JP3303729B2 - 窒化アルミニウム系焼結体とその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム系焼結体とその製造方法

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JP3303729B2 JP16283497A JP16283497A JP3303729B2 JP 3303729 B2 JP3303729 B2 JP 3303729B2 JP 16283497 A JP16283497 A JP 16283497A JP 16283497 A JP16283497 A JP 16283497A JP 3303729 B2 JP3303729 B2 JP 3303729B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
系焼結体とその製造方法に関し、特にアルミナICパッ
ケージ用の高放熱リッド材料として好適な、アルミナと
ほぼ同じ熱膨張係数を有し、放熱性に優れた窒化アルミ
ニウム系焼結体の量産性に優れた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミナICパッケージのリッド
(蓋体) には、パッケージ (の基板)材料と同じアルミ
ナ焼結体が使用されている。しかし、ICの高周波作動
に伴う発熱量増大が進んだ現在、リッドにも高放熱化の
必要性がでてきており、熱伝導率があまり高くない従来
のアルミナ製リッドでは十分に対応しきれなくなくなっ
ている。
【0003】放熱性の良い (即ち、熱伝導率の高い) セ
ラミックス材料として窒化アルミニウムがあるが、窒化
アルミニウムはアルミナとは熱膨張係数が大きく異なる
(窒化アルミニウムの方が熱膨張係数が小さい) ため、
アルミナICパッケージ用のリッドとして使用するには
不適である。
【0004】高放熱性の窒化アルミニウムにセラミック
スあるいは金属などを添加して焼結体を得ることについ
ても種々の研究がなされている。特開昭50−110406号公
報には、窒化アルミニウムに窒化チタンを添加して、超
硬質装飾部材を作製する方法が開示されている。この方
法では焼結助剤にシリカを用いているため、窒化アルミ
ニウムとシリカが固溶し、窒化アルミニウムの熱伝導率
が急激に低下するため、高放熱材料としては使用できな
い。
【0005】特開平5−286767号公報には、放電加工を
可能にする目的で窒化アルミニウムに窒化チタンを添加
して、焼結させる方法が開示されている。しかし、この
方法では、焼結助剤としてY2O3などの単体焼結助剤を用
いているため、1800℃以下で焼成する場合にはホットプ
レスなどの加圧が必要となり、焼成設備が複雑になるた
め量産に不向きである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】MPUの高周波数化に
伴い、アルミナICパッケージは、配線長の短いC4 接
続に移行すると考えられている。C4 接続アルミナIC
パッケージは、構造上リッド側からも十分に放熱が起こ
ることが望ましく、従来のアルミナ製リッドでは必要な
放熱に対応しきれない。
【0007】そこで、リッドに放熱性の高いヒートシン
ク材料を使うことが考えられる。しかし、従来から利用
されてきたヒートシンク材料であるCu、Al等は、ICパ
ッケージ材料のアルミナとの熱膨張係数の差が大きいた
め、窒化アルミニウム製リッドと同様に、接合に複雑な
工程とコストが必要になる。
【0008】また、熱膨張係数をアルミナに近づけるた
め、窒化アルミニウムに熱膨張係数が大きい材料 (例、
窒化チタン) を添加して焼結させることにより、リッド
用の複合材料を形成することも考えられる。しかし、従
来の方法では、焼成中にホットプレス等の加圧工程が必
要であり、設備面から量産には不向きであった。加圧工
程が必要ない場合でも、1800℃以上の焼成温度が必要
で、やはり量産性に問題があった。
【0009】本発明の課題は、アルミナに近い熱膨張係
数を有する、アルミナICパッケージのリッド材料とし
て好適な窒化アルミニウム系焼結体を、加圧工程を必要
とせずに、従来よりも低い焼成温度で製造する方法を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、窒化アル
ミニウム粉末に少量の窒化チタンまたはニッケル粉末を
配合し、かつ焼結助剤としてY2O3-CaO-Al2O3を使用して
焼結させることにより、加圧工程を必要とせずに従来よ
り低い焼成温度で、アルミナに近い熱膨張係数を有し、
かつ熱伝導性 (放熱性) の良好な窒化アルミニウム系焼
結体を製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】ここに、本発明は、窒化アルミニウム粉末
と、この粉末の30〜50体積%の量の窒化チタン粉末と、
窒化アルミニウム粉末と窒化チタン粉末の合計重量100
部に対して 0.5〜2重量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結
助剤(重量%でY2O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:
8〜10%の組成のもの)とからなる混合物の焼結体であ
り、熱膨張係数が5.1 〜8.1 ×10 -6 /℃の範囲内であ
、ICパッケージのリッド用窒化アルミニウム系焼結
体である。別の面からは本発明は、窒化アルミニウム粉
末と、この粉末の20〜30体積%の量のニッケル粉末と、
窒化アルミニウム粉末とニッケル粉末の合計重量100 部
に対して 0.5〜2重量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助
剤(重量%でY2O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8
〜10%の組成のもの)とからなる混合物の焼結体であ
り、熱膨張係数が5.1 〜8.1 ×10 -6 /℃の範囲内であ
、ICパッケージのリッド用窒化アルミニウム系焼結
体である。さらに別の面からは本発明は、窒化アルミニ
ウム粉末と、この粉末の30〜50体積%の量の窒化チタン
粉末または20〜30体積%の量のニッケル粉末と、窒化ア
ルミニウム粉末と窒化チタンまたはニッケル粉末の合計
重量100 部に対して 0.5〜2重量部の量のY2O3-CaO-Al2
O3系焼結助剤とからなる混合物を成形し、得られた成形
体を還元性雰囲気中1650〜1750℃で焼結させることを特
徴とする、ICパッケージのリッド用窒化アルミニウム
系焼結体の製造方法である。
【0012】本発明によればまた、窒化アルミニウム粉
末と、この粉末の30〜50体積%の量の窒化チタン粉末ま
たは20〜30体積%の量のニッケル粉末と、窒化アルミニ
ウム粉末と窒化チタンまたはニッケル粉末の合計重量10
0 部に対して 0.5〜2重量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼
結助剤とからなる混合物の焼結体からなる、アルミナI
Cパッケージ用リッドも提供される。上記の焼結助剤
は、重量%でY2O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8
〜10%なる組成を有するものが特に適している。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、アルミナICパッケー
ジ用の高放熱リッド材料として好適な、熱膨張係数がア
ルミナに近く、かつ良好な放熱性を確保するのに十分な
高い熱伝導率を備えたセラミックス材料の製造方法を提
供するものである。
【0014】本発明により製造されるセラミックス材料
は、熱伝導性の良い窒化アルミニウムを素材とし、この
素材の良好な熱伝導性を保持したまま、これに窒化チタ
ンあるいはニッケルを分散させた焼結体とすることによ
って熱膨張係数をアルミナに近づけた、窒化アルミニウ
ム系焼結体である。
【0015】アルミナの熱膨張係数は 6.6×10-6/℃で
ある。一方、窒化アルミニウムの熱膨張係数は 4.0×10
-6/℃であって、アルミナよりかなり小さい。従って、
窒化アルミニウム焼結体の熱膨張係数をアルミナのそれ
に近づけるには、アルミナより熱膨張係数が大きい物質
を窒化アルミニウム中に分散させればよい。このような
熱膨張係数の大きい物質として、本発明では、熱膨張係
数が9.35×10-6/℃の窒化チタン、または熱膨張係数が
13.3×10-6/℃のニッケルを用いる。
【0016】窒化アルミニウムに窒化チタンまたはニッ
ケルを添加してアルミナの熱膨張係数に近づけるには、
これら各物質の上記の熱膨張係数を考慮すると、窒化ア
ルミニウムに対して窒化チタンでは30〜70体積%、ニッ
ケルでは20〜30体積%の添加が望ましい。なお、この体
積%は、各粉末のかさ体積ではなく、真体積に基づいて
算出した体積%である。粉末の真体積は、アルキメデス
法で求めることも可能であるが、粉末の重量をその粉末
の真密度で除した値として簡便に求めることができる。
【0017】しかし、窒化チタンは熱伝導率が窒化アル
ミニウムよりかなり低いため、多量に添加すると、得ら
れる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の著しい低下を
招く。そのため、窒化チタンの添加量の上限は窒化アル
ミニウムに対して50体積%とする (即ち、配合量は30〜
50体積%となる) 。好ましい窒化チタンの添加量は35〜
45体積%である。
【0018】ニッケルは添加量が多くなりすぎると
(例、35体積%) 、焼成中に窒化アルミニウム焼結体か
ら溶融したニッケルが流出して、焼結体を乗せたセッタ
ー等に固着するようになり、焼結体を取り出すことが困
難となるので、添加量は少なめが好ましい。好ましいニ
ッケルの添加量は20〜25体積%である。
【0019】窒化アルミニウムと、これに配合する窒化
チタンまたはニッケルは、いずれも粉末として配合す
る。これら原料の粉末の粒度は特に制限されないが、窒
化アルミニウムについては平均粒径が 0.5〜3μm、よ
り好ましくは 0.5〜1μmの微粉末が好ましい。一方、
窒化チタンとニッケルは平均粒径10μm程度の粗大な粉
末で十分であるが、これより微細でも構わない。
【0020】窒化アルミニウム粉末に上記範囲内の量で
窒化チタンまたはニッケル粉末を添加した原料粉末を焼
成しても、これに加える焼結助剤が不適切であると、得
られた窒化アルミニウム系焼結体の熱膨張係数をアルミ
ナに近づけることはできても、その熱伝導率が著しく低
下し、リッドに求められる高放熱性を得ることができな
いか、或いは高密度の焼結体を得るには1800℃以上の高
温焼成またはホットプレス等の加圧焼成が必要となって
量産性が著しく悪化するという問題がある。
【0021】そこで、上記の原料粉末から得られる焼結
体の密度と熱伝導率を安定して高くすることができる焼
結助剤について探索した結果、Y2O3-CaO-Al2O3系焼結助
剤が最適であることを見出した。
【0022】窒化アルミニウム(AlN) の焼結助剤として
は、その熱伝導率を阻害する最大要因である残留酸素(A
l2O3の形で存在) と反応しうる希土類やアルカリ土類金
属の酸化物を焼結助剤とすることが一般的である。その
ような焼結助剤の代表例は、Y2O3-CaO系である。例え
ば、Y2O3はAl2O3 と反応してY3Al5O12を形成することに
より残留酸素を捕捉する結果、焼成中に窒化アルミニウ
ム粒内への酸素の固溶が防止され、窒化アルミニウム焼
結体の熱伝導率が向上する。この理論からすると、窒化
アルミニウムの焼結助剤にAl2O3 を使用することは不利
な筈である。
【0023】しかし、Y2O3, CaO, Al2O3の共晶組成 (重
量比でY2O3:CaO:Al2O3=44:47:9)になるように少量のAl
2O3 をY2O3-CaO系焼結助剤に添加すると、助剤の融解温
度が低下するため、焼結開始温度が低下し、結果的に従
来よりも低温で密に焼結することが判明した。また、こ
の程度の少量のAl2O3 の添加は熱伝導率を阻害すること
はないこともわかった。
【0024】従って、本発明で用いるY2O3-CaO-Al2O3
焼結助剤の組成は、重量%で、Y2O3: 44%、CaO:47%、
Al2O3:9%になるべく近いことが好ましい。使用可能な
範囲としては、Y2O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:
8〜10%である。焼結助剤は、Y2O3、CaO 、Al2O3 の各
粉末を所定の比率で混合して使用すればよい。これら各
粉末の粒度は、窒化アルミニウム粉末と同程度とするこ
とが好ましい。
【0025】本発明では、このY2O3-CaO-Al2O3系焼結助
剤を、原料粉末 (即ち、窒化アルミニウム粉末と窒化チ
タン粉末またはニッケル粉末) の合計重量100 部に対し
0.5〜2重量部の量で添加する。この焼結助剤の添加量
(原料粉末100 重量部当たりの量、以下同じ) が2重量
部を超えると、焼結体の焼結成分の粒界に助剤を含む酸
化物が偏析し、焼結体全体の熱伝導率が低下する。一
方、焼結助剤の添加量が0.5 重量部より少ないと、十分
な密度を持った焼結体が得られず、密度に依存する熱伝
導率も低下する。焼結助剤の好ましい添加量は 1.0〜2.
0 重量部の範囲内である。
【0026】上記の窒化アルミニウム系原料粉末 (窒化
アルミニウム粉末+窒化チタンまたはニッケル粉末) を
焼結助剤と混合し、得られた混合物 (混合粉末) を、所
定形状 (例、リッド形状) に成形する。この成形は、乾
燥粉末の状態のままプレス成形 (圧縮成形) により行う
のが簡便であるが、リッドが平板形状の場合にはグリー
ンシート法を利用して湿式成形することもできる。
【0027】プレス成形は常法により実施すればよい。
例えば、原料粉末と焼結助剤を混合した粉末混合物を、
必要であれば少量の溶剤や結着剤を加えてから、所定形
状の金型に入れ、プランジャーまたはピストン等により
加圧して成形体を得る。溶剤としてはトルエン、メタノ
ール、キシレン、n−ブタノール等が、結着剤としては
ポリビニルブチラール等が使用できる。加圧力は 0.5〜
1.5 ton/cm2 程度が適当である。
【0028】グリーンシート法により成形する場合に
は、混合粉末に適当な溶媒と結着剤を、必要に応じて可
塑剤などの他の添加剤と共に加えてスラリー化し、ドク
ターブレード等の適当な手段でシート状に成形し、乾燥
して溶媒を除去すると、成形体が得られる。溶媒と結着
剤は上と同様でよいが、従来より用いられている他の材
料も使用できる。また、可塑剤等の他の添加剤も従来と
同様でよい。
【0029】上記の混合粉末から作成した成形体を還元
性雰囲気中で焼成して焼結させる。焼成雰囲気が還元性
でないと、得られる焼結体の酸素濃度が上昇し、その熱
伝導率が低下する。上記のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤を
使用することにより、次に述べる比較的低い焼成温度で
も、焼成中に加圧せずに十分に緻密な焼結体を得ること
ができるので、量産が容易な常圧焼結法で焼結させるこ
とが好ましい。しかし、加圧焼結法も採用できることは
当然である。
【0030】焼成雰囲気としては、水素(H2)ガスのみ、
またはH2ガスと不活性ガス (N2、He、Ar等) との混合ガ
スが好ましい。また、焼成温度でH2ガスとN2ガスとに熱
分解するアンモニアガスを焼成雰囲気ガスとすることも
できる。
【0031】焼成温度は1650〜1750℃の範囲内とする。
焼成温度が1650℃未満では十分な密度を持つ焼結体が得
られない。焼成温度を1750℃より高くすることも可能で
あるが、従来技術に関して説明したように1800℃または
それを超えるような高温での焼成は焼成コストが高く、
量産に不利である。焼結を緻密に行わせるには、焼成温
度を1700℃以上 (即ち、1700〜1750℃) とすることが好
ましい。焼成時間は、成形体のサイズにもよるが、通常
は3〜6時間程度である。
【0032】焼成炉の炉壁やセッター等の焼成中に焼結
体と接触する器材には、AlN 、SiC等の非酸化性セラミ
ックスまたはMo、W等の高融点金属が使用することが好
ましい。炉壁やセッター等にアルミナ、シリカ等の酸化
物を使用すると、この酸化物中の酸素が焼結体中に取り
込まれ、焼結体の熱伝導率が低下する。
【0033】本発明の方法により得られた窒化アルミニ
ウム系焼結体は、熱伝導率が70 W/m・K 以上、好ましく
は80 W/m・K 以上と、アルミナ焼結体の熱伝導率より著
しく高く、かつ熱膨張係数はアルミナ焼結体の熱膨張係
数(6.6×10-6/℃) の± 1.5×10-6/℃の範囲内、即
ち、 5.1〜8.1 ×10-6/℃の範囲内であって、アルミナ
焼結体の熱膨張係数に近い。
【0034】従って、この窒化アルミニウム系焼結体
は、アルミナ焼結体を基板とするアルミナICパッケー
ジのリッドに不都合なく使用でき、従来のアルミナ製リ
ッドより放熱特性に優れているため、リッドからの高放
熱が求められる発熱量の多いアルミナICパッケージに
も十分に対応しうる。
【0035】
【実施例】平均粒径1μmの市販の窒化アルミニウム(A
lN) 粉末とそれぞれ平均粒径が約10μmの窒化チタン(T
iN) 粉末またはニッケル(Ni)粉末とを、粉砕せずにその
まま原料粉末として使用した。焼結助剤としては、Y2O3
-CaO-Al2O3混合粉末 (重量%で、Y2O3: 44%、CaO:47
%、Al2O3:9%となるように各粉末を混合したもの、平
均粒径1μm) を使用した。各原料粉末および焼結助剤
の配合割合は表1に示す通りである。
【0036】原料粉末と焼結助剤を一緒にメタノールを
用いて擂解(ライカイ)機中で30分間湿式混合した。得られた
混合物を擂解機から取り出し、乾燥させずに直径1.8 c
m、厚み0.5 cmのペレット状に1ton/cm2 の加圧力でプ
レス成形した。この成形体をモリブデン製または窒化ア
ルミニウム製のセッターに載置し、同じ材質の炉壁を持
つ焼成炉内で、H2とN2の混合ガス (H2:10体積%) 雰囲
気中、常圧で表1に示す温度において4時間焼成して、
窒化アルミニウム系焼結体を得た。
【0037】比較のために、焼結助剤を別のものに変更
するか、焼成雰囲気を不活性ガス雰囲気である窒素ガス
雰囲気に変更して、上と同様にして窒化アルミニウム系
焼結体を得た。
【0038】得られた各窒化アルミニウム系焼結体につ
いて、相対密度、室温での熱伝導率および室温〜400 ℃
での熱膨張係数を標準的な方法で測定した。測定結果を
表1に併せて示す。熱伝導率が70 W/m・K 以上で、熱膨
張係数がアルミナの熱膨張係数(6.6×10-6/℃) ± 1.5
×10-6/℃ (即ち、 5.1〜8.1 ×10-6/℃の範囲内)の
ものを合格と評価した。なお、表1には、各ファクター
の影響をわかり易く示すため、一部の試験例の結果を重
複して示している。
【0039】
【表1】
【0040】試験No.1〜6 はAlN 粉末とTiN 粉末の配合
割合 (体積比) を変化させた例である。TiN 粉末の配合
量が少ない方が熱伝導率が高くなる傾向があり、熱膨張
係数はTiN 粉末の配合量が少ない方が小さくなる。TiN
粉末の配合量が30体積%に満たない試験No.1, 2 ではTi
N の不足から熱膨張係数が低くなった。一方、TiN 粉末
の添加量が50体積%を超えた試験No.6では、TiN 粉末の
増加により熱伝導率が低下した。熱膨張係数と熱膨張係
数のバランスを考えると、TiN 粉末は40±5体積%の範
囲内が好ましいことがわかる。
【0041】試験No.7〜11は試験No.2に対してY2O3-CaO
-Al2O3系焼結助剤の添加量を変化させた例である。この
焼結助剤の添加量が変化しても、熱膨張係数はほとんど
変化しないのに対し、熱伝導率は影響を受けることがわ
かる。焼結助剤の添加量が原料粉末に対して0.5 wt%
(即ち、原料粉末100 重量部に対して0.5 重量部) を下
回るか、或いは2wt%を上回ると、熱伝導率が著しく低
下した。熱膨張係数を考えると、Y2O3-CaO-Al2O3系焼結
助剤の添加量は 1.0〜2.0 重量%が好ましい。
【0042】試験No. 12〜14は焼成温度を変化させた例
である。1650〜1750℃で焼成すると十分な熱伝導率を持
つ焼結体が得られたが、1600℃では熱伝導率が低い焼結
体しか得られなかった。これは焼成温度が低く、緻密に
焼結していないためと考えられる。焼結を緻密に行うた
めには焼成温度を1700℃以上とすることが有利であると
考えられる。
【0043】試験No. 15〜18は、AlN 粉末とNi粉末の配
合割合 (体積比) を変化させた例である。Ni粉末の配合
量が20体積%以上のときに熱膨張係数が良好となった。
TiN粉末とは異なり、Ni粉末は多量に添加しても熱伝導
率を低下させないが、Ni粉末の配合量を35体積%に増や
すと、焼結体よりNiが流出し、セッターに接合してしま
ったため、焼結体をセッターから取り出すことができ
ず、焼結体の特性を測定することが不可能となった。従
って、Ni粉末の配合量が30体積%以下とすべきである。
【0044】試験No. 19〜21は、Ni粉末を配合した場合
について、Y2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤の添加量を試験N
o. 16に対して変化させた例である。この場合も、TiN
粉末を配合した場合と同様に、熱膨張係数は変化しない
が、この焼結助剤の添加量2wt%を超えると熱伝導率が
急激に低下した。やはり、Y2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤の
添加量が1〜2wt%の場合に熱伝導率が高くなり、好ま
しい。
【0045】試験No. 22〜24は、Ni粉末を配合した場合
について焼成温度を変化させた例である。やはり、焼成
温度が1600℃では焼結体の熱伝導率が低くなった。原因
は上記と同様に緻密性の不足であろう。この場合も、焼
結体の緻密度を上げるために、1700℃以上で焼成するの
が好ましいと考えられる。
【0046】試験No. 25は、セッターをAlN に変えた以
外は試験No.4と同じである。セッターを変えても、酸化
物でなければ、同様の良好な結果が得られた。試験No.
26は、焼成雰囲気を還元性雰囲気ではなく、不活性ガス
(N2)雰囲気とした比較例であり、その他の条件は試験N
o.4と同様である。試験No.4の結果に比べて、焼結体の
熱伝導率が著しく低下した。これは、原料粉末にもとも
と吸着していた酸素が焼成時にAlN を酸化させるためで
あると考えられる。
【0047】試験No. 27〜30は、焼結助剤をCaF2-YF3
たはY2O3に変更した例である。CaF2-YF3を使用すると熱
伝導率の著しい低下がみられ、Y2O3を使用すると緻密に
焼結しなかったため、相対密度が低く、加工が困難で熱
伝導率と熱膨張係数の測定は不可能であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、アルミナとほぼ等しい
熱膨張係数を有し、アルミナに比べて熱伝導率が著しく
高い窒化アルミニウム系焼結体を、焼成中の加圧を必要
とせずに (常圧焼結法で) 、1650〜1750℃という従来よ
り低い温度での焼成により製造することができる。従っ
て、本発明の方法により製造された窒化アルミニウム系
焼結体は、アルミナICパッケージのリッド材料として
好適であり、放熱特性が高いため、リッドからの高放熱
が求められる発熱量の多いアルミナICパッケージにも
十分に対応することできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−2663(JP,A) 特開 平3−103362(JP,A) 特開 平7−252509(JP,A) 特開 昭63−277565(JP,A) 特開 昭62−270467(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/581 - 35/582

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム粉末と、この粉末の30
    〜50体積%の量の窒化チタン粉末と、窒化アルミニウム
    粉末と窒化チタン粉末の合計重量100 部に対して 0.5〜
    2重量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤(重量%でY2
    O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8〜10%の組成の
    もの)とからなる混合物の焼結体であり、熱膨張係数が
    5.1 〜8.1 ×10 -6 /℃の範囲内である、ICパッケージ
    のリッド用窒化アルミニウム系焼結体。
  2. 【請求項2】 窒化アルミニウム粉末と、この粉末の20
    〜30体積%の量のニッケル粉末と、窒化アルミニウム粉
    末とニッケル粉末の合計重量100 部に対して0.5〜2重
    量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤(重量%でY2O3:
    42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8〜10%の組成のも
    の)とからなる混合物の焼結体であり、熱膨張係数が5.
    1 〜8.1 ×10 -6 /℃の範囲内である、ICパッケージの
    リッド用窒化アルミニウム系焼結体。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の窒化アル
    ミニウム系焼結体からなる、アルミナICパッケージ用
    リッド。
  4. 【請求項4】 窒化アルミニウム粉末と、この粉末の30
    〜50体積%の量の窒化チタン粉末と、窒化アルミニウム
    粉末と窒化チタン粉末の合計重量100 部に対して 0.5〜
    2重量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤(重量%でY2
    O3: 42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8〜10%の組成の
    もの)とからなる混合物を成形し、得られた成形体を還
    元性雰囲気中1650〜1750℃で焼結させることを特徴とす
    る、請求項1記載のICパッケージのリッド用窒化アル
    ミニウム系焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 窒化アルミニウム粉末と、この粉末の20
    〜30体積%の量のニッケル粉末と、窒化アルミニウム粉
    末とニッケル粉末の合計重量100 部に対して0.5〜2重
    量部の量のY2O3-CaO-Al2O3系焼結助剤(重量%でY2O3:
    42〜46%、CaO:45〜49%、Al2O3:8〜10%の組成のも
    の)とからなる混合物を成形し、得られた成形体を還元
    性雰囲気中1650〜1750℃で焼結させることを特徴とす
    る、請求項2記載のICパッケージのリッド用窒化アル
    ミニウム系焼結体の製造方法。
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