JP3214587B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルム

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JP3214587B2
JP3214587B2 JP32743993A JP32743993A JP3214587B2 JP 3214587 B2 JP3214587 B2 JP 3214587B2 JP 32743993 A JP32743993 A JP 32743993A JP 32743993 A JP32743993 A JP 32743993A JP 3214587 B2 JP3214587 B2 JP 3214587B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガスバリア性に優れ、
熱処理性と屈曲性といった2つの特性が両立した総合特
性の良好な食品、医薬品、電子部品等の気密性を要求さ
れる包装材料、または、EL用防湿フィルムをはじめと
するガス遮断材料として優れた特性を持つフィルムに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスバリア性のすぐれたフィルムとして
は、プラスチックフィルム上にアルミニウム箔や蒸着膜
を積層したもの、塩化ビニリデンやエチレンビニールア
ルコール共重合体をコーティングしたものが知られてい
る。また、無機薄膜を利用したものとしては、酸化珪
素、酸化アルミニウム薄膜等を積層したものが知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のガス
バリアフィルムは、次のような課題を有していた。アル
ミニウム箔、アルミニウム蒸着膜積層品は、経済性、ガ
スバリア性の優れたものではあるが、不透明なため、包
装時の内容物が見えず、また、マイクロ波を透過しない
ため電子レンジの使用ができない等の不便さがある。塩
化ビニリデンやエチレンビニールアルコール共重合体を
コーティングしたものは、水蒸気、酸素等のガスバリア
性が十分でなく、特に高温処理においてその低下が著し
い。また、塩化ビニリデン系については、焼却時の塩素
ガスの発生等があり、地球環境への影響も懸念されてい
る。一方、内容物が見え、電子レンジの使用が可能なガ
スバリアフィルムとして、特公昭51−48511号
に、合成樹脂体表面にSix Oy (例えばSiO2 )を
蒸着したガスバリアフィルムが提案されているが、ガス
バリア性の良好なSiOx 系(x=1.3〜1.8)
は、やや褐色を有しており、透明ガスバリアフィルムと
しては、不十分なものである。
【0004】また、無色透明な例として酸化アルミニウ
ムを主体としたもの(特開昭62−101428)もあ
るが、酸素バリア性が不十分であり、機械特性も余り高
くないという問題がある。また、レトルト特性を得るた
め、Al2 3 薄膜とSiOx薄膜とを積層して用いる
ガスバリアフィルムの提案もされている(特開平2−1
94944)が、製膜工程が煩雑となり、実用的な方法
とはいえない。また、これらのガスバリアフィルムは、
取扱いに注意を要し、ラミネ−トや印刷等の後工程やラ
ミネ−ト前の取扱いによってはガスバリア性の劣化が大
きいことがまだまだ問題になっている。このように、充
分な酸素バリア性と水蒸気バリア性を兼ね備え、かつ、
後工程や取扱い等による機械的変形に対するバリア特性
の劣化の少ない無色透明ガスバリアフィルムを実用的に
作る方法はないのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、充分なガスバ
リア性を備え、かつ、印刷適性をはじめとする屈曲性と
熱処理性といった2つの特性が両立した総合特性の良好
なガスバリアフィルムを提供せんとするものである。す
なわち、プラスチックフィルム基材の少なくとも片面
に、2種類以上の元素あるいはその酸化物からなる化合
物あるいは混合物薄膜が形成されたガスバリアフィルム
において、該薄膜内のいずれかの単位組成元素の濃度が
該組成元素の平均濃度に対して厚み方向で10%以上変
化し、かつ該変化の周期が2回以上であることを特徴と
するガスバリアフィルムであり、また、薄膜層上に、さ
らにヒ−ト層が設けられている請求項1記載のガスバリ
アフィルムであり、また、請求項1または請求項2記載
のガスバリアフィルムを用いた包装用あるいはガス遮断
性フィルムである。
【0006】本発明でいうプラスチック基材とは、有機
高分子を溶融押出しをして、必要に応じ、長手方向、お
よび、または、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフ
ィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタート、ポリエチレ
ン−2、6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、
ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ
塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、全芳香族ポ
リアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテ
ルイミド、ポリスルフォン、ポリッフェニレンスルフィ
ド、ポリフェニレンオキサイドなどがあげられる。ま
た、これらの(有機重合体)有機高分子は他の有機重合
体を少量共重合をしたり、ブレンドしたりしてもよい。
【0007】さらにこの有機高分子には、公知の添加
剤、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、滑
剤、着色剤などが添加されていてもよく、その透明度は
特に限定するものではないが、透明ガスバリアフィルム
として使用する場合には、50%以上の透過率をもつも
のが好ましい。本発明のプラスチックフィルムは、本発
明の目的を損なわない限りにおいて、薄膜層を積層する
に先行して、該フィルムをコロナ放電処理、グロー放電
処理、その他の表面粗面化処理を施してもよく、また、
公知のアンカーコート処理、印刷、装飾が施されていて
もよい。本発明のプラスチックフィルムは、その厚さと
して5〜500μmの範囲が好ましく、さらに好ましく
は8〜300μmの範囲である。本発明品は、そのまま
で使用されてもよいが、他の有機高分子のフィルム、ま
たは薄層をラミネートまたはコーティングして使用して
もよい。
【0008】本発明における2種類以上の元素あるいは
その酸化物からなる化合物あるいは混合物薄膜とはガス
バリア性を有する薄膜であれば特に制限はなく、金属、
半導体、酸化物、窒化物等の化合物あるいは混合物であ
ってもよい。すなわち、非金属元素(B、C、Si、
P、S、Ge、As、Se等)、金属元素(Na、M
g、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Sb、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Y、Zr、
Nb、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Ta、W、A
u、Pb等)や希土類元素(Nd、Sm、Gd、Tb
等)の金属2種類以上からなる合金、化合物、混合物
等、ガスバリア性を有するものであれば、特に限定され
ない。
【0009】例えば、化合物としては、Al2 O3 、B
2 O3 、BaO、Bi2 O3 、CaO、CeO2 、Cr
2 O3 、Fe3 O4 、In2 O3 、MgO、MnO、M
oO3 、Na2 O、Nd2 O3 、NiO、PbO、Sb
2 O3 、SiO、SiO2 、TiO2 、Tl2 O3 、V
2 O5 、WO3 、ZnO2 等の酸化物2種類以上からな
る化合物、MnS、PbS、SnS、ZnS、CdS
e、InSe、SbSe、SiTe、SnTe等の硫化
物、テルル化物、セレン化物、AgCl、CoCl2 、
CrCl2 、FeCl2 、KCl、NaCl、AlF3
、CaF2 、CeF3 、CsF、NaF、CoBr2
、CsBr、MgBr、NiBr、NaI、KI、C
uI等のハロゲン化物等である。この中で、ガスバリア
薄膜として特に好ましいのは、酸化アルミニウム,酸化
硅素,酸化マグネシウム、酸化カルシウム,酸化ジルコ
ニウム,酸化チタン、酸化ほう素、酸化インジウム等の
単体2種類以上からなる化合物,複合物,あるいはそれ
らの混合物であり、また膜厚もガスバリア薄膜として用
いられる厚みであれば制限はないが、屈曲性の点からは
20000Å(オングストローム)以下が望ましく、ガ
スバリア性の点からは30Å以上が望ましい。より好ま
しくは50〜10000Å、さらに好ましくは、70〜
8000Åである。
【0010】本発明のガスバリア薄膜の作製法としては
真空蒸着法、スパッター法、イオンプレーテイング法な
どのPVD法(物理蒸着法)、或いは、CVD法(化学
蒸着法)などが適宜用いられる。例えば真空蒸着法の場
合には、ビーム加熱蒸着法を用いる例がある。ビーム加
熱蒸着法とは、加熱手段として、少なくとも1つのビー
ム源を用いた真空蒸着法であり、ビーム加熱とは高エネ
ルギー密度ビームを加熱源として用いることで、ここで
いうビームとしては、電子ビーム、各種のイオンビー
ム、レーザービ−ム等が知られている。ビーム源の数と
しては、少なくとも1つである。即ち、ビ−ム単体で
も、複数でもよく、また、他の加熱方式との併用でもよ
い。ここで言う他の加熱方式としては、抵抗加熱、高周
波誘導加熱、又他のビーム加熱との共用が考えられる
が、特にこれらに限られるものではない。また、反応性
ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾ
ン、イオンアシスト等を用いたりする反応性蒸着法を用
いても良い。また、基板にバイアス等を加えたり、基板
温度を上昇あるいは冷却するなど蒸着条件を変化させて
もよい。
【0011】また、他の方法としては、スパッター法に
おいてスパッター電圧を変化させたり、反応性ガスの導
入量をコントロールする方法もある。例えば、炭素の添
加量を変化させるには、原料、或は反応ガスとして用い
る、メタン、エタン等の飽和炭化水素、エチレン、プロ
ピレン等の不飽和炭化水素、二酸化炭素などを導入する
量を変えたり、これらのガスをプラズマ状態とするとき
の励起条件を変化させたりすることもできる。
【0012】本発明における薄膜の組成濃度の変化は、
膜厚方向に連続的に変化しており、この変化が周期的で
ある。周期的であるとは、組成濃度の変化形状が同様な
パターンで繰り返している状態のことをいう。変化形状
については、特に限定するものではないが、疑似的には
三角波状、正弦波状、方形波状、矩形波状、あるいは、
方形波の立ち上がり、立ち下がりに傾斜をもった形など
が考えられる。もちろん、これらに限定されるものでは
なく、変化形状に乱れがある場合も含まれる。すなわ
ち、振幅、周期について一定である必要はない。前記膜
を達成するためには特に二つの蒸着材料の距離とともに
加熱の時分割の調整が重要である。
【0013】本発明における単位組成元素の濃度は、オ
−ジェ分光法、X線光電子分光法(ESCA)、2次イ
オン質量分析法(SIMS)などで測定することができ
る。本発明の組成元素の平均濃度とは、ESCA等で薄
膜の厚み方向に測定したときに最大を示す濃度と最小を
示す濃度の和を2で割ったものをいう。本発明では、こ
の平均濃度に対して、いずれかの組成元素の濃度が10
%以上変化する必要がある。すなわち、変化が10%に
満たない場合には、本発明の効果がほとんど得られない
ためである。望ましい組成濃度の変化量は、平均濃度に
対し10%以上であり、より望ましくは15%以上、更
に望ましくは20%以上である。また、上限について
は、化合物、あるいは混合物薄膜である限り、特に制限
はない。
【0014】本発明における1周期とは、組成元素の濃
度変化の山からつぎの山までのことであり、本発明にお
いては、2周期以上の変化周期をもつことによって、化
合物あるいは、混合物薄膜の組成濃度が膜厚方向で変化
している効果が得られる。この効果とは、変化周期が1
回以下の薄膜をもつガスバリアフィルムでは、両立させ
ることが難しい特性を両立させることができるというこ
とである。たとえば、Al2 3 とSiO2 との2元系
薄膜の場合、SiO2 比率が大の領域では、屈曲性が良
いものの、ボイル、レトルトをはじめとする高温での熱
処理性が劣る。一方、Al2 3 比率が大の領域は、熱
処理性は良いものの屈曲性が良くない傾向があるが、本
発明では、この両者の良好な特性を両立させることがで
きる。また、CaOとSiO2 との2元系薄膜の場合
は、CaO比率の大の領域でH2 Oバリア性が良くな
り、SiO2 比率が大の領域では、屈曲性が良くなる傾
向があり、本発明では、この両者の良好な特性両立させ
ることができる。他の材料の組み合わせでも同様であ
る。一方、薄膜の厚み方向での変化の傾き、すなわち変
化勾配については特に制限はないが、傾きが大きすぎる
と本発明の効果が明確に現れるものの、ガスバリアフィ
ルムの生産速度が遅くなり、実用上のメリットが小さ
い。また、変化勾配が小さい場合についても制限はない
が、本発明では、最低でも2回以上の変化周期をもつ必
要がある。
【0015】本発明のガスバリアフィルムは透明である
と共に高度なバリア性を有する。プラスチック基材の酸
素透過量を1/10以下、水蒸気透過量を1/5以下に
することができる。すなわち、PETフィルムを基材と
した場合で酸素透過率が5.0cc/m2 ・24hrs
・atm以下で、かつ水蒸気バリア性も良好である。し
たがって、本発明の包装材料で包装した食品は長期保存
が可能である。更に、機械的変形に対するバリア特性の
安定性が優れているため、ラミ工程、印刷工程での劣下
が少なく、工程の処理速度を大きくすることができる。
又、製袋化したのちも、その取扱いに対して必要以上の
注意を要しない。
【0016】本発明品はそのまま使用してもよいが、ほ
かの容器高分子フィルム、または薄層をラミネートまた
は、コーテイングして使用してもよい。本発明のガスバ
リアフィルムを用いた包装用あるいはガス遮断性フィル
ムの使用形態としては、袋、フタ材、カップ、チュー
ブ、スタンディングバッグ、トレイ、ペーパカートンな
どがある。また、内容物としては、スナック、かつおぶ
し等の乾燥食品、こんにゃく、つけもの等の水物食品、
冷凍食品、レトルト食品などがある。また、工業用用途
の例としては、以下のものに限られるものではないが、
液晶、EL等の防湿フィルムなどがある。次に実施例を
あげて本発明を説明する。
【0017】(実施例1)蒸着源として、3〜5mm程
度の大きさの粒子状のAl2 3 (純度99.9%)と
SiO2 (純度99.9%)を用い、電子ビ−ム蒸着法
で、12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E
5007)上に酸化アルミニウム酸化珪素系ガスバリア
薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、ハ−ス
内をカ−ボン板で2つに仕切った。ふたつの材料は、3
0mm離れるようにし、蒸着源とフィルムとの距離は3
00mmであった。加熱源として一台の電子銃(以下E
B銃)を用い、Al2 3 とSiO2 のそれぞれを時分
割で加熱した。その時のEB銃のエミッション電流は
1.5Aとし、Al2 3 とSiO2 への加熱比を5
0:10とした。また、その時のEBガンの操作周波数
を200Hzとし、フィルムの送り速度を200m/m
in、スリット幅は150mmとした。チルロールの温
度は−5℃とした。膜厚は800Å一定とした。((表
1)実施例1−1〜5)
【0018】得られた膜の組成濃度の変化は、ESCA
測定装置(島津製作所:ESCA−850型)用いて測
定した。測定条件としては、Mg−Kα線を光源とし、
出力8KV 3mA、真空度5×10-6Pa一定とし
た。得られたデプスダイアグラムの一例を図1に示す。
厚み方向に対し、組成が変化し、周期構造を有している
ことがわかる。このようにして得られた薄膜の組成濃度
の変化と平均値に対する変化率、及び周期をまとめて、
表1に示す。このPETの表面に薄膜をつけたそのまま
の状態(以下単膜)でのバリア性と蒸着面に直接印刷し
たときのバリア性を測定した。更に、この印刷を施した
ガスバリアフィルムに対し、厚さ40μmの未延伸ポリ
プロピレンフィルム(CPPフィルム)を二液硬化型ポ
リウレタン系接着剤(厚さ3μm)を用いて、ドライラ
ミネ−トしたのちにボイル処理(95℃×60min)
した時のバリア性も測定した。
【0019】次に測定方法及び処理方法を示す。 ・酸素透過率の測定方法 作成したガスバリアフィルムの酸素透過率を酸素透過率
測定装置(モダンコントロールズ社製 OX−TRAN
10/50A)を用いて測定した。 ・水蒸気透過率の測定方法 作成したガスバリアフィルムの水蒸気透過率を40℃
90%RHにおいて(JISK7129)の試験法によ
り測定した。測定機として、水蒸気透過度テスタ−(リ
ッシ−社製 L80−4000型)を用いた。
【0020】印刷方法 グラビア印刷機を用い、蒸着面に直接印刷を施し、その
ままの状態でバリア性を測定した。インキとしては東洋
インキ(株)製 NewLPスーパーR162紅を用
い、印刷柄としては、べた塗りとした。フィルムの送り
速度は、50m/minとした。このようにして測定し
た酸素透過率(表1)は、ボイル後で1cc程度と非常
に優秀であった。また、印刷後の結果も、2cc前後の
上昇に留まり、熱処理性と屈曲性の両立したガスバリア
フィルムが得られた。
【0021】(比較例1)抵抗加熱蒸着法で酸化珪素系
ガスバリア薄膜の形成を行った。得られたサンプルに対
して、(実施例1)と同様に単膜、印刷後、ラミネート
後の酸素バリア性の測定を行った。その結果、印刷後の
バリア性が不十分なものになり、ラミネート後の特性も
余り良くなかった。(表1) (比較例2)EB蒸着法で、12μm厚のPETフィル
ム(東洋紡績(株):E5007)上に酸化アルミニウ
ム薄膜とー酸化珪素薄膜の積層ガスバリア薄膜の形成を
行った。Al2 3 とSiOを別々のるつぼにいれ、ま
ず、Al2 3 加熱し、PETフィルム上にAl2 3
薄膜(1000Å厚)をつけた。次にフィルムを逆方向
に走行させ、今度は、SiOを加熱し、先ほどつけたA
2 3 薄膜の上にSiO薄膜(1000Å厚)をつけ
た。また同様にして、Al2 3 薄膜(1000Å厚)
をつけ、最終的にAl2 3 /SiOx/Al2 3
成のガスバリアフィルムを得た。その時のEB銃のエミ
ッション電流はAl2 3 に対して1.2A、SiOに
対して05Aである。フィルムの送り速度を100m/
minとした。チルロールの温度は−5℃とした。膜厚
は800Å一定とした。((表1))
【0022】(比較例3)実施例1と同様にして酸化ア
ルミニウム酸化珪素系ガスバリア薄膜の形成を行った。
作成条件としては、EB銃のエミッション電流を0.8
〜1.5Aとし、Al2 3 とSiO2 への加熱比を7
0:10とし、操作周波数を50〜200Hz、フィル
ムの送り速度を60〜200m/min、スリット幅は
150mmとした。ふたつの材料は、5mm離れるよう
にし、蒸着源とフィルムとの距離は300mmであっ
た。チルロールの温度は−5℃とした。膜厚は800Å
一定とした。((表1)比較例3−1〜2) 得られた膜の組成濃度の変化及び周期を、ESCA測定
装置を用いて測定した結果を表1に示す。(実施例1)
と同様に単膜、印刷後、ラミネート後のバリア性の測定
を行った。(表1)その結果、印刷後のバリア性が不十
分なものになり、ラミネート後の特性も余り良くなかっ
た。
【0023】(実施例2)蒸着源として、3〜5mm程
度の大きさの粒子状のCaO(純度99.9%)とSi
2 (純度99.9%)を用い、電子ビ−ム蒸着法で、
12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E50
07)上に透明ガスバリア薄膜の形成を行った。蒸着材
料は、混合せずに、加熱源として一台のEB銃を用い、
操作周波数を20〜60Hzとして加熱した。エミッシ
ョン電流は1.5Aとし、加熱パワー比を40:10と
変えた。ここで、ふたつの材料間の距離は、実施例1と
同様にした。チルロール温度は−5℃とした。フィルム
送り速度を150m/minとし、スリット幅を100
mmとした。1000Å厚の膜を作った。(実施例2−
1〜4)蒸気圧は、酸素ガスの供給量を100ccMと
し、4×10-4Torrとした。得られた膜の厚み方向
の組成の変化と周期及びバリア性を実施例1と同様に測
定した。その結果を表2に示す。 このようにして測定
した酸素透過率は、ラミネート後で1cc以下と非常に
優秀であった。さらに印刷後の結果も、2cc以下に留
まり、総合特性の優れたガスバリアフィルムが得られ
た。
【0024】(比較例4)実施例2と同様にEB加熱蒸
着法でCaO−SiO2 系ガスバリア薄膜の形成を行っ
た。この時のEB銃のエミッション電流は0.8Aと
し、操作周波数を20〜100Hz、フィルムの送り速
度を80m/minとし、1000Å厚の膜を作った。
ここで、ふたつの材料間の距離は、比較例1と同様にし
た。得られたサンプル(比較例4−1〜2)に対して、
実施例2と同様に厚み方向の組成変化とバリア特性を測
った。その結果、印刷後及びラミネート後の特性が不十
分なものになった。
【0025】印刷後のサンプルをドライラミネートした
実施例2−1〜4、比較例4−1〜2のサンプルに対
し、厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(C
PPフィルム)を二液硬化型ポリウレタン系接着剤(厚
さ2μm)を用いて、ドライラミネ−トして、本発明応
用の包装用プラスチックフィルムを得た。この包装用プ
ラスチックフィルムを用い、ヒ−トシ−ルをしながら、
200×180mmのサイズの袋を成形した。この袋の
中にポテトチップス100gを窒素ガスとともに封入
し、40×90%RHの部屋に9カ月間放置したのち
に、開封、試食し、味、風味、歯ごたえを調べた。その
結果、本発明の実施例は正常であるが、比較例ではポテ
トチップスがやや湿っており、歯ごたえがなく、食味が
劣ると判断された。
【0026】(実施例3)蒸着源として、3〜5mm程
度の大きさの粒子状のSiO(純度99.7%)を用
い、EB加熱蒸着法で、12μm厚のPETフィルム
(東洋紡績(株):E5001)上に酸化珪素系(Si
Ox)ガスバリア薄膜の形成を行った。フィルム送り速
度を100m/min、印加電力5kwとし800Å厚
の膜を作った。(実施例3−1〜3) 又、反応ガスと
して、プロピレンガスを用い、更に炭素置換がスム−ズ
に進むようにチルロール付近に設置した電極に高周波電
圧を加え、プロピレンガスをプラズマ状態とした。流量
を変化させると共に励起用の電圧1KVを中心に振幅5
00Vでsinカーブで変化させた。このようにして得
られた膜の炭素置換量と厚み方向の変化はESCA装置
を用いて測定した。測定条件としては、Mg−Kα線を
光源とし、出力8kV×30mA、真空度5×10-6
a一定とした。また、実施例2と同様にバリア特性を測
った。(表3) このようにして測定した酸素透過率は、ラミネート後で
1cc以下と非常に優秀であった。さらに印刷後の結果
も、2cc以下に留まり、総合特性の優れたガスバリア
フィルムが得られた。
【0027】(比較例5)(実施例3)と同様にEB加
熱蒸着法で酸化珪素系ガスバリア薄膜の一部を炭素で置
換した薄膜を作製した。プロピレンガス流量を変化さず
に励起用の電圧1KV一定とした。得られたサンプルの
炭素置換量及び厚み方向の組成変化とバリア特性を測っ
た。その結果、印刷後及びラミネート後のバリア性が不
十分なものになった。(表3)
【0028】
【発明の効果】プラスチック基材の少なくとも片面に、
化合物あるいは混合物薄膜が形成されたガスバリアフィ
ルムにおいて、該薄膜内のいずれかの組成元素の濃度が
該組成元素の平均濃度に対して、厚み方向で10%以上
変化し、かつ該変化の周期が2回以上とすることによっ
てガスバリア性に優れ、熱処理性と屈曲性といった2つ
の特性が両立した総合特性の良好なガスバリアフィルム
を提供できる。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はESCAによる膜厚方向の組成濃度の変
化の測定の一例を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇野 利夫 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (72)発明者 山田 陽三 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 審査官 平井 裕彰 (56)参考文献 特開 平5−338072(JP,A) 特開 平5−338073(JP,A) 特開 平5−339704(JP,A) 特開 平3−64449(JP,A) 特開 平2−194944(JP,A) 特開 昭60−189704(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C23C 14/00 - 14/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材の少なくとも片面に、
    2種類以上の元素あるいはその酸化物からなる化合物あ
    るいは混合物薄膜が形成されたガスバリアフィルムにお
    いて、該薄膜内のいずれかの組成元素の濃度が該組成元
    素の平均濃度に対して、厚み方向で10%以上変化し、
    かつ該変化の周期が2回以上であることを特徴とするガ
    スバリアフィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜層上に、ヒ−トシ−
    ル層が設けられていることを特徴とするガスバリアフィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 請求項1または、請求項2記載のガスバ
    リアフィルムを用いた包装用あるいは、ガス遮断用フィ
    ルム。
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