JP3263161B2 - 可動磁石式往復動流体機械 - Google Patents

可動磁石式往復動流体機械

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JP3263161B2
JP3263161B2 JP35468692A JP35468692A JP3263161B2 JP 3263161 B2 JP3263161 B2 JP 3263161B2 JP 35468692 A JP35468692 A JP 35468692A JP 35468692 A JP35468692 A JP 35468692A JP 3263161 B2 JP3263161 B2 JP 3263161B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体ポンプ、コンプレ
ッサ等の用途に使用できる可動磁石式往復動流体機械に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリンダ内に設けられたピストン
を磁性アーマチュアに連結し、該磁性アーマチュアを固
定電磁回路によって電磁吸引して往動させ、かつばね等
の機械的復帰機構で復動させる如き電磁往復動流体機械
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁性アーマ
チュアと固定電磁回路を組み合わせた従来の電磁往復動
流体機械は、ばね等の機械的復帰機構が必要不可欠で、
機構の複雑化や形状の大型化を招く問題がある。また、
ピストンの操作力を増大させるためには磁性アーマチュ
ア及び固定電磁回路が大型化してしまう。
【0004】本発明は、上記の点に鑑み、機械的復帰機
構が不要で機構の簡略化ができ、小型にしてピストン、
ダイアフラム等の往復駆動体の操作力の大きな可動磁石
式往復動流体機械を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の可動磁石式往復動流体機械は、同極対向さ
れた少なくとも2個の永久磁石間に磁性体を設けて磁石
可動体を構成し、相互の位置関係が一定に規制された少
なくとも3連のコイルの内側に当該磁石可動体を移動自
在に設け、前記少なくとも3連のコイルを、各永久磁石
の磁極間を境にして相異なる方向に電流が流れる如く結
線し、前記少なくとも3連のコイルに対し一定位置関係
に設けられたケーシング室に対し往復駆動体を設けると
ともに、該往復駆動体を前記磁石可動体に連結した構成
としている。
【0006】
【作用】本発明の可動磁石式往復動流体機械において
は、ケーシング室に対し往復動自在なピストン、ダイア
フラム等を駆動する機構として、磁石可動体とコイル間
のフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力に
準ずる操作力を発生する往復動アクチュエータを用いて
いる。このため、交流電圧にて直接電磁往復動させられ
るため、ばね等の機械的復帰機構が不要で機構の簡略化
ができ、磁石可動体の往復運動の方向に垂直な方向の偏
りも発生せず、円滑に磁石可動体を作動させることがで
きる。しかも、前記磁石可動体として同極対向された少
なくとも2個の永久磁石間に磁性体を設けたものを用
い、各永久磁石の磁極間を境にして相異なる方向に電流
が流れる如く結線した少なくとも3連のコイルを用いて
おり、永久磁石の各磁極が発生する磁束を有効に利用し
て大きな操作力を得ることができる。
【0007】図3は本発明の可動磁石式往復動流体機械
に用いる往復動アクチュエータの動作原理を説明するた
めの概略構成図であり、図4は性能を比較するための往
復動アクチュエータの第1比較例、図5は第2比較例で
ある。
【0008】図3の本発明で用いる往復動アクチュエー
タにおいて、磁石可動体3は同極対向配置の2個の円柱
状永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5A,5B
間に固着される円柱状軟磁性体6とを一体化したもので
あり、3連のコイル2A,2B,2Cは、磁石可動体3
の外周側を周回する如く巻回され、磁石可動体3を構成
する永久磁石5Aの左端、永久磁石5A,5Bの同極対
向端、及び永久磁石5Bの右端の磁極からの磁束とそれ
ぞれ鎖交するように配置されている。これらのコイル2
A,2B,2Cは永久磁石5A,5Bの磁極間を境にし
て相異なる方向に電流が流れる如く結線されている(磁
極間の境は磁極と磁極の間であれば必ずしも磁極中間位
置になくともよい。)。なお、図示は省略してあるが、
コイル2A,2B,2Cは通常磁石可動体3を軸方向に
移動自在にガイドするためのガイド筒体に装着される。
コイル2A,2B,2Cと磁石可動体3との位置関係
は、当該磁石可動体3の停止時を含む大部分の可動位置
において、永久磁石磁極間を境にして各コイルに流れる
電流が相互に逆向きとなるように設定しておく。
【0009】一方、図4の第1比較例において、10は
軸方向に着磁した棒状の永久磁石からなる磁石可動体で
あり、両端面に磁極を有している。コイル11A,11
Bは、磁石可動体10の端部外周側をそれぞれ環状に周
回するように巻回され、隣合う部分に同極が発生するよ
うになっている。なお、図示は省略してあるが、コイル
11A,11Bは通常磁石可動体10を軸方向に移動自
在にガイドするためのガイド筒体に装着される。そし
て、磁石可動体10の各端面からの磁束がそれぞれコイ
ル11A,11Bと鎖交している。
【0010】図5の第2比較例において、磁石可動体1
5は同極対向配置の2個の棒状永久磁石16A,16B
と、これらの永久磁石16A,16B間に固着される棒
状軟磁性体17とを固着一体化したものであり、コイル
18は磁石可動体15の中間部外周側をそれぞれ環状に
周回するように巻回されている。なお、図示は省略して
あるが、コイル18は通常磁石可動体15を軸方向に移
動自在にガイドするためのガイド筒体に装着される。そ
して、磁石可動体15の同極対向した永久磁石端面から
の磁束がコイル18と鎖交している。
【0011】ところで、第1比較例及び第2比較例にお
いて、磁石可動体10,15に発生する推力は、基本的
にはフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力
に準ずるものである(フレミングの左手の法則はコイル
に対して適用されるが、ここではコイルが固定のため、
磁石可動体にコイルに作用する力の反力としての推力が
発生する。)。したがって、推力に寄与するのは、磁石
可動体が有する永久磁石の磁束の垂直成分(永久磁石の
軸方向に直交する成分)である。
【0012】そこで、1個の永久磁石の場合、あるいは
2個の同極対向配置の永久磁石の場合について、磁束の
垂直成分がどのようになるのかそれぞれ解析してみた。
【0013】図6は、単独の永久磁石の長手側面に沿っ
て表面磁束密度の垂直成分を磁場解析した結果を示す。
但し、永久磁石は希土類永久磁石であって、直径2.5m
m、長さ6mmで、永久磁石表面から0.25〜0.45mm
離れた位置を計測した。
【0014】図7は、2個の永久磁石を同極対向配置と
し、かつ直接接合した場合において、2個の永久磁石の
長手側面に沿って表面磁束密度の垂直成分を磁場解析し
た結果を示す。但し、各永久磁石は希土類永久磁石であ
って、直径2.5mm、長さ3mm(2個で6mm)で、永久
磁石表面から0.25〜0.45mm離れた位置を計測し
た。
【0015】図8は、2個の永久磁石を同極対向配置と
し、かつ対向間隔を1mmとした場合において、2個の永
久磁石の長手側面に沿って表面磁束密度の垂直成分を磁
場解析した結果を示す。但し、各永久磁石は希土類永久
磁石であって、直径2.5mm、長さ3mmで、永久磁石表
面から0.25〜0.45mm離れた位置を計測した。
【0016】図9は、2個の永久磁石を同極対向配置と
し、かつ対向間隔を2mmとした場合において、2個の永
久磁石の長手側面に沿って表面磁束密度の垂直成分を磁
場解析した結果を示す。但し、各永久磁石は希土類永久
磁石であって、直径2.5mm、長さ3mmで、永久磁石表
面から0.25〜0.45mm離れた位置を計測した。
【0017】図10は、2個の永久磁石を同極対向配置
とし、かつ対向間隔を3mmとした場合において、2個の
永久磁石の長手側面に沿って表面磁束密度の垂直成分を
磁場解析した結果を示す。但し、各永久磁石は希土類永
久磁石であって、直径2.5mm、長さ3mmで、永久磁石
表面から0.25〜0.45mm離れた位置を計測した。
【0018】図11は、2個の永久磁石を同極対向配置
とし、両永久磁石間に長さ1mmの軟磁性体を配置した場
合において、2個の永久磁石の長手側面に沿って表面磁
束密度の垂直成分を磁場解析した結果を示す。但し、各
永久磁石は希土類永久磁石であって、直径2.5mm、長
さ3mmで、永久磁石表面から0.25〜0.45mm離れた
位置を計測した。
【0019】図12は、2個の永久磁石を同極対向配置
とし、両永久磁石間に長さ1mmの軟磁性体を配置し、さ
らに2個の永久磁石の外周に対向させて軟磁性体ヨーク
を配設した場合において、2個の永久磁石の長手側面に
沿って表面磁束密度の垂直成分を磁場解析した結果を示
す。但し、各永久磁石は希土類永久磁石であって、直径
2.5mm、長さ3mmで、ヨークは永久磁石を取り囲む円
筒形状で厚み0.5mm、長さ10mmで永久磁石外周から
1.25mm離間した位置となっており、表面磁束密度の
垂直成分は永久磁石表面から0.25〜0.45mm離れた
位置を計測した。
【0020】上述したように、磁石可動体に発生する推
力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基づいて与
えられる推力に準ずるものであり、コイルと鎖交する永
久磁石の磁束の垂直成分(永久磁石の軸方向に直交する
成分)が多いことが望まれるが、図4の第1比較例で
は、表面磁束密度の垂直成分は図6のようになり、図7
乃至図12の2個の永久磁石を同極対向配置とした場合
に比較して垂直成分が少ないことが判明した。このため
図4の第1比較例の構成では、推力の向上に限界があ
る。例えば、磁石可動体10を直径2.5mm、長さ6mm
の希土類永久磁石で構成し、2個のコイル11A,11
Bの隣合う部分に同極が発生するように各コイル11
A,11Bに40mAの電流を流したときに発生する推
力F1は4.7(gf)であった。
【0021】また、図5の第2比較例では、2個の同極
対向の永久磁石間に軟磁性体を配した磁石可動体15を
用いており、磁束密度の垂直成分は図11に示す如くな
り、同極対向の永久磁石16A,16Bの磁極から出る
磁束は1個の永久磁石の場合(図6参照)や2個の永久
磁石のみの場合(図7乃至図10参照)よりも多くなる
が、コイルが磁石可動体15の中間部を囲む1個のみで
あり、磁石可動体15の両端面の磁極による磁束は有効
に利用していない嫌いがある。このため、図5の第2比
較例の場合も推力の向上が難しかった。例えば、図5の
第2比較例において磁石可動体15として直径2.5m
m、長さ3mmの希土類永久磁石を2個用い(希土類永久
磁石の性能は第1比較例と同じとする)、かつ両者間に
長さ1mmの軟磁性体を配置したものを用い、図4の第1
比較例と同じ消費電力となるように作成したコイル18
に40mAの電流を流し、第1比較例と同じ消費電力と
したときに発生する推力F2は5.6(gf)であった。
【0022】一方、図3の本発明で用いる往復動アクチ
ュエータにおける磁石可動体3の構造は、図11のよう
に2個の永久磁石を同極対向させかつ永久磁石間に軟磁
性体を配置したものである。この図11のときは軟磁性
***置に相当する領域Qの表面磁束密度の垂直成分は、
軟磁性体の無い図7乃至図10よりも優れている(磁束
密度0.3T以上のピークの幅が広くかつピークが高
い。)。
【0023】このように、2個の永久磁石5A,5Bを
同極対向させかつ永久磁石間に軟磁性体6を設けた磁石
可動体3は、フレミングの左手の法則に基づく推力に寄
与できる磁石可動体3の長手方向に垂直な磁束成分を大
きくでき、かつ3連のコイル2A,2B,2Cは永久磁
石の全磁極の磁束と有効に鎖交するので、3連のコイル
2A,2B,2Cに交互に逆極性の磁界を発生する向き
に電流を通電することにより、比較例1,2では到達し
得ない大きな推力を発生することができる。各コイルの
電流を反転させれば磁石可動体3の推力の向きも反転す
る。交流電流を流した場合には、一定周期で振動を繰り
返す往復動アクチュエータとして働く。
【0024】本発明で用いる往復動アクチュエータに係
る図3の場合、例えば、磁石可動体3として直径2.5m
m、長さ3mmの希土類永久磁石を2個用い(希土類永久
磁石の性能は第1比較例と同じとする)、かつ両者間に
長さ1mmの軟磁性体を配置したものを用い、図4、図5
の第1、第2比較例と同じ消費電力となるように作成し
た3連のコイル2A,2B,2Cに40mAの電流を流
し、同じ消費電力としたときに発生する推力F3は6.
7(gf)であった。これは、同一消費電力の第1比較例
の場合の約1.42倍の推力であり、また第2比較例の
約1.2倍の推力であり、第1及び第2比較例に比較し
て格段に優れていることが判る。
【0025】図13の曲線(イ)は図3(ヨーク無し)
の場合の磁石可動体3の軸方向変位量と推力(gf)との
関係を示す。但し、永久磁石の寸法、特性は図11に示
したものとするとともに、磁石可動体3の中間点が中央
のコイル2Bの中間点に位置するときを変位量零とし、
各コイルの電流は40mAとした。
【0026】このように、本発明で用いる往復動アクチ
ュエータは、同極対向の永久磁石間に軟磁性体を挟んだ
構造体で磁石可動体を構成しており、永久磁石の着磁方
向(軸方向)に垂直な磁束密度成分を充分大きくできか
つ永久磁石の全ての磁極の発生する磁束を有効利用でき
るので、磁石可動体を取り巻くように周回した少なくと
も3連のコイルに流れる電流との間のフレミングの左手
の法則に基づく推力を充分大きくでき、小型、小電流で
大きな推力を得ることができることがわかる。さらに、
各コイルに交流電流を流すことで磁石可動体の往復運動
が可能であり、磁石可動体をピストンに連結することに
より、ばね等の機械的復帰機構が無くとも円滑な往復運
動が可能で、機構の簡略化も可能である。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係る可動磁石式往復動流体機
械の実施例を図面に従って説明する。
【0028】図1及び図2は本発明の第1実施例を示
す。これらのにおいて、10は往復動アクチュエータ、
20はケーシング室としてのシリンダ室、30は該シリ
ンダ室に摺動自在に設けられた往復駆動体としてのピス
トンであり、往復動アクチュエータ10にて駆動される
ものである。
【0029】往復動アクチュエータ10は、軟磁性体の
円筒状ヨーク1と、該円筒状ヨーク1の内側に配置され
た3連のコイル2A,2B,2Cと、磁石可動体3とを
有し、3連のコイル2A,2B,2Cは磁石可動体3を
摺動自在に案内するためのガイド筒体4を構成する絶縁
樹脂等の絶縁部材(非磁性材)で円筒状ヨーク1に固着
されている。磁石可動体3は、同極対向配置の2個の円
柱状希土類永久磁石5A,5Bと、これらの永久磁石5
A,5B間に配置される円柱状軟磁性体6と、各永久磁
石5A,5Bの外側端面にそれぞれ配置される軸部品8
A,8Bと、非磁性筒状ホルダ7とからなり、それらの
永久磁石5A,5B、軟磁性体6及び軸部品8A,8B
の円板状部9A,9Bは筒状ホルダ7内に収納され接着
剤、あるいはホルダ端部のかしめ等で固定されている。
前記3連のコイル2A,2B,2Cは永久磁石5A,5
Bの磁極間を境にして相異なる方向に電流が流れる如く
結線されている。すなわち、中央のコイル2Bは軟磁性
体6及び永久磁石5A,5BのN極を含む端部を囲み、
両側のコイル2A,2Cは、永久磁石5A,5BのS極
を含む端部をそれぞれ囲むことができるようになってお
り、かつ中央のコイル2Bに流れる電流の向きと、両側
のコイル2A,2Cの電流の向きとは逆向きである(図
1の各コイルに付したN,Sを参照)。
【0030】前記磁石可動体3を摺動自在に案内するた
めのガイド筒体4の左側に前記シリンダ室20が形成さ
れており、右側に前記軸部品8Bの軸11Bが摺動自在
に嵌合する軸受穴21が形成されている。そして、前記
軸部品8Aの軸11Aの先端面に前記ピストン30がボ
ルト31で固定されている。ピストン30の端面には吸
入穴32が形成されており、該吸入穴32を閉塞するゴ
ム等の可撓性板材の吸入弁33が前記ボルト31でピス
トン30の端面に重なるように取り付けられている。前
記シリンダ室20の右寄り位置に連通するように前記円
筒状ヨーク1及びガイド筒体4を貫通する吸気穴34
が、左寄り位置に連通するように前記円筒状ヨーク1及
びガイド筒体4を貫通する排気穴35が形成されてい
る。なお、シリンダ室20の左側開口を密閉するために
Oリング36を介して蓋体37が前記円筒状ヨーク1に
固着されている。
【0031】この第1実施例では、往復動アクチュエー
タ10の各コイル2A,2B,2Cの外周側に軟磁性体
の円筒状ヨーク1が設けられているため、磁石可動体3
の表面磁束密度の垂直成分は、図12に示す如く、さら
に増大する。このため、フレミングの左手の法則に基づ
く推力に寄与できる磁石可動体3の長手方向に垂直な磁
束成分を大きくでき、磁石可動体3の周囲を環状に巻回
する3連のコイル2A,2B,2Cに交互に逆極性の磁
界を発生する向きに電流を通電することにより、いっそ
う大きな推力を発生することができる。例えば、磁石可
動体3として直径2.5mm、長さ3mmの希土類永久磁石
を2個用い(希土類永久磁石の性能は第1比較例と同じ
とする)、かつ両者間に長さ1mmの軟磁性体を配置した
ものを用い、図4、図5の第1、第2比較例と同じ消費
電力となるように作成した3連のコイル2A,2B,2
Cに40mAの電流を流し、同じ消費電力としたときに
発生する推力F4は8.0(gf)であった。推力F4の
向きは、図1の極性では、磁石可動体3が右方向に移動
する向きであり、各コイルの電流を反転させれば磁石可
動体3の推力の向きも反転する。したがって、各コイル
に交流電流を流すことで、一定周期で往復運動を繰り返
す小型で推力の大きな往復動アクチュエータとして機能
する。
【0032】図13の曲線(ロ)は第1実施例(但し、
永久磁石及びヨークの寸法、配置及び永久磁石の特性は
図12の通り)の場合の磁石可動体3の軸方向変位量と
推力(gf)との関係であって変位量零の点から離れる方
向に磁石可動体が動作するときを示す。また、曲線
(ハ)は第1実施例(ヨーク有り)の場合の磁石可動体
3の軸方向変位量と推力(gf)との関係であって変位量
零の点に近付く方向に動作するときを示す。但し、磁石
可動体3の中間点が中央のコイル2Bの中間点に位置す
るときを変位量零とし、各コイルの電流は40mAとし
た。このように、磁石可動体3が変位量零の点に近付く
か又は離れるかによって推力が相違するのは、磁石可動
体3の永久磁石の磁極とヨーク1との間に磁石可動体3
を変位量零点に戻す磁気吸引力が働いているからであ
る。
【0033】上記したように、第1実施例における往復
動アクチュエータ10は小型で推力の大きなものであ
り、これでシリンダ室20内のピストン30を往復動さ
せることで小型で効率の良いエアーポンプを実現でき
る。すなわち、磁石可動体3が図1の右方向に動くと
き、吸入弁33が開きシリンダ室20の左側に吸気穴3
4及び吸入穴32を介して空気を吸入し、磁石可動体3
の左方向の動きでシリンダ室左側の空気を圧縮して排気
穴35を介し送出することができる。
【0034】図14は本発明の第2実施例を示す。この
場合、シリンダ室及びピストン等を往復動アクチュエー
タ10の磁石可動体3の両側に設けて、2個のポンプ部
40A,40Bを構成している。図14において、往復
動アクチュエータ10の構成は前述の第1実施例と実質
的に同じであり、前記磁石可動体3を摺動自在に案内す
るためのガイド筒体4の左側にポンプ部40Aが構成さ
れている。すなわち、ガイド筒体4の左側にシリンダ室
20Aが形成されており、軸部品8Aの軸11Aの先端
面にピストン30Aがボルト31Aで固定されている。
ピストン30Aの端面には吸入穴32Aが形成されてお
り、該吸入穴32Aを閉塞するゴム等の可撓性板材の吸
入弁33Aが前記ボルト31Aでピストン30Aの端面
に重なるように取り付けられている。また、シリンダ室
20Aの左側開口を密閉するためにOリング36を介し
て蓋体37Aが前記円筒状ヨーク1に固着されている。
前記シリンダ室20Aの右寄り位置に連通するように円
筒状ヨーク1及びガイド筒体4を貫通する吸気穴34A
が、シリンダ室20Aの側壁を成す蓋体37Aに排気穴
35Aがそれぞれ形成されている。
【0035】同様に、前記磁石可動体3を摺動自在に案
内するためのガイド筒体4の右側にポンプ部40Bが構
成されている。すなわち、ガイド筒体4の右側にシリン
ダ室20Bが形成されており、軸部品8Bの軸11Bの
先端面にピストン30Bがボルト31Bで固定されてい
る。ピストン30Bの端面には吸入穴32Bが形成され
ており、該吸入穴32Bを閉塞するゴム等の可撓性板材
の吸入弁33Bが前記ボルト31Bでピストン30Bの
端面に重なるように取り付けられている。また、シリン
ダ室20Bの左側開口を密閉するためにOリング36を
介して蓋体37Bが前記円筒状ヨーク1に固着されてい
る。前記シリンダ室20Bの左寄り位置に連通するよう
に前記円筒状ヨーク1及びガイド筒体4を貫通する吸気
穴34Bが、シリンダ室20Bの側壁を成す蓋体37B
に排気穴35Bが形成されている。
【0036】この第2実施例によれば、往復動アクチュ
エータ10で2個のポンプ部40A,40Bを効率的に
駆動することができる。
【0037】図15は本発明の第3実施例を示す。この
場合、ピストン側には弁を設けずに、流体吸入口及び流
体吐出口にそれぞれ逆止弁を設けている。図15におい
て、往復動アクチュエータ10の構成は前述の第1実施
例と同じであり、磁石可動体3を摺動自在に案内するた
めのガイド筒体4の左側にシリンダ室20が形成されて
おり、右側に軸部品8Bの軸11Bが摺動自在に嵌合す
る軸受穴21が形成されている。そして、軸部品8Aの
軸11Aの先端面にピストン30がボルト31で固定さ
れている。また、シリンダ室20の左側開口を密閉する
如くOリング36を介して連結ブロック41が前記円筒
状ヨーク1に固着されている。該連結ブロック41は流
体吸入側から吐出側に貫通した流体通路42を有すると
ともに、該流体通路42とシリンダ室20とを連通させ
る連通路43を有している。流体通路42の一方に連通
する流体吸入口44を有する吸入口部品45が前記連結
ブロック41に螺着され、流体通路42の他方に連通す
る流体吐出口46を有する吐出口部品47が前記連結ブ
ロック41に螺着されている。そして、吸入口部品45
の内部にはシール材が設けられた弁座部50が形成さ
れ、さらに弁体としての鋼球51、鋼球51に当接する
ばね受け52、圧縮ばね53、ばね押え54、吸入口部
品45の内面に固定される止め輪55が配設されてい
る。弁体としての鋼球51は圧縮ばね53で弁座部50
に圧接するように付勢されており、逆流防止のための逆
止弁を構成している。同様に、吐出口部品47の内部に
は、シール材が設けられた弁座部60が形成され、さら
に弁体としての鋼球61、鋼球61に当接するばね受け
62、圧縮ばね63、ばね押え64、吐出口部品47の
内面に固定される止め輪65が配設されている。弁体と
しての鋼球61は圧縮ばね63で弁座部60に圧接する
ように付勢されており、逆流防止のための逆止弁を構成
している。
【0038】この第3実施例においても、ピストン30
を往復動させ、ピストン30で隔離されたシリンダ室2
0の左側の流体導入室70の体積を増減することで、流
体の吸入口44からの流体の吸入、吐出口46からの流
体の吐出を交互に繰り返し実行することができる。
【0039】図16は本発明の第4実施例を示す。この
場合は、ピストンに代えて往復動するダイアフラムを使
用している。すなわち、往復動アクチュエータ10の構
成は前述の第1実施例と同じであり、磁石可動体3を摺
動自在に案内するためのガイド筒体4の左側にケーシン
グ室80の右部分が形成されており、ケーシング室80
の左部分を構成する有蓋筒体81の端面と前記ガイド筒
体4の端面間に可撓性(弾性)を持つ薄板状のダイアフ
ラム82の周縁部が挟持、固定されている。有蓋筒体8
1は前記円筒状ヨーク1のフランジ部に固着されてお
り、吸気穴83及び排気穴84を有している。そして、
吸気穴83の内側、及び排気穴84の外側にそれぞれ逆
流防止用の弁85,86が設けられている。例えば弁8
5,86はゴム等の可撓性板材であり、一端にて有蓋筒
体81に固定されている。ダイアフラム82の中央部は
磁石可動体3に一体の軸部80Aの軸11Aに連結され
ている。
【0040】この第4実施例においても、ダイアフラム
82を往復動させ、ダイアフラム82で隔離されたケー
シング室80の左側の流体導入室90の体積を増減する
ことで、空気等の吸気穴83からの吸入、排気穴84か
らの排出を交互に繰り返し実行することができる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可動磁石
式往復動流体機械によれば、次のような効果を得ること
ができる。 (1) 往復動アクチュエータでピストンやダイアフラ
ム等の往復駆動体を駆動する構成であり、該往復動アク
チュエータは永久磁石とコイル間に働くフレミングの左
手の法則に準ずる推力を発生するもので、効率が良好で
あり、小型で大きな推力を発生可能である。また、電力
消費を少なくでき、放熱対策も容易である。 (2) 磁性アーマチュアと固定電磁回路を組み合わせ
た従来の電磁往復動流体機械は、磁性アーマチュアが偏
倚しやすく、磁性アーマチュアの円滑な往復動が妨げら
れたり、磁性アーマチュアの摩耗が問題となるが、本発
明で用いる往復動アクチュエータはフレミングの左手の
法則に基づく推力であり、磁石可動体の偏倚は発生しに
くく、摩耗の問題も少なく、長寿命とすることができ
る。 (3) 交流電圧にて直接電磁往復動させられるため、
復帰用ばね等の機械的復帰機構が不要であり、部品点数
の削減、機構の簡略化、更には小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可動磁石式往復動流体機械の第1
実施例を示す正断面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】本発明で用いる往復動アクチュエータの基本構
成を示す概略構成図である。
【図4】往復動アクチュエータの第1比較例を示す概略
構成図である。
【図5】往復動アクチュエータの第2比較例を示す概略
構成図である。
【図6】単一の永久磁石の長手側面(永久磁石の着磁方
向に平行な面)の表面磁束密度の垂直成分(長手側面に
垂直な成分)を示すグラフである。
【図7】2個の同極対向の永久磁石を直接的に対接状態
とした場合の長手側面の表面磁束密度の垂直成分を示す
グラフである。
【図8】2個の永久磁石を1mmのエアーギャップを介し
同極対向状態とした場合の長手側面の表面磁束密度の垂
直成分を示すグラフである。
【図9】2個の永久磁石を2mmのエアーギャップを介し
同極対向状態とした場合の長手側面の表面磁束密度の垂
直成分を示すグラフである。
【図10】2個の永久磁石を3mmのエアーギャップを介
し同極対向状態とした場合の長手側面の表面磁束密度の
垂直成分を示すグラフである。
【図11】2個の永久磁石を軟磁性体を介し同極対向状
態とした場合の長手側面の表面磁束密度の垂直成分を示
すグラフである。
【図12】2個の永久磁石を軟磁性体を介し同極対向状
態とし、かつ軟磁性体ヨークを配置した場合の長手側面
の表面磁束密度の垂直成分を示すグラフである。
【図13】図1及び図3の往復動アクチュエータにおけ
る磁石可動体の変位量と推力との関係を示すグラフであ
る。
【図14】本発明の第2実施例を示す正断面図である。
【図15】本発明の第3実施例を示す正断面図である。
【図16】本発明の第4実施例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 円筒状ヨーク 2A,2B,2C コイル 3 磁石可動体 4 ガイド筒体 5A,5B 円柱状永久磁石 6 円柱状軟磁性体 7 円筒状ホルダ 8A,8B 軸部品 10 往復動アクチュエータ 20,20A,20B シリンダ室 30,30A,30B ピストン 32,32A,32B 吸入穴 33,33A,33B 吸入弁 34,34A,34B,83 吸気穴 35,35A,35B,84 排気穴 37,37A,37B 蓋体 40A,40B ポンプ部 41 連結ブロック 42 流体通路 43 連通路 45 吸入口部品 47 吐出口部品 80 ケーシング室 81 有蓋筒体 85,86 弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 重男 東京都中央区日本橋一丁目13番1号ティ ーディーケイ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04B 17/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同極対向された少なくとも2個の永久磁
    石間に磁性体を設けて磁石可動体を構成し、相互の位置
    関係が一定に規制された少なくとも3連のコイルの内側
    に当該磁石可動体を移動自在に設け、前記少なくとも3
    連のコイルを、各永久磁石の磁極間を境にして相異なる
    方向に電流が流れる如く結線し、前記少なくとも3連の
    コイルに対し一定位置関係に設けられたケーシング室に
    対し往復駆動体を設けるとともに、該往復駆動体を前記
    磁石可動体に連結したことを特徴とする可動磁石式往復
    動流体機械。
  2. 【請求項2】 前記ケーシング室がシリンダ室を構成
    し、該シリンダ室に前記往復駆動体としてのピストンが
    摺動自在に設けられている請求項1記載の可動磁石式往
    復動流体機械。
  3. 【請求項3】 前記ピストンの端面に吸入穴及び該吸入
    穴を閉塞する吸入弁が設けられている請求項2記載の可
    動磁石式往復動流体機械。
  4. 【請求項4】 前記往復駆動体が可撓性を有するダイア
    フラムであり、該ダイアフラム周縁部が前記ケーシング
    室に固定されている請求項1記載の可動磁石式往復動流
    体機械。
  5. 【請求項5】 前記コイル外周側に磁性体ヨークを設け
    て、前記永久磁石の着磁方向に垂直な方向の磁束成分を
    増加させるための磁気回路を構成した請求項1記載の可
    動磁石式往復動流体機械。
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