JP3222489B2 - 3相3線式の中性点クランプ式インバータの制御方法 - Google Patents

3相3線式の中性点クランプ式インバータの制御方法

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JP3222489B2 JP15846591A JP15846591A JP3222489B2 JP 3222489 B2 JP3222489 B2 JP 3222489B2 JP 15846591 A JP15846591 A JP 15846591A JP 15846591 A JP15846591 A JP 15846591A JP 3222489 B2 JP3222489 B2 JP 3222489B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3相3線式の交流負荷
に可変電圧可変周波数の電力供給するパルス幅変調制御
(PWM制御)の中性点クランプ式インバータの制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10(a)は、従来の3相3線式の中
性点クランプ式インバータの主回路構成図を示すもので
あるが、ここでは、1相分(U相分)のみを示し、3相
出力インバータの場合、V,W相も同様に構成される。
【0003】直列接続された4つの自己消弧素子S1
4 と、この各自己消弧素子S1 〜S4 にそれぞれ逆並
列に接続されたフリーホイリングダイオードD1 〜D4
と、自己消弧素子S2 ,S3 に並列であって、これらの
極性とは逆で直列に接続された2つのクランプ用ダイオ
ードD5 ,D6 とで構成され、その入力側には直流電圧
源Vd1,Vd2が接続され、その出力側に負荷LOADが
接続される。
【0004】また、制御回路として、図10(b)に示
すように、比較器CU ,C1 ,C2 、電流制御補償回路
u (S)、三角波発生器TRG、シュミット回路SH
1 ,SH2 が用意されている。
【0005】このインバータの出力電圧VU は、4つの
素子S1〜S4 をオン,オフさせることによって、次の
ように変化する。ただし、全体の直流電圧をVd とし、
d1=Vd2=Vd /2とする。すなわち、 S1 とS2 がオンのとき、VU =+Vd /2 S2 とS3 がオンのとき、VU =0 S3 とS4 がオンのとき、VU =−Vd /2 となる。この時、素子は2個ずつオンさせなければなら
ない。3個同時に素子がオンになると、直流電源を短絡
し、過電流によって素子を破壊してしまう。例えば、S
1 〜S3 に同時にオン信号が入ると、直流電圧Vd1を素
子S1 →S2 →S3 →ダイオードD6 で短絡し、過大な
短絡電流が素子に流れ、素子を壊してしまう。
【0006】このような直流短絡を防止するため、素子
1 とS3 を逆動作させ、素子S2 とS4 を逆動作させ
ている。すなわち、S1 がオンのときはS3 をオフさ
せ、S3 がオンのときはS1 をオフさせている。同様
に、S2がオンのときはS4 をオフさせ、S4 がオンの
ときはS2 をオフさせている。
【0007】負荷電流IU は次のように制御される。
【0008】すなわち、図10(a)に示すように電流
検出器CTU により検出した負荷電流IU を、図10
(b)に示す比較器CUに入力し、指令値IU * と比較
する。その偏差εU を電流制御補償回路GU (S)で増
幅し、パルス幅変調制御(PWM制御)の入力信号ei
を作る。TRGはPWM制御の搬送波X,Yを出力し、
比較器C1 ,C2 により、前記入力信号ei と比較し、
シュミット回路SH1 ,SH2 を介して、素子S1 〜S
4 のゲート信号g1 ,g2 を作る。
【0009】IU * >IU となった場合、偏差εU は正
の値となり、 PWM制御入力信号ei の値を大きくす
る。中性点クランプ式インバータはこの入力信号に比例
した電圧VU を発生し、負荷電流IU を増加させ、IU
=IU * となるように制御される。逆に、IU * <IU
となった場合、偏差εU は負の値となり、PWM制御入
力信号ei の値を小さくする。故に、インバータの出力
電圧VUが増加し、負荷電流IU を増加させ、やはり、
U =IU * となるように制御される。
【0010】図11は、従来の中性点クランプ式インバ
ータのパルス幅変調制御動作を説明するためのタイムチ
ャートである。
【0011】図中、X,YはPWM制御の搬送波信号
で、X(実線)は0〜+Emax の間で変化する三角波、
Y(破線)は0〜−Emax の間で変化する三角波であ
る。また、ei はPWM制御入力信号である。
【0012】入力信号ei と三角波X,Yとを比較し、
素子S1〜S4 のゲート信号g1 ,g2 を作る。すなわ
ち、 ei >Xのとき、g1 =1で、S1 :オン(S3 :オ
フ) ei ≦Xのとき、g1 =0で、S1 :オフ(S3 :オ
ン) ei <Yのとき、g2 =1で、S4 :オン(S2 :オ
フ) ei ≧Yのとき、g2 =0で、S4 :オフ(S2 :オ
ン) となる。
【0013】この結果、出力電圧VU は、図の最下段の
ようになる。このように、中性点クランプ式インバータ
では、出力電圧VU として、3レベル(+Vd /2,
0,−Vd /2)の電圧が得られ、高調波成分の少ない
電圧波形となる。電動機負荷の場合、電流の脈動は小さ
くなり、トルクリプルも低減できる利点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の中性点
クランプ式インバータの制御方法は、次のような問題点
がある。
【0015】図12は、図11と同様に従来のPWM制
御方法を説明するためのタイムチャートを示すもので、
入力信号ei が非常に小さいときの動作を表す。
【0016】入力信号ei が小さいときゲート信号
1 ,g2 のパルス幅が狭くなる。この幅がインバータ
を構成する自己消弧素子S1 〜S4 の最小オン時間Δt
よりも狭くなった場合に問題が発生する。
【0017】すなわち、大容量のインバータでは、自己
消弧素子としてGTO(ゲートターンオフサイリスタ)
などが使われ、ターンオフ時の過電圧を抑制するためス
ナバ回路が設置される。このスナバ回路のコンデンサの
電圧を初期化する(放電させる)ため、GTOをオンさ
せた時、一定時間(最小オン時間Δt:例えば100マ
イクロ秒程度)オン状態を維持しなければならない。
【0018】図12の場合、入力信号ei が小さくな
り、ゲート信号g1 =1の期間、すなわち素子S1 がオ
ン(S3 がオフ)する期間が上記最小オン時間Δtより
も短くなっている。従って、素子の最小オン時間を確保
するため、 ゲート信号g1 はg1 ′ように補正され
る。同様に、ゲート信号g2 もg2 ′のように補正さ
れ、出力電圧VU は最下段の波形になる。出力電圧の平
均値VU は破線で示すように、入力信号ei の値に関係
なく正または負の一定値になってしまう。
【0019】すなわち、従来の中性点クランプ式インバ
ータでは、入力信号ei のレベルが低くなった場合、当
該入力信号ei の値に関係なく出力電圧VU が一定値に
なってしまい、負荷電流IU を制御することができなく
なる。特に、出力周波数が低い時にはこの電圧誤差が積
算されて負荷電流IU を増大させ、最悪の場合素子を破
壊することにもなる。
【0020】本発明は以上の問題点に鑑みてなされたも
ので、素子の最小オン時間を確保しつつ、PWM制御の
入力信号の大きさに関係なく全ての領域でPWM制御を
可能にし、3相3線式の交流負荷にリプルの少ない正弦
波電流を供給できる中性点クランプ式インバータの制御
方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに本発明方法は以下のようにしている。すなわち、請
求項1に対応する発明は、パルス幅変調制御の3相入力
信号eU ,eV ,eW の振幅値Em が小さいとき、各入
力信号eU ,eV ,eW に 直流バイアス電圧
b(DC) 、あるいは直流バイアス電圧eb(DC) および交
流バイアス電圧eb(AC) のいずれかを加え、振幅値Em
が大きくなったとき、当該バイアス電圧を零にしたこと
を特徴とする方法である。
【0022】請求項2に対応する発明は、 パルス幅変
調制御の3相入力信号eU ,eV ,eW のうち、1相の
入力信号の絶対値がある基準レベルEG より小さくなっ
たとき、当該相の入力信号を零あるいは正または負の一
定値EG のいずれかに固定し、その間、中性点クランプ
式インバータの3相出力電流を他の2相でパルス幅変調
制御したことを特徴とする方法である。
【0023】請求項3に対応する発明は、 パルス幅変
調制御の3相入力信号eU ,eV ,eW の振幅値Em
小さいとき、各入力信号eU ,eV ,eW に直流バイア
ス電圧eb(DC) あるいは直流および交流の和のバイアス
電圧eb(DC) +eb(AC) を加えてパルス幅変調制御し、
振幅値Em が大きくなったとき、当該バイアス電圧を零
にし、かつ3相入力信号eU ,eV ,eW のうち、1相
の入力信号の絶対値がある基準レベルEG より小さいと
き、当該相の入力信号を零あるいは正または負の一定値
G のいずれかに固定し、その間、中性点クランプ式イ
ンバータの3相出力電流を他の2相でパルス幅変調制御
したことを特徴とする方法である。
【0024】
【作用】本発明は、3相3線式の負荷に可変電圧可変周
波数の電力を供給する中性点クランプ式インバータの制
御方法に関するもので、PWM制御入力信号の振幅は値
が小さいとき、当該入力信号にバイアス電圧を加え、素
子の最小オン時間よりゲートパルス幅が常に長くなるよ
うにして、制御不能に陥らないようにしている。このバ
イアス電圧は直流バイアスが基本になるが、わずかな交
流バイアス電圧を重畳させて、インバータの利用率を向
上させることも行われる。
【0025】3相の入力信号に同じバイアス電圧を加え
ることにより、負荷の中性点の電位がバイアスされるこ
とになるが、3相線間電圧としては、当該バイアス電圧
は打ち消し合い、出力電流を連続して制御することが可
能となる。
【0026】前記3相PWM制御入力信号の振幅値が大
きくなった場合、前記バイアス電圧を零にし、通常のP
WM制御を行う。この場合、当該各相入力信号の瞬時値
は零点をよこぎり、制御不能領域を通過する。しかし、
3相入力信号の全てが同時に零点をよこぎるのではな
く、どれか1相分が零点をよこぎっているときは他の2
相の入力信号は十分に大きく、PWM制御可能となって
いる。3相3線式の負荷電流は3相のうち2相分を制御
すれば、あとの1相分は自動的に決定される。故に、ど
れか1相分の入力信号が零点近くにあるとき、他の2相
によって負荷電流を制御し、結果的に3相電流を指令値
に一致するように制御している。
【0027】1相分の入力信号が零点近くにあるとき、
当該相の出力電圧は正または負の一定値になり、他の相
の電流制御に対して外乱を与えることになる。そこで、
この外乱を打ち消すような補償電圧を他の2相のPWM
制御入力信号に加えている。
【0028】このようにして、PWM制御入力信号が小
さいときでも大きいときでも3相負荷電流を連続して制
御することができるようになり、従来の問題点をなくす
ことができる。
【0029】
【実施例】図1は、本発明の制御方法の第1の実施例を
説明するための3相3線式の中性点クランプ式インバー
タ装置の構成図である。これは、概略3相3線式の交流
負荷例えば3相交流電動機Mと、3相出力を得る中性点
クランプ式インバータINVと、当該インバータINV
の出力電流を電流検出器CTU ,CTV ,CTW により
検出し、指令値に一致するように制御する手段例えば比
較器Cd ,Cq 、電流制御補償回路Gd (S),G
q (S)、座標変換器VEC−1、VEC−2、と、
当該電流制御手段からの信号を入力信号とするパルス幅
変調制御回路PWMU ,PWMV ,PWMW と、当該パ
ルス幅変調制御回路の入力信号にバイアス電圧を加える
手段例えばバイアス回路BIAS、加算器AU ,AV
W と、当該バイアス電圧を入り切りする手段(図示せ
ず)とを具備している。
【0030】図1(a)は主回路図であり、これは前述
した従来の単相中性点クランプ式インバータが3組設け
られ、3相3線式の負荷に接続された構成となってい
る。すなわち、その内の一つは、直列接続された4つの
自己消弧素子S11〜S14と、この各自己消弧素子S11
14にそれぞれ逆並列に接続されたフリーホイリングダ
イオードD11〜D14と、前記自己消弧素子S12,S13
2つに並列であって、これらの極性とは逆で直列に接続
された2つのクランプ用ダイオードD15,D16とで構成
された3レベルの出力電圧を発生するようになってい
る。
【0031】同様に、他の2組の単相中性点クランプ式
インバータも、自己消弧素子S21〜S24、S31〜S34
フリーホイリングダイオードD21〜D24、D31〜D34
よびクランプ用ダイオードD25,D26、D35,D36で構
成されている。このような構成の中性点クランプ式イン
バータ本体INVの入力側には直流電圧源Vd ,Vd1
d2が接続され、その出力側に3相交流電動機M(負荷
LOAD)が接続される。そして、各自己消弧素子S11
〜S14、S21〜S24、S31〜S34がPWM制御されるよ
うになっている。
【0032】また、制御回路として、図1(b)に示す
ように比較器Cd ,Cq 、電流制御補償回路G
d (S),Gq (S)、座標変換器VEC−1,VEC
−2、加算器AU ,AV ,AW 、バイアス回路BIA
S、PWM制御回路PWMU ,PWMV ,PWMW が用
意されている。
【0033】3相負荷電流IU ,IV ,IW を図1
(a)の電流検出器CTU ,CTV ,CTW により検出
し、座標変換器VEC−1により、d−q座標の電流I
d ,Iq に変換する。d−q座標は電動機の回転子の回
転に同期した座標系で、d軸は界磁極の座標となる。こ
のようにして変換された電流Id,Iq は直流量とな
り、一般に、Id は励磁電流(界磁電流)成分、Iq
トルク電流成分を表す。
【0034】比較器Cd には、電動機の励磁電流指令値
d * と上記励磁電流検出値Id が入力され、偏差εd
=Id * −Id が求められる。また、比較器Cq には、
電動機のトルク電流指令値Iq * と上記トルク電流検出
値Iq が入力され、偏差εq =Iq * −Iq が求められ
る。これらの偏差εd ,εq はそれぞれ電流制御補償回
路Gd (S),Gq (S)により増幅され、信号ed
q となる。この信号ed ,eq は座標変換器VEC−
2により、再び3相交流量eU ,eV ,eW に逆変換さ
れる。
【0035】一方、バイアス回路BIASは一定のある
いは可変の直流バイアス電圧eb を発生し、加算器
U ,AV ,AW に入力する。加算器AU は3相交流量
U とバイアス電圧eb を加算し、eU1=eU +eb
U相のPWM制御回路PWMU に入力する。V相,W相
も同様である。このバイアス電圧eb は3相交流量
U ,eV ,eW の振幅が小さいときにだけ加えられ、
振幅が大きくなったときに、バイアス電圧eb は零にさ
れる。
【0036】図2は、バイアス電圧eb を加えたときの
PWM制御入力信号eU1,eV1,eW1と三角波Xの関
係を示す。−EG 〜EG は素子の最オン時間から決ま
る制御不能範囲を示している。正のバイアス電圧eb
加えることにより、入力信号eU1,eV1,eW1は三角波
Xの最大値Emax より小さく、レベルEG より大きい範
囲に入るようになる。インバータの出力電圧VU
V ,VW は、当該入力信号eU1,eV1,eW1に比例し
た値となる。
【0037】3相3線式の負荷Mでは、線間電圧によっ
て負荷電流が決まり、各相のバイアス電圧はキャンセル
される。すなわち、線間電圧VUV,VVW,VWUは、kを
比例定数として、それぞれ、次のようになる。
【0038】 VUV=VU −VV =k・(eU1−eV1) =k・(eU +eb −eV −eb ) =k・(eU −eV ) VVW=VV −VW =k・(eV1−eW1) =k・(eV +eb −eW −eb ) =k・(eV −eW ) VWU=VW −VU =k・(eW1−eU1) =k・(eW +eb −eU −eb ) =k・(eW −eU ) このように、3相3線式の負荷に印加される線間電圧V
UV,VUW,VWUは当初の制御入力eU ,eV ,eW にだ
け関係し、バイアス電圧eb とは無関係になる。しか
も、制御不能領域には引っかからず、連続して負荷電流
を制御できるようになる。
【0039】前記3相交流量eU ,eV ,eW の振幅が
大きくなった場合、前記バイアス電圧eb を零にする。
【0040】図3は、バイアス電圧eb を零にしたとき
の、図1の装置のPWM動作を示すタイムチャートであ
る。図中、X,Yはそれぞれ正側および負側の三角波
(搬送波)、eU1,eV1,eW1はeb =0としたときの
PWM制御入力信号、 VU ,VV ,VW はインバータ
の出力相電圧を示す。 入力信号eU1が制御不能領域−
G 〜EG の中に入ると、ゲート信号のパルス幅は一定
になり、出力電圧VU はVG または−VG の一定値にな
る。他の相の出力電圧も同様になる。すなわち、出力電
圧VU ,VV ,VW の斜線で示した部分は負荷電流制御
から見たとき、外乱として作用する。
【0041】しかし、例えば、電圧VU のa点からb点
の間、U相電圧VU は制御不能になるが、このとき、V
相およびW相の電圧VV ,VW は制御可能な領域にあ
り、電流制御を行うと、当該電圧VV ,VW が補正され
て、負荷電流は正弦波に近い波形に制御される。
【0042】この制御不能期間(a−b)は、入力信号
U1の振幅Em が大きいほど、短くなり、外乱の影響も
小さくなる。従って、できるだけ振幅Em が大きくなっ
たところで、バイアス電圧eb を零にするのが望まし
い。
【0043】図4は、バイアス電圧eb として、直流分
b(DC) の他に、出力周波数に同期した第3高調波電圧
b(AC) を重畳させたもので、その結果、PWM制御入
力信号eU1′,eV1′,eW1′の振幅値は図2の入力信
号eU1,eV1,eW1の振幅値より小さくなっている。従
って、その分だけ当初の信号eU ,eV ,eW の振幅を
増やすことができ、当該信号eU ,eV ,eW の振幅が
大きいところで、前記バイアス電圧eb を零に切り換え
ることができる。すなわち、バイアス電圧として、直流
分の他に交流成分を加えることにより、当該バイアス電
圧を零にしたときの外乱を小さくすることができる。
【0044】図5は本発明の制御方法の第2の実施例を
説明するための制御回路ブロック図である。図中、BI
ASはバイアス電圧発生器、A1 〜A12は加減算器、H
1 〜H3 は信号補正回路、PWMU ,PWMV ,PWM
W はPWM制御回路である。
【0045】バイアス電圧発生器BIASは3相入力信
号eU ,eV ,eW の振幅値Em が小さいとき、バイア
ス電圧eb を発生し、当該振幅値が大きくなった場合、
b =0とする。
【0046】加算器A1 〜A3 によって、各入力信号e
U ,eV ,eW にバイアス電圧eb が加えられ、それぞ
れeU1=eU +eb ,eV1=eV +eb ,eW1=eW
b の信号が出力される。
【0047】図6は図5の信号補正回路H1 〜H3 の入
出力特性を表すもので、 入力信号e1 が0〜EG のな
かにある時は、出力信号e2 =EG とし、入力信号e1
が0〜−EG のなかにある時は、出力信号e2 =−EG
とし、その他の領域にある時は、e2 =e1 としてい
る。ここで、EG は前述の制御不能領域を考慮した一定
値である。
【0048】図5において、減算器A4 は信号補正回路
1 の出力信号eU2と入力信号eU1の差を計算し、Δe
U =eU2−eU1を求めている。同様に、減算器A5 ,A
6 はそれぞれΔeV =eV2−eV1,ΔeW =eW2−eW1
を計算する。これらの差電圧ΔeU ,ΔeV ,Δe
W は、前述の制御不能領域に伴う外乱電圧に比例する量
となっている。
【0049】U相の信号補正回路H1 の出力信号e
U2は、加算器A7 ,A8 を介して前記差電圧ΔeV およ
びΔeW が加算され、eU3=eU2+ΔeV +ΔeW とし
て、PWM制御回路PWMU に入力される。
【0050】V相およびW相の入力信号も同様に、それ
ぞれ、加算器A9 ,A10およびA11,A12を介して、 eV3=eV2+ΔeU +ΔeW W3=eW2+ΔeU +ΔeV となる。
【0051】図7に、上記のようにして求められたPW
M制御入力信号eU3,eV3,eW3の波形を示す。ただ
し、当初の入力信号eU ,eV ,eW の振幅値が大きく
なった状態で、バイアス電圧eb が零の場合を示す。
【0052】入力信号eU1,eV1,eW1が制御不能領域
−EG 〜EG の間にある時は、信号補正回路H1 〜H3
によって−EG またはEG のどちらかに一定値に固定さ
れる。例えば、U相の信号eU2が一定値に固定されてい
る期間は前記差電圧ΔeU の分だけ外乱となり、インバ
ータの出力電流を乱すので、当該外乱電圧分ΔeU を打
ち消すように他のV相およびW相の入力信号eV2,eW2
に加えている。すなわち、最終的にPWM制御入力信号
U3,eV3,eW3は図7に示すようになり、1相がPW
M制御不能になっているとき、他の2相がそれを補うよ
うにPWM制御することができ、しかも、前記外乱によ
る影響をなくすことができる。
【0053】図5において、当初の入力信号eU
V ,eW の振幅値が小さい場合、バイアス電圧eb
加算され、信号補正回路H1 〜H3 の入力eU1,eV1
W1は常に制御不能領域の外にあり、 信号補正回路H
1 〜H3 の出力信号eU2,eV2,eW2は入力信号eU1
V1,eW1に等しくなる。故に、差電圧ΔeU ,Δ
V ,ΔeW はこのとき零になり、PWM制御入力信号
U3,eV3,eW3は、 eU3=eU1=eU +eb V3=eV1=eV +eb W3=eW1=eW +eb となる。このときの動作は図1および図2で説明した動
作となり、3相負荷電流を連続して制御することができ
る。
【0054】図8は、図5の信号補正回路H1 〜H3
入出力特性の別の例を示すもので、入力e1 が制御不能
領域−EG〜EG の間にある時、出力e2 を零にしてい
る。その間、PWM制御入力は零となり、ゲートパルス
を発生せず、出力電圧も零になる。
【0055】図9は、図8の特性を持つ信号補正回路H
1 〜H3を用いたときの 差電圧ΔeU ,ΔeV ,Δe
W とPWM制御入力信号eU3,eV3,eW3の各波形を示
す。ただし、当初の入力信号eU ,eV ,eW の振幅値
が大きくなった状態で、バイアス電圧eb が零の場合を
示す。
【0056】入力信号eU1,eV1,eW1が制御不能領域
−EG 〜EG の間にある時は、信号補正回路H1 〜H3
によって零に固定される。例えば、U相の信号eU2が零
に固定されている期間は前記差電圧ΔeU の分だけ外乱
となり、インバータの出力電流を乱すので、当該外乱電
圧分ΔeU を打ち消すように他のV相およびW相の入力
信号eV2,eW2に加えている。すなわち、最終的にPW
M制御入力信号eU3,eV3,eW3は図9に示すようにな
り、この場合も、1相がPWM制御不能になっていると
き、他の2相がそれを補うようにPWM制御することが
でき、しかも、前記外乱による影響をなくすことができ
る。
【0057】このようにして、PWM制御入力信号が小
さいときでも大きいときでも3相負荷電流を連続して制
御することができるようになり、従来の問題点をなくす
ことができる。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明の3相3線式の中
性点クランプ式インバータの制御方法によれば、PWM
制御入力信号の振幅の大きさに関係なく、全ての範囲で
制御可能となり、電動機負荷等に対して、リプルの少な
い正弦波電流を供給することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御方法の第1の実施例を説明するた
めの中性点クランプ式インバータ装置の構成図。
【図2】図1の装置の制御方法を説明するためのチイム
チャート。
【図3】図1の装置の制御方法を説明するためのチイム
チャート。
【図4】図1の装置の制御方法を説明するためのチイム
チャート。
【図5】本発明の第2の実施例を説明するための制御回
路構成図。
【図6】図5の回路の動作を説明するための特性図。
【図7】図5の動作を説明するためのタイムチャート。
【図8】図5の回路の動作を説明するための特性図。
【図9】図5の動作を説明するためのタイムチャート。
【図10】従来の中性点クランプ式電力変換器の制御方
法を説明するための主回路構成図。
【図11】図10の制御方法を説明するためのタイムチ
ャート。
【図12】図10の制御方法を説明するためのタイムチ
ャート。
【符号の説明】
d ,Vd1,Vd2…直流電圧源、INV…中性点クラン
プ式インバータ、M…3相交流電動機、S11〜S14,S
21〜S24,S31〜S34…自己消弧素子、D11〜D14,D
21〜D24,D31〜D34…フリーホイリングダイオード、
15,D16,D25,D26,D35,D36…クランプ用ダイ
オード、CTU ,CTV ,CTW …電流検出器、Cd
q …比較器、Gd (S),Gq (S)…電流制御補償
回路、VEC−1,VEC−2…座標変換器、AU ,A
V ,AW …加算器、BIAS…バイアス回路、PW
U ,PWMV ,PWMW …PWM制御回路、A1 〜A
12…加減算器、H1 〜H3 …信号補正回路。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−285967(JP,A) 特開 平4−275059(JP,A) 特開 平5−268773(JP,A) 特開 平6−90564(JP,A) 特開 平3−52564(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02M 7/48

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列接続された4つの自己消弧素子と、
    この各自己消弧素子にそれぞれ逆並列に接続されたフリ
    ーホイリングダイオードと、前記4つの自己消弧素子の
    真中の2つの自己消弧素子に並列であって、これらの極
    性とは逆で直列に接続された2つのクランプ用ダイオー
    ドとで構成された3レベルの出力電圧を発生する単相中
    性点クランプ式インバータが3組設けられ、且つ前記各
    自己消弧素子がパルス幅変調制御される3相3線式の
    性点クランプ式インバータにおいて、 前記パルス幅変調制御の3相入力信号eU ,eV ,eW
    の振幅値Em が小さいとき、前記各入力信号eU
    V ,eW に直流バイアス電圧eb(DC) 、あるいは直流
    バイアス電圧eb(DC) および交流バイアス電圧eb(AC)
    のいずれかを加え、前記振幅値Em が大きくなったと
    き、当該バイアス電圧を零にしたことを特徴とする3相
    3線式の中性点クランプ式インバータの制御方法。
  2. 【請求項2】 直列接続された4つの自己消弧素子と、
    この各自己消弧素子にそれぞれ逆並列に接続されたフリ
    ーホイリングダイオードと、前記4つの自己消弧素子の
    真中の2つの自己消弧素子に並列であって、これらの極
    性とは逆で直列に接続された2つのクランプ用ダイオー
    ドとで構成された3レベルの出力電圧を発生する単相中
    性点クランプ式インバータが3組設けられ、且つ前記各
    自己消弧素子がパルス幅変調制御される3相3線式の
    性点クランプ式インバータにおいて、 前記パルス幅変調制御の3相入力信号eU ,eV ,eW
    のうち、1相の入力信号の絶対値がある基準レベルEG
    より小さくなったとき、当該相の入力信号を零あるいは
    正または負の一定値EG のいずれかに固定し、その間、
    前記中性点クランプ式インバータの3相出力電流を他の
    2相でパルス幅変調制御したことを特徴とする3相3線
    式の中性点クランプ式インバータの制御方法。
  3. 【請求項3】 直列接続された4つの自己消弧素子と、
    この各自己消弧素子にそれぞれ逆並列に接続されたフリ
    ーホイリングダイオードと、前記4つの自己消弧素子の
    真中の2つの自己消弧素子に並列であって、これらの極
    性とは逆で直列に接続された2つのクランプ用ダイオー
    ドとで構成された3レベルの出力電圧を発生する単相中
    性点クランプ式インバータが3組設けられ、且つ前記各
    自己消弧素子がパルス幅変調制御される3相3線式の
    性点クランプ式インバータにおいて、 前記パルス幅変調制御の3相入力信号eU ,eV ,eW
    の振幅値Em が小さいとき、前記各入力信号eU
    V ,eW に直流バイアス電圧eb(DC) あるいは直流お
    よび交流の和のバイアス電圧eb(DC) +eb(AC) を加え
    てパルス幅変調制御し、前記振幅値Em が大きくなった
    とき、当該バイアス電圧を零にし、かつ前記3相入力信
    号eU ,eV ,eW のうち、1相の入力信号の絶対値が
    ある基準レベルEG より小さいとき、当該相の入力信号
    を零あるいは正または負の一定値EGのいずれかに固定
    し、その間、前記中性点クランプ式インバータの3相出
    力電流を他の2相でパルス幅変調制御したことを特徴と
    する3相3線式の中性点クランプ式インバータの制御方
    法。
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