JP3200142B2 - 電界効果型トランジスタ - Google Patents
電界効果型トランジスタInfo
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Description
増幅素子や高速データ転送用素子として好適な電界効果
型トランジスタ(Field Effect Transistor、以下、FET
と略記する)に関する。
れるGHz 帯の高周波素子として、GaAs基板上のGaAsのエ
ピタキシャル層を電子走行層とする、GaAs-MESFET(Meta
l Semiconductor FET)や、GaAsとAlGaAsのヘテロ構造界
面に蓄積する2次元電子層を用いたFET 、いわゆるHEMT
(High Electron Mobility Transistor:以後、GaAs-HEM
T と記す。特開昭56-94780号公報)が広く知られてい
る。GaAs素子が高速なのは、GaAsの電子移動度が、不純
物をドープしない状態(intrinsic state) で約8,000cm2
/V・secと高く、Siに比べて数倍(5〜6倍)の値を有す
るためである。
不純物をドープしなければならず、この不純物による伝
導電子の散乱のため、電子移動度は、4,000cm2/V・sec程
度まで低くなる。この問題を解決するために、GaAs-HEM
T では、バンドギャップが異なる異種の半導体のヘテロ
接合を使って、不純物がドープされた電子供給層と電子
走行層とを分離した構造を用いることによって、不純物
散乱の影響を減じ、高い電子移動度を実現している。
厚との関係を規定したものに、特開昭59-53714号公報、
USP No.4,424,525、USP No.Re.33,584がある。
物濃度が低いためオーミック電極が作りにくく、また電
子移動度の制御性が悪い。この欠点を補うために、ヘテ
ロ接合を形成する電子供給層と電子走行層の双方に、不
純物をドープしたGaAs-FETが提案されている(特開昭61
-54673号公報)。
目的で、不純物のドーピング領域をヘテロ接合を含む領
域まで広げたGaAsの半導体ヘテロ接合デバイスが提案さ
れている(特開昭61-276267 号公報)。
方が、これよりギャップが広く、かつ、不純物をドープ
されている化合物半導体からなる電子供給層に接するダ
ブルヘテロ型のGaAs-FETが提案されている(特開昭61-1
31565 号公報)。
ソースおよびドレイン下部の、電子供給層と電子走行層
の双方が、不純物を含むことを規定したものとしてUSP
No.4,424,525がある。
帯の電波の送受信が可能な素子を得るためには、0.2 μ
m 以下の、極めて短いゲート長を有するFET が必要にな
る。このような長さのゲート電極を形成するには、光リ
ソグラフィーが用いられることもあるが、高度の技術が
必要になり、安定的に生産するのは容易でない。
れることが多いが、工業的な量産性の点で光リソグラフ
ィーに比して難がある。その上、さらに高い周波数帯に
対応する高周波素子を上記のGaAs-MESFET やGaAs-HEMT
等のGaAs-FETで実現するためには、ゲート長の一層の微
細化が必要になる。しかし、ゲート長の微細化により、
素子の高周波化を行おうとすると、新たな技術開発や工
業的に成立しにくい高度のプロセス技術が必要となる。
このため、微細化技術が容易で、量産性があり、かつ、
従来以上に高い周波数帯に対応できる新しい構造の高周
波素子が求められている。
度を有するInGaAsの薄膜を、FET の電子走行層に用いる
提案がされている(特開昭63-272080 号公報)。この提
案では、n型InGaAs層を電子走行層として、この上面と
下面とが、GaAs層に接したダブルヘテロ接合を形成して
いる。GaAs層は、その双方をドープした試作例と、いず
れもノンドープの試作例とが示されている。基板にはGa
As基板が用いられている。この提案では、InGaAs層は、
GaAs層と直接接しているため、InGaAs中のAsに対するIn
原子数の割合は,格子整合性の要請から、小さくなけれ
ばならない。上記提案の試作例では、20%に押さえられ
ており、InGaAs層の膜厚も150 Åと薄い。Inの割合がこ
のように低くては,GaAsに比しての移動度の改善は、あ
まり大きなものではない。
度が圧倒的に大きいInAsの良質な薄膜を、FET の電子走
行層に用いる研究が行われている。
-FETに比して長いゲート長を有するFET でも、GaAs-FET
と同程度の高周波の電波の送受信を実現する可能性を有
している。しかし、これら従来のInAs-FETの試みは、以
下のような問題を含んでいる。
しては適しない。
がある。
格子定数の違いのために、欠陥が発生しやすい。
する半導体層上に積層する時、欠陥を生ずる事なく積層
できるInAs層の膜厚には限界がある。この限界の膜厚、
すなわち臨界膜厚が小さいため、FET の設計上必要とす
る膜厚のInAs層が得られない。
格子定数の違いが大きいため、InAs層に強いストレスが
かかり、熱的に不安定であったり、経時変化が大きい等
の問題があり信頼性に欠ける。
きいため、高周波素子として充分な機能を期待し難い。
め、その製法が極めて複雑な上に信頼性に問題がある。
さく適当なショットキー接合や、pn接合等の非オーミッ
ク接合が得られない。
5439号公報記載の提案がある。InAs基板は、高価で、工
業的な目的にとって難点になるばかりか、常温では、絶
縁基板が得られないため、電子走行層との間に寄生容量
を有し、良好な高速特性を得る上で障害になる。
InAs薄膜を直接形成したものもある。たとえば、特開平
2-229438号公報は、GaAs基板上に分子線エピタキシー(M
BE:Molecular Beam Epitaxy) 法を用いて、GaAsのバッ
ファ層を形成し、この上に直接、電子走行層としてのIn
As層を形成し、さらにこの上に、GaAs層を形成したダブ
ルヘテロ型のInAs-FETを開示している。この構造では、
格子定数の著しく異なるGaAs基板上にInAs層を形成する
ため、良質なInAs薄膜の得られるInAs層の膜厚は、20Å
程度以下に限定される。これは、電流駆動能力の高い素
子を設計する上で障害となり、設計上の自由度を著しく
制約し、実用上問題が多い。
する方法の一つとして、特開昭60-5572 号公報は、GaSb
とAlSb層の積層膜をバッファ層として用いたInAs-FETを
提案している。GaSbは、InAsとの格子定数のずれは小さ
く、0.6 %程度である。しかし、InAs層を電子走行層と
するFET を形成するためには、GaSb上にInAs薄膜を直接
形成するのは、図1(a)に示すように、GaSb層102 の価電
子帯上端が、InAs層103 の伝導帯下端より高くなってし
まい、好ましくない。このため、図1(b)に示すように、
GaSb層102 とInAs層103 とを電気的に絶縁するための電
流障壁層として、AlSb層104 をGaSb層102 上に形成し、
この上にInAs層103 を形成する。しかしながら、この構
造ではバッファ層が複雑になるばかりか、図1(c)に示す
ようにAlSb層104 を誘電体膜として、これをサンドイッ
チするGaSb層102 とInAs層103 とを電極とする寄生容量
が形成され、高速デバイスの構造として好ましくない。
また、AlSb層104 は、InAs層103 と格子定数が1.25%も
異なるため、AlSb膜104 上のInAs薄膜103 の臨界膜厚は
200 Å以下となってしまい、これも高電流駆動の素子を
得る上では制約になる。AlSb膜104 が極めて酸化しやす
い特性を有するのも、メサエッチ法による活性層領域の
形成等に際し、工程を複雑にする原因になるとともに酸
化による素子特性の経時的変化の可能性があり、実用性
に乏しい。さらに、この提案には、酸化防止法の開示も
無い。
する方法の一つとして、AlSbとAl0.5Ga0.5Sb層の積層膜
からなるバッファ層の上に形成されたInAs層を電子走行
層とするInAs-FETがある(IEEE ELECTRON DEVICE LETTER
S, Vol.11, No.11, NOVEMBER, 1990) 。図2(a)に上記In
As-FETの構造図を示す。Al0.5Ga0.5Sbは、InAsとの格子
定数のズレは0.9 %程であり、臨界膜厚は300 Å以下で
ある。このため高電流駆動の素子を得る上で制約にな
る。その上この例では、2.8 μm ものAlSb層を、基板と
Al0.5Ga0.5Sb層の間のバッファ層として用い、InAs層と
Al0.5Ga0.5Sb層の間には、電子走行層のキャリア濃度を
増加するために、60ÅのAlSb層を挿入する複雑な積層構
造を用いている。また、これらのキャリアは、意図せず
にドープされたAlSb中のドナーから、あるいはAlSb層と
InAs層との界面から、電子走行層に供給されたものであ
り、このFET の製造過程において、その濃度を設計値に
合わせて制御するのは難しい。したがって、これは工業
的な量産性の上で問題があり、実用性に乏しい。図2(b)
に、上記の方法で作製されたInAs-FETの電流・電圧特性
を示す。ピンチオフ特性が見られるが、飽和領域での線
形性に乏しく、ゲート長が1.7 μm もあるのに、インパ
クト・アイオニゼイション効果も著しく、実用性に乏し
い。
Sb層でサンドイッチした構造のInAs-FETが提案されてい
る(特開昭60-144979 号公報)。この提案では、半絶縁
性InP 基板上に、組成比と格子定数がステップ状に変化
するInGaAs多層構造がバッファ層として配置されてい
る。InGaAs多層構造は、基板のInP の格子定数からInAs
の格子定数まで、ステップ毎に少しずつ変化するように
設計されている。この上に、AlGaAsSb層でInAs層をサン
ドイッチした構造の積層膜が形成される。AlGaAsSb層
は、InAs層に伝導電子を閉じ込めるための障壁層として
用いられている。このようにして得られるInAs-FETの構
造は、極めて複雑で製造上好ましくない。また、バッフ
ァ層を形成するInGaAsの多層膜の最上部のInGaAs層は、
InAsに極く近い特性を有し、バンドギャップもInAsのバ
ンドギャップに近く、常温では導体である。このため、
AlGaAsSb層を誘電体膜とし、電子走行層のInAs層とバッ
ファ層のInGaAs層を電極とする寄生容量が形成され、良
好な高周波特性が得られない。また、ゲート電極とInAs
層とが直接接すると、オーミック接触してしまうため、
活性領域の形成をメサ分離法で行う場合には、この接触
を避ける構造上の工夫が必要であるが、そのような構造
の開示はない。さらに、AlGaAsSb膜は、Ga成分が少ない
場合には極めて酸化しやすい特性を有するため、メサエ
ッチ法により活性層領域を形成する場合や、InAs膜の上
部のAlGaAsSb膜が露出するような構造では、AlGaAsSb膜
の酸化防止策は必須であるが、この提案では酸化防止法
の開示が無い。
子移動度を持つInAsを、FET の電子走行層として活用す
る試みはあったが、実用に適したFET 構造は見出されて
いない。
高速データ転送用素子として、優れた高周波特性を有す
るFET を提供することを目的とする。
め、本発明によるFETは、InAsと異なる格子定数を有す
る半導体基板上に、バッファ層として機能する第1の化
合物半導体層と、電子走行層として機能するInAs層とを
順次積層した構成を有している。
Asは、高周波FET の電子走行層として通常用いられてい
るGaAsに比して、電子移動度と飽和速度が圧倒的に大き
い。また温度依存性も適度に小さく、GaAs-FETを凌ぐ次
世代型の高速素子の素材として期待されていた。なかで
も、実用的な意味から、GaAsやSiの汎用基板上に、InAs
の良質な結晶薄膜を形成する技術が望まれていた。
異なるため、これらの基板上にInAs層を形成すると、数
層の原子層で臨界膜厚を越え、格子欠陥が発生する。こ
のため、良質なInAs薄膜を得るためには基板とInAs薄膜
の間に絶縁性のバッファ層を形成する必要がある。バッ
ファ層としては、InAsに実質的に格子整合し、欠陥の少
ない平滑な表面を有するものが望ましいことは無論であ
るが、製法の上からも信頼性の上からも熱的に安定で、
経時変化の少ない単純な構造が望ましく、また基板リー
ク電流を防御し、寄生容量の少ない構造で、かつ絶縁性
であることが望ましい。
しての条件を満足する、単純な構造を有する半導体層の
発見に基づき、このバッファ層上に形成されたInAs層を
活性層とする、優れた高周波特性を有するFET をInAs層
と格子定数の異なる基板上で、実現する全く新しいFET
構造を提示するものである。
格子整合し、それよりバンドギャップの大きい、AlGaAs
Sb,AlGaPSb ,AlInAsSb、またはAlInPSb の中から選択
して形成したもので、単純な構成を有している。
GaAsSb層等の第1の化合物半導体層が、基板とInAs層と
の格子不整合の影響をわずか数十原子層で吸収し、平滑
な平面を形成するという事実を見いだしたことによる。
これによって、汎用基板であるGaAsやSi基板上に、格子
欠陥等の少ない良質なInAs薄膜を形成することができ
た。しかも、そのInAs層の臨界膜厚は、FET の設計上必
要とする膜厚を得るのに十分な程大きくて、InAs層の界
面の受けるストレスも小さく熱的に安定で、経時変化が
小さく信頼度の高い素子を得ることができ、かつ、InAs
層と基板間の寄生容量等も小さく、高周波素子として優
れた特性が得られた。素材の一部には酸化しやすいもの
もあるが、メサ構造の側壁や保護膜によって、酸化を防
止することができた。ショットキー接合等についても、
これを容易にするいくつかの工夫を用い、高周波特性に
優れたFET を実現することができた。
基板上に、InAsと実質的に格子整合し、かつ基板とInAs
の間の格子不整合を吸収するバッファ層を設けた新たな
構造のInAs-FETを検討してきた。その結果、InAsに実質
的に格子整合し、かつInAsに比べてバンドギャップの大
きい化合物半導体のひとつであるAlGaAsSbを、InAsと格
子整合しない基板上に形成し、その上部にInAs層を形成
する構造を見出した。この構造では、基板とInAsとの格
子不整合がわずか数十原子層のAlGaAsSb層内で緩和さ
れ、良質なInAs層が得られるばかりでなく、基板とAlGa
AsSb層の界面付近の格子の乱れも少なく、FET を製作し
たとき寄生容量の少ないことが分かった。また、この他
にも同様の効果を示すいくつかの化合物半導体があるこ
とも明らかになった。これらの化合物半導体を、基板と
InAs層の間の格子不整合を緩和するためのバッファ層と
し、このバッファ層上にInAs層を形成し、さらに、InAs
と実質的に格子整合する化合物半導体の層をInAs層上に
形成することにより、これまでには実現できなかった良
好な特性を持つInAs-FETが実現できた。
図3により説明する。図3において、1は基板、2は第
1の化合物半導体層、3はInAs層、4は第2の化合物半
導体層を示す。また、5と7は一対のオーミック電極で
あり、5はソース電極、7はドレイン電極である。6は
ソース電極5とドレイン電極7の間に設けられたゲート
電極である。以下、各構成要素について説明する。
有する基板であればなんでも良いが、GaAs基板、もしく
は、GaP 基板、表面に単結晶のGaAsを成長させたSi基
板、サファイア基板などが好適である。なかでも半絶縁
性で良質の単結晶基板が得られるGaAs基板は、特に好ま
しい。ここで言う半絶縁性とは、抵抗率が107 Ω・cm以
上のものを指す。単結晶基板を用いる場合、基板の面方
位は(100),(111),(110) 等が好ましい。これらの面方位
から、1°〜5°ずらした面方位を用いることもある。
中でも、(100) 面は良質の薄膜を成長させるうえで最適
である。通常行われるように、基板表面を平坦化させ、
清浄化させる目的で、基板と同じ材質の半導体を成長さ
せたものを本発明の基板として使用してもよい。GaAs基
板上にGaAsを成長させるのは、この最も代表的な1例で
ある。本発明が従来法に比して優れているのは、InAsと
格子定数の異なる基板を用いる場合であるが、特に、In
Asと3.5 %以上異なる格子定数を有する基板には、GaAs
基板、Si基板等があり、結晶の純度、平坦性、基板コス
ト等の点から望ましい基板が多いため、本発明の従来法
に対する優越性は最も顕著になる。
整合し、(b) InAs層3と大きく格子定数の異なるGaAs等
の基板に直接積層した場合でも,欠陥の少ない平滑な表
面を有し、(c) 基板との界面付近では寄生容量等の原因
になる結晶欠陥が少ない化合物半導体で、かつ(d) InAs
層3との界面では、基板リーク電流を阻止する障壁を形
成するものが好ましい。
形成したAlGaAsSb層2の膜厚によって、この層の上に積
層された300ÅのInAs層3の電子移動度が変化する様子
を黒丸で示す。また、比較のため、GaAs基板上に直接設
けたAlSb層の上に形成された、300 ÅのInAs層の電子移
動度を白丸で示す。AlSb層上の300 ÅのInAs層は、既に
臨界膜厚を越えていて、電子移動度は悪くなっている。
AlGaAsSb層2上に形成されたInAs層3の電子移動度は、
AlGaAsSb層2の膜厚が0.1 μm 以上では、高い値が得ら
れ、300 Åでも既にかなり高い値が得られている。この
結果と、RHEED(REFLECTION HIGH ENERGY ELECTRON DIFF
RACTION)およびX線解析等の結果からも、膜厚が0.1 μ
m 以上のAlGaAsSb層2は、きわめて平滑な表面を有する
ばかりか、GaAs基板1との界面から約100 Å程度の距離
にある領域を除けば、膜の大部分の領域において、欠陥
の少ない良質な結晶性を有することが分かった。AlGaPS
b,AlInAsSb およびAlInPSb も同様な特性を有してい
る。
Asy1Sb1-y1,Alx2In1-x2Asy2Sb1-y2,Alx3In1-x3Py3 Sb
1-y3およびAlx4Ga1-x4Py4Sb1-y4 は、その成分比を選ぶ
ことによっていずれもこれらの条件を満足させることが
できる。その組成比の範囲は、次に述べる3通りの異な
る方法によって定められる。
る。
が、InAs層3のInAsの格子定数に、0.6%以内で一致
し、かつ、(2) 第1の化合物半導体層2が1eV以上のバ
ンドギャップを有し、InAs層3の伝導電子をInAs層3内
に閉じ込めるのに必要なポテンシャル障壁を形成する。
半導体は、III-V 属の2元系ではInAs以外には存在しな
い。しかしながら、第1の化合物半導体2の上に積層さ
れたInAs層3が適切な臨界膜厚を有し、かつ熱安定性や
経時変化の原因となるストレスの少ない薄膜を形成する
ためには、0.6 %以内の格子整合は必要と考えられる。
図5は、この条件を満足するIII-V 属の4元系化合物半
導体の相図である。
Sb1-y1は、AlAsとAlSbとGaSbとGaAsの4点を結んで得ら
れる矩形領域D1内の点で表される。この領域D1におい
て、x1の値は、GaAsとGaSbの点を結ぶ直線L1からの距離
に比例して0から1まで変化し、AlAsとAlSbの点を結ぶ
直線L2上で1を取る。y1の値は、AlSbとGaSbを結ぶ直線
L3からの距離に比例して0から1まで変化し、AlAsとGa
Asを結ぶ直線L4上で1になる。図中の破線と一点鎖線
は、それぞれ、各点で表される組成と組成比を有する化
合物半導体のバンドギャップの等高線と格子定数の等高
線を示す。
する、Alx1Ga1-x1Asy1Sb1-y1を含む領域を実線で描かれ
た矩形R1の領域で示す。この領域は、{0.21≦x1≦1.0
、0.02≦y1≦0.22}で規定される。同様に、(1A)、お
よび(2) の条件を満足するAlx2In1-x2Asy2Sb1-y2、Alx3
In1-x3Py3Sb1-y3 、およびAlx4Ga1-x4Py4Sb1-y4 を含む
矩形領域は、それぞれ、{0.34≦x2≦1.0 、0.09≦y2≦
0.79}、{0.07≦x3≦1.0 、0.06≦y3≦0.72}、および
{0.13≦x4≦1.0 、0.13≦y4≦0.18}で規定される。よ
り厳密には、(1A)および(2) の条件を満たす、上記4種
類の化合物半導体の組成比の範囲は、 {0.21≦x1≦1.0 、0.09x1≦y1≦0.07x1+0.15}、 {0.34≦x2≦1.0 、 -0.82x2+0.91≦y2≦-0.87x2+1.09}、 {0.07≦x3≦1.0 、 -0.57x3+0.63≦y3≦-0.58x3+0.76}、および {0.13≦x4≦1.0 、0.06x4≦y4≦0.06x4+0.12} で規定される。
は、以下の2条件を満足するように定められる。(1B)第
1の化合物半導体層2の格子定数が、InAs層3のInAsの
格子定数に、0.4 %以内で一致し、(2) 第1の化合物半
導体層2が1eV以上のバンドギャップを有し、InAs層3
の伝導電子をInAs層3内に閉じ込めるのに必要なポテン
シャル障壁を形成する。
記4種類の化合物半導体の組成比の範囲は、図5に基づ
いて以下のように規定される。
る。
れたInAs層3の臨界膜厚が、このInAs層3を電子走行層
とするFET の相互コンダクタンスを最大にするようなIn
As層の膜厚以上になり、かつ、(2) 第1の化合物半導体
層2が1eV以上のバンドギャップを有し、InAs層3の伝
導電子をInAs層3内に閉じ込めるのに必要なポテンシャ
ル障壁を形成する。
の格子定数に対する、格子不整合の度合と、臨界膜厚と
の関係の概略を示す。AlGaPSb, InGaAsSb およびInGaPS
b もほぼ同様の特性を示す。
必要とするのは、最も厚い電子走行層を必要とする場合
であるが、本発明では、必要とする電子走行層の膜厚の
好ましい上限を、FET の相互コンダクタンスが最大にな
る膜厚として定めた。
の値が最大になるバイアス条件において移動度μ、ドナ
ー濃度NDおよび電子走行層の膜厚aの積μNDa にほぼ比
例する。このため、相互コンダクタンスの大きなFET を
得るためには、積μNDa の大きな構造が望まれる。電子
走行層3に垂直に電圧をかけて、電子走行層3を空乏化
するのに必要な、電子走行層3の上面と下面の電位差を
Voffとすれば、電圧Voffはドナー濃度NDと膜厚aと共に
増大する。FET では、電圧Voffの値は、電子走行層3の
ソース・ドレイン間耐圧VBの1/4 程度とするのが好まし
い。
要を示すグラフである。それぞれの膜厚aにおける積μ
NDa の値は、電圧Voffが耐圧VBの1/4 程度となるよう
に、ドナー濃度NDを定め、耐圧VBおよび移動度μのND依
存性を考慮して与えられている。積μNDa は、膜厚aの
値が2,000Å付近で最大値をとり、この点でaの増加関
数から減少関数に変化している。よって、InAs層3の厚
さは、実用素子では2,000 Å以下でよいことが分かる。
また図6から、400 Å位の膜厚があれば、相互コンダク
タンスは最大値の80%程度になることが分かる。
を実現するためには、AlGaAsSb層2の成分比は、その格
子定数の、InAsの格子定数に対するズレが、0.2 %以内
になるように定めることが必要である。
を実現するためには、AlGaAsSb層2の成分比は、その格
子定数の、InAsの格子定数に対するズレが、0.6 %以内
になるように定めることが必要であることが分かる。Al
GaPSb, InGaAsSb およびInGaPSb を第1化合物半導体層
2として用いる場合にも同様の結果が得られる。
現するために、上記(1C)、(2) の条件を満足するだけで
なく、(3) の条件をも満たす、第1の化合物半導体層2
の組成は、図5の相図に基づいて求めることができる。
その結果は、以下の通りである。
の制御がしやすく、良質の薄膜が得やすいAlGaAsSb,Al
InAsSbが好ましい。特に、AlGaAsSbを第1の化合物半導
体層2とした場合、FET 特性は最も良好であった。
プしない状態でも導電性を持つことがある。この場合、
電気伝導に寄与しているキャリアの効果を打ち消すため
に、電気伝導に寄与しているキャリアと逆の極性を有す
る不純物をドープすることもある。第1の化合物半導体
層2の厚さは自由に選んでよいが、製作上の制約から、
0.05〜3.0 μm が好ましい範囲である。より好ましく
は、0.1 〜2.0 μm 、さらに好ましくは0.1 〜1.0 μm
である。
る電圧によって電気伝導を制御する都合上、厚さ0.2 μ
m 以下が好ましい。InAs層3は、ノンドープでもよい
が、不純物がドープされていても充分に高い電子移動度
が得られるため、必要に応じて不純物ドープすることも
可能である。ドープされるドナー不純物は、InAs中でド
ナー原子として作用する物ならなんでもよいが、Si,
S,Sn,Se,Teは特に好ましい不純物である。ドープさ
れる不純物の量は、5×1016/cm3〜5×1018/cm3であれ
ばよいが、好ましい範囲は、1×1017/cm3〜1×1018/c
m3であり、より好ましくは2×1017/cm3〜8×1017/cm3
である。不純物がドープされる位置は、InAs層3の厚さ
方向に均一でも良いが、他の化合物半導体層2,4との
界面付近を避け、膜の中央部のみドープすると、第1の
化合物半導体層2および第2の化合物半導体層4との界
面での伝導電子の散乱が低減でき好ましい。また、InAs
中のInは、In原子の総数の9%以内であればGaに置き換
えてもよい。この範囲であれば、InAs層3のInAsとの格
子定数の違いは0.6 %以下であり、第1の化合物半導体
2および第2の化合物半導体4と実質的に格子整合す
る。このため、InAsの特性を大きく損なうことなく、FE
T の耐圧を上げることができる。また、第1の化合物半
導体層2および第2の化合物半導体層4の格子定数が、
InAs層3のInAsの格子定数に対して、0.4 %以内である
場合は、Inと置き換えるGaの量を6%以内とすると、格
子不整合によるInAs層3の特性の劣化や、経時変化が低
減できる。さらに、より高い格子整合をとるために、格
子不整合を0.2 %とした場合は、Inと置き換えるGaの量
を3%以下にすると、格子不整合によるInAs層3の特性
劣化は、さらに小さくできる。
は、InAsと実質的に格子整合し、かつ、伝導電子をInAs
層中に閉じこめるのに適した障壁をInAs層3との界面に
形成するために、InAs層3よりも大きなバンドギャップ
を持つものが好ましい。さらに、第2の化合物半導体層
4の電子親和力が、InAs層3の電子親和力に比べて小さ
く、かつ、電子親和力とバンドギャップの和が、InAs層
3の電子親和力とバンドギャップの和に対して大きくな
る場合には、InAs層3の特性を損ねることがなく好まし
い。これらの要請は、第1の化合物半導体層2に対する
要請と共通である。
は、第2の化合物半導体層4とゲート電極6とが良好な
ショットキー接合を形成することが必要である。一方、
第2の化合物半導体層4を絶縁性の障壁層として使うMI
S 型FET では、第2の化合物半導体層4は、良好な絶縁
膜となる材質が望ましい。これらの要請を満足する化合
物半導体であればなんでもよいが、なかでも、第1の化
合物半導体層2として用いた、Alx1Ga1-x1Asy1Sb1-y1,
Alx2In1-x2Asy2Sb1-y2,Alx3In1-x3Py3Sb1-y3,Alx4Ga
1-x4Py4Sb1-y4は、特に好適である。また、その成分比
は、第1の化合物半導体層2と同様に定められる。良質
の薄膜が得やすいAlGaAsSb,AlInAsSbは特によい。第2
の化合物半導体層4の厚さは、50Å〜1,000 Åがよく、
ゲート電極6の形成後、第2の化合物半導体層4中に伝
導電子が存在しないような範囲であればよい。
ドープして、InAs層3への電子供給層とする場合、ドー
プされるドナー不純物は、ドナー原子として作用する物
ならなんでもよいが、Te,Se,S,Si,Snは特に好まし
い不純物である。ドープされる不純物の量は、5×1016
/cm3〜5×1018/cm3であればよいが、好ましい範囲は1
×1017/cm3〜5×1018/cm3である。ドープされる位置
は、厚さ方向に均一でも良く、分布があっても良い。特
に、ゲート電極6が形成される側の界面近傍のみ、不純
物をドープしない構造にすると、ゲート耐圧が低下せず
良好である。また、InAs層3との界面近傍の第2の化合
物半導体層4には、不純物をドープしない構造にするこ
とによって、InAs層3中の伝導電子の不純物による散乱
を低減でき、FET の動作速度を高める上で好ましい。
V属の元素からなる上記の化合物半導体に限らず、II属
とVI属の元素からなる化合物半導体でもよい。
導体層4は、同じ組成の化合物半導体から形成すると、
製造工程が簡略化できるため好ましいが、異なる組成、
または、同一の組成で組成比の異なる化合物半導体を組
み合わせた構造でもよく、必要に応じて適宜実施され
る。
As層3とオーミック接合をとる必要がある。オーミック
接合には、各種の構造があるが、図3の実施例では、In
As層3に電極を直接コンタクトする構造をとっている。
をコンタクトしただけで、接触抵抗の低いオーミック接
合が得られる。このため、オーミック電極5,6下部の
み、第2の化合物半導体層4をエッチングして、InAs層
3に電極を直接形成することができる。この場合、電極
5,7とInAs層3の間の接触抵抗を低減するために、合
金化工程を行っても良いが、蒸着しただけでも良好なオ
ーミック接合が得られる。このため、電極金属は、AuGe
/Ni/Auの3層構造をはじめとする公知の積層電極構造で
もよいが、Al,Ti,Au,Wなど単層の金属でもよく、極
めて多くの組み合わせが可能である。
きるものであればよく、ショットキー接合を用いる方法
の他、ゲート電極6とInAs層3の間に、絶縁物を挟んだ
MIS(METAL-INSULATOR-SEMICONDUCTOR)構造や、pn接合を
利用することもできる。特に、第2の化合物半導体4を
はじめとする半導体と、ショットキー接合を形成する材
料としては、Al,Ti,W,Pt,WSi, Au などが好まし
く、これらを積層構造にしたものもよい。
であるが、InAs層3は、不純物をドープしても電子移動
度があまり低下せず、GaAs,InGaAs等に比べて高い電子
移動度を持つことから、InAs層3と第2の化合物半導体
層4のドナー不純物のドープの組み合わせ方により、3
種の異なる特徴をもつトランジスタが可能である。これ
らを、上記実施例の変形例1−3として説明する。
体層4にはドナー不純物をドープせずに、絶縁性の障壁
層として用いるもので、後述の試作例1はこの変形例1
に属するものである。
ープしなくてもよいが、InAs層3の特性を落とさない範
囲であれば、ドナー不純物をドープしてもよい。このFE
Tでは、ゲート電極6が、不純物濃度の低い第2の化合
物半導体層4上に形成されることから、ゲート耐圧が高
く、かつ良好な整流性を持つゲート電極が形成できる。
また、InAs層3中で熱的に励起された真性の伝導電子
が、室温付近で1015/cm3〜1016/cm3であるのに対して、
ドナー不純物から発生した伝導電子は、1017/cm3〜1018
/cm3と高濃度である。このため、FET の使用環境温度の
変化に対する、FET 特性の変動の小さいFET となる。
3の厚さが、量子準位の形成される程度の厚さになる
と、図9に示すバンド図のように、InAs層3中の伝導電
子のエネルギーレベル30が量子化され、いわゆる量子準
位が形成される。このため、素子の使用環境温度が変動
しても、InAs層3の抵抗値の変動が少なくなり、量子準
位を形成しないものに比べ、温度特性に優れたFET が可
能となる。
乱を受けにくくなるため、高速動作にも適したトランジ
スタとなる。しかも、バンドギャップが狭いInAs層3を
電子走行層としていながら、離散的な量子準位の効果に
より、実質的にバンドギャップが広くなったのと同等の
効果がある。このため、トランジスタの耐圧を増すこと
ができる。
膜厚を400Å以下にすることが好ましい。特に、200 Å
以下にすると、量子準位による効果はより顕著となる。
に比べ電子の有効質量が小さいため、量子井戸の幅が広
くても、量子準位を形成しやすい。化合物半導体の格子
定数は、通常、5〜6Åであるが、薄膜成長の段階で、
1原子層程度の表面段差が生じることがあっても、量子
井戸の厚さが厚いため、段差の影響が小さく抑えられ
る。また、InAsでは、量子井戸幅が広くとれるため、量
子井戸を電子走行層としながらも、大きなコンダクタン
スを得ることができる。試作例4は、この変形例4に属
するもので、InAs層3を100 Åにした量子効果型FET の
一例である。
の変形例について説明する。
に、InAs層3上の第2の化合物半導体層4を介して、In
As層3とオーミック接触をとる構造でもよい。この構造
は、次の方法によって形成される。すなわち、電極5,
7とInAs層3間のオーミック接触を得るために、合金化
アニールを行い、電極材料を拡散して、不純物が高濃度
にドープされた領域54,74を形成するか、あるいは、電
極5,7下部の領域54, 74のみに、ドナー不純物をイオ
ン注入し、接触抵抗を下げる。
とInAs層3との間に、より接触抵抗の低いオーミック接
触を形成するために、コンタクト層50, 70を形成する技
術もある。
ープされたGaAs,GaAsSb,InGaAs,InAs,InSbなどが好
ましく、厚さは500 Å以下ならよいが、100 Å〜300 Å
は特に好適である。また、コンタクト層50, 70にドープ
されるドナー不純物は、コンタクト層中でドナー原子と
して作用する物ならなんでもよいが、Si,S,Sn,Se,
Teは特に良好な不純物である。ドープされる不純物の量
は、コンタクト層50,70の材質によっても異なるが、5
×1017/cm3〜1019/cm3は好ましい範囲である。
する。
使った場合は、図12に示すように、半導体層4,3の、
ゲート電極6の下部を除く領域55, 75に、ドナー不純物
をイオン注入して、ゲート電極6の周辺領域55, 75を低
抵抗化したセルフアラインメント構造をとることができ
る。この構造では、ソース電極5とゲート電極6間、お
よびゲート電極6とドレイン電極7間の寄生抵抗を減ら
すことができる。さらに、寄生抵抗のばらつきも極めて
小さく抑えることができる。
導体層4とInAs層3で、ドナー不純物となる不純物であ
れば何でもよい。特に、S,Se,Sn,Siなどは好適であ
る。注入される不純物の濃度は、3×1017/cm3〜1×10
19/cm3が好ましい範囲である。
の化合物半導体層4上に直接形成してもよいが、第2の
化合物半導体層4上に形成した他の層上に形成してもよ
い。
物半導体層4に引き続いて、大気に触れることなくInA
s,InSbといった、バンドギャップの狭い半導体からな
るゲート電極下部導電層61を形成する。この構造では、
ゲート電極下部導電層61と第2の化合物半導体層4の界
面に酸化膜がなく、界面準位の少ない理想的な界面が得
られる。一方、ゲート電極6とゲート電極下部導電層61
とはオーミック接合するため、ゲート電極下部導電層61
と第2の化合物半導体層4との間の障壁により、ゲート
電極6と第2の化合物半導体層4とをショットキー接合
したのと同等となる。
極6と接合する箇所において、第2の化合物半導体層4
の上にリセス構造12を形成すると、FET の耐圧を上げる
ことができる。リセス構造12は、第2の化合物半導体層
4に接してゲート電極6を配置する場合に限らず、ゲー
ト電極6の配置される他の層に形成してもよい。
1上に積層し、その上に、InAs層3を形成した単純な構
造でも、良質なInAs層3を形成できる。しかしながら、
本発明によるFET では、各層間に他の半導体層を挿入し
て、FET の特性を向上させることも可能である。図15
(a) に示す例を使って、各種挿入層の説明をする。
の材質とは異なる第1の半導体挿入層21を有し、第1の
化合物半導体層2とInAs層3の間に第2の半導体挿入層
22を、また、InAs層3と第2の化合物半導体層4との間
に第3の半導体挿入層41を有している。これらの半導体
挿入層を入れることにより、ホール電流の低減、および
トランジスタのコンダクタンスの向上を図ることができ
る。
InAs層3中に伝導電子をより効率的に閉じこめるため
に、電子走行層であるInAs層3と接して配置される。こ
のため、InAsよりも広いバンドギャップを持つ半導体か
ら選ばれ、半導体挿入層22, 41に用いた半導体の電子親
和力が、InAs層3の電子親和力よりも小さく、かつ、電
子親和力とバンドギャップとの和が、InAs層3の電子親
和力とバンドギャップとの和よりも大きくなる半導体層
が好ましい。なかでも、AlSb,AlGaSb,InAlAsは、特に
好適である。
InAs層3のInAsとは格子定数が異なるため、特定の膜厚
よりも厚くすると、格子不整合による転位が生じてしま
う。このため、InAs層3の特性が低下することがある。
したがって、半導体挿入層21, 22および41の厚さは、こ
うした格子不整合による転位の生じない膜厚、すなわ
ち、臨界膜厚の範囲が好ましい。臨界膜厚は、挿入され
る半導体の材質によって異なるが、AlSbの場合であれ
ば、InAs層3との組み合わせで、約160 Åとなる。
6の下部に接して、絶縁体層62を形成することもある。
の化合物半導体層4として用いられる半導体は、GaAsや
InAs等の半導体に比べて酸化しやすい。このような化合
物半導体層の酸化によるFET 特性の経時変化を低減する
ために、通常の半導体デバイスで用いられるパッシベー
ション層とは別に、酸化防止のための層を形成すると好
ましい。
挿入層42を、第2の化合物半導体層4の上に形成する
と、第2の化合物半導体層4は、大気との接触から保護
されるため、酸化による特性劣化の問題が生じにくくな
る。第4の半導体挿入層42は、酸化しにくい半導体であ
ればよいが、GaAs,GaSb,GaAsSbが特に好ましい。厚さ
は、50〜1,000 Åが適当である。特に、100 Å〜700 Å
は最適な厚さである。
印加される電圧によって制御される。このため、InAs層
3を、電気的に不活性な領域と、FET の電子走行層とな
るべき活性領域11とに分離する必要がある。この分離方
法として、メサ構造を形成する方法と、活性領域11以外
を不導体化する方法とがある。
場合は、酸、またはアルカリをベースとした、液体によ
るエッチング、あるいは気体によるエッチングが用いら
れる。
As層3を不導体化する場合は、イオン注入、電子線照射
など、通常の方法が用いられる。この不要部分を不導体
化する構造は、メサ構造と異なり、断面を持たないた
め、ゲートリークや酸化といった問題が起きにくい。
グにより除去し、必要な部分だけ台地状に残した構造で
は、次のような不都合が生じることがある。すなわち、
第1の化合物半導体2および第2の化合物半導体層4の
大気に触れている面が酸化し、トランジスタ特性の劣化
につながることがある。また、メサ構造の断面に露出し
たInAs層3が、ゲート電極6と接触しただけでオーミッ
ク接合するため、ゲート電極6からInAs層3へのリーク
電流が発生することもある。
合を防止するためのものである。側壁9は、絶縁性ある
いは半絶縁性の材質から形成され、InAs層3とゲート電
極6が直接接することがないようにする。これによっ
て、ゲート電極6からInAs層3へのリーク電流を防ぐこ
とができる。そのうえ、メサ構造の断面が覆われるた
め、第1の化合物半導体層2,第2の化合物半導体層4
の酸化を防止することもできる。
(a) におけるA-B 線断面図、図16(c) は図16(a) におけ
るC-D 線断面図である。これらの図は、側壁9がメサ構
造の断面を覆うように形成されており、InAs層3とゲー
ト電極6が直接接していない様子を示している。
は、半導体の保護膜として通常用いられる、SiNX,Si
O2,SiOXNy,Al2O3 等がよい。なかでも、SiNX,SiOXNy
は特に好適である。
FET の特性劣化を小さくするために、第1の保護膜81お
よび第2の保護膜82を、素子の表面に設けた例である。
第1の保護膜81は、第1の化合物半導体層2の上面で、
かつ、活性領域11が形成されていない部分に、SiNX,Si
O2,Al2O3 等の絶縁体を用いて形成した。また、第2の
保護膜82は、活性領域11における第2の化合物半導体層
4の上面、あるいは第4の半導体挿入層42の上面で、電
極5,6および7以外の部分に形成した。第1の保護膜
81と第2の保護膜82は、同一の膜からなる場合もある
が、別々に形成してもよい。また第1の保護膜81,第2
の保護膜82と側壁9は同一の絶縁膜を、反応性イオンエ
ッチングを用いた異方性エッチングによって、除去して
形成することもできる。このため、プロセスが容易とな
る利点もある。
である。また、基板と電子走行層とが同一の半導体材料
で構成されているトランジスタと、同一基板上に形成し
てもよい。特に、高速動作を特徴とする本発明のInAs-F
ETと、同一基板上に形成されたGaAs-FETとを集積化した
構造は好ましい。
したFET の試作例を説明する。
絶縁性GaAs基板を基板1として使用した。該基板1上に
第1の化合物半導体層2として、InAsに格子整合したノ
ンドープのAl0.8Ga0.2As0.14Sb0.86層を8,000 Å、ドナ
ー不純物としてのSiが2×1017/cm3ドープされたInAs層
3を700 Å、ついで、第2の化合物半導体層4として、
ノンドープのAl0.8Ga0.2As0.14Sb0.86層を400 Å、それ
ぞれ分子線エピタキシー法により順次形成した。次に、
フォトリソグラフィー法により、GaAs基板1上に形成し
た積層薄膜の不要部を除去し、素子の電子走行部分を製
作するためのレジストパターンを形成した。次にH2SO
4 : H2O2系エッチング液によりエッチングを行い、メサ
構造による活性領域11を形成した。ついで、レジストパ
ターンを形成した後、NH4OH : H2O2系エッチング液によ
り、ソース電極5およびドレイン電極7下部のAlGaAsSb
層4のみエッチングし、InAs層3の表面を出した。引き
続いて真空蒸着法により、AuGe(Au:Ge=88:12)層5
1,71 を2,000 Å、Ni層52, 72を500 Å、Au層53, 73を
3,500 Å連続蒸着した。次にリフトオフを行い、3層5
1, 52, 53および71, 72, 73からなるソース電極5,ド
レイン電極7のパターンを形成し、InAs層3とのオーミ
ック接合を得た。さらに、ゲート電極6のレジストパタ
ーンを形成した後、ウエハー全面に3,000 ÅのAlを蒸着
し、リフトオフを行って、ゲート電極6を形成した。つ
いで、ダイシングを行い、個別の素子に切り離した。こ
うして、図8(a)に示した本発明のFET を製作した。ま
た、この素子は、通常の組立工程によりリード線がつけ
られ、パッケージされた。
いて、InAs層3の厚さが100 Åで、InAs層3中に量子準
位が形成された量子効果型FET の試作例を説明する。In
As層3中にはドナー不純物としてSiがドープされてい
る。
絶縁性GaAs基板を基板1として使用し、該基板上に第1
の化合物半導体層2として、InAsに格子整合したノンド
ープのAl0.8Ga0.2As0.14Sb0.86層を8,000 Å、ドナー不
純物としてSiが2×1017/cm3ドープされたInAs層3を10
0 Å、ついで、第2の化合物半導体層4としてノンドー
プのAl0.8Ga0.2As0.14Sb0.16層を400 Å、それぞれ分子
線エピタキシー法により順次形成した。以下、試作例1
〜3と同様にして、図9に示すような量子効果型FET を
製作した。
では、第2の化合物半導体層4,InAs層3は、ノンドー
プである。また、第4の半導体挿入層42として、GaAs
Sbが形成されている。
絶縁性GaAs基板1上に、第1の化合物半導体層2とし
て、InAsに格子整合したノンドープのAl0.7Ga0.3As0.15
Sb0.85層を8,000 Å形成し、続いて不純物のドープされ
ていないInAs層3を200 Å、さらに、第2の化合物半導
体層4としてノンドープの500 ÅのAl0.7Ga0.3As0.15Sb
0.85層を、それぞれ分子線エピタキシー法により順次形
成した。最後に第4の半導体挿入層42として、不純物
のドープされていないGaAs0.15Sb0.85層を200 Å形成し
た。次に、フォトリソグラフィー法により、GaAs基板上
に形成した積層薄膜の不要部を除去し、活性領域11を製
作するためのレジストパターンを形成した。次にH3PO
4 : H2O2系エッチング液によりエッチングを行い、メサ
構造による活性領域11を形成した。次にプラズマCVD 法
により3,000 ÅのSiN を形成した後、反応性イオンエッ
チング装置を使って、側壁9の部分以外をエッチングし
て除去した。次に、オーミック電極用のレジストパター
ンを形成した後、NH4OH : H2O2系エッチング液により、
ソース電極5およびドレイン電極7下部のGaAsSb(第4
半導体挿入層42)およびAlGaAsSb(第2の化合物半導体
層4)のみエッチングし、InAs層3の表面を出した。さ
らに、真空蒸着法により、Tiを1,500 Å、Auを2,500 Å
連続蒸着した。次にリフトオフを行い、ソース電極5、
ドレイン電極7を形成した。さらに、ゲート電極6のレ
ジストパターンを形成し、NH4OH : H2O2系エッチン
グ液により、第4の半導体挿入層42であるGaAsSbをエッ
チングした後、Alを全面に蒸着し、リフトオフ法により
ゲート電極6を形成した。ついで、ダイシングを行い、
個別の素子に切り離した。こうして図18に示したFET を
製作した。
は、第2の化合物半導体層4はノンドープである。InAs
層3は、ドナー不純物がドープされ、InAs層3中のドナ
ー不純物から発生した伝導電子と、第2の化合物半導体
層4から供給された伝導電子とがInAs層3中に存在して
いる。また、第2の半導体挿入層22、第3の半導体挿入
層41、第4の半導体挿入層42のほか、コンタクト層50,
70、第1の保護膜81、第2の保護膜82、側壁9も形成さ
れた例である。
面の半絶縁性GaAs基板1上に、第1の化合物半導体層2
として、InAsに格子整合したノンドープのAl0.7Ga0.3As
0.15Sb0.85層を10,000Å、第2の半導体挿入層22とし
て、Al0.7Ga0.3Sb層を20Å、Siがドープされた、キャリ
ア濃度5×1017/cm3のInAs層3を500 Å、それぞれ分子
線エピタキシー法により順次成長させた。ついで、第3
の半導体挿入層41として、Al0.7Ga0.3Sb 層を20Å成長
させた後、第2の化合物半導体層4として、ノンドープ
のAl0.7Ga0.3As0.15Sb0.85層を形成した。さらに、該層
上に第4の半導体挿入層42として、GaAs0.15Sb0.85層を
100 Å、コンタクト層50、70となるInAs層を100 Å成長
させた。次に、フォトリソグラフィー法により、GaAs基
板1上に形成した積層薄膜の不要部を除去し、活性領域
11を製作するためのレジストパターンを形成した。次
に、H2SO4 : H2O2系エッチング液によりエッチングを行
い、メサ構造による活性領域11を形成した。次に、プラ
ズマCVD 法によりSiN を全面に2,000 Å形成し、第1の
保護膜81、第2の保護膜82、および側壁9を同時に形成
した。ついで、レジストパターンを形成した後、反応性
イオンエッチング装置を使った異方性エッチングによ
り、側壁9の部分のSiN を残して、ソース電極5および
ドレイン電極7の形成される部分のSiN をエッチングし
た。さらに真空蒸着法により、AuGe(Au:Ge=88:12)
を2,000 Å、Niを500 Å、Auを3,500 Å連続蒸着した。
次にリフトオフを行い、ソース電極5,ドレイン電極7
のパターンを形成した。その後、アニールを行い、ソー
スおよびドレイン電極金属と電子走行層3とのオーミッ
ク接合を得た。次に、ゲート電極6のレジストパターン
を形成し、続いて反応性イオンエッチング装置を使った
異方性エッチングにより、側壁9の部分のSiN を残し
て、ゲート電極6が形成される部分のSiN のエッチング
を行った。さらに、このパターンを使って、NH4OH : H2
O2系エッチング液により、表面のInAs層50、70とGaAsSb
層42をエッチングして、第2の化合物半導体層4である
AlGaAsSb層に、リセス構造12を形成した。次に、ウエハ
ー全面に3,000 ÅのAlを蒸着し、リフトオフを行って、
ゲート長1.0 μm のゲート電極6を形成した。ついで、
ダイシングを行い、個別の素子に切り離した。こうして
図19に示したFET を製作した。
明する。本試作例では、InAs層3のInの一部をGaに置き
換えて、電子走行層とし、また、その膜厚を70Åとして
いるため、伝導電子が量子準位を形成している。また、
素子間分離は、イオン注入によって形成した領域10によ
り行っている。
型Si基板1上に、分子線エピタキシー法により、第1の
半導体挿入層21として、厚さ3,000 ÅのノンドープのGa
As層を形成した後、第1の化合物半導体層2として、In
Asに格子整合したノンドープのAl0.7Ga0.3As0.15Sb0.85
層を5,000 Å、InAs中のInの9%をGaに置き換えたInAs
層3を70Å、ついで、ノンドープのAl0.7Ga0.3As0.15Sb
0.85層を第2の化合物半導体層4として300 Å、最後に
第4の半導体挿入層42として、GaAs0.15Sb0.85層を100
Å、それぞれ形成した。さらに第2の保護膜82として、
プラズマCVD 法により1,000 ÅのSiN 層を全面に成長さ
せ、基板表面を覆った。次に、FET の活性領域11形成の
ためのレジストパターンを形成し、その後プロトンを全
面にイオン注入し、不要部分10を不導体化(高抵抗化)
した。
下のように形成した。レジストパターンを形成した後、
反応性イオンエッチングによりSiN を部分的に除去した
上で、真空蒸着法により、AuGe(Au:Ge=88:12)2,00
0 Å、Niを500 Å、Auを3,500 Å連続蒸着した。次にリ
フトオフを行い、ソース電極5,ドレイン電極7のパタ
ーンを形成した。その後、アニールを行い、電極金属と
電子走行層とのオーミック接合を得た。次に、ゲート電
極6のレジストパターンを形成した後、反応性イオンエ
ッチングによりSiN を部分的に除去した上で、ウエハー
全面にTiを500Å、Ptを500 Å、Auを1,000 Å連続蒸着
し、リフトオフを行って、ゲート電極6を形成した。最
後にダイシングを行い、個別の素子に切り離した。こう
して、図20に示した本発明の素子を製作した。また、こ
の素子は、通常の組立工程によりリード線がつけられ、
パッケージされた。
試作例によって説明する。厚さ350 μm の鏡面研磨した
(100) 面の半絶縁性GaAs基板上に、分子線エピタキシー
法により、厚さ3,000 ÅのノンドープのGaAs層を形成
し、本発明の基板1とした。ついで、InAsに格子整合し
たノンドープのAlAs0.15Sb0.85層2を1,500 Å、ノンド
ープのInAs層3を700 Å、ついで、ノンドープのAlAs
0.15Sb0.85層4を形成した。次に、フォトリソグラフィ
ー法により、GaAs基板1上に形成した積層薄膜の不要部
を除去し、FET の活性領域11を製作するためのレジスト
パターンを形成した。次に、H2SO4 : H2O2系エッチング
液によりメサエッチングを行い、不要部を除去した。つ
いで、レジストパターンを形成した後、真空蒸着法によ
り、AuGe(Au:Ge=88:12)を2,000 Å、Niを500 Å、
Auを3,500 Å連続蒸着した。次にリフトオフを行い、ソ
ース電極5、ドレイン電極7のパターンを形成した。そ
の後、窒素雰囲気の電気炉中で450 ℃で5分間アニール
を行い、ソース電極5およびドレイン電極7とInAs層3
とのオーミック接合を得た。さらに、ゲート電極6のレ
ジストパターンを形成した後、ウエハー全面に3,000 Å
のAlを蒸着し、リフトオフを行い、ゲート長1.0 μm の
ゲート電極6を形成した。最後に、シランガスとアンモ
ニアガスによるプラズマCVD 法によって、SiN 保護膜を
全面に形成した。そして、電極部に窓開けを行うため、
所望のレジストパターンを形成した後、反応性イオンエ
ッチングを使って、ボンディングのために電極部に窓あ
けを行った。ついで、ダイシングを行い、個別の素子に
切り離した。こうして、図21に示した本発明の素子を製
作した。また、この素子は、通常の組立工程によりリー
ド線がつけられ、パッケージされた。
により、遮断周波数も大きく、従来構造のGaAsの電界効
果トランジスターに比べ、ゲート長が同じであれば高速
動作性にすぐれていることが分かった。
別の試作例により説明する。厚さ350 μm の鏡面研磨し
た(100) の半絶縁性GaAs基板上に、分子線エピタキシー
法により、厚さ3,000 ÅのノンドープのGaAs層を形成
し、基板1とした。ついでInAsに格子整合したノンドー
プのAlAs0.15Sb0.85層2を1,500 Å、InAs層3を100
Å、ついで、ノンドープのAlAs0.15Sb0.85層4を形成し
た。以後、試作例8と同様にして、図21に示した本発明
の素子を製作した。また、この素子は、通常の組立工程
によりリード線がつけられ、パッケージされた。
試作例により説明する。厚さ350 μm の鏡面研磨した(1
00) 面の半絶縁性GaAs基板上に、分子線エピタキシー法
により、厚さ3,000 ÅノンドープのGaAs層を形成し、基
板1とした。ついでIn0.53Ga0.47As層21を500 Å、InAs
に格子整合したノンドープのGa0.7Al0.3As0.15Sb0.85層
2を500 Å形成した後、100 ÅのノンドープのInAs層3
1,Siがドープされた500 ÅのInAs層32、および100 Å
のノンドープのInAs層33からなるInAs層3を形成し、
さらにノンドープのAlAs0.15Sb0.85層4を形成した。最
後に、5×1018/cm3のSiが不純物としてドープされたコ
ンタクト層50、70となるInAs層を200 Å形成した。次
に、フォトリソグラフィー法により、GaAs基板1上に形
成した積層薄膜の不要部を除去し、FET の活性領域11を
製作するためのレジストパターンを形成した。次に、H2
SO4 : H2O2系エッチング液によりエッチングを行い、不
要部を除去した。ついで、レジストパターンを形成した
後、真空蒸着法により、AuGe(Au:Ge=88:12)を2,00
0 Å、Niを500 Å、Auを3,500 Å連続蒸着した。次にリ
フトオフを行い、ソース電極5,ドレイン電極7のパタ
ーンを形成した。その後、窒素雰囲気の電気炉中で450
℃で5分間アニールを行い、電極金属と電子走行層との
オーミック接合を得た。ついで、レジスト剥離を経た
後、ソース電極、ドレイン電極下部以外のInAs層を除去
するため、両電極をマスクとして、H2SO4 : H2O2系エッ
チング液によりエッチングを行った。さらに、ゲート電
極6のレジストパターンを形成した後、ウエハー全面に
3,000 ÅのAlを蒸着し、リフトオフを行い、ゲート長1.
0 μm のゲート電極6を形成した。最後に、シランガス
とアンモニアガスによるプラズマCVD 法によって、SiN
からなるパッシベーション膜を全面に形成した。そし
て、電極部に窓開けを行うため、所望のレジストパター
ンを形成した後、反応性イオンエッチングを使って、ボ
ンディングのために電極部の窓あけを行った。ついで、
ダイシングを行い、個別の素子に切り離した。こうし
て、図22に示した本発明の素子を製作した。また、この
素子は、通常の組立工程によりリード線がつけられ、パ
ッケージされた。
極めて望ましいものであった。その一例を図23に示す。
化させたときの、ソース−ドレイン電圧とドレイン電流
の関係を、室温で測定した結果を示すグラフである。図
2に示す従来のInAs-FETの特性と異なり、ゲート電極6
に印加した電圧によって、ドレイン電流が正確に制御さ
れており、リーク電流の少ない、良好なFET 特性を持っ
ていることがわかる。また、本発明の他の試作例におい
ても同様に良好な結果が得られている。
移動度と電子の飽和速度がGaAsのそれより大きいInAs層
を電子走行層としているため、同一のゲート長でも高周
波まで動作させることができる。したがって、同一の動
作周波数では、本発明のFET は、従来のGaAs-HEMT に比
べて、ゲート長は約2倍でよい。このため、ゲートの加
工がきわめて容易になる。ステッパーによるフォトリソ
グラフィーの可能な0.6μm 以上の寸法の加工と、それ
より微細な加工は精度的に大きな隔たりがあり、工程も
複雑である。本発明によれば、紫外光を用いたフォトリ
ソグラフィープロセスにより、容易に超高周波で動作す
る素子の製作が可能となる。さらに、従来と同一のゲー
ト長の場合は、InAsの高電子移動度性によりGaAsの場合
に比べて2倍の高周波で動作させることができる。その
うえ、工程の歩留りもよく、量産も可能である。
高速データ転送用素子の高速化、コスト低下および多機
能化に貢献する。また、微細加工技術を用いた高周波素
子の製作が容易になり、さらに高速な素子の製作も実現
される。
AlSbの積層構造によるFET のバンド図であり、(a) はGa
SbとInAsを直接接合した場合のバンド図、(b) はFET の
積層構造、(c) は、(b) の積層構造におけるバンド図で
ある。
示される従来のInAs-FETの断面図であり、(b) はそのIV
特性を示すグラフである。
図である。
ファ層としたときの、InAsの電子移動度を示すグラフで
ある。
と、バンドギャップと、格子定数との関係を表す相図で
あり、J.J.A.P Vol.19 p.1675 1980からの引用である。
層とInAsとの格子不整合の大きさに対する、InAs層の臨
界膜厚の計算値を示すグラフである。
の関係の計算結果を示すグラフである。
あり、 第2の化合物半導体層4にはドナー不純物をド
ープせず絶縁性の障壁層とし、電子走行層であるInAs層
にのみドープした上記実施例の変形例としてのFET の断
面図である。
子走行層に形成されている量子準位を示す図である。
ソース、ドレイン各電極とのオーミック接合をとった、
上記実施例の変形例5としてのFETの構成を示す断面図
である。
タクト層を配置した、上記実施例の変形例6としてのFE
T の構成を示す断面図である。
を除く周辺にドナー不純物をイオン注入した、上記実施
例の変形例7としてのFET の構成を示す断面図である。
に導電層を挿入した、上記実施例の変形例8としてのFE
T の構成を示す断面図である。
例の変形例9としてのFET の構成を示す断面図である。
T の構成を示す断面図であり、(a) は第1から第4の半
導体挿入層を配置した、上記実施例の変形例10および11
としてのFET の断面図、(b)は、ゲート電極下部に絶縁
体層を配置した、上記実施例の変形例10としてのFET の
断面図である。
面の側面に絶縁性の側壁を形成した、上記実施例の変形
例12としてのFET の構成を示す図であり、(a) は平面
図、(b) はA-B 線断面図、(c) はC-D 線断面図である。
例の変形例13としてのFET の構成を示す断面図である。
る。
る。
る。
である。
る。
ある。
レイン側) 81 第1の保護膜 82 第2の保護膜 101 GaAs基板 102 GaSb層 103 InAs層 104 AlSb層
Claims (1)
- 【請求項1】 InAsと異なる格子定数を有する基板と、 該基板表面上に配置され、InAsと実質的に格子整合し、
かつAlGaAsSb、AlInAsSb、AlInPSb、AlGaPSb、 により定められる組成を有する薄膜の中から選ばれた少
なくとも一層の膜で形成された第1の化合物半導体層
と、 該第1の化合物半導体層の上に配置され、層中で発生し
た電子のみをキャリアとするチャネル層としてのInAs層
と、 該InAs層の上に配置され、該InAs層のInAsに実質的に格
子整合し、 該InAsに比して大きなバンドギャップを有しノンドープ
で絶縁性の第2の化合物半導体層と、 前記InAs層にオーミック接触する少なくとも一対のオー
ミック電極と、 該一対のオーミック電極間にあって前記第2の化合物半
導体の上に配置され、前記InAs層内の電流を制御するた
めの少なくとも一つのゲート電極とを有することを特徴
とする電界効果型トランジスタ。
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JP3-64988 | 1991-08-01 | ||
JP07123192A JP3200142B2 (ja) | 1991-03-28 | 1992-03-27 | 電界効果型トランジスタ |
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Family Applications (1)
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1992
- 1992-03-27 JP JP07123192A patent/JP3200142B2/ja not_active Expired - Lifetime
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