JP3267291B2 - イオントフォレシスフィルム - Google Patents

イオントフォレシスフィルム

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JP3267291B2 JP07038390A JP7038390A JP3267291B2 JP 3267291 B2 JP3267291 B2 JP 3267291B2 JP 07038390 A JP07038390 A JP 07038390A JP 7038390 A JP7038390 A JP 7038390A JP 3267291 B2 JP3267291 B2 JP 3267291B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は弱電流を利用し被治療部位に薬物を導入す
るためのイオントフォレシス治療器に係り、特にペーパ
ー電池を利用した使い捨ての簡便なイオントフォレシス
フィルムに関する。
[従来の技術] イオントフォレシスは、直流電流を継続的若しくは断
続的に身体に導通させ、その電気的起電力によりイオン
性化学薬品を皮膚を通してその近辺の組織および血管に
吸収させる方法であり、今世紀初めより徐々に行なわれ
ている電気的イオン浸透療法である。このイオントフォ
レシスのメリットは、第1に従来からの注射などによる
薬剤投与に比べ、痛みがないこと、第2に経口投与に比
べてあくまで治療部位近辺の局所的薬剤投与となるの
で、全身的な薬剤の濃度が上昇することを防ぐことがで
きることが挙げられる。
以上のようなメリットがあるにもかかわらず、イオン
トフォレシスを用いた局所療法が専門的な医療機関のみ
でしか採用されていない理由は次のような3点の理由に
よると思われる。
まず、第1点として、一般的なイオントフォレシス治
療器具は非常に高価であることと、取り扱いが難しいた
め専門家のみしか使用することができないことが挙げら
れる。
第2点は投与される薬剤の種類がイオン性薬剤に限ら
れるため、すべての薬剤についてイオントフォレシスを
採用することができないということである。具体的に
は、イオントフォレシスによって正電極から皮膚へ投与
される薬剤は、銅、亜鉛、モルフィン(モルヒネ)など
のアルカロイド類などであり、負電極から皮膚へ投与さ
れる薬剤はサリチル酸、フッ素化合物、ペニシリン、イ
ンシュリンなどである。
第3点としては、イオントフォレシスを施している途
中に電極付近でPHが変化したりすることや、また過電流
によって火傷を起こすことが以前より問題視されていた
ことが挙げられる。
しかし、この点はイオントフォレシスの治療器具の改
良や取り扱い作業の向上などで、過電流の導通を防止す
ることが可能となり、また、電極付近のPHの変化を防ぐ
方法としては多くの改良報告がなされている。例えば電
極をイオン交換樹脂とし、選択的にイオンを通過させ、
被治療部位付近の皮膚でのH+イオンとOH-イオンの多量
発生を防ぐ方法(特開平1−32872号)などが公知であ
る。
また、投与される薬剤の種類が限定されているという
点についても最近はかなり薬剤自身の改良がなされ、イ
オン化されやすいようになってきた。
従って、イオントフォレシスが大々的に各種医療機関
で利用されていない最大の理由は、第1点目に挙げたイ
オントフォレシス治療器具が非常に高価であり、しかも
高度な知識がないと取り扱いが難しく、専門家以外は使
用できないということであろう。
この点を改善するために比較的簡便なイオントフォレ
シス治療器として、一般的に出回っているボタン型電池
などの偏平な小型一次電池をイオントフォレシス用の電
源とした使い捨てのイオントフォレシス治療器(特開平
1−97475号)、その他、糸状の刺激電極、不関電極お
よび前記2電極間に設けられた刺激信号発生手段からな
り、シート電池を用いて刺激信号を発生し、患部の治療
をする電気刺激創傷治療装置(特開昭63−229068号)等
が考案されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、一般的なボタン型電池を用いたもので
は、小型電池自身に厚みがありフレキシビリティーに欠
けるため使用感がよくなく、実際に使用した場合にゴワ
ゴワし、装着したまま動くには非常に不便である。
また、イオントフォレシスの際には、薬剤の種類によ
って電圧値および電流値を変えたり、また治療の効果的
持続時間を設定するように電池の容量を変える必要があ
るが、上記の汎用小型電池では、このような対応が困難
である。
一方、特開昭63−229068号に開示されている電気刺激
創傷治療装置は、刺激信号を発生する装置自体がICチッ
プやコンデンサ、ダイオード等からなる電気回路である
ので非常に複雑であり、前述の治療器同様、体に貼着し
たままで自由に動き回ることができず非常に不便である
ばかりでなく、使い捨てにするにはあまりにも高価であ
る。
ところで、イオントフォレシス療法では、0.5mA/cm2
を30分以上局部的に導通すると火傷が起こることが臨床
試験等で明らかになり、現在ではイオントフォレシス療
法の際の電流値を数μA〜数mA程度とし、数μA/cm2
度の微弱電流で長時間治療を行う方が人体への安全性も
高く、効果的であることが知られており、このような微
弱電流を長時間提供する電源が必要である。
さらに最近では薬剤自身も改良がなされ、イオン化さ
れやすいようになってきたばかりでなく、薬剤の種類に
よって最も効果的なイオントフォレシスの際の電流値も
臨床試験等で明らかにされてきており、薬剤の種類に対
応できる電源が必要である。
[発明の目的] 本発明は上記従来の問題点を解決するためになされた
もので、火傷などの皮膚障害がなく安全且つ簡便な使い
捨てのイオントフォレシス治療器を提供することを目的
とする。
また、本発明は軽量でフレキシブルなため使用感がよ
く、なんの違和感もなく装着したままで自由に動き回る
ことができ、製造も容易であるイオントフォレシス治療
器を提供することを目的とする。
更に、本発明は使用される薬剤の種類に合わせた効果
的な電圧値および電流値を示し、治療に最適な持続時間
に対応できるよう、電池の容量を自由に変えることがで
き、治療効果が高いイオントフォレシス治療器を提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] このような目的を達成する本発明のイオントフォレシ
スフィルムは、一面に粘着層を有する絶縁性基材と、両
面にそれぞれ電極を有し、前記粘着層の外周縁部を残し
て一方の電極が前記粘着層に貼着されたペーパー電池
と、前記ペーパー電池の他方の電極に積層された導電性
治療薬剤と、前記他方の電極と絶縁され、前記一方の電
極を皮膚面と電気的に接続するための端子とを有し、前
記ペーパー電池は、所望の大きさに切断したものを、前
記導電性治療薬剤に合わせた電気容量となるように必要
な枚数積層して成るものである。
ここで、ペーパー電池としては電解質として高分子固
体電解質を用いた裁断自在なものが好適である。このよ
うなペーパー電池としては、本発明者がすでに提案して
いるもの(特開平1−130473号)が特に好ましい。この
ペーパー電池は非常に軽量でフレキシビリティーであ
り、しかも薄く製造することができ、さらに固体電解質
を使用しているため液モレがなく安全性が高いのみなら
ず、安定した超電力を有し、積層することにより所望の
電圧を得ることができ、用途に応じて、また、必要に応
じて所望の大きさ、すなわち所望の容量として用いるこ
とができるものである。
[作用] イオントフォレシスフィルムは、導電性治療薬剤の塗
布面が、直接患部皮膚面に接触するように貼付する。す
ると、導電性治療薬剤と接触している皮膚表面の部分
と、他方の電極からの端子と接触している皮膚表面の部
分との間に弱電流が流れ、その電気的起電力により導電
性治療薬剤中のイオン性化学薬品が皮膚を通してその付
近の組織および血管に吸収される。この場合、非結晶性
高分子化合物とアルカリ金属塩からなる高分子固体電解
質を使用したペーパー電池は必要に応じた面積とし、ま
た、積層したりすることにより該イオン性化学薬品に応
じた容量や電圧値、電流値とすることができ、その容量
分だけ電流が流れ続け、その間は治療効果が持続する。
即ち、微弱電流で長時間治療を行うことができ、人体へ
の安全性も高く、効果的にイオントフォレシスを行え
る。
[実施例] 以下、本発明のイオントフォレシスフィルムの一実施
例を図面を参照して説明する。
第1図に示すように、イオントフォレシスフィルムA
は、両極を有する裁断が自由に行えるフレキシブルなペ
ーパー電池1と、ペーパー電池1の一方の極11に接続さ
れ、他方の極13から絶縁された端子3と、ペーパー電池
1の他方の極13上に設けられた導電性治療薬剤7、およ
び導電性治療薬剤7と端子3を被接触部である皮膚に固
定する粘着基材4、さらに導電性治療薬剤7、端子3お
よび粘着基材4に仮接着された剥離部材5とを積層し一
体化してなる。
ペーパー電池1の他方の極13および他方の極13上に設
けられた導電性治療薬剤7から端子3を絶縁するため、
第3図に示すように、ペーパー電池1の1辺の端部1a
(第3図斜線部分)がその厚さも含めて覆われるような
絶縁フィルム2を積層する。この上にペーパー電池1よ
り一まわり小さい金属箔を端子3として、その1部がペ
ーパー電池1および絶縁フィルム2を外れて飛び出るよ
うに積層貼付する。
さらに第4図に示すように、ペーパー電池1の他方の
極面上にもうけられた導電性治療薬剤7と、一方の極か
ら引き出された端子としての金属箔3とを患部皮膚表面
に確実に貼付するように、ペーパー電池1、絶縁フィル
ム2および金属箔3を覆うことのできる大きさの粘着基
材4を積層する。
導電性治療薬剤7としては、正極から皮膚に投与され
る薬剤として、銅、亜鉛、モルフィン(モルヒネ)など
のアルカロイド類など、負極から皮膚に投与される薬剤
としては、サリチル酸、フッ素化合物、ペニシリン、イ
ンシュリンなどが挙げられる。更に具体的には下記の薬
剤がイオントフォレシス用成分として使用できる。
殺菌消毒剤としては、フェノール、エタノール、アク
リノール、オキシドール、塩化ベンザルコニウム、塩化
ベンザトニウム、マーキュロクロム、ヨードチンキ、次
亜塩素酸ナトリウム、クレゾールなど、消炎剤として
は、サリチル酸、塩酸ナファゾリンなど、局所麻酔剤と
しては、カンフル、塩酸ジブカイン、塩酸リドカインな
ど、抗ヒスタミン剤、軟膏基剤、香料、また抗生物質と
しては、クロラムフェニコール、硫酸カナマイシン、硫
酸ゲンタマイシンなど、ホルモン剤としては、プレドニ
ソン、プレドニソロンなど、抗菌剤としては、スルファ
ジアジン、スルファジメトキシンなど、ビタミン剤とし
ては、ビタミンAバルミチンエステル、ビタミンD2、ビ
タミンE酢酸エステルなど、糖類としては、ブドウ糖、
果糖、麦芽糖など、無機成分としては、カリウム、ナト
リウムなど、その他、数多くの薬剤が本発明のイオント
フォレシスフィルムAの導電性治療薬剤7の成分として
使用できる。
これらはそのイオン特性に応じて所定の極に設けなけ
ればならないことはいうまでもない。このような治療薬
はパウダー状若しくは液状でペーパー電池1の電極上に
塗布するか消毒済ガーゼ等に染み込みませて電極上に貼
付してもよい。この場合治療薬がパウダーまたは導電性
を有しないものであれば、公知の人体に悪影響を及ぼす
心配のない導電性物質を含む液を注入するか、添加す
る。
また、イオントフォレシスフィルムAが貼付される箇
所および状態いかんによってはゲル状の湿潤パッドをイ
オントフォレシス用の導電性治療薬剤7上に設けてもよ
い。ゲル状の湿潤パッドを使用すると、たとえば肱や他
の間接部位などの曲面であったり動きの激しい部位に貼
付する際にも密着感がよく、容易にイオントフォレシス
フィルムAがずれず、従ってずれた際に起こる可能性の
ある火傷を回避することができる。
両極を有する裁断が自由に行えるフレキシブルなペー
パー電池1としては、特に限定されないが、望ましくは
非結晶性高分子化合物とアルカリ金属塩からなる高分子
固体電解質を使用したペーパー電池が望ましい。第5図
にこのようなペーパー電池の一例を示す。このペーパー
電池は絶縁フィルム10上に、高分子に分散された正極物
質からなる層(正極)11、高分子固体電解質層12および
負極13を順次積層してなる。高分子に分散された正極物
質からなる層(正極)11は、正極の集電層11−1、正極
の活物質層11−2と分離していてもよい。
上記非結晶性高分子化合物としては、ガラス転移点が
室温より低温側にあり、室温では活発な分子運動下にあ
る高分子化合物で、ポリエチレンオキサイド(PEO)、
ポリメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
ポリビニルピリジン、ポリシロキサン、ポリプロピレン
オキサイド、セグメント化ポリウレタン、ポリウレタン
ウレア、ポリフォスファーゼン、セルロース、ポリスチ
レン、ポリペプチドより選ばれる少なくとも1種類の高
分子化合物が用いられ、望ましくはポリメトキシポリエ
チレングリコールメタクリレート、ポリフォスファーゼ
ンが用いられる。
さらに前記アルカリ金属塩は、LiClO4、LiBr、LiSC
N、LiCl、LiBr4、LiPF6より選ばれる少なくとも1種類
のリチウム金属塩であり、望ましくはLiClO4が用いられ
る。
上記の高分子固体電解質を利用したペーパー電池は、
非常に軽量でしかも薄く製造することができ、さらに液
モレがなく安全性が高いのみならず、安定した起電力を
有し、積層することにより所望の電圧を得ることがで
き、用途に応じて、また必要に応じて所望の大きさ、即
ち容量として用いることができるものである。
上記の高分子固体電解質を使用したペーパー電池を用
いる場合は、絶縁フィルム10を剥離し両電極面を露出さ
せてから使用する。
その後、導電性治療薬剤7を薬剤のイオン性によっ
て、ペーパー電池1の正極上もしくは負極上のどちらか
に塗布する。
なお、ペーパー電池1は導電性治療薬剤7の種類に適
合する最適な電圧値を示すように、必要であれば積層し
て所望の電圧を得るようにしておく。
さらに、患部皮膚面積および治療持続時間が最も効果
的であるように、ペーパー電池1を適当な大きさ、形状
に消毒済みハサミ等でカッティングし、用いることが望
ましい。例えば、指などの創傷の場合は、第6図に示す
ようにバンド状にしてもよい。
絶縁性フィルム2としては、プラスチックフィルム、
ラミネート紙、合成紙等絶縁性のシートであれば任意の
ものが使用できるが、あらかじめ殺菌された消毒済みの
ものが望ましい。
金属箔3としては、アルミニウム、銅、ニッケル等が
使用され得るが、安全性が高く、大量生産されていて安
価であるアルミニウムの箔が好適である。
粘着基材4としては、プラスチックフィルム、ラミネ
ート紙、合成紙等絶縁性のシートで片面に粘着層を設け
たもので特に限定されないが、皮膚のかぶれを防ぐよう
に通気孔を設け、表面を肌色に着色すれば使用にも違和
感がなく好適であるが、あらかじめ殺菌された消毒済み
のものが望ましい。
以上のように構成されるイオントフォレシスフィルム
Aは、剥離部材5を剥がした後、導電性治療薬剤7の塗
布面が、直接患部皮膚面6に接触するように貼付する。
すると、導電性治療薬剤7と接触している皮膚表面6
のB部分と、他方の電極11からの端子電極である金属箔
3と接触している皮膚表面6のC部分との間(第2図矢
印付近)に弱電流が流れ、その起電力によりイオン性化
学薬品を皮膚を通してその付近の組織および血管に吸収
させることができる。即ち、正の電荷を持つイオンであ
ればペーパー電池1の正極側で皮膚の中に移動し、負の
電荷を持つイオンであれば負極側で皮膚の中に移動す
る。これによって皮膚付近の組織および血管にイオン性
薬剤が吸収される。
この場合、非結晶性高分子化合物とアルカリ金属塩か
らなる高分子固体電解質を使用したペーパー電池1の容
量分だけ電流が流れ続け、その間は治療効果が持続す
る。即ち、微弱電流で長時間治療を行うことができ、人
体への安全性も高く、効果的にイオントフォレシスを行
える。
具体的な本発明のイオントフォレシスフィルムによる
治療効果の認められる症状としては、切り傷、すり傷、
さし傷、かき傷、靴ずれなどの外皮性創症、とびひ、め
んちょう、毛のう炎などの化膿性皮膚疾患、湿疹、皮膚
炎、ただれ、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さ
され、じんましんなどの外被性痛み、かゆみ、炎症など
があげられるが、このほかにも従来のイオントフォレシ
ス療法が用いることができる各種の症状にももちろん本
発明のイオントフォレシスフィルムAを使用し治療する
ことができることは言うまでもない。
実施例 まず、本発明のイオントフォレシスフィルムに使用さ
れる両極を有する裁断が自由に行えるフレキシブルなペ
ーパー電池1を下記の手順で作成した。第5図に示す絶
縁フィルム10としてポリエステルフィルム(厚さ50μ
m)を使用し、下記の処方の配合物をボールミルによっ
て24時間分散混合し、塗布液とし、この塗布液をメイヤ
バーにて乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、100℃
で5分間乾燥し、正極の集電層11−1とした。
導電性カーボンブラック(バルカンXC−72キャボット
社製品) 6重量部 分散剤(ローマPWサンノプコ社製品) 1重量部 水 81重量部 水系ポリウレタン樹脂(ネカレッツR960ポリビニルケ
ミカル社製品) 12重量部 この正極の集電層11−1の表面抵抗15cm×15cmの時、
4端子法5×102Ωcm-1であった。
次に正極の集電層11−1の上に、下記の処方の混合物
をボールミルによって24時間分散混合し、塗布液とし、
その塗布液をメイヤバーにて乾燥膜厚が20μmになるよ
うに塗布し、100℃で5分間乾燥し正極の活物質層11−
2とした。
二酸化マンガン 24重量部 分散剤(ローマPWサンノプコ社製品) 1重量部 イソプロピルアルコール 5重量部 水 60重量部 水系ポリウレタン樹脂(パーマリンUA500三洋化成工
業社製品) 10重量部 一方、高分子固体電解質を下記のように作成した。
まず、式I(式中、n=4を示す)のモノエステルメ
タクリレートの重合物を下記のように重合した。
塩化メチレン30gにモノエステルメタクリレート(NK
エステルM−40G、新中村化学工業社製品)を溶かした
溶液を、重合管にて窒素気流下で攪拌した。その後アゾ
イソブチルニトリル1gを塩化メチレン10gに溶かした液
を滴下し、50℃で45分間攪拌した。
その反応液を室温にて放冷後、メタノール500mlに攪
拌しながら加え、目的の重合物を沈澱させた。この重合
物を塩化メチレンに再溶解し、再びメタノールにて再沈
澱を繰り返して精製し、70℃で真空乾燥させて粗製重合
物を得た。
この重合物の70重量%塩化メチレン溶液の粘度はB型
粘度計で500cps(25℃)であった。
この重合物25.5gとLiClO44.5g、塩化メチレン70gを攪
拌混合して塗布液とし、乾燥膜厚15μmになるように正
極の活物質層11−2の上に均一に塗布し、100℃で5分
間乾燥し高分子固体電解質層12を得た。
さらに、高分子固体電解質層12の上に、負極13として
厚さ15μのアルミニウム箔をラミネートしてペーパー電
池1を作成した。
ここで、ペーパー電池1の性能を測定し、人体への安
全性を確認した。
まず、人体の皮膚表面の抵抗値が実際どのくらいの範
囲内にあるのかを考察した。
人体の皮膚表面の表面抵抗は個人差があるが、例えば
手のひらなどは常に汗線の活動が活発であり、マラソン
をした直後や、布団の中で睡眠中の時などはかなり皮膚
表面は汗をかくので、表面抵抗が下がる。
ちなみに、年歳24歳で中肉、中背の健康な男性が30分
間マラソンをした後の人体の表面抵抗を測定したとこ
ろ、汗が光っている首筋部分では約2kΩ、また肩先のつ
るつるした部分はすぐに汗がとんだ様子で約150kΩであ
った。
皮膚表面が比較的乾燥しているときや逆に湿度を持つ
ときの人体の皮膚の表面抵抗をぞれぞれ150kΩと2kΩに
設定し、また環境も、寒風の中で凍えた状態の皮膚表面
と、就寝中の布団の中の皮膚表面との両極端な場合を想
定し、20℃・60%と40℃・95%に設定した。
サイズ86mm×54mmのペーパー電池1を上記の環境下で
最大電流値を測定したところ下表のようになった。
通常我々が生活する環境条件では、およそ表に示され
ている範囲内の電流値を示すことが容易に推察される。
表において最大電流値は、40℃。95%の環境下で2kΩ
の負荷抵抗をつないだ際の250μAであり、従って最大
電流密度は、0.005mA/cm2と計算される。
ところで、イオントフォレシス療法では、通常数μA
〜数mA程度の微弱電流を長時間人体に導通させることで
安全にしかも効果的に治療が行えることが公知であり、
逆に0.5mA/cm2を30分以上導通すると火傷などの皮膚障
害が生ずることが知られている。
上記記算値の0.005mA/cm2は、前述の火傷などの皮膚
障害が起こる限界である0.5mA/cm2と比較して、電流密
度で約100分の1であり、約100倍の3000分間導通しても
安全である。
第7図に、同サイズの該ペーパー電池1の40℃・95%
の環境下で2kΩの負荷抵抗をつないだ際の放電特性を測
定した結果、電流−電圧−時間の関係を示す。同図から
も明らかなように電流値は数時間後に最大電流値である
0.25mAを示すが、それ以後は電流値および電圧値は減少
する。従って、40℃・95%の環境下でペーパー電池1を
貼付し続けたとしても、火傷を起こす虞はなく、安全
に、しかも効果的に治療を行うことができる。
以下、前記実施例で得たペーパー電池1を使用した本
発明のイオントフォレシスフィルムAによる治療結果を
示す。
症例1(51歳、会社員) 自転車で転倒した際に膝上約2センチの部分に長さ5
センチ、深さ2センチの裂傷を負った。
しばらく市販のアクリノールガーゼを創傷に貼付して
様子を見たところ、数日後明らかに化膿と思われる症状
が見られ、悪臭がきつく数時間ごとにアクリノールガー
ゼを取り替えても膿がにじみだしてきて激しい痛みを覚
えた。
その後、市販のマーキュロクロム溶液を消毒済みガー
ゼに浸し、数時間ごとに取り替えたが、余り効果が見ら
れなかった。
(治療結果) 該ペーパー電池を一枚使用し創傷部が完全に隠れるよ
うに、7センチ×3センチのサイズに裁断し、その一方
の電極に、殺菌消毒剤成分として塩化ベンザトニウム、
消炎剤として塩酸ナファゾリン、局所麻酔剤として塩酸
ジブカインをそれぞれ適量含んだ消毒済みガーゼを貼り
付け、もう一方の電極と共に創傷部に前記ガーゼが密着
するようにイオントフォレシスフィルムを貼付し、半日
様子を見た。
しかし、創傷は好転せず、化膿が進んだ。そこで該ペ
ーパー電池を7センチx3センチのサイズに裁断したもの
を3枚ショートしないように積層し、このペーパー電池
の一方の電極にサルファ剤のスルファジメトキシンを含
有する軟膏を塗布してなるイオントフォレシスフィルム
を創傷部に貼付した。これを5時間ごとに取替えた。こ
の装着時から取替え時までの間、両電極間の電流は約50
μAに安定しており、イオントフォレシスに良好な電流
値であることが確認された。サルファ剤を塗布したイオ
ントフォレシスフィルムを貼付後3回目の取替え時には
創傷部の悪臭が殆ど消え、膿の量もかなり減少してい
た。
そこで、イオントフォレシスフィルムの取り替え時間
を5時間から10時間とし、さらに4回取り替えた。電流
値はやはり装着後から取り替え時まで約50μA程度に安
定していた。
サルファ剤を塗布したイオントフォレシスフィルムを
患部皮膚に貼付してから45時間後にはほどんど膿がイオ
ントフォレシスフィルムの端部によりにじまないように
なったため、イオントフォレシスフィルムの薬剤を再び
塩化ベンザトニウム、塩酸ナファゾリン、塩酸ジブカイ
ンを主成分とする殺菌消毒剤に変更し、同サイズの該ペ
ーパー電池も1枚のみ使用したイオントフォレシスフィ
ルムを用いて、日に数回新しいものと取り替えながら治
療を続けたところ約1週間後には創傷部は完全に塞がっ
た。
この度療結果に関し、従来の注射および切開(縫合)
等による殺菌治療と比較しても同等若しくは早いことが
明らかであった。
症例2(25歳、主婦) 庭のバラの手入れで両手に数多くのかき傷を負った。
そこで、傷の長さと深さが同じような個所を数点選ん
で傷の長さに合わせてバンド状に作成した本発明のイオ
ントフォレシスフィルム(第6図参照)と、アクリノー
ルガーゼを中央に配置した一般的な応急治療テープをか
き傷の程度が同等と思われる部分に数点ずつ貼付して治
癒の速度を比較した。
なお、イオントフォレシスフィルムは1枚のイオント
フォレシスフィルムに対して前記実施例で得たペーパー
電池を1枚使用し、その一方の電極にアクリノールガー
ゼを貼り付けたものである。
(治療結果) 本発明のイオントフォレシスフィルムによる傷の直り
具合は一般的な応急治療テープに比べ、明らかに早かっ
た。
イオントフォレシスによってアクリノールが皮膚患部
により吸収される速度が早いため治癒も早かったと思わ
れる。
症例3(63歳、主婦) 従来より、冷え性、しもやけにかかりやすい体質で本
治療時もしもやけによるけ激しいかゆみを訴えていた。
一般に市販されている抗ヒスタミン剤を含む軟膏を常時
使用していたが、直りが遅いと訴えていた。
(治療結果) 被検者が従来使用していた一般に市販されている抗ヒ
スタミン剤を含む軟膏を本発明のイオントフォレシスフ
ィルムの一方の電極に塗布し、しもやけのひどい手足の
患部数か所に使用した結果、通常よりもしもやけの完治
が早かった。
なお、1枚のイオントフォレシスフィルムに対して該
ペーパー電池を1枚使用した。
また、1度本発明のイオントフォレシスフィルムを使
用した個所においてはしばらくはしもやけができにくく
なったという結果ももたらされた。
これは、本発明のイオントフォレシスフィルムが患部
皮膚の血行を促進し、しばらくは冷え性などの体質が改
善され、しもやけなどが起きにくくなるためと思われ
る。
以上の治療結果のほかさまざまな症状の治療におい
て、本発明のイオントフォレシスフィルムを各症状の程
度によって数枚積層したり、また該ペーパー電池の面積
を大きくして治療の効果持続時間を延長したりして使用
したところ、ほとんどの場合には治療の早さを確認する
ことができた。
[発明の効果] 以上の実施例から明らかなように、本発明のイオント
フォレシスフィルムは、製造も容易で安価であり、誰に
でも取り扱いが簡単にでき、しかも火傷などの皮膚障害
がない安全な使い捨てのイオントフォレシス治療器であ
る。
また、本発明のイオントフォレシスフィルムは、軽量
でフレキシブルなため使用感がよく、なんの違和感もな
く装着したままで自由に動き回ることができる。更に、
イオントフォレシス用治療薬剤の種類に合わせた効果的
な電圧値および電流値、治療の効果的持続時間を自由に
調整することができ、治療効果が高い。
特に誰でも薬局等で購入できる家庭用常備薬をそのま
ま使用するより、本発明のイオントフォレシスフィルム
を併用した場合は、明らかに治療を早く、安全に行うこ
とができる。
さらに、幼児や子供に関しては注射や切開(会合)等
を嫌がる場合が多いが、本発明のイオントフォレシスフ
ィルムを使用すれば手軽に創傷などの治療を進めること
ができ、副作用の心配もない。
以上のように本発明のイオントフォレシスフィルム
は、医学上まことに価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のイオントフォレシスフィルムの一実施
例を示す断面図、第2図はその使用状態を示す断面図、
第3図および第4図は本発明のイオントフォレシスフィ
ルムの構成を示す図、第5図は本発明のイオントフォレ
シスフィルムに使用されるペーパー電池の断面図、第6
図は本発明のイオントフォレシスフィルムの使用例を示
す図、第7図はペーパー電池の放電特性を示す図であ
る。 A……イオントフォレシスフィルム 1……ペーパー電池 2……絶縁性フィルム 3……端子 4……粘着基材 5……剥離部材 6……皮膚表面 7……導電性治療薬剤 10……絶縁フィルム 11……他方の極(正極) 12……高分子固体電解層 13……一方の極(負極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61N 1/30 A61N 1/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一面に粘着層を有する絶縁性基材と、両面
    にそれぞれ電極を有し、前記粘着層の外周縁部を残して
    一方の電極が前記粘着性に貼着されたペーパー電池と、
    前記ペーパー電池の他方の電極に積層された導電性治療
    薬剤と、前記他方の電極と絶縁され、前記一方の電極を
    皮膚面と電気的に接続するための端子とを有し、前記ペ
    ーパー電池は、所望の大きさに切断したものを、前記導
    電性治療薬剤に合わせた電気容量となるように必要な枚
    数積層して成ることを特徴とするイオントフォレシスフ
    ィルム。
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