JP3294046B2 - 排煙処理システム - Google Patents

排煙処理システム

Info

Publication number
JP3294046B2
JP3294046B2 JP08246095A JP8246095A JP3294046B2 JP 3294046 B2 JP3294046 B2 JP 3294046B2 JP 08246095 A JP08246095 A JP 08246095A JP 8246095 A JP8246095 A JP 8246095A JP 3294046 B2 JP3294046 B2 JP 3294046B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dust
flue gas
treatment system
slurry
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08246095A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08276113A (ja
Inventor
清水  拓
和明 木村
清 岡添
淳 多谷
直彦 鵜川
日野  正夫
沖野  進
隆 春木
徹 高品
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP08246095A priority Critical patent/JP3294046B2/ja
Priority to TW084113041A priority patent/TW301701B/zh
Priority to US08/592,116 priority patent/US6113863A/en
Priority to DE1996631446 priority patent/DE69631446T2/de
Priority to DE1996630719 priority patent/DE69630719T2/de
Priority to EP01111675A priority patent/EP1142624B1/en
Priority to DE69621687T priority patent/DE69621687T2/de
Priority to ES01111675T priority patent/ES2210062T3/es
Priority to EP96104165A priority patent/EP0734754B1/en
Priority to EP01111676A priority patent/EP1142625B1/en
Priority to DK01111676T priority patent/DK1142625T3/da
Priority to DK01111675T priority patent/DK1142624T3/da
Priority to DK96104165T priority patent/DK0734754T3/da
Priority to ES01111676T priority patent/ES2213653T3/es
Priority to ES96104165T priority patent/ES2179898T3/es
Priority to KR1019960009542A priority patent/KR100226020B1/ko
Publication of JPH08276113A publication Critical patent/JPH08276113A/ja
Priority to US09/407,042 priority patent/US6511636B1/en
Priority to US09/924,378 priority patent/US6517792B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3294046B2 publication Critical patent/JP3294046B2/ja
Priority to US10/294,269 priority patent/US6773680B2/en
Priority to US10/294,208 priority patent/US20030077209A1/en
Priority to US10/294,204 priority patent/US6740297B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排煙の処理システム、
特に排煙中のセレン(Se)の除去及び無害化を容易に
行うことができる排煙処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、火力発電所等に設置される排煙処
理システムとしては、この湿式排煙脱硫装置に導入され
る排煙からフライアッシュなどの粉塵を除去する集塵装
置(通常、電気集塵機)と、排煙と吸収剤スラリ(例え
ばカルシウム化合物含有スラリ)とを吸収塔内において
接触させることにより、排煙中の亜硫酸ガスを吸収させ
るとともに、吸収塔内のスラリから副生物として石膏を
分離生成する湿式排煙脱硫装置とを備えた排煙処理シス
テムが普及しているが、近年排煙中に含まれる硫黄酸化
物以外の有害な不純物の扱いが問題となっている。特
に、石炭焚きボイラー用の排煙処理システムにおいて
は、石炭中に最大10mg/kg程度の含有量で含まれ
るセレン(Se)の有害性が問題となっており、無害化
して処理することが望まれている。
【0003】なお、Seは、処理剤による不溶化処理が
容易な4価のSe(主形態:亜セレン酸SeO3 2-
と、不溶化処理が困難な6価のSe(主形態:セレン酸
SeO 4 2-)として存在し、特に6価のSeは溶解度が
高く(20℃での溶解度95%)溶出しやすい。また、
このSeは、ヒ素化合物に類似した毒性を持ち、海外で
障害の事例や排出規制があるため、我が国でも新たに規
制項目に加わり、環境基準(0.01mg/リット
ル)、排水基準(0.1mg/リットル)、埋立処分に
関する溶出基準(0.3mg/リットル)が制定されて
いる。
【0004】図4は、この種の排煙処理システムの従来
例(石炭焚きボイラ用の排煙処理システムの例)を示し
ている。図4において、石炭焚きボイラ1から出る排煙
は、ボイラ1に付設された脱硝装置2で窒素酸化物(N
Ox)が除去され、エアヒータ3及びガスガスヒータ
(GGH)の熱回収部4を通過した後、電気集塵機5
(EP)に導入されてフライアッシュなどの粉塵が取除
かれる。次いで排煙は、湿式排煙脱硫装置6に導かれ、
この脱硫装置6において亜硫酸ガスを除かれた後にガス
ガスヒータ(GGH)の再加熱部7を通過した後、図示
省略した煙突に導かれてこの煙突から大気中に放出され
るように構成されている。そして、電気集塵機5で取除
かれたフライアッシュなどの粉塵は、灰処理されて一部
がセメント原料等として再利用され、残部は灰捨て場8
に捨てられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
排煙処理システムでは、石炭中のSe(排煙中のSe)
のほとんどが、エアヒータ3などの後流側で凝縮し、排
煙中の粉塵に含まれた状態で電気集塵機5により取除か
れて、そのまま灰捨て場8の廃棄物中又はセメント原料
等に使用される灰の中に混在することになる。このた
め、前記溶出基準等を遵守してSeの無害化を図るため
には、この電気集塵機5で取除かれた灰を例えば多量の
水で希釈するといった面倒でコストのかかる後処理が必
要となるという問題があった。
【0006】本発明は、上記従来技術に鑑み、排煙中に
含まれるSeの無害化が容易に達成できる排煙処理シス
テムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は次の(1)〜
(6)の発明を含むものである
【0008】(1)亜硫酸ガス、粉塵及びSe分を含む
排煙を処理する排煙処理システムであって、排煙から粉
塵を除去する集塵装置と、亜硫酸ガスを吸収除去する吸
収剤スラリが循環する吸収塔を有する脱硫装置と、前記
集塵装置により除去された粉塵を、この粉塵中のSeが
ガス化する温度に加熱する加熱手段とを備え、この加熱
手段により前記粉塵が加熱されて発生したガスが前記排
煙とともに前記脱硫装置に導入される構成としてSeを
前記脱硫装置内のスラリ中に溶解・捕集させ、スラリの
処理工程中に4価のSeを不溶化する処理剤が混入され
る構成としてなることを特徴とする排煙処理システム。
【0009】(4)前記脱硫装置内においてスラリ中に
混入した6価のSeがスラリ中の亜硫酸により還元され
て4価のSeとなるように、前記脱硫装置内の酸化還元
反応を制御する酸化還元反応制御手段を設けてなること
を特徴とする前記(1)の排煙処理システム。
【0010】(3)亜硫酸ガス、粉塵及びSe分を含む
排煙を処理する排煙処理システムであって、排煙から粉
塵を除去する集塵装置と、吸収塔の前流に設けられた冷
却除塵塔及び亜硫酸ガスを吸収除去する吸収剤スラリが
循環する吸収塔を有する脱硫装置と、前記集塵装置によ
り除去された粉塵を、この粉塵中のSeがガス化する温
度に加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段により前
記粉塵が加熱されて発生したガスが前記排煙とともに前
記脱硫装置の冷却除塵塔に導入される構成としてSeを
前記冷却除塵塔の循環液中に溶解・捕集させ、この循環
液の処理工程中に4価のSeを不溶化する処理剤が混入
される構成としてなることを特徴とする排煙処理システ
ム。
【0011】(4)前記集塵手段が、粉塵を分離回収す
る回収部が排煙の入口側から出口側に向かって複数個の
回収部が設けられ、排煙の入口側の回収部から回収され
る粉塵と出口側から回収される粉塵とを別個に分離回収
し、出口側の回収部から分離回収された粉塵のみを、前
記加熱手段に導入する構成としてなることを特徴とする
前記(1)乃至(3)のいずれかの排煙処理システム。
【0012】(5)前記集塵手段により分離された粉塵
を、大粒径なものと小粒径なものに分級する分級手段を
設け、この分級手段により分級された小粒径な粉塵のみ
を、前記加熱手段に導入する構成としてなることを特徴
とする前記(1)乃至(3)のいずれかの排煙処理シス
テム。
【0013】(6)前記加熱手段が、粉塵を100〜1
200℃の温度に加熱するものであることを特徴とする
前記(1)乃至(5)のいずれかの排煙処理システム。
【0014】
【作用】前記(1)の発明に係る排煙処理システムで
は、排煙中のSeのほとんどが、フライアッシュなどの
粉塵に含まれた状態で集塵装置により除去され、加熱手
段において加熱されてガス化する。そして、ガス化した
Seは、粉塵を除去された排煙とともに脱硫装置に導入
され、吸収剤スラリ中に溶解・捕集される。そしてこの
吸収剤スラリの処理工程中において、4価のSeを不溶
化する処理剤と混合され、不溶化される。
【0015】なわち、少なくとも4価のSeは、その
まま脱硫装置において処理剤により不溶化されて、脱硫
装置のスラリから分離生成される固形分(石膏等)に混
在して排出されるか、あるいは脱硫装置の循環液の排出
処理を行なう排水処理装置において処理剤により不溶化
され、容易に固化処理できる。
【0016】したがって、脱硫装置内の吸収液中に6価
のSeが少ない場合には、4価のSeの不溶化処理のみ
を行えば、Seを大気中に放出することなく容易にSe
の溶出基準等をクリアできる。また、加熱手段により粉
塵からSeを分離して脱硫装置に導入するようにし、粉
塵全体を脱硫装置内に導入しない構成であるので、粉塵
の再利用が容易になるとともに、脱硫装置における脱硫
性能の低下等の弊害を回避することができる。
【0017】前記(2)の発明に係る排煙処理システム
では、酸化還元反応制御手段により、脱硫装置内のスラ
リ中に混入した6価のSeがスラリ中の亜硫酸により略
全量還元されて4価となるように、脱硫装置内のスラリ
の酸化還元反応を制御する。このため、この6価のSe
を脱硫装置においてほぼ完全に4価に変えることができ
て、排煙中のSeの不溶化処理がより容易かつ完全に行
えるようになる。
【0018】前記(3)の発明に係る排煙処理システム
では、排煙中のSeのほとんどが、フライアッシュなど
の粉塵中に含まれた状態で集塵装置により除去され、加
熱手段において加熱されてガス化する。そして、ガス化
したSeは、粉塵を除去された排煙とともに脱硫装置の
冷却除塵塔に導入され、循環液中に溶解・捕集される。
そしてこの循環液の処理工程中において、4価のSeを
不溶化する処理剤と混合され、不溶化される。すなわ
ち、少なくとも4価のSeは、そのまま脱硫装置の冷却
除塵塔に接続された固液分離手段等により固相側に排出
されるか、あるいは脱硫装置の循環液の排出処理を行な
う排水処理装置において処理剤により不溶化され、容易
に固化処理できる。また、6価のSeのほとんどは、冷
却除塵塔内の液中に排煙から吸収された亜硫酸と反応し
還元されて4価のSeに変り、処理剤により不溶化され
て分離手段により固相側に排出されるなどして無害化処
理される。
【0019】したがって、このシステムによっても、S
eを大気中に放出することなく容易にSeの溶出基準等
をクリアできるのであって、しかも脱硫装置の冷却除塵
塔が、6価のSeの還元反応設備としても機能している
ので、システム全体の設備構成が簡単になる。またこの
システムでは、脱硫装置の吸収塔内のスラリ中には、S
eあるいはその他の粉塵の混入が少ないため、脱硫装置
における脱硫性能を高く維持することができ、さらに副
生品として高品質の石膏を回収することができる。
【0020】前記(4)の発明に係る排煙処理システム
では、集塵手段における排煙の出口側の特定の回収部か
ら分離回収された粉塵のみが加熱手段に導入されてSe
のガス化分離が行われるので、加熱手段の容量を低減す
ることができる。また、後続の脱硫装置等でSeの不溶
化処理を行う際の処理剤の必要量等が低減でき、Seの
無害化がより容易かつ安価に可能となる。すなわち、発
明者らの研究によれば、出口側の特定の回収部から分離
回収されるより粒径の小さい粉塵(灰)にSeがより多
量に含有されて(付着して)いることが判明しており、
この粒径の小さい粉塵に対してのみ加熱処理を行い、ガ
ス化したSeについて不溶化処理を施すだけでも、全体
としてはSeの無害化が可能となる。
【0021】前記(5)の発明に係る排煙処理システム
では、分級手段により分級された小粒径な粉塵のみが加
熱手段に導入されてSeのガス化分離が行われるので、
加熱手段の容量を低減することができる。また、後続の
脱硫装置等でSeの不溶化処理を行う際の処理剤の必要
量等が低減でき、Seの無害化がより容易かつ安価に可
能となる。すなわち、発明者らの研究によれば、より粒
径の小さい粉塵(灰)にSeがより多量に含有されて
(付着して)いることが判明しており、この粒径の小さ
い粉塵に対してのみ加熱処理を行い、ガス化したSeに
ついて不溶化処理を施すだけでも、全体としてはSeの
無害化が可能となる。
【0022】前記(6)の発明に係る排煙処理システム
では、加熱手段における粉塵の加熱温度を100〜12
00℃としたので、ガス化したSeの粉塵中への再凝縮
が防止され、粉塵からSeを容易に除去することがで
き、粉塵のSe溶出基準をクリアできる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。なお、従来例と同様の構成要素には同符号を使用
し、その説明を省略する。 (実施例1) 図1は、前記(1)、(2)及び(4)乃至(6)の発
明に係る排煙処理システムの一例を示す概略構成図であ
る。この実施例の排煙処理システムは、図1に示すよう
に、電気集塵機70でSeが付着した粉塵を集塵除去
し、電気集塵機70で除去された粉塵(灰)を加熱手段
11により加熱して粉塵中のSeを昇化させてガス化
し、このガスを粉塵を除去された排煙とともに湿式排煙
脱硫装置20(以下、単に脱硫装置20という)に導入
して処理するものである。脱硫装置内では、反応式
(1),(2)に示すように、4価のSe(主形態:亜
セレン酸SeO3 2-)と、6価のSe(主形態:セレン
酸SeO4 2-)が存在する。この6価のSeは脱硫装置
20においていわゆるORP制御(酸化還元電位制御)
により略全量還元されて4価のSeに変換されるもので
ある。
【化1】 SeO2(g) + H2 O → 2H+ + SeO3 2- (1) SeO3 2- + 1/2O2 → SeO4 2- (2)
【0024】ここで、加熱手段11は、この場合例えば
キルンであり、供給された高温空気Iにより、Seが昇
化してガス化する温度まで、電気集塵機70から導入し
た灰B3,B4を加熱するもので、生成ガスMが排煙と
ともに脱硫装置20の吸収塔21に導入され、残った灰
Jはセメントなどの原料として再利用すべく取り出され
るように構成されている。なお、加熱手段11に高温空
気Iを供給する手段として、この場合重油焚きボイラ1
2が設けられ、重油Kを燃やして空気Lが加熱されるこ
とで、例えば1000℃程度の高温空気Iが供給される
ようになっている。
【0025】なお、加熱手段11における処理温度は、
100〜1200℃とすればよいが、より完全かつ効率
良く粉塵中のSeをガス化させるためには、320〜1
000℃に設定することが好ましい。また、電気集塵機
70から加熱手段11に導入される粉塵の量及び温度
が、例えば15t/h、90℃で、これを320℃程度
に加熱する場合、高温空気Iの流量や温度、あるいは加
熱手段11を構成するキルンの仕様は、例えば以下のよ
うに設定すればよい。すなわち、高温空気Iの流量は3
100m3 N/h、高温空気Iの温度は1000℃、キ
ルンにおける充填率は8%、キルンにおける灰密度は
0.5、キルンにおける滞留時間は0.5hrとする。
【0026】また、電気集塵機70は、粉塵を分離回収
する複数のホッパ71〜74を有しており、これらホッ
パ71〜74が排煙の入口側(上流側)から出口側(後
流側)に向って順次形成されており、このような構成に
より、入口側のホッパからより大粒径な粉塵が回収さ
れ、出口側のホッパからより小粒径な粉塵が回収される
ようになっている。そして、この場合には、出口側の特
定のホッパ73,74から分離回収された粉塵B3,B
4のみを、加熱手段11に導入し、残りの粉塵B1,B
2をセメント原料として再利用又は廃棄処理等する構成
としている。なお、本実施例での電気集塵機70は、本
発明の集塵手段及び分級手段として機能する。
【0027】脱硫装置20は、この場合タンク酸化方式
の脱硫装置であり、底部のタンク22に吸収剤スラリ
(この場合石灰石からなるもの)が供給される吸収塔2
1と、前記タンク22内の吸収剤スラリを吸収塔21の
上部21a(排煙導入部)に送って排煙と接触させるた
めの循環ポンプ23と、タンク22内に支持されて図示
省略したモータにより水平回転し、タンク22内のスラ
リを攪拌するとともに、供給された空気をタンク22内
に微細な気泡として効率良く吹込むアーム回転式のエア
スパージャ24と、このエアスパージャ24に空気を送
り込む空気供給管25とを備え、タンク22内で亜硫酸
ガスを吸収した吸収剤スラリと空気とを効率良く接触さ
せて全量酸化し石膏を得るものである。
【0028】タンク22には、タンク22内のスラリを
吸い出すためのスラリポンプ31が接続され、このスラ
リポンプ31により吸い出されたスラリには、混合手段
14において処理剤Aが投入された後、固液分離機32
に供給されてろ過され、スラリ中の石膏Cがケーキ状の
固体(通常、水分含有率10%程度)として採り出され
る構成となっている。一方、前記固液分離機32からの
ろ液(主に水)は、一旦ろ液タンク33に送られ必要に
応じ補充水Dや排水処理装置50からの戻り液Eを追加
された後、ポンプ34により一部が吸収剤スラリ槽35
に送られて、図示省略した石灰石サイロから供給される
石灰石F(CaCO3 )と混ぜ合わされ、吸収剤スラリ
としてスラリポンプ36により再びタンク22に供給さ
れる構成となっている。なお、混合手段14は、例えば
混合タンクとこの混合タンク内の液を攪拌する攪拌機構
とよりなるものである。また、処理剤Aとしては、少な
くとも4価のSe(主形態:亜セレン酸SeO3 2-)と
反応して不溶化する薬剤が必要で、例えばFeCl3
はFe2 (SO4 3 を用いることができる。
【0029】そして、この脱硫装置20には、吸収塔2
1内における酸化還元反応を制御する酸化還元反応制御
手段40が設けられている。酸化還元反応制御手段40
は、この場合循環ポンプ23の吐出側配管に設けられて
タンク22内のスラリの酸化還元電位を検出するセンサ
41と、空気供給管25の途上に設けられてエアスパー
ジャ24への空気供給量を調整する流量制御弁42と、
センサ41の検出出力に基づいてこの流量制御弁42の
動作を制御するコントローラ43とよりなる。ここで、
センサ41は、例えは白金よりなる電極をスラリ内に浸
したものである。また、コントローラ43は、エアスパ
ージャ24への空気供給量が、排煙からスラリ内に溶け
込んだ亜硫酸が酸化されて消失するのに必要な最小限の
量となるように、流量制御弁42の開度を連続的に制御
するものである。例えば具体的には、亜硫酸濃度と酸化
還元電位の相関関係に基づいて、亜硫酸濃度がほぼゼロ
のときの酸化還元電位が予め基準電位として設定されて
おり、センサ41により検出される酸化還元電位がこの
基準電位よりも低くなると、空気供給量をその偏差に応
じて増加させ、センサ41により検出される酸化還元電
位がこの基準電位よりも高くなると、空気供給量をその
偏差に応じて低下させるといった比例制御を行う。
【0030】なお、酸化還元反応制御手段40は、亜硫
酸を全量酸化するための必要最少限の空気を供給するも
のであるから、結果的にスラリ中に含まれる他の酸が亜
硫酸により略全量還元される反応を引き起こす機能を有
している。すなわち、加熱手段11から出る気化したS
eを含むガスMは、排煙とともに吸収塔21に導入され
て、4価のSe(主形態:亜セレン酸SeO3 2-)と6
価のSe(主形態:セレン酸SeO4 2-)となるが、こ
の6価のSeはコントローラ43の制御により、排煙か
ら吸収された亜硫酸と反応して4価のSe(主形態:亜
セレン酸SeO3 2-)となる還元反応が吸収塔21内に
おいて生じるようになっている。なおこの反応は、以下
の反応式(3)により表わされる。
【化2】 SeO4 2- + SO3 2- → SeO3 2- + SO4 2- (3)
【0031】排水処理装置50は、この場合いわゆる無
排水化処理装置であって、前処理設備51と、電気透析
設備52と、二次濃縮設備53と、固化設備54とより
なる周知の構成を主体とするものである。この排水処理
装置50は、脱硫装置20のポンプ34によりろ液タン
ク33の液の一部が供給されるようになっており、主に
電気透析設備52の機能によりこの液中の不純物(例え
ばCl等)を除去して、除去後の残渣を脱硫装置20の
ろ液タンク33又は吸収剤スラリ槽35に戻すものであ
る。そして、除去した不純物は最終的に固化設備54に
より固化させるが、この場合少なくともこの固化工程の
前段階で(例えば二次濃縮設備53の前流位置で)、4
価のSe(主形態:亜セレン酸SeO3 2-)と反応して
不溶化する処理剤Aが混入されるようになっている。
【0032】以上のように構成された排煙処理システム
においては、電気集塵機70の前流において排煙は十分
冷却され排煙中のほとんどのSeは凝縮してフライアッ
シュ等の粉塵(特に粒径の小さいもの)に付着している
から、排煙中のほとんどのSeは粉塵とともに一旦電気
集塵機70により捕集される。そして、この場合捕集さ
れた粉塵B1〜B4のうち、粒径の大きい粉塵B1〜B
2はSeの含有量が少ないので、セメント原料等として
そのまま再利用されるか廃棄され、粒径の小さい粉塵B
3〜B4のみが、加熱手段11において加熱処理され
て、この粉塵B3〜B4中のSeがガス化され電気集塵
機70から出た排煙とともに脱硫装置20の吸収塔21
に導入される。
【0033】そして、吸収塔21に導入された排煙(前
述の加熱手段11などから送り込まれたガスも含む)
は、循環ポンプ23によりスプレパイプ26から噴射さ
れた吸収剤スラリに接触して、亜硫酸ガス及びガス化し
たSeが吸収除去され、排煙導出部21bから処理済排
煙として排出される。スプレパイプ26から噴射され充
填材27を経由して流下する吸収剤スラリ中に吸収され
た亜硫酸ガスは、タンク22内においてエアスパージャ
24により攪拌されつつ吹込まれた多数の気泡と接触し
て酸化され、さらには中和反応を起こして石膏となる。
また、吸収塔21内においては、前述の反応式(3)の
反応により6価のSe(主形態:セレン酸SeO4 2-
の略全量が4価のSe(主形態:亜セレン酸Se
3 2-)に変えられる。なお、これらの処理中に起きて
いる主な反応(上述の反応式(3)以外のもの)は以下
の反応式(4)乃至(6)となる。
【0034】
【化3】 (吸収塔排煙導入部) SO2 + H2 O → H+ + HSO3 - (4) (タンク) H+ + HSO3 - + 1/2O2 → 2H+ + SO4 2- (5) 2H+ + SO4 2- + CaCO3 + H2 O → CaSO4 ・2H2 O + CO2 (6)
【0035】こうしてタンク22内には、石膏(CaS
4 ・2H2 O)と吸収剤である少量の石灰石(CaC
3 )及び主に4価のSe(主形態:亜セレン酸SeO
3 2-)が懸濁し、これらがスラリポンプ31により吸い
出され、混合手段14において処理剤Aが混入された
後、固液分離機32に供給されてろ過され、水分の少な
いケーキ状の石膏C(通常、水分含有率10%程度)と
して採り出される。この際4価のSe(主形態:亜セレ
ン酸SeO3 2-)は、そのほとんどが以下の反応式
(7),(8)又は(9),(10)で示される反応を
起こして亜セレン酸鉄(Fe2 (SeO3 3 )となり
不溶化して、分離された石膏Cに混在することになる。
【化4】 FeCl3 → Fe3+ + 3Cl- (7) 2Fe3+ + 3SeO3 2- → Fe2 (SeO3 3 ↓ (8) 又は Fe2 (SO4 3 → 2Fe3+ + 3SO4 2- (9) 2Fe3+ + 3SeO3 2- → Fe2 (SeO3 3 ↓ (10)
【0036】ただし、分離回収された石膏C中に亜セレ
ン酸鉄(Fe2 (SeO3 3 )が混入するのを好まな
い場合には、スラリポンプ31からのスラリをライン3
7(図1に示す)を介して直接固液分離機32に供給
し、高純度の石膏Cを回収する。この際Se処理は次に
示す排水処理装置50で不溶化処理する。
【0037】次に、上記排煙処理システムにおける排水
処理装置50の働きについて説明する。上述のように、
脱硫装置20のスラリ中には、気化したSeが排煙中の
亜硫酸ガスとともに吸収されてゆき、このうち6価のS
eは吸収塔21で前述の反応(反応式(3))によりそ
の略全量が4価のSeとなる。そして、この4価のSe
は、排水処理装置50において、他の不純物(例えばC
lなど)と同様に処理され、このSeや他の不純物が脱
硫装置20において循環するスラリ溶液中に過剰に蓄積
されないように除去される。
【0038】すなわち、排水処理装置50では、脱硫装
置20においてろ液タンク33のろ液がポンプ34の吐
出側から一部抜出されて、主に電気透析設備52の機能
によりこの液中の不純物(Clなど)が除去されて、脱
硫装置20のろ液タンク33に戻される。そして、電気
透析設備52を出た液に、処理剤Aが投入され混合等さ
れた後、二次濃縮設備53で濃縮され、固化設備54に
より固化されて、不純物チップHとして灰捨て場等に廃
棄される。この際、不純物中の4価のSeは、処理剤A
との前述の反応((7),(8)又は(9),(1
0))により、亜セレン酸鉄(Fe2 (SeO3 3
となり不溶化した状態で不純物チップHの中に存在する
ことになる。
【0039】以上説明したように、この実施例の排煙処
理システムによると、従来どおりの排煙の浄化(粉塵の
除去、亜硫酸ガスの除去)に加えて、排煙中のSeを粉
塵とともに除去し、最終的には上記石膏ケーキG又は不
純物チップHの中に不溶化した状態で存在させ、再利用
又は廃棄等に際し溶出しないようにすることができる。
しかも、処理(不溶化)が困難な6価のSeは、脱硫装
置20の吸収塔21において酸化還元反応制御手段40
により、処理剤により容易に廃棄処理が可能な4価のS
eとなるから、例えば6価のSeを4価のSeとするた
めの別個の反応塔を設ける場合等に比較して、簡単かつ
安価な設備で排煙中のSeの除去及び無害化が可能とな
る。
【0040】しかも、上記排煙処理システムによれば、
酸化還元反応制御手段40の働きにより、結果的に6価
のSeの略全量が吸収塔21において4価のSeとなり
最終的に不溶化されて廃棄処理等されるから、石膏ケー
キC又は不純物チップHの中に残存する6価のSe(不
溶化されていないもの)の濃度は極めて僅かであり、溶
出基準等を大きな余裕をもって満足できる。さらにこの
場合、電気集塵機70における排煙の出口側の特定のホ
ッパ73,74から分離回収された粉塵B3,B4のみ
がSe不溶化処理されるようにすれば、処理剤Aの必要
量や加熱手段11の容量等が低減でき、Seの無害化が
より容易かつ安価に可能となる固有の効果がある。すな
わち、前述のように発明者らの研究によれば、出口側の
特定の回収部から分離回収されるより粒径の小さい粉塵
(灰)にSeがより多量に含有されて(付着して)いる
ことが判明しており、この粒径の小さい粉塵に対しての
み不溶化処理を施すだけでも、全体としてはSeの無害
化が可能となり、設備コスト及び運転コスト低減等に貢
献できる効果がある。
【0041】以下に上記実施例の構成と同様の装置で、
粉塵の加熱実験及び粉塵の捕集及び溶出実験を行った結
果を説明する。84mg/kgのSeを含む粉塵を加熱
温度(200〜1200℃)及び加熱時間(5〜30
分)を変化させて加熱実験を実施した。また、加熱装置
前及び加熱実験後の粉塵のSe溶出試験を環境庁告示1
3号に準拠した方法により実施し、その溶出液中のSe
濃度を水素化合物発生法による原子吸光法により分析し
た。その結果を、加熱温度の影響については図5に、ま
た加熱時間の影響については図6に示す。温度320℃
以上で10〜30分加熱すれば、粉塵中のSeの溶出は
埋立処分に関する溶出基準0.3mg/リットル以下と
なり、ほとんどのSeがガス化していることが分かる。
温度200℃でも加熱時間を30分と長くすることによ
り、粉塵からのSeの溶出は埋立処分に関する溶出基準
以下を満足することが分かる。したがって、粉塵中のS
eを加熱によってガス化する際、ガス化したSeが再凝
縮しない温度として粉塵の温度を100〜1200℃、
好ましくは320〜1000℃に加熱することにより粉
塵中のSeを除去することが可能である。つまり、上記
実施例では、加熱手段11により加熱した後の粉塵Jは
そのまま再利用あるいは廃棄等できることが実証され
た。
【0042】次に粉塵の捕集及び溶出実験は、3mg/
kgのSeを含む石炭を25kg/hで燃焼炉に供給
し、燃焼炉から排出される200m3 N/hの排煙を1
50℃まで冷却して電気集塵機に導入して行った。この
場合、電気集塵機により99%以上の粉塵が捕集され、
全ホッパから回収される総量は3.4kg/hであっ
た。そして、前流側のホッパ71,72で回収される粉
塵B1,B2(回収灰)及び後流側のホッパ73,74
で回収される粉塵B3,B4の搬出量、平均粒径及び溶
出Se濃度は、それぞれ表1に示すように測定された。
【0043】
【表1】
【0044】すなわち、排煙の出口側のホッパ73,7
4から分離回収された粉塵B3,B4は、搬出量が1.
14kg/hと少ないが、溶出Se濃度は0.49mg
/リットルと基準を大きく上回っていた。しかし、排煙
の入口側のホッパ71,72から分離回収された粉塵B
1,B2は、搬出量が2.27kg/hと多いが、溶出
Se濃度は0.20mg/リットルと低く基準を下回っ
ていた。このため、排煙の入口側のホッパ71,72か
ら分離回収された粉塵B1,B2は、そのまま廃棄処理
等できることが分かる。つまり、搬出量が約2倍多い排
煙の入口側の粉塵のSe不溶化処理が不要となるから、
処理剤Aの必要量や加熱手段11の容量等が格段に節約
できることが明らかである。
【0045】なお、このような溶出Se濃度の違いは、
粉塵(灰)の粒径に起因しているものと考えられる。す
なわち、ガス状のSe(SeO2 )が凝縮して粉塵を構
成する灰の表面に付着する際、小さな粒径の灰は単位重
量当たりの比表面積が大きいので、より多くのSeが付
着することになる。一方、上述したような電気集塵機等
の除塵装置においては、排煙の入口側で粗粒灰が、排煙
の出口側で微粒灰が捕集されやすく、いわゆる分級機能
を有するので、排煙の出口側で捕集された粉塵中の溶出
Se濃度が高くなると考えられるのである。
【0046】なお上記実施例の場合には、吸収塔に混入
したSeの影響で、石膏Cの高い品質(純度等)を実現
することが困難となる恐れが有り、これが問題となる場
合には、前述したようにSe処理は排水処理装置50の
みで不溶化処理する。なお、処理剤Aの混入は脱硫装置
20のスラリ系であれば図1に示す位置以外の位置に混
入するようにしてもよいし、吸収塔21内に直接入れる
こともできる。また、処理剤Aの混入は、脱硫装置20
の排水処理装置50においてのみ行うようにして、図1
における混合手段14を削除することもできる。この場
合、脱硫装置20においては、全てのSe(主に4価の
Se)がスラリ溶液中に溶存した状態で循環し、これら
Seの一部が順次排水処理装置50に導かれてここで不
溶化されて処理されることになり、石膏C中には混入し
なくなるので、石膏純度を高く確保したい場合に有利で
ある。さらに、処理剤Aの投入量や加熱手段11の容量
等を低減する必要がなければ、電気集塵機70で回収さ
れた全ての粉塵B1〜B4を加熱手段11に導入して処
理するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0047】(実施例2) 図2は、前記(3)の発明に係る排煙処理システムの一
例を示す概略構成図である。なお、実施例1と同様の構
成要素については同符号を使用してその説明を省略す
る。この実施例の排煙処理システムは、図2に示すよう
に、吸収塔21の前流側に排煙の冷却及び除塵を行なう
冷却除塵塔61が設けられた脱硫装置60を備え、この
脱硫装置60の冷却除塵塔61に、加熱手段11で発生
したSeを含むガスが排煙とともに導入され、また、こ
の冷却除塵塔61から抜出したスラリに混合手段14に
おいて処理剤Aが投入された後、分離手段15により固
液分離される構成である点に特徴を有する。ここで、冷
却除塵塔61は、ポンプ34によりろ液タンク33の液
が供給され、この液を循環ポンプ62により上部のヘッ
ダパイプ63より噴射するものである。なお、冷却除塵
塔61と吸収塔21との間には図示省略したミストエリ
ミネータが設けられている。
【0048】この場合には、粉塵中から加熱により分離
されたSeが一旦冷却除塵塔61内に入るが、冷却除塵
塔61内において前述の反応(反応式(3))が起こっ
て、6価のSeの略全量が4価のSeとなり、そしてこ
の4価のSeは処理剤Aにより不溶化されて分離手段1
5により分離された粉塵ケーキG中又は排水処理装置5
0における不純物チップH中に混入することになる。そ
してこの場合、実施例1の場合とは異なり、電気集塵機
で捕集し得なかった微粒粉塵が吸収塔21に混入するこ
とはないので、高い脱硫率が確保でき、高い品質(純度
等)の石膏Cを容易に得ることができる効果がある。な
お、図2においては、分離手段15の分離水を直接排水
処理装置50に導入しているが、6価のSeの4価のS
eへの変換反応のさらなる完全化を図るために、この分
離水を例えば吸収剤スラリ槽35に導入して吸収塔21
に導くようにしてもよい。また、処理剤Aは冷却除塵塔
61内に直接投入することもできるし、実施例1と同様
に、排水処理装置50においてのみ処理剤Aを投入し、
混合手段14や分離手段15を削除することもできる。
【0049】(実施例3) 図3は、前記(5)の発明に係る排煙処理システムの一
例を示す概略構成図である。なお、実施例1と同様の構
成要素については同符号を使用してその説明を省略す
る。この実施例の排煙処理システムは、図3に示すよう
に、電気集塵機70により捕集され一括して搬送された
粉塵B1〜B4を、大粒径なもの(以下、粗粒灰とい
う)B5と小粒径なもの(以下、微粒灰という)B6と
に分級する分級装置81(分級手段)を設け、この分級
装置81により分級された微粒灰B6のみを微粒捕集装
置82で捕集し加熱手段11に導入する構成としてい
る。なお、この場合粉塵B1〜B4は、空気Nで搬送さ
れて分級装置81に導入される構成となっている。ま
た、分級装置81は、例えばサイクロンにより構成で
き、分級程度が調節できる形式のものであれば便利であ
る。さらに、微粒捕集装置82としては、この場合バグ
フィルタを使用している。
【0050】この場合には、微粒灰B6中のSeのみ
が、ガス化されて脱硫装置20に導入され不溶化処理さ
れるので、実施例1と同様に、処理剤Aの必要量や加熱
手段11の容量等が低減でき、Seの無害化がより容易
かつ安価に可能となるという効果がある。また、この実
施例のシステムであれば、従来の排煙処理システム(電
気集塵機からの粉塵が一括して搬送されるもの)に対し
て、加熱手段や分級装置等を追加する改造を行うこと
で、電気集塵機からの粉塵を搬送するコンベアなどの構
成はそのままで本システムが構成できて、排煙中のSe
の無害化が可能になり、既存の排煙処理システムの改造
が容易であるとともに、新規にこのシステムを設置する
場合でも従来の設計又は設備がそのまま使用できるとい
う効果もある。
【0051】以下に上記実施例の構成と同様の装置で、
粉塵の加熱実験及び粉塵の捕集及び溶出実験を行った結
果を説明する。実験は、3mg/kgのSeを含む石炭
を25kg/hで燃焼炉に供給し、燃焼炉から排出され
る200m3 N/hの排煙を150℃まで冷却して電気
集塵機に導入して行った。この場合、電気集塵機により
99%以上の粉塵が捕集され、コンベアで回収される粉
塵の量(各ホッパから回収される総量)は3.4kg/
hであった。そして、粗粒灰B5と微粒灰B6の捕集
量、平均粒径及び溶出Se濃度は、それぞれ表2に示す
ように測定された。
【0052】
【表2】
【0053】すなわち、微粒灰B6は、平均粒径が5.
4μmであり、捕集量が1.30kg/hと少ないが、
溶出Se濃度は0.36mg/リットルと基準を上回っ
ていた。しかし、粗粒灰B5は、平均粒径が13μmで
あり、捕集量が2.0kg/hと多いが、溶出Se濃度
は0.26mg/リットルと低く基準を下回っていた。
このため、粗粒灰B5は、そのまま廃棄処理等できるこ
とが分かる。つまり、搬出量が格段に多い粗粒灰B5の
Se不溶化処理が不要となるから、処理剤Aの必要量や
加熱手段11の容量等が格段に節約できることが明らか
である。
【0054】なお、本発明は以上説明した実施例に限ら
れず各種の態様が有り得る。例えば、脱硫装置の吸収液
中に6価のSeが存在せず、6価以外のSeのみがある
場合には、6価のSeを還元して4価のSeにする工程
又はそのための装置構成は不要である。また、脱硫装置
の構成は、必ずしも上記実施例に示したようなタンク酸
化方式のものに限られず、例えば吸収塔から抜出したス
ラリが導入される酸化塔を別に設け、この酸化塔に空気
を吹込んで、ここで最終的な酸化還元反応を行う構成で
もよい。この場合でも6価のSeは、吸収塔又は酸化塔
において4価のSeに変換されることになる。また、前
述したように上記各実施例においては、処理剤Aの投入
場所を排水処理装置50の一箇所とすることもできる。
というのは、脱硫装置の吸収塔や冷却除塵塔のスラリ液
は排水処理装置50に循環してくるので、この排水処理
装置においてのみ処理剤Aを投入しても全体のSeを不
溶化して処理できる。また、Seを不溶化する処理剤と
しては、FeCl3 又はFe2 (SO4 3の他に、キ
レート剤(例えば、ミヨシ樹脂エポラス MX−7)
や、高分子重金属捕集剤(例えば、ミヨシ樹脂エポフロ
ック L−1)などを使用することができる。
【0055】
【発明の効果】発明(1)に係る排煙処理システムによ
れば、排煙から粉塵とともに除去したSeを、加熱によ
りガス化して脱硫装置に導入し、結局6価を全て4価の
Seとして処理することができ、処理剤による不溶化処
理のみを行えば容易にSeの溶出基準等をクリアでき、
脱硫装置の吸収塔が6価のSeの還元反応設備としても
機能するから、Seを還元する反応塔等を別個に設ける
ような構成に比較して、システム全体の設備構成が簡単
になる。
【0056】た、加熱手段により粉塵からSeを分離
して脱硫装置に導入するようにし、粉塵全体を脱硫装置
内に導入しない構成としているので、粉塵の再利用が容
易になるとともに、脱硫装置における脱硫性能の低下等
の弊害を回避することができる。
【0057】発明(2)に係る排煙処理システムによれ
ば、酸化還元反応制御手段が、脱硫装置内のスラリ中に
混入した6価のSeがスラリ中の亜硫酸により略全量還
元されて4価となるように、脱硫装置内のスラリの酸化
還元反応を制御する。そのため6価のSeを脱硫装置に
おいてほぼ完全に4価に変えることができて、排煙中の
Seの不溶化処理がより容易かつ完全に行えるようにな
る。
【0058】発明(3)に係る排煙処理システムによれ
ば、容易にSeの溶出基準等をクリアすることができ、
脱硫装置を6価のSeの還元反応設備としても機能させ
ているので、Seを還元する反応塔等を別個に設けるよ
うな構成に比較して、システム全体の設備構成が簡単に
なる。また、この場合、ガス化したSe及び排煙は脱硫
装置の冷却除塵塔に導入されて処理され、脱硫装置の吸
収塔内のスラリ中には粉塵のみならずSeなどの不純物
が多量に混入することがないので、脱硫装置における脱
硫率を高く維持するとともに高品質の石膏を得ることが
できる。
【0059】発明(4)に係る排煙処理システムによれ
ば、集塵手段における排煙の出口側の特定の回収部から
分離回収された粉塵のみが加熱され、これによりガス化
したSeのみが脱硫装置に導入されて不溶化処理される
ことで、処理剤の必要量や加熱手段の容量等が低減で
き、Seの無害化をより容易かつ経済的に行うことがで
きる。
【0060】発明(5)に係る排煙処理システムによれ
ば、分級手段により分級された小粒径な粉塵のみが加熱
され、これによりガス化したSeのみが脱硫装置に導入
されて不溶化処理されることで、処理剤の必要量や加熱
手段の容量等が低減でき、Seの無害化をより容易かつ
経済的に行うことができる。
【0061】発明(6)に係る排煙処理システムによれ
ば、加熱手段における粉塵の加熱温度を100〜120
0℃とするので、ガス化したSeが粉塵中に再凝集する
ことがないので、粉塵からのSeの除去を効率よく行う
ことができ、粉塵のSe溶出基準を容易にクリアするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の排煙処理システムの概略構成図。
【図2】実施例2の排煙処理システムの概略構成図。
【図3】実施例3の排煙処理システムの概略構成図。
【図4】従来の排煙処理システムの一例を示す概略構成
図。
【図5】実施例1の溶出試験における粉塵加熱温度と溶
出液中のSe濃度との関係を示すグラフ。
【図6】実施例1の溶出試験における粉塵加熱時間と溶
出液中のSe濃度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
5,70 電気集塵機(集塵装置) 11 加熱手段 6,20,60 脱硫装置 21 吸収塔 40 酸化還元反応制御手段 50 排水処理装置 61 冷却除塵塔 71〜74 ホッパ 81 分級装置 82 微粒灰捕集装置 A 処理剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多谷 淳 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三菱重工業株式会社 本社内 (72)発明者 鵜川 直彦 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 日野 正夫 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 沖野 進 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 春木 隆 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (72)発明者 高品 徹 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島研究所内 (56)参考文献 特開 平6−86966(JP,A) 特開 昭63−72340(JP,A) 特開 昭53−28596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/34 B09B 3/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜硫酸ガス、粉塵及びSe分を含む排煙
    を処理する排煙処理システムであって、排煙から粉塵を
    除去する集塵装置と、亜硫酸ガスを吸収除去する吸収剤
    スラリが循環する吸収塔を有する脱硫装置と、前記集塵
    装置により除去された粉塵を、この粉塵中のSeがガス
    化する温度に加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段
    により前記粉塵が加熱されて発生したガスが前記排煙と
    ともに前記脱硫装置に導入される構成としてSeを前記
    脱硫装置内のスラリ中に溶解・捕集させ、スラリの処理
    工程中に4価のSeを不溶化する処理剤が混入される構
    成としてなることを特徴とする排煙処理システム。
  2. 【請求項2】 前記脱硫装置内においてスラリ中に混入
    した6価のSeがスラリ中の亜硫酸により還元されて4
    価のSeとなるように、前記脱硫装置内の酸化還元反応
    を制御する酸化還元反応制御手段を設けてなることを特
    徴とする請求項1記載の排煙処理システム。
  3. 【請求項3】 亜硫酸ガス、粉塵及びSe分を含む排煙
    を処理する排煙処理システムであって、排煙から粉塵を
    除去する集塵装置と、吸収塔の前流に設けられた冷却除
    塵塔及び亜硫酸ガスを吸収除去する吸収剤スラリが循環
    する吸収塔を有する脱硫装置と、前記集塵装置により除
    去された粉塵を、この粉塵中のSeがガス化する温度に
    加熱する加熱手段とを備え、この加熱手段により前記粉
    塵が加熱されて発生したガスが前記排煙とともに前記脱
    硫装置の冷却除塵塔に導入される構成としてSeを前記
    冷却除塵塔の循環液中に溶解・捕集させ、この循環液の
    処理工程中に4価のSeを不溶化する処理剤が混入され
    る構成としてなることを特徴とする排煙処理システム。
  4. 【請求項4】 前記集塵手段が、粉塵を分離回収する回
    収部が排煙の入口側から出口側に向かって複数個の回収
    部が設けられ、排煙の入口側の回収部から回収される粉
    塵と出口側から回収される粉塵とを別個に分離回収し、
    出口側の回収部から分離回収された粉塵のみを、前記加
    熱手段に導入する構成としてなることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載の排煙処理システム。
  5. 【請求項5】 前記集塵手段により分離された粉塵を、
    大粒径なものと小粒径なものに分級する分級手段を設
    け、この分級手段により分級された小粒径 な粉塵のみ
    を、前記加熱手段に導入する構成としてなることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排煙処理シス
    テム。
  6. 【請求項6】 前記加熱手段が、粉塵を100〜120
    0℃の温度に加熱するものであることを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の排煙処理システム。
JP08246095A 1995-03-30 1995-04-07 排煙処理システム Expired - Fee Related JP3294046B2 (ja)

Priority Applications (21)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08246095A JP3294046B2 (ja) 1995-04-07 1995-04-07 排煙処理システム
TW084113041A TW301701B (ja) 1995-03-30 1995-12-07
US08/592,116 US6113863A (en) 1995-03-30 1996-01-26 Combustion exhaust gas treatment system
ES96104165T ES2179898T3 (es) 1995-03-30 1996-03-15 Aparato para el tratamiento de gases de combustion.
EP01111675A EP1142624B1 (en) 1995-03-30 1996-03-15 Combustion exhaust gas treatment apparatus and method
DE69621687T DE69621687T2 (de) 1995-03-30 1996-03-15 System zur Behandlung von Abgasen aus Verbrennungsanlagen
ES01111675T ES2210062T3 (es) 1995-03-30 1996-03-15 Aparato para el tratamiento de gases de combustion.
EP96104165A EP0734754B1 (en) 1995-03-30 1996-03-15 Combustion exhaust gas treatment system
EP01111676A EP1142625B1 (en) 1995-03-30 1996-03-15 Combustion exhaust gas treatment apparatus and method
DK01111676T DK1142625T3 (da) 1995-03-30 1996-03-15 Anlæg og fremgangsmåde til behandling af forbrændingsröggas
DE1996631446 DE69631446T2 (de) 1995-03-30 1996-03-15 Vorrichtung und Verfahren zur Behandlung von Abgasen aus Verbrennungsanlagen
DK96104165T DK0734754T3 (da) 1995-03-30 1996-03-15 Forbrændingsgasbehandlingsanlæg
ES01111676T ES2213653T3 (es) 1995-03-30 1996-03-15 Aparato de tratamiento del gas de combustion.
DE1996630719 DE69630719T2 (de) 1995-03-30 1996-03-15 Vorrichtung und Verfahren zur Behandlung von Abgasen aus Verbrennungsanlagen
DK01111675T DK1142624T3 (da) 1995-03-30 1996-03-15 Forbrændingsgasbehandlingsanlæg og -fremgangsmåde
KR1019960009542A KR100226020B1 (ko) 1995-03-30 1996-03-30 배연처리시스템(combustion exhaust gas treatment system)
US09/407,042 US6511636B1 (en) 1995-03-30 1999-09-27 Combustion exhaust gas treatment system
US09/924,378 US6517792B2 (en) 1995-03-30 2001-08-08 Combustion exhaust gas treatment system
US10/294,269 US6773680B2 (en) 1995-03-30 2002-11-14 Combustion exhaust gas treatment system
US10/294,208 US20030077209A1 (en) 1995-03-30 2002-11-14 Combustion exhaust gas treatment system
US10/294,204 US6740297B2 (en) 1995-03-30 2002-11-14 Combustion exhaust gas treatment system

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08246095A JP3294046B2 (ja) 1995-04-07 1995-04-07 排煙処理システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08276113A JPH08276113A (ja) 1996-10-22
JP3294046B2 true JP3294046B2 (ja) 2002-06-17

Family

ID=13775128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08246095A Expired - Fee Related JP3294046B2 (ja) 1995-03-30 1995-04-07 排煙処理システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3294046B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6046526B2 (ja) * 2013-03-11 2016-12-14 日本山村硝子株式会社 排ガス中のセレン回収システムおよびセレン回収方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08276113A (ja) 1996-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101425289B1 (ko) 배기가스 처리 시스템 및 배기가스 처리 방법
KR100226020B1 (ko) 배연처리시스템(combustion exhaust gas treatment system)
JP3546132B2 (ja) 排煙処理方法
JP2000312813A (ja) 煙道ガスから水銀を除くためのスルフィド含有ガス及び液の使用
JP3263586B2 (ja) 排煙処理システム
JP4942559B2 (ja) 排ガス浄化剤及び有害微量元素を捕捉する方法
EP0736321B1 (en) Method to remove organic halogenated molecules from gaseous currents and relative plant
JP3294046B2 (ja) 排煙処理システム
EP1142625B1 (en) Combustion exhaust gas treatment apparatus and method
EP1142624B1 (en) Combustion exhaust gas treatment apparatus and method
EP1142626B1 (en) Combustion exhaust gas treatment apparatus
JP3294073B2 (ja) 排煙処理システム
JP3901986B2 (ja) ばいじんの処理方法及びばいじんの処理装置
JP3322515B2 (ja) 排煙処理システム
JP3358912B2 (ja) 排煙処理システム
JP3294055B2 (ja) 排煙処理システム
JPH11285617A (ja) 有機塩素化合物を含む排ガスの処理方法
JP4097573B2 (ja) 廃棄物処理用加熱炉の排ガスの処理方法および処理システム
JP2002273164A (ja) ごみ焼却炉の排ガス無害化処理方法およびその装置
EP1142627A1 (en) Combustion exhaust gas treatment apparatus and method
JPH01155937A (ja) ごみ焼却炉の排ガス処理方法
JPH10253039A (ja) 飛灰を含む排ガスの処理方法および処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020219

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees