JP3212320B2 - 輸送機器用物品および輸送機器用物品の製造方法 - Google Patents

輸送機器用物品および輸送機器用物品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水滴の付着が少ない
または付着した水滴の除去が容易な表面を有する輸送機
器用物品、および該輸送機器用物品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電車、自動車、船舶、または航空機等の
輸送機器において、外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面
材等の外装部材、または計器盤表面材等の内装部材、そ
の他の物品の表面は常に清浄であることが好ましい。
えば輸送機器用物品の表面に、雨滴、ほこり、汚れ等が
付着したり、大気中の温度や湿度の影響によって水分が
凝縮すると、その外観が損なわれる問題がある輸送機
器用物品の表面人目に直接触れる表面であったり、人
が接触する表面であると、不快感や衛生上の問題も生じ
る。
【0003】さらに、輸送機器用物品表面が有する本来
の機能を著しく低下させる問題あり輸送機器用物
品が透明性、透視野性を要求される物品(例えば、窓ガ
ラスや鏡等)である場合には、物品の本来の目的達成
でき、重大事故を誘発する原因になるおそれがある
【0004】水滴等を除去するための手段(例えば、ふ
き取りやワイパーによる除去)は 面に微細な傷を付
けることがある。また、水滴等に伴われる異物粒子によ
って損傷著しくなる問題もある。さらに、ガラス表
面に水分が付着した場合には、水分中にガラス成分が溶
出し、表面が浸食されていわゆる焼けを生じることはよ
く知られている。この焼けを除去するために強く摩擦す
ると微細な凸凹を生じやすい。焼けが激しく生じたガラ
スや表面に微細な凸凹を生じたガラスからなる透視野
部は、本来の機能が低下し、また、その表面で光の散乱
が激しく視野確保の点で不都合が生じる。
【0005】その他、水分は、輸送機器用物品の表面に
有害な影響を与えて損傷、汚染、着色、腐食等を促進さ
せ、また、輸送機器用物品の電気的特性、機械的特性、
光学的特性等の変化を誘発することもある。
【0006】このような問題を解決するために、輸送機
器用物品表面への水滴の付着少なくする性質または付
着した水滴の除去容易にする性質(以下これらを単に
水滴除去性という)付与求められている。そして
より表面を水滴除去性にする表面処理剤として、シ
ン系ワックスやオルガノポリシロキサンからなるシ
リコン油、または界面活性剤が提案されている。
【0007】しか従来の表面処理剤は、塗布に伴う
前処理を必要と、かつ塗布時に塗布ムラが発生しやす
い問題があった。また、基に対する表面処理剤の付着
性が低いことから、水滴除去性長期持続できず、し
かも表面処理剤の適用範囲が限定されていた。
【0008】また、水分の悪影響を考慮した際には、今
後製作される輸送機器用物品だけでなく、既に使用され
ている輸送機器用物品に対しても対策をじる必要があ
る。既に使用されている輸送機器用物品には、常温で直
接処理するだけで水滴除去性を付与する必要がある。例
えば、既に市販されている自動車用フロントガラスに処
理を行う場、各自動車のフロントガラスを入れ替える
ことは経済的ではなく、また、塗布後にフロントガラス
部分を焼成することも現実的には不可能である。この観
点からも従来の表面処理剤では対応が困難な問題が
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問
点に鑑みなされたものである。すなわち、本発明者は、
従来の表面処理剤が有する欠点を解消し得る処理剤の研
究、検討の過程において、多種類の基材に応用が可能で
あり、優れた水滴除去性を発現する処理剤を見い出し、
しかも、該処理剤で処理した各種基材は水滴除去性を有
する基材として、特に輸送機器用物品として極めて好適
であることを確認し、本発明を完成するに至った。本
明は、水滴除去性を有し、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性
に優れることで、その効果が半永久的に持続する輸送機
器用物品、および該輸送機器用物品の製造方法の提供を
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は基材
表面に少なくとも2層の表面処理層を有する処理基材か
らなる、また該処理基材を構成要素とする、輸送機器
用物品であって、表面処理層の最外層である第1層がイ
ソシアネートシラン化合物(I)を含む処理剤で処理し
て得られる層であり、最外層に接する下層である第2層
が加水分解性シラン化合物(II)またはその部分加水
分解生成物を含む処理剤で処理して得られる層である、
輸送機器用物品、および該輸送機器用物品の製造方法を
提供する
【0011】本発明において、イソシアネートシラン化
合物(I)とは、少なくとも1つのイソシアネート基が
ケイ素原子に直接結合した構造を有する化合物をいう
この化合物は少なくとも1つの有機基を有していてもよ
く、テトライソシアネートシランのよう有機基を有し
ない化合物であってもよい。好ましくは、ケイ素原子に
結合した少なくとも1つの有機基(有機基とケイ素原子
炭素原子とケイ素原子との結合で結合している)を
有するオルガノイソシアネートシラン化合物である。
【0012】イソシアネートシラン化合物(I)で処理
された表面とは、イソシアネートシラン化合物(I)が
化学的にまたは物理的に結合した第層の表面をいう。
イソシアネート基が反応性であるので、イソシアネート
シラン化合物(I)は主として化学的反応により第2層
の表面に結合するものと考えられる。すなわち、結合状
態においてはイソシアネート基は変化しているものと考
えられる。例えば、イソシアネート基はガラス表面のシ
ラノール基と反応すると考えられ、また、イソシアネー
ト基が脱離して生成するシラノール基が反応するとも考
えられる。
【0013】本発明において、処理された表面の水滴除
去性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などの性能の少なく
とも一部はこのイソシアネート基の反応性によるもので
あり、他の一部はこのイソシアネート基と直接結合した
ケイ素原子によるものであると考えられる。また後述の
ように、イソシアネートシラン化合物(I)の有機基を
選択することによりこれら性能をさらに向上させう
る。また、第2層表面に対する結合性の面で、1個のケ
イ素原子に結合したイソシアネート基は2以上であるこ
とがより好ましい。
【0014】本発明における輸送機器用物品とは、電
車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外板、
窓ガラス、鏡、もしくは表示機器表面材等の外装部材、
計器盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用さ
れる部品や構成部材または輸送機器に使用された部品
や構成部材をいう。物品は、表面処理された処理基材の
みからなっていてもよく、表面処理された処理基材が組
み込まれたものであってもよい。例えば、前者として自
動車用窓ガラスがあり、後者としてガラス鏡が組み込ま
れた自動車用バックミラー部材がある。
【0015】輸送機器用物品の基材の種類は特に限定さ
れない。例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラミ
ックス、その他の無機質材料や有機質材料、またはそ
の組み合わせ(複合材料、積層材料等)がある。また
基材の表面は、基材そのものの表面であっても、塗装金
属板等の塗膜表面や表面処理ガラスの表面処理層の表面
等の基材そのものの面とは異なる材質からなる表面で
あってもよい。また、基材の形状としては平板、全面
または部分的に曲率を有するものなど目的に応じた任意
の形状が挙げられる。
【0016】本発明における基材としては、ガラスや透
明プラスチック等の透明材料からなる基材が好ましい。
本発明における輸送機器用物品として、透明材料の透
明性を利用した物品が好ましく、例えば、ガラスや透明
プラスチック等からなる窓材、鏡、計器盤保護カバー
が挙げられる。これらは、雨滴、ほこり、汚れ等の付着
により、透視野性が低下しやす、それによ問題が発
生するおそれがる。基材としては特にガラスが好まし
い。第2層はガラスのシラノール基と反応してその表面
に強固に結合するのが好ましい
【0017】第2層表面に対する表面処理は、通常イソ
シアネートシラン化合物(I)を含む処理剤第2層
面に塗布し、イソシアネートシラン化合物(I)を第2
表面に結合させることによって行うのが好ましい
ソシアネートシラン化合物(I)を含む処理剤としては
溶剤を含む溶液であることが好ましい。この溶液にはさ
らに他の成分を存在させることができる。他の成分とし
ては、例えば、後述のようなオルガノポリシロキサンや
酸類が挙げられる。第2層表面への第1層形成用の処理
剤の塗布またはその後の溶剤の揮散によりイソシアネ
ートシラン化合物(I)第2層表面に接触し結合が起
こると考えられる。
【0018】この表面処理によって生成する第1層の厚
さは特に限定されないが、きわめて薄いものであること
が好ましい。好ましい第1層の層厚は、2μ以下であ
る。またその下限は単分子層厚である。本発明の1つの
特徴は第2層の表面を処理する際に特に高温を必要とし
ないことである。すなわち、常温下処理を行うことが
でき、溶剤の除去の際にもそれに必要な温度以上にする
必要ない。もちろん、必要により、処理の効果が失わ
れない限り高にしてもよい
【0019】イソシアネートシラン化合物(I)とし
、イソシアネート基が結合したケイ素原子を1〜2個
有する化合物が好ましいイソシアネートシラン化合物
(I)は、イソシアネート基が結合していないケイ素原
子を有していてもよい。しかし、加水分解性基が結合し
たケイ素原子の存在は好ましない。好ましいイソシア
ネートシラン化合物(I)は、下記式(A)で表わされ
る化合物また下記式(B)で表わされる化合物であ
る。なお、以下において式(A)で表わされる化合物を
化合物(A)ともいい、式(B)で表わされる化合物を
化合物(B)ともいう。
【0020】 (A) (OCN)3-a-b(R1)a(R2)bSi-Y-Si(R3)c(R4)d(NCO)3-c-d ただし、R1 、R2 、R3および4 は独立に水素
原子または炭素数116の有機基、aおよびbは独立
0、1、または2でありかつ0≦a+b≦2を満た
す整数、cおよびdは独立に0、1、または2であ
かつ0≦c+d≦2を満たす整数、Yは2価有機基を表
わす。
【0021】 (B)(R 5 ) e (R 6 ) g (R 7 ) h Si(NCO) 4-e-g-h ただし、R5 、R6および7 は独立に水素原子
たは炭素数116の有機基、e、g、およびhは独立
0、1、2、または3でありかつ0≦e+g+h≦
3を満たす整数を表わす。
【0022】化合物(A)はイソシアネート基が結合し
たケイ素原子を2個有する化合物であり、化合物(B)
はイソシアネート基が結合したケイ素原子を1個有する
化合物である。化合物(A)はYが有機基であることか
オルガノイソシアネートシラン化合物の1種であり、
化合物(B)は少なくとも1つの有機基を有する場合
に、オルガノイソシアネートシラン化合物の1種であ
る。R1 〜R7 は有機基であるが好ましく、特に
在するすべてのR1 〜R7 は有機基であるが好まし
い。
【0023】化合物(A)および化合物(B)におい
て、ケイ素原子に結合したイソシアネート基はケイ素原
たり2以上が好ましい。イソシアネート基が多い
ほど基材表面に対する結合が強固となると考えられるか
らである。
【0024】R1 〜R7 が有機基である場合、その有機
としてアルキル基、アルケニル基、シクロアルキ
ル基、またはアリール基等の炭化水素基、クロロアルキ
ル基、またはポリフルオロアルキル基等のハロゲン化炭
化水素基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト
基、またはカルボキシル基の官能基を有する(ハロゲ
ン化)炭化水素基、炭素鎖の中間にエステル結合、エー
テル結合、チオエーテル結合、イミノ結合、またはアミ
ド結合の連結結合を有する(ハロゲン化)炭化水素基
が好ましい。特に好ましくは、炭化水素基、または、
リフルオロアルキル基を有する有機基である。好ましい
炭化水素基としては、炭素数1〜16のアルキル基とア
リール基が挙げられる。
【0025】イソシアネートシラン化合物(I)として
は、式(A)におけるYがアルキレン基である化合物、
式(A)中にR 1 、R 2 、R 3 、またはR 4 が存在する
場合にその少なくとも1つがアルキル基である化合物、
式(B)中にR 5 、R 6 、またはR 7 が存在する場合に
その少なくとも1つがアルキル基である化合物が好まし
い。特に、R1 〜R7 は、すべてが炭素数4以下のアル
キル基(以下、低級アルキル基という)であるか、1つ
のケイ素原子に結合するR1 〜R2 、R3 〜R4また
はR5 〜R7 が存在する場合にはその1つが低級アルキ
ル基以外のアルキル基でありかつ他が低級アルキル基で
ある場合が好ましい。特に好ましい低級アルキル基はメ
チル基である。
【0026】また、好ましい化合物(A)および化合物
(B)は、2以上のフッ素原子を有するオルガノイソシ
アネートシランである。すなわち、化合物(A)にお
Yが2以上のフッ素原子を有する2価有機基である
合物Yが2以上のフッ素原子を有する2価有機基以外
の2価有機基でありかつ1 〜R4 の少なくとも1つが
2以上のフッ素原子を有する1価有機基である化合物
または 1 〜R 4 少なくとも1つとYとが2以上の
フッ素原子を有する有機基である化合物である化合物
(B)においては、R 5 〜R 7 の少なくとも1つが2以
上のフッ素原子を有する1価有機基である化合物、であ
る。
【0027】化合物(A)および化合物(B)におい
て、フッ素原子を有しない有機基が存在する場合には、
前記の炭化水素基が好ましい。なお、2以上のフッ素原
子を有する有機基は、フッ素原子を有しない炭素原子
(例えば、メチレン基)でケイ素原子に結合することが
好ましい。
【0028】好ましい化合物(A)において、Yが2以
上のフッ素原子を有する2価有機基である場合、該基と
してはポリフルオロアルキレン基、ポリフルオロオキサ
アルキレン基(アルキレン基の炭素鎖の中間に少なくと
も1つのエーテル結合が存在するもの)、およびポリフ
ルオロチアルキレン基(アルキレン基の炭素鎖の中間
に少なくとも1つのチオエーテル結合が存在するもの)
が好ましい。特に、両末端のケイ素原子に結合する部分
がポリメチレン基(特にジメチレン基)であり、それら
の中間部分がパーフルオロアルキレン基、パーフルオロ
オキサアルキレン基、またはパーフルオロチアルキレ
ン基である2価有機基が好ましい。これらYの炭素数は
6〜30が好ましく、特に6〜16が好ましい。
【0029】化合物(A)におけるYが2以上のフッ素
原子を有する2価有機基以外の基ある場合、該基とし
はアルキレン基、オキサアルキレン基、または
ルキレン基が好ましい。その炭素数は2〜30が好まし
、特に2〜16が好ましい。
【0030】R1 〜R7 のいずれかが2以上のフッ素原
子を有する1価有機基である場合、該基としてはポリフ
ルオロアルキル基、ポリフルオロオキサアルキル基、ポ
リフルオロチアルキル基、またはこれらのいずれかの
基とアルキレン基等の炭化水素基とがエステル結合もし
くは前記連結結合で結合した有機基(ただし、炭化水
素基の他端でケイ素原子と結合する)が好ましい。ポリ
フルオロアルキル基、ポリフルオロオキサアルキル基、
およびポリフルオロチアルキル基はケイ素原子と結
合する端部またはその周辺がアルキレン基(特に、ジメ
チレン基が好ましい)でありかつ他の部分がパーフルオ
ロのそれらの基、であるが好ましい。
【0031】1価有機基パーフルオロ部分を有する場
合、該部分としては炭素数3以上のパーフルオロアルキ
ル基、パーフルオロオキサアルキル基、またはパーフル
オロチアルキル基が好ましく、特に炭素数3〜16の
パーフルオロアルキル基が好ましい。
【0032】これらYやR1 〜R7 の具体例について
は、下記の化合物(A)および化合物(B)の具体例中
の例が挙げられる。下記具体例中のR f しては、特
に、Cn2n+1m2m−(ただし、この化学式におい
て、nは3〜16の整数、mは2〜4の整数)で表
されるパーフルオロアルキル基部分を有するポリフルオ
ロアルキル基が好ましく、下記具体例中のR F して
、C n2n+1−(ただし、この化学式において、nは
3〜16の整数)が好ましい。
【0033】化合物(A)および化合物(B)の具体例
を下記に示す。しかし、化合物(A)および化合物
(B)はこれら具体例に限定されない。なお、下記化学
式においてx、n、mはそれぞれ1以上の整数を、Rは
アルキル基等を、Rf はポリフルオロアルキル基を、R
F はパーフルオロアルキル基を示、xは2〜8が、R
は低級アルキル基が、Rf はパーフルオロアルキル基を
有するジメチレン基が好ましい。
【0034】化合物(A)の例示。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】化合物(B)の例示。
【0046】
【化11】
【0047】
【化12】
【0048】
【化13】
【0049】さらに、本発明において、イソシアネート
シラン化合物(I)による表面処理の効果を高めるため
に、イソシアネートシラン化合物(I)とともにオルガ
ノポリシロキサンを含む処理剤を使用することが好まし
い。オルガノポリシロキサンとしては、シリコーンオイ
ルまたは変性シリコーンオイルと呼ばれているものが適
当である。以下このオルガノポリシロキサンを化合物
(D)ともいう。オルガノポリシロキサンは、下記式
(D)で表される重合単位を有するものが好ましい。
【0050】(D)[-Si(R 11 )(CH 3 )-O-] なお、この式において、R11は炭素数1〜16の有機基
を表す。この有機基は前記1 〜R7 と同様の有機
基(ただし、フッ素原子を有しないものが好ましい)が
好ましく、特に、アルキル基、アリール基、アリールア
ルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、
またはポリオキシアルキレン鎖を有する炭化水素基が
ましく、とりわけ低級アルキル基が好ましい
【0051】化合物(D)は、前記イソシアネートシラ
化合物(I)の処理による被膜の水滴除去性や耐摩耗
性を向上させる効果を有する。この化合物(D)は、加
水分解性基を有しないことが好ましい。化合物(D)は
そのまま処理剤に使用してもよいし、また、硫酸、塩
酸、酢酸等の酸で分解してから処理剤に添加することも
可能である。また、オルガノポリシロキサンの粘度は化
合物(A)、化合物(B)との組み合せを考慮して決定
することが好ましく、特に25℃における粘度が0.
5〜500センチストークス()のものが好適で
ある。
【0052】化合物(D)の具体例を下記に例示する
、これらに限定されない。
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】本発明において、第2層表面処理するた
めの第1層形成用の処理剤化合物(A)または化合
物(B)のどちらか一方の化合物必須とするものが好
ましいもちろん、両化合物が含有されていても問題は
なく、その割合は任意でよい。また、化合物(D)を
加する場合には化合物(D)と化合物(A)および/
は化合物(B)との割合は目的に応じて任意にするこ
とが可能である。好ましくは、化合物(A)、(B)、
(D)の合計に対して化合物(D)またはその分解物の
存在量1〜40重量%とするのが好ましい。化合物
(D)が少なすぎると耐摩耗性、作業性が低下しやす
く、また、多すぎると耐摩耗性が低下するばかりでな
く、表面に触れた際にべた付き感が残るおそれがある。
【0056】また、化合物(D)は化合物(A)およ
び/または化合物(B)との相互作用で被膜の水滴除去
性の向上および膜の耐久性を向上するのに寄与する。こ
の詳細な機構は不明であるが、化合物(D)の分子鎖
が、化合物(A)や化合物(B)と複雑に絡み合い、表
面に存在する各種有機基、特に極性基およびイオン性結
合のミクロな分布を結果的に制御し、水滴の除去に最適
な表面構造が達成されるためであると考えられる。
【0057】また、この選ばれた各化合物間での分子の
絡み合いは耐久性を一段と高めるのに大きく寄与してい
ると考えられる。また、化合物(A)、(B)、(D)
いずれも表面自由エネルギーが低い物質であり、被
膜中に一部存在する遊離状態の化合物が極表面層を移動
することによって表面での摩擦抵抗を低減することも耐
摩耗性が良好である原因のひとつと考えられる。
【0058】本発明における処理剤には、目的に応じて
他の化合物や添加剤などが添加される。添加剤は各成分
との反応性、相溶性を考慮して選択すればよく、後述の
ような各種金属酸化物の超微粒子、各種樹脂などの添加
も可能である。また、着色が必要であれば染料、顔料等
添加してもよい。これらの添加剤は化合物(A)、
(B)、(D)の合計100重量部に対して0.01〜
20重量部が好ましく、特に0.1〜5重量部が好適で
ある。過剰な添加は水滴除去性、耐摩耗性等を低下さ
せるので望ましくない。
【0059】上記組成物は被覆対象の第2層上に直接手
拭き等の方法で塗布してもよいし、また、有機溶剤によ
って、溶解または希釈して溶液状の形態に調製し使用す
ることも可能である。この有機溶剤による溶液におい
て、含まれる化合物(A)、(B)、(D)の合計量は
被膜の形成性(作業性)、安定性、被膜厚さ、経済性を
考慮して決定されるが0.1〜30重量%であるのが好
ましい。
【0060】有機溶剤としては酢酸エステル類、芳香族
炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エーテ
ル類等各種溶剤の適用が可能であるが、反応性官能基
(水酸基など)を有しているものは化合物(A)や化合
物(B)成分が有しているイソシアネート基と反応する
ため望ましくない。ただし、イソプロピロアルコールな
どの反応性の低い官能基を有する有機溶剤は使用でき
る。希釈溶剤は1種に限定されることなく、2種以上の
混合溶剤を使用することも可能である。
【0061】第2層表面の処理にあたっては特別な前処
理は必要としない。被膜の形成は調製された組成物を含
む有機溶剤よりなる液状物を通常の処理方法によって表
面に塗布、例えば、はけ塗り、流し塗り、回転塗り、浸
漬塗り、スプレー塗布等の各種方法によって行い、大気
または窒素中、常温で乾燥させればよい。特に、乾燥
速度を高める、耐久性を高めるなどの目的で加熱するこ
とが好ましい。加熱温度は50〜250℃程度が好まし
く、加熱時間は5〜60分が適当である。加熱する場合
には第2層の材質や基材の耐熱性を加味して温度、時間
を設定すればよい。
【0062】本発明において、第2層を形成するための
材料としてイソシアネートシラン化合物(I)以外の加
水分解性シラン化合物(II)またはその部分加水分解
生成物が使用される。第1層の下層の第2層は第1層の
耐久性を向上させ、また基材との密着性を高める効果も
ある。この第2層は通常基材表面に形成される。
【0063】加水分解性シラン化合物(II)とは、少
なくとも1つの加水分解性基がケイ素原子に結合した構
造を有する化合物をいう。この化合物は、ケイ素原子に
加水分解性基のみが結合している化合物(えば、テト
ラアルコキシシラン)であってもよく、ケイ素原子に少
なくとも1つの有機基が結合している化合物であっても
よい。ただし、この場合の有機基はフッ素原子を有す
る有機基以外の有機基が好ましい。
【0064】加水分解性シラン化合物(II)における
加水分解性基は、ケイ素原子に結合している基でありか
水と反応して脱離し、ケイ素原子に結合した水酸基
(シラノール基)を生じる基である。加水分解性基とし
ては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオ
キシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アミノキシ基
アミド基、ケトキシメート基などがある。好ましく
は、アルコキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシ
オキシ基等の酸素原子でケイ素原子と結合する加水分
解性基である。これら加水分解性基の炭素数は好ましく
は8以下、特に4以下である。好ましい加水分解性基は
炭素数4以下のアルコキシ基(以下低級アルコキシ基と
もいう)である。
【0065】加水分解性シラン化合物(II)の部分加
水分解生成物とは、水や酸性水溶液中で加水分解性シラ
ン化合物(II)を部分的に加水分解することにより
成するシラノール基を有する化合物、またはそのシラノ
ール基の反応により2以上分子が縮合した化合物をい
う。酸としては、例えば、塩酸、酢酸、リン酸、硝酸、
硫酸、スルホン酸などを使用できる。
【0066】以下、第2層を形成するに必須の成分であ
るこの加水分解性シラン化合物(II)を化合物(C)
ともいう。この化合物(C)は下記式(C)で表され
る化合物が好ましい。
【0067】 (C)(R 8 ) i (R 9 ) j (R 10 ) k SiX 4-i-j-k ただし、Xは加水分解性基、R8 、R9および10
独立に水素原子または有機基、i、j、およびkは独
立に0、1、2、または3でありかつ0≦i+j+k
≦3を満たす整数でを表わす。
【0068】R8 〜R10 が有機基である場合には前記
1 〜R7 と同様の有機基であるのが好ましい。有機基
としては、炭化水素基が適当であり、炭素数1〜6の炭
化水素基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。この
有機基はフッ素原子を有しないが好ましいが、フッ素
原子を有する基であってもよい。また、該有機基は、
ミノ基やエポキシ基等の官能基を有する有機基であって
もよい。また、i+j+kは0〜1が好ましい。特に好
ましい化合物(C)はi+j+k=0の化合物であり、
最も好ましくは、テトラアルコキシシランである。
【0069】これら加水分解性基のみを有するシラン化
合物、またはその部分加水分解生成物使用した場合
第1層との相溶性や密着性の点で優れている。もち
ろんこの化合物と他のシラン化合物の併用や後述する
添加成分の添加によっても良好な第2層が形成される。
【0070】化合物(C)の具体例を下記に例示する
が、化合物(C)はこれらに限定されない。
【0071】テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソ
ロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テト
ラ(sec−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキ
シ)シランなどのテトラアルコキシシラン類。
【0072】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、
【0073】グリシドキシメチルトリメトキシシラン
リシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシド
キシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチ
ルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメ
トキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシ
ラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシド
キシプロピルトリエトキシシラン、
【0074】γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、α−グリシ
ドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブ
チルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリ
メトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシ
シラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリ
シドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシ
ブチルトリエトキシシラン、
【0075】(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチ
ルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポ
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリブトキシシランγ−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエト
キシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリア
ルコキシシラン類。
【0076】 メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリ
アセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリアセトキシシランなどのトリ
アシルオキシシラン類。
【0077】メチルトリフェノキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリフェノキシシラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン
などのトリフェノキシシラン類。
【0078】ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェ
ニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエト
キシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピル
メチルジエトキシシラン、
【0079】γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニル
ジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、
【0080】グリシドキシメチルメチルジメトキシシラ
ン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、α−
グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリ
シドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシド
キシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシ
エチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、
【0081】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルエチルジプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラ
ンなどジアルコキシシラン類。
【0082】ジメチルジアセトキシシランやγ−グリシ
ドキシプロピルメチルジフェノキシシランなどのビス
アシルオキシシラン類やジフェノキシシラン類。
【0083】上記のような加水分解性シラン化合物(I
I)またはその部分加水分解生成物で処理された表面と
は、これらの化合物が化学的に、または物理的に結合し
た表面をいう。加水分解性基は水分により分解してシラ
ノール基となので、これら化合物は主としてこのシ
ラノール基の化学的反応により表面に結合するものと考
えられる。例えば、このシラノール基はガラス表面のシ
ラノール基と脱水縮合反応すると考えられる。また、第
1層も第2層表面のシラノール基等と結合すると考えら
れる。
【0084】この第2層を形成するための処理剤として
は加水分解性シラン化合物(II)またはその部分加水
分解生成物を含む処理剤であり、溶液や分散液の形態と
なった処理剤が好ましい。溶剤や分散剤を含む処理剤
は、溶剤や分散剤以外にさらに他の添加剤を添加で
る。溶剤としては、前記のような溶剤の他、さらにイソ
シアネート基と反応しうる官能基を持った溶剤も使用し
うる。添加剤としては、具体的には、例えば前記金属
酸化物の微粒子等の充填剤、バインダー成分、界面活性
剤などがある。それらの使用割合も前記のような割合が
適当である。また、使用量も前記に準じた量であること
が好ましい。なお、この第2層を形成するための処理剤
イソシアネートシラン化合物(I)を実質的に含有
しない組成物であることが好ましい。
【0085】加剤としては、シリカ、酸化アルミニウ
ム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物の微粒子が好まし
、特にシリカゾルやアリミナゾル等のゾル中の超微粒
が好ましく、その他の充填剤成分としては、エポキシ
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
(メタ)アクリレート類等のバインダー成分等の使用が
好ましい。
【0086】基材の表面処理にあたっては特別な前処理
は必要ない。しかし、目的に応じて行うことは別段問題
なく、例えば、希釈したフッ酸、塩酸等による酸処理、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等によるアル
カリ処理、またはプラズマ照射等による放電処理を行う
ことができる。
【0087】第2層の形成は調製された処理剤を通常の
処理方法によって表面に塗布、例えば、はけ塗り、流し
塗り、回転塗り、浸漬塗り、スプレー塗布等の各種方法
によって行い、大気中または窒素中、常温でまたは加熱
して乾燥させるのが好ましい。さらに焼成を行う場合乾
燥温度下またはさらに高温に加熱するのが好ましい。加
熱する場合には基材の耐熱性を加味して温度、時間を設
定することが好ましい。
【0088】基材表面への塗布またはその後の溶剤の揮
散によりシラン化合物が基材表面に接触し加水分解−結
合の反応が起こると考えられる。この場合、塗布後の乾
燥は常温であってもよく、加熱乾燥してもよく、また、
形成された層を焼成してもよい。加熱乾燥または焼成の
温度は200℃以下が好ましく、その時間は120時間
以下が好ましい。あまりに高温の加熱または長時間
加熱を行うと第1層と第2層の密着性に悪影響がある。
【0089】この表面処理によって生成する第2層の厚
さは特に限定されないが、きわめて薄いものであっても
よい。好ましい層厚は、20μ以下であり、2μ
が特に好ましい。またその下限は単分子層厚である。
しかし、第2層はより厚くすることもできる。層厚
は、処理剤中の層形成成分の濃度、塗布条件、加熱条件
等により所望の厚さに調節できる。
【0090】形成される各層の厚さは処理剤の濃度、塗
布条件、加熱条件などによって適宜制御し得る。本発明
における第1層は比較的屈折率が低く、これ故に低反射
性も付与される。かかる効果を期待する場合には第1層
の膜厚を光学干渉が生じる膜厚に制御すればい。特
に、水滴除去性を発現するには理論的には被膜の膜厚は
単分子層以上あればよく、これに経済的効果も加味して
前記のように2μ以下であるのが望ましい。
【0091】かかる層を有する基材は輸送機器用の物
品としてまたはその一部として容易に装着可能である。
例えば、電車のボディー、窓ガラス、パンタグラフ等、
自動車(トラック)のボディー、フロントガラス、リア
ガラス、サイドガラス、ミラー、バンパー等、船舶のボ
ディー、窓ガラス等、航空機等のボディー、窓ガラス等
に容易に使用可能である。
【0092】面処理された基材においては、水滴除去
性により表面に付着する水滴がはじかれ、特に、運行に
伴って受ける風圧との相互作用によって表面上を急速に
移動し、水滴として溜ることなく、水分が誘発する悪影
響を排除することが可能となる。特に、該基材を各種窓
ガラス等の透視野部に使用した場合に水滴の飛散に
より視野確保が非常に容易となり車輌の安全性向上に通
うる。また、水滴が氷結するような環境下においても
氷結することなく、仮に、氷結したとしても解凍は著し
く速い。さらに、水滴の付着がほとんどないため定期的
な清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄は極めて容易
で、美観保持の点からも非常に有利である。
【0093】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが本発明は実施例のみに限定されない。実施例にお
ける各種評価はつぎの方法で実施した
【0094】1.水滴除去性(1 )直径2mmの大きさからなる水滴の転落角を測定
した。表面上の異なる5ヶ所にて測定を行い、その平均
値で示した。(2 )サンプル面から20cmの距離に保持したノズル
から水を全面に約1時間スプレーした後に表面に残存す
る水滴を肉眼で観察し以下の評価基準で評価した。
【0095】 A:サンプル表面に全く水が残らない。 B:サンプル表面に少し水が残る。 C:サンプル表面にかなり水滴が残る。 D:サンプル表面で水が濡れ広がる。
【0096】2.耐摩耗性 試験機:テイバー式ロータリーアブレッサー(株式会社
東洋精機製作所)。 試験条件:摩耗輪H−22、荷重1kg、摩耗回数30
0回。 上記方法で耐摩耗試験を実施し後の撥水性を評価し
た。
【0097】3.耐候性試験 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとして、200サイク
施した後の水滴除去性を評価した。
【0098】4.煮沸試験 沸騰水中に1時間浸漬した後の水滴除去性を評価した。
【0099】5.使用化合物 (a) Si(OCH3)4 (b) メタノール分散シリカゾル(固形分30重量%、触
媒化成(株)製) (c) C8H17Si(NCO)3 (d) C8F17CH2CH2Si(NCO)3 (e) (OCN)3SiC2H4C6F12C2H4Si(NCO)3 (f) Si(NCO)4 (g) (CH3)3SiO-[Si(CH3)2-O-]n-Si(CH3)3 [動粘度50
cSt]
【0100】[処理剤1の調製] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
(a) 78.5g、メチルアルコール1020.2g、イソプロピル
アルコール2000.0gを加え、1時間撹拌した。この溶液
の温度を5℃に維持しながら、1%塩酸水溶液37.2gを
徐々に滴下した。滴下終了後、液温を25℃に維持しなが
ら5日間撹拌を継続し処理剤1を得た。
【0101】[処理剤2の調製] 撹拌子および温度計がセットされた3ツ口フラスコに、
(a) 75.0g、(b) 10.9g、メチルアルコール1203.5g、
イソプロピルアルコール2000.0gを加え、1時間撹拌し
た。この溶液の温度を5℃に維持しながら、1%塩酸水
溶液35.5gを徐々に滴下した。滴下終了後、液温を25℃
に維持しながら5日間撹拌を継続し処理剤2を得た。
【0102】[処理剤3の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、(c) 2
0.0gと酢酸ブチル1980.0gを加え、この溶液液温を2
5℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し処理剤3を得
た。
【0103】[処理剤4の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、(d) 1
9.9gと(e) 10.3gを混合して加え、さらに酢酸エチル
985.3g、イソプロピルアルコール54.2g、トリクロロ
トリフルオロエタン(R−113)456.3 gを加え、こ
の溶液の液温を25℃に維持しながら5日間撹拌を継続し
処理剤4を得た。
【0104】[処理剤5の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、(c)9.8
g、(f)2.4g、および(d)9.8gを混合して加え、さらに
酢酸ブチル 970.0g、イソプロピルアルコール35.5g、
トリクロロトリフルオロエタン(R−113)200.0 g
を加え、この溶液の液温を25℃に維持しながら1昼夜撹
拌を継続し処理剤5を得た。
【0105】[処理剤6の調製] 撹拌子および温度計がセットされたフラスコに、(d) 1
9.9gと(e) 10.3gを混合して加え、さらに酢酸エチル
985.3g、イソプロピルアルコール54.2g、トリクロロ
トリフルオロエタン(R−113)456.3 gを加え、そ
の後さらに(g)1.8gと硫酸 0.2gを添加して、この溶液
の液温を25℃に維持しながら5日間撹拌を継続し処理剤
6を得た。
【0106】[実施例1] 10cm×10cm(厚さ3mm)のガラス板を処理剤1の溶液に
浸漬させ、11cm/分速度で引き上げ、80℃10分間加
熱した。この試験片を室温にて30分放置した後、処理剤
3の溶液に浸漬し、11cm/分速度で引き上げ、 150℃
30分間加熱し、サンプル試験片を作成した。この試験
片を評価した結果を表1に示す。
【0107】[実施例2] 実施例1における処理剤3を処理剤4に変更した他は実
施例1と同様に試験、評価を行った。結果表1に示
す。
【0108】[実施例3] 実施例1における処理剤3を処理剤5に変更した他は実
施例1と同様に試験、評価を行った。結果表1に示
す。
【0109】[実施例4] 実施例1における処理剤3を処理剤6に変更した他は実
施例1と同様に試験、評価を行った。結果表1に示
す。
【0110】[実施例5] 実施例1における処理剤1を処理剤2に変更した他は実
施例1と同様に試験、評価を行った。結果表1に示
す。
【0111】[実施例6] 実施例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤4変更した他は実施例1と同様に試験、評価を行
った。結果表1に示す。
【0112】[実施例7] 実施例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤5変更した他は実施例1と同様に試験、評価を行
った。結果表1に示す。
【0113】[実施例8] 実施例1における処理剤1を処理剤2に、処理剤3を処
理剤6変更した他は実施例1と同様に試験、評価を行
った。結果表1に示す。
【0114】[実施例9] 実施例1における処理剤1の浸漬後の加熱を80℃10分
間から300 ℃30分間に変更した以外は実施例1と同様
に試験、評価を行った。結果表1に示す。
【0115】[比較例1] 10cm×10cm(厚さ3mm)のガラス板を処理剤5の溶液に
浸漬させ、11cm/分速度で引き上げ、サンプル試験片
を作成した。この試験片を評価した結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】[実施例10] 実施例3で得られた試験片を表2に示す薬品に24時間浸
漬し、取り出して直ちに洗浄した後、この試験片の外観
変化および水滴除去性を確認した。その結果を表2に示
す。
【0118】
【表2】
【0119】[実施例11] 実施例3の方法で自動車用フロント合わせガラスの表面
に塗布し、被膜を形成した。得られたフロント合わせガ
ラスを自動車のフロントに装着した。この自動車で、
中4時間の走行テストを1ヶ月間行い、毎日フロント表
面への汚れ、ほこりの付着状態、また、雨天時において
は水滴の付着状態を肉眼で観察した。
【0120】その結果、汚れ、ほこりの付着、水滴の付
着による水の発生は全く認められず、まれにそれらの
発生が認められてもティシュペーパーで軽く拭うこと
で容易に除去された。また、雨天時には表面の水滴はは
じかれ走行による風圧との相互作用によって速やかに移
し、ワイパーを使用することなく視野が確保された。
さらに未処理のフロント合わせガラスに付着している水
滴が氷結する、または空気中の水分が凝縮してフロント
ガラスに氷結するような環境下(0℃〜−5℃)での走
行テストにおいてフロントガラスでの氷結は全く認めら
れなかった。
【0121】さらに厳しい低温環境下(−10℃〜−1
5℃)においてはフロントガラスでの氷結も認められる
が、その解凍も早く、未処理のフロントガラスに比し著
しい差があった。
【0122】[実施例12] 実施例11のフロント合わせガラスをサイドガラス、リ
アガラスに変更して走行試験を実施したが、実施例11
と同様の効果が確認できた。
【0123】[実施例13] 実施例11のフロント合わせガラスをサイドミラーに変
更して走行試験を実施したが、実施例11と同様の効果
が確認できた。
【0124】
【発明の効果】本発明の輸送機器用基材や輸送機器用物
品およびそれらを装着した輸送機器には実施例に記載す
るとおり優れた効果が認められる。すなわち、 1.水滴除去性に優れており、ほこり、汚れ、水滴の付
着、またはそれによる水垢の発生などがなく、まれにそ
れらの発生があっても、容易に除去可能で水が誘発する
悪影響を遮断することができるし、洗浄の簡略化が図れ
る。 2.水滴除去性の持続性に優れ、半永久的にその状態を
維持する。
【0125】3.耐薬品性に優れ、海岸線沿いでの使
用、または海水が直接触れる船舶においても効果を発揮
する。 4.特別な前処理を必要とせず、経済的効果も高い。 以上のような効果は従来の材料では期待できないもので
あり、これまで使用不可能であった分野にまでその適用
範囲を拡大できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 - 7/06

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材表面に少なくとも2層の表面処理層を
    有する処理基材からなる、また該処理基材を構成要素
    とする、輸送機器用物品であって、表面処理層の最外層
    である第1層がイソシアネートシラン化合物(I)を含
    む処理剤で処理して得られる層であり、最外層に接する
    下層である第2層が加水分解性シラン化合物(II)
    はその部分加水分解生成物を含む処理剤で処理して得
    られる層である、輸送機器用物品。
  2. 【請求項2】基材がガラスである請求項1に記載の輸
    送機器用物品。
  3. 【請求項3】イソシアネートシラン化合物(I)が
    記式(A)で表わされる化合物または下記式(B)で表
    される化合物である請求項1、または2に記載の輸送
    機器用物品。 (A) (OCN)3-a-b(R1)a(R2)bSi-Y-Si(R3)c(R4)d(NCO)3-c-d ただし、R1 、R2 、R3および4 は独立に水素
    原子または炭素数116の有機基、aおよびbは独立
    0、1、または2でありかつ0≦a+b≦2を満た
    す整数、cおよびdは独立に0、1、または2であ
    かつ0≦c+d≦2を満たす整数、Yは2価有機基を表
    わす。 (B)(R 5 ) e (R 6 ) g (R 7 ) h Si(NCO) 4-e-g-h ただし、R5 、R6および7 は独立に水素原子
    たは炭素数116の有機基、e、g、およびhは独立
    0、1、2、または3でありかつ0≦e+g+h≦
    3を満たす整数を表わす。
  4. 【請求項4】イソシアネートシラン化合物(I)が、
    (A)におけるYが2以上のフッ素原子を有する2価有
    機基である化合物式(A)におけるR 1 、R 2 、R
    3 、お よびR 4 の少なくとも1つがポリフルオロアルキ
    ル基を有する有機基である化合物または式(B)にお
    けるR 5 、R 6 、およびR 7 の少なくとも1つポリフ
    ルオロアルキル基を有する有機基である化合物である
    請求項3に記載の輸送機器用物品。
  5. 【請求項5】第1層が、イソシアネートシラン化合物
    (I)とともにオルガノポリシロキサンを含む処理剤で
    処理して得られる層である請求項1、2、3、または4
    に記載の輸送機器用物品。
  6. 【請求項6】オルガノポリシロキサンが、下記式(D)
    で表わされる繰り返し構造単位を有し、かつ、25℃に
    おける粘度が0.5〜500センチストークスのオル
    ガノポリシロキサンである請求項5に記載の輸送機器用
    物品。 (D) [-Si(R 11 )(CH 3 )-O-] ただし、R11は炭素数116の有機基を表わす。
  7. 【請求項7】加水分解性シラン化合物(II)が、下記
    式(C)で表わされる化合物である請求項1〜6のいず
    れかに記載の輸送機器用物品。 (C)(R 8 ) i (R 9 ) j (R 10 ) k SiX 4-i-j-k ただし、Xは加水分解性基、R8 、R9および10
    独立に水素原子または有機基、i、j、およびkは独
    立に0、1、2、または3でありかつ0≦i+j+k
    ≦3を満たす整数を表わす。
  8. 【請求項8】ハロゲン原子、アルコキシ基、アシ
    ルオキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アミノキシ
    、酸アミド基、およびケトキシメート基より選ばれる
    加水分解性基である、請求項7に記載の輸送機器用物
    品。
  9. 【請求項9】第1層の層厚が、単分子層厚〜2μmであ
    る請求項1〜8のいずれかに記載の輸送機器用物品。
  10. 【請求項10】第2層の層厚が、単分子層厚〜2μmで
    ある請求項1〜9のいずれかに記載の輸送機器用物品。
  11. 【請求項11】輸送機器用物品用の基材表面を加水分解
    性シラン化合物(II)またはその部分加水分解生成
    含む処理剤で処理して第2層を形成し、次いで第2層
    表面をイソシアネートシラン化合物(I)を含む処理剤
    で処理して第1層を形成して表面処理層とする輸送機器
    用物品の製造方法
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