JP3267314B2 - 位置決め制御方法 - Google Patents

位置決め制御方法

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JP3267314B2
JP3267314B2 JP22431091A JP22431091A JP3267314B2 JP 3267314 B2 JP3267314 B2 JP 3267314B2 JP 22431091 A JP22431091 A JP 22431091A JP 22431091 A JP22431091 A JP 22431091A JP 3267314 B2 JP3267314 B2 JP 3267314B2
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浩二 吉田
彰浩 古谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は転がり案内機構を用いた
位置決め制御方法に関し、特にナノメートル単位の精度
が要求される半導体製造装置、超精密加工装置、超精密
計測装置等に用いられる位置決め制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、転がり案内機構を用いた位置決め
制御方法は、転がり案内部の微細な変形を考慮していな
いので、本発明者が特開平3−73007「超精密位置
決め装置」により、転がり案内機構の変位が、数十nm
以下で線形のばね特性を示す領域Iと、400nm以上
100μm以下のヒステリシスを持つ非線形のばね特性
を示す領域IIと、100μm以上で飽和摩擦力を超えた
駆動力によって移動される通常の転がり特性を示す領域
III に分離されることを開示し、高精度の位置決め制御
方法は領域III における粗動位置決め制御と、領域I、
IIにおける微動位置決め制御に分けて別々に制御するこ
とを提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の位置決
め制御方法は、転がりを含む粗動位置決めが行なわれる
領域IIIから、転がりを伴なわないばね特性のみによる
100μm以下の変位を行なう領域Iに位置決め対象物
が載置されているテーブルを静止させるまでに時間がか
かり、また領域Iにテーブルを留めるためには外力が数
10グラム以下である必要があり、大きな外力が加わる
系には位置決め状態を保持できず、さらに、あらかじめ
ばね定数を調べなければならないという欠点がある。
【0004】本発明の目的は、領域IIIから領域Iにテ
ーブルを静止させる時間を短縮し、かつ、大きな外力が
加わる系に対しても領域Iにおける位置決めが保持で
き、ばね定数を推定できる位置決め制御方法を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の位置決め制御方
法は、粗動位置決めにより目標位置を超えた位置に転が
り案内台を停止した後、微動位置決めに移行し、前記テ
ーブルを少なくとも2回段階的に目標位置に向けて微移
動させ、その後の微動位置決めの段階的微移動毎に、各
前記2回の微移動時の駆動力と、その時の位置のデータ
から前記テーブルのばね定数を設定し、駆動力の補正を
行う。
【0006】上記の制御は、次に述べるステップによ
。 (1)位置決め開始点x0 から最終目標位置xr をわず
かに超えた第1の位置x1 へ駆動力f0 を加えて前記テ
ーブルを移動する粗動位置決め制御を行なう第1のステ
ップと、 (2)前記テーブルを第1の位置x1 から、第1の位置
1 と最終目標位置xrとの中間にある第2の位置x2
へ、粗動位置決め時の駆動力f0 から微小力Δfを差し
引いた駆動力f1 =f0 −Δfで移動させる領域II内第
1の微動位置決め制御を行ない、また、このときの位置
xがx≧x2 になった瞬間の駆動力f2 を測定する第2
のステップと、 (3)前記テーブルを第2の位置x2 から、第2の位置
2 と最終目標位置xrとの中間にある第3の位置x3
へ、駆動力f1 で移動させる第2の微動位置決め制御を
行ない、また、このときの位置xがx≧x3 になった瞬
間の駆動力f3 を測定する第3のステップと、 (4)前記テーブルを第3の位置x3 から、第3の位置
3 と最終目標位置xrとの中間にある第4の位置x4
へ、 KS4=(f2 −f3 )/(x2 −x3 ) を線形化ばね定数とし、x4 <x<x3 とするときの駆
動力 f=f1 +KS4*(x4 −x) で移動させる第3の微動位置決め制御を行ない、このと
きの位置xがx≧x4になった瞬間の駆動力f4 を測定
する第4のステップと、 (5)さらに、前記テーブルを第n−1の位置xn-1
ら、位置xn-1 と最終目標位置xr との中間の位置第n
の位置xn へ、 KSn=(fn-2 −fn-1 )/(xn-2 −xn-1 ) を線形化ばね定数とし、xn <x<xn-1 かつfM を1
移動サンプル周期前の駆動力とするときの駆動力 f=fM +KSn*(xn −x) で移動させる第nの微動位置決めを行ない、また、この
ときの位置xがx≧xn になった瞬間の駆動力fn を測
定する第nのステップを経て順次、最終目標位置xr
近よせる。
【0007】また、前記nステップを経て最終目標位置
r に近よせる位置決め方法において、線形化ばね定数
が KSn=(f3 −f2 )/(x2 −x3 ) と固定してもよく、また、第4と第5のステップの駆動
力fが、vを転がり案内部のテーブルの速度、KV を速
度フィードバックのゲインとしたときの f=fM +KSn*(xr −x)−KV *v であってもよい。
【0008】また、粗動位置決め後に、目標位置付近の
領域IIの微動位置決めによる微小変位の往復移動に切替
え、漸次ばね特性による領域Iの微動位置決めに移行す
る高精度位置決めを行なうこともでき、さらに、その微
小変位の往復移動時の駆動力と変位の振動からばね定数
を求め、該ばね定数に最適な駆動力を加えて微小変位を
行なわせても良い。
【0009】また、微小変位の領域IIに入った後、2段
階の駆動力を使用し、第1段階の駆動力によって発生し
た変位に対し、第2段階の駆動力を加えることにより目
標位置に静止させる制御も可能である。
【0010】
【作用】粗動位置決めで目標位置をわずかに超えて一旦
停止し、そこから目標位置へ向ってテーブルを段階的に
微動位置決めしていく制御は、まず、転がりの変位が力
に比例する領域IIの特性となるので、領域III 内で位置
決めの繰り返へしを行なうよりも時間を短縮でき、か
つ、領域I内より力の範囲が桁違いに大きいので、大き
な外力が加わる系においても位置決めを保持でき、その
後、領域I内の微動位置決めを行なうことができる。
【0011】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0012】図1は本発明の位置決め制御方法の第1の
実施例が実行される装置の要部のブロック図、図2はそ
の位置決め制御方法のフローチャート、図3は転がり摩
擦力の特性を示す図、図4は転がり案内機構の粗動位置
決めの駆動力と摩擦力の関係を示す説明図、図5は、図
1の位置決め制御における摩擦力と変位の関係を示す
図、図6は、微動位置決めの駆動力と変位の関係を示す
図である。
【0013】この装置の位置決め制御関連の要部は、指
令発生器1と、位置制御コントローラ2と、力制御コン
トローラ3と、スイッチ4と、パワーアンプ5と、モー
タ固定部6と、モータ可動部7と、可動テーブル8と、
位置検出器9を有している。指令発生器1は、可動テー
ブル8の位置指令を発する。位置制御コントローラ2は
粗動位置決めの制御を行なう。力制御コントローラ3は
微動位置決めの制御を行なう。スイッチ4は粗動位置決
めと微動位置決めの切替えを行なう。パワーアンプ5は
位置制御コントローラ2と力制御コントローラ3からの
制御電流を増幅してモータ固定部6の動作電流として出
力する。モータ固定部6はリニアモータの固定のフィー
ルドコイルであり、モータ可動部7はモータ固定部6の
電流の変化によって移動する。可動テーブル8は位置決
め対象物が載置されるテーブルである。位置検出器9
は、可動テーブル9の位置を検出しその検出結果を位置
制御コントローラ2と力制御コントローラ3へ連続的に
出力する。
【0014】転がり案内機構における転がり摩擦力は、
通常図3に示すような特性であると考えられており、図
1に示す可動テーブルの動的モデルは図4に示すように
単純な質量系に近似される。ここで、xは位置を、fは
駆動力を、Fは摩擦力を、Fsは飽和摩擦力を、Mはテ
ーブルの質量を表わし、さらにvを速度、rを目標位
置、KP ,KV を係数とするとき、 f=KP *(r−x)−KV *v (1) となり、位置xと速度vをフィードバックすることで安
定な位置制御を行なうことができる。ここで速度vは速
度検出器で直接計測するか、あるいは、位置信号から演
算することができる。
【0015】しかし、転がり案内の性質を精密に調べる
と、特開平3−73007に詳しく述べているように、
微細な変位領域で、変位が駆動力に依存する性質がある
ことが分かっている(例えば、論文、小泉他:転がり摩
擦の研究−転がり出し変位の挙動−、「潤滑」、27巻
9号、690/696(1982))。このような性質
を単純化して示したのが図5で、駆動力および外力がな
い状態で平衡した位置を原点とし、変位と摩擦力との関
係を示している。初め、摩擦力Fは変位に関して単調に
増加し、定常摩擦力Fsで飽和する。飽和した状態でx
1 まで移動した後、領域IIにおいて逆方向へ戻すと、初
めに生じた弾性変形が解放されて、図5のように、ヒス
テリシスを生じ、摩擦力は減少する。摩擦力が変位に依
存する領域Iでは、変位と摩擦力とは定位的であり、入
力が変位でも、駆動力(=摩擦力)でも同じ特性が得ら
れる。本発明は、摩擦力がゼロの近傍ではなく、飽和摩
擦力Fsからその半分程度の、かなり大きな摩擦力の近
傍で位置決めを行う制御方法を与えるものである。
【0016】つぎに、本実施例の制御方法について図2
のフローチャートを参照して説明する。
【0017】スイッチ4は、位置決め制御の開始時には
位置制御コントローラを選択し、終了時点で、力制御コ
ントローラに切り替わるようになっている。
【0018】以下の説明で用いる記号は次の通りの意味
である。
【0019】x0 :位置決めの開始位置 x0 ,x1 ,x2 ,x3 :位置 xr :位置決め目標位置 f:駆動力 f0 ,f1 ,f2 ,f3 :各位置x0,x1,x2,x3
おける駆動力 KS :線形化ばね定数 TS :制御のサンプル周期 開始点x0 からx1 へ通常の位置決め制御を行う。この
ときモータ駆動力は(1)式のように発生する(ステッ
プ51)。ただし、 x1 =x0 +δ1 (2) とする。δ1 はある微小な変位である。
【0020】ステップ51の位置決めが終ったら(本制
御では位置決めの判定は従来と比べてはるかにゆるやか
で良い)、位置x1 からx2 まで、制御サンプル周期ご
とに、次のように駆動力を制御する。
【0021】現在位置xについて、 x2 <x<x1 (3) を判定する(ステップ52)。この条件が成立すると
き、 f1=f0 −Δf (4) とする(ステップ53)。ただし、fMは1サンプル周
期前の駆動力であり、Δfはある微小な力である。
【0022】駆動力が減ぜられると、図5に示した特性
に従い、位置xは戻り、減少していく。
【0023】条件(3)が成立しなくなった瞬間の位置
x=x2 の駆動力をf2 とし、次のステップに移行する
(ステップ52)。
【0024】現在位置xについて、 x3 <x<x2 (5) を判定する(ステップ54)。ただし、 x2 =x1 −δ2 (6) でδ2 は微小な変位である。
【0025】この条件が成立するとき、(4)式で表さ
れるように駆動力を減ずる(ステップ55)。条件
(5)が成立しなくなった位置x=x2 になった瞬間の
駆動力をf3 とし、次のステップに移行する(ステップ
54)。
【0026】これまでのデータを用いて、近似的な線形
化バネ定数KS4を KS4 =(f2 −f3 )/(x2 −x3 ) (7) で算定する(ステップ56)。
【0027】各サンプル周期で、駆動力fを f=fM +KSn *(x1 −x) (8) とする(ステップ57)。このステップを繰り返すこと
で、最終的に目標位置x r に位置決めされる。
【0028】なお、上記のようにKSn を固定せず、前
回および前前回のデータ、fn-1 、fn-2 、xn-1 、x
n-2 を使用してKSn を求めてもよい。
【0029】位置決め制御の安定性を高めるため、速度
フィードバックを付加することが有効な場合もある。こ
のときは、 f=fM +KSn *(xr −x)−KV *v (9) とする。ただし、KV は速度フィードバックのゲインで
ある。
【0030】図7は本発明の位置決め制御方法の第2の
実施例が実行される装置の位置決め制御関連の要部のブ
ロック図、図8(a)は位置決め制御における駆動力と
摩擦力と変位の関係を示す図、図8(b)は微動位置決
め部分の拡大図、図9は粗動位置決めの動作から微動位
置決めの動作へ切り替えときのテーブルの動きを示す
図、図10は転がり案内の領域IIにおける力に対する変
位の特性を示す図、図11は転がり案内の領域Iにおけ
る力に対する変位の特性を示す図、図12(a),
(b)はそれぞれ転がり案内の領域III とIにおける力
と摩擦力の関係のモデルを示す図である。
【0031】この装置における位置決め制御関連の要部
は、指令発生器21、粗動制御装置22、微動制御装置
23、正弦波発生装置24、スイッチSW1 、ホールド
回路26、スイッチSW2 、割算器26、加算器27、
パワーアンプ28、モータ29、位置検出器30を有す
る。指令発生器21は粗動位置指令rc と微動位置指令
f を発する。粗動制御装置22は粗動位置指令rc
基き位置検出器30の検出情報によりテーブルの粗動制
御を行ない制御電流Trcを出力する。微動制御装置23
は微動位置指令rf に基き位置検出器30の検出情報に
よりテーブルの微動制御を行なう。正弦波発生器24は
正弦波信号Trsを出力する。スイッチSW1 はホールド
信号ShのON/OFFを行なう。スイッチSW2 は正
弦波信号Trsの加算器27への接続と、微動制御装置2
3の出力Trfの加算器27への接続を行なう。割算器2
6は駆動力の振幅と変位の振幅から微小変位時のばね定
数K=fbkt /xb の算出を行なう。加算器27は粗動
位置決め後、その力指令に正弦波を重畳し、その後微動
制御への切替を行なう。パワーアンプ28は制御電流の
モータ29への増幅を行なう。モータ29はACリニア
モータで、パワーアンプ28からの駆動電流で駆動さ
れ、位置決め対象物が載置されたテーブルを非接触で転
がり案内する。位置検出器30はセンサで、テーブルの
位置情報を連続的に出力する。
【0032】転がり案内機構のテーブルの動特性は、そ
の変位によって、図7(a),(b)のモデルで示され
る特性になる。
【0033】次に、第2の実施例の位置決め制御方法に
ついて説明する。 (1)スイッチSW1 をoff、スイッチSW2 をof
f接点aに接続、粗動位置指令rc =x1 として、出発
位置x0 から位置x1 へ通常の位置決め、すなわち図8
(a)に示すモデルの位置制御である粗動制御を行な
う。このときの変位は、x2 を粗動位置決め目標位置と
し、微小変位をdxとするとx1 =x2 +dxとなる。 (2)次に、粗動位置指令rc =x2 として位置x1
ら位置x2 への粗動位置決めを行なう。 (3)位置x2 への粗動位置決めができたら、スイッチ
SW1をonとし、ホールド信号Shをホールド回路25
へ接続する。ホールド回路25によりテーブルが目標位
置x2 の極めて近い位置での変位を維持される。すなわ
ち位置x1 を経由した2段変位が行なわれて位置x2
停止したことにより、テーブルの特性が図8(b)に示
す弾性特性になり、力指令に変位が比例するので力指令
の維持により変位が維持されることになる。 (4)次に、スイッチSW2 を接点bに接続(正弦波接
続)すると、力指令に正弦波Trs=Asinωtを重畳し、
これによりテーブルは位置x2 付近で微小な往復運動を
行なう。 (5)この往復運動に伴ない、割算器26が往復運動の
駆動力の振幅fbと変位の振幅xb から次式で表わされ
る微小変位時のばね定数Kを同定する。
【0034】K=fbt /xb (6)図8(b)モデルの位置制御に適用可能な微動制
御の制御パラメータを前項(5)で求めたばね定数Kに
合わせて設定する。 (7)次に、スイッチSW2 を接点Cに接続することに
より制御を微動制御に切り替え、高精度の制御を行な
う。
【0035】図13は(a),(b)本発明の位置決め
制御方法の第3の実施例の微動制御段階におけるばね系
の駆動力に対応する変位と、その位相面を示す図、図1
4(a),(b)は図13の制御方法で減衰のある場合
の図、図15(a),(b)は第3の実施例のポジキャ
スト制御による変位と、その位相面を示す図、図16
(a),(b)は2Nのステップ入力に対する応答の測
定置でそれぞれテーブルの時間的変位と速度の変化を示
す図と位相の変化を示す図、図17(a),(b),
(c)はそれぞれ第3の実施例のポジキャスト制御によ
り1mmの位置決めを行うときの具体例で、力指令波
形、テーブルの時間的変化、位相面上の変化を示す図で
ある。
【0036】本実施例は第1の実施例と同様の構成であ
るが、特に2段階のステップ状波形となる駆動力を用い
るものである。
【0037】次に本実施例の制御方法を説明する。
【0038】粗動制御によってテーブルを領域IIの範囲
に停止した後、ステップ入力として第1段の力fS を加
えると、テーブルの変位が、ばね定数k、固有振動数ω
とするばね系の応答として、力fs に対し、 安定点xs =fs /k…(10) を中心に図13(a)に示すような振動をする。また、
位相面上では図13(b)に示すようにxs を中心とす
る半径xs の円を時計方向に回転する軌道となる。ここ
で最大行き過ぎ点P(2xs ,0)に達した瞬間に入力
をfs から、第2段階の力として2fs に切り替える
と、軌道はPを中心とする円に切り替わることになる
が、半径ゼロの円となるため、軌道はこの点で静止す
る。したがって、x=u0 なる位置決めを行なう場合、
まず、 f1 =u0 /(2k) …(11) なる第1段階の力(ステップ入力)を加えるステップ指
令を与え、最大行き過ぎ点に達した時刻 t=tp =π/ω …(12) に第2段階の力(ステップ入力) f2 =k・u0 …(13) に切り替えることにより残留振動のない位置決めが可能
となる。
【0039】次に、図14に示す応答に減衰ζがある場
合は、行き過ぎ点xp
【0040】
【数1】 となるのでx=u0 なる位置決めを行なう場合、まず
【0041】
【数2】 なるステップ指令を与え、最大行き過ぎ点に達した時間
【0042】
【数3】 で第2段階の力 f2 =k・u0 …(17) に切り替えることにより、所望の位置決めが実現でき
る。図15(a),(b)に、それぞれポジキャスト制
御による応答と位相面上での軌道を示している。
【0043】また、実際の位置決めにおいては、指令値
は、系のステップ応答を測定し、ばね定数k、変位のピ
ーク値xp、最終値xs 、行き過ぎ時間tp を求め、(1
5)、(17)式および
【0044】
【数4】 の関係より実験的に決定する。例えば2Nのステップ入
力に対する応答を測定した結果を図16に示す。この結
果から、 k=1.8N/μm xs =1.2μm xp =1.8μm tp =8.8ms となる。
【0045】ポジキャスト制御により、変位1μmの位
置決めを行うための指令値を求めると、 f2 =k・1μm =1.8N f1 =f2 ・xs /xp =1.2N となる。このステップ指令を与えたときの系の応答を測
定した結果を図17(a),(b),(c)に示す。こ
れによると、残留振動が殆どなく、所要時間は10ms
以下の高速な位置決めが実現されていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、粗動制御
を転がり案内機構の非線型ばね特性の領域IIにおいて停
止し、その後、微動制御段階でばね制御を経過したステ
ップ毎に計算して更新しつつ位置決めを段階的に進め、
また、粗動制御を目標位置近くで停止してホールドし、
微小制御において正弦波を重畳し、その周期毎にばね定
数を計算して駆動力を更新しつつ位置決めを進め、ある
いは、微動制御においてステップ入力に対するテーブル
応答振動数を測定してばね定数を算出し、該振動の位相
面上の最大行き過ぎ点への時間を測定してこの時間に位
相軌道の半径0の円となる駆動力を加えて微動を停止さ
せることにより、所要時間の短縮と、大きな外力が加わ
る系においても高精密位置決めが可能になるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位置決め制御方法の第1の実施例が実
行される装置の要部のブロック図である。
【図2】図1において行なわれる位置決め制御方法のフ
ローチャートである。
【図3】転がり摩擦力の特性を示す図である。
【図4】転がり案内機構の粗動位置決めの駆動力と摩擦
力の関係を示す説明図である。
【図5】図1の位置決め制御における摩擦力と変位の関
係を示す図である。
【図6】微動位置決めの駆動力と変位の関係を示す図で
ある。
【図7】本発明の位置決め制御方法の第2の実施例が実
行される装置の制御関連の要部のブロック図である。
【図8】(a)は位置決め制御における駆動力と摩擦力
と変位の関係を示す図、(b)は微動位置決め部分の拡
大図である。
【図9】粗動位置決めの動作から微動位置決め動作へ切
り替えのときのテーブルの動きを示す図である。
【図10】転がり案内の領域IIにおける力に対する変位
の特性を示す図である。
【図11】転がり案内の領域Iにおける力に対する変位
の特性を示す図である。
【図12】(a),(b)はそれぞれ転がり案内の領域
III とIにおける力と摩擦力の関係のモデルを示す図で
ある。
【図13】(a),(b)はそれぞれ本発明の位置決め
制御方法の第3の実施例の微動制御段階におけるばね系
の駆動力に対応する変位と位相面を示す図である。
【図14】(a),(b)図13の制御で減衰のある場
合の図である。
【図15】(a),(b)はそれぞれ第3の実施例のポ
ジキャスト制御による変位と位相面を示す図である。
【図16】(a),(b)は2Nのステップ入力に対す
る応答の測定値でそれぞれテーブルの時間的変位と速度
の変化を示す図である。
【図17】(a),(b),(c)は第3の実施例のポ
ジキャスト制御により変位1mmの位置決めを行うとき
の具体例で力指令波形、テーブルの時間変化、位相面上
の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 指令発生器 2 位置制御コントローラ 3 力制御コントローラ 4 スイッチ 5 パワーアンプ 6 モータ固定部 7 モータ可動部 8 可動テーブル 9 位置検出器 21 指令発生器 22 粗動制御装置 23 微動制御装置 24 正弦波発生器 25 ホールド回路 26 割算器 27 加算器 28 パワーアンプ 29 モータ 30 位置検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−73007(JP,A) 特開 平1−239609(JP,A) 特開 昭48−15534(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05D 3/00 - 3/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータで駆動される転がり案内機構を用
    い、位置決めの対象物が載置されたテーブルを、飽和摩
    擦に抗しての転がりを伴なう移動が行なわれる領域III
    の粗動位置決めと、前記テーブルが摩擦力に抗して加え
    られた力に依存する変位をする領域IIの微動位置決め
    と、前記テーブルの変位がばね特性による線形の駆動力
    に比例する領域Iの微動位置決めとを併用する位置決め
    制御方法において、 粗動位置決めにより目標をわずかに超えた位置にテーブ
    ルを停止させた後、領域IIおよび領域Iの微動位置決め
    に移行し、前記テーブルを少なくとも2回段階的に目標
    位置に向けて微動させ、 その後、前2回の微動時の駆動力と、その時の位置のデ
    ータから前記テーブルのばね定数を設定し、該ばね定数
    に基いて、加えるべき駆動力を補正する位置決め制御方
    であって、その手順が、 (1)位置決め開始点x 0 から最終目標位置x r をわず
    かに超えた第1の位置x 1 へ駆動力f 0 を加えて前記テ
    ーブルを移動する粗動位置決め制御を行なう第1のステ
    ップと、 (2)前記テーブルを第1の位置x 1 から、第1の位置
    1 と最終目標位置x r との中間にある第2の位置x 2
    へ、粗動位置決め時の駆動力f 0 から微小力Δfを
    差し引いた駆動力f 1 =f 0 −Δf
    で移動させる領域II内の第1の微動位置決め制御を行な
    い、また、このときの位置x≧x 2 になった瞬間の駆動
    力f 2 を測定する第2のステップと、 (3)前記テーブルを第2の位置x 2 から、第2の位置
    2 と最終目標位置x r との中間にある第3の位置x 3
    へ、駆動力f 1 で移動させる第2の微動位置決め制御を
    行ない、また、このときの第3の位置xがx≧x 3 にな
    った瞬間の駆動力f 3 を測定する第3のステップと、 (4)前記テーブルを第3の位置x 3 から、第3の位置
    xがx 3 と最終目標位置x r との中間にある第4の位置
    4 へ、 S4 =(f 2 −f 3 )/(x 2 −x 3 を線形化ばね定数とし、x 4 <x<x 3 とする区間を駆
    動力 f=f 1 +K S4 *(x 4 −x)で移動させる第3の微動
    位置決め制御を行ない、このときの位置xがx≧x 4
    なった瞬間の駆動力f 4 を測定する第4のステップと、 (5)さらに、前記テーブルを第n−1の位置x n-1
    ら、位置x n-1 と最終目標位置x r との中間の位置第n
    の位置x n へ、 Sn =(f n-2 −f n-1 )/(x n-2 −x n-1 を線形化ばね定数とし、x n <x<x n-1 、かつf M
    1移動サンプル周期前の駆動力とするときの駆動力 f=f M +K Sn *(x n −x) で移動させる第nの微動位置決めを行ない、また、この
    ときの位置xがx≧x n になった瞬間の駆動力f n を測
    定する第nのステップを経て順次、最終目標位置x r
    近よせることを特徴とする位置決め制御方法。
  2. 【請求項2】 線形化ばね定数KSnが、 KSn=(f2 −f3 )/(x2 −x3 ) である請求項1記載の位置決め制御方法
  3. 【請求項3】 第4と第5のステップの駆動力が、vを
    転がり案内部のテーブルの速度、KV を速度フィードバ
    ックのゲインとしたときの駆動力 f=fM +KSn*(xr −x)−Kv *v である請求項1または2に記載の位置決め制御方法
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