JP3249144B2 - 音声符号化装置 - Google Patents

音声符号化装置

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JP3249144B2
JP3249144B2 JP09147091A JP9147091A JP3249144B2 JP 3249144 B2 JP3249144 B2 JP 3249144B2 JP 09147091 A JP09147091 A JP 09147091A JP 9147091 A JP9147091 A JP 9147091A JP 3249144 B2 JP3249144 B2 JP 3249144B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音声符号化装置に係り、
特に音声信号を8kbps 程度以下の低ビットレートで符
号化するのに適した音声符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】音声信号を低ビットレートで高能率に符
号化する技術は、自動車電話などの移動体通信や、企業
内通信において、電波の有効利用や通信コスト削減のた
めの重要な技術である。8kbps 以下のビットレートで
品質の優れた音声符号化方式として、CELP(Code Ex
cited Linear Prediction)方式が知られている。
【0003】このCELP方式は、AT&Tベル研のM.
R.Schroeder 氏とB.S.Atal氏により“Code-Excited Lin
ear Prediction(CELP)“High-Quality Speech at Very
LowBit Rates ”Proc.ICASSP;1985,pp.937-939 (文献
1)で発表されて以来、高品質の音声が合成できる方式
として注目され、品質の改善や、計算量の削減など、種
々の検討がなされて来た。CELP方式の特徴は、LP
C(Liner PredictiveCoding:線形予測符号化)合成フ
ィルタの駆動信号を駆動信号ベクトルとしてコードブッ
クに格納し、合成音声信号と入力音声信号の誤差を評価
しながら、最適な駆動信号ベクトルをコードブックから
探索する点にある。
【0004】図5は、最新のCELP方式による音声符
号化装置のブロック図である。同図において、入力信号
であるサンプリングされた音声信号系列は入力端子60
0からフレーム単位で入力される。フレームはL個の信
号サンプルからなり、サンプリング周波数が8kHzの
場合、一般にL=160が用いられる。図5には示され
ていないが、駆動信号ベクトルの探索に先立ち、入力さ
れたLサンプルの音声信号系列に対してLPC分析が行
われ、LPC予測パラメータ{αi ,i=1,2,…
p}が抽出される。このLPC予測パラメータαi は、
LPC合成フィルタ630に供給される。なお、pは予
測次数であり、一般にp=10が用いられる。LPC合
成フィルタ630の伝達関数H(z) は、[数1]で与え
られる。
【0005】
【数1】 次に、音声信号を合成しながら最適な駆動信号ベクトル
を探索する過程について説明する。まず、入力端子60
0に入力された1フレームの音声信号から、減算器61
0で前フレームでの合成フィルタ630の内部状態が現
フレームに与える影響が減算される。減算器610から
得られた信号系列は4個のサブフレームに分割され、各
サブフレームの目標信号ベクトルとなる。
【0006】LPC合成フィルタ630の入力信号であ
る駆動信号ベクトルは、適応コードブック640から選
択された駆動信号ベクトルに乗算器650で所定のゲイ
ンを乗算したものと、白色雑音コードブック710から
選択された雑音ベクトルに乗算器720で所定のゲイン
を乗算したものとを加算器660で加算することで得ら
れる。
【0007】ここで、適応コードブック640は文献1
に記載されているピッチ予測分析を閉ループ動作または
合成による分析(Analysis by Synthesis) によって行う
ものであり、詳細はW.B.Kleijin D.J.Krasinski and R.
H.Ketchum,"Improved SpeechQuality and Efficient Ve
ctor Quantization in CELP",Proc.ICASSP,1988,pp.155
-158 (文献2)に述べられている。この文献2による
と、LPC合成フィルタ630の駆動信号をピッチ探索
範囲a〜b(a,bは駆動信号のサンプル番号であり、
通常a=20,b=147)にわたって遅延回路670
で1サンプルづつ遅延させることにより、a〜bサンプ
ルのピッチ周期に対する駆動信号ベクトルを作成し、こ
れがコードワードとして適応コードブックに格納され
る。
【0008】最適な駆動信号ベクトルの探索を行う場
合、適応コードブック640から各ピッチ周期に対応す
る駆動信号ベクトルのコードワードが1個ずつ読み出さ
れ、乗算器650で所定のゲインと乗算される。そし
て、LPC合成フィルタ630によりフィルタ演算が行
われ、合成音声信号ベクトルが生成される。生成された
合成音声信号ベクトルは、減算器620で目標信号ベク
トルと減算される。この減算器620の出力は聴感重み
付けフィルタ680を経て誤差計算回路690に入力さ
れ、平均2乗誤差が求められる。平均2乗誤差の情報は
更に最小歪探索回路700に入力され、その最小値が検
出される。
【0009】以上の過程は、適応コードブック640中
の全ての駆動信号ベクトルのコードワードについて行わ
れ、最小歪探索回路700において平均2乗誤差の最小
値を与えるコードワードの番号が求められる。また、乗
算器650で乗じられるゲインも平均2乗誤差が最小に
なるよう決定される。
【0010】次に、同様の方法で最適な白色雑音ベクト
ルの探索が行われる。すなわち、白色雑音コードブック
710から雑音ベクトルのコードワードが1個ずつ読み
出され、乗算器720でのゲインとの乗算、LPC合成
フィルタ630でのフィルタ演算を経て、合成音声信号
ベクトルの生成、目標ベクトルとの平均2乗誤差の計算
が全ての雑音ベクトルについて行われる。そして、平均
2乗誤差の最小値を与える雑音ベクトルの番号及びゲイ
ンが求められる。なお、聴感重み付けフィルタ680は
減算器620から出力される誤差信号のスペクトルを整
形して、人間に知覚される歪を低減するために用いられ
る。
【0011】このようにCELP方式は、合成音声信号
と入力音声信号との誤差が最小になるような最適の駆動
信号ベクトルを求めているので、8kbps 程度の低ビッ
トレートでも高品質の音声を合成することができる。し
かし、8kbps 以下のビットレートでは品質の劣化が知
覚され、まだ不十分である。
【0012】そこで、適応コードブックの解像度を上げ
て品質を向上させる方法がP.kroon氏とB.S.Atal氏によ
って"PITCH PREDICTORS WITH TEMPORAL RESOLUTION" ,p
roc.ICASSP,pp.661-664,1990(文献3)および"IMPROVE
D PITCH PREDICTION WITHFRACTIONAL DELAYS IN SELP C
ODING" ,proc.ICASSP,pp.665-668,1990(文献4)で提
案されている。これらの文献3および4に記載された方
法は、図5におけるLPC合成フィルタ630の駆動信
号をピッチ探索範囲a〜bにわたって遅延させる際、駆
動信号のサンプリング周波数を入力音声信号のそれより
高くし(アップサンプリング)、このアップサンプリン
グされた駆動信号を1サンプル以下の単位で遅延した
後、適応コードブック640に格納する点が特徴であ
る。
【0013】具体的にはアップサンプリングは、サンプ
ル間に所定数の0を挿入し、内挿フィルタでサンプル値
間を内挿することによって行うことができる。アップサ
ンプリングされた駆動信号は1サンプル単位で遅延回路
によって遅延された後、所定数のサンプル単位でサンプ
ルが間引きされて元のサンプリング周波数に戻され、適
応コードブックに格納される。この場合、例えばアップ
サンプリングの倍率を2倍とすれば、適応コードブック
には入力音声信号と同一サンプル周期の駆動信号ベクト
ルと、これらを1/2サンプル周期ずらせた駆動信号ベ
クトルが格納されることになる。
【0014】このように、適応コードブックのサンプリ
ング周波数を上げると、入力音声信号の1サンプル以下
の単位でピッチ探索を行うことができるので、ピッチ予
測の精度が向上し、符号化音声の品質が改善される。文
献3によれば、サンプリング周波数を2倍にすることに
よってセグメンタルSNRが女性音声で0.9dB、男
性音声で0.6dB向上するとされている。
【0015】しかしながら、この方法ではアップサンプ
リングによって、適応コードブックのサイズがアップサ
ンプリングの倍率に比例して大きくなり、それに伴い適
応コードブックからの駆動信号ベクトル探索に要する計
算量がアップサンプリングの倍率に比例して増大すると
共に、受信側に駆動信号ベクトルのコード番号(インデ
ックス)を伝送するのに必要な符号量が増加してしま
う。例えばアップサンプリングの倍率を2倍にした場
合、駆動信号ベクトルの探索に要する計算量が2倍にな
ると共に、1フレーム当り4ビット符号量が増加する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、適応
コードブックを有する従来のCELP方式において、ア
ップサンプリングにより適応コードブックの分解能を上
げた場合、品質は向上するものの符号化処理の大部分を
占める適応コードブックからの駆動信号ベクトル探索に
要する計算量が増大する。
【0017】このため、音声符号化を実時間処理で実現
しようとすると高速のDSP(ディジタル信号処理回
路)が複数個必要となり、回路規模の大型化と価格上昇
および消費電力の増加を招くという問題があった。
【0018】また、適応コードブックの分解能向上に伴
い、駆動信号ベクトルのコード番号を伝送するのに必要
な符号量が増加するため、伝送ビットレートが高くなる
という問題もあった。
【0019】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
ので、計算量および符号量を増加させることなく、適応
コードブックの分解能を上げて品質の向上を図ることが
できる音声符号化装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために、駆動信号をコードワードとして格納した
コードブック(適応コードブック)と、入力音声信号を
参照して適応コードブックから最適な駆動信号を探索す
る探索手段と、探索された最適な駆動信号を用いて音声
信号を合成する合成フィルタと、適応コードブックから
読み出される駆動信号をアップサンプリングするサンプ
リング変換手段と、アップサンプリングされた駆動信号
を遅延する遅延手段と、遅延された駆動信号を間引いて
適応コードブックに格納する手段と、適応コードブック
に格納される駆動信号の始点と終点を決定する始点/終
点決定手段とを具備することを特徴とする。
【0021】適応コードブックに格納される駆動信号の
始点と終点の決定は、例えば入力音声信号をピッチ分析
して求められたピッチ周期、または駆動信号の探索過程
で求められた前フレームでのピッチ周期、あるいは前フ
レームで適応コードブックから探索された駆動信号ベク
トルの符号に基づいて行われる。
【0022】
【作用】本発明では駆動信号をアップサンプリングして
適応コードブックに格納することにより、入力音声信号
の1サンプル以下の高い分解能でピッチ周期を求めるこ
とができ、符号化品質が向上する。
【0023】しかも、適応コードブックに格納する駆動
信号の始点と終点を予め決定することによって、アップ
サンプリングにもかかわらず適応コードブックのサイズ
またはピッチ探索数が一定に保たれるようになるので、
適応コードブックから駆動信号を探索する際の計算量の
増大や、符号量の増加が避けられる。
【0024】また、ピッチ周期はフレーム単位の短い時
間では変化が少ないという音声信号の性質に基づいて、
入力音声信号に対するピッチ分析によって求められるピ
ッチ周期、または前フレームで求められたピッチ周期に
基づいて駆動信号の始点と終点を決定して適応コードブ
ック探索の範囲を定めることにより、適応コードブック
からの駆動信号の探索数をアップサンプリングに関らず
一定にすることに起因する品質劣化が防止される。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例を
説明する。図1は本発明の一実施例に係る音声符号化装
置のブロック図である。
【0026】図1において、入力音声信号は入力端子1
00からフレームバッファ101に入力される。フレー
ムバッファ101では、入力音声信号系列をL個のサン
プル単位で切出し、1フレームの信号として記憶する。
Lは、通常160である。フレームバッファ101から
の1フレームの入力音声信号系列は、LPC分析回路1
02および重み付けフィルタ106へ供給される。
【0027】LPC分析回路102は、例えば自己相関
法を用いて入力音声信号に対してLPC(Linear Predi
ctive Coding:線形予測符号化)分析を行い、P個のL
PC予測係数{αi 、i=1,2,…p、}、または反
射係数{ki 、i=1,2,…,p}を抽出する。抽出
された予測係数または反射係数は、符号化回路103に
おいて所定のビット数で符号化された後、重み付けフィ
ルタ106および重み付け合成フィルタ107,11
2,122で利用される。
【0028】重み付けフィルタ106は、適応コードブ
ック110および雑音コードブック120から合成フィ
ルタの駆動信号ベクトルを探索する際に、入力音声信号
系列に重み付けを行うものである。合成フィルタ10
7,112,122の伝達関数H(z) は、[数1]で記
述される。この時、重み付けフィルタ106の伝達関数
W(z) は[数2]で表される。
【0029】
【数2】 但し、γは重み付けの強さを制御するパラメータである
(0≦γ≦1)。
【0030】重み付け合成フィルタ112,122は、
H(z) なる伝達関数の合成フィルタと、W(z) なる伝達
関数の重み付けフィルタを縦続接続したフィルタであ
り、その伝達関数HW (z) は[数3]で記述される。
【0031】
【数3】 本実施例のように重み付けフィルタ106を用いると、
聴感上の符号化歪を低減することが可能になる。また、
本実施例では重み付けフィルタを106を駆動信号ベク
トルの探索ループの外に設けた構成になっており、この
結果、探索に要する計算量が大幅に削減される。
【0032】さらに、重み付け合成フィルタ112,1
22が駆動信号ベクトルの探索に影響を与えないよう
に、初期メモリを持った重み付け合成フィルタ107が
設けられている。この重み付け合成フィルタ107は、
前フレームの最後に重み付け合成フィルタ112,12
2が保持していた内部状態を初期状態として持つ。
【0033】そして、重み付け合成フィルタ107の零
入力応答ベクトルを作成し、減算器108において重み
付けフィルタ106の出力から上記零入力応答ベクトル
を減算する。これにより、重み付け合成フィルタ11
2,122の初期状態を零とすることができ、前フレー
ムの影響を考慮せずに駆動信号ベクトルの探索を行うこ
とができる。
【0034】LPC分析回路102は、LPC分析を行
うと共に予測残差信号を計算し、ピッチ分析回路104
に残差信号を供給する。ピッチ分析回路104は、共分
散法等公知の方法を用いてピッチ周期Tp を求め、これ
を始点/終点決定回路105とマルチプレクサ142へ
与える。
【0035】以上の処理は、全てフレーム単位で行われ
る。次に、フレームをM個(通常、M=4)のサブフレ
ームに分割し、サブフレーム単位で行う駆動信号ベクト
ル探索の処理について説明する。
【0036】駆動信号ベクトルの探索は適応コードブッ
ク110、雑音コードブック120の順に行われる。ま
ず、適応コードブック110からピッチ周期jに対応す
る駆動信号ベクトルXj (ベクトルの次元は、L/M
=K)を順次読み出し、乗算器111でXj に所定の
ゲインβを乗じた後、重み付け合成フィルタ112に供
給する。重み付け合成フィルタ112では、フィルタリ
ング演算を行って合成音声ベクトルを作成する。
【0037】一方、フレームバッファ101から読み出
された入力音声信号は、重み付けフィルタ106によっ
て重み付けられた後、減算器108で前フレームの影響
が差し引かれる。この減算器108から出力される音声
信号ベクトルYを目標ベクトルとして、減算器113
で重み付け合成フィルタ112からの合成音声ベクトル
との誤差ベクトルEj が計算される。そして、2乗誤
差計算回路114で誤差の2乗和‖Ej ‖が計算さ
れ、この‖Ej ‖の最小値および最小値を与えるイン
デックスjが最小歪探索回路115で検出される。この
インデックスjが適応コードブック110とマルチプレ
クサ142に与えられる。
【0038】具体的には、誤差ベクトルEj は例えば
[数4]で表わされる。この誤差ベクトル‖Ej ‖を
βで偏微分して零と置くことによって、βを最適化した
場合の‖Ej ‖の最小値が[数5]で表される。但
し、βは乗算器111で与えられるゲインである。
【0039】
【数4】
【0040】
【数5】 ここで、‖X‖は2乗ノルム、(X,Y)は内積
をそれぞれ表し、Hは[数6]で与えられる重み付け
合成フィルタ(伝達関数:HW (z) )のインパルス応答
行列である。
【0041】
【数6】 [数6]から明らかなように、適応コードブック110
からの駆動信号ベクトルの探索は、全てのコードワード
j に対し[数6]の右辺第2項を計算し、それが最
大になるインデックスjを検出することによって行う。
【0042】このようにして適応コードブック110か
ら最適な駆動信号ベクトルXopt が探索されると、減
算器113で目標ベクトルYからXopt に対応する
重み付け合成フィルタ112の出力が差し引かれ、この
減算器113の出力が雑音コードブック120からの雑
音ベクトル探索の目標ベクトルとされる。雑音コードブ
ック120からの雑音ベクトルの探索も、適応コードブ
ック110らの駆動信号ベクトルの探索と全く同様に行
うことができる。この雑音ベクトル120からの探索で
得られたコードベクトルをNopt とすると、合成フィ
ルタの駆動信号ベクトルXはX =β・Xopt +g・Nopt と表される。但し、β,gはそれぞれ乗算器111,1
21において適応コードブック110および雑音コード
ブック120から探索された駆動信号ベクトルおよび雑
音ベクトルに与えられるゲインである。
【0043】次に、駆動信号ベクトルXを適応コード
ブック110に格納する方法について説明する。図1に
おいて、加算器130から出力された駆動信号ベクトル
は、アップサンプリング回路131でサンプル間に零が
挿入された後、内挿フィルタを通過することによってア
ップサンプリングされ、サンプリング周波数が例えば2
倍の信号系列とされる。ここで、内挿フィルタはナイキ
スト周波数にカットオフ周波数を持つローパスフィルタ
であり、ナイキストフィルタともいう。
【0044】こうしてアップサンプリングされた駆動信
号系列は、遅延回路132において始点/終点決定回路
105により与えられる始点aから終点bに渡って1サ
ンプル単位で遅延される。始点/終点決定回路105
は、この例ではピッチ分析回路104で求められたピッ
チ周期Tp のサンプルを中心として、適応コードブック
110のサイズがアップサンプリングによって変化しな
いように、適応コードブック110に格納する駆動信号
ベクトルの始点aと終点bを例えば次式によって決定す
る。
【0045】a=DTp −Np /2 b=DTp +Np /2 但し、Np はアップサンプリングしない場合の適応コー
ドブックのサイズであり、一般的にピッチ探索は20サ
ンプルから147サンプルまで行われることが多いこと
から、Np =128とする。また、Dはアップサンプリ
ングの倍率であり、本実施例ではD=2である。
【0046】遅延回路132の出力は、間引き回路13
3で(D−1)サンプル毎に間引きされた後、適応コー
ドブック110の次元(40サンプル=1サブフレー
ム)毎に切り出され、適応コードブック110に格納さ
れる。
【0047】前述したように、従来の技術による適応コ
ードブックの分解能を上げる方法では、アップサンプリ
ングによって適応コードブックのサイズがD倍になり、
適応コードブックの探索に要する計算量および符号量が
D倍に増大するという問題があった。サブフレーム長及
び適応コードブックの次元をK、入力音声信号のサンプ
リング周波数を8kHzとすると、[数5]の右辺第2
項を計算するのに必要な1秒間当りの乗算回数は、 [{K(K+1)/2}+2K]・Np ・8×103 /K となる。K,Np の値が通常用いられるK=40,Np
=128の場合、この乗算回数は22,528,000
回となる。従って、この値がD倍になると計算量は膨大
になり、これを実現する回路も大規模になる。
【0048】これに対し、本実施例によれば始点/終点
決定回路105で適応コードブック110に格納する駆
動信号ベクトルの始点aと終点bを定めることにより、
アップサンプリング回路131で駆動信号をアップサン
プリングしているにも関わらず、適応コードブック11
0のサイズを一定に保つことができる。従って、計算量
および符号量の増加を防止することができる。しかも、
アップサンプリングによる符号化品質の向上は享受でき
る。
【0049】以上の処理の過程で求められた符号化パラ
メータは、マルチプレクサ142で多重化され、出力端
子143から伝送路へ符号化出力として送出される。す
なわち、マルチプレクサ142ではLPC分析回路10
2で求められたLPC予測係数の情報を符号化回路10
3で符号化したコードと、ピッチ分析回路104で求め
られたフレーム単位のピッチ周期Tp のコードと、最小
歪探索回路115で求められた適応コードブック110
のインデックスのコードと、乗算器111で乗じられる
ゲインの情報をゲイン符号化回路140で符号化したコ
ードと、最小歪探索回路125で求められた雑音コード
ブック120のインデックスのコードおよび、乗算器1
21で乗じられるゲインの情報をゲイン符号化回路14
1で符号化したコードが多重化される。
【0050】次に、図1の音声符号化装置に対応した音
声復号化装置の構成を図2により説明する。図2におい
て、入力された符号化パラメータは、まずデマルチプレ
クサ201で個々のパラメータに分解された後、復号化
器202,203,204でそれぞれ復号化される。そ
して、復号化された適応コードブックのインデックス及
びゲイン、雑音コードブックのインデックスおよびゲイ
ンに基づいて駆動信号が作成される。この駆動信号が合
成フィルタ215でフィルタリングされることによっ
て、合成音声信号が作成される。この合成音声信号は、
ポストフィルタ216でスペクトルの整形が行われ、聴
感的な歪が抑圧された後、出力端子217より出力され
る。
【0051】図2における始点/終点決定回路205、
アップサンプリング回路220、遅延回路221および
間引き回路222は、それぞれ図1の回路105,13
1,132,133と同一の機能を有するので、説明を
省略する。
【0052】図3に、本発明の他の実施例に係る音声符
号化装置のブロック図を示す。本実施例と先の実施例の
違いは、始点/終点決定回路105に用いるピッチ周期
p の求め方にある。
【0053】先の実施例においては、フレーム単位でピ
ッチ分析を行って、ピッチ周期を求めており、ピッチ周
期の情報をフレーム単位で伝送していた。これに対し、
本実施例では前フレームの適応コードブック探索によっ
て求められたサブフレーム毎のピッチ周期をメモリ15
0に記憶し、記憶したピッチ周期に基づいてピッチ周期
推定回路151でフレーム単位のピッチ周期Tp を推定
する。このTp の推定は、例えばサブフレーム毎のピッ
チ周期の平均をとることによって行えばよい。また、サ
ブフレーム毎のピッチ周期から外挿予測することによっ
て、ピッチ周期Tp を推定することもできる。
【0054】このように前フレームでのピッチ周期に基
づいてピッチ周期Tp を推定し、始点/終点を求める方
法は、Tp の情報を伝送する必要がないため、伝送ビッ
トレートをより少なくできる効果がある。
【0055】なお、前フレームでのピッチ周期Tp に代
えて、前フレームで適応コードブックから探索された駆
動信号ベクトルの符号を用いて始点/終点を決定して
も、同様の効果が期待できる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば適
応コードブックに格納する駆動信号の始点と終点を決定
することにより、駆動信号をアップサンプリングして符
号化品質の向上を図りながら、適応コードブックのサイ
ズが一定に保たれるので、計算量および符号量の増加を
避けることができる。従って、単一または少数のDSP
を用いて実時間処理を行うことが可能となり、低価格化
と消費電力の低減を図ることができるとともに、伝送ビ
ットレートの増加を抑えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る音声符号化装置のブ
ロック図
【図2】 同実施例に係る音声復号化装置のブロック図
【図3】 本発明の他の実施例に係る音声符号化装置の
ブロック図
【図4】 同実施例に係る音声復号化装置のブロック図
【図5】 従来の音声符号化装置における駆動信号ベク
トル探索に係る構成を示すブロック図。
【符号の説明】
100…音声信号入力端子 102…LPC
分析回路 103…符号化回路 104…ピッチ
分析回路 105…始点/終点決定回路 106…重み付
けフィルタ 107…重み付け合成フィルタ 110…適応コ
ードブック 112…重み付け合成フィルタ 114…2乗誤
差計算回路 115…最小歪探索回路 120…雑音コ
ードブック 122…重み付け合成フィルタ 124…2乗誤
差計算回路 125…最小歪探索回路 131…アップ
サンプリング回路 132…遅延回路 133…間引き
回路 140…ゲイン符号化回路 141…ゲイン
符号化回路 142…マルチプレクサ 143…出力端
子 150…メモリ 151…ピッチ
周期推定回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−239798(JP,A) 特開 平2−272500(JP,A) 特開 平4−44100(JP,A) 特開 平4−264597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10L 19/00 - 19/14 H03M 7/30 H04B 14/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動信号をコードワードとして格納したコ
    ードブックと、入力音声信号を参照して前記コードブッ
    クから最適な駆動信号を探索する探索手段と、この探索
    手段により探索された最適な駆動信号を用いて音声信号
    を合成する合成フィルタと、前記コードブックから読み
    出される駆動信号をアップサンプリングするサンプリン
    グ変換手段と、このサンプリング変換手段によりアップ
    サンプリングされた駆動信号を遅延する遅延手段と、こ
    の遅延手段により遅延された駆動信号を間引いて前記コ
    ードブックに格納する手段と、前記コードブックに格納
    される駆動信号の始点と終点を決定する始点/終点決定
    手段とを具備することを特徴とする音声符号化装置。
  2. 【請求項2】駆動信号をコードワードとして格納したコ
    ードブックと、入力音声信号を参照して前記コードブッ
    クから最適な駆動信号を探索する探索手段と、この探索
    手段により探索された最適な駆動信号を用いて音声信号
    を合成する合成フィルタと、前記コードブックから読み
    出される駆動信号をアップサンプリングするサンプリン
    グ変換手段と、このサンプリング変換手段によりアップ
    サンプリングされた駆動信号を遅延する遅延手段と、こ
    の遅延手段により遅延された駆動信号を間引いて前記コ
    ードブックに格納する手段と、前記入力音声信号をピッ
    チ分析してピッチ周期を求めるピッチ分析手段と、この
    ピッチ分析手段により求められたピッチ周期に基づい
    て、前記コードブックに格納される駆動信号の始点と終
    点を決定する始点/終点決定手段とを具備することを特
    徴とする音声符号化装置。
  3. 【請求項3】駆動信号をコードワードとして格納したコ
    ードブックと、フレーム単位で入力される入力音声信号
    を参照して前記コードブックから最適な駆動信号を探索
    する探索手段と、この探索手段により探索された最適な
    駆動信号を用いて音声信号を合成する合成フィルタと、
    前記コードブックから読み出される駆動信号をアップサ
    ンプリングするサンプリング変換手段と、このサンプリ
    ング変換手段によりアップサンプリングされた駆動信号
    を遅延する遅延手段と、この遅延手段により遅延された
    駆動信号を間引いて前記コードブックに格納する手段
    と、前記探索手段による探索の過程で求められた前フレ
    ームでのピッチ周期に基づいて、前記コードブックに格
    納される駆動信号の始点と終点を決定する始点/終点決
    定手段とを具備することを特徴とする音声符号化装置。
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