JP3233276B2 - カッパアゴニストとしてのヒドラジド化合物 - Google Patents

カッパアゴニストとしてのヒドラジド化合物

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    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なヒドラジド
化合物及び薬剤学的に許容することのできるその塩、並
びにそれらを含む医薬組成物に関する。本発明の薬剤学
的活性化合物は、選択的カッパレセプターアゴニストと
して用いることができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】オピオ
イド鎮痛剤、例えば、モルヒネは、治療用に有用である
が、それらの使用はそれらの副作用(例えば、薬剤依存
症及び乱用)のために厳密に制限されている。従って、
利便性が高く、薬剤依存性を起こす傾向が少ない鎮痛剤
が要求されている。オピオイドタンパク質及びオピオイ
ドレセプターを発見するために、かなりの薬理学的及び
生化学的な研究が行われてきた。そして、ヒトを含む様
々な種の末梢神経における、オピオイドレセプターのサ
ブタイプ、例えば、μ(ミュー)、δ(デルタ)、κ
(カッパ)の発見は、新しい鎮痛剤を創ることに関する
きっかけを造った。オピオイド鎮痛剤(例えばモルヒ
ネ)がμ−レセプターアゴニストとして作用すると考え
られるにつれて、κ−レセプターアゴニストに基づく反
応を、μ−レセプターアゴニストに基づく反応から分け
ることが研究されてきた。最近、前記の観点から、κ−
選択的アゴニスト(κアゴニスト)が報告されている
(例えば、EMD−61753:A.Barberら,
Br.J.Pharmacol.,Vol.113,p
p.1317−1327)。それらの中には、実際に臨
床試験で研究されているものもある(Med.Res.
Rev.,Vol.12,p.525,1992)。選
択的なκ−レセプターアゴニスト(又はκアゴニスト)
として多様な種々のピロリジニルヒドロキサム酸化合物
が、国際公開WO96/30339号公報に開示されて
いる。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の式
(I):
【化2】 [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、
(炭素数1〜4のアルキル)−CO−基、炭素数1〜4
のアルキル基又はアミノ保護基であり;R3は、水素原
子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又はOY基(Yはヒド
ロキシ保護基)であり;そしてR4は、場合によりハロ
ゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4
のアルコキシ基から選択した置換基1〜3個で置換され
ていることのあるフェニル基であるか、又はフラニル
基、チエニル基及びピリジニル基から選択した複素環式
環基である]で表される化合物及びその塩を提供する。
【0004】本発明の式(I)で表されるヒドラジド化
合物は、良好なκアゴニスト活性を示し、従って哺乳動
物、特にヒトの治療における、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症
剤又は神経保護剤として有用であり、そして関節炎、発
作又は機能性腸疾病(例えば、腹痛)においても有用で
ある。特にこれらの化合物は、哺乳動物の中枢神経系に
おいて、良好な鎮痛作用を示す。従って、本発明は、治
療有効量の式(I)で表される化合物及び薬剤学的不活
性担体を含む、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤又は神経保護
剤として有用であり、そして前記の疾病の治療において
も有用である医薬組成物を提供する。また、本発明は、
治療有効量の式(I)で表される化合物を、哺乳動物に
投与することを含む、オピオイドκレセプターに対する
アゴニスト活性が必要な医学的状態にある前記哺乳動物
の治療方法に用いることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書において「ハロゲン原
子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素
原子を意味し、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であ
る。本明細書において「炭素数1〜4のアルキル」と
は、直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、以下の基
に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec
−ブチル基、及びtert−ブチル基などを挙げること
ができる。本明細書において「炭素数1〜4のアルコキ
シ基」とは、直鎖状又は分枝状の(炭素数1〜4のアル
キル)−O−基を意味し、以下の基に限定されるもので
はないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ
ソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソ−ブトキシ
基、及びtert−ブトキシ基などを挙げることができ
る。
【0006】本明細書において「アミノ保護基」とは、
合成手順の間の望ましくない反応からアミノ基を保護す
る官能基を意味し、以下の基に限定されるものではない
が、トリフルオロアセチル基、トリメチルシリルエトキ
シカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、及びt
ert−ブチルオキシカルボニル基など(好ましくは、
ベンジルオキシカルボニル基及びtert−ブチルオキ
シカルボニル基)を挙げることができる。本発明におい
て「ヒドロキシ保護基」とは、合成手順の間の望ましく
ない反応からヒドロキシ基を保護する官能基を意味し、
以下の基に限定されるものではないが、ベンジル基、ト
リフェニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、メトキ
シメチル基、及びR567シリル基(R5、R6及びR7
は、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基
である)、好ましくはメトキシメチル基を挙げることが
できる。
【0007】本発明のκアゴニスト化合物の好ましい群
には、R1及びR2が、それぞれ独立して水素原子、脂肪
族アシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はtert−
ブトキシカルボニル基であり;R3が、ヒドロキシ基又
はOY基(Yはメトキシメチル基)であり;そしてR4
が、置換基としてのハロゲン原子、炭素数1〜4のアル
キル基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択した
置換基1〜3個で置換されているフェニル基である、式
(I)で表される化合物を含む。
【0008】本発明の更に好ましい群には、R1及びR2
が、それぞれ独立して水素原子、アセチル基又はメチル
基であり、R3が、ヒドロキシ基であり、そしてR4が、
3,4−ジクロロフェニル基である、式(I)で表され
る化合物を含む。
【0009】好ましい本発明の具体的な化合物は、N’
−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(3,4
−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−メト
キシメトキシピロリジン−1−イル)−1−(S)−フ
ェニルエチル]アセトアミド;N−アミノ−2−(3,
4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−メ
トキシメトキシピロリジン−1−イル)−1−(S)−
フェニルエチル]アセトアミド;N−アセトアミド−2
−(3,4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−
(S)−メトキシメトキシピロリジン−1−イル)−1
−(S)−フェニルエチル]アセトアミド;及びN’−
tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(3,4−
ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−メトキ
シメトキシ−ピロリジン−1−イル)−1−(S)−フ
ェニルエチル]−N’−メチルアセトアミドである。
【0010】更に好ましい本発明の具体的な化合物は、
N−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−
[2−(3−(S)−ヒドロキシピロリジン−1−イ
ル)−1−(S)−フェニルエチル]アセトアミド;2
−(3,4−ジクロロフェニル)−N’,N’−ジメチ
ルアミノ−N−[2−(3−(S)−ヒドロキシ−ピロ
リジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]ア
セトアミド;N−アセトアミド−2−(3,4−ジクロ
ロフェニル)−N−[2−(3−(S)−ヒドロキシピ
ロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]
アセトアミド;及び2−(3,4−ジクロロフェニル)
−N−[2−(3−(S)−ヒドロキシピロリジン−1
−イル)−1−(S)−フェニルエチル]−N−(N’
−メチルアミノ)アセトアミドである。
【0011】一般合成 本発明の式(I)で表されるκアゴニストは、多くの方
法で調製することができる。例えば、反応工程式(1)
に記載の手順に従って容易に調製することができる。
【0012】反応工程式(1)
【化3】
【0013】反応工程式(1)は、本発明のヒドラジド
化合物の生成工程を示す。中間体である1−(2−
(S)−クロロ−2−フェニルエチル)−3−(S)−
メトキシメトキシピロリジンは、N−保護カルバゼート
(例えば、NH2NHBOC)と反応させることができ
る。前記の反応は、適当な極性溶媒、例えばメタノール
(MeOH)、エタノール(EtOH)、又はテトラヒ
ドロフラン(THF)中で、−60℃から溶媒の還流温
度、好ましくは溶媒の還流温度で、5分〜24時間、好
ましくは5分〜2時間で実施することができる。溶媒を
蒸発させた後に、残さを洗浄する。前記残さには、所望
のフェニル酢酸(例えば、3,4−ジクロロフェニル酢
酸)を加えることができる。前記の反応は、カルボジイ
ミド化合物[例えば、1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド;こ
れは水溶性カルボジイミド(water−solubl
e carbodiimide)又はWSCと称するこ
とがある]の存在下で実施することができる。前記の反
応は、約25℃にて、塩化メチレン(CH2Cl2)中
で、5分〜24時間で実施することができる。所望によ
り、酸(例えば、トリフルオロ酢酸)の存在下で、約2
5℃で、通常の加水分解を行うことによってN−保護基
(例えば、BOC)を除去し、非置換ヒドラジド化合物
を得ることができる。
【0014】前記の反応工程式(1)中に示した手順と
類似の手順に従って、R1が水素原子であり、R2が炭素
数1〜4のアルキル−O−基又は炭素数1〜4のアルキ
ル基である式(I)で表される化合物を調製することが
できる。例えば、前記の反応工程式(1)中に示した工
程において、カルバジン酸tert−ブチルの代わり
に、炭素数1〜4のアシルヒドラジド[すなわち、NH
2NHCO−(炭素数1〜4のアルキル)]を用いて、
式(II):
【化4】 (Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表される
モノ−アシル化ヒドラジド化合物を得ることができる。
【0015】更に、1−(2−(S)−クロロ−2−フ
ェニルエチル)−3−(S)−メトキシメトキシピロリ
ジンとN−アルキルカルバジン酸tert−ブチルとを
反応工程式(1)中に示した条件下で反応させることに
よって、式(III):
【化5】 (Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)で表される
化合物、すなわちR1が水素原子であり、R2が炭素数1
〜4のアルキル基である式(I)で表される化合物を調
製することができる。
【0016】中間体である1−(2−(S)−クロロ−
2−フェニルエチル)−3−(S)−メトキシメトキシ
ピロリジンは、反応工程式(2)に記載の工程に従って
調製することができる。
【0017】反応工程式(2)
【化6】 前記反応工程式中、Pは保護基を意味する。
【0018】経路1では、最初に、式(IV)で表される
化合物を式(V)で表される置換−酸化スチレンと反応
させて、式(VI)で表される化合物と式(VII)で表さ
れる化合物との混合物を形成することができる。この反
応は、反応不活性溶媒[例えば、MeOH、EtOH、
イソプロピルアルコール、THF、ジオキサン、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、塩化メチレン、水、ベンゼン、トルエン、n
−ヘキサン、シクロヘキサン]の存在下又は不在下で、
−78℃から溶媒の還流温度、好ましくは0℃〜25℃
の温度で、5分〜48時間、好ましくは0.5時間から
12時間で実施することができる。続いて、塩基[例え
ば、トリエチルアミン(Et3N)]の存在下で、前記
の式(VI)で表される化合物と式(VII)で表される化
合物との混合物を塩化メタンスルホニル(MsCl)で
処理して、中間体Aを得ることができる。前記の工程に
従うと、式(VI)で表される化合物及び式(VII)で表
される化合物におけるR及びS立体配置を選択的に決定
することができる。
【0019】あるいは、中間体Aは、経路2に記載の工
程に従っても得ることができる。式(X)で表される化
合物は、式(VIII)で表される化合物と式(IX)で表さ
れる化合物との反応によって調製ことができる。続い
て、式(X)で表される化合物は、経路1と同様の条件
下で、MsClと反応することができる。式(VIII)で
表される化合物及び式(IX)で表される化合物は、いず
れも公知化合物であって、公知の方法で製造することが
できるか、あるいは公知化合物と類似の化合物であっ
て、公知の方法と類似の方法で製造することができる。
【0020】N−アルキルカルバジン酸tert−ブチ
ルを、反応工程式(3)に記載の工程に従って調製する
ことができる。
【0021】反応工程式(3) N−アルキルカルバジン酸t−ブチルの調製
【化7】
【0022】式(XII)で表されるフタルイミドは、公
知の化合物から製造することができる。例えば、式(X
I)で表される無水フタル酸とカルバジン酸tert−
ブチルとを、反応不活性溶媒(例えば、ジクロロエタ
ン)中で反応させて、式(XII)で表される化合物を得
ることができる。続いて、式(XII)で表される化合物
は、水素化ナトリウムの存在下で、所望のハロゲン化ア
ルキル(RX)と反応させることができる。続いて、式
(XIII)で表される化合物は、N−メチルヒドラジンと
反応させてN−アルキルカルバジン酸tert−ブチル
とすることができる。前記の反応は、当業者に周知の反
応条件を用いて実施することができる。
【0023】R1及びR2の両方がアルキル基である一般
式(I)で表される本発明のヒドラジド化合物は、反応
工程式(1)に記載の工程に従って調製した非置換ヒド
ラジド化合物から、通常の還元的アルキル化によって調
製することができる。前記の非置換ヒドラジド化合物
は、反応工程式(4)で示すように、還元剤の存在下で
所望のアルデヒドで処理することができる。
【0024】反応工程式(4) 二置換ヒドラジド誘導体の調製
【化8】 前記反応工程式中、R及びR’は、それぞれ炭素数1〜
4のアルキル基である。
【0025】前記の還元は、当業者に周知の条件を用い
て実施することができる。適当な還元剤としては、ナト
リウムシアノボロハイドライド(NaBH3CN)、ナ
トリウムトリアセトキシボロハイドライド、及びナトリ
ウムボロハイドライドを挙げることができる。本発明の
式(I)で表される化合物は、塩基性であり、従ってそ
れらは酸付加塩を形成するであろう。それら全ての塩
は、本発明の範囲内に含まれる。しかし、哺乳動物への
投与用には、薬剤学的に許容することのできる酸付加塩
を用いなければならない。前記の酸付加塩は、標準的方
法、例えば、前記の塩基性及び酸性化合物を実質的当量
の比率で、水若しくは有機溶媒(例えば、メタノール又
はエタノール)、又はそれらの混合物の中で接触させる
方法により調製することができる。前記の塩は、溶媒か
らの結晶化又は溶媒の留去によって単離することができ
る。形成することのできる典型的な塩は、塩酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ク
エン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマ
ル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンス
ルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、
及びパモ酸塩[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−
(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸)の塩]である。
【0026】また、式(I)で表されるκアゴニスト化
合物の生体前駆体(bioprecursor)(プロ
ドラッグとも称する)も、本発明の範囲内に含まれる。
式(I)で表されるκアゴニストの生体前駆体は、その
κアゴニストの化学的誘導体であり、生物学的系におい
て、容易に変換して式(I)で表される元の化合物に戻
る。特に、式(I)で表されるκアゴニストの生体前駆
体は、その生体前駆体が哺乳動物(例えば、ヒト)に投
与されて吸収された後に、式(I)で表されるその元の
化合物に戻る変換が行われる。
【0027】例えば、A及びORの一方又は両方がヒド
ロキシ基である式(I)で表される本発明のκアゴニス
トの生体前駆体を、ヒドロキシ基のエステルを形成する
ことにより製造することができる。A及びORの一方の
みがヒドロキシ基である場合には、モノエステルだけが
形成可能である。A及びORの両方がヒドロキシ基であ
る場合には、モノエステル及びジエステル(同一又は異
なることができる)を形成することができる。典型的な
エステルは、単純なアルカン酸(例えば、酢酸、プロピ
オン酸、酪酸等)のエステルである。更に、A又はOR
がヒドロキシ基である場合には、ハロゲン化アシルオキ
シメチル(例えば、塩化ピバロイルオキシメチル)との
反応によって、そのヒドロキシ基をアシルオキシメチル
化合物(例えば、ピバロイルオキシメチル化合物)に変
換することによって、生体前駆体を製造することができ
る。
【0028】式(I)で表される本発明のκアゴニスト
化合物は、オピオイドκレセプターに対する有意なアゴ
ニスト活性を示し、従って、鎮痛剤、抗炎症剤、利尿
剤、麻酔剤及び神経保護剤、あるいは発作又は機能性腸
疾病(例えば、腹痛)治療剤が必要な哺乳動物、特にヒ
トの治療用の薬剤として、前記哺乳動物の治療に有用で
ある。
【0029】式(I)で表される本発明のκ−アゴニス
ト化合物の活性は、オピオイドレセプター結合活性によ
って示される。前記の活性は、モルモットの全脳からの
ホモジェネートにおいて、Regina,A.らによっ
て「J.ReceptorRes.Vol.12:p
p.171−180,1992」に記載されたとおり
に、決定することができる。簡単に説明すると、標識し
たリガンド及び供試化合物の存在下で、25℃で、30
分間、組織ホモジェネートをインキュベートする。μ−
部位を(3H)−[D−Ala2,MePhe4,Gl
y−ol5]エンケファリン(DAMGO)(1nM)
で標識し、δ−部位を(3H)−[D−Pen2,5]
エンケファリン(DPDPE)(1nM)で標識し、そ
してκ−部位を(3H)−CI−977(0.5nM)
で標識する。非特異的結合は、CI−977(κ)(1
μM)、DAMGO(μ)(1μM)、及びDPDPE
(δ)(1μM)を用いて測定する。データはChen
g及びPrusoffの式を用いた非直線適合プログラ
ムによって得られるIC50値として表示する。実施例に
おいて調製したいくつかの化合物は、0.01〜100
nMの範囲の低いIC50値を示した。
【0030】前記のκアゴニスト化合物の活性は、Wh
eeler−Aceto,H.らによって「Psych
opharmacology,Vol.104:pp.
35−44,1991」に記載されたとおりに、ホルマ
リン試験によっても示すことができる。この試験では、
雄性SDラット(80〜100g)に、0.1%メチル
セルロース塩水液(saline)又はビヒクル中に溶
解した供試化合物を、皮下注射する。30分後に、2%
ホルマリン50mlを後足に注射する。ホルマリン注射
後の15〜30分間の観察時間当たりに、注射した足を
なめる回数を測定し、それぞれのビヒクルグループと比
較して%阻害として表示する。以下の実施例で調製した
いくつかの化合物を、前記の手順に従って試験したとこ
ろ、良好な活性(すなわち、0.1mg/kgより低い
の範囲のED50値;皮下注射)を示した。
【0031】κアゴニストの前記の活性は、Haye
s,A.G.らによって「Br.J.Pharmaco
l.Vol.79:pp.731−736,1983」
に記載されたロタロッド(Rotarod)試験によっ
ても示すことができる。この試験では、回転する棒(直
径=9cm;回転速度=5r.p.m.)の上でのバラ
ンスをとる能力によって雄性SDラット(100〜12
0g)6〜10匹のグループを選択する。次に、選択し
たラットに、0.1%メチルセルロース塩水液中に溶解
した供試化合物を皮下注射する。処置から30分後に、
前記の動物たちを再び試験する;150秒の間に2回よ
り多く棒から落下したラットは運動能力の低下を示して
いるものとみなし、その動物のパフォーマンス[すなわ
ち、ロタロッド上の時間]を記録する。パフォーマンス
時間を半減させるその薬剤の投与量として定義されるこ
のED50値を、コントロールグループにおいて観察す
る。
【0032】式(I)で表される本発明のκアゴニスト
化合物は、経口、非経口、又は局所のいずれの経路によ
っても哺乳動物に投与することができる。一般的に、こ
れらの化合物は、1日当たり0.01mg〜50mgの
範囲の投与量でヒトに投与することが最も好ましいが、
当然のことながら治療される対象者の体重及び体調、治
療する疾病の状態、並びに選択した特定の投与経路によ
って変化させることになるであろう。しかし、1日当た
り0.01mg〜1mg/kg(体重)の範囲内の投与
レベルで、単独又は分割した投与量で、手術後患者にお
ける痛みの治療のためにヒトに用いるのが最も望まし
い。
【0033】本発明の化合物は、単独で、又は薬剤学的
に許容することのできる担体若しくは希釈剤と組み合わ
せて、前記投与経路のいずれによっても投与することが
でき、そして前記の投与は、単回又は複数回の投与で行
うことができる。また特に、本発明の新規治療剤は、広
範で多様な種々の投与形態で投与することができる。す
なわち、種々の薬剤学的に許容することのできる不活性
担体と組み合わせて、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トロ
ーチ、硬質キャンディー、粉剤、噴霧剤、クリーム、軟
膏(salves)、坐薬、ゼリー、ジェル、ペース
ト、ローション、軟膏(ointmrnt)、水性懸濁
液、注射溶液、エリキシル、シロップなどの形態にする
ことができる。前記の担体には、固体希釈剤又は充填
剤、滅菌水性媒体、及び各種の無毒性有機溶媒等が含ま
れる。更に、経口投与用医薬組成物に、適当に甘味及び
/又は香味を付与することができる。本発明の治療有効
化合物は、一般的に、濃度レベルが5重量%〜70重量
%、好ましくは10重量%〜50重量%の範囲で、前記
の投与形態中に存在させる。
【0034】経口投与用に、種々の賦形剤、例えば、微
晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、リン酸二カリウム、及びグリシンを含んだ錠剤を、
種々の崩壊剤、例えば、デンプン(好ましくは、コー
ン、ポテト、又はタピオカのデンプン)、アルギン酸、
及び或る種のコンプレックスシリケート(comple
xsilicate)、並びに顆粒バインダー、例え
ば、ポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン、及びアラ
ビアゴムと一緒に用いることができる。更に、潤滑剤、
例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナト
リウム、及びタルクが、錠剤化の目的に、しばしば非常
に有用である。また、同様のタイプの固体組成物は、ゼ
ラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる;
また、これに関連する好ましい材料には、ラクトース
(又は乳糖)及び高分子ポリエチレングリコールを挙げ
ることができる。経口投与用に水性懸濁液及び/又はエ
リキシルが望ましい場合には、種々の甘味剤又は香味
剤、着色剤又は染料、並びに所望により、乳化剤及び/
又は懸濁剤と、希釈剤、例えば、水、エタノール、プロ
ピレングリコール、グリセリン、及び種々のそれらの混
合物と活性成分とを組み合わせることができる。
【0035】非経口投与用に、ゴマ油若しくはピーナッ
ツ油、又は水性プロピレングリコール中の本発明化合物
の溶液を用いることができる。前記の水溶液は、必要に
応じて適当に緩衝化(好ましくはpH>8)した方がよ
く、そして液体希釈剤は最初に等張にする。これらの水
溶液は、静脈注射の目的に適している。前記の油性溶液
は、関節内、筋肉内及び皮下注射の目的に適している。
滅菌条件下におけるこれら全ての溶液の調製は、当業者
に周知の標準的製剤技術によって容易に行うことができ
る。更に、皮膚の炎症状態の治療の場合には、本発明の
化合物を局所的に投与することもでき、標準的製剤慣行
に従ってクリーム、ゼリー、ジェル、ペースト、軟膏
(ointment)等によって行うことが好ましい。
【0036】
【実施例及び製造例】以下、実施例及び製造例によって
本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を
限定するものではない。融点は、Buchiマイクロ融
点装置で測定し、修正していない。赤外線吸収スペクト
ル(IR)は、Shimadzu赤外分光計(IR−4
70)によって測定した。特に断らない限り、1H及び
13Cの核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、CDCl3
中で、JEOL NMR分光計(JNM−GX270,
270MHz)によって測定し、ピークの位置は、pp
m(parts per million)(テトラメ
チルシランからダウンフィールド)で表す。ピークの形
状は、以下のように示す。s=一重線;d=二重線;t
=三重線;m=多重線;br=広幅(broad)。
【0037】実施例1:N’−tert−ブトキシカル
ボニルアミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N
−[2−(3−(S)−メトキシメトキシピロリジン−
1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]アセトアミ
塩化メチレン(15ml)中の1−(2−(S)−ヒド
ロキシ−2−フェニルエチル)−3−(S)−メトキシ
メトキシピロリジン(503mg,2mmol)及びト
リエチルアミン(0.33ml,2.4mmol)の溶
液に、塩化メシル(0.19ml,2.4mmol)を
0℃で加え、そして得られた混合物を周囲温度で17時
間攪拌した。混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及
びブラインで洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、ろ過
し、そして濃縮して油状体491mgを得た。エタノー
ル(5ml)中のカルバジン酸tert−ブチル(31
7mg,2.4mmol)及び1−(2−(S)−クロ
ロ−2−フェニルエチル)−3−(S)−メトキシメト
キシピロリジン(491mg,2mmol)の混合物
を、攪拌しながら0.5時間還流した。エタノールを留
去した後に、得られた残さを塩化メチレン(10ml)
中に溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブライ
ンで洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、ろ過し、そし
て濃縮して黄色透明油状体676mgを得た。塩化メチ
レン(10ml)中の前記油状体(676mg,1.8
2mmol)及び3,4−ジクロロフェニル酢酸(44
9mg,2.19mmol)の溶液に、WSC(420
mg,2.19mmol)を室温で加えた。0.5時間
攪拌した後に、混合物を塩化メチレン(10ml)で希
釈し、水及びブラインで洗浄した。乾燥(硫酸ナトリウ
ム)及びろ過した後に、ろ液を濃縮して、油状体1.1
13gを得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリ
カゲル:60g,溶離液=塩化メチレン/メタノール:
50/1)処理によって精製して、無色油状体682m
g(61.7%)を得た。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ4.60
(2H,s,MeOC2 OCH−),4.25−4.
15(1H,m,MeOCH2OC−),3.76
(1H,d,J=15.4Hz,NCOC 2Ar),
3.37(3H,s,C3 OCH2O),1.46(9
H,s,NHCO2C(C3 3) MS(EI)m/z(rel int)555(0.
5,[M+4]+),553(1.1,[M+2]+),
551(1.2,[M]+),524(1.8,[M+
4−OMe]+),522(7.3,[M+2−OM
e]+),520(10,[M−OMe]+),478
(10),404(8.9),365(39),321
(12),234(100)
【0038】実施例2:N−アミノ−2−(3,4−ジ
クロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−メトキシ
メトキシピロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニ
ルエチル]アセトアミド 塩化メチレン(5ml)中のN’−tert−ブトキシ
カルボニルアミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)
−N−[2−(3−(S)−メトキシ−メトキシピロリ
ジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]アセ
トアミド(672mg、1.22mmol)の溶液に、
トリフルオロ酢酸(2ml)を室温で加えた。2時間攪
拌した後に、溶媒を留去した。その残さをアンモニア
(NH3)水溶液で塩基化し、そして塩化メチレン(2
0ml)で抽出した。抽出物をブラインで洗浄し、乾燥
(硫酸ナトリウム)し、ろ過し、そして濃縮して、油状
体551mgを得た。これをカラムクロマトグラフィー
(シリカゲル:30g,塩化メチレン/メタノール:3
0/1から15/1)処理によって精製して、淡黄色油
状体として標記化合物225mg(40.8%)を得
た。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.45−
7.23(7H,m),7.18(1H,dd,J=
1.8,8.1Hz),5.94(1H,dd,J=
5.1,12.5Hz),4.62(1H,d,J=
7.0Hz),4.58(1H,d,J=6.6H
z),4.20−4.10(1H,m),4.13(1
H,d,J=13.9Hz),3.84(2H,s),
3.77(1H,d,J=13.9Hz),3.35
(3H,s),3.30(1H,dd,J=12.1,
12.5Hz),2.90−2.75(2H,m),
2.64(1H,dd,J=5.1,12.5Hz),
2.57(1H,dd,J=2.9,9.9Hz),
2.50−2.35(1H,m),2.10−2.00
(1H,m),1.80−1.65(1H,m) より極性の大きい化合物として、標記化合物のデス−M
OM化合物194mg(39%)も回収された。
【0039】実施例3:N−アミノ−2−(3,4−ジ
クロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−ヒドロキ
シピロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチ
ル]アセトアミド N−アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−
[2−(3−(S)−メトキシメトキシピロリジン−1
−イル)−1−(S)−フェニルエチル]アセトアミド
(215mg,0.48mmol)とHClガス溶解メ
タノール(2ml)との混合物を、室温で攪拌した。1
時間攪拌した後に、反応混合物を濃縮し、残さをアンモ
ニア水溶液で塩基化し、そして塩化メチレン(10m
l)で抽出した。抽出物を乾燥(硫酸ナトリウム)し、
ろ過し、そして濃縮して、白色非晶質固体173mgを
得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:
20g,溶離液=塩化メチレン/メタノール:30/1
から10/1)処理によって精製して、白色非晶質固体
125mg(64.4%)を得た。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.45−
7.13(8H,m),5.94(1H,dd,J=
5.1,12.1Hz),4.30−4.20(1H,
m),4.10(1H,d,J=13.9Hz),3.
80(2H,s),3.78(1H,d,J=13.9
Hz),3.31(1H,dd,J=12.1,12.
5Hz),2.98−2.55(5H,m),2.38
−2.26(1H,m),2.18−2.02(1H,
m),1.70−1.55(1H,m) IR(film):3400,3350,1630cm
-1 この遊離アミン(110mg)をHClガス溶解メタノ
ール(2ml)で処理し、そして濃縮して、白色粉末と
し、これをエーテルで洗浄して、白色粉末103mg
(融点=232−233℃)を得た。 MS(ESI)m/z:408(M+H)+2023
232・HClに対する 理論値:C,54.01;H,5.44;N,9.45 実測値:C,53.77;H,5.43;N,9.49
【0040】実施例4:2−(3,4−ジクロロフェニ
ル)−N’,N’−ジメチルアミノ−N−[2−(3−
(S)−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−
(S)−フェニルエチル]アセトアミド メタノール(4ml)中のN−アミノ−2−(3,4−
ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−ヒドロ
キシピロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエ
チル]アセトアミド(140mg,0.34mmo
l)、37%ホルムアルデヒド(0.24ml,3mm
ol)、及びナトリウムシアノボロハイドライド(63
mg,1mmol)の攪拌した溶液に、HClガス溶解
メタノールを、室温で滴下し、黄色(ブロモクレゾ−ル
グリ−ンを指標として使用)を維持させた。17時間攪
拌した後に、反応混合物を濃縮し、そして得られた残さ
を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基化し、塩化メチ
レン(20ml)で抽出し、乾燥(硫酸ナトリウム)
し、そしてろ過した。ろ液を濃縮して、青色粘性油状体
147mgを得た。この油状体を、分取TLC(塩化メ
チレン/メタノール:10/1)処理によって精製し
て、無色粘性油状体55mg(37.2%)を得た。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.50−
7.10(8H,m;7.37ppmにおいて1H,
d,J=2.2Hzを含む;7.36ppmにおいて1
H,d,J=8.1Hzを含む;7.12ppmにおい
て1H,dd,J=2.2,8.1Hzを含む),4.
57(1H,t,J=7.0Hz),4.30−4.2
5(1H,m),3.81(1H,d,J=14.3H
z),3.73(1H,d,J=14.3Hz),3.
34(2H,d,J=7.0Hz),2.98−2.8
8(1H,m),2.78(1H,br.d,J=9.
9Hz),2.59(1H,dd,4.8,9.5H
z),2.48(3H,s),2.40(3H,s),
2.40−2.30(1H,m),2.18−2.05
(1H,m),1.81(1H,br.s),1.75
−1.64(1H,m) IR(film):3400,1645cm-1 MS(EI)m/z(rel int)439(0.
4,[M+4]+),437(1.1,[M+2]+),
435(1.2,[M]+),393(1.2,[M+
2−NMe2+),391(1.8,[M−NM
2+),349(13.8),292(8.2),2
33(18.2),190(97.6),161(10
0) この遊離アミン(55mg)をHClガス溶解メタノー
ル(1ml)で処理し、そして濃縮した。その残さをス
クラッチングによってエーテルから固体化して、黄色非
晶質固体40mgを得た。 C2227Cl232・HCl・1.5H2Oに対する 理論値:C,52.86;H,6.25;N,8.41 実測値:C,52.94;H,6.10;N,8.82
【0041】実施例5:N−アセトアミド−2−(3,
4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−メ
トキシメトキシ−ピロリジン−1−イル)−1−(S)
−フェニルエチル]アセトアミド 標記化合物を、実施例1の方法に従って、カルバジン酸
t−ブチルの代わりに酢酸ヒドラジドを用いて調製し
た。収率は57.7%であった。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ9.09及
び7.53(全体で1H,いずれもbr.s,N
c),7.45−7.25(7H,m,Ar),7.1
4−7.05(1H,m,Ar),5.94及び5.6
1(全体で1H,いずれもdd,J=4.4,12.5
Hz,PhCNCO),4.59(2H,br.s,
MeOC2 O),4.30−4.08(1H,m,M
eOCH2OC),3.37及び3.36(全体で3
H,いずれもs,MeOCH2O),2.02及び1.
18(全体で3H,いずれもs,NHCOMe) IR(film):3500,3280,1710−1
630cm-1
【0042】実施例6:N−アセトアミド−2−(3,
4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−(S)−ヒ
ドロキシピロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニ
ルエチル]アセトアミド 標記化合物を、実施例3に記載の方法に従って調製し
た。収率は、62.7%であった。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ9.10及
び8.05(全体で1H,いずれもbr.s,N
c),7.50−7.25(7H,m,Ar),7.1
5−7.05(1H,m,Ar),4.35−4.20
(1H,m,HOC),2.02及び1.15(全体
で3H,いずれもs,NHCOMe) IR(film):3450,1650cm-1 MS(EI)m/z450(M+),391,363,
290,190,160 塩酸塩:非晶質固体 IR(KBr):3400,1675cm-12225Cl233・HCl・2.2H2Oに対する 理論値:C,50.19;H,5.82;N,7.98 実測値:C,50.16;H,5.87;N,7.80
【0043】製造例1:N−メチルカルバジン酸ter
t−ブチル ジクロロエタン(40ml)中の無水フタル酸(2.9
6g,20mmol)とカルバジン酸tert−ブチル
(2.64g,20mmol)との混合懸濁液を、攪拌
しながら14時間還流させた。室温まで冷却した後に、
ろ過処理によって白色固体を収集し、エーテルで洗浄
し、そして乾燥して、白色固体3.82g(72.9
%)を得た。DMF(20ml)中のこの固体(2.6
2g,10mmol)の溶液に、NaH(60%油状体
懸濁液,0.60g,15mmol)を0℃で加えた。
室温で1時間攪拌した後に、そのオレンジ色混合懸濁液
にヨウ化メチル(2.13g,15mmol)を室温で
加えた。1時間攪拌した後に、その反応混合物にNaH
(60%油状体懸濁液,0.20g,5mmol)を加
えた。DMFを留去し、そして残さを塩化メチレンで抽
出した。抽出物を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)
し、そして濃縮して黄色油状体4.427gを得て、こ
れをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:100
g,ヘキサン/酢酸エチル:4/1)処理によって精製
して、白色固体1.287g(46.6%)を得た。塩
化メチレン(10ml)中のこの固体(1.28g,
4.6mmol)の溶液に、N−メチルヒドラジン
(0.23g,5mmol)を室温で加えた。2時間攪
拌した後に、ろ過処理によって白色析出物を除去した。
ろ液を濃縮して、油状体と固体との混合物0.836g
を得て、これをエーテル中に懸濁して、再びろ過処理に
よって白色固体を除去した。ろ液を濃縮して、淡黄色油
状体697mgを得た。これを、精製せずに次の反応に
用いた。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ4.15
(2H,ほとんど水平br.s),3.06(3H,
s),1.48(9H,s)
【0044】実施例7:N’−tert−ブトキシカル
ボニルアミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N
−[2−(3−(S)−メトキシメトキシ−ピロリジン
−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]−N’−
メチルアセトアミド 塩化メチレン(5ml)中の2−(3−(S)−メトキ
シメトキシピロリジン−1−イル)−2−(R)−フェ
ニルエタノール(1.26g,5mmol)及びトリエ
チルアミン(1ml,7mmol)の溶液に、塩化メシ
ル(0.46ml,6mmol)を0℃で加えた。室温
で5時間攪拌した後に、反応混合物を塩化メチレン(1
0ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗
浄し、そして乾燥(硫酸ナトリウム)した。ろ過処理し
た後に、ろ液を濃縮して、褐色油状体1.295gを得
た。エタノール(5ml)中のこの油状体(1.295
g,4.8mmol)、N−メチルカルバジン酸ter
t−ブチル(697mg,4.6mmol)、及びトリ
エチルアミン(0.7ml,5mmol)の混合物を1
5時間還流した。エタノールを留去し、そして得られた
残さを塩化メチレン(20ml)中に溶解し、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液で洗浄し、そして乾燥(硫酸ナト
リウム)した。ろ過処理した後に、ろ液を濃縮して褐色
油状体1.664gを得た。塩化メチレン(20ml)
中の前記油状体(1.66g)と3,4−ジクロロフェ
ニル酢酸(0.94g,4.6mmol)とWSC
(0.96g,5mmol)との混合物を、室温で1時
間攪拌した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液で洗浄し、そして乾燥(硫酸ナトリウム)し、そ
してろ過処理した。ろ液を濃縮して褐色油状体3.13
gを得て、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲ
ル:100g,塩化メチレン/メタノール:40/1)
処理によって精製して、標記化合物1.049g(40
%)を得た。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.50−
7.05(8H,m,Ar),5.65及び5.40
(全体で1H,いずれもm,PhCNCO),4.7
0−4.50(2H,m,MeOC2 O),4.25
−4.10(1H,m,MeOCH2OC),3.2
7(3H,s,MeOCH2O),1.50及び1.4
3(全体で9H,いずれもs,NHCO2t−Bu
【0045】実施例8:2−(3,4−ジクロロフェニ
ル)−N−[2−(3−(S)−ヒドロキシピロリジン
−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]−N−
(N’−メチルアミノ)アセトアミド 酢酸エチル(4ml)中のN’−tert−ブトキシカ
ルボニル−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−
[2−(3−(S)−メトキシメトキシピロリジン−1
−イル)−1−(S)−フェニルエチル]−N’−メチ
ルアセトアミド(1.049g,1.85mmol)と
4N−HClとの混合物を、室温で1時間攪拌した。実
施例3と同じ作業を行い、褐色非晶質固体710mgを
得た。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:
100g,塩化メチレン/メタノール:20/1)処理
によって精製して、淡褐色透明粘性油状体として標記化
合物406mgを得た。収率は、52%であった。1 H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.45−
7.10(8H,m),5.79(0.8H,dd,J
=5.5,11.4Hz),4.82(0.2H,d
d,J=4.4,9.2Hz),4.30−4.25
(1H,m),4.02(0.8H,d,J=13.9
Hz),3.80−3.70(1.2H;3.77pp
mにおいて0.8H,d,J=14.0Hzを含む),
3.55−3.40(2H,m),3.00−2.65
(4H,m),2.59(0.6H,s),2.41
(2.4H,s),2.40−2.30(2H,m),
2.20−2.08(1H,m),1.75−1.60
(1H,m) IR(film):3400,3300,1635cm
-1 MS(FAB)m/z422(MH+) HCl塩:非晶質固体 C2125Cl232・HCl・1.6H2Oに対する 理論値:C,51.73;H,6.04;N,8.62 実測値:C,51.51;H,5.81;N,9.02
【0046】実施例1〜実施例8で製造した化合物の化
学構造を以下の表にまとめた。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61P 25/28 A61P 25/28 29/00 29/00 C07D 207/06 C07D 207/06 401/12 401/12 405/12 405/12 409/12 409/12 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 207/12 A61K 31/40 A61K 31/44 C07D 207/06 C07D 401/12 C07D 405/12 C07D 409/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I): 【化1】 [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、
    (炭素数1〜4のアルキル)−CO−基、炭素数1〜4
    のアルキル基又はアミノ保護基であり;R3は、水素原
    子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又はOY基(Yはヒド
    ロキシ保護基)であり;そしてR4は、場合によりハロ
    ゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基及び炭素数1〜4
    のアルコキシ基から選択した置換基1〜3個で置換され
    ていることのあるフェニル基であるか、又はフラニル
    基、チエニル基及びピリジニル基から選択した複素環式
    環基である]で表される化合物又はその塩。
  2. 【請求項2】 R1及びR2が、それぞれ独立して水素原
    子、脂肪族アシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はt
    ert−ブチルオキシカルボニル基であり;R3が、ヒ
    ドロキシ基又はOY基(Yはメトキシメチル基)であ
    り;そしてR4が、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアル
    キル基及び炭素数1〜4のアルコキシ基から選択した置
    換基1〜3個で置換されているフェニル基である、請求
    項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 R1及びR2が、それぞれ独立して水素原
    子、アセチル基又はメチル基であり;R3が、ヒドロキ
    シ基であり;R4が、3,4−ジクロロフェニル基であ
    る、請求項2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 N’−tert−ブトキシカルボニルア
    ミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−[2−
    (3−(S)−メトキシメトキシピロリジン−1−イ
    ル)−1−(S)−フェニルエチル]アセトアミド;N
    −アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−
    [2−(3−(S)−メトキシメトキシピロリジン−1
    −イル)−1−(S)−フェニルエチル]アセトアミ
    ド;N−アセトアミド−2−(3,4−ジクロロフェニ
    ル)−N−[2−(3−(S)−メトキシメトキシピロ
    リジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]ア
    セトアミド;及びN’−tert−ブトキシカルボニル
    アミノ−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−[2
    −(3−(S)−メトキシメトキシ−ピロリジン−1−
    イル)−1−(S)−フェニルエチル]−N’−メチル
    アセトアミドから選択した請求項2に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 N−アミノ−2−(3,4−ジクロロフ
    ェニル)−N−[2−(3−(S)−ヒドロキシピロリ
    ジン−1−イル)−1−(S)−フェニルエチル]アセ
    トアミド;2−(3,4−ジクロロフェニル)−N’,
    N’−ジメチルアミノ−N−[2−(3−(S)−ヒド
    ロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−(S)−フェニ
    ルエチル]アセトアミド;N−アセトアミド−2−
    (3,4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−
    (S)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−1−
    (S)−フェニルエチル]アセトアミド;及び2−
    (3,4−ジクロロフェニル)−N−[2−(3−
    (S)−ヒドロキシピロリジン−1−イル)−1−
    (S)−フェニルエチル]−N−(N’−メチルアミ
    ノ)アセトアミドから選択した請求項3に記載の化合
    物。
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