JP3288068B2 - 有機電解液電池 - Google Patents

有機電解液電池

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JP3288068B2 JP10880592A JP10880592A JP3288068B2 JP 3288068 B2 JP3288068 B2 JP 3288068B2 JP 10880592 A JP10880592 A JP 10880592A JP 10880592 A JP10880592 A JP 10880592A JP 3288068 B2 JP3288068 B2 JP 3288068B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機電解液電池に係
り、さらに詳しくはその有機電解液(以下、電池の名称
を表現する以外は、単に「電解液」という)の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】二酸化マンガン−リチウム電池に代表さ
れる有機電解液電池は、高電圧、長寿命、高エネルギー
密度であることから、年々その市場が拡大している。そ
して、その安全性向上のため、電解質として過塩素酸系
のLiClO4 に代えて、LiCF3 SO3 に代表され
るLiCn 2n+1SO3 系の有機リチウム塩が広く使用
されるようになってきた。しかし、LiCF3 SO3
どは従来使用のLiClO4 に比べて伝導度が低く、電
池特性も一般に低下する傾向にある。
【0003】そのため、最近、LiCF3 SO3 などに
代えて、(CF3 SO2 2 NLi、(CF3 SO2
3 CLiなどを電解質として用いることが提案されてい
る〔L.A.Dominey,Fifth Inter
national Seminar on Lithi
um Battery Technology and
Applications,March4〜6,1
(1991)〕。
【0004】これらの新しいリチウム塩は、LiCF3
SO3 などに比べて伝導度がはるかに優れており、Li
CF3 SO3 に比べて約2倍以上の伝導度を有してい
る。通常、伝導度が高ければ、電池の低温特性も改善さ
れるものと期待されるが、本発明者らが検討したところ
では、LiCF3 SO3 /PC:DME電解液〔プロピ
レンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン
(DME)との混合溶媒にLiCF3 SO3 を溶解させ
た電解液〕のLiCF3 SO3 に代えて、(CF3 SO
2 2 NLiを使用しても、電池の低温特性は改善され
なかった。また、低温特性を重視して、正極活物質に表
面積の大きいものを用いた場合には、後述するように、
放電初期に大きな電圧の落ち込みが生じることも判明し
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に、CF3 SO2 2 NLiなどのRfSO2 基〔Rf
はF(フッ素)またはフルオロアルキル基〕を2個以上
有する金属塩を用いた有機電解液電池が、高い伝導度を
有するにもかかわらず低温特性が改善できなかったとい
う問題点と、表面積の大きい正極活物質を用いた場合に
放電初期に大きな電圧の落ちこみが生じるという問題点
を解決し、低温特性の優れた有機電解液電池を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、BET比表面
積が15m2 /g以上の正極活物質を正極に用いた有機
電解液電池の電解質としてRfSO2 基(Rf=Fまた
はフルオロアルキル基)を2個以上含有する金属塩を使
用し、溶媒として環状エーテルとエチレンカーボネート
を使用する(ただし、環状エーテルの使用量の上限は全
溶媒中において90容量%であり、エチレンカーボネー
トの使用量は全溶媒中において50容量%以下である)
ことによって、電池の低温特性を改善し、上記目的を達
成したものである。
【0007】本発明を完成するにいたった経過を詳しく
説明すると次の通りである。
【0008】本発明者らは、まずLiCF3 SO3 系電
解液の伝導度を改善すべく溶媒組成の検討を行った。そ
の結果、PC:DME系で優れた伝導度が得られ、かつ
低温特性も最も優れていることがわかった。1,3−ジ
オキソランなどの使用も検討したが伝導度はかえって低
下した。また、エチレンカーボネートの添加も行った。
この場合、伝導度は向上するが、エチレンカーボネート
を加えすぎると低温で電解液が凝固しはじめるため、か
えって低温特性が低下し、少なくすると伝導度は少し高
くなるものの低温特性の向上には至らなかった。
【0009】そこで、さらに低温特性を向上させるた
め、CF3 SO2 基を2個有し、伝導度の向上効果が大
きい(CF3 SO2 2 NLiを電解質として用いた電
解液の検討を考えた。
【0010】この(CF3 SO2 2 NLiを電解質と
して用いることによって伝導度が向上する理由は、従来
使用のLiCF3 SO3 が次式のCF3 SO2 (O)L
iのようにLi(リチウム)に隣接したO原子(酸素原
子)にCF3 SO2 基が1個しか付いていないため、結
果的にこのO原子上の電子密度が高くなり、Li+ を放
出して電離しにくくなるのに対し、(CF3 SO2 2
NLiは、Liに隣接するN原子(チッ素原子)にCF
3 SO2 基が2個付いていて電子を吸引するため、N原
子上の電子密度がより低くなり、その結果、電離しやす
くなって、伝導度が向上するものと考えられる。したが
って、CF3 SO2 基などの電子吸引性基をLiに隣接
する原子により多く付けることにより電解質の電離が促
進され、より高い伝導度が得られるものと期待される。
【0011】この高い伝導度が期待できる(CF3 SO
2 2 NLiと従来使用のLiCF3 SO3 との伝導度
の比較を、LiCF3 SO3 で最も低温特性が優れてい
るPC:DME系で比較したところ、0.6MLiCF
3 SO3 /PC:DME(1:2)〔プロピレンカーボ
ネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)
との容量比1:2の混合溶媒にLiCF3 SO3 を0.
6mol/l(M)溶解させたもの〕の伝導度は−20
℃で3.3mS/cm、30℃で6.1mS/cmであ
るのに対し、0.6M(CF3 SO2 2 NLi/P
C:DME(1:2)〔プロピレンカーボネートと1,
2−ジメトキシエタンとの容量比1:2の混合溶媒に
(CF3 SO2 2 NLiを0.6mol/l溶解させ
たもの〕では−20℃で5.6mS/cm、30℃で1
3.8mS/cmであり、約2倍程度伝導度が高くなっ
ていた。
【0012】そこで、この(CF3 SO2 2 NLi系
電解液を用いて図1に示すような筒形リチウム電池を作
製し、実際に低温でのパルス放電特性を調べたところ、
意外にも低温特性は改善されず、放電初期に電池の放電
電圧が落ち込む、いわゆるディレイ現象まで現れた。そ
のため、さらに溶媒の組合せ、組成比の影響を検討した
ところ、意外なことに、LiCF3 SO3 では伝導度の
向上や低温特性の向上に効果のなかった1,3−ジオキ
ソランなどの環状エーテルが低温特性を向上させ、また
エチレンカーボネートを添加するとさらに低温特性が向
上することが判明した
【0013】本発明において、電解質としてはRfSO
2 基を2個以上有する金属塩を用いるが、このRfはF
またはフルオロアルキル基であり、上記金属塩中に含ま
れる金属としては、たとえばLi、Na、Cs、Ca、
Mg、Al、B、P、Ga、Si、As、Sbなどが挙
げられる。ただし、リチウムやリチウム化合物を負極に
用いる場合には、上記金属塩中の金属としてはLi(リ
チウム)が最も適している。
【0014】上記RfSO2 基を2個以上有する金属塩
の代表例としては、たとえば(CF3 SO2 2 NL
i、(CF3 SO2 3 CLiなどが挙げられる。これ
らの金属塩においては、Liなどの金属と隣接する原子
がRfSO2 基を有する電子吸引性の大きな置換基2個
以上と結合していることが、電解液の伝導度向上に関し
て非常に重要である。
【0015】上記RfSO2 基を2個以上有する金属塩
を電解質として用いる時の濃度としては、通常1M(m
ol/l)程度で伝導度が最大となるが、低温での特性
を重視するならば、0.2〜0.8M、特に0.4〜
0.6Mが好ましい。濃度を0.4M以上にすると、従
来の溶媒組成、たとえばPC:DME系を用いても低温
特性は向上するが、濃度が高くなると低温でのディレイ
が大きくなり、放電初期の電圧が電池使用機器の作動電
圧以下に低下して、電池使用機器の作動が遅れるおそれ
がある。
【0016】本発明においては、電解液の溶媒として環
状エーテルとエチレンカーボネートを用いるのが必須条
件であり、この環状エーテルとしては、たとえば1,3
−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、1,3,5−トリオキサン、それらの誘導体など
が挙げられるが、なかでも1,3−ジオキソランが好ま
しい。この環状エーテルの使用量としては全溶媒中にお
いて半分以上にするのが好ましく、より好ましくは60
〜90容量%、さらに好ましくは65〜80容量%であ
る。つまり、この環状エーテルは低温特性の向上に寄与
するが、多くなりすぎると貯蔵性を低下させるおそれが
あるので、上記のようにその使用量の上限を考慮し、本
発明では、環状エーテルの使用量の上限を全溶媒中にお
いて90容量%とした。
【0017】また、エチレンカーボネートを添加する
と、さらに低温特性が向上する。ただし、エチレンカー
ボネートの比率は半分以下にする必要があり、より好ま
しくは10〜40容量%、さらに好ましくは20〜35
容量%である。すなわち、このエチレンカーボネートは
特定範囲内の使用では低温特性の向上に寄与するが、多
くなりすぎると電解液が低温で凝固しはじめ、かえって
低温特性を低下させることになるので、上記のようにそ
の添加量の上限を考慮しつつ使用するのが好ましい。
【0018】また、上記環状エーテル、エチレンカーボ
ネート以外にも、たとえばプロピレンカーボネート、ブ
チレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ビニレンカーボネートなどのカーボネ
ート類、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、1,2
−ジメトキシエタン、ジグライムなどの鎖状エーテル
類、さらにはスルホラン、ジクロロメタン、リン酸トリ
メチル、ニトリル類、アミド類などを適宜使用すること
ができる。ただし、これらのカーボネート類やエステル
類を使用する場合は、それらとエチレンカーボネートと
を併せた量が上記エチレンカーボネートに関して記載し
た使用量の範囲内で使用することが好ましく、また鎖状
エーテル類を使用する場合も、それらと環状エーテルを
併せた量が上記環状エーテルに関して記載した使用量の
範囲内で使用することが好ましい。
【0019】本発明において、正極としては、たとえば
二酸化マンガン、五酸化マンガン、クロム酸化物、リチ
ウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物などの正
極活物質またはこれらの正極活物質にカーボンブラッ
ク、黒鉛などの導電助剤やポリテトラフルオロエチレン
などの結着材などを適宜添加した正極合剤を、ステンレ
ス鋼、アルミニウムなどの集電材料と共に成形して成形
体に仕上げたものが用いられる。
【0020】特に低温特性を重視するならば、正極活物
質は表面積の大きいものを用いることが好ましい。たと
えば、二酸化マンガンを例にとると、熱処理前の表面積
が40m2 /g程度(熱処理後のBET比表面積では1
0m2 /g程度)の従来からリチウム電池に汎用されて
いる二酸化マンガンより、BET比表面積15m2 /g
以上、より好ましくはBET比表面積20m2 /g以
上、さらに好ましくはBET比表面積30m2 /g以上
の二酸化マンガンを使用することによって、より低温特
性が優れた電池が得られる。なお、二酸化マンガンのB
ET比表面積はいずれも熱処理後の二酸化マンガンにつ
いてのものである。
【0021】もっとも、従来の電解液、たとえばPC:
DME系の電解液を用いる場合でも、BET比表面積1
5m2 /g以上の二酸化マンガンを使用すれば低温特性
は向上するが、その反面、放電初期の電圧の落ちこみ、
いわゆるディレイ現象が大きくなってしまう。しかし、
本発明における電解液系では、そのような表面積の大き
い正極活物質を用いても、ディレイ現象が大きくなるこ
とがなく、優れた正極活物質の能力をより有効に発揮さ
せることができる。
【0022】負極には、リチウム、ナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類
金属またはそれらの金属を含む化合物が使用される。な
かでも、リチウムまたはリチウムを含む化合物が最も適
している。
【0023】
【実施例1】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体
的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例によっ
て限定されるものではない。
【0024】実施例1 BET比表面積30m2 /gの二酸化マンガン90重量
部と粒子径150μm以上のカーボンブラック5重量部
と平均粒子径0.3μmのポリテトラフルオロエチレン
5重量部とからなる正極合剤を水とアルコールによって
ペースト状にした後、厚さ0.4mm、幅30mm、長
さ200mmのシート状に成形したシート状正極を作製
し、250℃で9時間乾燥した後、乾燥雰囲気中で室温
まで冷却した。
【0025】つぎに、このシート状正極を厚さ25μm
の微孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータで
包み、これに厚さ0.18mm、幅30mm、長さ19
0mmのリチウムからなるシート状負極を重ね、渦巻状
に巻回して、渦巻状電極体とした後、有底円筒状の電池
ケース内に装填し、リード体のスポット溶接などを行っ
た。
【0026】ついで、上記電池ケース内に、0.6M
(CF3 SO2 2 NLi/EC:Diox(1:2)
〔エチレンカーボネート(EC)と1,3−ジオキソラ
ン(Diox)との容量比1:2の混合溶媒に(CF3
SO2 2 NLiを0.6mol/l溶解したもの〕を
電解液として2cc注入し、電池ケースの開口部を封口
し、安定化処理を行って、図1に示す構造の筒形有機電
解液電池を作製した。
【0027】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の二酸化マンガンを正極活物質とする正極合剤を成
形した正極であり、その成形にあたってはステンレス鋼
製網が集電作用を兼ねた芯材として使用されているが、
この図1では繁雑化を避けるため、ステンレス鋼製網は
図示していない。2はリチウムからなる負極であり、こ
の負極2の作製にあたってもステンレス鋼製網が集電作
用を兼ねた支持体として使用されているが、この図1で
は繁雑化を避けるため、ステンレス鋼製網は図示してい
ない。3は微孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパ
レータであり、4は上記の電解液である。
【0028】5はステンレス鋼製の電池ケースであり、
この電池ケース5は負極端子を兼ねている。電池ケース
5の底部にはポリテトラフロオロエチレンシートからな
る絶縁体6が設置され、電池ケース5の内周部にもポリ
テトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体7が設置
されていて、前記正極1、負極2およびセパレータ3か
らなる渦巻状電極体や、電解液4などは、この電池ケー
ス5内に収容されている。
【0029】8はステンレス鋼製の封口板であり、この
封口板8の中央部にはガス通気孔8aが設けられてい
る。9はポリプロピレン製の環状パッキング、10はチ
タン製の可撓性薄板で、11は環状のポリプロピレン製
の熱変形部材である。
【0030】上記の熱変形部材11は温度によって変形
することにより、可撓性薄板10の破壊圧力を変える作
用をする。
【0031】12はニッケルメッキを施した圧延鋼製の
端子板であり、この端子板12には切刃12aとガス排
出孔12bとが設けられていて、電池内部にガスが発生
して、電池の内部圧力が上昇し、その内圧上昇によって
可撓性薄板10が変形したときに上記切刃12aによっ
て可撓性薄板10を破壊し、電池内部のガスを上記ガス
排出孔12bから電池外部に排出して、電池の破裂が防
止できるように設計されている。
【0032】13は絶縁パッキングで、14はリード体
であり、このリード体14は正極1と封口板8とを電気
的に接続しており、端子板12は封口板8との接触によ
り正極端子として作用する。また、15は負極2と電池
ケース5とを電気的に接続するリード体である。
【0033】参考例1 正極活物質としてBET比表面積10m2 /gの比表面
積の小さい二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と
同様にして筒形有機電解液電池を作製した。
【0034】実施例 電解液として0.3M(CF3 SO2 2 NLi/E
C:Diox(1:2)を用いた以外は、実施例1と同
様にして筒形有機電解液電池を作製した。
【0035】比較例1 電解液として0.6M(CF3 SO2 2 NLi/P
C:DME(1:2)を用いた以外は、実施例1と同様
にして筒形有機電解液電池を作製した。
【0036】比較例2 正極活物質としてBET比表面積10m2 /gの二酸化
マンガンを用いた以外は、比較例1と同様にして筒形有
機電解液電池を作製した。
【0037】比較例3 電解液として0.3M(CF3 SO2 2 NLi/P
C:DME(1:2)を用いた以外は、比較例2と同様
にして筒形有機電解液電池を作製した。
【0038】比較例4 電解液として0.6MLiCF3 SO3 /PC:DME
(1:2)を用いた以外は、比較例2と同様にして筒形
有機電解液電池を作製した。
【0039】上記のようにして作製した実施例1〜2、
参考例1および比較例1〜4の電池を−20℃、1.2
A×3s on+7s offの条件でパルス放電した
時の各パルスにおける最低電圧を測定した。各電池のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係をそ
れぞれ図2〜図8に示す。ただし、図2〜図8において
は、各パルスにおける最低電圧を単に電圧として縦軸に
表示する。
【0040】図2は、実施例1の電池のパルス放電回数
と各パルスにおける最低電圧との関係を示しているが、
図2に示すように、実施例1の電池では、放電初期のデ
ィレイ(電圧の落ちこみ)が認められず、1.3V(こ
の1.3Vはこの種電池を使用した機器の最低作動電圧
である)以上を保ち得るパルス放電回数が711回であ
り、これらは後述する比較例の電池の特性、特に比較例
4の電池の特性との対比から明らかになるように、優れ
た低温特性を示すものである。
【0041】そこで、まず、従来電池に相当する比較例
4の電池の低温特性を図8を参照しつつ説明する。
【0042】比較例4の電池は、正極活物質としてBE
T比表面積10m2 /gの二酸化マンガンを用い、電解
液として0.6MLiCF3 SO3 /PC:DME
(1:2)を用いた従来構成の電池であるが、この比較
例4の電池は、図8に示すように、1.3V以上を保ち
得るパルス放電回数が248回である。
【0043】そして、この比較例4の電池における電解
質のLiCF3 SO3 を(CF3 SO2 2 NLiに変
えた比較例2の電池では、図6に示すように、1.3V
以上を保ち得るパルス放電回数が236回と低下してお
り、しかも放電初期にディレイ現象が認められる。
【0044】また、(CF3 SO2 2 NLiの濃度を
0.3Mに下げた比較例3の電池では、図7に示すよう
に、放電初期のディレイ現象は少ないものの、1.3V
を保ち得るパルス放電回数は172回とさらに低下し
た。
【0045】
【0046】比較例1の電池は、正極活物質としてBE
T比表面積30m2 /gの二酸化マンガンを用いている
ので、図5に示すように、1.3V以上を保ち得るパル
ス放電回数は580回と増加しているが、放電初期に大
きなディレイ現象が生じ、実用性を欠いている。
【0047】前述のごとく、実施例1の電池は、図2に
示すように、放電初期のディレイ現象もなく、また1.
3V以上を保ち得るパルス放電回数が711回であっ
て、従来電池に相当する比較例4の電池に比べてはもと
より、他の比較例の電池に比べても低温特性が顕著に向
上している。また、この実施例1の電池は、正極活物質
としてBET比表面積10m2 /gの二酸化マンガンを
用いた参考例1の電池より、1.3V以上を保ち得るパ
ルス放電回数がはるかに多く、BET比表面積30m2
/gという表面積が大きい二酸化マンガンを正極活物質
として用いた特徴を顕著に発揮している。
【0048】また、実施例の電池は、図4に示すよう
に、放電初期のディレイ現象もなく、1.3V以上を保
ち得るパルス放電回数が614回と多く、優れた低温特
性を有していた。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、BE
T比表面積が15m2 /g以上という表面積の大きい正
極活物質を用い、電解質としてRfSO2 基〔RfはF
(フッ素)またはフルオロアルキル基〕を2個以上有す
る金属塩を用い、かつ溶媒として環状エーテルとエチレ
ンカーボネートを使用する(ただし、環状エーテルの使
用量の上限は全溶媒中において90容量%であり、エチ
レンカーボネートの使用量は全溶媒中において50容量
%以下である)ことによって、低温特性が優れた有機電
解液電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機電解液電池の一例を模式的に
示す断面図である。
【図2】実施例1の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図3】参考例1の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図4】実施例の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図5】比較例1の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図6】比較例2の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図7】比較例3の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【図8】比較例4の電池の低温重負荷パルス放電時のパ
ルス放電回数と各パルスにおける最低電圧との関係を示
す図である。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 6/16 H01M 10/40 H01M 4/36 - 4/62

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属、アルカリ土類金属または
    これらを含む化合物からなる負極と、BET比表面積が
    15m2 /g以上の正極活物質を用いた正極と、有機電
    解液を有する有機電解液電池において、上記有機電解液
    の電解質としてRfSO2 基(Rf=Fまたはフルオロ
    アルキル基)を2個以上有する金属塩を用い、溶媒とし
    て環状エーテルとエチレンカーボネートを含む(ただ
    し、環状エーテルの使用量の上限は全溶媒中において9
    0容量%であり、エチレンカーボネートの使用量は全溶
    媒中において50容量%以下である)ことを特徴とする
    有機電解液電池。
  2. 【請求項2】 正極活物質が金属酸化物であることを特
    徴とする請求項1記載の有機電解液電池。
  3. 【請求項3】 RfSO2 基を2個以上有する金属塩が
    (CF3 SO2 2NLiであることを特徴とする請求
    項1または2記載の有機電解液電池。
  4. 【請求項4】 環状エーテル以外の溶媒として、カーボ
    ネート類、エステル類、鎖状エーテル類、スルホラン、
    ジクロロメタン、リン酸トリメチル、ニトリル類、アミ
    ド類のいずれかを使用したことを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の有機電解液電池。
JP10880592A 1992-03-31 1992-03-31 有機電解液電池 Expired - Fee Related JP3288068B2 (ja)

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