの液晶セル中における異常ドメインの有無を偏光顕
微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判
定した。
【0058】(合成例1)2,3,5−トリカルボキシ
シクロペンチル酢酸二無水物(特定テトラカルボン酸二
無水物)13.39g(59.75ミリモル)と4,
4’−ジアミノジフェニルメタン(ジアミン化合物)
7.90g(39.83ミリモル)とアニリン3.71
g(39.83ミリモル)とをN−メチル−2−ピロリ
ドン225gに溶解させ、室温で20分間反応させて、
アミック酸化合物溶液を得た。次いで、この反応溶液
に、N−メチル−2−ピロリドン250gとピリジン
9.36gと無水酢酸12.08gとを添加し、120
℃で3時間脱水閉環をさせた。その後、反応溶液を大過
剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ、
反応生成物を濾別して40℃で24時間乾燥させること
により、対数粘度が0.10dl/gである本発明のイ
ミド化合物〔これを「イミド化合物(A−1)」とす
る。〕15.41gを得た。このイミド化合物(A−
1)における繰り返し単位数の値は2.1であった。
【0059】(合成例2)1,3,3a,4,5,9b
−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン(特定テトラカルボン酸二無水物)1
5.18g(50.55ミリモル)と4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン(ジアミン化合物)6.68g(3
3.69ミリモル)とアニリン3.14g(33.69
ミリモル)とをN−メチル−2−ピロリドン225gに
溶解させ、室温で20分間反応させて、アミック酸化合
物溶液を得た。次いで、この反応溶液に、N−メチル−
2−ピロリドン250gとピリジン7.93gと無水酢
酸10.24gとを添加し、120℃で3時間脱水閉環
をさせた。その後、反応溶液を大過剰のメチルアルコー
ルに注いで反応生成物を沈澱させ、反応生成物を濾別し
て40℃で24時間乾燥させることにより、対数粘度が
0.08dl/gである本発明のイミド化合物〔これを
「イミド化合物(A−2)」とする。〕16.08gを
得た。このイミド化合物(A−2)における繰り返し単
位数の値は1.9であった。
【0060】(合成例3)1,2,3,4−シクロブタ
ンテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二
無水物)12.56g(64.04ミリモル)と4,
4’−ジアミノジフェニルメタン(ジアミン化合物)
8.46g(42.69ミリモル)とアニリン3.98
g(42.69ミリモル)とをN−メチル−2−ピロリ
ドン225gに溶解させ、室温で20分間反応させて、
アミック酸化合物溶液を得た。次いで、この反応溶液
に、N−メチル−2−ピロリドン250gとピリジン1
0.03gと無水酢酸12.57gとを添加し、120
℃で3時間脱水閉環をさせた。その後、反応溶液を大過
剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ、
反応生成物を濾別して40℃で24時間乾燥させること
により、対数粘度が0.09dl/gである本発明のイ
ミド化合物〔これを「イミド化合物(A−3)」とす
る。〕12.15gを得た。このイミド化合物(A−
3)における繰り返し単位数の値は2.5であった。
【0061】(合成例4)2,3,5−トリカルボキシ
シクロペンチル酢酸二無水物13.27g(59.20
ミリモル)と4,4’−ジアミノジフェニルメタン1
1.73g(59.20ミリモル)とをN−メチル−2
−ピロリドン225gに溶解させ、室温で20分間反応
させてポリアミック酸溶液を得た。次いで、この反応溶
液に、N−メチル−2−ピロリドン250gとピリジン
9.36gと無水酢酸12.08gとを添加し、120
℃で6時間脱水閉環をさせた。その後、反応溶液を大過
剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させ、
反応生成物を濾別して40℃で24時間乾燥させること
により、対数粘度が1.10dl/gであるポリイミド
〔これを「ポリイミド(B−1)」とする。〕19.8
6gを得た。このポリイミド(B−1)における繰り返
し単位数の値は40.1であった。
【0062】(合成例5)1,3,3a,4,5,9b
−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン15.06g(50.15ミリモル)と
4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.94g(5
0.13ミリモル)とをN−メチル−2−ピロリドン2
25gに溶解させ、室温で20分間反応させてポリアミ
ック酸溶液を得た。次いで、この反応溶液に、N−メチ
ル−2−ピロリドン250gとピリジン7.93gと無
水酢酸10.24gとを添加し、120℃で6時間脱水
閉環をさせた。その後、反応溶液を大過剰のメチルアル
コールに注いで反応生成物を沈澱させ、反応生成物を濾
別して40℃で24時間乾燥させることにより、対数粘
度が1.12dl/gであるポリイミド〔これを「ポリ
イミド(B−2)」とする。〕20.75gを得た。こ
のポリイミド(B−2)における繰り返し単位数の値は
100.6であった。
【0063】(合成例6)1,3,3a,4,5,9b
−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン15.31g(50.99ミリモル)と
p−フェニレンジアミン2.48g(22.93ミリモ
ル)と4,4’−ジアミノジフェニルメタン4.55g
(22.95ミリモル)と上記化学式(1)で表される
ジアミン化合物2.66g(5.00ミリモル)とをN
−メチル−2−ピロリドン225gに溶解させ、室温で
20分間反応させてポリアミック酸溶液を得た。次い
で、この反応溶液に、N−メチル−2−ピロリドン25
0gとピリジン8.07gと無水酢酸10.41gとを
添加し、120℃で6時間脱水閉環をさせた。その後、
反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成
物を沈澱させ、反応生成物を濾別して40℃で24時間
乾燥させることにより、対数粘度が1.10dl/gで
あるポリイミド〔これを「ポリイミド(B−3)」とす
る。〕18.31gを得た。このポリイミド(B−3)
における繰り返し単位数の値は89.9であった。
【0064】〔実施例1〕 (1)液晶配向剤の調製:合成例1で得られたイミド化
合物(A−1)50重量部と、合成例4で得られたポリ
イミド(B−1)50重量部とを混合し、この混合物を
γ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度が5重量%
の溶液を調製した。この溶液を孔径1μmのフィルター
で濾過することにより、本発明の液晶配向剤(a)を調
製した。
【0065】(2)液晶表示素子の作製: 厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO
膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製され
た液晶配向剤(a)を液晶配向膜塗布機「オングストロ
ーマー」(日本写真印刷社製)を用いた印刷法により塗
布し、180℃で1時間乾燥させることにより塗膜を形
成した。この塗膜の平均膜厚は600Å、標準偏差は±
20Åであり、膜厚の均一性に優れたものであった。
【0066】 形成された塗膜面を、ナイロン製の布
を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて
ラビング処理を行うことにより、液晶配向膜を作製し
た。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数50
0rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。
【0067】 上記のようにして液晶配向膜が形成さ
れた基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直
径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹
脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それ
ぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となる
ように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同
士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
【0068】 基板の表面および外縁部の接着剤によ
り区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶
「MLC−2001」(メルク社製)を注入充填し、次
いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを
構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当
該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と
一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶
表示素子を作製した。
【0069】 以上のようにして作製された液晶表示
素子は、液晶セルに電圧を印加および解除したときにお
いて異常ドメインは認められず、液晶の配向性は良好で
あった。
【0070】〔実施例2〜実施例11〕 (1)液晶配向剤の調製:下記表1に示す処方に従って
イミド化合物(A)とポリイミド(B)とを混合したこ
と以外は、実施例1と同様にして本発明の液晶配向剤
(b)〜(k)を調製した。
【0071】(2)液晶表示素子の作製:厚さ1mmの
ガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導
電膜上に、液晶配向剤(b)〜(k)のそれぞれを、実
施例1と同様の印刷法により塗布し、180℃で1時間
乾燥させることにより塗膜を形成した。次いで、実施例
1と同様の操作を行って液晶表示素子を作製した。液晶
配向剤(b)〜(k)による塗膜の平均膜厚および標準
偏差並びに液晶表示素子における液晶の配向性の評価結
果を下記表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】〔比較例1〕合成例5で得られたポリイミ
ド(B−2)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分
濃度が5重量%の溶液を調製した。この溶液を孔径1μ
mのフィルターで濾過することにより、比較用の液晶配
向剤(x)を調製した。この液晶配向剤(x)を用いて
実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。作製さ
れた液晶表示素子における液晶の配向性は良好であった
が、液晶配向剤(x)による塗膜の平均膜厚は630
Å、標準偏差は±90Åであり、膜厚の均一性に劣るも
のであった。
【0074】〔比較例2〕合成例2で得られたイミド化
合物(A−2)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形
分濃度が5重量%の溶液を調製した。この溶液を孔径1
μmのフィルターで濾過することにより、比較用の液晶
配向剤(y)を調製した。この液晶配向剤(y)を用い
て実施例1と同様にして液晶表示素子を作製した。作製
された液晶表示素子における液晶の配向性は良好であっ
たが、液晶配向剤(y)による塗膜の平均膜厚は620
Å、標準偏差は±140Åであり、膜厚の均一性に劣る
ものであった。
【0075】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、液晶配向剤の
構成成分としてきわめて有用なイミド化合物を提供する
ことができる。
【0076】請求項2の発明によれば、良好な配向特性
を有するとともに膜厚の均一性に優れた液晶配向膜を形
成することができる、塗布特性の良好な液晶配向剤を提
供ことができる。
【0077】本発明の液晶配向剤により形成される液晶
配向膜は、TN型液晶表示素子およびSTN型液晶表示
素子のみならずSH(Super Homeotrop
ic)型液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成す
るために好適に使用することができる。また、当該液晶
配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信
頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することがで
き、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、
ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレ
ビなどの表示装置として好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/3432 C08K 5/3432 C08L 79/08 C08L 79/08 Z G02F 1/1337 525 G02F 1/1337 525 (56)参考文献 特開 平6−308502(JP,A) 特開 平6−136120(JP,A) 特開 平5−72538(JP,A) 特開 平2−287324(JP,A) 特開 昭61−47932(JP,A) 特開 平5−216043(JP,A) 特開 平9−71648(JP,A) 特開 平9−71650(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08L 79/00 - 79/08 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される構造よりな
    り、その対数粘度(ηln)の値が0.05〜1dl/
    gであるイミド化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のイミド化合物と、下記
    一般式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミ
    ドとを含有する液晶配向剤。 【化2】
JP23096095A 1995-09-08 1995-09-08 イミド化合物および液晶配向剤 Expired - Fee Related JP3322090B2 (ja)

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