JP3242009B2 - 樹脂充填剤 - Google Patents

樹脂充填剤

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JP3242009B2
JP3242009B2 JP26281196A JP26281196A JP3242009B2 JP 3242009 B2 JP3242009 B2 JP 3242009B2 JP 26281196 A JP26281196 A JP 26281196A JP 26281196 A JP26281196 A JP 26281196A JP 3242009 B2 JP3242009 B2 JP 3242009B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂充填剤に関し、
特に、配線基板の表面に生じる凹部あるいは該基板に設
けたスルーホールに充填して基板表面を平滑化すること
により、耐薬品性に優れ、層間剥離がなく、しかも冷熱
衝撃によるクラックや剥がれのない等の種々の利点を有
する樹脂充填剤について提案する。
【0002】
【従来の技術】近年、多層配線基板の高密度化という要
請から、いわゆるビルドアップ多層配線基板が注目され
ている。このビルドアップ多層配線基板は、例えば特公
平4−55555 号公報に開示されているような方法により
製造される。即ち、コア基板上に、感光性の無電解めっ
き用接着剤からなる絶縁材を塗布し、これを乾燥したの
ち露光現像することにより、バイアホール用開口を有す
る層間絶縁材層を形成する。次いで、この層間絶縁材層
の表面を酸化剤等による処理にて粗化したのち、その粗
化面にめっきレジストを設け、その後、レジスト非形成
部分に無電解めっきを施してバイアホールを含む導体回
路パターンを形成する。そして、このような工程を複数
回繰り返すことにより、多層化したビルドアップ配線基
板が得られるのである。
【0003】このようなビルドアップ多層配線基板にお
いて、コア基板には、導体回路あるいはスルーホールが
形成される。このうち導体回路は、ビルドアップ法で
は、コア基板表面に貼着した銅箔をエッチングしてパタ
ーン形成するので、その導体回路間には凹部が生じる。
そのため、コア基板の表面に生じる導体回路間の凹部あ
るいは該基板に設けたスルーホールをそのままの状態に
しつつ、その表面に層間絶縁材を塗布すると、形成され
る層間絶縁材層の表面には、前記凹部やスルーホールに
相当する位置に窪み(凹部)が発生する。この窪み(凹
部)は、最終製品としての多層配線基板の表面にも表出
し、電子部品を搭載した場合に接続不良の原因となっ
た。
【0004】これに対し、上述した凹部の発生を解消す
るための技術として、特開昭63−137499号公報などに開
示されているような、スルーホールなどの凹部にエポキ
シ樹脂ペーストを充填する方法がある。かかる従来の方
法では、充填樹脂として用いる前記エポキシ樹脂ペース
トは、一般に、充填するに先立ち溶剤で希釈することに
より所定の粘度に調整される。そのため、特開昭63−13
7499号公報の第2頁の左下欄にも記載があるように、こ
のような樹脂充填剤は、塗布充填した後に溶剤除去のた
めの乾燥が必要であった。
【0005】しかしながら、充填された樹脂から溶剤を
完全に除去することは極めて困難である。そのため、樹
脂充填剤中に溶剤が残留すると、ビルドアップ多層配線
基板のように、コア基材に設けたスルーホール等に充填
した樹脂充填剤の層表面に層間絶縁材を塗布し加熱硬化
して層間絶縁材層を形成する場合、前記樹脂充填剤中の
残留溶剤が揮発して層間絶縁材層を押し上げ、層間剥離
が生じるという問題があった。
【0006】また、ビルドアップ多層配線基板の製造工
程において、バイアホールは、感光性の層間絶縁材層を
露光、現像処理して形成される。このバイアホールの形
成に当たり、前記露光の条件は、層間絶縁材層の厚みに
大きく影響される。そのため、層間絶縁材層の厚みがコ
ア基材に設けた導体回路間の凹部やスルーホールに起因
する表面凹凸のために不均一になると、露光、現像条件
を一定にすることができず、バイアホールの形成不良等
が発生するといった問題があった。
【0007】このような問題を解消するためには、層間
絶縁材層の厚みを均一にすることが不可欠であり、その
前提条件としてはコア基材表面を平滑化することが必要
である。それには、単に導体回路間の凹部やスルーホー
ル内に樹脂を充填させるだけでなく、充填した後に基板
表面を研磨することが必要となる。そのため、導体回路
間の凹部やスルーホール内に充填する樹脂は、容易に研
磨でき、しかも研磨によってクラックなどが発生しにく
い樹脂でなければならならない。さらに導体回路間の凹
部やスルーホール内に充填した樹脂は、耐薬品性や吸湿
性に優れ、層間剥離がなく、しかも冷熱衝撃によるクラ
ックや剥がれのない等の種々の利点を有することが望ま
しい。
【0008】このような充填樹脂の種類については、上
述した特開昭63−137499号公報に記載の配線基板のよう
に、プリプレグとともに積層する方式ものであれば、任
意のエポキシ樹脂を選択することができる。しかしなが
ら、ビルドアップ方式の多層配線基板は、導体回路間の
凹部やスルーホール内に充填する樹脂充填剤として任意
のエポキシ樹脂を選択して適用することはできず、上述
したような多くの利点を有する樹脂充填剤の開発が求め
られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術が抱える問題を解消するためになされたものであり、
その主たる目的は、ビルドアップ多層配線板において好
適に用いられる樹脂充填剤を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は、配線基板の表面に生じる凹部
あるいは該基板に設けたスルーホールに充填して基板表
面を平滑化することにより、耐薬品性に優れ、層間剥離
がなく、しかも冷熱衝撃によるクラックや剥がれのない
等の種々の利点を有する樹脂充填剤を提供することにあ
る。
【0010】発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研
究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、 (1) 配線基板の表面に生じる凹部あるいは該基板に設け
たスルーホールに充填される無溶剤の樹脂充填剤であっ
て、樹脂成分としてビスフェノール型エポキシ樹脂、硬
化剤としてイミダゾール硬化剤、添加成分として平均粒
子径が0.1〜5.0μmである無機粒子を用いること
を特徴とする樹脂充填剤である。 (2) 上記 (1) に記載の樹脂充填剤において、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂であることが望ましい。 (3) 上記 (1) に記載の樹脂充填剤は、それの粘度が、2
3±1℃の温度において0.3×10cps〜 1.0×10cps
( 0.3×10 Pa・s〜 1.0×10 Pa・s)、より好ま
しくは 0.45×10 Pa・s〜0.65×10 Pa・sである
ことが望ましい。なお、樹脂充填剤の粘度は、図2に示
すように測定温度に依存する。この図は、回転粘度計に
より6rpm (回転数/分)で測定した粘度と測定温度と
の関係を示す図である。ここで、本発明において、ビス
フェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール(A
型、F型)とエピクロルヒドリンを縮合反応させて得ら
れるビスフェノールのジグリシジルエーテルからなるモ
ノマー、あるいはこのモノマーが重合したオリゴマーの
ことを意味する。なお、オリゴマーは、構造単位の繰返
しの数が2〜20程度のものをいう。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の樹脂充填剤は、無溶剤の
充填材料である点に主たる特徴がある。それ故に、本発
明の樹脂充填剤は、基板表面に生じる凹部(導体回路間
やバイアホール)や該基板に設けたスルーホールに充填
し、さらに樹脂絶縁材を塗布した後、加熱乾燥し硬化し
ても、溶剤の揮発に起因した問題が起こらない。即ち、
本発明によれば、基板表面を平滑化するための樹脂充填
剤の層とその上層に設けた樹脂絶縁材層との間で生じる
剥離を防止することができる。しかも、本発明の樹脂充
填剤は、溶剤除去のための乾燥による収縮がないので、
その収縮による凹みなどの問題を解消することができ
る。
【0012】本発明の樹脂充填剤は、樹脂成分としてビ
スフェノール型エポキシ樹脂を用いる点に他の特徴があ
る。これにより、かかるエポキシ樹脂を用いた樹脂充填
剤は、粘度が低いので、溶剤で希釈することなく粘度を
所定の範囲に調整でき、基板表面に生じる凹部(導体回
路間やバイアホール)あるいは該基板に設けたスルーホ
ール内に良好に充填することが可能となる。
【0013】このようなエポキシ樹脂を用いる本発明の
樹脂充填剤は、その粘度を、23±1℃の温度において
0.3×105cps〜 1.0×105cps( 0.3×102 Pa・s〜 1.0
×102Pa・s)の範囲に調整することが望ましい。この
理由は、粘度が高すぎると樹脂充填剤の充填作業が困難
であり、一方、粘度が低すぎると樹脂充填剤が流出しや
すく、良好な充填ができないからである。なお、樹脂充
填剤の粘度調整は、硬化剤の添加量、あるいは無機粒子
の平均粒径や添加量により行う。また、充填作業時の温
度によっても樹脂充填剤の粘度を調整することができ
る。
【0014】また、樹脂成分としてビスフェノール型エ
ポキシ樹脂を用いると、重合硬化して得られるエポキシ
樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂のような剛直骨格で
はなく可撓性に富む。そのため、樹脂充填剤の充填硬化
後に行う基板表面の研磨作業が容易となり、しかも研磨
によるクラックが生じにくくなる。
【0015】このようなビスフェノール型エポキシ樹脂
としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂が望ましい。特に、粘度調整の
観点からビスフェノールF型エポキシ樹脂が最適であ
る。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、フェニル基の
間の炭素にメチル基の代わりに水素が結合しており、分
子鎖が動きやすく、未硬化の状態では流動性に富み、一
方硬化した状態では可撓性に富むからである。
【0016】本発明の樹脂充填剤は、イミダゾール硬化
剤を用いる点にさらに他の特徴がある。樹脂充填剤の樹
脂成分である上記エポキシ樹脂(モノマーあるいはオリ
ゴマー)をイミダゾール硬化剤によって重合硬化したエ
ポキシ樹脂は、耐熱性、耐薬品性に優れ、酸化剤や塩基
に対する特性に優れるからである。これにより、本発明
の樹脂充填剤は、硬化した状態では、耐熱性、耐薬品
性、および酸化剤や塩基に対する特性に優れたものとな
る。特に、本発明の樹脂充填剤は、酸化剤によって層間
絶縁材層の表面を粗化処理したり、強塩基性の無電解め
っき液に浸漬してめっき処理する、ビルドアップ多層配
線板の製造において有利である。なぜなら、イミダゾー
ル硬化剤以外の硬化剤を用いて硬化したエポキシ樹脂
は、上述した処理により分解してしまうからである。
【0017】また、イミダゾール硬化剤によって重合硬
化したエポキシ樹脂は、疏水性であり、吸湿しにくい。
そのため、配線基板に形成した導体回路間の絶縁抵抗
は、充填した樹脂充填剤の吸湿によって低下することは
ない。
【0018】このようなイミダゾール硬化剤としては、
2−メチルイミダゾール(品名;2MZ)、4−メチル
−2−エチルイミダゾール(品名;2E4MZ)、2−
フェニルイミダゾール(品名;2PZ)、4−メチル−
2−フェニルイミダゾール(品名;2P4MZ)、1−
ベンジル−2−メチルイミダゾール(品名;1B2M
Z)、2−エチルイミダゾール(品名;2EZ)、2−
イソプロピルイミダゾール(品名;2IZ)、1−シア
ノエチル−2−メチルイミダゾール(品名;2MZ−C
N)、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミ
ダゾール(品名;2E4MZ−CN)、1−シアノエチ
ル−2−ウンデシルイミダゾール(品名;C11Z−C
N)などがある。
【0019】なかでも、25℃で液状のイミダゾール硬化
剤を用いることが望ましく、例えば、1−ベンジル−2
−メチルイミダゾール(品名;1B2MZ)、1−シア
ノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(品
名;2E4MZ−CN)、4−メチル−2−エチルイミ
ダゾール(品名;2E4MZ)が挙げられる。この理由
は、本発明では溶剤を含まない樹脂成分を用いるので、
粉末のイミダゾール硬化剤では樹脂成分との均一混練が
難しく、一方、液状のイミダゾール硬化剤は樹脂成分と
の均一混練が容易だからである。
【0020】このイミダゾール硬化剤は、樹脂充填剤中
の含有量で、1〜10重量%であることが望ましい。この
理由は、この範囲内にあれば樹脂充填剤の粘度を調整し
やすいからである。本発明の樹脂充填剤は、充填した後
に行う硬化処理では、全モノマーの60〜80%を反応硬化
させることが望ましい。この理由は、この程度の反応率
に調整すると、容易に研磨するのに十分な樹脂硬度が得
られるからである。
【0021】そして、本発明の樹脂充填剤は、上述した
樹脂成分およびイミダゾール硬化剤を含む主たる構成
に、さらに添加成分として平均粒子径が0.1〜5.0
μmである無機粒子を含有させた点に特徴がある。これ
により、樹脂充填剤の硬化による収縮が小さくなるの
で、コア基板にそりが発生しなくなり、しかも、硬化し
た状態の樹脂充填剤は、線熱膨張係数が小さく、ヒート
サイクルに対する耐性に優れたものとなると同時に、充
填樹脂表面の研磨による平滑化が容易になり、研磨によ
るクラックや剥がれもない
【0022】即ち、ビスフェノール型エポキシ樹脂を重
合硬化して得られるエポキシ樹脂は、ノボラック型エポ
キシ樹脂に比べて剛直骨格ではなく研磨しやすく、可撓
性がある反面、硬化収縮や熱膨張係数が小さくない。そ
の点で、本発明の樹脂充填剤は、添加成分として平均粒
子径が0.1〜5.0μmである無機粒子を添加する構
成としたので、硬化収縮や熱膨張係数に起因した問題を
補償することができ、ビルドアップ多層配線板において
は、最適の樹脂充填剤となる。しかも、無機粒子は吸湿
しないので、樹脂充填剤の吸水率を低減させることがで
き、樹脂充填剤の吸湿による導体回路間の絶縁抵抗の低
下を防止することができる。
【0023】このような無機粒子としては、シリカやア
ルミナ、ムライト、ジルコニアなどが挙げられる。この
無機粒子の平均粒子径が、0.1〜5.0μmであるこ
との理由は、細かすぎると樹脂充填剤の粘度が高くなり
すぎて充填作業が困難となり、粗すぎると表面の平滑性
がなくなるからである。この無機粒子の配合量は、ビス
フェノール型エポキシ樹脂に対して 1.0〜2.0倍程度と
することが望ましい。この理由は、無機粒子の配合量が
前記範囲内であれば、樹脂充填剤の粘度を23±1℃にお
いて 0.3×105cps〜 1.0×105cps(0.5×102 Pa・s〜
1.0×102 Pa・s)程度に調整しやすいからである。
【0024】次に、本発明の樹脂充填剤を、例えば多層
プリント配線板に適用した一例について説明する。即
ち、導体回路あるいはスルーホールを有するコア基材の
表面に、層間絶縁材層と導体層を交互に積層し、各導体
層間が層間絶縁材層に設けたバイアホールを介して電気
的に接続されてなるビルドアップ多層配線板は、(1) 配
線基板の表面に生じる凹部あるいは該基板に設けたスル
ーホールに本発明の樹脂充填剤を塗布して充填する工
程、(2) 前記(1) で充填した樹脂充填剤を硬化させる工
程、(3) 前記(2) で硬化した樹脂充填剤の表層部を研磨
して、導体回路(バイアホールのランド部分を含む)や
スルーホールのランド部分を露出させ、基板の表面を平
滑にする工程、(4) 層間絶縁材層を形成する工程、(5)
層間絶縁材層の表面に導体回路を形成する工程、を少な
くとも経て製造される。
【0025】工程(1) は、配線基板の表面に生じる凹部
あるいは該基板に設けたスルーホールに本発明の樹脂充
填剤を塗布して充填する工程である。この工程では、コ
ア基材に形成した導体回路間あるいはスルーホール内、
および層間絶縁材層に設けた導体回路間あるいはバイア
ホール内から選ばれるいずれか少なくとも1箇所に樹脂
充填剤を塗布充填する。
【0026】工程(2) は、工程(1) で充填した樹脂充填
剤を硬化させる工程である。この工程では、樹脂充填剤
は、研磨可能な状態(全モノマー数の60%〜80%を硬化
させた状態)とし、完全に硬化した状態ではないことが
望ましい。研磨しやすいからである。特に、本発明の樹
脂充填剤は、無機粒子を含有すると硬化収縮が小さくな
り、基板に反りが発生しなくなる。また、金属である導
電体の間に樹脂充填剤を充填すると、ヒートサイクル時
に金属と樹脂の熱膨張率差に起因したクラックが発生し
やすくなる。この点、無機粒子を含有する本発明の樹脂
充填剤は、硬化した状態では熱膨張率が小さく、ヒート
サイクルによるクラックの発生を抑制することができ
る。
【0027】工程(3) は、工程(2) で硬化した樹脂充填
剤の表層部を研磨して、導体回路、スルーホールのラン
ド部分、バイアホールのランド部分を露出させ、基板の
表面を平滑にする工程である。充填樹脂が導体回路やラ
ンド部分に付着していると導通不良の原因になるからで
ある。なお、研磨方法は、バフ研磨、ベルトサンダーな
どの方法が好ましい。
【0028】工程(4) は、層間絶縁材層を形成する工程
である。この層間絶縁材層は、2層からなり、下層を酸
あるいは酸化剤に難溶性の耐熱性樹脂で構成し、上層を
酸あるいは酸化剤に難溶性の耐熱性樹脂マトリックス中
に酸あるいは酸化剤に可溶性の樹脂粒子を分散してなる
無電解めっき用接着剤で構成することが望ましい。上層
に位置する無電解めっき用接着剤の層は、層表面に存在
する樹脂粒子を酸あるいは酸化剤で溶解除去して表面が
粗化され、この粗化面上に形成される導電体との密着性
を改善し、一方、下層に位置する耐熱性樹脂の層は、酸
や酸化剤に溶解しにくい樹脂で構成されるので、上層の
酸や酸化剤による溶解が進みすぎてさらに下層の導電体
まで到達するのを防いでいる。また、層間絶縁材層は、
平滑にされた基板の表面に形成されるため、層間絶縁材
層の厚みを均一にすることができる。従って、バイアホ
ールを形成する場合、均一な厚みに形成された層間絶縁
材を露光、現像処理して形成するので、どのバイアホー
ルも同一の露光条件で露光でき、バイアホールの未開
口、あるいは、形状不良等を発生させることがない。さ
らに、本発明の樹脂充填剤は、無溶剤の樹脂充填剤であ
るので、溶剤の揮発に起因した層間絶縁材層との層間剥
離を防止することができる。
【0029】工程(5) は、層間絶縁材層の表面にバイア
ホールを含む導体回路を形成する工程である。即ち、層
間絶縁材層の表面を酸や酸化剤で粗化処理して、触媒核
を付与し、次いで、めっきレジストを形成した後、レジ
スト非形成部分に無電解めっきを施す。ここに、めっき
レジストは、市販品をはじめ各種のものを使用でき、例
えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラックな
どのノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートがよい。
【0030】なお、アディティブ法により形成しためっ
きレジストを研磨して基板表面を平滑にすれば、アディ
ティブ法によって配線層をさらに多層化した場合にも、
常に表面を平滑にすることができる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)(ビスフェノールF型+シリカ) 図1は、本発明の一実施態様に係る樹脂充填材を用いた
多層プリント配線板の製造工程を示す図である。この図
1に基づいて本実施例を以下に説明する。 (1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマ
レイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μ
mの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材
料とした(図1(a) 参照)。まず、この銅張積層板をド
リル削孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっ
き処理してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔8を
常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基
板1の両面に内層銅パターン4, 4′を形成した(図1
(b) 参照)。
【0032】(2) 一方、ビスフェノールF型エポキシモ
ノマー(油化シェル製、分子量:310、商品名:E−807
) 100重量部と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、
商品名:2E4MZ−CN)6重量部を混合し、さら
に、この混合物に対し、平均粒径1.6μmのSiO2 球状
粒子(ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パタ
ーンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部を混合
し、3本ロールにて混練することによりその混合物の粘
度を、23±1℃において45,000〜49,000cps (15±1℃
で測定した場合には100,000cps、回転粘度計を用いて回
転数6rpm で測定した図2に示す結果を参照)に調整し
て、基板表面平滑化のための樹脂充填剤10を得た。この
樹脂充填剤は無溶剤である。もし溶剤入りの樹脂充填剤
を用いると、後工程において層間剤を塗布して加熱・乾
燥させる際に、樹脂充填剤の層から溶剤が揮発し、樹脂
充填剤の層と層間材との間で剥離が発生するからであ
る。
【0033】(3) 前記(2) で得た樹脂充填剤10を、図1
(b) に示す基板1の両面にロールコータを用いて塗布す
ることにより、導体回路間あるいはスルーホール内に充
填し、次いで 150℃、30分間の加熱処理を行って硬化し
た(図1(c) 参照)。即ち、この工程により、樹脂充填
剤10が内層銅パターン4, 4′の間あるいはスルーホール
9内に充填される。
【0034】なお、上記樹脂充填剤10は、 150℃、3時
間の加熱処理でほぼ完全に架橋して高い硬度を示す樹脂
となる。それ故に、この工程では、樹脂充填剤10の研磨
作業を容易に行うために、ベルトサンダー研磨またはバ
フ研磨が可能な範囲内で樹脂充填剤10を硬化させた。
【0035】(4) 前記(3) の処理を終えた図1(c) に示
す基板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学
製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パター
ン4, 4′の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充
填剤10が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサ
ンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行っ
た。このような一連の研磨を基板の他方の面についても
同様に行った。そして、スルーホール9等に充填された
樹脂充填剤10を 150℃、3時間の加熱処理にて完全に架
橋硬化させることにより、基板両面を樹脂充填剤10にて
平滑化した基板を得た(図1(d) 参照)。即ち、この工
程により、樹脂充填剤10の表面と内層銅パターン4, 4′
の表面が同一平面となる。
【0036】なお、この工程では、樹脂充填剤10が内層
銅パターン4, 4′の表面やスルーホール9のランド表面
にわずかに残るように、ベルトサンダー研磨にて研磨
し、次いでバフ研磨する方法、あるいはバフ研磨のみに
よる研磨方法も採用できる。また、上述した組成に係る
SiO2 球状粒子を含む樹脂充填剤10は、硬化収縮が小さ
いので、基板に反りを発生させることがなかった。しか
も、硬化した状態では熱膨張係数が小さくなるので、ヒ
ートサイクルに対する耐性にも優れていた。
【0037】(5) また一方で、DMDG(ジメチルグリコー
ルジメチルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック
型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量:2500)の25%ア
クリル化物を70重量部、ポリエーテルスルフォン(PE
S)30重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品
名:2E4MZ−CN)4重量部、感光性モノマーであ
るカプロラクトン変成トリス(アクロキシエチル)イソ
シアヌレート(東亜合成製、商品名:アロニックスM32
5 )10重量部、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東
化学製)5重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン
(関東化学製)0.5重量部、さらにこれらの混合物に対
してエポキシ樹脂粒子の平均粒径 5.5μmを35重量部、
平均粒径 0.5μmのものを5重量部を混合した後、さら
にNMPを添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機
で粘度2,000cpsに調整し、続いて3本ロールで混練して
感光性接着剤溶液を得た。
【0038】(6) 上記工程(4) を終えた図1(d) に示す
基板を水洗し、乾燥した後、その基板を酸性脱脂し、さ
らにソフトエッチングした。次いで、この基板を塩化パ
ラジウムと有機酸からなる触媒溶液に浸漬処理してPd触
媒を付与し、活性化を行った後、無電解めっきを施し、
銅導体とバイアホールパッドの表面に厚さ 2.5μmのCu
−Ni−P合金からなる凹凸層(粗化層)を形成した。そ
してさらに、その基板を水洗した後、ホウふっ化スズ−
チオ尿素液からなる無電解スズめっき浴に50℃で1時間
浸漬し、Cu−Ni−P合金からなる前記粗化層の表面に厚
さ 0.3μmのスズ置換めっき層を形成した。
【0039】(7) 前記(6) の処理を終えた基板の両面
に、上記(5) で得た感光性接着剤溶液をロールコータを
用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で
30分の乾燥を行い、図1(e) に示すような厚さ60μmの
接着剤層2を形成した。
【0040】なお、この工程では、樹脂充填剤の層上に
感光性接着剤層を直接形成する上記以外の構成として、
樹脂充填剤の層上に絶縁材層を形成し、この絶縁材層上
に感光性接着剤層を形成する形態を採用することができ
る。即ち、絶縁材層と接着剤層の2層からなる層間絶縁
層を形成することができる。このときの絶縁材は、クレ
ゾールノボラックエポキシ樹脂の25%アクリル化物(日
本化薬製)70重量%、ポリエーテルスルホン(三井東圧
製)25重量%、ベンゾフェノン4重量%、ミヒラーケト
ン 0.4重量%およびイミダゾール硬化剤を混合した後、
ノルマルメチルピロリドン(NMP)を添加しながらホ
モディスパー攪拌機で粘度30Pa・sに調整し、さらに3
本ロールで混練して得られる。
【0041】(8) 前記(7) で接着剤層2を形成した基板
の両面に、 100μmφの黒円が印刷されたフォトマスク
フィルムを密着させ、超高圧水銀灯により 500mj/cm2
で露光した。これをDMDG溶液でスプレー現像することに
より、接着剤層2に 100μmφのバイアホールとなる開
口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により
3000mj/cm2 で露光し、100 ℃で1時間、その後 150℃
で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフ
ィルムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール
形成用開口6)を有する厚さ50μmの層間絶縁材層(接
着剤層2)を形成した(図1(f) 参照)。なお、バイア
ホールとなる開口6には、図示しないスズめっき層を部
分的に露出させた。
【0042】(9) 前記(8) の処理を施した基板を、クロ
ム酸に1分間浸漬し、層間絶縁材層表面のエポキシ樹脂
粒子を溶解除去することにより、当該層間絶縁材層の表
面を粗化し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬
してから水洗した。さらに、粗化処理した該基板の表面
に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することに
より、層間絶縁材層の表面およびバイアホール用開口6
の内壁面に触媒核を付けた。
【0043】(10)一方、DMDGに溶解させたクレゾールノ
ボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、商品名:EOCN−
103S)のエポキシ基25%をアクリル化した感光性付与の
オリゴマー(分子量:4000)、PES(分子量17000
)、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2PMH
Z−PW)、感光性モノマーであるアクリル系イソシアネ
ート(東亜合成製、商品名:アロニックスM215 )、光
開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)、光増感
剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を以下の組成
でNMPを用いて混合して、ホモディスパー攪拌機で粘
度3,000cpsに調整し、続いて3本ロールで混練して液状
レジストを得た。 樹脂組成物;感光性エポキシ/PES /M215 /BP/MK/
イミダゾール=70/30/10/5/0.5 /5
【0044】(11)前記(9) の処理を終えた基板の両面
に、上記液状レジストをロールコーターを用いて塗布
し、60℃で30分間の乾燥を行い、厚さ30μmのレジスト
層を形成した。次いで、L/S(ラインとスペースとの
比)=50/50の導体回路パターンの描画されたマスクフ
ィルムを密着させ、超高圧水銀灯により1000mj/cm2
露光し、DMDGでスプレー現像処理することにより、基板
上に導体回路パターン部の抜けためっき用レジストを形
成し、さらに、超高圧水銀灯にて6000mj/cm2 で露光
し、 100℃で1時間、その後、 150℃で3時間の加熱処
理を行い、層間絶縁材層の上に永久レジスト3を形成し
た。
【0045】(12)上記永久レジスト3を形成した基板
を、 100g/lの硫酸水溶液に浸漬処理して触媒核を活
性化した後、下記組成を有する無電解銅−ニッケル合金
めっき浴を用いて一次めっきを行い、レジスト非形成部
分に厚さ約1.7 μmの銅−ニッケル−リンめっき薄膜を
形成した。このとき、めっき浴の温度は60℃とし、めっ
き浸漬時間は1時間とした。
【0046】(13)前記(12)の工程で一次めっき処理した
基板を、前記めっき浴から引き上げて表面に付着してい
るめっき浴を水で洗い流し、さらに、その基板を酸性溶
液で処理することにより、銅−ニッケル−リンめっき薄
膜表層の酸化皮膜を除去した。その後、Pd置換を行うこ
となく、銅−ニッケル−リンめっき薄膜上に、下記組成
の無電解銅めっき浴を用いて二次めっきを施すことによ
り、アディティブ法による導体層として必要な外層導体
パターン5, 5' およびバイアホール(BVH )7を形成し
た(図1(g) 参照)。このとき、めっき浴の温度は50〜
70℃とし、めっき浸漬時間は90〜360 分とした。 金属塩… CuSO4・5H2O : 8.6 mM 錯化剤…TEA : 0.15M 還元剤…HCHO : 0.02M その他…安定剤(ビピリジル、フェロシアン化カリウム
等):少量 析出速度は、6μm/時間
【0047】(14)このようにしてアディティブ法による
導体層を形成した後、前記(4) の工程と同様にして、#
600 のベルト研磨紙を用いたベルトサンダー研磨によ
り、基板の片面を、永久レジストの表層とバイアホール
の銅の最上面とが揃うまで研磨した。引き続き、ベルト
サンダーによる傷を取り除くためにバフ研磨を行った
(バフ研磨のみでもよい)。そして、他方の面について
も同様に研磨して、基板両面が平滑なプリント配線基板
を形成した。
【0048】(15)そして、前述の工程を繰り返すことに
より、アディティブ法による導体層を更にもう一層形成
し、このようにして配線層をビルドアップすることによ
り6層の多層プリント配線板を製造した(図1(h) 参
照)。
【0049】(実施例2)(ビスフェノールF型) (1) ビスフェノールF型エポキシモノマーを 100重量部
と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4
MZ−CN)6重量部を混合し、3本ロールにて混練し
て23±1℃における粘度が35,000cps の樹脂充填剤を得
た。この樹脂充填剤は、無溶剤の樹脂充填剤である。 (2) 実施例1と同様にしてプリント配線板を製造した。
【0050】(比較例1)(ビスフェノールA型+溶
剤) (1) ビスフェノールA型エポキシモノマー(油化シェル
製)100 重量部と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、
商品名:2E4MZ−CN)6重量部を混合し、さらに
この混合物に対し、平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子
(ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターン
の厚み(15μm)以下とする)を 170重量部を、NMP
とともに混合し、3本ロールにて混練して23±1℃にお
ける粘度が50,000cps の樹脂充填剤を得た。 (2) 実施例1と同様にしてプリント配線板を製造した。
【0051】(比較例2)(フェノールノボラック+溶
剤) (1) フェノールノボラック型エポキシ樹脂オリゴマーを
100重量部と、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品
名:2E4MZ−CN)6重量部を混合し、さらにこの
混合物に対し、平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子(こ
こで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚
み(15μm)以下とする)を 170重量部を、NMPとと
もに混合し、3本ロールにて混練して23±1℃における
粘度が50,000cps の樹脂充填剤を得た。 (2) 実施例1と同様にしてプリント配線板を製造した。
【0052】(比較例3)(フェノールノボラック+溶
剤+無機粒子なし) (1) フェノールノボラック型エポキシ樹脂オリゴマーを
100重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品
名;2E4MZ−CN)6重量部をNMPとともに混合
し、3本ロールにて混練して23±1℃における粘度が5
0,000cps の充填樹脂を得た。 (2) 実施例1と同様にしてプリント配線板を製造した。
【0053】以上説明したような実施例において、プリ
ント配線板を製造するに際し、樹脂充填剤の充填性、樹
脂充填剤の研磨性、樹脂充填剤の硬化収縮の有無、層間
剥離の有無を調べ、さらに得られたプリント配線板に関
し、冷熱衝撃特性および吸湿性を調査した。その結果を
表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】〔樹脂充填剤の充填性〕樹脂充填剤をロー
ルコーターを用いて導体回路間あるいはスルーホール内
に充填する際に、確実に充填されたか否かで判断した。 〔樹脂充填剤の研磨性〕硬化した樹脂充填剤を研磨する
際に、欠けやクラックが発生するか否かで判断した。 〔樹脂充填剤の硬化収縮〕基板に設けたスルーホール部
分の断面を光学顕微鏡にて観察し、隙間があるか否かで
判断する。 〔層間剥離の有無〕樹脂充填剤の層と接着剤層あるいは
絶縁材層との界面の剥離状態を、基板の断面を光学顕微
鏡で観察することにより確認した。 〔冷熱衝撃特性〕−125 ℃〜65℃のヒートサイクルを10
00回繰り返した後に、導体回路や樹脂充填剤の層に発生
するクラックの有無で判断した。 〔吸湿性〕配線板を沸騰水に1時間浸漬して、スルーホ
ール部に発生するクラックや剥離の有無で判断した。
【0056】実施例1では、樹脂充填剤の樹脂成分とし
て、無溶剤で比較的柔らかいビスフェノールF型エポキ
シ樹脂を採用したので、かかる樹脂充填剤は、シリカ粒
子を混合してもその粘度が低く、23±1℃における粘度
が45〜49Pa・s であった。このため、表1に示す結果か
らも明らかなように、 .実施例1における樹脂充填剤は、充填性に優れ、ク
ラックや欠けを招くことなく研磨でき研磨性にも優れて
いた。 .実施例1における樹脂充填剤は、溶剤揮発に伴う収
縮がなく、シリカ粒子による収縮防止作用をも有するの
で、硬化時の収縮が全くなかった。 .実施例1における樹脂充填剤は、無溶剤樹脂からな
るので、溶剤の揮発に起因した層間剥離を生じることは
なかった。 .実施例1における樹脂充填剤は、シリカ粒子が充填
樹脂の熱膨張率を小さくするので、ヒートサイクルに対
する耐性に優れていた。 .実施例1における樹脂充填剤は、吸湿しないシリカ
粒子を含み充填剤自体の吸湿を抑制できるので、吸湿に
ともなうクラック等の発生を防止できた。
【0057】実施例2では、樹脂充填剤の樹脂成分とし
て、無溶剤で比較的柔らかいビスフェノールF型エポキ
シ樹脂を採用し、しかもシリカ粒子を含まないので、か
かる樹脂充填剤は、粘度が低く、23±1℃における粘度
が35Pa・s であった。このため、表1に示す結果からも
明らかなように、 .実施例2における樹脂充填剤は、充填性に優れ、ク
ラックや欠けを招くことなく研磨でき研磨性にも優れて
いた。 .実施例2における樹脂充填剤は、溶剤揮発に伴う収
縮がないので、硬化時の収縮が少なかった。但し、本実
施例では、シリカ粒子(無機粒子)の収縮防止作用が期
待できないので、樹脂自体の硬化収縮によってスルーホ
ール内に僅かに隙間が見られる場合があった。 .実施例2における樹脂充填剤は、無溶剤樹脂からな
るので、溶剤の揮発に起因した層間剥離を生じることは
なかった。 .実施例2における樹脂充填剤は、無機粒子が存在し
ないので、ヒートサイクル特性や吸湿性が実施例1の結
果に比べて劣った。 なお、実施例2のように、無機粒子を含まない構成の場
合は、充填性の点で、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
よりも粘度の高いビスフェノールA型エポキシ樹脂を採
用することが望ましい。
【0058】比較例1では、樹脂充填剤の樹脂成分とし
て、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を採用し、しかも
シリカ粒子を含むので、かかる樹脂充填剤は、粘度が高
く、充填性を確保するためには溶剤を添加する必要があ
った。このため、表1に示す結果からも明らかなよう
に、 .比較例1における樹脂充填剤は、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂を採用しているので、研磨性には優れて
いた。 .比較例1における樹脂充填剤は、無機粒子を含むの
で、ヒートサイクル特性や耐湿性に優れていた。しかし
ながら、 .比較例1における樹脂充填剤は、硬化時に溶剤が揮
発するので、無機粒子を含有していても収縮が生じ、層
間剥離も生じた。
【0059】比較例2では、樹脂充填剤の樹脂成分とし
て、剛直骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂を採用
し、しかもシリカ粒子を含むので、かかる樹脂充填剤
は、粘度が高く、充填性を確保するためには溶剤を添加
する必要があった。このため、表1に示す結果からも明
らかなように、 .比較例2における樹脂充填剤は、無機粒子を含むの
で、ヒートサイクル特性や耐湿性に優れていた。しかし
ながら、 .比較例2における樹脂充填剤は、固くて脆いノボラ
ック型エポキシ樹脂を採用しているので、研磨により欠
けやクラックが発生した。 .比較例2における樹脂充填剤は、硬化時に溶剤が揮
発するので、無機粒子を含有していても収縮が生じ、層
間剥離も生じた。
【0060】比較例3では、樹脂充填剤の樹脂成分とし
て、剛直骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂を採用
しているので、かかる樹脂充填剤は、シリカ粒子を含ま
なくても粘度が高く、充填性を確保するためには溶剤を
添加する必要があった。このため、表1に示す結果から
も明らかなように、 .比較例3における樹脂充填剤は、固くて脆いノボラ
ック型エポキシ樹脂を採用しているので、研磨により欠
けやクラックが発生した。 .比較例3における樹脂充填剤は、硬化時に、溶剤の
揮発による収縮や、無機粒子を含まないことによる樹脂
自体の収縮が生じ、また層間剥離も生じた。 .無機粒子を含まないので、ヒートサイクル特性や耐
湿性が悪かった。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の樹脂充填剤
は、充填性および研磨性に優れ、しかも無機粒子を含有
する場合には硬化収縮が少ない。その結果、本発明の樹
脂充填剤は、配線基板の表面に生じる凹部あるいは該基
板に設けたスルーホールに充填して基板表面を確実に平
滑化することができ、耐薬品性や吸湿性に優れ、層間剥
離がなく、しかも冷熱衝撃によるクラックや剥がれのな
い等の種々の利点を有する。さらに、本発明の樹脂充填
剤により基板表面を平滑化すれば、層間絶縁材層の厚み
を均一化できるので、バイアホールの未開口や形状不良
を招くことがないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる樹脂充填剤を用いた多層プリン
ト配線板の一製造工程を示す図である。
【図2】樹脂充填剤の粘度と測定温度との関係を示す図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 接着剤層(層間絶縁材層) 3 めっきレジスト(永久レジスト) 4,4′内層銅パターン 5,5′外層導体パターン 6 バイアホール用開口 7 バイアホール 8 銅箔 9 スルーホール 10 樹脂充填剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05K 3/28 H05K 3/28 B (56)参考文献 特開 平7−202433(JP,A) 特開 平7−176846(JP,A) 特開 平7−263860(JP,A) 特開 平5−67881(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/11 C08G 59/40 C08K 3/00 C08L 63/02 H05K 1/02 H05K 3/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配線基板の表面に生じる凹部あるいは該
    基板に設けたスルーホールに充填される無溶剤の樹脂充
    填剤であって、樹脂成分としてビスフェノール型エポキ
    シ樹脂、硬化剤としてイミダゾール硬化剤、添加成分と
    して平均粒子径が0.1〜5.0μmである無機粒子を
    用いることを特徴とする樹脂充填剤。
  2. 【請求項2】 前記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、
    ビスフェノールF型エポキシ樹脂である請求項1に記載
    の樹脂充填剤。
  3. 【請求項3】 前記樹脂充填剤は、それの粘度が、23±
    1℃の温度において0.3×10cps〜 1.0×10cpsであ
    る請求項1に記載の樹脂充填剤。
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