JP3236182U - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

Figure 0003236182000001
【課題】冷感剤溶液を塗布した吸収性物品における冷感剤の拡散方向を制御して、狙いの冷感効果を好適に発揮させることができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】表面層1、裏面層2、吸収層3を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向Yと、縦方向と直交する幅方向Xとを有する吸収性物品であって、防漏溝7が、平面視して受液領域C1を挟んで縦方向に配されており、吸収層3は、平面視して防漏溝7に挟まれた内側領域に、スリット部8を備え、吸収性物品における表面層1の非肌面側の領域に冷感剤が含有されており、冷感剤が含有された領域21が、平面視して、前記縦方向及び前記幅方向に離間させて配した複数のスリット部8、又は、複数のスリット部8及び防漏溝7の両方と重なっている、吸収性物品。
【選択図】図1

Description

本考案は、生理用ナプキンや失禁パッド、おむつなどの吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品において、***液が多いときや長時間使用するときなどに蒸れやべたつきが生じて着用者が不快に感じることがある。これに対し、従来、清涼剤等の冷感剤を吸収性物品に含ませることによって、着用感の向上を図ろうとする技術がある(例えば特許文献1及び2)。冷感剤は揮発して、着用者の肌の感覚神経細胞のTRPM8やTRPA1などを刺激して受容器のしきい値を変化させることで清涼感が感じられる。これとは別に、特許文献3には、保水機能に加えて、消臭機能や抗菌機能、芳香機能、保温機能等を有する機能性材料を含む吸収体に関する技術が記載されている。
特開2010-234031号公報 特開2010-234028号公報 特開2010-110443号公報
吸収性物品に冷感剤を含有させる際、該冷感剤を溶媒に溶解させた溶液(以下、冷感剤溶液)を塗布する技術がある。この場合、吸収性物品の冷感剤溶液の塗布部においては、溶媒の浸透・拡散に応じて、冷感剤溶液の冷感剤が拡散するため、狙った場所での冷感効果が十分に発揮されない場合がある。
本考案は、冷感剤溶液を塗布した吸収性物品における冷感剤の拡散方向を制御して、狙いの冷感効果を好適に発揮させることができる吸収性物品に関する。
本考案は、表面層、裏面層、及び、前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、前記表面層から前記吸収層に亘って圧搾されてなる防漏溝が、平面視して受液領域を挟んで前記縦方向に配されており、前記吸収層は、平面視して前記防漏溝に挟まれた内側領域に、スリット部を備え、前記吸収性物品における前記表面層の非肌面側の領域に冷感剤が含有されており、前記冷感剤が含有された領域が、平面視して、前記縦方向及び前記幅方向に離間させて配した複数の前記スリット部、又は、前記複数のスリット部及び前記防漏溝の両方と重なっている、吸収性物品を提供する。
また、本考案は、吸収層となる原料部材の所定幅に亘って冷感剤を塗布する工程と、吸収層となる原料部材の表面に冷感剤塗布幅よりも広い幅の領域に、縦方向に延びるスリット部を設ける工程とを備える、吸収性物品の製造方法を提供する。
本考案に係る吸収性物品は、冷感剤の拡散方向を制御して、狙いの冷感効果を好適に発揮させることができる。
本考案における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを伸長した状態で肌当接面側から模式的に示した一部切欠斜視図である。 図1に示した生理用ナプキンのII-II線断面を模式的に示した断面図である。 吸収層の平面図である。 中央吸収性シートの折り畳み構造の他の好ましい例を示した断面図である。 (A)は吸収性物品の製造方法における冷感剤を塗布する工程において、冷感剤塗布領域を形成する好ましい態様を模式的に示した斜視図であり、(B)は製造された生理用ナプキンの吸収層において、冷感剤を含有する領域の好ましい態様を模式的に示した平面図であり、(C)は冷感剤の拡散が防漏溝及び吸収性スリット部によって抑制された状態を模式的に示す平面図である。 (A)は製造された生理用ナプキンの吸収層において、冷感剤を含有する領域の別の好ましい態様を模式的に示す平面図であり、(B)は冷感剤の拡散が防漏溝及びスリット部によって抑制された状態を示した平面図である。
以下、本考案に係る吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)10について、図面を参照しながら説明する。
本考案においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側もしくは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側もしくは裏面側という。これらは、人体に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に人体の前側に位置する方向を前方といい、後側に位置する方向を後方という。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚さ方向という。
図1及び2に示すように、ナプキン10は、肌当接面側の表面層1と、非肌当接面側の裏面層2と、表面層1と裏面層2との間に配された液保持性の吸収層3とを有する。表面層1は液を吸収層3へと送り込む液透過性を備え、裏面層2は液に対する防漏性を備える。表面層1及び裏面層2は、吸収層3の両面を覆いつつ、吸収層3の外縁外方へと延出する大きさを有する。
本実施形態においては、表面層1と吸収層3との間に、吸収層3よりも幅狭の液透過性の液拡散層4を有する。液拡散層4は、表面層1から透過される***液を平面方向に広げて、吸収層3の肌面側の吸収面積を広げる作用を有する。また、表面層1の肌当接面側の両側にサイドシート5が積層されている。サイドシート5と裏面層2とが吸収層3の幅方向外方に延出して、着衣等への固定手段であるウイング部6を成している。ウイング部6及び裏面層2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するための粘着部(図示せず)を有している。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収層3を介在させずに接合された外周シール部11を有している。
ナプキン10は、表面層1から吸収層3にかけて圧搾した防漏溝7を有している。また、ナプキン10は、他の構成部材を含んでいてもよく、又は液拡散層4、サイドシート5を有さない形態であってもよい。また表面層1上に複数のエンボスなどを有していてもよい。更に、サイドシート5は、表面層1と接合されながら、表面層1の両側よりも内方側に自由端部を残すようにしてもよく、自由端部に弾性部材等を配して防漏カフが構成されてもよい。
ナプキン10は、平面視において縦長形状であり、その長手方向を縦方向(Y方向)とし、該縦方向と直交する方向を幅方向(X方向)とする。また表面層1、裏面層2及び吸収層3は、ナプキン10と同様に、縦長形状である。縦方向は、ナプキン10の装着時における、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する。幅方向は、縦方向に直交する方向であり、着用者の股下における左右の足を繋ぐ方向に対応する。本明細書において、縦方向(Y方向)及び幅方向(X方向)は、ナプキン10の平面視における方向を示すと同時に、表面層1、裏面層2及び吸収層3の平面視における方向を示す。
ナプキン10は、縦方向に関して、着用者の***ポイントに対応する部位を含む中間部Cを有する。さらに中間部Cよりも前方の下腹部側に配置される前方部F、後方の臀部側に配置される後方部Rを有する。また、中間部Cには、幅方向中央部分に、前記***ポイントに対向し、***液を直接受け止める受液領域C1がある。受液領域C1がある「幅方向中央部分」とは、図1に示すように、幅方向の中心線Lから左右に広がる所定幅の範囲をいい、吸収層3の幅方向両端縁3Eよりも内側の範囲の部分をいう。具体的には、ナプキン10の幅方向の中心線Lから左右に広がる領域であって、吸収層幅WAに対して40%以上60%以下の範囲の部分をいう。なお、中間部C、受液領域C1、前方部F及び後方部Rは、ナプキン10における区分を示すと同時に、これに対応する表面層1、吸収層3及び裏面層2における区分を示す。
中間部C、前方部F及び後方部Rの区分位置は、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さに応じて適宜設定され得る。昼用、夜用にかかわらず、ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイング部を備える場合は、該ウイング部の存在する縦方向に沿った領域が中間部Cとなる。本実施形態のナプキン10は、昼用などとして設定される形状の例を示しており、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定されており、ウイング部を備えない昼用のナプキンの場合には、中間部はこの設定に従う。ナプキン10がどのような形状であっても一般的には、中間部Cは、前方部Fからの一定の距離の位置にある部位として設定され得る。さらに大人用若しくは幼児用のおむつなど、また、尿取りパッドなどについては、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定される。
ナプキン10は、表面層1上に、表面層1から吸収層3に亘って圧搾されてなる防漏溝7を有する。防漏溝7は、平面視して受液領域C1を挟んで縦方向(Y方向)に一対延在している。本実施形態においては、防漏溝7は、中間部Cにおいて、受液領域C1の両側から縦方向(Y方向)に延出して前方部F及び後方部Rにおいて連結して環状にされた部分を有する。さらに防漏溝7は、前記環状部分の中に、前方部F及び後方部Rに円弧状にされた部分を有する。環状及び円弧状にされた防漏溝7はいずれも、ナプキン10の縦方向に延びる幅方向の中心線Lを軸として左右対称である。
防漏溝7が有する平面形状は、連続線によって形成されていてもよく、断続的な圧搾部分を線状に配列したものであってもよい。断続的とは、例えば点線状、鎖線(ミシン目)状、等を意味する。防漏溝7は一重に配されていても、二重以上に配されていてもよい。
防漏溝7は、例えば、エンボス加工による圧搾によって形成され、好ましくは表面層1、液拡散層4及び吸収層3を接合し、前記各部材のズレを抑制する働きをする。一方、エンボス加工によって圧搾された防漏溝7は、その部分において繊維間の密度が高いため、毛管力がその他の圧搾されていない部分よりも高くなっている。そのため、中央の受液領域C1に***された液が拡散し外方へ移行しても、防漏溝7部分においてその移行は遮られ、環状に施した防漏溝7より外側に滲出することを抑えることができる。
ナプキン10は、表面層1の非肌面側の領域に冷感剤を含有する。ここで「表面層の非肌面側の領域」とは、表面層の非肌面側及び、表面層よりも非肌面側に位置する部材を含む意味である。本実施形態においては、冷感剤が含有された領域21は、少なくとも吸収層3に配されている。なお、図3、5及び6においては、冷感剤が含有された領域21を吸収層3にあるものとして示しているが、本考案はこれに限定されるものではなく、表面層1の非肌面側の領域のいずれかの位置にあればよい。また、図3、5及び6においては、冷感剤が含有された領域21を網掛けしてその範囲を把握できるように示しているが、実際の物品においてはこのような模様が付されるわけではない。冷感剤は、揮発して、着用者の皮膚及び/又は粘膜表面の温度受容器を刺激して、皮膚及び/又は粘膜表面上の温度を変化させることなしに、着用者に冷感、爽快感を感じさせることができる剤である。冷感剤が含有された領域21は、着用者の肌に対する適度な冷感効果を長く効果的に維持させる観点から、表面層1よりも非肌当接面側に位置する部材にあることが好ましい。このとき、表面層1に冷感剤が含まれる態様を排除するものではなく、冷感剤の含有量が最も多い領域が表面層1よりも非肌面側にあることが好ましい。また、冷感剤が含有された領域21は、ナプキン10の平面視において、少なくとも中間部Cにあることが好ましい。
次に、吸収層3における防漏溝7、スリット部8、及び冷感剤が含有された領域21について説明する。
吸収層3には前述した防漏溝7が配されている。これにより、吸収層3は、受液領域C1の両側を縦方向に囲む位置に、厚み方向に圧搾された部分を有する。
吸収層3は、平面視して、受液領域C1を挟んで縦方向に配置される防漏溝7に挟まれた内側領域に、スリット部8を備える。ここで、「内側領域」とは、防漏溝7よりも幅方向内側の領域のことであり、防漏溝7を含まない。「防漏溝7」は、厚み方向に圧搾されてなる、窪んだ底部、底部下の部材、及び底部から厚み方向に立設された壁部からなる部分として画定され、「内側領域」はこれらを含まない部分として画定される。なお、この画定方法は後述する「外側領域」においても同様に適用される。スリット部8は、細長く切り込まれた部分であり、吸収層3の構成材料の連続性が断絶された部分である。
スリット部8は、吸収層3の縦方向に沿って延在する長さを有し、吸収層3の面方向に複数、分散配置されている。スリット部8は、後述するように冷感剤の拡散を制御する観点から、吸収層3の縦方向において少なくとも中間部Cを含む領域に分散配置されることが好ましい。
スリット部8の分散配置は、後述する冷感剤の拡散を制御する限り、種々の配置を特に制限なく採用することができる。本実施形態においては、複数のスリット部8を縦方向に離間して配列させ、縦方向の列を幅方向に離間させて配置している。冷感剤の幅方向への拡散を効果的に抑制する観点から、縦方向に配列されたスリット部8、8間の間隔(スリット部に挟まれたスリットされていない部分の縦方向の長さ)は、できるだけ小さくすることが好ましく、スリット部8の縦方向の長さ以下にすることがより好ましい。また、スリットされていない部分は、防漏溝7の内側領域において、幅方向に連続する部分を短くしていることが好ましい。すなわち、スリットされていない部分は、幅方向のいずれかの位置において、スリット部によってその連続が遮断されることが好ましい。
ここでいう「スリット部」は、部材断絶の幅が0.5mm以下の切り込み部分として定義され、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下である。スリット部8の「幅」とは、ナプキン10の平面視において、スリット部8の延出する長さ方向に直交する方向の、断絶された部材間の距離(開口幅)をいう。スリット部8の幅は、ナプキン10から吸収層3を取り出して水平な台に静置し、張力を加えない自然状態において、マイクロスコープによって測定することができる。マイクロスコープとしては、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープVHX-1000を挙げることができる。測定に際し、測定倍率は適宜調整される。
各スリット部8の縦方向の長さは、適度な冷感効果を長く効果的に維持させる観点から、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、35mm以上がさらに好ましく、40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましい。
スリット部8は、吸収層3の厚さ方向において、種々の深さを有するものであってもよい。例えば、肌面側から所定深さにまであってもよく、吸収層3の厚さ方向全体に亘ってあってもよい。後述のスリット部8の冷感剤に対する作用を考慮すると、スリット部8は、少なくとも吸収層3の肌面側から所定深さにまで配されることが好ましい。
ナプキン10において、冷感剤が含有された領域21は、平面視してスリット部8、又は、スリット部8及び防漏溝7の両方と重なっている。ここで「重なっている」とは、ナプキン10を平面視したときに、冷感剤が含有された領域21とスリット部8との少なくとも一部が平面領域の同じ位置にあることを言い、必ずしも厚み方向の同じ位置にある場合に限らない。
スリット部8及び防漏溝7周囲の吸収層3では密度勾配による毛管力が働き、これにより冷感剤の拡散方向が制御でき、着用時に良好な冷涼感を提供することが可能になる。具体的に作用機序を説明すると、縦方向に延在するスリット部8と防漏溝7が、冷感剤が吸収層3を介して幅方向に拡散する傾向を制限し、冷感剤の拡散を縦方向に誘導することができる。これにより、冷感剤が揮発して発生する揮発成分は、着用者の刺激に敏感な鼠蹊部付近をできるだけ避けて、肌面の蒸れやすい部分に冷感を好適に付与することができる。このように冷感剤の拡散方向を制御することによって、着用者の所定箇所に良好な冷感効果を発揮することができる。上述した効果は、表面層の非肌面側の領域に冷感剤を含んでいれば、吸収層3に冷感剤が移行した際に同様の効果を奏し得る。しかし、吸収層3が冷感剤を含んでいる場合に冷感剤の拡散方向を一層有効に制御できるので、好ましい。
上記の作用が好適に発現される限り、冷感剤が含有された領域21は、防漏溝7よりも幅方向の外側に位置する外側領域にまで及でいてもよい。冷感剤が含有された領域21が前記外側領域にまで及んでいても及んでいなくても、防漏溝7の幅方向の外側領域よりも内側領域に、冷感剤を多く含有することが好ましい。ここで言う冷感剤の含有する量とは、後述する(冷感剤の含有の有無、含有量の測定方法)に示す方法により測定される「単位面積当たりの冷感剤量」のことであり、冷感剤の坪量とも言う。このような含有は、スリット部8及び防漏溝7による冷感剤の拡散制御によって可能となる。なお、ここで言う「外側領域」とは、防漏溝7を含まず、防漏溝7よりも幅方向外方にある領域のことである。
上記作用をより効果的にする観点から、スリット部8と防漏溝7とが一部接していることが好ましい。ここで言う「接している」とは、防漏溝7の吸収層3が圧搾された窪み部分にスリット部8の一部が重なることをいう。
これによって、冷感剤が防漏溝7の外側へと拡散する前に、スリット部8で拡散方向を制御できる。それとともに、ナプキン10の着用時に、外圧が生じてもスリット部8の開口部が開きすぎず、スリット部8の開口部からの冷感剤の過剰な揮発を抑制できるため、所望の位置で冷感をより効果的に肌に与えることができる。そして、防漏溝7の幅方向の外側領域よりも内側領域に、冷感剤をより多く含有する制御の精度をより高めることができる。
また、スリット部8の少なくとも前後端が防漏溝7に接していることが好ましい。この場合、複数あるスリット部8の全てではなく、一部のスリット部8について、その前後端が防漏溝7に接しているものがあることが好ましい。また、前後端部が防漏溝7に接しているスリット部8は、前後端部以外の部分において防漏溝7と接していてもよい。ここでスリット部8の「前後端」とは、図3に示すように、縦方向に延出した先の終端部分88である。これにより、スリット部8に沿って縦方向に拡散し前後端に集積する冷感剤を、スリット部8と防漏溝7との重なる高密度領域において、より効果的に保持することができる。その結果、防漏溝7の外側領域への拡散をより効果的に抑え、所望の位置での適度な冷感付与をより効果的に行うことができる。
冷感剤が含有された領域21が吸収層3にある場合、該冷感剤は、吸収層3の肌面側において、幅方向両側を除く領域に含まれていることが好ましい。これによって、冷感剤の揮発成分を、着用者の鼠蹊部付近を避けながら肌への効果的な移動を行うことできる。その際、防漏溝7の内側領域に配されているスリット部8から冷感剤が揮発し、冷感を着用者の肌に効果的に付与することができる。
ここで言う「吸収層3の肌面側」とは、吸収層3の厚みを2等分した場合の肌面側の領域をいう(以下、同様。)。また、「幅方向両側を除く領域」とは、着用者の肌の鼠蹊部の付近を避けた領域であることが好ましい。「幅方向両側」とは、吸収層3の幅方向両端縁3Eから所定領域を意味し、防漏溝7の外側領域であることが好ましく、幅方向両端縁3Eと各防漏溝7との距離を1としたとき、幅方向両端縁3Eから0.3以内の領域、特に0.5以内の領域、殊更に0.8以内の領域であることが好ましい。具体的には、冷感剤が含有された領域21は、吸収層3の肌面側において、受液領域C1を含む防漏溝7の内側領域にあることが好ましい。
冷感剤が吸収層3の肌面側に含有されている場合、吸収層3の非肌面側に冷感剤が含まれていてもよい。吸収層3の肌面側において、冷感剤の含有量が非肌面側よりも相対的に多い領域があることがより好ましい。冷感剤の含有量が相対的に多い領域は、吸収層3の肌面側であれば、肌面側の最表面に無くてもよい。なお、吸収層3以外に吸収層3よりも表面層1側の部材に冷感剤が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
冷感剤が吸収層3の幅方向両側を除く領域に含有されるようにする観点から、冷感剤溶液の塗布部を、中間部Cの幅方向において、防漏溝7の内側領域に配することが好ましい。該領域のなかでも、前述した受液領域C1がある「幅方向中央部分」に配することがより好ましい。この場合、冷感剤溶液の塗布部が、中間部Cの吸収層3の幅方向について防漏溝7の内側領域、受液領域C1に配されていれば、そこから前方部F及び後方部Rに延在し、縦方向に防漏溝7を越えて配されていてもよい。ここで、「冷感剤溶液」とは、冷感剤と溶媒とを混合した塗布液のことであり、ナプキン10に含有させる際に用いられる液である。この冷感剤溶液の塗布部は製造工程において最初に含有させられる部位であり、製品としてのナプキン10においては、前述したように、冷感剤が最も多い部位(含有坪量が多い部分)となる。前記溶媒としては、通常用いられる種々のものを採用できる。例えば、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
冷感剤の含有の有無、含有量は、下記の方法によって測定される。その際、吸収層3の全体に対して測定でき、吸収層3の厚み方向の肌面側だけを切り出して測定するこができる。また、吸収層3が層構造を有する場合に各層毎、その他の部材毎に測定することができる。
(冷感剤の含有の有無、含有量の測定方法)
吸収性物品の対象部材又は対象部位から冷感剤を溶媒で抽出し、抽出溶液をガスクロマトグラフィ法(GC)で分析することができる。測定は、ガスクロマトグラフに取り付けた水素炎イオン化型検出器(FID)で行い、例えば、Agilent technologies製7890Aにより測定することができる。予め冷感剤を構成する化合物の濃度とピーク面積の関係を検量線化しておき、当該検量線を元に定量作業を行う。
冷感剤が乳酸メンチル及び/又はメントールを含む場合を例に説明する。溶媒としてメタノールを使用して対象部材又は対象部位から乳酸メンチル及び/又はメントールを抽出する。メタノールを溶媒として、予め濃度の異なる3~5段階程度の乳酸メンチル溶液及び/又はメントール溶液を準備し、GCのクロマトグラムからそれぞれの濃度のピーク面積を算出し、標準試料として、n-ペンチルアルコールを用い、標準試料の濃度に対してそのピーク面積をプロットした検量線を作成する。検量線を作成した分析と同じ条件で抽出液の分析を行うことで、得られたピーク面積を検量線にあてはめて乳酸メンチル量及び/又はメントール量を算出する。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、予め採取した対象部材又は対象部位の面積で除することにより、単位面積当たりの冷感剤量(冷感剤の坪量)を求めることができる。製品の対象部材又は対象部位ごとの冷感剤量を知るには、5℃のチャンバー内で製品を分解し、測定する材料部位を取り出すことで分析可能となる。また、得られた乳酸メンチル量及び/又はメントール量を、吸収性物品長さ方向の長さ(mm)で除し、100倍することで、製品長さ100m当りの冷感剤量を求めることができる。
吸収層3の肌面側において、縦方向(Y方向)の中間部Cに、周囲よりも冷感剤の坪量(単位面積当たりの冷感剤量。以下同様。)が少ない領域を有することが好ましい。さらに、吸収層3の肌面側において、中間部Cの幅方向中央(受液領域C1)に、周囲(受液領域C1の外側)よりも冷感剤坪量が少ない領域を有することがより好ましい。これによって、着用者の刺激に敏感な***部に対して冷感剤の坪量を適度に抑え、冷感が強くなりすぎることを抑制することができる。このように、肌への過度な刺激を抑制する観点から、上記「冷感剤坪量が少ない領域」とは、表面層1に近い吸収層3の平面方向に広がる領域であることが好ましい。
さらに、吸収層3の防漏溝7の内側領域において、スリット部8における冷感剤の坪量が、吸収層3の非スリット領域9における前記冷感剤の坪量よりも多くされていることが好ましい。ここで言う「非スリット領域9」は、吸収層3の防漏溝7の内側領域において、スリット部8が配されない領域である。
吸収層3の防漏溝7の内側領域は、外圧の影響が抑えられ、そこに配されたスリット部8の開口部が開きすぎることが抑えられる。このようなスリット部8における冷感剤の坪量が高められることによって、前記開口部を通じた適度な冷感効果を長く維持することができる。
ナプキン10において、冷感剤は、スリット部8の作用によって、残存量が低減しても効果的に肌面方向へと送り出されるため、過度に含有量を増量する必要がない。そのため従来と同様の含有量としながら、肌への刺激を抑え、適度な冷感効果を長く効果的に維持することができる。
具体的には、吸収層3全体における冷感剤の含有量は、冷感をほどよく感じ、ムレやべたつく感覚を低減させる効果の観点から、例えば、乳酸メンチルの場合であれば、製品長に対して4mg/100mm以上が好ましく、5.0mg/100mm以上がより好ましく、6.5mg/100mm以上が更に好ましい。そして冷感剤の含有坪量は、肌への刺激を抑制するという観点から、13.5mg/100mm以下が好ましく、12.5mg/100mm以下がより好ましく、11.5mg/100mm以下が更に好ましい。
また、中間部Cの幅方向中央の吸収層3における表面層1に近い部位あるいは液拡散層4に「周囲よりも冷感剤の坪量が少ない領域」を有する場合、この「周囲よりも冷感剤の坪量が少ない領域」に含有される冷感剤の坪量は、他の領域に含有される冷感剤の坪量の85%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましく、65%以下であることが更に好ましい。
次に、吸収層3の好ましい具体的な構造について説明する。
吸収層3としては、スリット部8及び防漏溝7による上記作用を奏する限り、吸収性物品として通常用いられる種々の形態のものを特に制限なく採用することができる。例えば、親水性繊維の積繊体または親水性繊維と高吸収性ポリマー材との混合積繊体を親水性の被覆シートで覆ったものでもよい。また、親水性繊維からなる2つのシート状の繊維層間に高吸収性ポリマー材を挟持して固定した薄い吸収性シートから構成されていてもよい。吸収性シートの形成にあたっては、高吸収性ポリマー材が湿潤によって発現する粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを利用して一体化することができる。作製は通常用いられる種々の方法によって行うことができ、湿式、乾式いずれの方式によってもよい。
吸収性シートは厚さを3.0mm以下に抑えながら、高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロキングを起こし難く、高い吸収力を有する。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
吸収層3は、前述した高吸収性ポリマー材及び親水性繊維を含む吸収性シートから構成されていることが好ましい。これにより、吸収層3の薄型化が可能であり、スリット部8が所望の位置に配置しやすく、冷感付与を所望の位置で強化することができる。
吸収層3としては、吸収性シートが折り畳まれた積層構造を有することが好ましい。吸収層3が積層構造を有すると、吸収層3の変形の有無にかかわらず、層間の空間に冷感剤の揮発した成分を溜めやすくなる。また、冷感剤が吸収層3内に滲出する場合、同一層内での移動が生じやすく、厚さ方向への冷感剤の滲出量を抑制することができる。これにより吸収層3内の肌面側に近い層間において冷感剤の揮発した成分を溜めることができる。このようにして層間に十分に溜まった冷感剤の揮発した成分は、吸収層3の変形によって層間が開閉して、スリット部8によってできる通気路を通じて肌面へと送り込まれ、適度な冷感を長く感じさせることができる。
図2及び3に示す吸収層3は、前述した高吸収性ポリマー及び親水性繊維を含む吸収性シートから構成されている。吸収性シートが積層された構造を有する。より具体的には、吸収層3は、本体吸収性シート31と、本体吸収性シート31の非肌面側に配された中央吸収性シート32とを有し、両吸収性シートが折り畳まれた積層構造を有する。これにより、冷感剤が、折り畳まれたシート層の面方向に拡散しやすく、冷感剤が吸収層3の非肌面側へと厚さ方向に滲出することをより効果的に抑制することができる。前述した防漏溝7は、本体吸収性シート31に配されていることが好ましい。
本体吸収性シート31は、中央吸収性シート32の周縁の少なくとも一部から外方に延出して中央吸収性シート32に積層されている。以下に、より具体的な構成を説明する。
本体吸収性シート31は、裏面層2側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。本体吸収性シート31は、中間部Cから前方部F及び後方部Rに及ぶ長さを有し、吸収層3の外形形状をなしている。
中央吸収性シート32は、表面層1側で幅方向の両端部を重ね合わせて三つ折りされた、折り畳み構造を有する。中央吸収性シート32は、折り畳まれた状態において、折り畳まれた本体吸収性シート31よりも幅狭であり、本体吸収性シート31よりも縦方向の長さが短く、中間部Cの幅方向中央に配されている。中央吸収性シート32は、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に収められている。この配置において、中央吸収性シート32は、少なくとも本体吸収性シート31の肌面側よりも非肌面側に配されている。また、中央吸収性シート32はナプキン10の中間部に位置することが好ましい。
吸収層3は、上記の積層構造において、中央吸収性シート32を有することによって、中間部Cの幅方向中央に、周辺より厚い高坪量部を備える。高坪量部の位置において、ナプキン10が着用者の肌面にフィットしやすく、冷感を着用者が感じやすくなり好ましい。また、吸収層3は、高坪量部におけるシートの積層構造によって、層間における厚さ方向への冷感剤の滲出量を抑制することができる。これにより、冷感剤の揮発した成分を、中間部Cの領域において、吸収層3の比較的肌に近い位置で溜めて肌へと送り込むことができ好ましい。
また、中間部Cの領域に、中央吸収性シート32と本体吸収性シート31との積層構造があると、含有される冷感剤が各層に分散し、肌面側における冷感剤の坪量を周囲よりも少なくすることができる。
吸収層3において、高坪量部の厚さ(H1)の、高坪量部以外の部分の厚さ(H2)に対する比(H2/H1)は、肌面に対して違和感なく使用できる観点から、1/5以上が好ましく、1/3以上が好ましい。前記比(H2/H1)は、フィット性の観点から、4/5以下が好ましく、2/3以下がより好ましい。
また吸収層3において、高坪量部の坪量(M1)の、高坪量部以外の部分の坪量(M2)に対する比(M2/M1)は、***液吸収時の液拡散防止の観点から、1/4以上が好ましく、1/3以上がより好ましい。前記比(M2/M1)は、高坪量部と低坪量部の剛性差によるヨレ防止の観点から、7/8以下が好ましく、2/3以下がより好ましい。
中央吸収性シート32の折り畳み構造としては、図2に示す態様に限らず、種々のものとすることができる。例えば、図4(A)~(D)に示すような折り畳みであってもよい。図4(A)は、中央吸収性シート32の幅方向の両端部をそれぞれ肌面側と非肌面側とに折り返しS字状に折り畳んだ態様を示している。図4(B)は幅方向に二つ折りした態様を示している。図4(C)及び(D)は、幅方向に三つ折りした各部分の長さが等しくなるように折り畳んだ態様を示している。
本体吸収性シート31の折り畳み構造は、図2に示す態様に限らず、種々のものとすることができる。例えば、中央吸収性シート32の折り畳み構造として示した図4(A)~(D)と同様のものとしてもよい。また肌面側と非肌面側とに分かれた2枚のシートを積層した構造であってもよい。さらに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様に限定されず、内包せずに、本体吸収性シート31の折り畳み構造の非肌面側に中央吸収性シート32を積層する態様であってもよい。
ただし、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包する態様であると、冷感剤の揮発成分をより溜めやすくなり、前述したスリット部8の作用の観点から好ましい。
吸収層3がどのような積層構造を有していても、吸収性シートの重なり部分が接合されないことが好ましい。これにより、吸収層3の層間の空間が形成されやすく、前述の層間の開閉性が高まる。その結果、スリット部8を通じた冷感剤の揮発成分の肌への送り込みをより発現させやすくすることができる。
このような吸収層3の積層構造にいて、スリット部8は少なくとも1層を貫通していることが冷感剤の揮発成分を肌に送り易いので好ましい。同様の観点から、吸収層3の肌面側の最表面の層を貫通していることがより好ましい。具体的には、吸収層3を構成する本体吸収性シート31の肌面側部分31Aの層を貫通していることが好ましい。
本実施形態においては、スリット部8は、吸収層3の厚み全体に貫通して形成されている。高坪量部においては、スリット部8は、本体吸収性シート31と中央吸収性シート32とを合わせた積層部分を貫通している。高坪量部以外の部分では、スリット部8は、本体吸収性シート31の積層部分全体を貫通している。これにより、高坪量部、高坪量部の以外の部分のいずれにおいても、吸収層3のスリット部8の軸にした変形、層間の開閉がより確実に生じ得るので好ましい。
スリット部8は、防漏溝7の内側領域において、少なくとも、中央吸収性シート32と本体吸収性シート31とが積層された高坪量部に配されることが好ましい。
次に、本考案の吸収性物品の好ましい製造方法について説明する。
好ましい製造方法としては、通常用いられる吸収性物品の製造方法の中で、吸収層3の形成工程において次の工程を有する。
すなわち、吸収層となる原料部材の所定幅に亘って冷感剤を塗布する工程(S1)と吸収層となる原料部材の表面に冷感剤塗布幅よりも広い幅の領域に縦方向に延びるスリット部8が配されるスリット部領域8Aを形成する工程(S2)とを備える。
工程(S1)において、冷感剤が塗布される冷感剤塗布幅WCは、前述した吸収層3の幅方向両端縁3Eよりも内側となる領域であることが好ましい。吸収層幅WA(図1参照)に対して例えば75%以下の範囲であり、好ましくは70%以下の範囲となる領域である。冷感剤は前述のとおり、溶媒を混合した冷感剤溶液(塗布液)として調製し、塗布する。溶媒としては通常用い得るものを採用することができ、例えば、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
工程(S2)において、スリット部8を形成するスリット部領域8Aの幅は、冷感剤塗布幅WCよりも広く、かつ、前述した吸収層3の幅方向両端縁3Eよりも内側であって、防漏溝7の内側となる領域であることが好ましい。吸収層幅WAに対して例えば85%以下の範囲となる領域であることがより好ましい。また後述するように防漏溝7を形成する際には、スリット部8と防漏溝7とが一部接するように配することが好ましい。
また、工程(S1)及び工程(S2)のいずれにおいても、吸収層となる原料部材の、少なくとも中間部Cとなる領域に対して加工処理を行うことが好ましい。
工程(S1)と工程(S2)とはどちらが先に行われてもよい。ただし、工程(S2)の後に、工程(S1)が行われると、より確実に幅方向両端縁3Eへの冷感剤の拡散が抑制されることとなり好ましい。
吸収層となる原料部材として吸収性シートを用いることが好ましい。吸収性シートは、折り畳まれることを想定して吸収層の幅よりも幅広のものを用いる。該吸収性シートの所定の領域に複数の切り込み(スリット部)を、面方向に分散配置して設ける。吸収性シートに設ける切り込みは、図3に示すように、吸収層の縦方向に延びる長さを有して、該縦方向に複数配列されることが好ましく、切り込みの縦方向の配列を吸収層の幅方向に複数配列することがより好ましい。このとき、前述のとおり、縦方向に並ぶ切り込み間の間隔を該切り込みの長さ以下にすることが更に好ましい。
切り込み(スリット部)の形成は、この種の物品に通常用いられる方法によって行うことができる。例えば、ロール周面に、周方向に延びる切断刃が、ロール周方向及びロール軸方向に分散配置されたカッターロールと、対応配置されるアンビルロールとを備えた切断装置を用いて切り込みを形成することができる(図示せず)。前記切断刃は、切り込み(スリット部)の縦方向の長さに対応する周方向の長さを有する。この切断刃は、ロール周面において、切り込み(スリット部)の所望の配置に対応して分散配置される。また、切り込みの深さは、カッターロールとアンビルロールとのクリアランスや切断刃の大きさ等によって設定することができる。
さらに、吸収層となる原料部材が吸収性シートである場合には、次の工程を有することが好ましい。
すなわち、工程(S1)及び工程(S2)の後、吸収性シートを冷感剤塗布位置の幅方向端よりも外側で折り畳んで積層吸収性シートを形成する工程(S3)を備えることが好ましい。これにより、吸収性シートが折り畳まれて積層構造となった吸収層が得られる。冷感剤塗布位置の幅方向端よりも外側で折り畳むことによって、前述のように吸収層の幅方向両端縁よりも内側の領域に冷感剤が含まれる冷感剤領域となり好ましい。
また、工程(S3)において吸収性シートを折り畳むことによって、製造の過程において、冷感剤の幅方向の滲出しすぎを抑制することができる。更に吸収性シートが折り畳まれて積層構造となることで、前述のとおり、スリット部の作用によって奏する肌への適度な冷感効果をより長く効果的に維持することができる吸収性物品とすることができる。
工程(S3)においては、吸収性シートの折り畳む幅方向の位置を、スリット部領域の幅方向端よりも外側とすることが更に好ましい。
吸収性シートが折り畳まれた積層構造としては、二つ折り、三つ折り等など種々の態様とすることができる。三つ折りとしては、吸収性シートの幅方向両端部を重ね合わせることが好ましい。これにより。冷感剤の揮発成分の溜りを形成しやすく、スリット部による肌への送り込みをより効果的することができる。その際、吸収性シートの冷感剤塗布面を外側にして折り畳むことがより好ましい。
吸収性シートとして、幅の異なる複数種類のものを用いてもよい。
例えば、幅の異なる2種類の吸収性シートを用いて、前述の図2に示したように、本体吸収性シート31の折り畳み構造の内部に中央吸収性シート32を内包するようにしてもよい。その際、工程(S1)における冷感剤は、いずれの吸収性シートに塗布してもよい。ただし、冷感剤の厚さ方向への滲出の抑制と、スリット部8(図1、3等参照)の作用による冷感効果の長く効果的な維持とを、より優れたものとする観点から、本体吸収性シート31となる、幅広の吸収性シートに冷感剤を塗布することが好ましい。
上記のようにして得られた吸収層の両面に、所定の大きさに裁断された表面層及び裏面層を積層し接合して吸収性物品を製造する。その際、前述した防漏溝を作製する。作製方法は前述したように、例えば、圧搾処理(例えば、エンボス加工)によって形成することもできる。また、必要により液拡散層、サイドシートを所定の大きさ及び形状に成形して積層してもよい。さらに防漏溝以外の種々の圧搾処理(例えば、接合加工)を施してもよい。
吸収層3が、図1に示す本体吸収性シート31と中央吸収性シート32との積層構造である場合、次の工程によって製造することができる。
すなわち、図5(A)に示すように、本体吸収性シート31に冷感剤溶液を塗布して冷感剤溶液の塗布部22を形成する。その後、本体吸収性シート31を点線で示した部分で内側に折り込み、予め折り畳んでおいた中央吸収性シート32を包む。これにより、吸収層3における積層構造を形成する。その際、冷感剤溶液の塗布部22に冷感剤溶液が存在しているので、経時変化によって冷感剤が拡散していく。例えば、製造されたナプキン10の吸収層3においては、図5(B)に示すように、幅方向及び縦方向に冷感剤が拡散して冷感剤が含有された領域21が広がる。そして時間経過とともに図5(C)に示すように、幅方向に拡散して冷感剤が含有された領域21が更に広がる。しかし、スリット部8及び防漏溝7が配されているため、冷感剤の幅方向の拡散が制御され、縦方向への拡散が誘導される。これにより、冷感剤が含有された領域21を防漏溝7の内側領域から外側領域に広がることを抑えることができる。たとえ、防漏溝7を越えることがあっても、防漏溝7の外側への冷感剤の拡散量を抑制して、内側領域よりも少なくすることができる。
また、図示はしていないが、冷感剤溶液の塗布部22を、吸収層3の縦方向における中間部Cであって受液領域C1に形成することもできる。この場合に、製造されたナプキン10の吸収層3においては、図6(A)に示すように、スリット部8によって冷感剤の拡散が、幅方向に加え縦方向でも抑制され、冷感剤が含有された領域21の広がりを抑える。そして、たとえ冷感剤の拡散が進んでも、図6(B)に示すように、スリット部8による拡散抑制効果とともに、防漏溝7によって、冷感剤が含有された領域21を防漏溝7の外側領域へと拡散することを抑えることができる。たとえ、防漏溝7を越えることがあっても、防漏溝7の外側領域への冷感剤の拡散量を抑制して、内側領域よりも冷感剤量(単位面積当たりの冷感剤量)を少なくすることができる。
このように、スリット部8による冷感剤の拡散抑制効果によって、冷感剤が吸収層3の中間部Cから外側に広がるのを抑えられるので、冷涼感を十分に着用者に与えることができる。
ナプキン10を構成する部材の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
冷感剤としては、着用者の皮膚及び粘膜のいずれか一方又は両方の表面の温度受容器を刺激して、皮膚及び粘膜のいずれか一方又は両方の表面上の温度を変化させることなしに、着用者に爽快感を伝えることのできる種々の剤を用いることができる。例えば、シクロヘキシル誘導体、シクロヘキサノール誘導体、カルボキサミド類など、特開2015-12918号公報の段落[0006]~[0086]に記載のものが挙げられる。その中でも、匂いによる爽快感と速攻性、持続性の観点から、水不溶性又は水難溶性のものが好ましい。水不溶性又は水難溶性の冷感剤は体液とともに非肌面側へ移行しにくいことから、冷感は持続しやすい。水不溶性又は水難溶性のものとしては、乳酸メンチル、メントールが好ましい。ここで言う「水不溶性又は水難溶性」とは、25℃の水1Lに対して1g以下の溶解性であることを言い、特に「水不溶性」は、25℃の水1Lに対して0.1g以下の溶解性であることを言う。
冷感剤は、種々の方法によってナプキン10に含ませることができる。例えば、溶媒に溶解させた状態でナプキン10に含ませてもよく、溶媒を用いずに含ませてもよい。また冷感剤はマイクロカプセルに包むなどデリバリー手段を伴ってナプキン10に含ませてもよい。前記溶媒としては、通常用いられる種々のものを採用できる。例えば、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
冷感剤としては、特に、メントール及び乳酸メンチルを含むことが、冷感効果を着用後素早く感じられると共に穏やかなものとし、持続性を高めることから好ましい。同様の観点から、メントールと乳酸メンチルの含有量は、前者/後者の質量比で、0.01以上が好ましく、更に0.02以上が好ましく、また、0.2以下が好ましく、更に0.15以下が好ましい。
吸収層3を構成する親水性繊維としては、疎水性の繊維を親水化処理したもの、それ自体が親水性であるものが挙げられる。特に、それ自体が親水性でかつ保水性を有するものが好ましい。後者の親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。親水性繊維としては、特にパルプ、レーヨンが好ましく、パルプが一層好ましい。更にセルロース繊維の分子内及びは分子間のいずれか一方又は両方を架橋させた架橋セルロース繊維や木材パルプをマーセル化処理して得られるような嵩高性のセルロース繊維を用いてもよい。パルプとしては、針葉樹クラフトパルプもしくは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の天然セルロース繊維等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのパルプは1種又は2種以上を用いることができる。
吸収層3を構成する高吸収性ポリマー材としては、例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン-ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン-ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン-ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの高吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。自重の20倍以上の液を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
高吸収性ポリマー材の形状は、吸収層に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
表面層1は、液透過性を有する種々のものを用いることができる。肌触りの良さを考慮すると、親水性の不織布が好ましく、サーマルボンド不織布がより好ましく、エアスルー不織布が特に好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面層2としては、防漏性を有する種々のものを用いることができる。例えば、非透湿性若しくは透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布とを貼り合わせたもの、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、非透湿性フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。
液拡散層4としては、親水性を有し液拡散性に優れているものが好ましい。熱可塑性繊維を含む不織布などが挙げられる。不織布としては、各種の製法によって得られた不織布を用いることができる。例えば、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウエブにエアスルー法で繊維どうしの熱融着点を形成したエアスルー不織布、カード法により得た繊維ウエブにヒートロール法で繊維どうしの熱融着点を形成したヒートロール不織布、ヒートエンボス不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、レジンボンド不織布等の種々の不織布を用いることができる。
サイドシート5としては、撥水性の不織布が好ましく、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、ニードルパンチ不織布等の中から撥水性の物、または撥水処理した種々の不織布を用いることができる。特に好ましくは、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド-メルトブローン(SM)不織布、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)不織布等が用いられる。
本考案の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えばパンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド、使い捨ておむつ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、上記構成部材の他、用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
また、本考案の吸収性物品は、生理用ナプキンやパンティライナーなど1製品毎にカバンなどに入れて持ち運びされる物である場合、個包装されていることが好ましい。具体的には、表面層が内側になるよう縦方向に折り畳まれて、個包装用の外方材によって包まれた吸収性物品個包装体とされていることが好ましい。個包装体とすることで、肌に触れる表面層(使用面)の衛生を守りつつ、携帯性の高い物品することこができ、使用者の利便性を高めることができる。
1 表面層
2 裏面層
3 吸収層
3E 幅方向両端縁
5 サイドシート
6 ウイング部
7 防漏溝
8 スリット部
9 非スリット領域
10 生理用ナプキン
21 冷感剤が含有された領域
22 冷感剤溶液の塗布部
31 本体吸収性シート
32 中央吸収性シート
C 中間部

Claims (7)

  1. 表面層、裏面層、及び、前記表面層と前記裏面層との間に配された吸収層を備え、着用者の腹側部、股下部及び背側部を繋ぐ方向に対応する縦方向と、該縦方向と直交する幅方向とを有する吸収性物品であって、
    前記表面層から前記吸収層に亘って圧搾されてなる防漏溝が、平面視して受液領域を挟んで前記縦方向に配されており、
    前記吸収層は、平面視して前記防漏溝に挟まれた内側領域に、スリット部を備え、
    前記吸収性物品における前記表面層の非肌面側の領域に冷感剤が含有されており、
    前記冷感剤が含有された領域が、平面視して、前記縦方向及び前記幅方向に離間させて配した複数の前記スリット部、又は、前記複数のスリット部及び前記防漏溝の両方と重なっている、吸収性物品。
  2. 前記スリット部と前記防漏溝とが一部接しており、
    前記防漏溝よりも幅方向の外側に位置する外側領域に比して、前記内側領域の単位面積当たりの冷感剤量が多い、請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記冷感剤は、前記吸収層の肌面側において、該吸収層の幅方向における前記防漏溝の外側領域を除く領域に含まれている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収層の肌面側において、前記縦方向の中間部に、その周囲より前記冷感剤の坪量が少ない領域を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記スリット部の少なくとも前後端が前記防漏溝に接している、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収層は、吸収性シートの積層構造を有し、前記吸収性シートの積層構造における少なくとも1層を、前記スリット部が貫通している、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収層が、前記吸収性物品の中間部に位置する中央吸収性シートと、該中央吸収性シートの周縁の少なくとも一部から外方に延出して該中央吸収性シートに積層された本体吸収性シートとを有し、前記本体吸収性シートに前記防漏溝が配されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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