JP3255078B2 - 水酸化ニッケルの製造方法 - Google Patents

水酸化ニッケルの製造方法

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JP3255078B2
JP3255078B2 JP11178597A JP11178597A JP3255078B2 JP 3255078 B2 JP3255078 B2 JP 3255078B2 JP 11178597 A JP11178597 A JP 11178597A JP 11178597 A JP11178597 A JP 11178597A JP 3255078 B2 JP3255078 B2 JP 3255078B2
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nickel
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晧 木村
浩介 村井
弘昌 薬師寺
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にパソコン、携
帯電話等に使用される小型二次電池用正極材、電気自動
車等に使用される二次電池用正極材として最適な、形状
と粒度とタッピング密度(tap density)を有する水酸
化ニッケル粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水酸化ニッケルは、二次電池の一つであ
るニッケル・カドミウム電池の正極材や、ニッケル・水
素電池の正極材に使用されている。
【0003】高度情報化社会に伴い、その媒体としてパ
ソコン、携帯電話の普及が目覚ましく、これらに使用さ
れる二次電池特性の要求も高級化しており、その結果、
正極材としての水酸化ニッケルの品質も従来以上の特性
が要求されている。
【0004】近年、二次電池の正極基板として、従来の
75〜80%の多孔度を有する焼結式基板に代わり、9
0〜95%の多孔度を育する発泡メタル式基板が開発さ
れ、その基板内に活物質である水酸化ニッケルをこれま
で以上に充填出来るようになった。
【0005】この発泡メタル式基板の機能を十分に生か
すためには、水酸化ニッケルのタッピング密度が十分に
高いこと、たとえば2.30g/ml以上が要求され
る。しかし、水酸化ニッケルのタッピング密度が十分に
高くないと、活物質の高利用率と放電率が得られず、二
次電池としての十分な容量性能の向上が得られない。
【0006】従って、水酸化ニッケルのタッピング密度
を高くする為の製造方法が種々提案されている。
【0007】例えば、特開昭63―16556には、ニ
ッケル塩水溶液と苛性アルカリ水溶液を同一槽内に導入
して十分撹拌し、供給濃度、槽内温度、供給液流量及び
槽内pHを制御して水酸化ニッケルを製造する方法が記
されている。しかし、この方法で得られた水酸化ニッケ
ルのタッピング密度は、1.45〜1.95g/mlで
あり、二次電池の正極材として使用するに十分なタッピ
ング密度が得られない。
【0008】特開平7―165428には、ろ過機能を
備えた反応槽にニッケル塩水溶液と苛性アルカリ水溶液
とアンモニア水溶液とを一定の割合で連続的に供給し、
反応槽の容積が所定量に達した後、ろ過機能により反応
槽内の微粒な水酸化ニッケルを除去し、反応槽の容量を
一定に保ちながら供給液の所定量を加えた後供給を停止
し、反応槽から取り出して水酸化ニッケルを製造する方
法が記されている。
【0009】しかし、この方法で得られた水酸化ニッケ
ルのタッピング密度は、1.93〜2.08g/mlで
あり、二次電池の正極材として使用するには十分とは言
えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
二次電池用正極材としての水酸化ニッケルの製造方法に
おいては、反応条件としてpHコントロールを基本とし
ており、供給液量の繊細な制御が必要である。又、pH
測定値は温度変化やpHメーターの劣化やpHメーター
の表面付着物により敏感に変化するため、反応系内を常
に定常状態に保つことは非常に困難である。さらには、
製造方法自体が繁雑であったりする。
【0011】従って、本発明が、解決しようとする課題
は、pHは9〜14の広い範囲内であればよく、二次電
池の正極基板である発泡メタル式基板に充填するに最適
な形状と粒度及びタッピング密度を有する水酸化ニッケ
ルを簡単な制御でしかも連続的で容易に製造する方法を
提供するものである。形状としては、真球状のもの、粒
度は5〜50μm程度の範囲で、タッピング密度は2.
30g/ml以上の水酸化ニッケルを得ることを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、ニッケル
塩水溶液と、ニッケル1当量に対しアンモニア0.5〜
6当量に相当するアンモニア水溶液と、苛性アルカリ
0.9〜1.5当量の苛性アルカリ水溶液とを同時にか
つ連続的に一定の割合で供給し、しかもこれら水溶液供
給量の変動幅が±5%以内とし、撹拌条件下で水酸化ニ
ッケルを生成する反応槽と、この反応槽から水酸化ニッ
ケル粒子と水溶液を連続的にオーバーフローさせ供給
し、撹拌条件下で熟成する熟成槽と、この熟成槽から水
酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオーバーフローさ
せ供給し、水酸化ニッケルと水溶液とを連続的に系外に
取り出す固液分離槽とにより、水酸化ニッケルを製造す
る方法である。
【0013】さらに本発明は、上記製造方法において、
固液分離槽から取り出された水酸化ニッケル粒子の一部
を連続的に反応槽に±5%以内の変動幅でリサイクル供
給することにより水酸化ニッケルを製造する方法であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の製造方法について
図1、2のフローに基づいて詳細に説明する。
【0015】本発明に使用されるニッケル塩水溶液と
しては、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル等
のニッケル塩であり、これらの塩を単独もしくは2種類
以上の混合物として使用してもよい。
【0016】ニッケル塩水溶液のニッケル濃度は、20
〜250g/l程度の範囲で使用するのが望ましい。2
0g/l未満でもさしつかえないが生産性が低下し、2
50g/l以上だと水溶液中に未溶解ニッケル塩が残
り、所定のニッケル濃度で一定量の供給が不可能とな
る。
【0017】アンモニア水溶液としては、アンモニア
水あるいはアンモニアガスを使用し、アンモニア水とし
て使用する場合は5〜28%濃度の水溶液として使用す
るのがよい。アンモニア水溶液は、通常反応槽に直接
供給するが、供給するニッケル塩水溶液と予め所定量混
合して反応槽に供給してもさしつかえない。この場合、
反応槽に供給するアンモニア供給量は、[Ni(N
3x2+のニッケル・アンモニウム錯塩を形成するに
必要なX値を0.5〜6の範囲にする。この理由につい
ては後で述べる。
【0018】苛性アルカリ水溶液としては、苛性ソー
ダ、苛性カリウム等のアルカリ金属塩を使用し、5〜5
0%濃度の水溶液として使用するのがよい。この場合、
反応槽に供給する苛性アルカリ供給量は、水酸化ニッケ
ルを生成するに必要な当量の0.9〜1.5倍の範囲に
する。
【0019】ニッケル塩はアンモニアにより、容易にニ
ッケル・アンモニウム錯塩を形成し、このニッケル錯塩
にアルカリを供給した場合(1)式の解離反応により水
酸化ニッケルが生成する。 [Ni(NH3x2++2(OH)- =Ni(OH)2↓+XNH3↑・・・(1)
【0020】これによる水酸化ニッケルの生成反応は、
ニッケル・アンモニウム錯塩の解離反応が律速である
が、アンモニア供給量(X)が0.5よりも少ない場合
は、ニッケルに対しアンモニア量の不足により、十分な
ニッケル・アンモニウム錯塩が形成されず、ニッケル塩
とアルカリとの直接反応すなわち(2)式により水酸化
ニッケルが生成する。水酸化ニッケルの生成において
(2)式は(1)式よりも反応速度が速い。 Ni2++2(OH)- =Ni(OH)2↓・・・(2)
【0021】従って、(1)式の解離反応により水酸化
ニッケルを生成しようとする場合、アンモニアの供給量
は、(1)式のX値が0.5〜6の範囲が最適である。
【0022】0.5未満の場合は、上述のように(2)
式の反応が優先的に起り、水酸化ニッケルの核発生が瞬
間的に生じることにより、水酸化ニッケルの結晶成長が
阻害され、微細な粒子径の水酸化ニッケル粒子しか得ら
れない。この場合、反応槽から水酸化ニッケル粒子と
水溶液を連続的にオーバーフローさせた後、熟成槽に
より十分熟成させたとしても、見かけ上水酸化ニッケル
の粒子径は大きくなるが、粒子形状は不定形か表面が凹
凸の物しか生成されない。6超では、ニッケル・アンモ
ニウム錯塩が飽和となり、アンモニアガスが増加する
為、経済的でない。
【0023】苛性アルカリの供給量は、水酸化ニッケル
を生成するに必要な当量の0.9〜1.5の範囲が最適
である。.0.9未満だと、水酸化ニッケルの収率が低
下するばかりか、反応、熟成後の水溶液中に未反応のニ
ッケルが多く存在する為、この液処理が必要となり経済
的でない。1.5超では、水酸化ニッケルの生成反応時
に(OH)- が過剰となることにより核生成が容易とな
り、未成長で微細な粒子径の水酸化ニッケル粒子が多く
なるばかりか、ニッケル量に対する苛性アルカリ原単位
も多くなる為、経済的でない。
【0024】本発明の方法においては、さらに、反応
槽に供給されるニッケル塩水溶液と、アンモニア水
溶液と、苛性アルカリ水溶液の供給量のそれぞれの変
動幅が共に±5%以内で供給する必要がある。これらの
供給量の変動幅が±5%を超えると、たとえ上述した諸
条件が満たされたとしても、二次電池用正極材として最
適な、形状と粒度とタッピング密度を有する水酸化ニッ
ケル粒子の製造は得られない。
【0025】すなわち、水酸化ニッケルの核発生速度と
この核からの結晶成長速度は、反応槽内のニッケル、
アンモニア、アルカリ量により決定され、これらの供給
量を一定量に保たれて初めて核発生と結晶成長を定常状
態に保つことが出来る。
【0026】もし、反応槽内のニッケルとアンモニア
が一定量に保たれていたとしても、アルカリ量が頻繁に
増減し変化すると、それに伴って結晶成長よりも核発生
が多くなったり、あるいは核発生よりも結晶成長が優先
したりすることにより、最適な形状と粒度とタッピング
密度を有する水酸化ニッケル粒子は得られない。
【0027】また、ニッケルとアルカリが一定量に保た
れていたとしても、アンモニア量が頻繁に増減し変化す
ると、それに伴ってニッケル・アンモニウム錯塩量が変
化し、アルカリとの反応時の解離反応速度が変化し、最
適な形状と粒度とタッピング密度を有する水酸化ニッケ
ル粒子は得られない。
【0028】また、アンモニアとアルカリ量が一定に保
たれていたとしても、ニッケル量が頻繁に増減し変化す
ると、それに伴ってニッケル・アンモニア錯塩量が変化
し、アルカリとの反応時の解離反応速度が変化し、さら
にニッケルとアルカリ量のバランスも崩れることにより
核発生と結晶成長のバランスも変化し、最適な形状と粒
度とタッピング密度を有する水酸化ニッケルは得られな
い。
【0029】本発明の方法においては、さらに反応槽
で生成された水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオ
ーバーフローさせ供給し、撹拌条件下で熟成する熟成
槽をもうけることである。
【0030】この熟成槽をもうけることにより、反
応槽で未反応なニッケルが存在した場合でも、完全に反
応を終了することができ、さらに、水溶液中に存在する
水酸化ニッケル粒子同志の接触により粒子表面が平滑と
なって真球状となり、二次電池用正極材として最適な、
形状と粒度とタッピング密度を有する水酸化ニッケル
を製造することができる。
【0031】本発明の方法においては、さらに、熟成
槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオーバー
フローさせ供給し、水酸化ニッケル粒子と水溶液とを連
続的に系外に取り出す固液分離槽をもうけることであ
る。
【0032】この固液分離は、水酸化ニッケル粒子の自
然沈降を利用し、固液分離槽の下部から水酸化ニッケ
ルスラリーを連続的に取り出し、上部から水溶液をオ
ーバーフローにより取り出すことにより簡単に成しえ
る。すなわち、シックナーのような装置を利用すること
が出来る。
【0033】この固液分離槽の容量は、熟成槽から
の供給量に対し2時間程度の滞留時間を有する槽で十分
である。この理由は、本発明の方法で製造した水酸化ニ
ッケル粒子は、自然沈降速度が速い為、容易に固液分離
が出来ることによる。
【0034】本発明のもう一つの方法は、図2に示すよ
うに固液分離槽から取り出された水酸化ニッケルスラ
リーの一部を連続的に反応槽に供給、すなわちリサイ
クルすることであり、これにより平均粒子径が増大す
る。このリサイクルする水酸化ニッケルの量は反応槽
で生成される水酸化ニッケル粒子量の10倍量(重量基
準)程度まででよい。好ましいリサイクル量は0.3〜
5倍量程度である。
【0035】この場合、固液分離槽から取り出される
水酸化ニッケル量のうち、常に反応槽で生成した水酸
化ニッケル量だけ系外に出すことにより常に定常状態が
保たれる。この場合も、反応槽に供給する水酸化ニッ
ケル粒子量の供給変動幅は、±5%以内とする。
【0036】このように、水酸化ニッケル粒子を連続的
に反応槽にリサイクルすることにより、常に一定の履
歴を持った水酸化ニッケル粒子が反応槽に存在するこ
とが出来、この水酸化ニッケル粒子が核となり結晶成長
することにより、二次電池用正極材として最適な、形状
とタッピング密度を有したままで所望する粒度を持つ
水酸化ニッケルを製造することが出来る。すなわち、水
酸化ニッケル粒子のリサイクル量を多くすることによ
り、粒度を大きくすることが出来る。
【0037】なお、各槽共に、温度は0〜60℃とす
る。60℃超になるとアンモニアガスの揮発ロスが大と
なる。pHは9〜14の範囲であればよい。pHは浴中
で変動し易いが、この範囲内にあれば特にpHコントロ
ールは必要でない。
【0038】滞留時間は各槽共に1〜20時間である。
1時間未満であると、未反応のものが多く、水酸化ニッ
ケルの歩留りが悪化する。20時間を超えると経済的で
ない。
【0039】反応槽、熟成槽共に粒子が均一に混合され
るために、撹拌が必要である。固液分離槽は撹拌なしで
もよい。反応槽から熟成槽へ、又熟成槽から固液分離槽
への供給は、定量ポンプによって行ってもよいが、オー
バーフロー方式が、より簡単に一定量を供給できる。
【0040】又、本願で得られた水酸化ニッケル粒子
は、タッピング密度が2.30g/ml以上を、目的と
しているが、そのために形状は真球状が好ましく、又平
均粒径は5〜50μm程度で大小適度に分布しているこ
とが好ましく、この目的は、本願発明によって達成され
る。
【0041】又タッピング密度の測定は、容器に水酸化
ニッケル粒子を一定量(Ag)入れ、100回タッピン
グし、充填した容積をBmlとしたとき、A/Bg/mlと
して求められる。
【0042】
【実施例】以下の実施例及び比較例により、本発明を具
体的に説明する。
【0043】
【実施例1】上部にオーバーフローの開口を持つそれぞ
れ60L容量の反応槽と熟成槽を設置し、さらに熟成槽
のオーバーフローの開口から供給される、上部にオーバ
ーフローの開口と下部に水酸化ニッケル粒子の抜き取り
口を持つ20L容量の固液分離槽とを設置した装置を用
いた。
【0044】ニッケル塩水溶液としてニッケル濃度12
0g/Lの硫酸ニッケル水溶液を44.4±0.5ml
/分の供給量で、アンモニア水溶液として25%濃度で
13.7±0.2ml/分の供給量で、苛性アルカリ水
溶液として25%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を2
5.5±0.3ml/分の供給量で同時に連続的に、十
分に撹拌されている反応槽内に供給し、12時間反応し
た。
【0045】このときのアンモニア量は、[Ni(NH
3x2+のニッケル・アンモニウム錯塩を形成するに必
要なX値が2.0であり、水酸化ナトリウム量は、水酸
化ニッケルを生成するに必要な当量の1.13倍であっ
た。
【0046】反応槽で生成された水酸化ニッケル粒子と
水溶液は、反応槽上部のオーバーフローの開口から連続
的に、十分に撹拌されている熟成槽に供給し、12時間
熟成後熟成槽上部のオーバーフローの開口から連続的
に、固液分離槽に供給した。
【0047】固液分離槽内で、水酸化ニッケル粒子の自
然沈降を利用して水酸化ニッケル粒子と水溶液とを分離
し、固液分離槽の上部から水溶液をオーバーフローによ
り連続的に廃液し、下部から水酸化ニッケル粒子を連続
的に抜き取り、水洗ろ過し、乾燥後製品としての水酸化
ニッケル粒子を得た。反応槽と熟成槽内の温度は共に4
0±1℃とした。
【0048】反応槽と熟成槽からオーバーフローした水
溶液のニッケル濃度を分析したところ、それぞれ1.2
6g/lと0.02g/lであり、最終的なニッケル回
収率は、ほぼ100%であった。
【0049】また、ろ過後の水酸化ニッケルの含水率は
8.3%であり、ろ過性は非常に良好であった。このよ
うにして得られた水酸化ニッケルの形状を電子顕微鏡に
より観察したところ真球形状であった。また、平均粒子
径は14.6μmであり、タッピング密度は2.32g
/mlであった。図3に水酸化ニッケルの電子顕微鏡写
真を示す。
【0050】
【実施例2】反応槽、熟成槽、固液分離槽の装置及び、
ニッケル塩水溶液、アンモニア水溶液、苛性アルカリ水
溶液の濃度と供給量は、実施例1と同様な条件で実施し
た。
【0051】さらに、固液分離槽の下部から取り出され
た50%スラリー濃度の水酸化ニッケル粒子を8.5±
0.1ml/分の供給量すなわち、水酸化ニッケル粒子
のリサイクル量を、反応槽で生成される水酸化ニッケル
量と同量で、連続的に反応槽内に供給した。
【0052】反応槽と熟成槽からオーバーフローした水
溶液のニッケル濃度を分析したところ、それぞれ1.0
4g/lと0.01g/lであり、最終的なニッケル回
収率は、ほぼ100%であった。
【0053】また、ろ過後の水酸化ニッケルの含水率は
7.9%であり、ろ過性は非常に良好であった。このよ
うにして得られた水酸化ニッケルの形状を電子顕微鏡に
より観察したところ真球形状であった。また、平均粒子
径は17.7μmであり、タッピング密度は2.37g
/mlであった。
【0054】
【実施例3】50%スラリー濃度の水酸化ニッケル粒子
の供給量を25.5±0.3ml/分とした以外は、実
施例2と同様な条件で実施した。なお、本実施例におけ
るリサイクルされる水酸化ニッケル粒子の量は、反応槽
で生成される水酸化ニッケル量の3倍量であった。
【0055】反応槽と熟成槽からオーバーフローした水
溶液のニッケル濃度を分析したところ、それぞれ1.0
9g/lと0.01g/lであり、最終的なニッケル回
収率は、ほぼ100%であった。
【0056】また、ろ過後の水酸化ニッケルの含水率は
8.5%であり、ろ過性は非常に良好であった。このよ
うにして得られた水酸化ニッケルの形状を電子顕微鏡に
より観察したところ完全な球形であった。また、平均粒
子径は20.0μmであり、タッピング密度は2.33
g/mlであった。図4に水酸化ニッケルの電子顕微鏡
写真を示す。
【0057】
【比較例1】実施例1と同一な槽を使用し、同一な水溶
液濃度で実施した。ニッケル塩水溶液とアンモニア水溶
液の供給量は実施例1と同様とし、変動幅が±5%以内
であったが、苛性アルカリ供給量は反応槽内のpHが1
2.5〜12.6の範囲となるように自動制御した結
果、苛性アルカリ供給量は23.5±1.9ml/分で
あり、変動幅が±8%であった。
【0058】反応槽と熟成槽からオーバーフローした水
溶液のニッケル濃度を分析したところ、それぞれ2.3
5g/lと0.87g/lであり、オーバーフロー水溶
液中にかなりのニッケルが残った。
【0059】また、ろ過後の水酸化ニッケルの含水率は
14.7%であり、平均粒子径15.3μm、タッピン
グ密度1.84g/mlの表面に凹凸が存在する形状の
物であった。
【0060】
【比較例2】実施例1と同一な槽を使用し、同一な水溶
液濃度で実施した。苛性アルカリ水溶液とアンモニア水
溶液の供給量及び水酸化ニッケル粒子の供給量は実施例
2と同じとし、変動幅は±5%以内であったが、ニッケ
ル塩供給量は反応槽内のpHが12.5〜12.6の範
囲となるように自動制御した結果、ニッケル塩供給量は
45.5±4.8ml/分であり、変動幅が±10.5
%であった。
【0061】反応槽と熟成槽からオーバーフローした水
溶液のニッケル濃度を分析したところ、それぞれ2.2
6g/lと0.58g/lであり、オーバーフロー水溶
液中にかなりのニッケルが残った。
【0062】また、ろ過後の水酸化ニッケルの含水率は
14.3%であり、平均粒子径23.3μm、タッピン
グ密度1.86g/mlの表面に凹凸が存在する形状の
物であった。図5に水酸化ニッケルの電子顕微鏡写真を
示す。
【0063】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特に二次電池用
正極材として最適な真球状と粒度分布を有し、その結果
がタッピング密度が2.30g/ml以上の高タッピン
グ密度を有する水酸化ニッケル粒子を、容易にしかも連
続的に製造出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水酸化ニッケル製造工程図である。
【図2】水酸化ニッケルスラリーが一部リサイクルされ
る、本発明の水酸化ニッケル製造工程図である。
【図3】実施例1で得られた水酸化ニッケルの顕微鏡写
真である。
【図4】実施例3で得られた水酸化ニッケルの顕微鏡写
真である。
【図5】比較例2で得られた水酸化ニッケルの顕微鏡写
真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 薬師寺 弘昌 青森県八戸市大字河原木字遠山新田(番 地なし) 大平洋金属株式会社 八戸製 造所内 (56)参考文献 特開 平10−182164(JP,A) 特開 平2−6340(JP,A) 特開 平10−97856(JP,A) 特開 平7−165428(JP,A) 特開 平7−245104(JP,A) 特開 平6−191855(JP,A) 特開 平10−25117(JP,A) 特開 平10−125319(JP,A) 特開 平9−139206(JP,A) 特開 平5−254847(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 1/00 - 57/00 JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル塩水溶液と、アンモニア水溶液
    と、苛性アルカリ水溶液とを同時にかつ連続的に反応槽
    に供給し、撹拌条件下で水酸化ニッケルを生成させ、こ
    の反応槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオ
    ーバーフローさせ熟成槽に供給し、撹拌条件下で熟成さ
    せ、この熟成槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続
    的にオーバーフローさせ固液分離槽に供給し、水酸化ニ
    ッケル粒子と水溶液とを連続的に系外に取り出すことか
    らなることを特徴とする水酸化ニッケルの製造方法。
  2. 【請求項2】 ニッケル塩水溶液と、アンモニア水溶液
    と、苛性アルカリ水溶液とを同時にかつ連続的に反応槽
    に供給し、撹拌条件下で水酸化ニッケルを生成させ、こ
    の反応槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続的にオ
    ーバーフローさせ熟成槽に供給し、撹拌条件下で熟成さ
    せ、この熟成槽から水酸化ニッケル粒子と水溶液を連続
    的にオーバーフローさせ固液分離槽に供給し、水酸化ニ
    ッケル粒子と水溶液とを連続的に系外に取り出すと共
    に、この固液分離槽から取り出された水酸化ニッケル粒
    子の一部を連続的に反応槽に供給することを特徴とする
    水酸化ニッケルの製造方法。
  3. 【請求項3】 反応槽に供給される水溶液供給量が、ニ
    ッケル1当量に対し、アンモニア0.5〜6当量、苛性
    アルカリ0.9〜1.5当量であることを特徴とする請
    求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応槽に供給される各水溶液供給量の夫
    々の変動幅が、±5%以内であることを特徴とする請求
    項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 反応槽に供給される各水溶液供給量およ
    びリサイクル供給される水酸化ニッケル粒子の供給量の
    夫々の変動幅が、±5%以内であることを特徴とする請
    求項2に記載の方法。
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