JP3209679B2 - ジスルフィド化合物およびその製造法 - Google Patents

ジスルフィド化合物およびその製造法

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JP3209679B2
JP3209679B2 JP10860296A JP10860296A JP3209679B2 JP 3209679 B2 JP3209679 B2 JP 3209679B2 JP 10860296 A JP10860296 A JP 10860296A JP 10860296 A JP10860296 A JP 10860296A JP 3209679 B2 JP3209679 B2 JP 3209679B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジスルフィド化合物
に係り、詳細には、カルバペネム化合物の合成中間体で
あるチオール化合物へ誘導するために有用な化合物であ
る、ジスルフィド化合物およびその酸付加塩、ならびに
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでに、いわゆるカルバペネム骨格
を有する多くの化合物が見いだされてきており、そのな
かから優れた抗菌活性を有する化合物もいくつか提案さ
れている。本発明者らも、強力な抗菌活性を示し、しか
もβ−ラクタマーゼ阻害作用ならびに腎デヒドロペプチ
ダーゼ−I(DHP−I)に対する優れた耐性を有する
カルバペネム化合物の検索を検討してきたが、その中で
カルバペネム骨格の2位の置換基として特異的な1−
(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イ
ルチオ基を導入した次式(A):
【0003】
【化9】
【0004】で示される(1R,5S,6S)−2−
[1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−
3−イル]チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチ
ル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボ
ン酸を新規に見いだし、提案している(特開平8−53
453号公報)。上記式(A)で示されるカルバペネム
化合物は、それ自体で強力な抗菌活性を示すばかりでな
く、3位のカルボキシ基を特定のエステル残基でエステ
ル化した化合物は、経口投与されることにより消化管か
らの吸収性も良く、しかも生体内で速やかにエステル加
水分解されることにより活性本体に移行することより、
従来には見られない経口投与可能なカルバペネム抗生剤
としてその臨床的応用が広く、開発が望まれている化合
物である。ところで、これまでの上記式(A)で示され
るカルバペネム化合物の製造は、例えば下記反応式
(a)で示す方法で行われていた。
【0005】
【化10】
【0006】この従来の化合物(A)の製造において
は、化合物(B)と反応させる式(II)で示される化
合物は、具体的には下記反応式(b)に示すように、式
(III)の3−メルカプトアゼチジンに式(IV)の
2−置換−1,3−チアゾリン誘導体を反応させる方法
により製造され、かくして製造された式(II)の化合
物が、式(B)で示される化合物との反応に用いられて
いた。
【0007】
【化11】
【0008】(式中、Lは脱離基を表す) しかしながら、上記反応式(b)に従い製造される式
(II)で示される化合物は、かかる製造法では純度的
に純粋な形で得るのが困難であり、必然的に夾雑物が混
在しているものしか得られず、その分離も困難なもので
あった。したがって、この方法で製造された式(II)
で示される化合物を用い、式(B)で示される化合物と
反応させて式(C)で示される化合物を得る工程での反
応収率には限界があり、工業的な製造法としてはいまだ
問題があり、優れた抗菌活性を有し、臨床的にその開発
が強く望まれている式(A)のカルバペネム化合物を効
率よく得るためには、より純度の高い式(II)で示さ
れる化合物の開発ならびにその工業的応用が可能となる
製造法の確立が望まれていた。
【0009】本発明者らは上記実情にかんがみ、鋭意検
討を加えた結果、次式(I):
【0010】
【化12】
【0011】で示されるジスルフィド化合物を還元して
式(II)で示される化合物へ誘導する場合には、目的
とする式(II)の化合物の収率がほぼ定量的なもので
あるとともに、不純物の混在もなく、かくして製造され
た式(II)の化合物を反応式(a)に従い化合物
(B)と反応させ、式(C)で示される化合物へ誘導す
る場合には、化合物(C)の反応収率が飛躍的に上昇す
ることが判明し、工業的な製造方法として極めて有用な
ものであることを新規に見いだした。したがって本発明
は、カルバペネム化合物の合成中間体であるチオール化
合物へ誘導するのに有用な上記式(I)で示される化合
物およびその製造法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、次式
(I):
【0013】
【化13】
【0014】で示されるジスルフィド化合物およびその
酸付加塩を提供する。また本発明は、上記式(I)で示
されるジスルフィド化合物の製造法を提供するものであ
り、具体的には、次式(II):
【0015】
【化14】
【0016】で示される3−メルカプト−1−(1,3
−チアゾリン−2−イル)アゼチジンまたはその酸付加
塩を酸化反応に付すことにより式(I)の化合物を得る
製造法を提供する。さらに本発明は、式(I)のジスル
フィド化合物の別の製造法を提供するものであり、具体
的には次式(III):
【0017】
【化15】
【0018】で示される3−メルカプトアゼチジンに、
次式(IV):
【0019】
【化16】
【0020】(式中、Lは脱離基を表す)で示される2
−置換−1,3−チアゾリン誘導体を反応させ、次式
(II):
【0021】
【化17】
【0022】で示される3−メルカプト−1−(1,3
−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを得、次いで得ら
れる式(II)の化合物を反応液から単離することなく
そのまま酸化反応に付すことにより、式(I)の化合物
を得る製造法を提供する。また本発明は、式(I)のジ
スルフィド化合物の更に別の製造法を提供するものであ
り、具体的には、次式(V):
【0023】
【化18】
【0024】で示される化合物に、次式(IV):
【0025】
【化19】
【0026】(式中、Lは脱離基を表す)で示される2
−置換−1,3−チアゾリン誘導体を反応させることに
よる式(I)の化合物の製造法を提供する。更に本発明
の別の態様は、式(I)のジスルフィド化合物へ誘導す
る原料となる化合物の提供にも係り、具体的には次式
(VI):
【0027】
【化20】
【0028】(式中、R1 は水素原子またはアミノ保護
基を表す)で示される化合物を提供する。以上の本発明
が提供する式(I)で示されるジスルフィド化合物およ
びその酸付加塩は、還元反応に付すことにより純度よく
式(II)で示されるチオール化合物へ定量的に誘導さ
れ、かくして誘導された式(II)のチオール化合物を
用い、優れた抗菌活性を有し、エステル化により経口投
与も可能となる前記式(A)で示されるカルバペネム化
合物を、工業的規模でしかも収率よく製造することがで
きる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する
が、本発明の式(I)で示されるジスルフィド化合物
は、以下の反応式(c)で示す方法で製造することがで
きる。
【0030】
【化21】
【0031】(式中、Lは脱離基を表し、R2 はアミノ
保護基を表す。また[ ]内の数字は説明の便宜のため
の反応工程を示す) 本明細書中において,Lによって表される「脱離基」と
しては、例えば、アジド基;塩素、臭素、フッ素等のハ
ロゲン原子;アセトキシ、プロピオニルオキシ基等の低
級アルカノイルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、
トシルオキシ、メタンスルホニルオキシ基等のスルホニ
ルオキシ基;メトキシ、エトキシ等の低級アルコキシ
基;メチルチオ、エチルチオ等の低級アルキルチオ基を
挙げることができる。
【0032】またR1 またはR2 によって表される「ア
ミノ保護基」としては、ペプチド化学の分野においてア
ミノ基の保護基としてそれ自体公知の任意の保護基であ
る。具体的には、例えば、(1) フタロイル;ベンゾイ
ル、またはクロロベンゾイル、p−ニトロベンゾイル、
p−tert−ブチルベンゾイル、トリオイルなどのハロゲ
ン、ニトロもしくは低級アルキルで置換されたベンゾイ
ル;ナフトイル;フェニルアセチル;フェノキシアセチ
ル;ベンゼンスルホニル、p−tert−ブチルベンゼンス
ルホニル、トルエンスルホニルなどの低級アルキルベン
ゼンスルホニル等;(2) 脂肪族またはハロゲン化脂肪族
カルボン酸アシル基:例えば、カンファスルホニル、メ
タンスルホニル、ホルミル、アセチル、バレリル、カプ
リル、n−デカノイル、アクリロイル、ピバロイル、ハ
ロゲノアセチル(例、モノクロロアセチル、モノブロモ
アセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル)
等;(3) エステル化されたカルボキシ基:例えば、エト
キシカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル、アリ
ルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、
フェニルオキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボ
ニル、ベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジル
オキシカルボニル等;(4) カルバモイルまたはチオカル
バモイル基:例えば、メチルカルバモイル、フェニルカ
ルバモイル、ナフチルカルバモイル等もしくはこれらに
対応するチオカルバモイル基、等が挙げられる。
【0033】本発明が提供する式(I)および(II)
示される化合物等はいずれも任意の酸付加塩として単離
することができる。そのような付加し得る酸のうち有機
酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリフ
ルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の低級脂肪酸;安息香
酸、p−ニトロ安息香酸等の置換もしくは未置換の安息
香酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸等の(ハロ)低級アルキルスルホン酸;ベンゼンスル
ホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、p−ブロモベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2,4,6−
トリイソプロピルベンゼンスルホン酸等の置換もしくは
未置換のアリールスルホン酸;ジフェニルリン酸等の有
機リン酸を例示することができる。また無機酸として
は、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、
ホウフッ化水素酸、過塩素酸、硝酸等を例示することが
できる。
【0034】以下に本発明を、上記反応式(c)におけ
る各工程を説明することにより行なう。工程[1] :本工程は、式(II)で示される3−メル
カプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチ
ジンを酸化反応に付し、本発明の目的化合物である式
(I)で示されるジスルフィド化合物へ誘導する工程で
ある。反応は、式(II)の化合物を適当な溶媒中、ク
ロム酸、四酢酸鉛、有機過酸、H22 、I2 、ジメチ
ルスルホキシド等の酸化剤を用いる方法、あるいは三塩
化鉄等の触媒の存在下に、反応液中に空気を通じる空気
酸化を行なう方法により達成される。使用する溶媒とし
ては、かかる酸化反応に影響を与えない溶媒、すなわち
反応に不活性な溶媒であれば良く、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、n−ブタノールなどの
アルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル系溶媒;n−ヘプタン、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、ペンタン、シクロペンタン等の炭
化水素系溶媒;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステ
ル等のエステル系溶媒;ジクロルメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド等の溶媒が使用でき、なかでもアルコー
ル系溶媒が好ましく、特にメタノール、エタノールがと
りわけ好ましい。この場合、式(II)の化合物として
は、その酸付加塩を用いることも可能であり、かかる場
合にあっては、例えば、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナ
トリウム等のアルカリ金属炭酸水素化合物;炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸化合物;水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属
化合物;トリエチルアミン等の第三有機級アミン等を反
応系内に共存させることにより空気酸化が実施される。
また、三塩化鉄等の触媒の添加量は、所望の酸化反応が
効率よく終了するのに十分な量でよく、一般にごくわず
かな触媒量であれば良い。かかる触媒のなかでも三塩化
鉄が特に好ましい。反応温度は特に限定されず、0℃〜
100℃、好ましくは室温下にて数時間空気酸化を行な
うことにより式(II)の化合物は純度良く、ほぼ定量
的に目的とする式(I)で示されるジスルフィド化合物
へ変換される。
【0035】工程[2]:本工程は、工程[1]におい
て酸化反応に付す式(II)で示される3−メルカプト
−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを
得る工程であり、具体的には、式(III)の3−メル
カプトアゼチジンと、式(IV)で示される2−置換−
1,3−チアゾリン誘導体とを反応させる工程である。
本工程は、式(III)の3−メルカプトアゼチジンと
式(IV)で示される2−置換−1,3−チアゾリン誘
導体とを、前記したなかから適宜選択される反応に不活
性な溶媒、好ましくはメタノール、エタノール等のアル
コール系溶媒中で、適当な塩基、例えば、炭酸水素カリ
ウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素化
合物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属
炭酸化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキ
シド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属ア
ルコキシド等の塩基の存在、あるいは不存在下に反応さ
せることにより実施される。
【0036】反応温度は厳密に制限されるものではな
く、使用する溶媒、式(IV)の化合物における脱離基
Lの種類、さらにはその使用量により適宜変更できる
が、一般には室温〜約100℃、好ましくは室温〜約8
0℃の範囲内の温度で行なうことができ、かかる条件下
で反応は約1〜約24時間で終了させることができる。
なお、本工程により得られる式(II)で示される3−
メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)ア
ゼチジンは、そのまま前記した反応式(a)における式
(B)の化合物と反応させ、抗菌活性を有するカルバペ
ネム化合物へ誘導できる化合物でもあるが、本工程
[2]により得られる式(II)の化合物は、純度的に
満足いくものではなく、夾雑物が混在し、その分離も困
難である。したがって、その点を鑑み、本発明は式(I
I)の化合物を酸化して式(I)の化合物へいったん誘
導したのち、更に還元することにより純度良く、かつほ
ぼ定量的に式(II)の化合物へ戻すことを目的とする
ものであり、別の観点から見れば、本発明は式(II)
の化合物の工業的な精製方法ととらえることも可能であ
る。
【0037】工程 [3] :本工程は、本発明の式(I)
で示されるジスルフィド化合物の別の製造方法にかかる
工程であり、式(V)で示される化合物に、上記工程
[2]でも使用する式(IV)で示される2−置換−
1,3−チアゾリン誘導体とを反応させて、目的とする
式(I)の化合物を得る工程である。かかる工程では、
上記した工程[2]の反応条件等がそのまま適用され
る。
【0038】工程[4]および[5]:本工程[4]お
よび工程[5]は、上記工程[3]で使用する式(V)
で示される化合物を得るために、式(VII)で示され
る3−メルカプト−1−アミノ保護基置換−アゼチジン
を酸化し、式(VI)で示されるジスルフィド化合物と
した後、式(VI)のアミノ保護基を脱離して得る工程
である。この場合、式(VII)で示される3−メルカ
プト−1−アミノ保護基置換−アゼチジンを酸化し、式
(VI)で示されるジスルフィド化合物とする工程
[5]は、上記した工程[1]における酸化反応の条件
をそのまま適宜変更して適用することができる。しかし
て、かかる工程に用いる式(VII)で示される3−メ
ルカプト−1−アミノ保護基置換−アゼチジンとして
は、先に例示した各種のアミノ保護基が置換された化合
物であり、この中でもアミノ保護基としてはアセチル等
の脂肪族アシル残基であるものが特に好ましい。本発明
は、この工程により得られた式(VI)の化合物をも提
供するものであり、したがって本発明が目的とするこれ
ら化合物は、R2 として先に例示したアミノ保護基が導
入された化合物を包含することはいうまでもない。さら
に工程[4]における脱アミノ保護基反応を行なうにあ
たっては、ペプチド化学で汎用されている脱アミノ保護
基反応が適用される。例えば先に例示した反応に不活性
な適当な溶媒中、例えば酸による分解等が好ましい。
【0039】かくして製造される式(I)で示されるジ
スルフィド化合物は、例えばトリフェニルホスフィンを
用い、先に例示した反応に不活性な適当な溶媒、例えば
テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メタノール、エ
タノール等の溶媒中、例えば1N−塩酸水溶液を用いた
酸性条件下にて処理する還元反応により、純度良くかつ
またほぼ定量的に式(II)で示される3−メルカプト
−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンに
変換することができる。このようにして純度良く得られ
た式(II)の化合物は、先に示した反応式(a)にお
ける式(B)の化合物と反応させ、次いで脱保護反応を
行なうことにより、式(A)で示される抗菌活性を有す
るカルバペネム化合物へ誘導される。なお、本発明の工
程[2]により、式(II)の化合物を得ることができ
るが、かかる工程で得た式(II)の化合物は、夾雑物
が混在し、純度的に満足行くものでなく、その精製も困
難である。したがって、本発明は工程[2]で得られた
式(II)の化合物を一旦酸化して式(I)の化合物へ
誘導したのち、更に還元することから、一見無駄な処理
を加えているように思えるが、全工程の収率からみれば
それほど遜色はなく、むしろ式(II)の化合物と式
(B)の化合物との反応収率が格段に向上する点から判
断して、工業的にはよりすぐれた方法となる。特に、式
(B)で示される化合物が高価なものである点を考える
と、純度の良い化合物を使用する点での工業的メリット
は極めて大きなものといえる。
【0040】
【実施例】以下に実施例および参考例により本発明を更
に詳細に説明するが、これらの記載によってなんらの限
定がなされるものではない。なお、( )内の数字は化
合物番号を示す。実施例1
【0041】
【化22】
【0042】3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリ
ン−2−イル)アゼチジン・塩酸塩(8.60mmo
l)(1)1.81gのメタノール20ml溶液中に、
炭酸水素カリウム2.0gを加え、空気を通気した後、
触媒量の三塩化鉄を加え、室温にて1時間撹拌を行なっ
た。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を水200ml
中に滴下し、生成する結晶を濾取した。得られた結晶を
水にて洗浄し、室温にて減圧乾燥し、目的とするジスル
フィド化合物(2)を純度換算収率で定量的に得た。1 H−NMR(270MHz)δ:3.38(t,4
H,J=7.6Hz),3.83〜4.01(m,6
H),4.03(t,4H,J=7.6Hz),4.3
5(t,4H,J=8.1Hz) この化合物を下記の条件によるHPLCで純度測定をし
た結果、その純度はほぼ定量的なものであった。 HPLC測定条件: カラム:Ultron VX−octyl(4.6×2
50mm) 移動層:0.01Mドデシル硫酸ナトリウム−アセトニ
トリル水溶液1:1v/v(リン酸にてpHを2.2に
調整) 流速:1.4ml/分 測定波長:216nm リテンション時間:4.1分 注入量:20μl実施例2
【0043】
【化23】
【0044】3−メルカプトアゼチジン・塩酸塩(3)
2.39g(19.04mmol)のメタノール40m
l溶液中に、2−メチルチオ−1,3−チアゾリン
(4)2.41mlを加え、4時間還流した。反応終了
後、生成した3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリ
ン−2−イル)アゼチジン・塩酸塩(1)を反応液から
単離することなく、そのままの反応液を用い、これに炭
酸水素カリウム3.6gを加え、空気を通気した後、触
媒量の三塩化鉄を加え、室温にて1時間撹拌を行なっ
た。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を水300ml
中に滴下し、生成する結晶を濾取した。得られた結晶を
水にて洗浄し、室温にて減圧乾燥し、目的とするジスル
フィド化合物(2)を純度換算収率で定量的に得た。こ
のもののNMRデータは実施例1で得られたものと同一
であった。また、同様HPLCによる純度測定を行なっ
たが、ほぼ定量的含有量であった。実施例3
【0045】
【化24】
【0046】化合物(5)1.86g(10.75mm
ol)のメタノール27ml溶液にナトリウムメトキシ
ド2.19gを加え、室温にて30分撹拌した。次いで
6N−塩酸水溶液2.15mlを加え、15分間撹拌し
た。かくして化合物(6)を得、このものを単離するこ
となくこの反応液に炭酸水素カリウム2.15gを加
え、空気を通気しながら、触媒量の三塩化鉄を加え、室
温にて2時間撹拌を行なった。反応終了後、反応液を濾
過し、濾液を濃縮し、化合物(7)を得た。1 H−NMR(270MHz)δ:1.88(s、6
H),3.79〜3.99(m,4H),4.01〜
4.15(m,2H),4.25〜4.36(m,2
H),4.40〜4.50(m,2H) 得られた化合物(7)に3N−塩酸水溶液4.3mlを
加え、1時間加熱還流した。室温に放冷後、塩酸層を酢
酸エチル3.61mlおよび水3.61mlを加えて洗
浄し、水層を減圧濃縮した後、残留物を室温にて18時
間減圧乾燥すると、固形物として化合物(8)を1.2
g得た。次いでこの化合物(8)をメタノール27ml
に溶解し、この溶液に3−メルカプトアゼチジン1.2
1mlを加え、4時間還流した。反応終了後、メタノー
ルを減圧留去し、得られた残留物に酢酸エチル13.5
mlおよび水54mlを加え、水層を分離した。水層に
メタノール10mlを加え、室温にて撹拌し、さらに1
0N−水酸化ナトリウム水溶液1.3mlを加え撹拌を
行なうと結晶が析出した。得られた結晶を濾取し、水に
て洗浄後、室温にて18時間減圧乾燥し、木手とするジ
スルフィド化合物(2)を1.18g得た。このものの
NMRデータは実施例1のものと同一であり、その純度
は、同様HPLC法により行ない、ほぼ定量的な純度で
あった。参考例1
【0047】
【化25】
【0048】3−メルカプトアゼチジン・塩酸塩(3)
720mgのメタノール10ml溶液に2−メチルチオ
−1,3−チアゾリン(4)0.67mlを加え、3時
間還流した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、得られ
た残渣に水15mlを加え、酢酸エチル10mlで2回
洗浄し、水層を減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニ
トリル1mlを加え撹拌し、テトラヒドロフラン6ml
を20分を要して滴下し、結晶を析出させた。得られた
結晶を濾取し、室温にて18時間減圧乾燥し、目的とす
る3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イ
ル)アゼチジン・塩酸塩(1)を1.05g得た。この
ものの純度換算収率は84.8%であり、純度は86.
7%であった。参考例2
【0049】
【化26】
【0050】方法(a):実施例1で得たジスルフィド
化合物(2)2.62gのテトラヒドロフラン溶液に1
N−塩酸水溶液を加え、そこにトリフェニルホスフィン
1.89gを加え、50〜60℃にて2時間撹拌した。
反応終了後、酢酸エチル10mlおよび水10mlを加
え、水層を分取し、減圧濃縮した。得られた残渣にメタ
ノール1.2mlを加え撹拌し、そこへ酢酸エチル24
mlを15分を要して滴下し、結晶を析出させた。得ら
れた結晶を濾取し、室温にて18時間減圧乾燥し、目的
とする3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2
−イル)アゼチジン・塩酸塩(1)を2.62g得た。
このものの純度換算収率は94%であり、純度は96.
7%であった。 方法(b):実施例1で得たジスルフィド化合物(2)
693.1mgのアセトニトリル4ml溶液に水0.0
43mlおよび14.6N−塩酸のメタノール溶液0.
34mlを加え、さらにトリフェニルホスフィン62
9.5mgを加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応
終了後、テトラヒドロフラン40mlを滴下し、室温に
て3時間撹拌し、結晶を析出させた。得られた結晶を濾
取し、室温にて18時間減圧乾燥し、目的とする3−メ
ルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼ
チジン・塩酸塩(1)を837mg得た。このものの純
度換算収率は96.8%であり、純度は97.5%であ
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 417/14 C07D 205/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 で示されるジスルフィド化合物およびその酸付加塩。
  2. 【請求項2】 次式(II): 【化2】 で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン
    −2−イル)アゼチジンまたはその酸付加塩を酸化反応
    に付すことを特徴とする、請求項1記載の式(I)で示
    されるジスルフィド化合物またはその酸付加塩の製造
    法。
  3. 【請求項3】 次式(III): 【化3】 で示される3−メルカプトアゼチジンに、次式(I
    V): 【化4】 (式中、Lは脱離基を表す)で示される2−置換−1,
    3−チアゾリン誘導体を反応させて次式(II): 【化5】 で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン
    −2−イル)アゼチジンを得、次いで得られる式(I
    I)の化合物を反応液から単離することなくそのまま酸
    化反応に付すことを特徴とする、請求項1記載の式
    (I)で示されるジスルフィド化合物またはその酸付加
    塩の製造法。
  4. 【請求項4】 次式(V): 【化6】 で示される化合物に、次式(IV): 【化7】 (式中、Lは脱離基を表す)で示される2−置換−1,
    3−チアゾリン誘導体を反応させることを特徴とする、
    請求項1記載の式(I)で示されるジスルフィド化合物
    またはその酸付加塩の製造法。
  5. 【請求項5】 次式(VI): 【化8】 (式中、R1 は水素原子またはアミノ保護基を表す)で
    示される化合物。
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