JP3317540B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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JP3317540B2
JP3317540B2 JP4776993A JP4776993A JP3317540B2 JP 3317540 B2 JP3317540 B2 JP 3317540B2 JP 4776993 A JP4776993 A JP 4776993A JP 4776993 A JP4776993 A JP 4776993A JP 3317540 B2 JP3317540 B2 JP 3317540B2
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陽子 小川
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  • Auxiliary Drives, Propulsion Controls, And Safety Devices (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の運動特性をドラ
イバーの心理状態に応じて変化させる制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の運動特性を車両の走行
環境に応じて変化させることにより、車両の運動特性を
ドライバーの要求に合致したものに変更制御しようとす
るものが提案されている。このような車両の制御装置と
して、道路状況に応じてスロットルゲインを変化させる
ものが提案されている(例えば、特開平2−24193
5号公報参照)。この制御装置は、道路状況を市街地
路、高速道路、登坂道路および渋滞道路に分類して、各
種道路状況に応じて定めたスロットル開度をスロットル
開度特性記憶手段に予め記憶させ、道路状況設定手段に
予め設定した上記道路状況の中から特定の道路状況を選
択指定することにより、その選択指定ごとにスロットル
開度を変更しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自動車の走行
環境は、上記の各種道路状況だけで定まるものではな
く、同じ道路状況であってもその時の交通流の状態によ
っても種々変化する。このため、各種道路状況によって
のみ車両を制御しても、車両の運動特性に実際の走行環
境を必ずしも反映させることはできない。その上、上記
走行環境に対してドライバーの望む車両の運動特性、す
なわち、ドライバーの要求は、走行環境の状態のみなら
ず、その時の走行環境下で運転操作するドライバーの緊
張度合いなどで表される心理状態によっても変化する。
そして、この心理状態はドライバーの主として運転習熟
度合いなどの相違に起因してドライバー各人で相違す
る。従って、たとえ走行環境の把握を各種センサなどを
用いて行ったとしても、それら車両や道路の側からのみ
の検出情報によって車両の運動特性を画一的に制御する
だけでは、ドライバーの内面的要求と必ずしも合致せ
ず、個々のドライバー各人にとって、車両の運動特性を
必ずしも実際の走行環境に適応したものとすることがで
きない。
【0004】このため、実際の走行環境における生体で
あるドライバーの要求を検出し、このような要求に応じ
て車両の運動特性を変化させることが考えられるが、そ
のようなドライバーの要求、すなわち、ドライバーの心
理状態を表す生体信号を検出し、これを制御用コンピュ
ータに入力することは困難であり、従来、実現されては
いない。
【0005】ところで、上記ドライバーの心理状態を表
す生体信号の一つとして心拍数があり、この心拍数を用
いてドライバーの内面的要求を検出することが考えられ
る。この場合、走行の度にドライバーに心拍数検出のた
めの計測機器を装着させるのはドライバーに過度の負担
となり非現実的であり、採用することはできない。この
ため、走行中、生体であるドライバーと直接接触するス
テアリングホイールを電極としてドライバーの手の掌か
ら心電位を検出し、この心電位の時間的変化である心電
図(心電位の波形;図5参照)より心拍信号としてR波
を取り出して心拍数を計測することが考えられる。
【0006】そして、この場合、計測したドライバーの
実際心拍数からドライバーの心理状態を評価する方法と
して、ある基準の心拍数を設定し、この基準心拍数に対
する偏差の大小によって上記ドライバーの心理状態の変
動を把握することが考えられるが、上述のごとく、検出
対象であるドライバーには各人間で個体差があり、同じ
走行環境下であっても上記偏差の出現態様がこの個体差
によって異なるおそれがある。このため、ドライバーの
心理状態の変動を的確に把握できないおそれがある。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、走行中のドライ
バーの実際心拍数の計測結果からドライバーの心理状態
の変化を的確に把握し、このドライバーの心理状態を車
両の制御に反映することにより、各種走行環境下におけ
る車両の運動特性をドライバーの内面的要求に適応した
ものとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、図1に示すように、車両を
制御する制御手段1と、運転者の基準心拍数を設定する
基準心拍数設定手段2と、運転者から検出した心拍信号
に基いて運転者の実際心拍数を計測する実際心拍数検出
手段3と、この計測された実際心拍数と上記基準心拍数
との偏差に応じて上記制御手段1の制御ゲインを変更す
る制御ゲイン変更手段4と、車両の運動状態としてのア
クセル開度を検出するアクセルセンサとを備える。そし
て、上記基準心拍数設定手段2は、上記アクセルセンサ
からの出力に基いて走行中の車両のアクセル開度が設定
時間継続して変動しないとき安定化したと判定する安定
化判定部2aと、この安定化判定部2aで安定化したと
判定されたときに上記実際心拍数検出手段3で計測され
る実際心拍数に基き基準心拍数を設定する基準心拍数設
定部2bとを備える構成とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、車両を制御する制
御手段1と、運転者の基準心拍数を設定する基準心拍数
設定手段2と、運転者から検出した心拍信号に基いて運
転者の実際心拍数を計測する実際心拍数検出手段3と、
この計測された実際心拍数と上記基準心拍数との偏差に
応じて上記制御手段1の制御ゲインを変更する制御ゲイ
ン変更手段4と、車両の運動状態として車両の車幅方向
に作用する加速度を検出する加速度センサとを備える。
そして、上記基準心拍数設定手段2は、上記加速度セン
サからの出力に基いて走行中の車両の車幅方向に作用す
る加速度が設定時間継続して変動しないとき安定化した
と判定する安定化判定部2aと、この安定化判定部2a
で安定化したと判定されたときに上記実際心拍数検出手
段3で計測される実際心拍数に基き基準心拍数を設定す
る基準心拍数設定部2bとを備える構成とするものであ
る。
【0010】請求項3記載の発明は、車両を制御する制
御手段1と、運転者の基準心拍数を設定する基準心拍数
設定手段2と、運転者から検出した心拍信号に基いて運
転者の実際心拍数を計測する実際心拍数検出手段3と、
この計測された実際心拍数と上記基準心拍数との偏差に
応じて上記制御手段1の制御ゲインを変更する制御ゲイ
ン変更手段4と、車両の運動状態として車両の前後方向
に作用する加速度を検出する加速度センサとを備える。
そして、上記基準心拍数設定手段2は、上記加速度セン
サからの出力に基いて走行中の車両の前後方向に作用す
る加速度が設定時間継続して変動しないとき安定化した
と判定する安定化判定部2aと、この安定化判定部2a
で安定化したと判定されたときに上記実際心拍数検出手
段3で計測される実際心拍数に基き基準心拍数を設定す
る基準心拍数設定部2bとを備える構成とするものであ
る。
【0011】請求項4記載の発明は、車両を制御する制
御手段1と、運転者の基準心拍数を設定する基準心拍数
設定手段2と、運転者から検出した心拍信号に基いて運
転者の実際心拍数を計測する実際心拍数検出手段3と、
この計測された実際心拍数と上記基準心拍数との偏差に
応じて上記制御手段1の制御ゲインを変更する制御ゲイ
ン変更手段4と、車両の運動状態を検出する車両運動状
態検出手段5とを備える。そして、上記基準心拍数設定
手段2は、上記車両運動状態検出手段5からの出力に基
いて走行中の車両の運動状態が設定時間継続して変動し
ないとき安定化したと判定する安定化判定部2aと、こ
の安定化判定部2aで安定化したと判定されたときに上
記実際心拍数検出手段3で計測される実際心拍数に基き
基準心拍数を設定する基準心拍数設定部2bとを備え
る。更に、上記車両運動状態検出手段5は車速を検出す
る車速センサを備え、かつ上記基準心拍数設定手段2は
上記車速センサからの出力に基き得られる車速の変動率
が小さい程短く設定時間を変更する安定化判定時間設定
部2cを備える構成とするものである。
【0012】また、請求項5記載の発明は、請求項1〜
4記載の発明において、基準心拍数設定部2bを、実際
心拍数検出手段3により計測された実際心拍数が既設定
の基準心拍数より小さいとき、その基準心拍数を上記計
測された実際心拍数に変更するように構成するものであ
る。
【0013】
【作用】上記の構成により、請求項1〜3記載の発明で
は、車両の運動状態としてアクセル開度、車幅方向に作
用する加速度又は前後方向に作用する加速度が検出さ
れ、実際心拍数検出手段によりその車両の運動状態下に
おける運転者の実際心拍数がそれぞれ検出される。そし
て、これら車両の運動状態および運転者の実際心拍数の
検出結果に基いて、基準心拍数設定手段において、安定
化判定部で車両が安定状態にあると判定されたときのド
ライバーの実際心拍数が基準心拍数設定部により基準心
拍数として設定される。つまり、車両が安定走行状態に
あるため運転者がリラックスして運転操作を行う結果、
心拍が低い側で安定しているときの実際心拍数が設定さ
れる。そして、車両の各種走行状態下における運転者の
実際心拍数と上記基準心拍数との偏差に応じて制御ゲイ
ンが変更され、この制御ゲインの変更に基いて車両の制
御が変更される。すなわち、運転者が上記リラックスし
た状態から、交通流の変動が激しくなり運転者の心理状
態が緊張状態に変化する結果、運転者の実際心拍数が増
大し、上記偏差が増大するため、この偏差の大小によっ
て運転者の緊張度合いの変動が把握可能となる。しか
も、上記設定されるリラックス状態の実際心拍数は運転
者ごとに検出されるため、個々のドライバーに応じた基
準心拍数を設定することができ、基準心拍数として試験
値などを画一的に固定値として設定する場合と比べ各ド
ライバーが有する個体差に起因するドライバーの心理状
態の誤判断、誤制御の発生が防止される。さらに、この
運転者の緊張度合いに応じて制御ゲインが変更されて車
両が変更制御されるため、上記運転者の心理状態の変動
が車両の制御に反映されて、車両の運動特性が運転者の
内面的要求に沿ったものに変更される。特に、すなわ
ち、請求項1記載の発明ではアクセルセンサで検出され
るアクセル開度の変動により、請求項2記載の発明では
加速度センサで検出される車幅方向の加速度の変動によ
り、また、請求項3記載の発明では他の加速度センサで
検出される前後方向の加速度の変動により、それぞれ安
定化判定部での車両安定状態の把握が行われる。
【0014】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
1〜3記載の発明による作用に加えて、車両の運動状態
が安定化したか否かを判定するための設定時間が、安定
化判定時間設定部によって、車速センサからの出力に基
く車速変動率が小さい程短く変更される。すなわち、上
記車速変動率がより小さく変動する場合、交通流の状態
がより早い内に安定化する走行環境でありこれに伴い運
転者の実際心拍数もより早い段階で安定化するため、こ
れに合せて、基準時間設定のための上記設定時間もより
短縮することにより、上記走行環境の状態が変化する前
にその状態下における基準心拍数の設定が早期に行われ
る。
【0015】請求項5記載の発明では、上記請求項1〜
4記載の発明による作用に加えて、基準心拍数設定手段
において設定された基準心拍数より低い実際心拍数が実
際心拍数検出手段により検出された場合、それまでの基
準心拍数に代えて上記低い実際心拍数が新たに設定され
て基準心拍数の更新が行われる。このため、それまでの
基準心拍数が設定された際の車両の安定走行状態がより
安定側に変化した場合、上記基準心拍数の更新により、
その基準心拍数が運転者の真のリラックス状態での実際
心拍数により近いものとされる。これにより、各種走行
環境下での運転者の基準心拍数の設定がより的確に行わ
れる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2以下の図面に基
いて説明する。
【0017】(第1実施例) 図2は、4輪操舵車に、本発明の第1実施例に係る制御
装置を適用した車両の概略平面図を示す。
【0018】まず、上記4輪操舵車の構成について説明
する。同図において、6はステアリングホイール、Fw
は左右の前輪、Rw は左右の後輪、10は上記ステアリ
ングホイール6の操作により左右の前輪Fw ,Fw を操
舵する前輪操舵装置、20はこの前輪操舵装置10によ
る前輪Fw ,Fw の転舵に応じて左右の後輪Rw ,Rw
を操舵する後輪操舵装置である。
【0019】上記前輪操舵装置10は、車幅方向に配置
されたリレーロッド11を有し、このロッド11の両端
部は各々タイロッド12、12及びナックルアーム1
3、13を介して左右の前輪Fw ,Fw に連結されてい
る。上記リレーロッド11には、このリレーロッド11
をステアリングホイール1の操作に連動して左右に移動
させるラック・アンド・ピニオン機構14が付設されて
おり、上記ステアリングホイール1の操作時にその操作
量に応じた角度だけ上記左右の前輪Fw ,Fw を操舵す
るようになっている。
【0020】一方、上記後輪操舵装置20は、上記前輪
操舵装置10の場合と同様に、車幅方向に配置されたリ
レーロッド21を有し、このロッド21の両端部は各々
タイロッド22、22及びナックルアーム23、23を
介して左右の後輪Rw ,Rwに連結されている。上記リ
レーロッド21には、このロッド21を中立位置に付勢
するセンタリングバネ24が配置されているとととも
に、ラック・アンド・ピニオン機構25が配置されてい
る。この機構25にはクラッチ26、減速機構27、及
びモータ28が連携されており、クラッチ26の締結時
にモータ28の回転駆動によりラック・アンド・ピニオ
ン機構25を介してリレーロッド21を車幅方向に移動
させて、上記後輪Rw ,Rw をモータ28の回転量に応
じた角度だけ操舵するようになっている。そして、上記
モータ28はコントロールユニット29からの制御信号
により所定の回転量だけ駆動されるようになっている。
【0021】上記コントロールユニット29は上記モー
タ28の駆動を制御することにより車両の4輪操舵特性
を制御する制御手段30を備えている。この制御手段3
0には、車速を検出する車速センサ31と、前輪Fw ,
Fw の転舵角を検出する前輪転舵角センサ32と、上記
モータ28により移動されるリレーロッド21の移動量
を検出することにより後輪Rw ,Rw の転舵角を検出す
る後輪転舵角センサ33とが接続されている。
【0022】そして、上記制御手段30は、内部に、前
輪転舵角θF に対するリレーロッド21の移動量SAの
基準特性マップ、すなわち、前輪転舵角θF に対する後
輪転舵角θR の基準転舵比特性マップが予め入力記憶さ
れており、上記車速センサ31からの車速検出値に基い
て所定の転舵比fv に対応する上記リレーロッド21の
移動量SAを演算し、この移動量SAに相当する駆動制
御信号を上記モータ28に出力するようになっている。
具体的には、上記車速検出値に対応する転舵比fv が選
択され、このfv に基いて θR =fv ・θF ・k (但し、kは制御ゲイン;通常はk=1.0) によって、後輪転舵角θR が演算されるようになってい
る。
【0023】上記基準転舵比特性マップは、図3に実線
で示すように、車速が所定の設定速度VO 以下の低車速
域で後輪Rw ,Rw が前輪Fw ,Fw とは逆位相とな
り、車速がVO より高い中・高速域で同位相となるよう
設定されている。つまり、低車速域では車両の回転半径
を小さくして小回りや車庫入れなどの容易化に行い得る
ようにする一方、高車速域では後輪の前輪に対するコー
ナリングフォースの位相遅れを短縮してレーンチェンジ
(車線変更)や緩やかな旋回を安定して行い得るように
なっている。
【0024】次に、上記制御手段30による4輪操舵特
性の制御をドライバーの実際心拍数に基いて変更する構
成について説明する。
【0025】上記コントロールユニット29は、上記制
御手段30のほかに、実際心拍数検出手段40(図2参
照)により計測されたドライバーの実際心拍数などに基
いて基準心拍数を設定する基準心拍数設定手段50と、
この設定された基準心拍数と上記計測された実際心拍数
との偏差に応じて上記制御手段30における制御ゲイン
を変更する制御ゲイン変更手段60を備えている。
【0026】上記実際心拍数検出手段40は、ステアリ
ングホイール6の所定の各部位に配設されてドライバー
の左右両手間の電位差を検出するための電極41と、こ
の電極41に接続されて上記電位差を増幅する増幅器4
2と、この増幅器42により増幅された電位差から心電
位以外の所定の周波数信号成分を除去するバンドパスフ
ィルタ43と、このバンドパスフィルタ43を通過した
心電位から心拍信号であるR波の出現した時間間隔に基
き心拍数を計測して上記基準心拍数設定手段50および
制御ゲイン変更手段60に出力する計測部44とを備え
ている。
【0027】上記電極41は、図4に詳細を示すよう
に、各一対の+極41a,41aおよび−極41b,4
1bからなる。この電極41は、ステアリングホイール
6の上下左右の各位置に所定幅の4つの絶縁部6a,6
a,…を形成することにより上記ステアリングホイール
6のホイール部を左上、左下、右下および右上の4つの
領域(同図にメッシュ模様で示す領域)6b,6c,6
d,6eに分割し、この各領域6b,6c,…に+極4
1aおよび−極41bを交互に配設する構成となってい
る。つまり、ドライバーが相対向した状態でステアリン
グホイール6の左右両側の領域6b,6eまたは6c,
6d、すなわち、ドライバーの左右の各手により握られ
る左右の領域の一方6b,6dが+極41a、他方6
c,6eが−極41bとなるように配設されており、こ
れにより、上記ステアリングホイール6を握るドライバ
ーの左右両手間の電位差を検出するようになっている。
このような電極41はステアリングホイール6の各領域
6b,6c,…の表面に導電性ゴムもしくは導電性プラ
スチックなどを用いて皮膜を形成することによって配設
される一方、上記各絶縁部6aが未処理部とされること
によりステアリングホイール6自体の材質により絶縁体
部分が形成されている。
【0028】上記各電極41a,41bはステアリング
シャフトとステアリングコラムとの間に介在させたスリ
ップリング45(図2参照)を介してインピーダンス変
換用増幅器42に接続されており、この増幅器42は生
体であるドライバーからのインピーダンスの極めて高い
心拍信号を増幅し、この増幅した心拍信号を上記バンド
パスフィルタ43を介して上記計測部44に送るように
なっている。
【0029】上記バンドパスフィルタ43は、そのカッ
トオフ周波数として高周波側および低周波側にそれぞれ
所定値が設定されており、これら両設定値の間の周波数
帯域のものを通過させるようになっている。すなわち、
上記高周波側のカットオフ周波数はドライバーが手でス
テアリングホイール6の電極41を握る際の手の筋肉活
動に伴い心電位に混入する高周波信号成分である筋電位
をカットし得る値に設定され、一方、上記低周波側のカ
ットオフ周波数は上記ドライバーの手と上記電極41と
の接触不良に伴い上記心拍信号に混入する低周波信号成
分をカットし得る値に設定されている。
【0030】上記計測部44での心拍数計測の原理は、
心電位の時間的変化の波形である心電図(図5参照)に
おいて順に表れるP,Q,R,S,TおよびUの各波の
内のR波がベース電位より所定量高く設定されたトリガ
ーレベルを超える1分間当りの回数を計測し、この回数
をドライバーの実際心拍数とするものである。そして、
実際の計測部44での処理は、上記トリガーレベルを超
えた前回のR波と今回のR波との時間間隔dtを検出
し、この時間間隔dtより1分間当りの心拍数hr を演
算により求め今回の実際心拍数とするようになってい
る。加えて、計測された実際心拍数の今回値と前回値と
の変動幅が所定の設定変動幅内にある時その今回値を有
効データHr とする一方、その設定変動幅以上の時その
今回値を無効データとしてキャンセルして前回値を今回
値とするようになっている。なお、上記設定変動幅はド
ライバーである生体の実際心拍数の単位時間当りの心拍
変動量についての最大値に対応して定められている(例
えば±5bpm ;beat per minute )。
【0031】上記基準心拍数設定手段50には、車両運
動状態検出手段5として、上記前輪転舵角センサ32お
よび車速センサ33に加えて、アクセルペダルのアクセ
ル開度を検出するアクセルセンサ51と、車両の車幅方
向に作用する加速度(以下横Gと略称する)を検出する
横Gセンサ52と、車両の前後方向に作用する加速度
(以下前後Gと略称する)を検出する前後Gセンサ53
とが接続されている。そして、上記基準心拍数設定手段
50は、これら各センサ32,33,51〜53からの
車両の運動状態に関する情報に基いて走行中の車両の運
動状態が設定時間(安定化判定時間TL )継続して変動
しないとき安定化したと判定する安定化判定部54と、
この安定化判定部54で安定化したと判定されたときに
上記計測部44で計測された有効心拍数Hr に基いて基
準心拍数BHrminを設定してこれを制御ゲイン変更手段
60に出力する基準心拍数設定部55とを備えている。
そして、この基準心拍数設定部55は、上記有効心拍数
Hr に基いて安定心拍数AHr を演算し、それまでの基
準心拍数BHrminと比較してより基準心拍数BHrminと
してより低い値に更新するようになっている。
【0032】また、上記制御ゲイン変更手段60は、上
記基準心拍数BHrminと有効心拍数Hr との偏差を求
め、この偏差の大小に応じて図3に実線で示す基準転舵
比特性が同図に一点鎖線で示すようにより同位相側に変
更されるように制御ゲインkを変更するようになってい
る。すなわち、この制御ゲイン変更手段60は、上記偏
差が大きい程ドライバーがより緊張状態にあるものとし
て上記基準転舵比特性をより大きく同位相側に移行させ
るための制御ゲインkを演算し、この制御ゲインkを制
御手段30に出力するようになっている。
【0033】以下、上記計測部44、基準心拍数設定手
段50および制御ゲイン変更手段60での処理を、図6
に示すフローチャートに基いて具体的に説明する。
【0034】まず、ステップS1で所定の計測・制御タ
イミングであるか否かを判別して、計測・制御タイミン
グであればステップS2で上記前輪転舵角センサ32か
らステアリングホイール6の操舵角と、アクセルセンサ
51からアクセル開度と、横Gセンサ52から横Gと、
前後Gセンサ53から前後Gとを入力し、各前回入力値
との比較によりそれぞれ変動度合いもしくは変動量を計
測する。すなわち、操舵角よりステアリングホイール6
の操舵速度の変動を、アクセル開度よりアクセル変動
を、横Gより横G変動を、および、前後Gより前後G変
動をそれぞれ計測する。
【0035】次に、後述の有効心拍数計測ルーチンR1
により今回の有効心拍数Hr を計測した後、ステップS
3で車両の運動状態が安定化したか否かを判別する。こ
の判別は上記操舵速度、アクセル変動、横G変動、およ
び、前後G変動が0もしくは所定の微小量となった否か
により行い、それらが微小量以上であれば、安定化して
いないと判断してステップS4でタイマカウントTを0
として後述の制御ゲイン変更ルーチンR2に進む。上記
操舵速度および各変動が0もしくは上記所定の微小量よ
り小さい場合、ステップS5でタイマカウントTに1単
位時間を加え、上記タイマカウントTに1単位時間を加
えるごとにステップS6で安定心拍計測数b(初期値
0)に1ずつ積算する。そして、ステップS7で上記有
効心拍数計測ルーチンR1での有効心拍数Hr を有効心
拍データHm(i)に蓄積する。
【0036】次に、ステップS8で上記タイマカウント
Tの値に基いて予め設定された所定の設定時間(安定化
判定時間)TL が経過したか否かを判別する。未経過で
あれば、ステップS9〜S12を飛ばして上記制御ゲイ
ン変更ルーチンR2に進む。上記安定化判定時間TL が
経過した場合、ステップS9で安定心拍数AHr の演算
を行う。この演算は、上記有効心拍データHm(i)と安定
心拍計測数bとに基いて、 によって行う。そして、ステップS10で上記安定心拍
数AHr とそれまでに設定されていた基準心拍数BHrm
inとの大小比較を行う。既設定の基準心拍数BHrminの
方が大きい場合、ステップS11で今回求めた安定心拍
数AHr を基準心拍数BHrminとして設定して基準心拍
数の更新を行い、逆に、既設定の基準心拍数BHrminの
方が小さい場合、上記ステップS11での更新を行わず
既設定の基準心拍数BHrminを用いる。
【0037】そして、ステップS12で上記安定心拍デ
ータHm(i)および安定心拍計測数bの初期化を行った
後、後述の制御ゲイン変更ルーチンR2にて変更後の制
御ゲインkを制御手段30に出力してリターンする。
【0038】なお、上記ステップS10における基準心
拍数BHrminは、始動時のみ、始動後最初に計測された
有効心拍Hr が初期設定値として設定されるようになっ
ている。また、上記安定化判定時間TL として、その時
間TL 走行している間にその時の走行環境における交通
流が安定化すると同時に、それに伴いドライバーの実際
心拍数も安定化すると考え得る程度の時間(例えば2分
間程度)が予め設定されている。
【0039】上記フローチャートの内、有効心拍数計測
ルーチンR1が計測部44を、ステップS3〜S12が
基準心拍数設定手段50を、制御ゲイン変更ルーチンR
2が制御ゲイン変更手段60をそれぞれ構成している。
そして、上記ステップS3〜S12の内、ステップS3
〜S5およびS8が安定化判定部54を、ステップS
6,S7およびステップS9〜S11が基準心拍数設定
部55をそれぞれ構成している。
【0040】次に、上記有効心拍数計測ルーチンR1に
ついて、図7のフローチャートに基いて具体的に説明す
る。
【0041】まず、ステップS13で上記トリガーレベ
ルを超えるR波を検出したか否かを検出するまで繰り返
し、検出したらステップS14でその時のタイマ値を読
取りこれを今回値t(n) に記憶させる。そして、ステッ
プS15で今回値t(n) から前回値t(n-1)を減算して時
間間隔dtを求め、この時間間隔dtの逆数に60を乗
じて1分間当りの心拍数hr の今回値hr(n)を求める。
【0042】次に、ステップS16で心拍数hr の今回
値hr(n)から前回値hr(n-1)を減算したもの(心拍数の
変動幅)が設定変動幅±5bpm の範囲内か否かを判別
し、範囲内であればステップS17で今回値hr(n)を今
回の有効心拍数Hr とし、範囲外であればステップS1
8で今回値hr(n)をキャンセルして前回値hr(n-1)を今
回の有効心拍数Hr とする。そして、ステップS19で
タイマ読取り値t(n) および心拍数検出値hr(n)の更新
を行い、次の処理に進む。
【0043】また、上記制御ゲイン変更ルーチンR2に
ついて、図8のフローチャートに基いて具体的に説明す
ると、まず、ステップS20で上記有効心拍数Hr から
基準心拍数BHrminを減じて偏差Cb(j)を演算し、ステ
ップS21でこの偏差Cb(j)が大きい程大きく制御ゲイ
ンkを変更して制御手段30に出力する。最後にステッ
プS22で上記今回の偏差Cb(j)を前回値Cb(j-1)に入
れ替える。
【0044】次に、上記構成の第1実施例の作用・効果
について説明する。
【0045】車両の走行中、ドライバーの左右両手は、
ステアリングホイール6の中立回転位置における上半部
の左右両側の各領域6b,6e、もしくは、下半部の左
右両側の各領域6c,6dのいずれかを握ることによ
り、ステアリングホイール6を保持している。すなわ
ち、ステアリングホイール6の上半部を握る時は右手で
右上領域6eを、左手で左上領域6bをそれぞれ握り、
ステアリングホイール6の下半部を握る時は右手で右下
領域6dを、左手で左下領域6cをそれぞれ握ることに
なる。従って、上半部もしくは下半部のいずれを握る場
合においても、左右両手の一方が+極41aと接触し、
他方が−極41bと接触することになる。さらに、上記
中立回転位置から転舵のためにステアリングホイール6
を回転させた場合においても、上記各領域6b,6c,
6d,6eには+極41aと−極41bとが交互に配設
されているため、左右両手の一方が+極41aと接触
し、他方が−極41bと接触することになる。このた
め、両電極41a,41bによりドライバーの左右両手
間の電位差が検出され、この電位差が増幅器42で増幅
された後、バンドパスフィルタ43により心電位以外の
余分な周波数域が除かれた状態で、計測部44に送られ
る。この計測部44で、心電位からR波を取り出しその
時間間隔から心拍数hr が求められ、この心拍数からド
ライバーの有効心拍数Hr が計測される。そして、計測
結果が基準心拍数設定手段50と制御ゲイン変更手段6
0とに送られ、基準心拍数設定手段50で設定された基
準心拍数BHrminと上記有効心拍数Hr との偏差Cb(j)
に基いて制御ゲイン変更手段60で制御ゲインkが変更
される。そして、この制御ゲインkに基いて制御手段3
0での後輪転舵角の制御が行われる。
【0046】上記実際心拍数検出手段40によるドライ
バーの実際心拍数の検出に際し、本実施例では、ステア
リングホイール6に配設した電極41を介してドライバ
ーの両手間の電位差を検出することによりドライバーの
実際心拍数の検出を行うようにしているため、ドライバ
ーの実際心拍数の検出をドライバー自身に特別な計測装
置の装着を強制するなどの負担をかけることなく容易に
行うことができる。しかも、上記電極41はステアリン
グホイール6に被覆された状態で配設されているため、
ステアリングホイール6の機能を損なうことなく、か
つ、ドライバーに意識させることなく、上記電位差の検
出を行うことができる。
【0047】また、信号源であるドライバー(生体)か
らのインピーダンスの極めて高い信号が上記増幅器42
により増幅されるため、インピーダンスが高いゆえにノ
イズを拾い易いという不都合を解消することができる。
その上、バンドパスフィルタ43を介在させているた
め、各電極41で検出された電位差から、ドライバーの
手の掌からの筋電位(高周波信号成分)を除去して筋電
位混入に伴うノイズを除去することができる一方、上記
電極41とドライバーの手との接触不良に伴う低周波信
号成分を除去して低周波混入に伴うベース電位のドリフ
ト発生を防止してベース電位を安定化させることがで
き、これらにより、R波検出の容易化、確実化を図るこ
とができる。
【0048】さらに、検出したR波から心拍数を検出す
るに当り、設定変動幅(±5bpm )を超える心拍数検出
値hr を無効データとしてキャンセルし、上記設定変動
幅の範囲内にある心拍数検出値hr を有効データとして
用いるようにしているため(ステップS16〜S18参
照)、R波の一時的なとぎれやノイズの混入などに基く
心拍数の誤検出の防止を図ることができる。すなわち、
生体の心拍数の最大変動幅である設定変動幅の範囲外の
検出心拍数をキャンセルすることにより心拍数の誤計測
の発生を容易かつ確実に防止することができる。
【0049】一方、基準心拍数設定手段50での基準心
拍数の設定に際し、各センサ32,51〜53からの車
両の運動状態量の検出値に基き、所定の設定時間TL だ
け車両が安定状態を継続しているとき、その時間範囲に
計測された有効心拍データHm(i)から安定心拍数AHr
を求め(ステップS3〜S9参照)、これを基準心拍数
BHrminとして設定しているため(ステップS11参
照)、車両が安定走行状態にある結果、運転者がリラッ
クスして運転操作を継続し、これに伴い心拍が低下した
状態で安定しているときの実際心拍数を基準心拍数とし
て設定することができる。このため、このリラックス状
態での基準心拍数との偏差の大小によってドライバーの
緊張度合いの変動を的確に把握することができる。しか
も、この場合、上記設定されるリラックス状態の実際心
拍数は運転者ごとに検出されるため、個々のドライバー
に応じた基準心拍数を設定することができ、基準心拍数
として試験値などを画一的に固定値として設定する場合
と比べ各ドライバーが有する個体差に起因するドライバ
ーの心理状態の誤判断を防止することができる。
【0050】また、上記ドライバーがリラックス状態に
あるか否かを車両の運動状態が安定しているか否か、す
なわち、車両の運動状態に変動があるか否かによって判
断し、かつ、その車両の安定状態が所定の時間(安定化
判定時間TL )継続しているか否かをみて上記変動がな
い状態(安定状態)が上記時間継続している場合に限
り、ドライバーがリラックス状態にあると判定するよう
にしているため、上記ドライバーがリラックスした状態
を的確に検出することができる。そして、上記車両の運
動状態の変動を各センサ32,51〜53からの出力値
によって確実に検出することができる。
【0051】そして、上記リラックス状態で計測された
実際心拍数が基準心拍数を下回るとき、車両の安定走行
状態がより安定側に変化したと判断し、それまでの基準
心拍数に代えて上記低い実際心拍数を新たに設定して基
準心拍数の更新を行うようにしているため、ドライバー
の真のリラックス状態での実際心拍数により近いものを
設定することができ、各種走行環境下での運転者の基準
心拍数の設定をより的確に行うことができる。
【0052】そして、車両の走行環境が、例えば走行車
両の比較的少ない高速道路などの交通流の変動が極めて
小さい場合、ドライバーは比較的リラックスした状態で
運転操作を継続しており、そのドライバーの実際心拍数
はほぼ基準心拍数に保たれている(偏差Cb(j)=0)。
このため、制御ゲイン変更手段60での制御ゲインkの
変更は行われず(k=1)、後輪操舵装置20は基準転
舵比特性に基き転舵制御される。
【0053】一方、上記走行環境が上記の場合から、例
えば走行車両が増加して車間距離が極めて小さくなった
り、もしくは、交通流の変動が激しくなったりした状態
に変化した場合、ドライバーは上記のリラックス状態か
ら緊張状態に移行し、これに伴いドライバーの実際心拍
数も増加する。この結果、制御ゲイン変更手段60に入
力される実際心拍数の計測値も増大して、基準心拍数と
の偏差が生じる。そして、この偏差に対応して制御ゲイ
ンkが変更されて上記基準転舵比特性がより同位相側に
変更される。すなわち、それまでの後輪Rw ,Rw の転
舵角が、逆位相側もしくは同位相側であるに拘らず、よ
り同位相側に変更される結果、回頭性がさがる側に変更
されてドライバーの転舵操作に対する車両の旋回運動特
性をより安定側に変更することができる。つまり、緊張
状態にあるドライバーが行う転舵操作に対しては、車両
の転舵特性をより安定側に変更することができ、車両の
急激な運動を回避してドライバーの要求に沿わせること
ができる。
【0054】そして、上記ドライバーの緊張状態が高く
なる程、実際心拍数がより高く(偏差がより大きく)な
り、その結果、制御ゲインkがより大きい値に変更され
て上記同位相側への変更がより大きく行われる。このた
め、走行中のドライバーの緊張度合い、すなわち、走行
環境に応じて変化するドライバーの心理状態の変化度合
いに応じて車両の運動特性をより安定側に変更すること
ができ、車両の走行環境の緩急度合いに基いて変化す
る、車両の運動特性に対するドライバーの要求を車両に
反映させることができ、より高度な安全走行状態の実現
を図ることができる。このように、本実施例では、ドラ
イバーの心理状態に基く要求を車両の制御に直接的に反
映することができ、車両の運動特性を車両の運転状態と
して表れる車速値などのパラメータによってドライバー
の要求を推測して間接的に変更制御する従来装置と比
べ、車両の運動特性をドライバーの要求を直接的に把握
してそれにより合致したものに変更制御することができ
る。
【0055】(第2実施例) 図9は本発明の車両の制御装置の第2実施例を示し、7
0は基準心拍数設定手段、56はこの基準心拍数設定手
段70に備えられた安定化判定時間設定部である。本第
2実施例は、安定化判定時間TL を車両の走行状態に応
じて変更させるようにしたものであって、具体的には上
記第1実施例における制御(図6参照)に安定化判定時
間設定ルーチンR3を追加したものである。
【0056】上記安定化判定時間設定部56は、車速セ
ンサ33からの車速検出値に基き車速変動率hv を求
め、この車速変動率hv が小さい程短くなるよう安定化
判定時間TL を変更し、これを安定化判定部54に出力
するようになっている。上記車速変動率hv の演算は、
直前の一定時間範囲における複数の車速値、例えば2分
間を範囲とした場合、0.1sec ごとの1200個の車
速値を平均した平均車速値と、上記1200個の車速値
の標準偏差とに基いて、 hv =(標準偏差/平均車速値)×100 (%) によって行われる。
【0057】本第2実施例における計測部44、基準心
拍数設定手段70、および、制御手段変更手段60にお
ける処理を説明すると、まず、図6に示すステップS
1,S2、有効心拍数計測ルーチンR1およびステップ
S3〜S7の各処理を第1実施例と同様に行い、上記ス
テップS7の次に、上記安定化判定時間設定ルーチンR
3を行う。この安定化判定時間設定ルーチンR3は、図
10に具体的に示すように、ステップS23で上記車速
センサ33からの出力値に基き車速変動率hv の演算を
行い、ステップS24で予め記憶設定した車速変動率hv
と安定化判定時間TL との関係を定めたマップから上記
演算された車速変動率hv に対応する安定化判定時間T
L を演算決定し、ステップS8(図6参照)に進むもの
である。上記マップは、車速変動率hv がかなり大きい
所定の値以上の範囲で安定化判定時間TL として最大値
(例えば2分間)を与え、上記値から車速変動率hv が
小さくなる程短い安定化判定時間TL を与え、かつ、車
速変動率hv が極めて小さい範囲で上記安定化判定時間
TL として最小値を与えるようになっている。そして、
ステップS8〜S12および制御ゲイン変更ルーチンR
2の各処理を上記第1実施例と同様に行う。
【0058】なお、上記エンジンの制御装置のその他の
構成は第1実施例のものと同様であるために、同一部材
には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0059】上記第2実施例の場合、車両の運動状態が
安定化したか否かを判定するための安定化判定時間TL
が、安定化判定時間設定部56によって、車速変動率が
小さい程短く変更される。上記安定化判定時間TL は、
その時間だけ走行している間に、そのときの交通流が安
定化すると同時にドライバーの実際心拍数も安定化する
であろうというものであるが、上記車速変動率hv がよ
り小さい側に変化する場合、交通流の状態がより早期に
安定化する走行環境であり、これに伴いドライバーの実
際心拍数もより早期に安定化するものと考えられる。例
えば、ドライバー側の事情による走行環境の変化例とし
て、一般に、ドライバーは、始動後、走行開始直後はや
や緊張気味であるが、しばらく走行すると運転操作に慣
れて少しリラックスしてくる傾向にあり、このような場
合に適用される。従って、上記交通流の状態に合せて、
安定化判定のための時間TL もより短縮化するようにし
ており、これにより、上記走行環境の状態が別の状態に
変化する前にその状態下における基準心拍数の設定を早
期に行うことができ、ドライバーの心理状態の変動を加
味した車両の変更制御を走行環境に即応して行うことが
できる。
【0060】なお、本発明は上記第1および第2実施例
に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含
するものである。すなわち、上記第1および第2実施例
では、制御手段30で制御する対象を4輪操舵装置にお
ける後輪転舵特性とし、ドライバーの緊張状態が高くな
る程、転舵特性をより安定側に変更制御する場合を示し
たが、これに限らず、制御対象を以下に示すものとして
もよい。すなわち、アクティブサスペンションの硬軟特
性を制御対象とする場合、上記偏差が大きくなる程より
ハード側に、すなわち、操縦安定性の増す側に変更制御
すればよい。また、パワートレインの駆動力伝達特性を
制御対象とする場合、上記偏差が大きくなる程より低出
力側に変更制御すればよい。さらに、アクセルペダル操
作に対するエンジンの出力特性を制御対象とする場合、
上記偏差が大きくなる程より低出力側に変更制御すれば
よい。
【0061】上記第1および第2実施例では、各センサ
出力値のすべてについて0もしくは微小値より小さい状
態が安定化判定時間TL 継続した場合に安定状態として
いるが、これに限らず、車両の運動状態の判定対象を1
種類のセンサ出力値のみ、例えばアクセル開度のみとし
てもよい。
【0062】さらに、上記第1および第2実施例では、
ドライバーの心拍信号をステアリングホイール6に配設
した電極41から検出しているが、これに限らず、例え
ばシフトノブ、センターアームレスト、ドア側アームレ
ストおよびパーキングブレーキノブなどに電極を配設し
て、これらとドライバーの手との接触から検出するよう
にしてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3記載
の発明における車両の制御装置によれば、基準心拍数設
定手段において、車両の運動状態としてのアクセル開
度、車幅方向に作用する加速度又は前後方向に作用する
加速度に基いて安定化判定部で走行中の車両の安定状態
を判定し、車両の安定状態において実際心拍数検出手段
により検出された実際心拍数に基いて基準心拍数を基準
心拍数設定部で設定するようにしているため、車両が安
定走行状態にあるため運転者がリラックスして運転操作
を行う結果、心拍が低い側で安定しているときの実際心
拍数を基準心拍数として設定することができる。そし
て、制御ゲイン変更手段において、車両の各種走行状態
下における運転者の実際心拍数と上記基準心拍数との偏
差に応じて制御ゲインを変更し、この制御ゲインの変更
に基いて車両の制御を変更するようにしているため、運
転者が上記リラックスした状態から、交通流の変動が激
しくなり運転者の心理状態が緊張状態に変化する結果増
大する上記偏差の大小によって、運転者の緊張度合いの
変動を的確に把握することができ、この運転者の緊張度
合いの変動、すなわち、上記運転者の心理状態の変動に
応じて車両の運動特性を変更制御することができる。こ
れにより、運転者の心理状態を車両の制御に反映させる
ことができ、車両の運動特性を運転者の内面的要求に適
応したものとすることができる。
【0064】この際、上記安定化判定部では上記車両の
運動状態が設定時間継続して変動しないときに安定状態
と判定するしているため、上記ドライバーがリラックス
した状態を的確に検出することができる。しかも、上記
基準心拍数として設定されるリラックス状態の実際心拍
数は運転者ごとに検出されるため、個々のドライバーに
応じた基準心拍数を設定することができ、基準心拍数と
して試験値などを画一的に固定値として設定する場合と
比べ各ドライバーが有する個体差に起因するドライバー
の心理状態の誤判断、誤制御の発生を防止することがで
きる。
【0065】さらに、請求項4記載の発明によれば、上
記請求項1〜3記載の発明による効果に加えて、車両の
運動状態が安定化したか否かを判定するための設定時間
を、安定化判定時間設定部によって、車速変動率が小さ
い程短く変更するようにしているため、車速変動率がよ
り小さい側に変化する場合、すなわち、交通流の状態が
より早期に安定化するような走行環境に変動する場合、
運転者の実際心拍数もより早期に安定化するという傾向
に対応して基準心拍数の設定を迅速に行うことができ
る。これにより、運転者の心理状態の変動を加味した車
両の変更制御を走行環境に即応して行うことができる。
【0066】また、請求項5記載の発明によれば、上記
請求項1〜4記載の発明による効果に加えて、リラック
ス状態にある運転者から計測された実際心拍数が基準心
拍数を下回るとき、車両の走行環境がより安定側に変化
したと判断してそれまでの基準心拍数に代えて上記低い
実際心拍数を新たに設定して基準心拍数の更新を行うよ
うにしているため、ドライバーの真のリラックス状態で
の実際心拍数により近いものを設定することができ、各
種走行環境下での運転者の基準心拍数の設定をより的確
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す全体概略構成図であ
る。
【図3】各種車速に対する転舵比特性を示す関係図であ
る。
【図4】図2のステアリングホイールの拡大図である。
【図5】標準的な心電位に基く心電図である。
【図6】図2の計測部、基準心拍数設定手段および制御
ゲイン変更手段での処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の有効心拍数計測ルーチンの処理を示すフ
ローチャートである。
【図8】図6の制御ゲイン変更ルーチンの処理を示すフ
ローチャートである。
【図9】第2実施例の図2相当図である。
【図10】第2実施例において用いる安定化判定時間設
定ルーチンの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,30 制御手段 2,40 実際心拍数検出手段 2a,54 安定化判定部 2b,55 基準心拍数設定部 2c,56 安定化判定時間設定部 3,50,70 基準心拍数設定手段 4,60 制御ゲイン変更手段 5 車両運動状態検出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 137:00 B62D 137:00 (56)参考文献 特開 平1−218968(JP,A) 特開 昭60−116328(JP,A) 特開 昭59−25729(JP,A) 特開 平3−96439(JP,A) 実開 昭62−9404(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 - 6/06 B60K 28/00 - 28/06 B62D 7/14

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両を制御する制御手段と、運転者の基
    準心拍数を設定する基準心拍数設定手段と、運転者から
    検出した心拍信号に基いて運転者の実際心拍数を計測す
    る実際心拍数検出手段と、この計測された実際心拍数と
    上記基準心拍数との偏差に応じて上記制御手段の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段と、車両のアクセル
    開度を検出するアクセルセンサとを備えており、 上記基準心拍数設定手段は、上記アクセルセンサからの
    出力に基いて走行中の車両のアクセル開度が設定時間継
    続して変動しないとき安定化したと判定する安定化判定
    部と、この安定化判定部で安定化したと判定されたとき
    に上記実際心拍数検出手段で計測される実際心拍数に基
    き基準心拍数を設定する基準心拍数設定部とを備えてい
    ることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 【請求項2】 車両を制御する制御手段と、運転者の基
    準心拍数を設定する基準心拍数設定手段と、運転者から
    検出した心拍信号に基いて運転者の実際心拍数を計測す
    る実際心拍数検出手段と、この計測された実際心拍数と
    上記基準心拍数との偏差に応じて上記制御手段の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段と、車両の車幅方向
    に作用する加速度を検出する加速度センサとを備えてお
    り、 上記基準心拍数設定手段は、上記加速度センサからの出
    力に基いて走行中の車両の車幅方向に作用する加速度が
    設定時間継続して変動しないとき安定化したと判定する
    安定化判定部と、この安定化判定部で安定化したと判定
    されたときに上記実際心拍数検出手段で計測される実際
    心拍数に基き基準心拍数を設定する基準心拍数設定部と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  3. 【請求項3】 車両を制御する制御手段と、運転者の基
    準心拍数を設定する基準心拍数設定手段と、運転者から
    検出した心拍信号に基いて運転者の実際心拍数を計測す
    る実際心拍数検出手段と、この計測された実際心拍数と
    上記基準心拍数との偏差に応じて上記制御手段の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段と、車両の前後方向
    に作用する加速度を検出する加速度センサとを備えてお
    り、 上記基準心拍数設定手段は、上記加速度センサからの出
    力に基いて走行中の車両の前後方向に作用する加速度が
    設定時間継続して変動しないとき安定化したと判定する
    安定化判定部と、この安定化判定部で安定化したと判定
    されたときに上記実際心拍数検出手段で計測される実際
    心拍数に基き基準心拍数を設定する基準心拍数設定部と
    を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
  4. 【請求項4】 車両を制御する制御手段と、運転者の基
    準心拍数を設定する基準心拍数設定手段と、運転者から
    検出した心拍信号に基いて運転者の実際心拍数を計測す
    る実際心拍数検出手段と、この計測された実際心拍数と
    上記基準心拍数との偏差に応じて上記制御手段の制御ゲ
    インを変更する制御ゲイン変更手段と、車両の運動状態
    を検出する車両運動状態検出手段とを備えており、 上記基準心拍数設定手段は、上記車両運動状態検出手段
    からの出力に基いて走行中の車両の運動状態が設定時間
    継続して変動しないとき安定化したと判定する安定化判
    定部と、この安定化判定部で安定化したと判定されたと
    きに上記実際心拍数検出手段で計測される実際心拍数に
    基き基準心拍数を設定する基準心拍数設定部とを備え、 上記車両運動状態検出手段は車速を検出する車速センサ
    を備え、かつ、上記基準心拍数設定手段は上記車速セン
    サからの出力に基き得られる車速の変動率が小さい程短
    く設定時間を変更する安定化判定時間設定部を備えてい
    ることを特徴とする車両の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つの請求項に
    おいて、基準心拍数設定部は、実際心拍数検出手段によ
    り計測された実際心拍数が既設定の基準心拍数より小さ
    いとき、その基準心拍数を上記計測された実際心拍数に
    変更するように構成されている車両の制御装置。
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