JP3265736B2 - 自動車用シートの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用シートの取付
構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、自動車のフロントシートは、
シートクッションの下面側に配設したシートスライドレ
ールによって車体前後方向へ移動可能に支持されてお
り、乗員がシートを所望の前後位置に移動させることに
より快適に着座できるように構成されている。このた
め、スライドレールは、車体のフロアパネル側に固定さ
れるロアレールと、シートクッションの下面にクッショ
ンフレームを介して固定されるアッパレールとを有し、
該アッパレールはロアレールにスライド可能に取付けら
れている。

【０００３】このようなスライドレールの後部側には、
車体後方へ延びるリヤレッグおよびレールブラケットが
設けられ、またフロアパネルには支持ブラケットが車体
中央のトンネル部とほぼ同一の高さに立設されている。
しかして、スライドレールの後部側は、リヤレッグを支
持ブラケットにボルト締めするとともに、レールブラケ
ットの後端部をフロアパネルにボルト締めすることによ
って取付けられている。したがって、レールブラケット
の締付け部分は、フロアパネルのトンネル部に沿うよう
な高さ位置に設定されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の取付構造にあっては、フロアパネルのトンネル部お
よび支持ブラケットに高さ方向のバラツキがあると、ロ
アレールが下方に変形した際に、スライドレールの構造
上の理由からスライド抵抗が大きくなるので、これに伴
いスライド荷重も増大することになり、フロントシート
を所望の前後位置に円滑に移動させることができないお
それがあった。

【０００５】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、シートレールを締付ける部
分の車体寸法が高さ方向でばらついていても、シートレ
ールにおけるスライド荷重の増大を防ぐことが可能な自
動車用シートの取付構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、シートを支持
するシートレールの後部側に前記シートレールを車体側
に固定するリヤレッグおよびレールブラケットを設け、
前記リヤレッグを前記シートレールの後方に延長して車
体前後方向に沿って形成し、前記レールブラケットを前
記シートレールの側部で車体前後方向に沿って形成し、
前記リヤレッグと前記レールブラケットを前記シートレ
ールへ固定する固定部を前記リヤレッグおよび前記レー
ルブラケットに一体的に形成し、前記リヤレッグと前記
レールブラケットとの相互間に車体前後方向に沿ったス
リット部を設ける一方、前記レールブラケットを車体後
方に向かって上方へ傾斜して配置しかつ上下方向に弾性
を持たせて形成し、フロアパネルに立設された支持ブラ
ケットに前記リヤレッグを締付けるとともに、前記フロ
アパネルに前記レールブラケットの後端部を締付けるこ
とにより、前記シートを前記シートレールを介して車体
のフロアパネル側に取付けている。

【０００７】

【作用】本発明に係る自動車用シートの取付構造では、
シートを支持するシートレールの後部側に前記シートレ
ールを車体側に固定するリヤレッグおよびレールブラケ
ットを設け、前記リヤレッグを前記シートレールの後方
に延長して車体前後方向に沿って形成し、前記レールブ
ラケットを前記シートレールの側部で車体前後方向に沿
って形成し、前記リヤレッグと前記レールブラケットを
前記シートレールへ固定する固定部を前記リヤレッグお
よび前記レールブラケットに一体的に形成し、前記リヤ
レッグと前記レールブラケットとの相互間に車体前後方
向に沿ったスリット部を設ける一方、前記レールブラケ
ットを車体後方に向かって上方へ傾斜して配置しかつ上
下方向に弾性を持たせて形成し、フロアパネルに立設さ
れた支持ブラケットに前記リヤレッグを締付けるととも
に、前記フロアパネルに前記レールブラケットの後端部
を締付けることにより、前記シートを前記シートレール
を介して車体のフロアパネル側に取付けているため、レ
ールブラケットがフロアパネルより上方に配置されて浮
いた状態になり、シートレールを構成するロアレールが
必ず車体側に載ることになる上、リヤレッグおよびレー
ルブラケットを締付けても、スリット部の存在によって
ロアレールが下方に変形移動するようなことは起こらな
い。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。

【０００９】図１〜図５は、本発明に係る自動車用シー
トの取付構造の一実施例を示している。図において、１
は自動車の室内前部側に配設されるフロントシートであ
り、このフロントシート１は各種の小荷物を入れて置く
脱着可能な収納容器２を備えている。また、フロントシ
ート１は、乗員が着座するシートクッション３と乗員の
背部を受けるシートバック４とから構成されており、シ
ートクッション３はクッション本体５および該クッショ
ン本体の下部に設けられるクッションフレーム６を有し
ている。

【００１０】しかも、上記フロントシート１は、クッシ
ョンフレーム６によってシートクッション３の着座位置
が高く設定されており、これによってクッション本体５
の真下に収納容器２を格納できるスペースが確保されて
いる。このため、クッション本体５の前部側は、ヒンジ
部材７を介してクッションフレーム６と回動可能に連結
されているとともに、その後部側はクッションフレーム
６の上面枠６ａにロックされた状態で載置されている。

【００１１】また、上記クッション本体５の後部には、
これを車体後方より車体前方へ向かって引き起こすため
のバンド機構８が設けられており、このバンド機構８の
バンド８ａを引くことによってロック機構９が同時にロ
ック解除され、クッション本体５はクッションフレーム
６から離脱可能となり、車体前方側に倒すことができる
ように構成されている（図１および図２参照）。クッシ
ョン本体５が前倒しされた状態では、図３に示す如く、
クッションフレーム６の上面枠６ａに支持されている収
納容器２がシートクッション３から取り出せることにな
る。しかして、収納容器２の上部には、回転可能な取手
１０が巾方向に掛け渡されて取付けられており、前方側
には取手１０の留め部１１が配設されている。

【００１２】一方、上記フロントシート１は、シートク
ッション３の下方位置に配設される左右一対のシートス
ライドレール１２にて車体の前後方向へ移動可能に支持
されており、当該スライドレール１２に取付けられるロ
ック装置（図示せず）を操作することによってフロント
シート１を適当な前後位置で固定し得るように構成され
ている。このため、スライドレール１２は、車体の前後
方向に沿って配設されるアッパレール１３およびロアレ
ール１４をそれぞれ備えている。そして、アッパレール
１３は、図４に示す如く、前後端部の上面が取付ブラケ
ット１５およびクッションフレーム６を介してシートク
ッション３の下部に固定されているとともに、下面開口
側がロアレール１４にスライド可能に取付けられてい
る。

【００１３】また、上記ロアレール１４は、前後端部を
ボルト締めすることによって車体のフロアパネル１６側
に固定されるようになっている。このため、ロアレール
１４の後部側には、車体後方へ延びるリヤレッグ１７お
よびレールブラケット１８が設けられており、これらリ
ヤレッグ１７とレールブラケット１８とは一体的に形成
されている。一方、フロアパネル１６の上面には、支持
ブラケット１９が立設されている。リヤレッグ１７は、
固定部１７ａと傾斜片部１７ｂとから形成されており、
固定部１７ａはカシメピン２０によってロアレール１４
の後端部１４ａに一体的に結合されている。

【００１４】また、リヤレッグ１７の傾斜片部１７ｂ
は、車体後方へ向かって下り傾斜面となるように屈曲形
成されており、中間位置には支持ブラケット１９側のナ
ットと螺合する締付ボルト（図示せず）を挿入する挿入
穴２１が穿設されている。そして、支持ブラケット１９
の上面部１９ａは、フロアパネル１６の車巾中央に設け
られたトンネル部１６ａとほぼ同一の高さ位置になるよ
うに設定されている。しかも、上面部１９ａの車体後方
側はリヤレッグ１７の傾斜片部１７ｂと対応する傾斜面
に形成され、この傾斜面には締付ボルトを挿入させる取
付孔（図示せず）が穿設されている。

【００１５】一方、上記レールブラケット１８は、図４
に示すように、スライドレール１２の後部側とほぼ平行
に配置されており、前端部側の固定部はカシメピン２０
などによってロアレール１４に固着されている。また、
レールブラケット１８の後端部１８ａは、リヤレッグ１
７よりも車体後方に配置されており、フロアパネル１６
のトンネル部１６ａに締付け固定されるようになってい
る。このため、レールブラケット１８の後端部１８ａ
は、トンネル部１６ａ側に向かって延びる巾広の偏平形
状に屈曲形成され、その中間には締付ボルト（図示せ
ず）を挿入するボルト穴２２が穿設されている。そし
て、フロアパネル１６側には、図示しない締付ボルトを
挿通させる取付穴２３が穿設されているとともに、当該
締付ボルトと螺合するナット２４が設けられている。

【００１６】また、上記リヤレッグ１７と上記レールブ
ラケット１８との左右相互間には、車体後方に向かうに
従って巾広くなるスリット部２５が設けられており、こ
のスリット部２５によってレールブラケット１８の後端
部１８ａに対する締付けの影響がロアレール１４に及ば
ないように設定されている。しかも、レールブラケット
１８は、車体後方に向かって上方へ傾斜すべく形成され
ており、後端部１８ａ側が浮いた状態となるようにフロ
アパネル１６のトンネル部１６ａよりも上方に配置さ
れ、かつ上下方向に弾性を持たせて形成されている。し
たがって、フロアパネル１６のトンネル部１６ａと支持
ブラケット１９との間に高さ方向のバラツキがあって
も、ロアレール１４は必ず支持ブラケット１９の上面部
１９ａに載ることになり、リヤレッグ１７の傾斜片部１
７ｂに対する締付けの影響がロアレール１４に及ばない
ように設定されている。

【００１７】本実施例のフロントシート１を車体のフロ
アパネル１６側に取付けるには、まず、アッパレール１
３とロアレール１４とを嵌合させてスライドレール１２
を組付け、当該スライドレール１２にフロントシート１
を取付ける。そして、スライドレール１２のフロントレ
ッグ（図示せず）およびリヤレッグ１７とレールブラケ
ット１８をそれぞれ支持ブラケット１９およびフロアパ
ネル１６のトンネル部１６ａの所定位置に載せる。

【００１８】この状態で、ロアレール１４の前端部側に
設けたフロントレッグ（図示せず）を締付けるととも
に、後端部側に設けたリヤレッグ１７の挿入穴２１およ
び支持ブラケット１９の取付孔（図示せず）に図示しな
い締付ボルトを挿入して締付けることにより、リヤレッ
グ１７を支持ブラケット１９の上面部１９ａに固定し、
さらにボルト穴２２およびフロアパネル１６の取付穴２
３に図示しない締付ボルトを挿入してナット２４に締付
けることにより、レールブラケット１８の後端部１８ａ
をフロアパネル１６に固定する。すると、フロントシー
ト１は、スライドレール１２を介して支持ブラケット１
９およびフロアパネル１６に取付けられることになる
（図４および図５参照）。

【００１９】本実施例の取付構造においては、スライド
レール１２を構成するロアレール１４の後部側にリヤレ
ッグ１７およびレールブラケット１８の前端部を結合し
て設け、リヤレッグ１７とレールブラケット１８とを一
体的に形成するとともに、これら両者の相互間にスリッ
ト部２５を設け、しかもレールブラケット１８を車体後
方に向かって上り傾斜に配置して、支持ブラケット１９
にリヤレッグ１７を締付けているとともに、フロアパネ
ル１６のトンネル部１６ａにレールブラケット１８の後
端部１８ａを締付けているため、トンネル部１６ａと支
持ブラケット１９の高さ方向に寸法のバラツキがあって
も、当該レールブラケット１８の後端部１８ａ側がトン
ネル部１６ａの上面より浮いた状態にあることからこの
ようなバラツキを吸収できる上、レールブラケット１８
の後端部１８ａを締付けてもスリット部２５が設けられ
ている箇所から屈曲させることができ、これによってロ
アレール１４の下方への変形移動が抑えられる。

【００２０】以上、本発明の一実施例につき述べたが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能
である。

【００２１】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係る自動車用シー
トの取付構造は、シートを支持するシートレールの後部
側に前記シートレールを車体側に固定するリヤレッグお
よびレールブラケットを設け、前記リヤレッグを前記シ
ートレールの後方に延長して車体前後方向に沿って形成
し、前記レールブラケットを前記シートレールの側部で
車体前後方向に沿って形成し、前記リヤレッグと前記レ
ールブラケットを前記シートレールへ固定する固定部を
前記リヤレッグおよび前記レールブラケットに一体的に
形成し、前記リヤレッグと前記レールブラケットとの相
互間に車体前後方向に沿ったスリット部を設ける一方、
前記レールブラケットを車体後方に向かって上方へ傾斜
して配置しかつ上下方向に弾性を持たせて形成し、フロ
アパネルに立設された支持ブラケットに前記リヤレッグ
を締付けるとともに、前記フロアパネルに前記レールブ
ラケットの後端部を締付けることにより、前記シートを
前記シートレールを介して車体のフロアパネル側に取付
けているので、車体寸法が高さ方向でばらついていて
も、レールブラケットがフロアパネルより浮いた状態に
なることからこのバラツキを吸収することができる。し
かも、本発明の取付構造によれば、リヤレッグおよびレ
ールブラケットを締付けても、シートレールを構成する
ロアレールが下方へ変形移動することはないので、スラ
イド荷重の増大を防ぐことが可能となり、シートを所望
の前後位置に円滑に移動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る取付構造を適用して取
付けられるフロントシートの全体を示す斜視図である。

【図２】上記フロントシートのクッション本体を前倒し
た状態を示す斜視図である。

【図３】上記フロントシートから収納容器を取り出す状
態を示す斜視図である。

【図４】上記フロントシートを支持するシートスライド
レールの後部が車体側に締付け固定される状態を示す斜
視図である。

【図５】上記シートスライドレールの締付部付近を車体
後方から見た正面図である。

【符号の説明】

１ フロントシート ３ シートクッション ６ クッションフレーム １２ シートスライドレール １３ アッパレール １４ ロアレール １５ 取付ブラケット １６ フロアパネル １７ リヤレッグ １８ レールブラケット １９ 支持ブラケット ２０ カシメピン ２１ 挿入穴 ２２ ボルト穴 ２３ 取付穴 ２４ ナット ２５ スリット部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートを支持するシートレールの後部側
   に前記シートレールを車体側に固定するリヤレッグおよ
   びレールブラケットを設け、前記リヤレッグを前記シー
   トレールの後方に延長して車体前後方向に沿って形成
   し、前記レールブラケットを前記シートレールの側部で
   車体前後方向に沿って形成し、前記リヤレッグと前記レ
   ールブラケットを前記シートレールへ固定する固定部を
   前記リヤレッグおよび前記レールブラケットに一体的に
   形成し、 前記 リヤレッグと前記レールブラケットとの相互間に車
   体前後方向に沿ったスリット部を設ける一方、前記レー
   ルブラケットを車体後方に向かって上方へ傾斜して配置
   しかつ上下方向に弾性を持たせて形成し、 フロアパネルに立設された支持ブラケットに前記リヤレ
   ッグを締付けるとともに、前記フロアパネルに前記レー
   ルブラケットの後端部を締付けることにより、前記シー
   トを前記シートレールを介して車体のフロアパネル側に
   取付けたことを特徴とする自動車用シートの取付構造。