JP3236316U - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持する吸収性物品を提供する。【解決手段】表面層1、裏面層2及び吸収層3を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向Yと、該縦方向と直交する幅方向Xとを有し、該縦方向に沿って、前方部F、後方部R、及び該前方部と後方部の間に位置し、***ポイントに対応する領域を含む中間部Cを有する吸収性物品10であって、吸収層3は、冷感剤を含有する中央吸収性シートと、中央吸収性シートの肌面側及び非肌面側に配された外包吸収性シートとを、層状に重ねてなり、吸収層3は、中央吸収性シートと外包吸収性シートとの平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部8を有する、吸収性物品。【選択図】図1
Description
本考案は、生理用ナプキンや失禁パッド、おむつなどの吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品において、***液が多いときや長時間使用するときなどにべたつきが生じて着用者が不快に感じることがある。これに対し、従来、清涼剤等の冷感材料を吸収性物品に含有させることによって、着用感の向上をはかろうとする技術があった(例えば特許文献1及び2)。冷感材料は揮発して、着用者の肌の感覚神経細胞のTRPM8やTRPA1などを刺激して受容器のしきい値を変化させることで清涼感が感じられる。
吸収性物品における冷感剤の含有量は揮発によって時間の経過とともに低減し、清涼効果は薄らいでいく。そのため、従来、適度な冷感効果の維持が十分とはいえなかった。適度な冷感効果の観点から、冷感剤を過度に増やさなくとも、効果が長く維持されることが望まれる。
本考案は、着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持する吸収性物品を提供する。
本考案は、表面層、裏面層、及び前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有し、該縦方向に沿って、前方部、後方部、及び該前方部と後方部の間に位置し、***ポイントに対応する領域を含む中間部を有する吸収性物品であって、前記吸収層は、冷感剤を含有する中央吸収性シートと、該中央吸収性シートの肌面側及び非肌面側に配された外包吸収性シートとを、層状に重ねてなり、前記吸収層は、前記中央吸収性シートと前記外包吸収性シートとの平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部を有する、吸収性物品を提供する。
本考案に係る吸収性物品は、着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持することができる。
以下、本考案に係る吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)10について、図面を参照しながら説明する。
本考案においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。これらは、人体に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に人体の前側に位置する方向を前方といい、後側に位置する方向を後方という。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。
本考案においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。これらは、人体に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に人体の前側に位置する方向を前方といい、後側に位置する方向を後方という。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。
ナプキン10は、図1及び2に示すように、肌当接面側の表面層1と、非肌当接面側の裏面層2と、表面層1と裏面層2との間に配された液保持性の吸収層(吸収体)3とを有する。表面層1は液を吸収層3へと送り込める液透過性を備え、裏面層2は液に対する防漏性を備える。表面層1及び裏面層2は吸収層3の両面を覆いつつ、吸収層3の外縁外方へと延出する大きさを有する。
本実施形態においては、表面層1と吸収層3との間に、吸収層3よりも幅狭の液透過性の液拡散層4を有する。液拡散層4は、表面層1から透過される***液を平面方向に広げて、吸収層3の肌面側の吸収面積を広げる作用を有する。また、表面層1の肌当接面側の両側にサイドシート5が積層されている。サイドシート5と裏面層2とが吸収層3の幅方向外方に延出して、着衣等への固定手段であるウイング部6を形成している。ウイング部6及び裏面層2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するためのズレ止粘着部7が配されている。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収層3を介在させずに接合された外周シール部9となっている。
本実施形態においては、表面層1と吸収層3との間に、吸収層3よりも幅狭の液透過性の液拡散層4を有する。液拡散層4は、表面層1から透過される***液を平面方向に広げて、吸収層3の肌面側の吸収面積を広げる作用を有する。また、表面層1の肌当接面側の両側にサイドシート5が積層されている。サイドシート5と裏面層2とが吸収層3の幅方向外方に延出して、着衣等への固定手段であるウイング部6を形成している。ウイング部6及び裏面層2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するためのズレ止粘着部7が配されている。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収層3を介在させずに接合された外周シール部9となっている。
ナプキン10は、他の構成部材を含んでいてもよく、また液拡散層4、サイドシート5を有さない形態であってもよい。さらに表面層1から吸収層3にかけて圧搾した防漏溝、表面層1上の複数のエンボスなどを有していてもよい。また、サイドシート5は、表面層1と接合されながら、表面層1の両側よりも内方側に自由端部を残すようにしてもよく、前記自由端部に弾性部材等を配して防漏カフを構成してもよい。
ナプキン10は、平面視において、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する幅方向(X方向)とを有する、縦長形状である。また表面層1、裏面層2及び吸収層3は、ナプキン10と同様に、縦長形状である。縦方向は、ナプキン10の装着時における、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する。幅方向は、着用者の股下における左右の足を繋ぐ方向に対応する。本明細書において、縦方向(Y方向)及び幅方向(X方向)は、ナプキン10の平面視における方向を示すと同時に、表面層1、裏面層2及び吸収層3の平面視における方向を示す。
ナプキン10は、縦方向に関して、着用者の***ポイントに対応する領域を含む中間部Cを有する。さらに中間部Cよりも前方の腹部側に配置される前方部F、後方の臀部側に配置される後方部Rを有する。また、中間部Cには、幅方向中央部分に、前記***ポイントに対向し、***液を直接受け止める受液領域C1がある。受液領域C1がある「幅方向中央部分」とは、図1に示すように、幅方向の中心線Lから左右に広がる所定幅の範囲をいい、吸収層3の幅方向両端縁39よりも内側の範囲の部分を言う。具体的には、ナプキン10の幅方向の中心線Lから左右に広がる領域であって、吸収層幅に対して40%以上50%以下の範囲の部分をいう。なお、中間部C、受液領域C1、前方部F及び後方部Rは、ナプキン10における区分を示すと同時に、これに対応する表面層1、吸収層3及び裏面層2における区分をも示す。
中間部C、前方部F及び後方部Rの区分位置は、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さに応じて適宜設定され得る。ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイング部を備える場合は、該ウイング部の存在する縦方向に沿った領域が中間部Cとなる。本実施形態のナプキン10は、昼用などとして設定される形状の例を示しており、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定されており、ウイング部を備えない昼用のナプキンの場合にも、中間部はこの設定に従う。ナプキン10がどのような形状であっても一般的には、中間部Cは、前方部Fからの一定の距離の位置にある部位として設定され得る。さらに大人用若しくは幼児用のおむつなど、また、尿取りパッドなどについては、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定される。
次に、吸収層3の好ましい層構造、吸収層3における冷感剤を含有する領域、及び連通部8について説明する。
吸収層3は、冷感剤を含有する中央吸収性シート32と、中央吸収性シート32の肌面側及び非肌側面に配された外包吸収性シート31とを、層状に重ねた積層構造を有する。中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に中央吸収性シート32と外包吸収性シート31を連通する通気手段である連通部8が配されている。
冷感剤を含有する中央吸収性シート32の上下(肌面側及び非肌面側)に外包吸収性シート31を配置した構造により、使用時の冷感剤の過度の揮発が抑制され、冷感の持続性が高まる。また、少なくとも肌面側に中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との連通部8を設けた構造により、冷感剤の揮発が完全には抑制されず、冷感剤が連通部8を介して適度な冷感を付与することができる。すなわち、ナプキン10の着用時において、吸収層3内の層状にされたシート間に溜まる冷感剤の揮発成分を、連通部8により肌面側へ積極的に移動させることができる。
冷感剤を含有する中央吸収性シート32の上下(肌面側及び非肌面側)に外包吸収性シート31を配置した構造により、使用時の冷感剤の過度の揮発が抑制され、冷感の持続性が高まる。また、少なくとも肌面側に中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との連通部8を設けた構造により、冷感剤の揮発が完全には抑制されず、冷感剤が連通部8を介して適度な冷感を付与することができる。すなわち、ナプキン10の着用時において、吸収層3内の層状にされたシート間に溜まる冷感剤の揮発成分を、連通部8により肌面側へ積極的に移動させることができる。
本実施形態において、吸収層3の層構造をなす中央吸収性シート32と外包吸収性シート31の好ましい態様について詳述する。
図2において、中央吸収性シート32は、表面層1側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。中央吸収性シート32は、中間部Cに配されている。中央吸収性シート32は、前方部Fと後方部Rとの間に位置する中間部Cにおいて、受液領域C1を含む位置にある。中央吸収性シート32の配置は、中間部Cに配置されていれば、中間部Cと同等の長さを有していてもよく、中間部Cから前方部F及び後方部Rに亘る長さを有していてもよい。
図2において、外包吸収性シート31は、裏面層2側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。外包吸収性シート31は、中間部Cから前方部F及び後方部Rに及ぶ長さを有し、吸収層3の外形形状をなしている。外包吸収性シート31は、折り畳まれた状態において、折り畳まれた状態の中央吸収性シート32よりも幅広であり、中央吸収性シート32よりも縦方向の長さが長い。
吸収層3において、冷感剤を含有する中央吸収性シート32は、外包吸収性シート31の折り畳み構造の内部に収められている。この配置において、外包吸収性シート31の肌面側部分31Aと非肌面側部分31Bとが、中央吸収性シート32の肌面側及び非肌面側を覆って配されている。
吸収層3は、上記の積層構造において、中央吸収性シート32を有することによって、中間部Cの幅方向中央に、周辺より厚い高坪量部33を備える。
吸収層3において、高坪量部33の厚さ(H1)の、高坪量部33以外の部分の厚さ(H2)に対する比(H2/H1)は、肌面に対して違和感なく使用できる観点から、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましい。前記比(H2/H1)は、フィット性の観点から、4/5以下が好ましく、2/3以下がより好ましい。
図2において、中央吸収性シート32は、表面層1側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。中央吸収性シート32は、中間部Cに配されている。中央吸収性シート32は、前方部Fと後方部Rとの間に位置する中間部Cにおいて、受液領域C1を含む位置にある。中央吸収性シート32の配置は、中間部Cに配置されていれば、中間部Cと同等の長さを有していてもよく、中間部Cから前方部F及び後方部Rに亘る長さを有していてもよい。
図2において、外包吸収性シート31は、裏面層2側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。外包吸収性シート31は、中間部Cから前方部F及び後方部Rに及ぶ長さを有し、吸収層3の外形形状をなしている。外包吸収性シート31は、折り畳まれた状態において、折り畳まれた状態の中央吸収性シート32よりも幅広であり、中央吸収性シート32よりも縦方向の長さが長い。
吸収層3において、冷感剤を含有する中央吸収性シート32は、外包吸収性シート31の折り畳み構造の内部に収められている。この配置において、外包吸収性シート31の肌面側部分31Aと非肌面側部分31Bとが、中央吸収性シート32の肌面側及び非肌面側を覆って配されている。
吸収層3は、上記の積層構造において、中央吸収性シート32を有することによって、中間部Cの幅方向中央に、周辺より厚い高坪量部33を備える。
吸収層3において、高坪量部33の厚さ(H1)の、高坪量部33以外の部分の厚さ(H2)に対する比(H2/H1)は、肌面に対して違和感なく使用できる観点から、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましい。前記比(H2/H1)は、フィット性の観点から、4/5以下が好ましく、2/3以下がより好ましい。
中央吸収性シート32は前述のとおり冷感剤を含有している。中央吸収性シート32は、中央吸収性シート32の全領域に冷感剤を含有していてもよいし、中央吸収性シート32の一部の領域に含有していてもよい。
中央吸収性シート32が折り畳み構造を有する場合には、冷感剤を折り畳み構造の内側の領域に含有していることが好ましい。また、中央吸収性シート32が後述するポリマーリッチ領域35及び繊維リッチ領域36を有する場合には、冷感剤をポリマーリッチ領域35に含有していることがより好ましい。
冷感剤は、中央吸収性シート32に含まれる限り、吸収層3の他の領域に含まれていてもよく、中央吸収性シート32以外の部材(例えば、外包吸収性シート31や液拡散層4や表面層1)に含まれていてもよい。ただし、着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持させる観点から、冷感剤の含有量が最も多い領域が、中央吸収性シート32にあることが好ましい。また、冷感剤を含む領域は、ナプキン10の平面視において、中間部Cにあることが好ましい。
中央吸収性シート32が、冷感剤を含有するとき、冷感剤の塗布部、すなわち冷感剤含有液の塗布部を含むことが好ましい。ここで、冷感剤含有液とは、冷感剤と溶媒とを混合した塗布液のことであり、冷感剤をナプキン10に含有させる際に用いられる液である。この冷感剤含有液の塗布部は製造工程において最初に含有させられる部位であり、製品としてのナプキン10においては、冷感剤成分が最も多い部位(含有量が多い部分)である。この含有量は、吸収層3の中央吸収性シート32と外包吸収性シート31とに分けて後述する方法により測定することができる。
中央吸収性シート32が折り畳み構造を有する場合には、冷感剤を折り畳み構造の内側の領域に含有していることが好ましい。また、中央吸収性シート32が後述するポリマーリッチ領域35及び繊維リッチ領域36を有する場合には、冷感剤をポリマーリッチ領域35に含有していることがより好ましい。
冷感剤は、中央吸収性シート32に含まれる限り、吸収層3の他の領域に含まれていてもよく、中央吸収性シート32以外の部材(例えば、外包吸収性シート31や液拡散層4や表面層1)に含まれていてもよい。ただし、着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持させる観点から、冷感剤の含有量が最も多い領域が、中央吸収性シート32にあることが好ましい。また、冷感剤を含む領域は、ナプキン10の平面視において、中間部Cにあることが好ましい。
中央吸収性シート32が、冷感剤を含有するとき、冷感剤の塗布部、すなわち冷感剤含有液の塗布部を含むことが好ましい。ここで、冷感剤含有液とは、冷感剤と溶媒とを混合した塗布液のことであり、冷感剤をナプキン10に含有させる際に用いられる液である。この冷感剤含有液の塗布部は製造工程において最初に含有させられる部位であり、製品としてのナプキン10においては、冷感剤成分が最も多い部位(含有量が多い部分)である。この含有量は、吸収層3の中央吸収性シート32と外包吸収性シート31とに分けて後述する方法により測定することができる。
中央吸収性シート32は、さらに抗菌剤を含有していてもよい。抗菌剤を含有することで、冷感剤による感覚としてのムレやべたつきの抑制に加えて、ムレやべたつきが原因で引き起こされやすい菌の繁殖を抑制でき、快適に使用することができる。
連通部8は、中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との重なり部分において連通する通気手段である。連通部8は、冷感剤の揮発成分を肌面へ誘導する通気手段として、少なくとも吸収層3の肌面側に配されている。本実施形態においては、外包吸収性シート31の肌面側部分31Aと中央吸収性シート32とに亘って配されている。ただし、連通部8の深さはこれに限定されるものでない。好ましい態様については後述する。
連通部8は、冷感剤の揮発成分の移動経路、吸収層3等の変形による空気の移動経路として作用する。これらの作用により、特に時間が経って冷感剤の含有残存量が少なくなってきたときにおいても、層状構造である吸収層のシート間に溜まった冷感剤の揮発成分を、肌面へと十分に送り込むことができる。例えば、冷感剤が吸収層3の奥に残存する場合には、連通部8の存在によって吸収層3内部から肌面へと冷感剤の揮発成分を積極的に送り込むことができる。冷感剤の送り込みは、例えば、ナプキン着用時の着用者の体の動きに伴う、吸収層の変形などによって、より効果が高まる。
連通部8は、冷感剤の揮発成分の移動経路、吸収層3等の変形による空気の移動経路として作用する。これらの作用により、特に時間が経って冷感剤の含有残存量が少なくなってきたときにおいても、層状構造である吸収層のシート間に溜まった冷感剤の揮発成分を、肌面へと十分に送り込むことができる。例えば、冷感剤が吸収層3の奥に残存する場合には、連通部8の存在によって吸収層3内部から肌面へと冷感剤の揮発成分を積極的に送り込むことができる。冷感剤の送り込みは、例えば、ナプキン着用時の着用者の体の動きに伴う、吸収層の変形などによって、より効果が高まる。
連通部8は、細長く切り込まれたスリット又は部材の一部が切り欠かれた凹部空間等の隙間部分でもよく、部材の一部が押圧されて窪んだ凹部空間(圧搾部)であってもよく、部材の坪量が部分的に小さくされた凹部空間であってもよい。
連通部8がスリット又は部材の一部が切り欠かれた凹部空間である場合、連通部8において中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31が同じ位置において連続的に切断されており、シート切断端部が連通部8の壁を形成することとなる。この壁において、中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31の切断端部の一部が結合していることが好ましい。このような構成とすることにより、冷感剤が含有されている部分から吸収層3の肌面側表面への距離が短くなり、冷感剤の肌面側への移動をより効果的に行うことができる。圧搾部においても同等の効果が得られると考えられる。
連通部8がスリット又は部材の一部が切り欠かれた凹部空間である場合、連通部8において中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31が同じ位置において連続的に切断されており、シート切断端部が連通部8の壁を形成することとなる。この壁において、中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31の切断端部の一部が結合していることが好ましい。このような構成とすることにより、冷感剤が含有されている部分から吸収層3の肌面側表面への距離が短くなり、冷感剤の肌面側への移動をより効果的に行うことができる。圧搾部においても同等の効果が得られると考えられる。
連通部8は好ましくは、連通孔である。連通孔とは、吸収層3の肌面側から所定の厚みを貫通する孔のことであり、上述したスリットや凹部空間を含む概念である。連通部8が連通孔であると、ナプキン10の着用時の着用者の体の動きに伴って、ナプキン10の幅方向内方への押圧や、前後方向のせん断力等の外力が加わった時に、連通孔部分が開閉して、冷感剤の揮発成分を一定量溜めながら肌面側へと、より効果的に送り込むことができる。
本実施形態においては、連通部8は吸収層3の一部を切り込んだスリット部81として配されている(図1~3参照)。スリット部81は吸収層3の平面領域において複数分散して配列されている。ここで言う「スリット部」は、部材断絶の幅が0.5mm以下の切り込み部分として定義でき、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下である。スリット部81の「幅」とは、ナプキン10の平面視において、スリット部81の延出する長さ方向に直交する方向の、断絶された部材間の距離(開口幅)をいう。スリット部81の幅は、ナプキン10から吸収層3を取り出して水平な台に静置し、張力を加えない自然状態において、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX-1000によって測定することができる。測定に際し、測定倍率は適宜調整して測定する。
連通部8は、吸収層3の肌面側において、中央吸収性シート32と外包吸収性シート31の肌面側部分31Aとの平面視において重なる領域に少なくとも配されている(図1及び図3参照)。連通部8は、吸収層3を平面視した縦方向において、少なくとも中間部Cを含む領域に配されることが好ましい。また、連通部8のうち最も幅方向外側に位置するものは、吸収層3の幅方向両端縁39よりも内側にあり、冷感剤が含まれる領域よりも幅方向外側に配されることが好ましい。
連通部8は、通気路としての作用を効果的に発現させる観点から、上記領域に、複数、分散配置されていることが好ましい。
連通部8は、通気路としての作用を効果的に発現させる観点から、上記領域に、複数、分散配置されていることが好ましい。
連通部8は、吸収層3の厚み方向において少なくとも吸収層3の表面層1側(肌面側)に形成されていればよく、表面層1側から所定深さにまであってもよく、吸収層3の厚み方向全体に亘ってあってもよい。連通部8の冷感剤に対する作用を考慮すると、連通部8は表面層1側から所定深さにまであることが好ましい。深さとしては、吸収層3の厚みの50%以上70%以下程度が好ましい。より具体的には、連通部8は、吸収層3の肌面側から厚み方向に複数のシート層に亘って配されていることが好ましく、外包吸収性シート31の肌面側部分31Aから中央吸収性シート32の冷感剤が配されている部位まで到達していることがより好ましい。また、ズレ止粘着部7に最も近い部位の外包吸収性シート31(非肌面側部分31B)には存在していないことが好ましい。このような構成とすることにより、冷感剤の肌面側への拡散を促進して適度な冷感を付与でき、また、冷感剤の非肌面側への拡散を抑制して、ズレ止粘着部の粘着力の低下、着衣への糊残り等のズレ止性能の低下をより効果的に抑制できる。
一方で、吸収層3の変形による連通部8への空気の移動による冷感効果の観点からは、連通部8は吸収層3の表面から裏面まで至っていることが好ましい。
一方で、吸収層3の変形による連通部8への空気の移動による冷感効果の観点からは、連通部8は吸収層3の表面から裏面まで至っていることが好ましい。
連通部8の平面視形状は特に限定されず、矩形でもよく、円形でもよい。連通部8は、冷感剤に対する作用を考慮すると、連通部8の一方向の長さが非肌面より肌面側において広いことが好ましい。このような構成とすることにより、冷感剤の肌面側への拡散をより促進でき、また、冷感剤の非肌面側への拡散をより抑制できる。
中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31を構成する吸収性シートは、高吸収性ポリマー材と親水性繊維とを含む。吸水性シートは、親水性繊維からなる2つのシート状の繊維層間に高吸収性ポリマー材を挟持して固定した厚みの薄いシート体である。ここでいう高吸収性ポリマー材はいわゆるSAP(Superabsorbent polymer)と呼ばれる表面架橋された高分子材料である(以下、同様)。吸収性シートの形成にあたっては、高吸収性ポリマーが湿潤によって発現する粘着力や、別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを利用して一体化することができる。作製は通常用いられる種々の方法によって行うことができ、湿式、乾式いずれの方式によってもよい。
吸収性シートは高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロッキング(体液等の水性液体を吸収して膨潤した吸収性ポリマー同士の相互作用により生じる液体の吸収阻害現象)を起こし難く、高い吸収力を有する。このため、吸水性シート1層の厚みを1.0mm以下に抑えることができる。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
吸収性シートは高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロッキング(体液等の水性液体を吸収して膨潤した吸収性ポリマー同士の相互作用により生じる液体の吸収阻害現象)を起こし難く、高い吸収力を有する。このため、吸水性シート1層の厚みを1.0mm以下に抑えることができる。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
吸収性シートは、断面視において、図4に示すように、ポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36とを備えることが好ましい。具体的には、図4は、中央吸収性シート32を構成する吸収性シートの一部の厚み断面にポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36とが積層され一体構造になっている態様を示している。
ポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36とは、高吸収性ポリマー材37の質量と親水性繊維の質量との合計質量に対する高吸収性ポリマー材37の質量比率(以下、単に「高吸収性ポリマー材37の質量比率」と言う。)によって規定される。ポリマーリッチ領域35は繊維リッチ領域36よりも前記高吸収性ポリマー材37の質量比率が相対的に高くされている。一方、繊維リッチ領域36は、ポリマーリッチ領域35に対して高吸収性ポリマー材37の質量比率が相対的に低い。
ポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36とは、高吸収性ポリマー材37の質量と親水性繊維の質量との合計質量に対する高吸収性ポリマー材37の質量比率(以下、単に「高吸収性ポリマー材37の質量比率」と言う。)によって規定される。ポリマーリッチ領域35は繊維リッチ領域36よりも前記高吸収性ポリマー材37の質量比率が相対的に高くされている。一方、繊維リッチ領域36は、ポリマーリッチ領域35に対して高吸収性ポリマー材37の質量比率が相対的に低い。
吸収性シートは上記構成により、吸収層3の厚み方向において、経血吸収後に自由水が相対的に少なくなるポリマーリッチ領域35と自由水が相対的に多く繊維間に残る繊維リッチ領域36とを備える。
冷感剤は、中央吸収性シート32のポリマーリッチ領域35に含まれていることが好ましい。このとき、前述した冷感剤塗布部がポリマーリッチ領域35に配されていることが好ましい。ポリマーリッチ領域35においては高吸収性ポリマー材37により周辺の自由水が相対的に低減されるため、冷感剤が揮発しやすい。一方で、繊維リッチ領域36においては、相対的に多く残る自由水(体液)により、冷感剤の揮発成分が過度に拡散することを抑制することができる。
中央吸収性シート32は、ポリマーリッチ領域35に冷感剤を有し、繊維リッチ領域36を外面側にして折り畳んだ構成であることが好ましい。これにより、中央吸収性シート32の積層構造の内部に冷感剤が揮発しやすい構造を備える。加えて、中央吸収性シート32の外側に冷感剤の揮発成分が外側に拡散しすぎるのを抑制する構造を備える。これにより、中央吸収性シート32は、外包吸収性シート31との組合せにおいて、適度な冷感効果をより長く効果的に付与することができる。
また、このような構成とすることにより、ズレ止粘着部7への冷感剤の拡散を適度に抑えることができ、ズレ止性能の劣化を抑制できる。
中央吸収性シート32は、ポリマーリッチ領域35に冷感剤を有し、繊維リッチ領域36を外面側にして折り畳んだ構成であることが好ましい。これにより、中央吸収性シート32の積層構造の内部に冷感剤が揮発しやすい構造を備える。加えて、中央吸収性シート32の外側に冷感剤の揮発成分が外側に拡散しすぎるのを抑制する構造を備える。これにより、中央吸収性シート32は、外包吸収性シート31との組合せにおいて、適度な冷感効果をより長く効果的に付与することができる。
また、このような構成とすることにより、ズレ止粘着部7への冷感剤の拡散を適度に抑えることができ、ズレ止性能の劣化を抑制できる。
吸収性シートにおけるポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36の形成は、例えば次のようにして行うことができる。
まず、親水性繊維を含む水スラリーを湿式抄紙して抄造された、湿潤した繊維ウエブを作製する。水スラリーには熱溶融性接着繊維、紙力補強剤などを含ませてもよい。湿潤した状態にある繊維ウエブに対して、高吸収性ポリマー材を散布し、高吸収性ポリマーが繊維間に入り込んだ状態を作り出す。この部分が、吸収性シートにおけるポリマーリッチ領域35となる。次いで、高吸収性ポリマー材を散布した面の上から、親水性繊維及び熱溶融性接着繊維又は紙力補強剤を含む繊維集合体を積層して乾燥、一体化処理をして吸収性シートを得る。後から積層した繊維集合体の部分が繊維リッチ領域36となる。
また、吸収性シートを乾式で作製する場合は、高吸収性ポリマー材を散布する層は、抄紙、乾燥した紙、種々の方法により作製された不織布であってもよい。高吸収性ポリマー材を繊維間に入り込ませやすくするとう観点から、クレープ処理されたような嵩高な紙、エアースルー不織布などが好ましい。この場合、高吸収性ポリマー材とポリマーリッチ領域35となる層の構成繊維との接合、ポリマーリッチ領域35となる層と繊維リッチ領域36となる層との接合には、ホットメルト型接着剤や水溶性接着剤などを用いてもよい。さらに、ポリマーリッチ領域35となる層に対し、親水性繊維を積層する又は吹き付けることで繊維リッチ領域36を形成してもよい。
まず、親水性繊維を含む水スラリーを湿式抄紙して抄造された、湿潤した繊維ウエブを作製する。水スラリーには熱溶融性接着繊維、紙力補強剤などを含ませてもよい。湿潤した状態にある繊維ウエブに対して、高吸収性ポリマー材を散布し、高吸収性ポリマーが繊維間に入り込んだ状態を作り出す。この部分が、吸収性シートにおけるポリマーリッチ領域35となる。次いで、高吸収性ポリマー材を散布した面の上から、親水性繊維及び熱溶融性接着繊維又は紙力補強剤を含む繊維集合体を積層して乾燥、一体化処理をして吸収性シートを得る。後から積層した繊維集合体の部分が繊維リッチ領域36となる。
また、吸収性シートを乾式で作製する場合は、高吸収性ポリマー材を散布する層は、抄紙、乾燥した紙、種々の方法により作製された不織布であってもよい。高吸収性ポリマー材を繊維間に入り込ませやすくするとう観点から、クレープ処理されたような嵩高な紙、エアースルー不織布などが好ましい。この場合、高吸収性ポリマー材とポリマーリッチ領域35となる層の構成繊維との接合、ポリマーリッチ領域35となる層と繊維リッチ領域36となる層との接合には、ホットメルト型接着剤や水溶性接着剤などを用いてもよい。さらに、ポリマーリッチ領域35となる層に対し、親水性繊維を積層する又は吹き付けることで繊維リッチ領域36を形成してもよい。
冷感剤は、上記のとおり長持ちするため、過度に含有量を増量する必要がない。そのため従来と同様の含有量でありながら、肌への刺激を抑え、適度な冷感効果を長く効果的に維持することができる。
具体的には、ナプキン10全体における冷感剤の含有量は、冷感の適度さと、ムレ感やべたつき感の観点から、冷感剤の種類によって決めることができる。
例えば、乳酸メンチルの場合であれば、製品長に対して4mg/100mm以上が好ましく、5mg/100mm以上がより好ましく、6.5mg/100mm以上がさらに好ましい。前記含有量は、肌への刺激を抑制する観点から、13.5mg/100mm以下が好ましく、12.5mg/100mm以下がより好ましく、11.5mg/100mm以下がさらに好ましい。
具体的には、ナプキン10全体における冷感剤の含有量は、冷感の適度さと、ムレ感やべたつき感の観点から、冷感剤の種類によって決めることができる。
例えば、乳酸メンチルの場合であれば、製品長に対して4mg/100mm以上が好ましく、5mg/100mm以上がより好ましく、6.5mg/100mm以上がさらに好ましい。前記含有量は、肌への刺激を抑制する観点から、13.5mg/100mm以下が好ましく、12.5mg/100mm以下がより好ましく、11.5mg/100mm以下がさらに好ましい。
(冷感剤の含有の有無、含有量の測定方法)
吸収性物品の対象部材又は対象部位から冷感剤を溶媒で抽出し、抽出溶液をガスクロマトグラフィ法(GC)で分析することができる。測定は、ガスクロマトグラフに取り付けた水素炎イオン化型検出器(FID)で行い、例えば、Agilent technologies製7890Aにより測定することができる。予め冷感剤を構成する化合物の濃度とピーク面積の関係を検量線化しておき、当該検量線を元に定量作業を行う。
冷感剤が乳酸メンチル及び/又はメントールを含む場合を例に説明する。溶媒としてメタノールを使用して対象部材又は対象部位から乳酸メンチル及び/又はメントールを抽出する。メタノールを溶媒として、予め濃度の異なる3~5段階程度の乳酸メンチル溶液及び/又はメントール溶液を準備し、GCのクロマトグラムからそれぞれの濃度のピーク面積を算出し、標準試料として、n-ペンチルアルコールを用い、標準試料の濃度に対してそのピーク面積をプロットした検量線を作成する。検量線を作成した分析と同じ条件で抽出液の分析を行うことで、得られたピーク面積を検量線にあてはめて乳酸メンチル量及び/又はメントール量を算出する。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、対象部材又は対象部位の面積で除することにより、単位面積当たりの冷感剤量(冷感剤坪量)を求めることができる。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、吸収性物品の対象部材又は対象部位の吸収性物品長さ方向の長さ(mm)で除し、100倍することで、製品長(吸収層長さ)100m当りの冷感剤量を求めることができる。
製品の構成部材又は部位ごとの冷感剤量を知るには、5℃のチャンバー内で製品を分解し、測定する材料部位を取り出すことで分析可能となる。
吸収性物品の対象部材又は対象部位から冷感剤を溶媒で抽出し、抽出溶液をガスクロマトグラフィ法(GC)で分析することができる。測定は、ガスクロマトグラフに取り付けた水素炎イオン化型検出器(FID)で行い、例えば、Agilent technologies製7890Aにより測定することができる。予め冷感剤を構成する化合物の濃度とピーク面積の関係を検量線化しておき、当該検量線を元に定量作業を行う。
冷感剤が乳酸メンチル及び/又はメントールを含む場合を例に説明する。溶媒としてメタノールを使用して対象部材又は対象部位から乳酸メンチル及び/又はメントールを抽出する。メタノールを溶媒として、予め濃度の異なる3~5段階程度の乳酸メンチル溶液及び/又はメントール溶液を準備し、GCのクロマトグラムからそれぞれの濃度のピーク面積を算出し、標準試料として、n-ペンチルアルコールを用い、標準試料の濃度に対してそのピーク面積をプロットした検量線を作成する。検量線を作成した分析と同じ条件で抽出液の分析を行うことで、得られたピーク面積を検量線にあてはめて乳酸メンチル量及び/又はメントール量を算出する。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、対象部材又は対象部位の面積で除することにより、単位面積当たりの冷感剤量(冷感剤坪量)を求めることができる。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、吸収性物品の対象部材又は対象部位の吸収性物品長さ方向の長さ(mm)で除し、100倍することで、製品長(吸収層長さ)100m当りの冷感剤量を求めることができる。
製品の構成部材又は部位ごとの冷感剤量を知るには、5℃のチャンバー内で製品を分解し、測定する材料部位を取り出すことで分析可能となる。
本実施形態の吸収層3の積層構造において、中央吸収性シート32は、外包吸収性シート31と層状の積層構造を有する限り、図2のような折り畳み構造を有するものに限られない。例えば、折り畳まれていない態様も可能である。ただし、冷感剤の揮発を制御する観点から、中央吸収性シート32は折り畳み構造を有することが好ましい。中央吸収性シート32の折り畳み構造は、図2に示す態様に限らず、種々のものとすることができる。例えば、図5(A)~(D)に示すような折り畳みであってもよい。図5(A)は、中央吸収性シート32の幅方向の両端部をそれぞれ肌面側と非肌面側とに折り返しS字状に折り畳んだ態様を示している。図5(B)は幅方向に二つ折りした態様を示している。図5(C)及び(D)は、幅方向に三つ折りした各部分の長さが等しくなるように折り畳んだ態様を示している。
本実施形態の吸収層3の積層構造において、外包吸収性シート31は、図2のような折り畳み構造を有するものに限られない。例えば、外包吸収性シート31を複数の別々のシート部にし、これらシート部を中央吸収性シート32の肌面側と非肌面側に配して積層構造を形成してもよい。冷感剤の揮発を制御する観点から、外包吸収性シート31は折り畳まれていることが好ましい。
外包吸収性シート31の折り畳み構造は、図2に示す態様に限らず、種々のものとすることができる。例えば、中央吸収性シート32の折り畳み構造として示した図5(A)~(D)と同様のものとしてもよい。また肌面側と非肌面側とに分かれた2枚のシートを積層した構造であってもよい。さらに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様に限定されず、内包せずに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の非肌面側に中央吸収性シート32を積層する態様であってもよい。
ただし、外包吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様であると、冷感剤の揮発成分をより溜めやすくなり、前述した連通部8の作用の観点から好ましい。
外包吸収性シート31の折り畳み構造は、図2に示す態様に限らず、種々のものとすることができる。例えば、中央吸収性シート32の折り畳み構造として示した図5(A)~(D)と同様のものとしてもよい。また肌面側と非肌面側とに分かれた2枚のシートを積層した構造であってもよい。さらに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様に限定されず、内包せずに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の非肌面側に中央吸収性シート32を積層する態様であってもよい。
ただし、外包吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様であると、冷感剤の揮発成分をより溜めやすくなり、前述した連通部8の作用の観点から好ましい。
吸収層3がどのような積層構造を有していても、連通部8の配された部分を除いて、吸収性シートの重なり部分が接合されないことが好ましい。これにより、吸収層3の層間の空間が形成されやすく、前述の層間の開閉性が高まる。その結果、冷感剤の揮発成分の肌への移動をより発現させやすくすることができる。
次に、冷感剤のズレ止粘着部7に対する影響を考慮した、ズレ止め粘着部7と中央吸収性シート32との好ましい配置関係について説明する。
ズレ止粘着部7は、前述のとおり、裏面層2の非肌面側に配置される。ズレ止粘着部7は、着衣に粘着し、着衣とナプキンとの装着固定位置のズレを低減する機能を有する。従来、冷感剤は、ズレ止粘着部の粘着力低下や着衣への糊残りといったズレ止性能を低下させる要因の一つとなっていた。
これに対し、本実施形態においては、ズレ止粘着部7と冷感剤を含有する中央吸収性シート32との平面視における重なりをできるだけ少なくすることが好ましい。この観点から、上記重なり部分は、中央吸収性シート32の配置面積(ナプキン10の平面視において、中央吸収性シート32が占める面積であり、中央吸収性シート32が折り畳まれた状態である時には、折り畳まれた状態での平面視における面積)を100%とした場合に、配置面積の35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましい。このような配置とすることにより、ズレ止粘着部7の粘着剤に対する冷感剤の影響を低減して、粘着力の低下、着衣への糊残り等のズレ止性能の低下を抑制することができる。また、上記重なり部分は、着衣とのズレを効果的に抑制する観点から、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、18%以上であることがさらに好ましい。また、ズレ止粘着部7は、着衣とのズレを効果的に抑制する観点から、複数、分散配置されていることが好ましい。
ズレ止粘着部7は、前述のとおり、裏面層2の非肌面側に配置される。ズレ止粘着部7は、着衣に粘着し、着衣とナプキンとの装着固定位置のズレを低減する機能を有する。従来、冷感剤は、ズレ止粘着部の粘着力低下や着衣への糊残りといったズレ止性能を低下させる要因の一つとなっていた。
これに対し、本実施形態においては、ズレ止粘着部7と冷感剤を含有する中央吸収性シート32との平面視における重なりをできるだけ少なくすることが好ましい。この観点から、上記重なり部分は、中央吸収性シート32の配置面積(ナプキン10の平面視において、中央吸収性シート32が占める面積であり、中央吸収性シート32が折り畳まれた状態である時には、折り畳まれた状態での平面視における面積)を100%とした場合に、配置面積の35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、25%以下であることがさらに好ましい。このような配置とすることにより、ズレ止粘着部7の粘着剤に対する冷感剤の影響を低減して、粘着力の低下、着衣への糊残り等のズレ止性能の低下を抑制することができる。また、上記重なり部分は、着衣とのズレを効果的に抑制する観点から、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、18%以上であることがさらに好ましい。また、ズレ止粘着部7は、着衣とのズレを効果的に抑制する観点から、複数、分散配置されていることが好ましい。
加えて、中央吸収性シート32の中間部Cにおける幅方向中央領域が、ズレ止粘着部7と重なりを少なくしていることが好ましく、重ならないことがより好ましい。最も体圧のかかる、中央吸収性シート32の幅方向中央領域の領域にズレ止粘着部7が少ないことにより、冷感剤がズレ止粘着部7に与える影響を低減することができる。ここでいう、中央吸収性シート32の中間部Cにおける幅方向中央領域とは、中央吸収性シート32における、幅方向全長を3分割した際の中央の領域を意味する。
図6(A)~(D)は、ズレ止粘着部7の配置の具体例を示す模式図である。図6(A)~(D)においては、ズレ止粘着部7と中央吸収性シート32との配置関係を示すため、他の部材を除き、中央吸収性シート32にズレ止粘着部7の配置を投影させて模式的に示した。
図6(A)は、複数のズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の縦方向の両側にかかる位置に複数配列した態様を示す。図6(B)は、縦方向に連続したズレ止粘着部7を一対、中央吸収性シート32の縦方向の両側に沿って配置した態様を示す。図6(A)及び(B)はいずれも、ズレ止粘着部7が中央吸収性シート32の幅方向中央領域と重ならない配置としている。図6(C)は、ズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の幅方向に平行に複数配置した態様を示す。図6(D)は、ズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の縦方向に平行に複数配置した態様を示す。
図6(A)は、複数のズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の縦方向の両側にかかる位置に複数配列した態様を示す。図6(B)は、縦方向に連続したズレ止粘着部7を一対、中央吸収性シート32の縦方向の両側に沿って配置した態様を示す。図6(A)及び(B)はいずれも、ズレ止粘着部7が中央吸収性シート32の幅方向中央領域と重ならない配置としている。図6(C)は、ズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の幅方向に平行に複数配置した態様を示す。図6(D)は、ズレ止粘着部7を、中央吸収性シート32の縦方向に平行に複数配置した態様を示す。
ズレ止粘着部7と中央吸収性シート32との重なりを、上記配置面積の35%以下とし、ズレ止粘着部7を中央吸収性シート32の中間部Cにおける幅方向中央領域と重ならないように配置する構成とすることにより、中央吸収性シート32とズレ止粘着部7の平面視における重なり部が十分に少なくなり、最も体圧のかかる幅方向中央領域の領域にズレ止粘着部7が存在しないことにより冷感剤がズレ止め粘着部に与える影響をより効果的に低減することができる。
吸収性物品がサイドシート5を備える場合、サイドシート5は、表面層1の肌当接面側の両側に積層されていることが好ましい。サイドシート5は表面層1よりも通気性が小さいことがより好ましい。
ナプキン10を構成する部材の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
冷感剤としては、着用者の皮膚及び/又は粘膜表面の温度受容器を刺激して、皮膚及び/又は粘膜表面上の温度を変化させることなしに、着用者に爽快感を伝えることのできる種々の剤を用いることができる。例えば、シクロヘキシル誘導体、シクロヘキサノール誘導体、カルボキサミド類など、特開2015-12918号公報の段落[0006]~[0086]に記載のものが挙げられる。シクロヘキシル誘導体としては、 乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、3-(l-メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-(l-メントキシ)-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、コハク酸メンチル、3-(l-メントキシ)エタン-1-オール、3-(l-メントキシ)プロパン-1-オール、3-(l-メントキシ)ブタン-1-オール、l-メンチル-4-ヒドロキシペンタノエート、l-メンチル-3-ヒドロキシブチレート等が挙げられる。シクロヘキサノール誘導体としては、メントール、p-メンタン-3,8-ジオール、イソプレゴール等が挙げられる。カルボキサミド類としては、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド)、N,2,3-トリメチル-2-(l-メチルエチル)-ブタンアミド、l-メンチル酢酸N-エチルアミド等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
その中でも、匂いによる爽快感と速効性、持続性の観点から、水不溶性又は水難溶性の冷感剤が好ましい。水不溶性又は水難溶性の冷感剤は体液とともに非肌面側へ移行しにくいことから、冷感は持続しやすい。水不溶性のものとしては、乳酸メンチル、メントールが好ましい。ここで言う「水不溶性又は水難溶性」とは、25℃の水1Lに対して1g以下の溶解性であることを言い、特に「水不溶性」は25℃の水1Lに対して0.1g以下の溶解性であることを言う。
冷感剤は、種々の方法によってナプキン10に含ませることができる。例えば、溶媒に溶解させた状態でナプキン10に含ませてもよく、溶媒を用いずに含ませてもよい。また冷感剤はマイクロカプセルに包むなどデリバリー手段を伴ってナプキン10に含ませてもよい。
その中でも、匂いによる爽快感と速効性、持続性の観点から、水不溶性又は水難溶性の冷感剤が好ましい。水不溶性又は水難溶性の冷感剤は体液とともに非肌面側へ移行しにくいことから、冷感は持続しやすい。水不溶性のものとしては、乳酸メンチル、メントールが好ましい。ここで言う「水不溶性又は水難溶性」とは、25℃の水1Lに対して1g以下の溶解性であることを言い、特に「水不溶性」は25℃の水1Lに対して0.1g以下の溶解性であることを言う。
冷感剤は、種々の方法によってナプキン10に含ませることができる。例えば、溶媒に溶解させた状態でナプキン10に含ませてもよく、溶媒を用いずに含ませてもよい。また冷感剤はマイクロカプセルに包むなどデリバリー手段を伴ってナプキン10に含ませてもよい。
冷感剤としては、特に、メントール及び乳酸メンチルを含むことが、冷感効果を着用後素早く感じられると共に穏やかなものとし、持続性を高めることから好ましい。同様の観点から、メントールと乳酸メンチルの含有量は、前者/後者の質量比で、0.01以上が好ましく、更に0.02以上が好ましく、また、0.2以下が好ましく、更に0.15以下が好ましい。
抗菌剤としては、吸収性物品の分野に通常使用されるものを使用することができる。
吸収性シートを構成する親水性繊維としては、疎水性の繊維を親水化処理したもの、それ自体が親水性であるものが挙げられる。特に、それ自体が親水性でかつ保水性を有するものが好ましい。後者の親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。親水性繊維としては、特にパルプ、レーヨンが好ましく、パルプが一層好ましい。さらにセルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させた架橋セルロース繊維や木材パルプをマーセル化処理して得られるような嵩高性のセルロース繊維を用いてもよい。パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の天然セルロース繊維等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのパルプは1種又は2種以上を用いることができる。
吸収性シートを構成する高吸収性ポリマー材としては、例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン-ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン-ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン-ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。高吸収性ポリマー材としては、自重の20倍以上の液を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収層に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収層に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
表面層1は、液透過性を有する種々のものを用いることができる。肌触りの良さを考慮すると、親水性の不織布が好ましく、サーマルボンド不織布がより好ましく、エアスルー不織布が特に好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面層2としては、防漏性を有する種々のものを用いることができる。例えば、非透湿性若しくは透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせたもの、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、非透湿性フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。
液拡散層4としては、親水性を有し液拡散性に優れているものが好ましい。熱可塑性繊維を含む不織布などが挙げられる。不織布としては、各種の製法によって得られた不織布を用いることができる。例えば、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維どうしの熱融着点を形成したエアスルー不織布、カード法により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布、ヒートエンボス不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、レジンボンド不織布等の種々の不織布を用いることができる。
サイドシート5としては、撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、又は撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド-メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本考案の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えばパンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド、使い捨ておむつ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、上記構成部材の他、用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
また、本考案の吸収性物品は、生理用ナプキンやパンティライナーなど1製品毎にカバンなどに入れて持ち運びされる物である場合、個包装されていることが好ましい。具体的には、表面層が内側になるよう縦方向に折り畳まれて、個包装用の外包材によって包まれた吸収性物品個包装体とされていることが好ましい。個包装体とすることで、肌に触れる表面層(使用面)の衛生を守りつつ、携帯性の高い物品することこができ、使用者の利便性を高めることができる。
次に、本考案の吸収性物品に用いる吸収層の好ましい製造方法、本考案の吸収性物品の好ましい製造方法について説明する。
吸収層3の好ましい製造方法としては、通常用いられる吸収性物品の製造方法の中で、次の工程を有する。
すなわち、中央吸収性シート32に冷感剤を塗布する工程(S1)と、前記中央吸収性シート32の肌側面及び非肌側面を外包吸収性シート31で挟む工程(S2)、及び中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部8を形成する工程(S3)とを備える。
吸収層3の好ましい製造方法としては、通常用いられる吸収性物品の製造方法の中で、次の工程を有する。
すなわち、中央吸収性シート32に冷感剤を塗布する工程(S1)と、前記中央吸収性シート32の肌側面及び非肌側面を外包吸収性シート31で挟む工程(S2)、及び中央吸収性シート32と外包吸収性シート31との平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部8を形成する工程(S3)とを備える。
吸収層3の製造方法において、中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31が折り畳まれずに工程(S2)において積層されてもよく、両シートのいずれか一方又は両方が折り畳まれて積層されてもよい。中央吸収性シート32及び外包吸収性シート31が折り畳まれる場合は、折り畳まれることを想定して吸収層の幅よりも幅広のものを用いる。工程(S1)の冷感剤の塗布は、中央吸収性シート32が折り畳まれることを想定して適宜位置決めして行われる。
工程(S1)において、冷感剤を塗布する幅は、前述した吸収層3(吸収体)の幅方向両端縁39よりも内側となる領域であることが好ましい。吸収層3の幅に対して例えば75%以下の範囲となる領域がより好ましく、70%以下の範囲となる領域がさらに好ましい。冷感剤は前述のとおり、溶媒を混合した冷感剤含有塗布液として調製し、塗布することが好ましい。溶媒としては、通常用いるものを用いることができる。例えば、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
工程(S2)において、中央吸収性シート32を折り畳んだ後に外包吸収性シート31で挟む工程を行うことが好ましい。また、中央吸収性シート32が、ポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36を有する場合には、中央吸収性シート32を繊維リッチ領域36を外側にして折り畳んだ後に、外包吸収性シート31で挟むことがより好ましい。
工程(S2)において、中央吸収性シート32を折り畳んだ後に外包吸収性シート31で挟む工程を行うことが好ましい。また、中央吸収性シート32が、ポリマーリッチ領域35と繊維リッチ領域36を有する場合には、中央吸収性シート32を繊維リッチ領域36を外側にして折り畳んだ後に、外包吸収性シート31で挟むことがより好ましい。
工程(S3)の連通部8は、面方向に分散配置して設ける。吸収性シートに設ける連通部8は、図3に示すように、吸収層の縦方向に延びる長さを有して、該縦方向に複数配列されることが好ましく、連通部8の縦方向の配列を吸収層の幅方向に複数配列することがより好ましい。連通部8の形成は、連通部8の形態に応じてこの種の物品に用いられる種々の方法によって行うことができる。
例えば、連通部8がスリット部である場合、ロール周面に、周方向に延びる切断刃が、ロール周方向及びロール軸方向に分散配置されたカッターロールと、対応配置されるアンビルロールとを備えた切断装置を用いて切り込みを形成することができる(図示せず)。前記切断刃は、切り込み(スリット部)の縦方向の長さに対応する周方向の長さを有する。この切断刃は、ロール周面において、切り込み(スリット部)の所望の配置に対応して分散配置される。また、切り込みの深さは、カッターロールとアンビルロールとのクリアランスや切断刃の大きさ等によって設定することができる。また連通部8が、部材の一部が切り欠かれた凹部空間である場合、上記のロールの切断刃の設定を変更するなどして形成することができる。また、連通部8が、部材の一部が押圧されて窪んだ凹部空間(圧搾部)である場合、種々のエンボス処理によって形成することができる。
例えば、連通部8がスリット部である場合、ロール周面に、周方向に延びる切断刃が、ロール周方向及びロール軸方向に分散配置されたカッターロールと、対応配置されるアンビルロールとを備えた切断装置を用いて切り込みを形成することができる(図示せず)。前記切断刃は、切り込み(スリット部)の縦方向の長さに対応する周方向の長さを有する。この切断刃は、ロール周面において、切り込み(スリット部)の所望の配置に対応して分散配置される。また、切り込みの深さは、カッターロールとアンビルロールとのクリアランスや切断刃の大きさ等によって設定することができる。また連通部8が、部材の一部が切り欠かれた凹部空間である場合、上記のロールの切断刃の設定を変更するなどして形成することができる。また、連通部8が、部材の一部が押圧されて窪んだ凹部空間(圧搾部)である場合、種々のエンボス処理によって形成することができる。
工程(S3)において、連通部8を形成する領域の幅は、冷感剤塗布幅よりも広く、かつ、前述した吸収層3の幅方向両端縁39よりも内側となる領域であることが好ましい。吸収層3の幅に対して例えば85%以下の範囲となる領域であることがより好ましい。
吸収層3の製造方法としては、工程(C1)及び(C2)の後に前記工程(C3)を行うことが好ましい。
本考案の吸収性物品の製造方法は、上記の製造方法により得られた吸収層3を用いて行う以下の工程を有していることが好ましい。
(S4)吸収層3を、表面層1と裏面層2との間に配する工程
(S5)裏面層2の非肌側面にズレ止粘着部7を配する工程
工程(S4)においては、上記のようにして得られた吸収層3の両面に、所定の大きさに裁断された表面層1及び裏面層2を積層し接合する。その際、必要により液拡散層4、サイドシート5を所定の大きさ及び形状に成形して積層してもよい。また防漏溝など種々の圧搾処理を施してもよい。
次いで、必要により工程(S5)を行う。工程(S5)においては、裏面層2を設けた後に、ズレ止粘着部7を配する。その場合、ズレ止粘着部7と中央吸収性シート32との平面視における重なり部分を、中央吸収性シート32の配置面積の35%以下とし、中央吸収性シート32の中間部Cにおける幅方向中央領域が前記ズレ止粘着部と重ならないように配置するようにすることが好ましい。
(S4)吸収層3を、表面層1と裏面層2との間に配する工程
(S5)裏面層2の非肌側面にズレ止粘着部7を配する工程
工程(S4)においては、上記のようにして得られた吸収層3の両面に、所定の大きさに裁断された表面層1及び裏面層2を積層し接合する。その際、必要により液拡散層4、サイドシート5を所定の大きさ及び形状に成形して積層してもよい。また防漏溝など種々の圧搾処理を施してもよい。
次いで、必要により工程(S5)を行う。工程(S5)においては、裏面層2を設けた後に、ズレ止粘着部7を配する。その場合、ズレ止粘着部7と中央吸収性シート32との平面視における重なり部分を、中央吸収性シート32の配置面積の35%以下とし、中央吸収性シート32の中間部Cにおける幅方向中央領域が前記ズレ止粘着部と重ならないように配置するようにすることが好ましい。
上述した実施形態に関し、本考案はさらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>
表面層、裏面層、及び前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有し、該縦方向に沿って、前方部、後方部、及び該前方部と後方部の間に位置し、***ポイントに対応する領域を含む中間部を有する吸収性物品であって、前記吸収層は、冷感剤を含有する中央吸収性シートと、該中央吸収性シートの肌面側及び非肌面側に配された外包吸収性シートとを、層状に重ねてなり、前記吸収層は、前記中央吸収性シートと前記外包吸収性シートとの平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部を有する、吸収性物品。
<2>
前記中央吸収性シートは、高吸収性ポリマー材と親水性繊維とを含み、断面視において、前記高吸収性ポリマー材の質量と前記親水性繊維の質量との合計質量における前記高吸収性ポリマー材の質量比率が相対的に高いポリマーリッチ領域と、前記質量比率が前記ポリマーリッチ領域に対し相対的に低い繊維リッチ領域とを有しており、前記ポリマーリッチ領域に前記冷感剤が含まれており、前記繊維リッチ領域を外面側にして折り畳まれている、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記中央吸収性シートが前記吸収性物品の前記中間部に配置され、前記連通部が厚さ方向につながる連通孔である、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記連通孔の一方向の長さが非肌面より肌面側において広い、<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記連通孔が切り込みによるスリットである、<3>又は<4>に記載の吸収性物品。
<6>
前記裏面層の非肌面側にズレ止粘着部が配されており、該ズレ止粘着部と前記中央吸収性シートとの平面視における重なり部分は、前記中央吸収性シートの配置面積の35%以下であり、該中央吸収性シートの前記中間部における幅方向中央領域が前記ズレ止粘着部と重ならない、<1>~<5>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<7>
前記冷感剤は、水不溶性又は水難溶性の剤である、<1>~<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記冷感剤として乳酸メンチルを含む、前記<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記冷感剤としてメントールを含む、前記<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記メントールと乳酸メンチルの質量比が、前者/後者として、0.01以上、0.2以下である、前記<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記表面層の肌当接面側の両側に、該表面層より通気性が小さいサイドシートが積層されている前記<1>~<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記吸収層の幅方向外方に延出したウイング部を備えている前記<1>~<11>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<13>
生理用ナプキンである、前記<1>~<12>のいずれか1に記載の吸収性物品。
表面層、裏面層、及び前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有し、該縦方向に沿って、前方部、後方部、及び該前方部と後方部の間に位置し、***ポイントに対応する領域を含む中間部を有する吸収性物品であって、前記吸収層は、冷感剤を含有する中央吸収性シートと、該中央吸収性シートの肌面側及び非肌面側に配された外包吸収性シートとを、層状に重ねてなり、前記吸収層は、前記中央吸収性シートと前記外包吸収性シートとの平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部を有する、吸収性物品。
<2>
前記中央吸収性シートは、高吸収性ポリマー材と親水性繊維とを含み、断面視において、前記高吸収性ポリマー材の質量と前記親水性繊維の質量との合計質量における前記高吸収性ポリマー材の質量比率が相対的に高いポリマーリッチ領域と、前記質量比率が前記ポリマーリッチ領域に対し相対的に低い繊維リッチ領域とを有しており、前記ポリマーリッチ領域に前記冷感剤が含まれており、前記繊維リッチ領域を外面側にして折り畳まれている、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記中央吸収性シートが前記吸収性物品の前記中間部に配置され、前記連通部が厚さ方向につながる連通孔である、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記連通孔の一方向の長さが非肌面より肌面側において広い、<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記連通孔が切り込みによるスリットである、<3>又は<4>に記載の吸収性物品。
<6>
前記裏面層の非肌面側にズレ止粘着部が配されており、該ズレ止粘着部と前記中央吸収性シートとの平面視における重なり部分は、前記中央吸収性シートの配置面積の35%以下であり、該中央吸収性シートの前記中間部における幅方向中央領域が前記ズレ止粘着部と重ならない、<1>~<5>のいずれか1つに記載の吸収性物品。
<7>
前記冷感剤は、水不溶性又は水難溶性の剤である、<1>~<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記冷感剤として乳酸メンチルを含む、前記<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記冷感剤としてメントールを含む、前記<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記メントールと乳酸メンチルの質量比が、前者/後者として、0.01以上、0.2以下である、前記<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記表面層の肌当接面側の両側に、該表面層より通気性が小さいサイドシートが積層されている前記<1>~<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記吸収層の幅方向外方に延出したウイング部を備えている前記<1>~<11>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<13>
生理用ナプキンである、前記<1>~<12>のいずれか1に記載の吸収性物品。
1 表面層
2 裏面層
3 吸収層
4 液拡散層
5 サイドシート
6 ウイング部
7 ズレ止粘着部
8 連通部
10 生理用ナプキン
2 裏面層
3 吸収層
4 液拡散層
5 サイドシート
6 ウイング部
7 ズレ止粘着部
8 連通部
10 生理用ナプキン
Claims (6)
- 表面層、裏面層、及び前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有し、該縦方向に沿って、前方部、後方部、及び該前方部と後方部の間に位置し、***ポイントに対応する領域を含む中間部を有する吸収性物品であって、
前記吸収層は、冷感剤を含有する中央吸収性シートと、該中央吸収性シートの肌面側及び非肌面側に配された外包吸収性シートとを、層状に重ねてなり、
前記吸収層は、前記中央吸収性シートと前記外包吸収性シートとの平面視重なる領域において、少なくとも肌面側に連通部を有する、吸収性物品。 - 前記中央吸収性シートは、高吸収性ポリマー材と親水性繊維とを含み、断面視において、前記高吸収性ポリマー材の質量と前記親水性繊維の質量との合計質量における前記高吸収性ポリマー材の質量比率が相対的に高いポリマーリッチ領域と、前記質量比率が前記ポリマーリッチ領域に対し相対的に低い繊維リッチ領域とを有しており、前記ポリマーリッチ領域に前記冷感剤が含まれており、前記繊維リッチ領域を外面側にして折り畳まれている、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記中央吸収性シートが前記吸収性物品の前記中間部に配置され、前記連通部が厚さ方向につながる連通孔である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記連通孔の一方向の長さが非肌面より肌面側において広い、請求項3に記載の吸収性物品。
- 前記裏面層の非肌面側にズレ止粘着部が配されており、該ズレ止粘着部と前記中央吸収性シートとの平面視における重なり部分は、前記中央吸収性シートの配置面積の35%以下であり、該中央吸収性シートの前記中間部における幅方向中央領域は前記ズレ止粘着部と重ならない、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記冷感剤は、水不溶性又は水難溶性の剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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