JP3288202B2 - 磁歪式アクチュエータ - Google Patents

磁歪式アクチュエータ

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JP3288202B2
JP3288202B2 JP17455995A JP17455995A JP3288202B2 JP 3288202 B2 JP3288202 B2 JP 3288202B2 JP 17455995 A JP17455995 A JP 17455995A JP 17455995 A JP17455995 A JP 17455995A JP 3288202 B2 JP3288202 B2 JP 3288202B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部磁界の印加に
より磁歪を生じる磁性体を用いた磁歪式アクチュエータ
に属する。
【0002】
【従来の技術】振動や変位を発生するためのアクチュエ
ータとしては、スピーカーの原理を用いた電磁式のアク
チュエータ(いわゆるボイスコイルモータ)が知られて
いる。また、PZTなどの圧電素子に制御電圧を印加す
る圧電式のアクチュエータや磁歪現象を利用したアクチ
ュエータも知られている。
【0003】ところで、精密加工装置や精密測定装置な
どでは、取付台を介して伝わる地盤振動を極度に嫌うも
のが多い。最近では、これらの機器を設置するために、
取付台とアクチュエータとを組合わせた除振台をアクテ
ィブ制御することによって振動絶縁する試みがなされる
ようになってきた。このような振動絶縁装置は、電動機
などの回転機械類の発する振動を周囲環境に伝えないよ
うにするための防振装置にも応用することができる。
【0004】こうした用途のアクチュエータには、小型
で、大きな力が得られ、場合によっては大重量を支えら
れ、しかも信頼性のあることが望まれる。このような要
望を満たすアクチュエータとして、磁歪材料を素子とし
た磁歪式アクチュエータが注目されている。
【0005】磁歪式アクチュエータは、図13に示すよ
うに、通常、一端側が固定されるとともに他端側が自由
端に設けられた磁歪素子100と、この磁歪素子100
の自由端の変位を出力として取出す出力軸101と、磁
歪素子100の変位を許容し、かつ磁歪素子100を直
列に経由する磁気回路を構成するための磁気回路構成部
材を成す可動ヨーク102、円筒ヨーク103および固
定ヨーク104と、これら磁気回路構成部材を介して磁
歪素子100にバイアス磁界を印加するバイアス磁界印
加用永久磁石105、106と、磁歪素子100の周囲
に配置され、磁歪素子100に印加される磁界の強さを
制御することによって自由端から得られる変位量を制御
する制御磁界印加用電磁石を構成する巻枠107および
コイル108とを備えている。
【0006】磁歪素子100としては、主にNi系合
金、Fe−Al合金、フェライト系合金が用いられてい
るが、最近では、上記合金材に比べて1桁以上大きい変
位を発生させることが可能な希土類金属−遷移金属合金
も報告されている。
【0007】磁歪素子における磁界と歪みとの関係は、
磁界を印加しない場合を基準にして、印加磁界が強い程
伸びるものが一般的であるが、印加磁界が強い程縮むも
のもある。ただし、印加磁界の向きには関係せず、その
印加磁界の絶対量が大きい程伸びるものは伸び、縮むも
のは縮むという性質を持っている。例えば、印加磁界が
強い程伸びる磁歪素子の磁界と歪みとの関係は図14の
ようになる。このため、この種のアクチュエータでは、
発生変位の制御を容易にするために、制御磁界と発生変
位との関係を線形にするのが一般的である。すなわち、
図15に示すように、ある一定のバイアス磁界を印加し
ておき、この状態で磁歪素子に印加される磁界の強さを
制御することによって変位量を制御するのである。
【0008】磁歪素子に印加される磁界の強さを制御す
る手段としては、図13に示したように磁歪素子100
の周囲にコイル108を配置し、このコイル108に流
す電流の向きおよび大きさを制御する方式が一般的に採
用されている。また、バイアス磁界を印加する手段とし
ては、上記制御用のコイルをバイアス用に使う方式と、
永久磁石を使用する方式とがある。制御用のコイルを併
用する方式では、常時、コイルに直流電流を流す必要が
あるので、コイルの発熱量が大きく、長時間の使用には
不向きである。このため、図13に示したように一般的
には永久磁石105、106でバイアス磁界を印加する
ようにしている。
【0009】しかしながら、上記のように構成された従
来の磁歪式アクチュエータにあっては次のような問題が
あった。すなわち、従来のアクチュエータでは、磁歪素
子100の変位を許容するために、磁気回路構成部材た
る可動ヨーク102と円筒ヨーク103との間に空隙1
10を設けるようにしている。この空隙110は比較的
磁気抵抗が大きいため、磁気漏れの原因になるだけでな
く、永久磁石105、106によるバイアス磁界を磁歪
素子100に均一に印加することを困難にし、印加磁界
と発生変位との関係において、制御性の良好な線形な範
囲を狭めていた。
【0010】また、磁歪素子100の自由端の変位を出
力として取出すには、上記自由端側に設けられた出力軸
101を何らかの手段で変位方向に移動自在に支持する
必要がある。この支持手段として、図13に示す従来の
アクチュエータでは、上記出力軸101を微小間隙11
1を介して案内支持部材112で案内支持するいわゆ
る、すべり軸受け方式を採用している。しかし、このよ
うな支持方法では、出力軸101と案内支持部材112
との間の固体摩擦抵抗が原因して、スムーズで応答性の
良い制御が行えないという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく従来の磁
歪式アクチュエータでは、可動部と固定部との間の空隙
による磁気抵抗によって永久磁石によるバイアス磁界が
不均一になり、制御性の良い範囲が狭められるととも
に、磁気漏れが大きくなるという問題があった。
【0012】また、磁歪素子の伸縮に伴いアクチュエー
タ内部のすべり軸受部で固体摩擦が発生し、制御性能が
低下するという問題があった。本発明は、大型化を招く
ことなく、上述した不具合を解消できる磁歪式アクチュ
エータを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
おいては、磁歪を有する磁性体からなる変位発生手段
と、前記変位発生手段の周囲に配設され、前記変位発生
手段に磁界を印加するための磁界発生手段と、前記変位
発生手段と前記磁界発生手段を収納し、前記変位発生手
段とともに閉磁気回路を構成する閉磁気回路構成部材と
を具備した磁歪式アクチュエータにおいて、前記閉磁気
回路構成部材が、有底状の内筒部材と、この内筒部材の
外周と間隙を保って同芯状に配設された有底状の外筒部
材とで構成され、前記内筒部材の底部内面側および前記
外筒部材の底部内面側のそれぞれに前記変位発生手段の
一端側および他端側の端面をそれぞれ連結して成ること
を特徴としている。
【0014】そして上記請求項1に係るアクチュエータ
では、磁気回路構成部材が有底状の内筒部材と、その開
口部側から外周を覆うように配設された有底状の外筒部
材とから成る2重筒状に構成されるために、これら内筒
部材と外筒部材とが微小間隙を介して対向し、内筒部材
と外筒部材の対向面積を広く構成することができる。し
たがって、内筒部材と外筒部材との間の間隙における磁
気抵抗を極めて小さくすることができ、磁気漏れを防ぐ
とともに、バイアス磁界を均一にして応答性の良い出力
変位範囲を広くすることができる。
【0015】請求項2に記載の発明においては、前記内
筒部材の外周と前記外筒部材の内周との間の間隙部分に
弾性変形により前記内筒部材と前記外筒部材との相対移
動を許容する案内手段が設けられていることを特徴とし
ている。
【0016】そして上記請求項2に係るアクチュエータ
では、内筒部材と外筒部材の両部材の間隙に弾性変形に
より内筒部材と外筒部材の相対移動を許容する案内手段
が介装されているため、変位発生手段(磁歪素子)の伸
縮に伴う内筒部材と外筒部材との相対移動においては、
案内手段の弾性変形により内筒部材と外筒部材とが直接
接触せず、したがって、固体摩擦が生じること無しに両
部材が相対移動でき、アクチュエータの出力変位の制御
性が向上する。
【0017】請求項6に記載の発明においては、磁歪を
有する磁性体からなる変位発生手段と、前記変位発生手
段の周囲に配設され、前記変位発生手段に磁界を印加す
るための磁界発生手段と、前記変位発生手段と前記磁界
発生手段とを収納した有底筒状の第1部材と、この第1
部材と前記変位発生手段とともに閉磁気回路を構成する
ための第2部材と、前記第1部材に一端側を取付け、他
端側を前記第2部材に取付けると共にその平面を前記変
位発生手段の変位方向と略直交する向きに配設した薄板
部材とを具備し、前記変位発生手段の一端側を第1部材
に、他端側を第2部材に連結し、前記薄板部材の弾性変
形により前記第1部材と第2部材とを相対移動可能に構
成したことを特徴としている。
【0018】そして上記請求項6に係るアクチュエータ
では、有底筒状の第1部材と、この第1部材と共に磁気
回路を構成する第2部材とにそれぞれ薄板部材の端部を
取付け、その取付け状態は、薄板部材がその面を変位発
生手段(磁歪素子)の変位方向に略直交する向きに一端
を第1部材に他端を第2部材に固定したことにより、薄
板部材の曲げ変形によって、第1部材と第2部材とが固
体摩擦を生じること無しに相対移動できる。したがっ
て、請求項2のアクチュエータと同様、アクチュエータ
の出力変位の制御性が向上する。また、この構造によれ
ば、変位発生手段の変位方向と直角な方向の力、すなわ
ち剪断力が作用した場合においても薄板部材の面に沿う
方向の引っ張り剛性でそれを受けるため、変位発生手段
(磁歪素子)が剪断力を受けることによって破損するの
を防止することができる。
【0019】請求項9に記載の発明においては、磁歪を
有する磁性体からなる変位発生手段と、前記変位発生手
段の周囲に配設され、前記変位発生手段に磁界を印加す
るための磁界発生手段と、前記変位発生手段と前記磁界
発生手段を収納し、前記変位発生手段とともに閉磁気回
路を構成する閉磁気回路構成部材とを具備した磁歪式ア
クチュエータにおいて、前記閉磁気回路構成部材が、有
底状の内筒部材と、この内筒部材の外周と間隙を保って
同芯状に配設された有底状の外筒部材とで構成され、前
記内筒部材の底部内面側および前記外筒部材の底部内面
側のそれぞれに前記変位発生手段の一端側および他端側
の端面をそれぞれ連結し、前記内筒部材と前記外筒部材
との間に前記変位発生手段を収縮させる方向へ与圧を与
える与圧部材を配設したことを特徴としている。
【0020】そして上記請求項9に係るアクチュエータ
では、内筒部材と外筒部材との間に変位発生手段を収縮
させる方向へ与圧を与える与圧部材を配設している。と
ころで、変位発生手段(磁歪素子)は、伸縮軸方向に対
して予め圧縮力を与えておいた方が伸縮変位量が大きく
なるが、圧縮力による面圧が適当な値で伸縮変位量が最
大になり、それよりも大きいと伸縮変位量が減じてしま
う。そのため制御対象物の動きを水平方向に制御しよう
とする場合は、制御対象物の自重がアクチュエータの重
力方向に作用しないので、特別に磁歪素子に圧縮力を与
えておくことが望ましく、請求項9の発明に示す通り予
圧部材を利用して磁歪素子に適切な圧縮力を与えること
ができる。したがって、制御対象物の動きを水平方向に
制御しようとする場合に特に適した構成である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の磁歪式アクチュエータの一実施例を説明する。 (第1実施例)図1は、本発明の第1実施例に係る磁歪
式アクチュエータの断面図である。
【0022】このアクチュエータは、大きく分けて、筒
状のケーシング1と、ケーシング1の内部にケーシング
1と同軸で収容された変位発生部2と、この変位発生部
2に磁界を印加する磁界印加部3とで構成されている。
【0023】ケーシング1は、純鉄などの高透磁率材か
ら成る内筒体4と外筒体5とで構成されている。内筒体
4は、円筒部材6と、円板状に形成されて円筒部材6の
一端側開口部を閉塞するように円筒部材6に固定された
封じ部材7とで構成されている。外筒体5も同様に、円
筒部材8と、円板状に形成されて円筒部材8の一端側開
口部を閉塞するように円筒部材8に固定された封じ部材
9とで構成されている。
【0024】そしてケーシング1は、内筒体4の開口部
と外筒体5の開口部を向い合わせた状態で、内筒体4を
外筒体5の開口部から奥へ挿入し、内筒体4の円筒部材
6外周と外筒体5の円筒部材8内周とが、互いに微小ギ
ャップ10を保って対向するように配置されている。
【0025】変位発生部2は、S極面を外筒体5の封じ
部材9の内面に密接に取付けて設けられた円板状の永久
磁石11と、一端側を永久磁石11のN極面に密接に取
付けてケーシング1および永久磁石11と同軸的に配置
された円柱状の磁歪素子12と、S極面を磁歪素子12
の図面上面に、N極面を内筒体4の封じ部材7の内面に
夫々密接に取付けて設けられた円板状の永久磁石13と
で構成されている。
【0026】磁界印加部3は、前述した永久磁石11、
13と、磁歪素子12の周りに磁歪素子12と同心的に
配置されたコイル14とで構成されている。コイル14
は、非磁性材例えば樹脂、アルミニウムなどで形成され
た巻枠15の外周に巻装されている。巻枠15の図中下
方に位置しているフランジ部16aは、外筒体5の封じ
部材9の内面に図示しないネジ等によって固定されてい
る。
【0027】ケーシング1においては、内筒体4の円筒
部材6の外周には、環状溝17、18が形成されてお
り、これら環状溝17、18内には、内筒体4と外筒体
5との軸直角方向への相対的な移動を拘束しながら軸方
向への相対的な移動を許容するように弾性的に支持する
ゴム等で形成された弾性支持リング19、20が装着さ
れている。なお、上記環状溝17、18は内筒体4の円
筒部材6の外周に形成されているが、逆に外筒体5の円
筒部材8に形成しても良い。
【0028】そしてこの実施例では、上記環状溝17、
18内には断面が角型の弾性支持リング19、20が装
着されている。この弾性支持リング19、20にはシー
ル機能(円筒部材6と円筒部材8との間を密封する機
能)は要求されないため、強固に圧縮して装着する必要
はない。
【0029】なお、内筒体4および外筒体5は、コイル
14および永久磁石11、13に対する閉磁気回路とし
ての機能を有しており、ギャップ10は磁気抵抗を小さ
くする観点からできるだけ狭くすることが望ましい。
【0030】そして磁歪素子12は、Ni系合金、Fe
−Al合金、フェライト系合金、希土類金属−遷移金属
系合金などの磁歪特性を備えた磁性体で形成されてい
る。以上のような構成であると、永久磁石11のN極か
ら出た磁束は、磁歪素子12→永久磁石13→封じ部材
7→円筒部材6→円筒部材8→封じ部材9→永久磁石1
1の経路で通過する。すなわち、上記各要素によって1
つの閉磁気回路が構成されている。そして、永久磁石1
1、13は閉磁気回路に直列に介装されて磁歪素子12
にバイアス磁界を印加する機能を果たしている。この実
施例では、閉磁気回路に図示の極性で介装されているの
で、永久磁石11に基づいて印加される磁界と永久磁石
13に基づいて印加される磁界とを加算した強さの磁界
が、磁歪素子12にバイアス磁界として軸方向に印加さ
れる。
【0031】このバイアス磁界の印加によって磁歪素子
12は、バイアス磁界が印加されない場合に比べて、軸
方向に所定量だけ伸長した状態あるいは軸方向に所定量
だけ収縮した状態で保持される。伸長するか収縮するか
は、磁歪素子12を構成している材料の特性によって決
まるが、ここでは説明の便宜上、バイアス磁界の印加に
よって、磁歪素子12が軸方向に所定量だけ伸長した状
態で保持されているものとして説明する。
【0032】コイル14が磁歪素子12と同心的に配置
されているので、このコイル14で発生する磁界は、磁
歪素子12に印加される磁界の強さを増減させる。した
がって、磁歪素子12に印加される磁界の強さがバイア
ス磁界レベルよりも大きくなる向きの電流をコイル14
に流すと、印加磁界の増加分に相当する量だけ磁歪素子
12がさらに伸長する。逆に、磁歪素子12に印加され
る磁界の強さがバイアス磁界レベルよりも小さくなる向
きの電流をコイル14に流すと、印加磁界の減少分に相
当する量だけ磁歪素子12が収縮する。このため、コイ
ル14に流す電流を制御することにより、磁歪素子12
を伸縮させることができる。この磁歪素子12の伸縮変
位は、内筒体4と外筒体5の相対的な変位として、外部
に取出すことができる。例えば、外筒体5を固定部側と
して配置すれば、内筒体4の変位を図示しない負荷に伝
えることができ、ここにアクチュエータとしての機能を
発揮させることができる。
【0033】そして、本実施例の場合には、内筒体4を
構成する円筒部材6と外筒体5を構成する円筒部材8と
の間に、弾性支持リング19、20を介在させて、この
弾性支持リング19、20の弾性的な変形によって、内
筒体4と外筒体5の軸方向への相対移動が自在になるよ
うに支持しているので、すべり軸受を用いて支持する場
合とは違って、固体摩擦が発生することがない。このた
め、アクチュエータの制御性を向上させることができ
る。
【0034】また、閉磁気回路において、円筒部材6と
円筒部材8との間のギャップ10は、磁気抵抗の増大に
寄与するが、本アクチュエータにおいては、ギャップ1
0の円筒部材6と円筒部材8との対向面積が広い、すな
わち、円筒部材6と円筒部材8が微小ギャップ10を隔
ててオーバラップして配設されており、対向面積が極め
て広く設定されている。したがって従来のアクチュエー
タに比べて、大型化を招くことなく、ギャップ10の磁
気抵抗を小さくすることができ、これにより、磁歪素子
12に印加するバイアス磁界を軸方向に均一にして制御
性の良好な変位範囲を広げるとともに、外部への磁気漏
れを防ぐことができる。
【0035】なお、図1に示す実施例では、弾性支持リ
ングの断面が角形であるが、断面が円形や楕円形の例え
ばOリング等であっても良い。また、円筒部材の周囲を
一周する完全なリング状である必要はなく、円筒部材の
周囲を複数箇所で支持するように複数の弾性支持部材を
用いても良く、その場合には幾何学的に対象な複数の位
置で支持することが望ましい。
【0036】またさらに、永久磁石11、13を使って
磁歪素子12にバイアス磁界を印加するようにしている
が、コイル14にバイアス磁界発生分に相当する直流電
流を常時流すことによって永久磁石を省略するようにし
ても良い。さらに、コイル14は、巻枠15の図中下方
に位置しているフランジ部16aで外筒体5の封じ部材
9に固定されているが、これと引き替え、巻枠15の図
中上方に位置しているフランジ部16bで内筒体4の封
じ部材7に固定されていても良い。 (第2実施例)図2は、本発明の第2実施例に係る磁歪
式アクチュエータの断面図である。
【0037】このアクチュエータも第1実施例と同様
に、大きく分けて二重筒状のケーシング1と、ケーシン
グ1の内部にケーシング1と同軸で収容された変位発生
部2と、この変位発生部2に磁界を印加する磁界印加部
3とで構成されている。
【0038】ケーシング1は、内筒体4と、外筒体5お
よび図3に要部を拡大して示す第2実施例で特徴的な内
筒体4と外筒体5とを連結するための薄板状のガイド部
材21、22で構成されている。
【0039】本第2実施例は、上記第1実施例と比較し
て、薄板状のガイド部材21、22で磁歪素子12の伸
縮に伴なう内筒体4と外筒体5との相対移動を案内支持
することが特徴であるが、以下第2実施例の構成につい
て図2および図3を参照して説明する。
【0040】内筒体4は、円筒部材6と、円板状に形成
されて円筒部材6の一端側開口部を閉塞するように円筒
部材6に固定された封じ部材7と、封じ部材7の図面上
方周囲に形成された断面L型切り欠き部を埋めるように
してガイド部材21の内側フランジ部25を挟んで図示
しない捩子で止められたガイド部材固定リング28と、
円筒部材6の図面下端面にガイド部材22の内側フラン
ジ25を挟んで図示しない捩子で止められたガイド部材
固定リング30とで構成されている。
【0041】一方外筒体5は、円筒部材8と、円板状に
形成されて円筒部材8の図面下端開口部を閉塞するよう
に円筒部材8にガイド部材22の外側フランジ部26を
挟んで固定された封じ部材9と、周囲が内筒体4の開口
部内面と僅かなギャップ10を保って円板状に形成され
て封じ部材9の図中上面側に固定されたヨーク部材35
と、円筒部材8の図中上端面にガイド部材21の外側フ
ランジ部26を挟んで図示しない捩子で固定されたガイ
ド部材固定リング29とで構成されている。
【0042】ガイド板材21、22は、図3に示すよう
に、リング状に形成された内側フランジ部25と外側フ
ランジ部26を薄板状の4箇所の連結部27で連結した
ように形成されており、この連結部27の曲げ変形が内
筒体4と外筒体5の軸方向の相対移動を許容するように
働く。なお、ケーシング1においては、内筒体4を構成
する円筒部材6と封じ部材7、外筒体5を構成するヨー
ク部材35は、純鉄などの高透磁率材からなっている。
【0043】変位発生部2は、S極面を外筒体5を構成
するヨーク部材35の内面に密接させて設けられた円板
状の永久磁石11と、一端側を永久磁石11のN極面に
密接に結合されてケーシング1および永久磁石11と同
軸的に配置された円柱状の磁歪素子12と、S極面を磁
歪素子12の図中上面側に、N極面を内筒体4の封じ部
材7の内面に夫々密接に取付けて設けられた円板状の永
久磁石13とで構成されている。
【0044】磁界印加部3は、前述した永久磁石11、
13と、磁歪素子12の周りに磁歪素子12と同心的に
配置されたコイル14とで構成されている。コイル14
は、非磁性材例えば樹脂、アルミニウムなどで形成され
た巻枠15の外周に巻装されている。巻枠15の図中下
方側に位置している巻枠フランジ16aは、ヨーク部材
35の内面に図示しない捩子によって固定されている。
【0045】ケーシング1において、内筒体4およびヨ
ーク部材35は、コイル14および永久磁石11、13
に対する閉磁気回路としての機能も有しているため、ギ
ャップ10は磁気抵抗を小さくする観点からできるだけ
狭くすることが望ましい。
【0046】磁歪素子12は、第1実施例と同様にNi
系合金、Fe−Al合金、フェライト系合金、希土類金
属−遷移金属系合金などの磁歪特性を備えた磁性体で形
成されている。
【0047】以上のような構成であると、永久磁石11
のN極から出た磁束は、磁歪素子12→永久磁石13→
封じ部材7→円筒部材6→ヨーク部材35→永久磁石1
1の経路で通過するように、上記各要素によって1つの
閉磁気回路が構成されている。そして、永久磁石11、
13は閉磁気回路に直列に介装されて磁歪素子12にバ
イアス磁界を印加する機能を果たしており、永久磁石1
1に基づいて印加される磁界と永久磁石13に基づいて
印加される磁界とを加算した強さの磁界が、磁歪素子1
2にバイアス磁界として軸方向に印加される。このバイ
アス磁界の印加によって磁歪素子12は、バイアス磁界
が印加されない場合に比べて、軸方向に所定量だけ伸長
した状態あるいは軸方向に所定量だけ収縮した状態で保
持される。伸長するか収縮するかは、磁歪素子12を構
成している材料の特性によって決まるが、この第2実施
例でも説明の便宜上、第1実施例と同様にバイアス磁界
の印加によって、磁歪素子12が軸方向に所定量だけ伸
長した状態で保持されているものとして説明する。
【0048】コイル14が磁歪素子12と同心的に配置
されているので、このコイル14で発生する磁界は、磁
歪素子12に印加される磁界の強さを増減させる。した
がって、磁歪素子12に印加される磁界の強さがバイア
ス磁界レベルよりも大きくなる向きの電流をコイル14
に流すと、印加磁界の増加分に相当する量だけ磁歪素子
12がさらに伸長する。逆に、磁歪素子12に印加され
る磁界の強さがバイアス磁界レベルよりも小さくなる向
きの電流をコイル14に流すと、印加磁界の減少分に相
当する量だけ磁歪素子12が収縮する。このため、コイ
ル14に流す電流を制御することにより、磁歪素子12
を伸縮させることができる。この磁歪素子12の伸縮変
位は、内筒体4と外筒体5の相対的な変位として、外部
に取出すことができる。例えば、外筒体5を固定すれ
ば、内筒体4の変位を図示しない負荷に伝えることがで
き、ここにアクチュエータとしての機能を発揮させるこ
とができる。
【0049】そして、この第2実施例の場合には、内筒
体4と外筒体5とが、その面を内筒体4および外筒体5
の軸方向にそれぞれ向けたガイド部材21、22によっ
て連結されているので、ガイド部材の連結部27の曲げ
変形によって内筒体4と外筒体5の軸方向への相対移動
を妨げず、同時に内筒体4と外筒体5との軸直交方向の
相対移動をガイド部材の連結部27の引っ張り剛性によ
って阻止できるため、ギャップ10が狭まってヨーク部
材35の外周と円筒部材6内周とが直接接触するような
ことはない。したがって、すべり軸受を用いて支持する
場合とは異なり、固体摩擦が発生することがなく、アク
チュエータの制御性を向上させることができる。
【0050】しかも、この第2実施例では、内筒体4あ
るいは外筒体5に、アクチュエータ軸方向に直角な方向
の外力や、アクチュエータ軸方向に直角な軸回りのモー
メント(こじり力)が作用した場合でも、ガイド部材2
1、22の引っ張り剛性により内筒体4と外筒体5との
接触を防ぎ、同時にガイド部材21、22の曲げ変形に
より内筒体4と外筒体5の軸方向の相対移動を許容し、
磁歪素子12の伸縮を妨げることがないように構成され
ている。このガイド部材21、22の有する機能、すな
わち、内筒体4と外筒体5との軸方向の相対移動を許容
しながら軸直角方向の相対移動を拘束する効果は、図1
の第1実施例に示した弾性支持リング19、20よりも
大きいため、さらに制御を良好に行うことが可能とな
る。
【0051】なお、図2に示す第2実施例では、永久磁
石11、13を使って磁歪素子12にバイアス磁界を印
加するようにしているが、コイル14にバイアス磁界発
生分に相当する直流電流を常時流すことによって永久磁
石を省略するようにしても良い。さらに、コイル14
は、巻枠15の図中下方側に位置している巻枠フランジ
16aでヨーク部材35に固定されているが、これと引
き替え、巻枠14の図中上方に位置している巻枠フラン
ジ16b内筒体4の封じ部材7に固定されていても良
い。 (第3実施例)図4は、本発明の第3実施例に係る磁歪
式アクチュエータの断面図を示す。
【0052】この図4では図1あるいは図2と同一部分
が同一符号で示されている。したがって、重複する部分
の詳しい説明は省略する。本第3実施例のアクチュエー
タも、大きく分けて、筒状のケーシング1と、ケーシン
グ1の内部にケーシング1と同軸で収容された変位発生
部2と、この変位発生部2に磁界を印加する磁界印加部
3とで構成されている。変位発生部2および磁界印加部
3は、先の第1実施例と同様であり、特に第1実施例と
比較して異なる部分はケーシング1に用いられるガイド
部材の構成であり、このガイド部材21、22の構成と
して第2実施例のものを採用している。
【0053】以下第1実施例と異なるケーシング1の構
成を中心に説明する。ケーシング1は、内筒体4、外筒
体5およびこれらを連結する薄板状のガイド部材21、
22とから構成されている。これらガイド部材21、2
2の具体的な形状については、第2実施例の図3と同様
な形状であり図5に示すようにリング状に形成された内
側フランジ部25と外側フランジ部26とを幾何学的に
対称となる4箇所の連結部27で連結して一体的に形成
されている。そして、これら連結部27の曲げ変形によ
り内筒体と外筒体の軸方向の相対移動を許容するように
機能する。
【0054】ガイド部材21と内筒体4との結合につい
ては、ガイド部材21の端部を、封じ部材7周囲のL形
に切り欠かれた図面上方側を向いた面に、ガイド部材固
定リング28で図面下方向側に押さえ、図示しないネジ
で固定している。ガイド部材21と外筒体4との結合
は、ガイド部材21の端部を、円筒部材8の図面上端側
の周囲に張り出したフランジ部の上面に、ガイド部材固
定リング29で図面下方向側に押さえ、図示しないネジ
で固定している。
【0055】また、ガイド部材22と内筒体4との結合
は、ガイド部材22の端部を、円筒部材6の図面下端面
に、ガイド部材固定リング30で図面上方向側に押さ
え、図示しないネジで固定されている。ガイド部材22
と外筒体5との結合は、ガイド部材22の端部を、封じ
部材9の周囲に張り出したフランジ部の図面上面側に、
ガイド部材固定リング31で図面下方向側に押さえ図示
しないネジで固定されている。なお、円筒部材8の図面
下面側には、周囲4か所に切り欠き32が設けられて、
ガイド部材22の中央部が円筒部材8と接触しないよう
になっている。
【0056】なお、ガイド部材21、22については図
5に示すように内側フランジ部25、外側フランジ部2
6および連結部27を一体的に形成することが望ましい
が、図6および図7に示すようにそれぞれの部材を別体
として構成しても良い。すなわち、図7に図6中の上方
部分に配置されたガイド部材21を中心に描いた上面図
を示すが、内側フランジ部25と外側フランジ部26、
および4枚の連結部27をそれぞれ別体とて構成し、連
結部27を放射状に配置すると共に、この場合には内側
フランジ部25をガイド部材固定リング28の機能を兼
用して用い、外側フランジ部26をガイド部材固定リン
グ29の機能を兼用して用いている。
【0057】つまり図2に示したガイド部材固定リング
28、29を省略し、連結部27を内側フランジ部25
で内筒体4の封じ部材7に固定し、外側フランジ部26
で外筒体4の円筒部材8に固定している。
【0058】なお、同様に図6中の下方に配置されたガ
イド部材22は、内側フランジ部25と外側フランジ部
26、および4枚の連結部27をそれぞれ別体とし、こ
の場合には内側フランジ部25が図4に示したガイド部
材固定リング30の機能を兼用しており、外側フランジ
部26が図4に示したガイド部材固定リング31の機能
を兼用している。つまり図4に示したガイド部材固定リ
ング30、31を省略し、連結部27を内側フランジ部
25で内筒体4の円筒部材8に固定し、外側フランジ部
26で封じ部材9に固定している。
【0059】以上のような第3実施例に係る構成のアク
チュエータでは、上記第1実施例および第2実施例と同
様に永久磁石11、13は閉磁気回路に直列に介装され
て磁歪素子12にバイアス磁界を印加しており、このバ
イアス磁界が印加された状態から、磁歪素子12と同心
的に配置されているコイル14に磁歪素子12に印加さ
れる磁界の強さがバイアス磁界レベルよりも大きくなる
向きの電流を流すと、印加磁界の増加分に相当する量だ
け磁歪素子12がさらに伸長もしくは収縮する。逆に、
磁歪素子12に印加される磁界の強さがバイアス磁界レ
ベルよりも小さくなる向きの電流をコイル14に流す
と、印加磁界の減少分に相当する量だけ磁歪素子12が
収縮もしくは伸長させることができる。
【0060】したがって、コイル14に流す電流を制御
することにより、磁歪素子12を伸縮させ、この磁歪素
子12の伸縮変位を内筒体4と外筒体5の相対的な変位
として外部に取出すことができる。
【0061】そして、本第3実施例の場合にも、第1実
施例と同様に弾性支持リング19、20の弾性的な変形
によって、内筒体4と外筒体5の軸方向への相対移動が
自在になるように支持しているので、すべり軸受を用い
て支持する場合とは違って、固体摩擦が発生することが
なく、アクチュエータの制御性を向上させることができ
る。また、閉磁気回路において、円筒部材6と円筒部材
8との間のギャップ10の対向面積が広いので、従来の
アクチュエータに比べて、大型化を招くことなく、ギャ
ップ10の磁気抵抗を小さくすることができ、磁歪素子
12に印加するバイアス磁界を軸方向に均一にして制御
性の良好な変位範囲を広げるとともに、外部への磁気漏
れを防ぐことができるといった効果が得られる。
【0062】しかも、上記第1実施例と同様な効果にさ
らに加えて、この第3実施例では、内筒体4あるいは外
筒体5に、アクチュエータ軸方向に直角な方向の外力
や、アクチュエータ軸方向に直角な軸回りのモーメント
(こじり力)が作用した場合でも、ガイド部材21、2
2の引っ張り剛性により内筒体4と外筒体5との接触を
防ぎ、同時にガイド部材21、22の曲げ変形により内
筒体4と外筒体5と軸方向の相対移動を許容し、磁歪素
子の伸縮を妨げることがないように構成されている。こ
のガイド部材21、22の有する機能、すなわち、内筒
体4と外筒体5との軸方向の相対移動を許容しながら軸
直角方向の相対移動を拘束する効果は、図1の第1実施
例に示した弾性支持リング19、20よりも大きいた
め、さらに制御を良好に行うことが可能となる。
【0063】また、図4および図6に示すアクチュエー
タにも、内筒体4の外周に環状溝17、18が形成され
ており、これらの環状溝17、18内に断面円形の弾性
支持リング19、20が装着されている。この場合の弾
性支持リング19、20は、組立て時における内筒体4
と外筒体5との相対的な位置決め、すなわち、内筒体4
と外筒体5の軸を一致させる機能も併せ持っている。
【0064】つまり、図4および図6に示す磁歪式アク
チュエータにおいて、弾性支持リング19、20が設け
られておらず、ガイド部材21、22のみで内筒体4と
外筒体5との相対移動を支持する場合を想定すると、組
立て工程時に、内筒体4と外筒体5とを微小なギャップ
10を介して精度良く中心軸を一致させなければなら
ず、組立て工程が複雑になる虞が生じる。しかし、弾性
支持リング19、20を設けている本実施例によれば、
組立て工程時には弾性支持リング19、20を装着した
状態で、内筒体4を外筒体5内に挿入するだけで両者の
中心軸を精度良く一致させることができる。 (第4実施例)次に図8は、本発明の第4実施例に係る
磁歪式アクチュエータの断面図を示すものである。
【0065】この図8においても、図1乃至図7と同一
の部分が同一で示されているため、重複する部分の説明
は省略する。この第4実施例が特徴とするのは、上述の
第3実施例に対して、ガイド部材21、22のうち下方
に配設されたガイド部材22を省略した構成である。
【0066】すなわち図8中上半分の構成が図4に示し
た第3実施例アクチュエータに相当し、図8中下半分の
構成が図1に示した第1実施例のアクチュエータに相当
する構成となっている。
【0067】このようにガイド部材22を省略し、ガイ
ド部材21のみで支持する構成としても、内筒体4ある
いは外筒体5に、アクチュエータ軸に直角な方向の外力
や、アクチュエータ軸に直角な軸回りのモーメント(こ
じり力)が作用した場合に、ガイド部材21の引っ張り
剛性により内筒体4と外筒体5との接触を防ぎ、同時に
ガイド部材21の曲げ変形により内筒体4と外筒体5と
軸方向の相対移動を許容し、磁歪素子の伸縮を妨げるこ
とがないように機能させることが可能となる。このガイ
ド部材21の有する機能、すなわち、内筒体4と外筒体
5との軸方向の相対移動を許容しながら軸直角方向の相
対移動を拘束する効果は、図1の第1実施例に示した弾
性支持リング19、20よりも大きいため、第1実施例
よりもさらに制御を良好に行うことが可能となる。 (第5実施例)図9は、本発明の第5実施例に係る磁歪
式アクチュエータの断面図を示すものである。この図で
は図1乃至図7と同一部分が同一符号で示されている。
したがって、重複する部分の詳しい説明は省略する。
【0068】本第5実施例のアクチュエータも、大きく
分けて、二重円筒状のケーシング1と、ケーシング1の
内部にケーシング1と同軸で収容された変位発生部2
と、この変位発生部2に磁界を印加する磁界印加部3と
で構成されている。変位発生部2および磁界印加部3
は、第1実施例乃至第4実施例と同様であり、特徴を有
するのはケーシング1の部分の構造である。
【0069】ケーシング1を構成する内筒体4の円筒部
材6の外周面には外側に向かってフランジ37が張り出
すように形成されている。一方、外筒体5の円筒部材8
の内周面には内側に向かってフランジ38が張り出すよ
うに形成されており、上記フランジ37と対向してい
る。フランジ37とフランジ38との間には圧縮された
弾性リング部材39が介装され、フランジ37とフラン
ジ38とは弾性リング部材39の弾性力によって互いに
反発し合って配設されている。これにより、磁歪素子1
2には圧縮力が与えらている。
【0070】ところで、磁歪素子12は、伸縮軸方向に
対して予め圧縮力を与えておいた方が伸縮変位量が大き
くなるが、図10に示すように、圧縮力による面圧が適
当な値で伸縮変位量が最大になり、それよりも大きいと
伸縮変位量が減じてしまう。そのため図11に示す磁歪
アクチュエータAのように、制御対象物Cを鉛直方向に
支持しながら上下方向に移動制御する場合は、磁歪素子
に作用する面圧が適切になるように磁歪素子の断面積を
設定すればよい。この場合は第1乃至第4実施例に示す
アクチュエータを用いて磁歪素子12の太さを適宜設定
することが有効である。
【0071】しかし、図11に示す磁歪アクチュエータ
Bのように、制御対象物Cの動きを水平方向に制御しよ
うとする場合は、制御対象物Cの自重がアクチュエータ
Aのように重力方向に作用しないので、特別に磁歪素子
に圧縮力を与えておくことが望ましい。図9に示した第
5実施例は、ケーシング1を構成する内筒体4と外筒体
5の隙間に弾性リング部材29が圧縮状態で介装されて
いるので、大型化を招くことなく、この弾発力を利用し
て磁歪素子12に適切な圧縮力を与えることができる。
したがって、図11に示す磁歪アクチュエータBのよう
に制御対象物の動きを水平方向に制御しようとする場合
に特に適した構成である。 (第6実施例)図12は、本発明の第6実施例に係る磁
歪式アクチュエータの断面図を示すものである。この図
では図1乃至図9と同一部分が同一符号で示されてい
る。したがって、重複する部分の詳しい説明は省略す
る。
【0072】本第6実施例のアクチュエータも、大きく
分けて、筒状のケーシング1と、ケーシング1の内部に
ケーシング1と同軸で収容された変位発生部2と、この
変位発生部2に磁界を印加する磁界印加部3とで構成さ
れている。変位発生部2および磁界印加部3は、第1実
施例乃至第5実施例と同様であり、特徴を有するのは先
の第5実施例と同様にケーシング1の部分の構造であ
る。
【0073】ケーシング1を構成する内筒体4の円筒部
材6の外周面には外側に向かってフランジ37が張り出
すように形成されている。一方、外筒体5の円筒部材8
は周囲の一部が凹凸部を形成し、外周側に凸となる凸部
38を有する形状に形成され、この凸部38の内側の一
方はフランジ37と対向している。フランジ37と凸部
38との間には圧縮された弾性リング部材39が介装さ
れて、フランジ37と凸部38とは弾性リング部材39
の弾性力によって互いに反発し合っている。これによ
り、磁歪素子12には先の第5実施例と同様に圧縮力が
与えらている。
【0074】このように図12に示した第6実施例のア
クチュエータにおいても、先の第5実施例と同様に、ケ
ーシング1を構成する内筒体4と外筒体5の隙間に弾性
リング部材39が圧縮状態で介装されているので、大型
化を招くことなく、この弾発力を利用して磁歪素子12
に適切な圧縮力を与えることができる。したがって、図
11の磁歪アクチュエータBとして示したように制御対
象物の動きを水平方向に制御しようとする場合に特に適
した構成である。
【0075】なおこの第6実施例は、図1の第1実施例
等に示した通り、内筒体4および外筒体5は、コイル1
4および永久磁石11、13に対する閉磁気回路として
の機能を有している。そして、それらの間のギャップ1
0は磁気抵抗を小さくする観点からできるだけ狭くする
ことが望ましが、本第6実施例のアクチュエータにおい
ては、微小ギャップ10を隔てて内筒体4および外筒体
5が対向する面積が第5実施例のものと比較すると格段
に広く構成されている。
【0076】このように、円筒部材6と円筒部材8との
対向面積が広いので大型化を招くことなく、ギャップの
磁気抵抗を小さくすることができる。これにより、磁歪
素子12に印加するバイアス磁界を軸方向に均一にして
制御性の良好な変位範囲を広げるとともに、外部への磁
気漏れを防ぐこともできる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、磁
歪式アクチュエータにその伸縮軸に直角な方向の外力が
作用した場合でも、磁歪素子の破損を防止するととも
に、磁歪素子の伸縮にともなう支持部の固体摩擦をとも
なうことなく応答性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータの断面図である。
【図2】 本発明の第2実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータの断面図である。
【図3】 本発明の第2実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータにおけるガイド部材の上面図である。
【図4】 本発明の第3実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータの断面図である。
【図5】 本発明の第3実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータにおけるガイド部材の上面図である。
【図6】 本発明の第3実施例の変形例に係る磁歪式ア
クチュエータの断面図である。
【図7】 本発明の第3実施例の変形例に係る磁歪式ア
クチュエータにおけるガイド部材の上面図である。
【図8】 本発明の第4実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータの断面図である。
【図9】 本発明の第5実施例に係る磁歪式アクチュエ
ータの断面図である。
【図10】 磁歪素子における面圧と伸縮量の関係を示
す図である。
【図11】 本発明に係る磁歪式アクチュエータの使用
例を示す図である。
【図12】 本発明の第6実施例に係る磁歪式アクチュ
エータの断面図である。
【図13】 従来の磁歪式アクチュエータの断面図であ
る。
【図14】 磁歪素子の磁界と歪みとの関係を示す図で
ある。
【図15】 バイアス磁界を印加した磁歪素子の制御磁
界と歪みとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 変位発生部 3 磁界印加部 4 内筒体 5 外筒体 6 円筒部材 7 封じ部材 8 円筒部材 9 封じ部材 10 ギャップ 11 永久磁石 12 磁歪素子 13 永久磁石 14 コイル 15 巻枠 19 弾性支持リング 20 弾性支持リング 21 ガイド部材 22 ガイド部材
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02N 2/00 G05D 3/00 H01L 41/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁歪を有する磁性体からなる変位発生手段
    と、 前記変位発生手段の周囲に配設され、前記変位発生手段
    に磁界を印加するための磁界発生手段と、 前記変位発生手段と前記磁界発生手段を収納し、前記変
    位発生手段とともに閉磁気回路を構成する閉磁気回路構
    成部材とを具備した磁歪式アクチュエータにおいて、 前記閉磁気回路構成部材が、有底状の内筒部材と、この
    内筒部材の外周と間隙を保って同芯状に配設された有底
    状の外筒部材とで構成され、 前記内筒部材の底部内面側および前記外筒部材の底部内
    面側のそれぞれに前記変位発生手段の一端側および他端
    側の端面をそれぞれ連結して成ることを特徴とする磁歪
    式アクチュエータ。
  2. 【請求項2】前記内筒部材の外周と前記外筒部材の内周
    との間の間隙部分に弾性変形により前記内筒部材と前記
    外筒部材との相対移動を許容する案内手段が設けられて
    いることを特徴とする請求項1に記載の磁歪式アクチュ
    エータ。
  3. 【請求項3】一端側が前記内筒部材に、他端側が前記外
    筒部材に取付けられた薄板部材が、その平面を前記変位
    発生手段の変位方向と略直交する向きに配設されて成る
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁歪式アクチュエー
    タ。
  4. 【請求項4】前記内筒部材の外周と前記外筒部材の内周
    との間の間隙部分に前記変位発生手段の変位方向には変
    位を許容し、前記変位方向以外には変位を拘束する拘束
    力を発生する案内手段が設けられていることを特徴とす
    る請求項1に記載の磁歪式アクチュエータ。
  5. 【請求項5】前記薄板部材は、前記内筒部材に取付けら
    れる内側リング部材と、前記外筒部材に取付けられる外
    側リング部材と、これら内側リング部材と外側リング部
    材とを連結し前記変位発生手段により変形可能な複数の
    連結部材とで構成されることを特徴とする請求項1に記
    載の磁歪式アクチュエータ。
  6. 【請求項6】磁歪を有する磁性体からなる変位発生手段
    と、 前記変位発生手段の周囲に配設され、前記変位発生手段
    に磁界を印加するための磁界発生手段と、 前記変位発生手段と前記磁界発生手段とを収納した有底
    筒状の第1部材と、 この第1部材と前記変位発生手段とともに閉磁気回路を
    構成するための第2部材と、 前記第1部材に一端側を取付け、他端側を前記第2部材
    に取付けると共にその平面を前記変位発生手段の変位方
    向と略直交する向きに配設した薄板部材とを具備し、 前記変位発生手段の一端側を第1部材に、他端側を第2
    部材に連結し、前記薄板部材の弾性変形により前記第1
    部材と第2部材とを相対移動可能に構成したことを特徴
    とする磁歪式アクチュエータ。
  7. 【請求項7】前記第2部材を有底筒状の部材で構成し、
    前記第1部材と第2部材の筒部分を微小間隙を介して同
    芯状に対向配置させたことを特徴とする請求項6に記載
    の磁歪式アクチュエータ。
  8. 【請求項8】前記薄板部材は、前記第1部材に取付けら
    れる第1リング部材と、前記第2部材に取付けられる第
    2リング部材と、これら第1リング部材と第2リング部
    材とを連結し前記変位発生手段により変形可能な複数の
    連結部材とで構成されることを特徴とする請求項6に記
    載の磁歪式アクチュエータ。
  9. 【請求項9】磁歪を有する磁性体からなる変位発生手段
    と、 前記変位発生手段の周囲に配設され、前記変位発生手段
    に磁界を印加するための磁界発生手段と、 前記変位発生手段と前記磁界発生手段を収納し、前記変
    位発生手段とともに閉磁気回路を構成する閉磁気回路構
    成部材とを具備した磁歪式アクチュエータにおいて、 前記閉磁気回路構成部材が、有底状の内筒部材と、この
    内筒部材の外周と間隙を保って同芯状に配設された有底
    状の外筒部材とで構成され、前記内筒部材の底部内面側
    および前記外筒部材の底部内面側のそれぞれに前記変位
    発生手段の一端側および他端側の端面をそれぞれ連結
    し、 前記内筒部材と前記外筒部材との間に前記変位発生手段
    を収縮させる方向へ与圧を与える与圧部材を配設したこ
    とを特徴とする磁歪式アクチュエータ。
  10. 【請求項10】前記アクチュエータを鉛直方向に沿って
    配置したことを特徴とする請求項9に記載の磁歪式アク
    チュエータ。
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