JP3226605B2 - 転写層を有する成形体及びその製造方法 - Google Patents

転写層を有する成形体及びその製造方法

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JP3226605B2 JP15880592A JP15880592A JP3226605B2 JP 3226605 B2 JP3226605 B2 JP 3226605B2 JP 15880592 A JP15880592 A JP 15880592A JP 15880592 A JP15880592 A JP 15880592A JP 3226605 B2 JP3226605 B2 JP 3226605B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に転写層を有する
成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】成形体の被転写面に対して転写層を形成
する方法としては、(1) 成形体の被転写面に、熱可塑性
樹脂による転写層を熱転写する方法、(2) 成形体の被転
写面にドライラミネート用の接着剤である液状の熱硬化
型樹脂を塗布した後、転写用シートの転写層を転写する
方法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の被転写面に
対して転写層を形成する方法において、熱可塑性樹脂に
よる転写層を熱転写するものは、被転写体として熱可塑
性樹脂成形体が利用されることから、耐温水性に乏しい
だけでなく、耐摩耗性や耐汚染性等の表面物性が悪い。
【0004】また、ドライラミネート用の接着剤である
液状の熱硬化型樹脂を成形体の被転写面に適用するもの
は、熱硬化型樹脂による塗工層が具備する接着力を利用
するものであるため、粘着性及び流動性を帯びている未
硬化状態にある熱硬化型樹脂の塗工層に対して転写用シ
ートの転写層を転写することから、転写層の転写工程で
の加圧によって接着剤層をなす熱硬化型樹脂の塗工層が
流動,変形する。このため、成形体に対して転写された
転写層に亀裂,歪み,変形等が発生したり、あるいは、
形成される転写層の表面に凹凸が発生する等により、品
質の良好な転写層が得られない。
【0005】なお、熱硬化型樹脂による塗工層を接着剤
層として利用する方法において、該接着剤層をなす熱硬
化型樹脂の塗工層を完全に硬化させた後に転写を行なう
ようにすると、前述の転写層に発生する亀裂,歪,変形
等がなくなり、また、転写層の表面の凹凸の発生もなく
なるが、この場合には、接着剤層に化学反応性,熱溶着
性等が無くなっているため、転写層との間に良好な接着
力を得ることができない。
【0006】これに対して本発明は、成形体の被転写面
に形成されている熱硬化型樹脂層面に、転写用シートに
おける転写層を転写する際の熱圧によって、該熱硬化型
樹脂層が流動,変形するようなことが無く、したがっ
て、亀裂,歪み,変形等の無い高品質の転写層を有する
成形体で、しかも、転写層との間の接着力が高く、か
つ、その構成上から製造が簡単である等によって特徴付
けられる転写層を有する成形体、及び、該転写層を有す
る成形体を的確に得る方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題は、以下に記載
する構成による本発明の転写層を有する成形体及びその
製造方法によって解決される。すなわち本第1の発明
は、成形体の被転写面に、熱硬化型樹脂による半硬化状
態の非粘着性固体層を介して転写用シートの転写層が転
写されているところの転写層を有する成形体からなる。
【0008】又、本第2の発明は、被転写体として利用
される成形体の被転写面に熱硬化型樹脂の塗工層を形成
する第1工程と、該塗工層を指触乾燥することによって
未硬化状態の非粘着性固体層とする第2工程と、転写層
を有する転写用シートを、該転写用シートにおける転写
層面と前記未硬化状態の非粘着性固体層面とが接するよ
うにして、該未硬化状態の非粘着性固体層に接当させる
第3工程と、被転写体と転写用シートとの重ね合わせ体
を、前記未硬化状態の非粘着性固体層が完全には硬化す
ることのない条件の下に加熱,加圧することにより、転
写層を非粘着性固体層に転写させる第4工程と、転写用
シートにおける転写層以外の部分を剥離する第5工程と
により、成形体の被転写面に熱硬化型樹脂による半硬化
状態の非粘着性固体層を介して転写用シートの転写層が
転写されている成形体を得ることを特徴とする転写層を
有する成形体の製造方法。
【0009】前記構成による本発明の転写層を有する成
形体及びその製造方法において、被転写体として利用す
る成形体としては、例えば、木材の単材,木質合材,パ
ーティクルボード,中密度繊維板等の木質成形体、石
膏,石膏スラグ等の石膏系成形体,珪酸カルシウム,石
綿スレート等の珪酸カルシウム系成形体、軽量発泡コン
クリート,中空押出しセメント,パルプセメント,石綿
セメント,木片セメント,硝子繊維強化コンクリート等
のセメント成形体及び繊維セメント成形体、陶器,磁
器,土器,硝子,琺瑯等のセラミックス成形体、鉄,ス
テンレス鋼,亜鉛メッキ鋼,ポリ塩化ビニルゾル塗工
鋼,ステンレス鋼,アルミニウム,チタニウム,銅等の
金属成形体、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメタ
アクリル酸メチル,ポリアクリル酸メチル,ポリメタア
クリル酸エチル,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,アク
リロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体,ポリカ
ーボネート等の熱可塑性樹脂成形体、フェノール樹脂,
尿素樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹
脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂成形
体、硝子繊維製不織布,布帛,紙その他の各種の繊維質
基材に対してフェノール樹脂,尿素樹脂,不飽和ポリエ
ステル樹脂,ポリウレタン樹脂,エポキシ樹脂,メラミ
ン樹脂あるいはジアリルフタレート樹脂等の樹脂を含
浸,硬化させた所謂FRP成形体、2種以上の板等の成
形体を接着剤や熱融着法を利用して積層した複合成形体
等が利用され、箔状〜厚みあるシート状物、棒状物、射
出成形体等の立体成形体が使用される。特にアルミニウ
ムの成形体が好適である。
【0010】成形体の被転写面に形成される熱硬化型樹
脂の塗工層は、通常は熱硬化型樹脂の溶剤液のコーティ
ング層として形成されるもので、例えば未硬化状態で指
触乾燥を可能ならしめるような十分な大きさの重合度に
なっているメラミン樹脂,ジアリルフタレート樹脂,フ
ェノール樹脂,尿素樹脂,グアナミン樹脂,不飽和ポリ
エステル樹脂,ポリウレタン樹脂,エポキシ樹脂,熱硬
化型アクリル樹脂,アミノアルキッド樹脂,メラミン・
尿素共重合樹脂,珪素樹脂,ポリシロキサン樹脂等の熱
硬化型樹脂と、溶剤と、必要に応じて添加される添加
剤、例えば架橋剤,重合開始剤等の硬化剤、重合促進
剤、粘度調整剤等との混合物からなるコーティング剤に
よって形成される。特に、半硬化状態の非粘着性固体層
の接着力の点からエポキシ樹脂が好適である。
【0011】なお、このコーティング剤に利用される溶
剤は、使用される熱硬化型樹脂の種類に応じて適宜選択
されるもので、例えば、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエ
ステル類、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソ
ブチルケトン,シクロヘキサノン,イソホロン等のケト
ン類、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,さらにはこれら
の混合物であるガソリン,ミネラルスピリット,石油ベ
ンジン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン,トルエン,キシ
レン,シクロヘキサン等の芳香族炭化水素、トリクロロ
エチレン,パークロルエチレン,四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素、メチルアルコール,エチルアルコール,
イソプロピルアルコール,ブチルアルコール等の一価の
アルコール類、エチレングリコール,グリセリン等の多
価アルコール類、エチルエーテル,メチルエーテル等の
エーテル類等、さらには、これらの中の2種以上の混合
物等が利用される。
【0012】本発明で利用される転写用シートは、転写
用シート基材と転写層とからなるもので、表面が離型性
面とされている転写用シート基材と、該転写用シート基
材における離型性面に形成されている転写層とで形成さ
れている。
【0013】転写用シート基材における離型性面は、例
えば表面が離型性を有するプラスチックシートの場合に
は、該シートをそのまま転写用シート基材として利用し
得るが、通常は、プラスチックシートの表面に弗素樹脂
やシリコーン等による処理を施すことによって、該処理
面を離型性面としたものが使用される。
【0014】転写層を有する転写用シートを、被転写体
の被転写面である未硬化状態の非粘着性固体層に接当さ
せた後に、被転写体と転写用シートとの重ね合わせ体
を、前記未硬化状態の非粘着性固体層が完全に硬化する
ことのないような条件の下に加熱,加圧することによ
り、転写層を非粘着性固体層に転写させる工程は、転写
用シートにおける転写層が有する接着力、または、転写
用シートに接着剤層が形成されている場合には、該接着
剤層が有する接着力を活性化させ得る温度及び時間の処
理工程であり、通常、80〜180℃程度の数秒間の加
熱工程で十分である。
【0015】特に、本発明の転写層を有する成形体を、
外装用,浴室内等の内装用,ブラインド用等の窓周辺材
材等のように、耐熱性と耐水性とを兼備することが必要
とされるような用途に利用する場合には、転写用シート
基材の表面に、硝子転移点が60℃以上の樹脂によって
剥離層を予め形成して置くことが好ましく、転写層の1
部をなす剥離層による表面保護層の作用によって、温水
や日光等による転写層の剥離やブリスターの発生等を防
止し得る成形体にするのが良い。
【0016】なお、前記剥離層は、熱可塑性樹脂,熱硬
化型樹脂,電離放射線硬化型樹脂により、通常0.1〜
10μ程度の厚さで形成されていることが好ましく、熱
硬化型樹脂や電離放射線硬化型樹脂による剥離層の場合
は、完全硬化した状態の剥離層として転写用シート基材
の表面に存在しているものが利用される。
【0017】転写用シートにおける剥離層に利用される
熱硬化型樹脂としては、例えば、メラミン樹脂,ジアリ
ルフタレート樹脂,フェノール樹脂,尿素樹脂,グアナ
ミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹
脂,エポシシ樹脂,アミノアルキッド樹脂,メラミン・
尿素共重合樹脂,珪素樹脂,ポリシロキサン樹脂等であ
る。
【0018】また、転写用シートにおける剥離層として
形成される電離放射線硬化型樹脂としては、分子中に重
合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマ
ー、オリゴマー、及び/ 又は単量体等による混合樹脂組
成物が利用される。なお、前記プレポリマーやオリゴマ
ーの具体例は、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと
の縮合物等による不飽和ポリエステル類をはじめ、ポリ
エステルメタクリレート,ポリエーテルメタクリレー
ト,ポリオールメタクリレート,メラミンメタクリレー
ト等によるメタクリレート類、ポリエステルアクリレー
ト,エポキシアクリレート,ウレタンアクリレート,ポ
リエーテルアクリレート,ポリオールアクリレート,メ
ラミンアクリレート等によるアクリレート類等が利用さ
れる。
【0019】さらに、単量体の具体例は、スチレン,α
・メチルスチレン等によるスチレン系単量体、アクリル
酸メチル,アクリル酸−2−エチルヘキシル,アクリル
酸メトキシエチル,アクリル酸ブトキシエチル,アクリ
ル酸ブチル,アクリル酸メトキシブチル,アクリル酸フ
ェニル等によるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メ
チル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メ
タクリル酸メトキシエチル,メタクリル酸エトキシメチ
ル,メタクリル酸フェニル等によるメタクリル酸エステ
ル類、アクリル酸−2−(N,N −ジエチルアミノ)エチ
ル,メタクリル酸−2−(N,N −ジメチルアミノ)エチ
ル,アクリル酸−2−(N,N −ジベンジルアミノ)エチ
ル,メタクリル酸−2−(N,N −ジメチルアミノ)メチ
ル,アクリル酸−2−(N,N −ジエチルアミノ)プロピ
ル等による不飽和酸の置換アミノアルコールエステル
類、アクリルアミド,メタクリルアミド等による不飽和
カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレー
ト,プロピレングリコールジアクリレート,ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート,1,6−ヘキサンジオー
ルジアクリレート,ジエチレングリコールジアクリレー
ト,トリエチレングリコールジアクリレート等のジアク
リレート化合物、ジプロピレングリコールジアクリレー
ト,エチレングリコールアクリレート,プロピレングリ
コールジメタクリレート,ジエチレングリコールジメタ
クリレート等による多官能性化合物、トリメチロールプ
ロパントリチオグリコレート,トリメチロールプロパン
トリチオプロピレート,ペンタエリスリトールテトラチ
オグリコール等による分子中に2個以上のチオール基を
有するポリチオール化合物、等である。
【0020】なお、電離放射線硬化型樹脂による剥離層
は、通常、前述のプレポリマー又はオリゴマーの5〜9
5重量%と、単量体及び/又はポリチオール化合物の9
5〜5重量%との混合組成物によって形成される。
【0021】さらに、電離放射線硬化型樹脂によって剥
離層を形成する場合に、該剥離層を紫外線の照射によっ
て硬化させる際には、例えば、アセトフェノン類,ベン
ゾフェノン類,ミヒラーベンゾイルベンゾエート,α・
アミロキシムエステル,テトラメチルメウラムモノサル
ファイド,チオキサントン類等による光重合開始剤と、
必要に応じて添加される光増感剤、例えば、n−ブチル
アミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルホスフィ
ン等による光増感剤とを含有するコーティング剤が利用
されることは勿論である。
【0022】転写用シート基材の離型性面に形成される
転写層は少なくとも装飾層を具備するものであり、必要
に応じて、転写用シート基材に直接形成される先の剥離
層や、装飾層の上に形成される接着剤層等を具備する積
層構成による転写層が利用される。
【0023】装飾層は、印刷インキによる印刷層を初
め、アルミニウムやクロム等による金属膜層等からな
り、全面のベタ装飾層であっても、あるいは、木目,石
目,水玉,格子柄,文字,図形等を表現する部分模様
層、さらには、全面のベタ装飾層と部分模様層との組み
合わせからなるものであっても良い。なお、印刷インキ
による印刷層は、装飾層に対して耐温水性及び耐熱性を
具備させる目的で、特に硝子転移温度60℃以上の樹脂
をベヒクルとする印刷インキで形成することが好まし
い。
【0024】転写用シートにおける転写層の最上層をな
す接着剤層は、先の剥離剤層と同様に必要に応じて形成
されるものであり、例えば、装飾層に熱可塑性樹脂が含
有されていることによって該装飾層が熱溶着性能を有す
るような場合には、接着剤層は必ずしも必要では無い
が、装飾層が金属蒸着層からなる場合にように、装飾層
自体に熱溶着性能の無い場合には接着剤層は不可欠にな
る。
【0025】接着剤層には、感熱接着剤や溶剤活性型接
着剤等が利用され、以下に説明するようなものが使用さ
れる。
【0026】エチルセルロース,硝酸セルロース,エチ
ルヒドロキシエチルセルロース,セルロースアセテート
プロピオネート,酢酸セルロース等のセルロース誘導
体、ポリスチレン,ポリ−α−メチルスチレン等のスチ
レン樹脂及びスチレン共重合体樹脂、ポリメタクリル酸
メチル,ポリメタクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチ
ル,ポリアクリルブチル等のアクリル等のアクリル系樹
脂、ポリ塩化ビニル,ポリ酢酸ビニル,塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体,ポリビニルブチラール樹脂等のビニ
ル重合体、ロジン,ロジン変性マレイン酸樹脂,ロジン
変性フェノール樹脂,重合ロジン等のロジンエステル樹
脂、ポリイソプレンゴム,ポリイソブチルゴム,スチレ
ン・ブタジエンゴム,ブタジエン・アクリロニトリルゴ
ムとのゴム系樹脂、クマロン樹脂,ビニルトルエン樹
脂,ポリウレタン,ポリアミド樹脂,ポリ塩素化オレフ
ィン,各種アイオノマー等のその他の樹脂、さらには、
これらの混合物等、
【0027】なお、前記接着剤層は、被転写体に転写し
た転写層に耐温水性及び耐熱性を具備させる目的で、特
に硝子転移温度90℃以上の樹脂で形成することが好ま
しい。
【0028】本発明において、被転写体として利用され
る成形体の被転写面に熱硬化型樹脂の塗工層を形成した
後に、該塗工層を指触乾燥することによって未硬化状態
の非粘着性固体層となす工程は、塗工層中の溶剤の1部
または全部を揮発させることにより、塗工層の表面を指
触乾燥状態にするものであって、この乾燥工程において
は、塗工層に利用されている熱硬化型樹脂が完全には硬
化することのないようにする。
【0029】すなわち、成形体の被転写面に対して熱硬
化型樹脂の塗工層を形成した後の乾燥工程においては、
該塗工層は、塗工層中の残留溶剤成分が揮発して指触乾
燥状態となっており、塗工層の流動性や表面の粘着性は
無くなっているが、塗工層における樹脂自体は少なくと
も完全硬化には至らずに熱可塑性を保持している状態と
なっているように、放置あるいは加熱乾燥するのが良
い。
【0030】転写層を有する転写用シートを、被転写体
の被転写面である未硬化状態の非粘着性固体層に接当さ
せた後に、被転写体と転写用シートとの重ね合わせ体
を、前記未硬化状態の非粘着性固体層が完全に硬化する
ことのないような条件の下に加熱,加圧することによ
り、転写層を非粘着性固体層に転写させる工程は、転写
用シートにおける転写層が有する接着力、または、転写
用シートに接着剤層が形成されている場合には、該接着
剤層が有する接着力を活性化させる温度での加熱工程で
あり、例えば、熱ローラー転写,真空プレス転写等で、
80〜180℃,数秒間の処理で十分である。
【0031】
【作用】本発明の転写層を有する成形体は、耐熱性,耐
水性,耐摩耗性等に良好な性質を有し、かつ、転写層に
よる絵柄に流動,歪み,亀裂等が無く、しかも、被転写
体である成形体の被転写面をなす半硬化状態の非粘着性
固体層を、転写層の転写後に完全硬化させるものでは無
いので、高温での長時間の加熱処理のための設備等も不
要であり、製造工程数が少なく、大幅なコストダウンに
繋る。
【0032】また、本発明の転写層を有する成形体の製
造方法は、前述の特性を有する成形体を的確に得られ
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明の転写層を有する成形体及びそ
の製造方法の具体的な構成を、製造実施例を以って説明
する。
【0034】「実施例1」 (1) 転写用シートの作成:厚さ26μのポリエチレンテ
レフタレートフィルム「東レ (株) :X−45」からな
る転写用シート基材の表面に、アクリル系樹脂による厚
さ2μの剥離層を形成し、該剥離層の表面に、アクリル
樹脂と塩・酢ビ樹脂とのビヒクルに顔料を添加した着色
インキにより厚さ2μの格子柄の絵柄層と、顔料を混入
したアクリル系樹脂による厚さ2μの着色ベタ刷りによ
る下刷り層兼接着剤層とを、順次、グラビアコート法に
よって形成した後、60℃,1分間の加熱乾燥に付し、
表面がタックの無い状態にある転写用シートを得た。
【0035】(2) 被転写体の準備:厚さ0.15mmの
アルミニウム板「昭和アルミ (株) 製」の表面に、シリ
カ10重量%を含有する硬化型エポキシ樹脂のコーティ
ング剤を塗工し、100℃で5分間の加熱乾燥を行なう
ことにより、厚さ20μの熱硬化型樹脂の塗工層が被転
写面に形成されているアルミニウム板からなる被転写体
を得た。なお、硬化型エポキシ樹脂の塗工層の表面は指
で触ってもタックの無い状態であり、半硬化状態の非粘
着性固体層からなる。
【0036】(3) 転写工程:被転写体の硬化型エポキシ
樹脂の塗工層面と転写用シートの下刷り層兼接着剤層面
とを接当させた状態で、10m/min の速度で200℃の
加熱下を2回通過させることからなるロール転写を行な
った。
【0037】(4) 転写用シート基材の剥離工程:次い
で、転写用シートにおける転写用シート基材(ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)を剥離することにより、
着色ベタ刷りによる下刷り層兼接着剤層と格子柄の絵柄
層と剥離層とを、被転写体の表面の半硬化状態の非粘着
性固体層である硬化型エポキシ樹脂の塗工層面に転写さ
せ、目的の転写層を有する成形体を得た。なお、得られ
た成形体においては、アクリル系樹脂による厚さ2μの
剥離層が転写層における保護層としての作用を果たして
いる。
【0038】「比較例1」 (1) 転写用シートの作成:厚さ26μのポリエチレンテ
レフタレートフィルム「東レ (株) :X−45」からな
る転写用シート基材の表面に、アクリル系樹脂による厚
さ2μの剥離層を形成し、該剥離層の表面に、アクリル
樹脂と塩・酢ビ樹脂とのビヒクルに顔料を添加した着色
インキにより厚さ2μの格子柄の絵柄層と、顔料を混入
したアクリル系樹脂による厚さ2μの着色ベタ刷りによ
る下刷り層兼接着剤層とを、順次、グラビアコート法に
よって形成した後、60℃,1分間の加熱乾燥に付し、
表面がタックの無い状態の転写用シートを得た。
【0039】(2) 被転写体の準備:厚さ0.15mmの
アルミニウム板「昭和アルミ (株) 製」の表面に、アク
リルポリオールにトリレンジイソシアネートを混合した
未硬化状態のポリウレタンによるコーティング剤を塗工
した後、乾燥によって溶剤のみを蒸発させることによ
り、未硬化状態でかつ未だ粘着性を帯びた塗工層が被転
写面に形成されているアルミニウム板からなる被転写体
を得た。
【0040】(3) 転写工程:被転写体の熱硬化型樹脂の
塗工層面と転写用シートの下刷り層兼接着剤層面とを接
当させた状態で、150℃の加熱ゴムロールでの加圧を
10m/min の走行速度で行なった。
【0041】(4) 転写用シート基材の剥離工程:次い
で、転写用シートにおける転写用シート基材(ポリエチ
レンテレフタレートフィルム)を剥離することなく、
(3) 工程で得られた積層シートのままで40℃で3日間
の養生を行ない、ポリウレタンが完全硬化した後に、転
写用シートにおける転写用シート基材(ポリエチレンテ
レフタレートフィルム)を剥離し、着色ベタ刷りによる
下刷り層兼接着剤層と格子柄の絵柄層とが被転写体の熱
硬化型樹脂の塗工層面に転写されている比較のための転
写層を有する成形体を得た。
【0042】なお、比較例で得られた転写層を有する成
形体は、転写工程でのローラー圧と未硬化状態のポリウ
レタン塗工層との作用により、着色部及び絵柄層の1部
が溶出し、着色層に斑が発生しており、また、絵柄層に
ボヤケが発生したが、実施例品にはこれらの不手際が無
く、高品質の転写層が得られた。
【0043】
【効果】本発明の転写層を有する成形体によれば、高品
質特性の転写層を具備する成形体を廉価に供給し得る。
【0044】また、本発明の転写層を有する成形体の製
造方法によれば、高品質特性の転写層を具備する成形体
が、容易、かつ、確実に得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形体の被転写面に、熱硬化型樹脂によ
    る半硬化状態の非粘着性固体層を介して転写用シートの
    転写層が転写されていることを特徴とする転写層を有す
    る成形体。
  2. 【請求項2】 被転写体として利用される成形体の被転
    写面に熱硬化型樹脂の塗工層を形成する第1工程と、該
    塗工層を指触乾燥することによって未硬化状態の非粘着
    性固体層とする第2工程と、転写層を有する転写用シー
    トを、該転写用シートにおける転写層面と前記未硬化状
    態の非粘着性固体層面とが接するようにして、該未硬化
    状態の非粘着性固体層に接当させる第3工程と、被転写
    体と転写用シートとの重ね合わせ体を、前記未硬化状態
    の非粘着性固体層が完全には硬化することのない条件の
    下に加熱,加圧することにより、転写層を非粘着性固体
    層に転写させる第4工程と、転写用シートにおける転写
    層以外の部分を剥離する第5工程とにより、成形体の被
    転写面に熱硬化型樹脂による半硬化状態の非粘着性固体
    層を介して転写用シートの転写層が転写されている成形
    体を得ることを特徴とする転写層を有する成形体の製造
    方法。
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