JP3307897B2 - 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP3307897B2
JP3307897B2 JP30602299A JP30602299A JP3307897B2 JP 3307897 B2 JP3307897 B2 JP 3307897B2 JP 30602299 A JP30602299 A JP 30602299A JP 30602299 A JP30602299 A JP 30602299A JP 3307897 B2 JP3307897 B2 JP 3307897B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
power steering
electric power
steel sheet
oriented electrical
electrical steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP30602299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001123252A (ja
Inventor
高英 島津
良 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP30602299A priority Critical patent/JP3307897B2/ja
Publication of JP2001123252A publication Critical patent/JP2001123252A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3307897B2 publication Critical patent/JP3307897B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のハンドル
を軽く操作できるようにする電動パワステ(電動機によ
るパワーステアリング)に用いられるモータコアの無方
向性電磁鋼板に関するもので、従来の電動パワステモー
タの課題を解決する無方向性電磁鋼板およびその製造方
法を提供する。
【0002】
【従来の技術】地球環境問題が重視されつつある中で、
あらゆる分野でエネルギーの無駄遣いをなくそうとの動
きが盛んである。一方で便利さ、快適さを求める人間の
欲望は留まるところを知らないようである。ところで、
自動車のハンドル操作が簡単になる、所謂パワーステア
リング(以下、パワステと略称)装置は、軽自動車、普
通自家用車、トラックを問わず一般化している。従来こ
のパワステは油圧式が通常であったが、近年エネルギー
消費効率の観点から電動パワステに替える動きが急であ
る。
【0003】ところで、今までこの電動パワステに用い
られていたモータコア用無方向性電磁鋼板は、JISグ
レードで50A600〜50A1000クラス(Si%
で0.3〜1.5%であり、結晶粒径では15〜40μ
m)のフルプロセス材であった。しかしながらこの低〜
中級グレードでは、電動パワステとしての致命的な欠陥
を解決できなかった。この欠陥は、ハンドルを切った後
には従来の油圧パワステでは自動的に逆方向にハンドル
が戻ろうとするが、電動パワステでは戻りのトルクが働
かないことである。このため電動パワステへの転換が遅
れていた。
【0004】この課題である戻りトルクを出すために従
来、例えば特開平6−219311号公報や特開平9−
156519号公報に開示されている如く、電気回路の
制御による方法が採用されている。しかしながら電気制
御だけでは不足で、モータコアで発生した鉄損がこの戻
りトルクに有害に働くとされている。この鉄損は低周波
・高磁場での鉄損であって、高磁場での直流ヒステリシ
ス損で代表することができる。この高磁場での直流ヒス
テリシス損を色々な鋼種などで測定してみても、製造ロ
ット毎にバラツキが大きく、調査しても旧来の改善知見
であった粗大結晶粒、不純物の低減以外に何かが大きく
効いていることが予想されるだけで、解決に到っていな
かったのである。なお、電動パワステの構造は、通常無
方向性電磁鋼板ロータに巻線を施され、ステータに永久
磁石を利用したものが多く、PWM制御が通常である。
【0005】無方向性電磁鋼板には、一般にフルプロセ
ス材およびセミプロセス材と称される製品がある。フル
プロセス材は顧客で焼鈍を実施しないもので、鉄鋼メー
カーの製品がそのまま打ち抜かれてコアとして積層され
ると定義する。またセミプロセス材とは、顧客で打抜き
加工された後、打抜き、かしめや溶接歪みの除去と結晶
粒成長とを兼ねて鉄損を改善するために歪取り焼鈍が実
施されるものと定義する。このため、歪取り焼鈍を前提
として、鉄鋼メーカーでの最終工程でスキンパスによる
歪み誘起粒成長を利用した、所謂スキンパス材が用いら
れることが多い。この顧客での歪取焼鈍温度は、通常6
00〜850℃程度である。なお、無方向性電磁鋼板と
して知られる製品板厚は0.1〜1mmである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、電動パワステの固有問題であったハンドルの戻りト
ルクを出すための無方向性電磁鋼板およびその製造方法
を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは以下の通りである。 (1)電動パワステ・モータコアに用いられるフルプロ
セス無方向性電磁鋼板であって、重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.002%、 Al≦2%、 N ≦0.004%、 Ti≦0.005%、 Nb≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、結晶粒径が60〜200μ
mで、最表面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸
化層厚みが≦0.5μmであることを特徴とする電動パ
ワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板。 (2)重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.002%、 Al≦2%、 N ≦0.004%、 Ti≦0.005%、 Nb≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、結晶
粒径を60〜200μm、最表面層の鉄メタル層の下層
に形成される内部酸化層の厚みを≦0.5μmとするこ
とを特徴とする電動パワステ・モータコア用無方向性電
磁鋼板の製造方法。
【0008】(3)電動パワステ・モータコアに用いら
れるセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、重量%
で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、最表面層の鉄メタル層の下
層に形成された内部酸化層厚みが≦0.5μmであるこ
とを特徴とする電動パワステ・モータコア用無方向性電
磁鋼板。 (4)重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、最表
面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸化層厚みを
≦0.5μmとすることを特徴とする電動パワステ・モ
ータコア用無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0009】(5)電動パワステ・モータコアに用いら
れるセミプロセス無方向性電磁鋼板であって、重量%
で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、最表面層の鉄メタル層の下
層に形成される内部酸化層厚みが≦0.5μm、スキン
パス圧延に相当する歪みが15%以下であることを特徴
とする電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板。 (6)重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、最表
面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸化層厚みを
≦0.5μmとし、スキンパス圧延を冷延率15%以下
で実施することを特徴とする電動パワステ・モータコア
用無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0010】本発明のポイントは3点ある。一つは電動
パワステの課題であったハンドルを切った後にハンドル
をセンター位置に収束させるべく、高磁場でのヒステリ
シス損を改善させるには、内部酸化層を少なくすること
が最重要である。ここで言う内部酸化層とは、製品断面
の表層部であって以下の第三層で定義される。すなわち
最表層(第一層)が絶縁皮膜、第二層が地鉄から若干脱
Siや脱Alした金属層、第三層が内部酸化層で、第四
層が地鉄である。
【0011】内部酸化層は、走査型電子顕微鏡の倍率5
000倍程度以上で、通常の二次電子像ではなく、反射
電子像でしか観察されないものである。この内部酸化層
と地鉄との境界面は凹凸が激しく、ヒステリシス損を著
しく劣化させる。また内部酸化層は、従来技術である高
温均熱帯での還元ガスであるH2 の増大や露点を下げる
ことなどで防止できるものではない。2点目は、この高
磁場ヒステリシス損を改善するためには従来の不純物、
結晶粒径、内部応力などを制御すれば良いこと。3点目
は、これらを特定範囲に規制することは工業的に充分可
能なことである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の限定理由について
説明する。フルプロセス材とセミプロセス材とでは、最
終コアでの打ち抜き歪みなどが異なるため、成分限定範
囲などが相違する。このため分けて説明する。まず、フ
ルプロセス材について述べる。
【0013】C量は0.005%以下とする。C量が
0.005%を超えると磁気時効問題があるため低周波
鉄損が増加するためである。
【0014】Si量は4%以下とする。4%超では冷間
圧延で割れるためである。
【0015】Mn量は2%以下とする。Mnは結晶粒成
長を阻害して製品結晶粒径を細粒化するため少ない方が
好ましいが、2%を超えると焼入れ組織となって脆化す
るため不可である。
【0016】P量は0.2%以下に制限する。P量が
0.2%超では偏析によって冷間割れが生じるので避け
る。
【0017】S量は0.002%以下とする。Sは硫化
物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界が0.
002%である。
【0018】Al量は2%以下とする。Alは製鋼段階
での脱酸材として有効であるが、添加コストの問題もあ
るので2%以下とする。
【0019】N量は0.004%以下とする。Nは窒化
物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界が0.
004%である。
【0020】Ti量は0.005%以下とする。Tiは
窒炭化物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界
が0.005%である。
【0021】Nb量は0.005%以下とする。Nbも
窒炭化物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界
が0.005%である。
【0022】その他の元素として、集合組織を改善する
ために公知のSb,Sn,Cu,Ni,Cr,B,Mo
などを添加しても、電動パワステ用として有害なもので
はない。但し添加コストの問題があるので、それぞれ
0.5%以下とするのがが好ましい。
【0023】製鋼段階で上記の成分に調整された連続鋳
造スラブを、通常の熱間圧延を行って熱延板にする。熱
延板は、次いで焼鈍しても良いし、焼鈍を省略すること
も可能である。熱延板焼鈍は、一般に磁化力5000A/
m 程度での磁束密度改善を目的として実施されるが、本
発明はむしろ100A/m 程度の低磁場特性の方が効いて
いるので、熱延板焼鈍そのものの意味はあまりない。但
し、2%Si以上で発生し易いリジング(縦縞の形状不
良)を解消する意味では、熱延板焼鈍する方が望まし
い。熱延板焼鈍は通常の再結晶温度650℃以上が好ま
しい。
【0024】次いで冷延を行ってから焼鈍を実施する。
焼鈍後の鋼板の平均結晶粒径は60μm以上、200μ
m以下とする。60μm未満では低周波鉄損が不満足で
あり、また200μm超では焼鈍に高温熟熱が必要なた
め生産性が悪くなるためである。結晶粒径を60μm以
上とするためには、鋼板の不純物量や均熱時間によって
も異なるが、大体900℃×20秒程度であって、結晶
粒径200μmを得るためには1100℃×40秒程度
である。
【0025】また、内部酸化層の厚みは0.5μm以下
でなければならない。内部酸化層が0.5μmを超える
と、低周波でなお且つ高磁場の鉄損劣化が大きいためで
ある。ここで言う内部酸化層とは、最表層がSiまたは
Alが若干少なくなった鉄メタル層の下層に形成され
た、Si,Al,Mnなどがリッチの酸化層のことであ
る。最表層の鉄メタル層厚みは内部酸化層の厚みによっ
ても異なってくるが、内部酸化層が0.5μmの場合は
0.8μm程度である。なお、鉄メタル層は島状に観察
されることもある。内部酸化層の下層は地鉄である。こ
の内部酸化層は地鉄との境界面の凹凸が大きく、磁束の
流れを阻害して低周波・高磁場鉄損を著しく劣化させる
ので、特に注意しなければならない。
【0026】なお、この内部酸化層は、鋼板断面の研磨
面を5000倍以上の倍率でSEM−EDX測定するこ
とで観察することができるが、SEM像は通常の二次電
子ではなく、反射電子像の方が内部酸化層厚みを明瞭に
見ることができる。内部酸化層厚みは最表層の鉄メタル
界面と下層の地鉄界面との中間層の厚みであるが、上下
それぞれの界面の凹凸中心線(凹凸曲線の平均線に平行
な直線を引いたとき、この直線と凹凸曲線で囲まれる面
積が、この直線の両側で等しくなる直線を中心線とす
る)同士の差として定義される。
【0027】この内部酸化層は、焼鈍の前半の加熱過程
などで酸化された場合に生じるため、例えば加熱ラジア
ントチューブでの割れや直火無酸化炉での空燃比に十分
注意しなければならない。なおこの内部酸化層は、従来
のH2 +N2 +H2 O混合の湿潤ガス中での焼鈍の表面
酸化を意味しない。この表面酸化は低周波・高磁場鉄損
に悪影響しない。また実験室レベルでは、加熱から均
熱、冷却まで非酸化性ガス中で焼鈍することが容易であ
るが、鉄鋼メーカーでの実炉では加熱帯に直火バーナー
やラジアントチューブを用いることが多いので、特にこ
の内部酸化層には注意を払わなければならない。均熱帯
で例えば100%H2 の露点−50℃ドライ雰囲気とし
て高温均熱しても、この内部酸化層は還元されない。
【0028】次いで、セミプロセス材の製造条件につい
て述べる。C量は0.005%以下とする。C量が0.
005%を超えると、磁気時効問題があるため低周波鉄
損が増加するためである。
【0029】Si量は4%以下とする。4%超では冷間
圧延で割れるためである。
【0030】Mn量は2%以下とする。Mnは結晶粒成
長を阻害して製品結晶粒径を細粒化するため、少ない方
が好ましいが、3%を超えると焼入れ組織となって脆化
するため不可である。
【0031】P量は0.2%以下に制限する。P量が
0.2%超では偏析によって冷間割れが生じるので避け
る。
【0032】S量は0.007%以下とする。Sは硫化
物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界が0.
007%である。
【0033】Al量は2%以下とする。Alは製鋼段階
での脱酸材として有効であるが、添加コストの問題もあ
るので2%以下とする。
【0034】N量は0.005%以下とする。Nは窒化
物を形成して低周波鉄損を劣化させる。この限界が0.
005%である。
【0035】なお、フルプロセス材で制限が必要であっ
たTi,Nb量については、現行の製鋼実力であれば問
題ないが、セミプロセス材ではそれぞれ0.015%以
下とするのが好ましい。その他の元素として、集合組織
を改善するために公知のSb,Sn,Cu,Ni,C
r,B,Moなどを添加しても、電動パワステ用として
有害なものではない。但し添加コストの問題があるの
で、それぞれ0.5%以下が好ましい。
【0036】製鋼で上記の成分に調整された連続鋳造ス
ラブを、通常の熱間圧延を行って熱延板にする。熱延板
は、次いで焼鈍しても良いし、焼鈍を省略することも可
能である。熱延板焼鈍は、一般に磁化力5000A/m 程
度での磁束密度改善を目的として実施されるが、本発明
はむしろ100A/m 程度の低磁場特性の方が効いている
ので、熱延板焼鈍そのもの意味はあまりない。但し、2
%Si以上で発生し易いリジング(縦縞の形状不良)を
解消する意味では実施する方が望ましい。熱延板焼鈍は
通常の再結晶温度650℃以上が好ましい。
【0037】次いで冷延を行ってから焼鈍を実施する。
焼鈍は通常の再結晶を行わせるもので、650〜100
0℃程度が好ましい。内部酸化層の厚みは0.5μm以
下でなければならない。0.5μm超では低周波鉄損の
劣化が大きいためである。
【0038】次いで、スキンパス圧延を実施することが
可能である。15%以下の冷延率は、顧客での歪取焼鈍
で大きく粒成長するため、低周波鉄損を改善するが、1
5%を超えるとその効果が少ないので避けなければなら
ない。以下、実施例で説明する。
【0039】(実施例1)各種の成分系を変更して真空
溶解を実施し、表1に示す成分のインゴットを作成し
た。これを1030℃に加熱してから10mm厚の鋼板に
熱延した。次いで、更に1030℃に加熱してから1.
7mmの熱延板を作成した。2%Si未満の素材(実験 N
o.1〜5,14〜17)については、酸洗してから0.
5mmに冷延し、脱脂して880℃×5分均熱の焼鈍を1
00%ドライH2 中で実施した。また2%Si以上の素
材(実験 No.6〜13)については、N2 中で950℃
×30秒均熱の熱延板焼鈍を実施してから酸洗し、0.
5mmに冷延し、脱脂して880℃×5分均熱の焼鈍を1
00%ドライH2 中で実施した。
【0040】これらから100mm角の試料を切り出して
から、圧延方向とそれと直角方向の直流磁気特性を測定
し、各方向を平均して表1に示した。また鋼板断面の平
均結晶粒径も測定した。更に内部酸化層も調査したが、
存在しなかった。表1に示すように、本発明の成分範囲
を外れるものは磁気特性が劣化した。なお製品での成分
分析も実施したが、インゴットでの分析結果と同じであ
った。
【0041】
【表1】
【0042】(実施例2)重量%で、0.001%C,
1.5%Si,0.11%Mn,0.02%P,0.0
002%S,2%Al,0.001%N,0.001%
O,0.002%Ti,0.001%Nb,0.002
%B,0.4%Cu,0.04%Sn,0.05%N
i,0.05%Cr,0.006%Mo,0.002%
Vを含むスラブを1100℃で加熱してから、2mm厚の
熱延コイルを製造した。
【0043】次いで1000℃で30秒の焼鈍をN2
で実施した。酸洗してから0.2mmまで冷延し、脱脂
後、表2に示す温度で10秒の均熱焼鈍を実施した。こ
の時、加熱を無酸化炉(直火雰囲気、空燃比=0.9)
で行い、無酸化炉出側の板温を制御して内部酸化層の厚
みを変更した。無酸化炉を出てからは電気ヒータゾーン
で40%H2 +60%N2 雰囲気で焼鈍した。絶縁皮膜
を約1μm焼き付けてからエプスタイン試験片で直流磁
気特性を測定した。表中のヒステリシス損W17は、最大
1.7テスラ磁束密度での直流ヒステリシス損である。
表2に示すように、結晶粒径と内部酸化層とを本発明範
囲に制御したものは、優れた鉄損を示した。なお、最終
の鋼板の成分をチェックしたが、スラブ成分と同一であ
った。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例3)各種の成分系で真空溶解を実
施し、表3に示す成分のインゴットを作成した。これを
1100℃に加熱してから15mm厚の鋼板に熱延した。
次いで、更に1100℃に加熱してから1.7mmの熱延
板を作成した。次いでN2 中、850℃×30秒均熱の
熱延板焼鈍を実施してから酸洗し、0.35mmに冷延
し、脱脂して720℃×15秒均熱の焼鈍を100%ド
ライH2 中で実施した。更に、5%冷延率のスキンパス
圧延を実施した。その時の結晶粒径を平均して表3に示
した。また、内部酸化層は認められなかった。
【0046】これらから、100mm角の試料を切り出し
てから、750℃で2時間のN2 中歪取焼鈍を実施して
から、圧延方向とそれと直角方向の直流磁気特性を測定
し、各方向を平均して表3に示した。表3に示すよう
に、本発明の成分範囲を外れるものは磁気特性が劣化し
た。なお製品での成分分析も実施したが、インゴットで
の分析結果と同じであった。
【0047】
【表3】
【0048】(実施例4)実施例3の実験 No.の0.
35mm冷延板を用いて、内部酸化層の厚みを変更する実
験を行った。焼鈍は850℃で60秒、20%H2 +8
0%N2 中で行ったが、850℃に到達するまでの加熱
雰囲気をN2 中の酸素%を表4の値に制御した。結晶粒
径はいずれも45μmであった。次いで6%のスキンパ
ス圧延を行ってから、750℃で2時間のN2 中歪取焼
鈍を実施した。測定は実施例3と同様に行った。その結
果を表4に示す。表4で見る如く、内部酸化層が本発明
範囲外のものは鉄損が不満足である。
【0049】
【表4】
【0050】(実施例5)重量%で、0.0035%
C,0.1%Si,0.18%Mn,0.08%P,
0.0035%S,0.002%Al,0.0038%
N,0.012%O,0.007%Ti,0.003%
Nb,0.2%Cu,0.08%Sn,0.01%N
i,0.11%Cr,0.002%Mo,0.001%
Vを含むスラブを1200℃で加熱してから、3mm厚の
熱延コイルを製造した。
【0051】次いで酸洗してから0.5mmまで冷延し、
脱脂後680℃で10秒均熱の30%H2 +70%N2
中の焼鈍を実施した。加熱帯の雰囲気のみ直火の無酸化
炉(空燃比=0.95)とした。結晶粒径は14μmで
あった。次いで有機、無機混合の絶縁皮膜を1μm厚で
焼き付けした。更に、スキンパス圧延を実施して圧下率
を表5のように変えた。この鋼板表面を調査したとこ
ろ、いずれも内部酸化層は0.1μm厚であった。次い
で、エプスタイン試料(30mm×300mm)に切断して
から750℃で2時間のN2 中歪取焼鈍を実施し磁気特
性を測定した。また、結晶粒径も測定して表5に示し
た。表5に示すように、本発明範囲のスキンパス圧下率
範囲で優れた磁気特性が得られた。
【0052】
【表5】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、電動パワステの固有問
題であったハンドルの戻りトルクを出すための、高磁場
・低周波鉄損に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造
方法を提供することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 C21D 8/12 C22C 38/14 H01F 1/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動パワステ・モータコアに用いられる
    フルプロセス無方向性電磁鋼板であって、重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.002%、 Al≦2%、 N ≦0.004%、 Ti≦0.005%、 Nb≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、結晶粒径が60〜200μ
    mで、最表面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸
    化層厚みが≦0.5μmであることを特徴とする電動パ
    ワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.002%、 Al≦2%、 N ≦0.004%、 Ti≦0.005%、 Nb≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
    または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、結晶
    粒径を60〜200μm、最表面層の鉄メタル層の下層
    に形成される内部酸化層の厚みを≦0.5μmとするこ
    とを特徴とする電動パワステ・モータコア用無方向性電
    磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 電動パワステ・モータコアに用いられる
    セミプロセス無方向性電磁鋼板であって、重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、最表面層の鉄メタル層の下
    層に形成された内部酸化層厚みが≦0.5μmであるこ
    とを特徴とする電動パワステ・モータコア用無方向性電
    磁鋼板。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
    または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、最表
    面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸化層厚みを
    ≦0.5μmとすることを特徴とする電動パワステ・モ
    ータコア用無方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 電動パワステ・モータコアに用いられる
    セミプロセス無方向性電磁鋼板であって、重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなり、最表面層の鉄メタル層の下
    層に形成される内部酸化層厚みが≦0.5μm、スキン
    パス圧延に相当する歪みが15%以下であることを特徴
    とする電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板。
  6. 【請求項6】 重量%で、 C ≦0.005%、 Si≦4%、 Mn≦2%、 P ≦0.2%、 S ≦0.007%、 Al≦2%、 N ≦0.005%、 残部が実質的に鉄からなる熱延板に、熱延板焼鈍を施し
    または施さずして、冷延を行い、次いで焼鈍して、最表
    面層の鉄メタル層の下層に形成される内部酸化層厚みを
    ≦0.5μmとし、スキンパス圧延を冷延率15%以下
    で実施することを特徴とする電動パワステ・モータコア
    用無方向性電磁鋼板の製造方法。
JP30602299A 1999-10-27 1999-10-27 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3307897B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30602299A JP3307897B2 (ja) 1999-10-27 1999-10-27 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30602299A JP3307897B2 (ja) 1999-10-27 1999-10-27 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001123252A JP2001123252A (ja) 2001-05-08
JP3307897B2 true JP3307897B2 (ja) 2002-07-24

Family

ID=17952145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30602299A Expired - Fee Related JP3307897B2 (ja) 1999-10-27 1999-10-27 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3307897B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020188812A1 (ja) 2019-03-20 2020-09-24 日本製鉄株式会社 無方向性電磁鋼板

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3835227B2 (ja) * 2001-09-21 2006-10-18 住友金属工業株式会社 無方向性電磁鋼板とその製造方法
CN102373366A (zh) * 2010-08-26 2012-03-14 宝山钢铁股份有限公司 一种改善无取向硅钢表面粗晶的方法
JP6496413B2 (ja) * 2014-12-24 2019-04-03 ポスコPosco 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP6476979B2 (ja) * 2015-02-19 2019-03-06 新日鐵住金株式会社 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP6724712B2 (ja) * 2016-10-18 2020-07-15 日本製鉄株式会社 無方向性電磁鋼板
JP6880814B2 (ja) * 2017-02-21 2021-06-02 日本製鉄株式会社 電磁鋼板、及びその製造方法
JP6870381B2 (ja) * 2017-02-28 2021-05-12 日本製鉄株式会社 電磁鋼板、及びその製造方法
KR102328127B1 (ko) * 2018-12-19 2021-11-17 주식회사 포스코 무방향성 전기강판 및 그 제조방법
KR102241985B1 (ko) * 2018-12-19 2021-04-19 주식회사 포스코 무방향성 전기강판 및 그 제조방법
CN113272455A (zh) * 2019-01-17 2021-08-17 日本制铁株式会社 无取向性电磁钢板、分割型定子以及旋转电机
KR102325005B1 (ko) * 2019-12-20 2021-11-11 주식회사 포스코 무방향성 전기강판 및 그 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020188812A1 (ja) 2019-03-20 2020-09-24 日本製鉄株式会社 無方向性電磁鋼板
KR20210125073A (ko) 2019-03-20 2021-10-15 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 무방향성 전자 강판
US11952641B2 (en) 2019-03-20 2024-04-09 Nippon Steel Corporation Non oriented electrical steel sheet

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001123252A (ja) 2001-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2700505B2 (ja) 磁気特性の優れた無方向性電気鋼板およびその製造方法
EP3859032A1 (en) Non-oriented electromagnetic steel sheet and method for manufacturing same, and motor core and method for manufacturing same
EP2778246B1 (en) Non-oriented electromagnetic steel sheet
JP2006501361A5 (ja)
JP3307897B2 (ja) 電動パワステ・モータコア用無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2007031755A (ja) 回転子用無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4116749B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP2970423B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4613414B2 (ja) モータ鉄心用電磁鋼板およびその製造方法
JP4599843B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4075083B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP4341476B2 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
WO2023282195A1 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP4568999B2 (ja) 無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP4276391B2 (ja) 高級無方向性電磁鋼板
JPH0860311A (ja) 鉄損の低い薄物無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2874564B2 (ja) 磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH09302414A (ja) 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
JP2970436B2 (ja) フルプロセス無方向性電磁鋼板の製造方法
JP3252692B2 (ja) 磁気特性のすぐれた無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP4374095B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP3178270B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4283354B2 (ja) 電気自動車モータ用の無方向性電磁鋼板の製造方法
JP4258163B2 (ja) 歪取焼鈍後の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板
JPH0657332A (ja) 磁束密度が高くかつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020402

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3307897

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080517

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090517

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100517

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100517

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110517

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120517

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130517

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130517

Year of fee payment: 11

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130517

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130517

Year of fee payment: 11

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130517

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140517

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees