JP3186362B2 - 静電荷像現像剤の製造方法 - Google Patents

静電荷像現像剤の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザープリンタ、乾
式静電複写機等の画像形成装置において静電潜像を現像
する際に用いられる乾式二成分現像剤の製造方法に関
し、更に詳細には、高画質でキャリアへのトナー固着が
少なく長寿命であり、更にカラー現像剤、特に他色表現
を可能にするフルカラー現像剤として好適な静電荷像現
像剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】レーザ
ープリンタ、乾式静電複写機等の画像形成装置に用いら
れる電子写真法は、米国特許第2,221,776号、同第2,29
7,691号、同第2,357,809号等の明細書に記載されている
ように、光導電性絶縁層を一様に帯電させ(帯電工
程)、次いでその層を露光せしめ、露光された部分の電
荷を消散させることによって静電気的な潜像を形成し
(露光工程)、更に該静電潜像に帯電したトナーと称さ
れる着色微粉末を付着せしめることによって可視化させ
(現像工程)、得られた可視像を転写紙等の転写材に転
写せしめた(転写工程)後、加熱、圧力あるいはその他
の適当な手段によって永久定着せしめる(定着工程)工
程からなるものである。
【0003】カラー現像剤も基本的にはこれらの工程を
複数回繰り返し、定着することによって画像形成が行わ
れる。ただし、露光工程において、現像する色トナーの
補色に該当する色分解フィルターを通して、あるいはス
キャナーで読み取った像をレーザーなどで書き込むこと
により露光される。
【0004】これらの電子写真法に適用される現像方法
には、大別して乾式現像法と湿式現像法とがある。前者
には、更に一成分系現像剤を用いる方法と、トナーとキ
ャリアからなる二成分系現像剤を用いる方法とがあり、
本発明は二成分系乾式現像剤に関する。二成分系乾式現
像剤を用いる方法に属するものには、トナーを搬送する
システムの種類により、磁性粉キャリアを用いる磁気ブ
ラシ現像法(米国特許第2,786,439号明細書)、幾分粗
いビーズキャリアを用いるカスケード現像法(米国特許
第2,618,551号明細書)等がある。
【0005】これらの現像法に適用するトナーとして
は、スチレン−アクリル共重合系(ポリスチレン系)樹
脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等のトナー結
着樹脂(以下、「バインダー」と称する。)中に染料・
顔料等の着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各種機能性
添加剤を混合分散させ、1〜30μm程度に粉砕した微粉
末が一般に使用されている。
【0006】二成分系乾式現像剤を用いる磁気ブラシ現
像方式の場合、トナーは、鉄粉、フェライト粉等の磁性
キャリア粒子との混合によって生じる静電気的な引力
(クーロン力)によりキャリアに保持され、これがマグ
ネットロールに磁気吸引されて静電潜像面へ搬送され
る。トナーの帯電極性は、静電潜像の帯電極性により決
定され、正又は負の明確な極性と適切な電荷量を付与す
ることが要求される。トナーに所望の電荷を保持させる
には、キャリア側の芯材及び表面被覆材とトナー側の主
成分である樹脂との摩擦帯電性を利用することができる
が、この方法のみでは、トナー帯電量の調整の困難さ、
迅速に所望の帯電量に到達し難い等の点で満足できない
ことがしばしば起こり得る。従って、このような場合に
は、必要な画像濃度が得られなかったり、あるいは地肌
カブリが発生しやすいなど、画像そのものが満足のいく
レベルに達せず、不鮮明なものとなる。
【0007】そこで、荷電制御剤なる物質を添加する等
の措置を行うことによって、トナーへの所望帯電量の迅
速な付与を可能にしている。
【0008】二成分系現像剤では、ロングライフ性、す
なわち連続現像による画質や帯電量の安定性が求めら
れ、更にフルカラー画像を再現可能にするカラー現像剤
においては色彩性能や透明性などの特別な特性が求めら
れる。これらの要素を安定に維持する目的で、従来、ト
ナー側からは、バインダー、荷電制御剤、その他の添加
剤の設計及び選択が検討されており、またキャリア側か
らも鉄粉の酸化処理法あるいはフェライト、マグネタイ
ト等の構成材料、更にこれら磁性粉の表面形状、表面コ
ーティング材料、その処理法等が種々検討されている。
【0009】キャリア芯材としては、一般にフェライ
ト、マグネタイト、鉄粉等が用いられている。これらの
うち、フェライトやマグネタイトは、鉄粉に比べて長寿
命ではあるが、高抵抗であり、ベタの輪郭にトナーが多
く極在化して中心部のトナー付着量が低下する(画像濃
度が低下する)エッジ現象や、ハーフトーン部の前方又
は後方が欠けてトナーが付着しない先端欠け又は後端欠
けが生じるという問題を有する。これらは、カラー画
像、特にカラー写真等の再現のような多色表現カラー画
像では、ほとんどの色がベタとハーフトーンの組合わせ
で表現されるため、大きな問題となる。従って、色彩性
能、透明性等の要求性能を満たした上で更に鮮明な高画
質のフルカラー画像を得るためには、これらエッジ現象
やハーフトーンの欠けの改善が必要不可欠である。
【0010】これに対し、鉄粉は低抵抗であるので、こ
れをキャリア芯材として用いるとエッジ現象やハーフト
ーンの欠けを防止することができる。しかし、鉄粉はフ
ェライトやマグネタイトに比べ見掛け密度が大きく、現
像剤が現像槽中で受ける力が大きいため、キャリアのコ
ート剥離やキャリア表面へのトナーの融着等による帯電
量推移の変化や画質の劣化、背景かぶりの増加等の現象
を引き起こすなど、現像剤の短命化が問題となる。
【0011】このため、キャリア芯材に「スポンジ」と
呼ばれる多孔性の不定型鉄粉を用いて比重を小さくし、
現像トルクを低減させる方法も採られるが、キャリアを
多孔性にすると、その反復使用によって表面の凹部に次
第にトナーが充填され、トナーとの摩擦帯電が妨げられ
現像剤全体として高抵抗化し、時間の経過とともに現像
剤特性及び画質が劣化するという問題があった。実際
に、このような状態の現像剤を用いると、ベタの肌理が
粗く全体としてがさがさとした無機質な硬い感じのする
画像となり、これでは特にフルカラー対応現像剤には使
用できない。
【0012】このような事情から、現像剤を作製する前
のキャリア粒子を予備調製することによる改善方法が提
案されている(米国特許第3,970,571号明細書)。これ
は、トナーとキャリアを混合撹拌して現像剤を製造する
前に、あらかじめキャリア粒子を荷電制御剤とバインダ
ーからなる予備調製用トナーで撹拌混合し、現像剤使用
初期におけるトナーのキャリア表面の細孔への充填やス
カミング及びキャリア表面の摩損を意図的にもたらし、
次いで過剰の予備調製用トナーを除去した後、トナーと
混合して現像剤を製造する方法である。
【0013】しかし、この技術では、初期ライフ電荷変
動を低減できるものの予備調製時に必要以上にキャリア
のコーティング剤が剥離し、そこがトナー固着の核とな
ってトナースカムが成長を始めたり、予備調製用トナー
もトナーと類似の組成物であるため、その上に更にトナ
ーの蓄積が促進されるなど、逆にロングライフ性を減少
させてしまう点や、補給用トナーとは別に予備調製用の
粒度分布の異なるトナーの製造を行う必要がある点、更
にその予備調製時間が数時間にも及ぶため、現像剤の生
産性が著しく低下してしまう点などの大きな問題があっ
た。
【0014】このような現像剤用キャリアの機械的プレ
コンディショニング処理を必要とすることなく、現像剤
の帯電量を長期にわたって安定に維持する方法も提案さ
れている。
【0015】例えば、表面に凹凸を有し且つ比較的見掛
密度の小さい磁性コアに体積固有抵抗が1.0Ω・cm以下の
導電性樹脂組成物をアンダーコートし、その上に1×10
5乃至1×1020Ω・cmの樹脂をトップコートし、キャリア
の抵抗を制御する方法(特開昭64-88557号公報)やその
類似の方法(特開平4-324457号公報)が提案されてい
る。また、凹部を有する酸化鉄粉キャリア芯材の凹部に
導電材を埋め込み、かつその外表面をシリコーン樹脂又
はフッ素樹脂で被覆する方法(特開平1-133067号公報)
も示されている。
【0016】しかしながら、特開昭64-88557号公報及び
特開平4-324457号公報に記載の方法は、球状キャリアの
抵抗の制御によるエッジ効果低減等の画質向上が主目的
であり、スポンジ状の多孔質鉄粉キャリアに対しては、
コート量が少ないために高速の現像システムで使用した
場合、依然としてキャリア表面のトナー固着を防止する
ことができないという問題があった。
【0017】更に特開平1-133067号公報に示される電子
写真用キャリアの場合、スポンジ状の多孔質鉄粉のよう
な凹部の大きなコアを用いた場合は、高速で使用すると
トップコートが剥離して導電性物質が漏れ出し、キャリ
アの帯電保持特性を著しく低下させてしまうという問題
が残っていた。
【0018】本発明は以上の事情に鑑みなされたもので
あって、その目的は現像剤の生産性を損なうことなく、
初期使用時から長期にわたってキャリア抵抗及び帯電量
を安定に維持でき、特にカラー現像剤に好適に適用でき
る静電荷像現像剤、すなわち良好な画質特性、特にベタ
のエッジ現象による画像濃度低下及びハーフトーンの欠
けが起こらないという特性を有する静電荷像現像剤を提
供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情において、鋭意研究を重ねた結果、スポンジ状の多孔
質鉄粉の凹部に結着剤と共にフッ素樹脂を充填し、芯材
外表面をシリコーン樹脂で被覆したキャリアを用いた現
像剤は、初期から充分な画像濃度を確保することがで
き、ベタのエッジ現象やハーフトーンの欠けを消失さ
せ、キャリア抵抗及び帯電量を安定に維持できるロング
ラン性の高いものであり、カラー現像剤への適用に特に
好適であることを見出し、本発明を完成した。
【0020】すなわち本発明は、表面に凹部を有する多
孔性の不定型鉄粉の当該凹部粉末状の結着剤とフッ
素樹脂に機械的シェアをかけることにより、前記結着剤
とフッ素樹脂充填さらに芯材外表面シリコーン
樹脂で被覆してキャリアを製造する工程、並びに該キャ
リア及びトナーを混合する工程を有する静電荷像現像剤
の製造方法に係るものである。
【0021】本発明に用いられる鉄粉キャリアの芯材で
ある表面に凹部を有する多孔性の不定型鉄粉は、スポン
ジ鉄粉と呼称されるものであり、代表的なものとして
は、鉄鉱石を還元して製造する鉄鉱石還元鉄粉、ミルス
ケールを還元して製造するミルスケール還元鉄粉、鋼の
溶湯を細孔から流出して冷却粉末化した球状のアトマイ
ズ鉄粉、鋼の薄片を窒化し粉砕後脱窒素処理をした窒化
鉄粉等が挙げられるが、これらのうち、かさ比重が3.5g
/cm3以下、平均粒径が30〜100μmで、各粒子に凹凸の
差が10μm以上のものが好ましい。
【0022】鉄粉系キャリアは、空気中の水分により酸
化され表面にFe2O3(いわゆる錆)が生じてしまうた
め、強制酸化により比較的高抵抗の安定な酸化薄膜で覆
い、この処理度合いでキャリアの電気抵抗を調整するこ
とが出来る。
【0023】このようにして得られた芯材をキャリアと
して利用するために、一般的に表面をある種の樹脂でコ
ートする場合がある。本発明においては、芯材外表面の
凹部をあらかじめフッ素樹脂にて充填し、更に表面全体
をシリコーン樹脂にてコートしたものをキャリアとして
用いた。また、凹部に充填されるフッ素樹脂と芯材との
結着性を上げるために結着剤を混在させた。
【0024】本発明に用いられるフッ素樹脂としては、
フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフル
オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等の単独重合
体又は共重合体が挙げられる。更に具体的には、テトラ
フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合
体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合
体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重
合体等が挙げられる。これらのうち、四フッ化エチレン
又はフッ化ビニリデンを単量体の一つとして用いたフッ
素樹脂が好ましい。フッ化ビニリデン系樹脂の場合、単
量体としてフッ化ビニリデンを40〜80重量%用いたもの
が好ましい。
【0025】また、凹部に充填されるフッ素樹脂と芯材
との結着性を上げるために用いられる結着剤としては、
ポリアミド系樹脂又はエポキシ系樹脂が好ましい。ポリ
アミドイミド樹脂としては、例えば式(1)
【0026】
【化1】
【0027】で表されるものの縮合物等が好ましいもの
として挙げられる。
【0028】本発明に用いられるフッ素樹脂とポリアミ
ドイミド樹脂又はエポキシ樹脂との比率は、例えば、ポ
リアミドイミド樹脂を含む四フッ化エチレン系樹脂の場
合は、ポリアミドイミド樹脂含有量が10〜40重量%であ
るものが好ましく、エポキシ樹脂を含む四フッ化エチレ
ン系樹脂の場合は、エポキシ樹脂含有量が10〜40重量%
であるものが好ましい。
【0029】また、全体を被覆して帯電量の制御に用い
られるシリコーン樹脂は、現像剤に要求される帯電性能
などに応じて適宜選択されるが、例えば常温硬化型や熱
硬化型のメチルジメチルシリコーン、メチルフェニルシ
リコーン等のほか、これらに架橋剤としてオキシム基や
カップリング剤を導入したものや、結着性を高めるため
にアルキッド変性、エポキシ変性、アクリル変性、ポリ
エステル変性、フェノール変性、メラニン変性、ウレタ
ン変性等の変性シリコーンも用いることができる。
【0030】多孔質鉄粉の凹部への結着剤及びフッ素樹
脂の充填方法としては粉末の樹脂に適度な機械的シェ
アをかけて充填する方法を用いる。機械的に適度なシェ
アを与える装置は特に限定されることはなく、例えば、
アトライター、振動ミル、水平円筒形、V型、W型の容
器回転型混合機、ナウターミキサー等が用いられる。充
填時の結着剤及びフッ素樹脂の量は、芯材の鉄粉重量に
対して、0.1 〜10重量%、より好ましくは0.3 〜3重量
%とするのが好ましい。
【0031】芯材外表面のコーティングは、シリコーン
樹脂をメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の分
散媒に分散させ、上記の凹部に結着剤及びフッ素樹脂を
充填した多孔質鉄粉を浸漬させるか、又はその分散液を
この鉄粉にスプレーし、続いて150〜300℃で熱硬化する
ことによって行われる。コーティング量は、鉄粉重量に
対して乾燥重量で0.1〜10重量%、特に0.1〜5重量%と
するのが好ましい。
【0032】また、芯材をコート剤により被覆すること
によりキャリアの抵抗値が上昇して十分に低抵抗化でき
ない場合には、凹部に充填するフッ素樹脂や表面を被覆
するシリコーン樹脂と共に、導電性物質を混在添加する
ことも非常に有効である。
【0033】かかる場合に本発明に用いられる導電性物
質としては、例えばVulcan XC-72(Cabot社製)、KETJE
N black EC(LIONAKUZO社製)、TOKABLACK 5500,同450
0(東海カーボン(株)製)、CONDUCTEX 975(COLUMBIAN
CARBON社製)、Printex L(Degussa社製)等の導電性カ
ーボンブラック;例えばEXP-1 Powder(小原化工(株)
製)等の導電性グラファイト;その他無機微粉末とし
て、導電性酸化亜鉛、T-1(三菱マテリアル社製)等の
アンチモンなどにより表面処理された酸化スズ、SE-032
6(BASF社製)等の四三酸化鉄粉などが挙げられる。こ
れらの導電性物質の粒径は0.01〜5μmが好ましい。
【0034】本発明においては、上記キャリアと組合わ
せて使用されるトナーは特に限定されないが、特にフル
カラー対応トナーが好適である。カラー現像剤、特にイ
エロー、マゼンタ及びシアンの3色又はこれにブラック
を加えた4色の組合わせで多色表現できるフルカラー対
応現像剤では、現像剤特性として、色彩性能や透明性に
優れることが要求される。すなわち、トナーはバインダ
ーと現像剤を主成分とするが、バインダーには良好な透
明性が、着色剤には良好な色彩性能が要求される。
【0035】従って、フルカラー対応トナーのバインダ
ーには、色の異なる複数の重なった各トナー層を光が透
過する際、合成された色の再現性が原稿に忠実であるこ
とが要求されるばかりでなく、オーバーヘッドプロジェ
クター用トランスペアレンシーフィルム(OHP用フィル
ム)へ転写・定着したトナー画像のOHP投影像の透明性
が優れていること、すなわち分光透明特性が良好である
ことも併せて要求される。
【0036】このような良好な透明性を有するために
は、バインダーは、定着工程において所定の温度で急速
に融解する性質、すなわちシャープメルト性を有するこ
とが好ましい。従ってトナーの保存性を考慮すればバイ
ンダーのガラス転移温度は55℃以上で、かつ上記したシ
ャープメルト性を有するためには重合度(分子量)が適
度に小さく、分子量分布幅の狭い高分子化合物が適して
いる。一般に分子量分布幅は重量平均分子量(Mw)/数
平均分子量(Mn)で表され、Mw/Mnが大きくなると温度
に対して樹脂の融解する性質は緩慢なものとなる。バイ
ンダーのMnは5000以下、Mw/Mnは4.0以下の範囲にあるの
が好ましく、Mnが5000を超え、又はMw/Mnが4.0を超える
と良好な透明性が得られなくなる。
【0037】このようなバインダーとしては、例えば、
ポリエステル系、ポリスチレン(又はスチレン−アクリ
ル共重合)系 、エポキシ系、ポリプロピレン系、ポリ
エチレン系等の樹脂が用いられる。中でも本発明に好適
なバインダーはポリエステル系樹脂であり、該ポリエス
テル樹脂の製造に用いられる多価カルボン酸類として
は、例えばフマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、コハク酸、アジ
ピン酸等のカルボン酸、カルボン酸無水物又は低級アル
キルエステルが用いられる。また多価アルコール類とし
ては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシ
エチレン(2.2)-2,2′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2′-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)プロパン、水素添加ビスフェノール
A、グリセリン等が用いられる。また、必要に応じてモ
ノカルボン酸類やモノアルコール類を加えることができ
る。
【0038】また着色剤には、原稿の色彩を忠実に再現
させるために、三原色の各トナーが良好な分光反射特性
を有する必要があり、三原色トナーの重畳部が極めて彩
度の低い黒を呈する必要がある。
【0039】着色剤としては特に限定されず、従来公知
の有機顔料及び染料が使用され、同一色相の有機顔料及
び染料が単独で又は併用される。例えば、黒色用着色剤
としては、サーマルブラック法、アセチレンブラック
法、チャンネンブラック法、ランプブラック法等により
製造される各種のカーボンブラックが挙げられる。また
カラー用着色剤としては、イエロー用として、カラーイ
ンデックスに記載されているC.I.ピグメントイエロー14
とC.I.ソルベントイエロー30の組合わせ、C.I.ピグメン
トイエロー12とC.I.ソルベントイエロー77の組合わせ等
が、マゼンタ用として、C.I.ピグメントレッド48:2とC.
I.ソルベントレッド49の組合わせ、C.I.ピグメントレッ
ド58:2とC.I.ソルベントレッド52の組合わせ等が、シア
ン用として、C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ソルベン
トブルー69の組合わせ、C.I.ピグメントブルー15:3とC.
I.ソルベントブルー23の組合わせ等が挙げられる。
【0040】有機顔料・染料とバインダーとの比率は、
例えば有機顔料と染料を併用する場合には、バインダー
100重量部に対し有機顔料は1.0〜5.0重量部、特に1.0〜
3.0重量部が好ましく、染料は0.05〜2.0重量部、特に0.
1〜1.5重量部が好ましい。有機顔料が5重量%を超える
と、OHP用フィルムに定着した画像の投影像が隠蔽力の
強い、暗く彩度の低いものとなり、1.0重量部未満では
所望の画像濃度が得られない。染料が2.0重量%を超え
ると、熱や光による堅牢性が低下し、また温湿度環境の
変化に影響され、トナーの帯電量が低下して地肌カブリ
等による画像品質の低下やトナーの飛散による機内汚染
が生じたり、更に染料のブリード性により感光体へのフ
ィルミングやキャリアへのスペントが生じ現像剤の安定
性が著しく損なわれる。また染料が0.05重量%未満では
所望の画像濃度が得られない。
【0041】かくして得られたキャリア及びトナーと混
合することにより、本発明の静電荷像現像剤が得られ
る。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではな
い。
【0043】合成例1 反応容器中に、プロピレングリコール 149.1重量部、エ
チレングリコール 52.1重量部及びジメチルテレフタレ
ート 410.2重量部を仕込み、220℃で脱メタノール縮合
反応を行い、メタノールの留出が終了した時点で、トリ
メリット酸無水物55.3重量部を加えて更に反応させ、軟
化点(SP)=104.5℃、ガラス転移点(Tg)=62.4℃、
ゲル・パーミネーション・クロマトグラフィー(GPC)
におけるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)=318
0、Mw/Mn=3.82のポリエステル樹脂を得た。該樹脂は微
褐色透明であったが、カラートナー用バインダーとして
色彩への影響は無視し得る程度であった。
【0044】
【0045】実施例1 表面に凹部を有する多孔性の不定型鉄粉を芯材とし、そ
の凹部に芯材100重量部に対して1重量部のテフロンS95
4-100(デュポン社製)と0.2重量部の式(1)で表される
ポリアミドイミド樹脂を、アトライターにより機械的に
適度なシェアをかけて充填した。次いでこれにメチルジ
メチルシリコーン樹脂として2重量部のSR-2400(東レ
ダウコーニング社製)をトルエンに分散させた樹脂分散
液を流動コーティング装置を用いてスプレーコートした
後、流動層にて250℃で約30分間熱処理を行い、硬化す
ることにより表面全体を被覆し、キャリアを得た。また
合成例1で得られたバインダーに銅フタロシアニンKET
Blue-111(大日精化工業社製)、荷電制御剤ボントロン
P-51(オリエント化学社製)等を配合し、混練、粉砕、
分級等の工程を経てシアントナーを得た。このキャリア
とシアントナーを混合して得られたシアン現像剤の耐刷
評価を行った結果、エッジ現象は全くなく、後端欠けも
ほとんど確認できなかった。また、キャリア表面へのス
ペントも大幅に減少した。更に、100,000枚の耐刷での
画像濃度の変化幅は1.2から1.5の間で安定しており、か
ぶりなども問題なかった。帯電量の変化も、初期20μc/
gに対し100,000枚後では15μc/gであり、小さいもので
あった。
【0046】
【0047】比較例1 実施例1で用いたシアントナーと、フェライト芯材100
重量部を2重量部のメチルジメチルシリコーン樹脂SR-2
400(東レダウコーニング社製)で被覆して得られたキ
ャリアを混合して得られたシアン現像剤の評価を行った
結果、最初の一枚目からエッジ現象や後端欠けが起こ
り、画質を著しく損ねた。
【0048】比較例2 実施例1で用いたシアントナーと、表面に凹部を有する
多孔性の不定型鉄粉芯材の凹部をフッ素樹脂で充填する
ことなく、表面全体を3重量部のメチルジメチルシリコ
ーン樹脂SR-2410(東レダウコーニング社製)で被覆し
て得られたキャリアを混合して得られたシアン現像剤の
耐刷評価を行った結果、初期的な画質としてはエッジ現
象や後端欠けは観察されなかったが、耐刷とともにキャ
リアの凹部にトナーが埋没し、現像剤の抵抗が大きく上
昇したためベタなどの肌理が極端に悪くなった。
【0049】比較例3 実施例1で用いたシアントナーと、表面に凹部を有する
多孔性の不定型鉄粉芯材の凹部に結着剤としてポリアミ
ドイミド樹脂(1)を混在添加した1重量部のテフロンS95
4-100(デュポン社製)を充填し、かつ表面全体を2重
量部のテフロンS954-100で被覆して得られたキャリアを
混合して得られたシアン現像剤の耐刷評価を行った結
果、エッジ現象や後端欠けは観察されなかったが、ベタ
の肌理が、キャリア表面をシリコーン樹脂で被覆した実
施例1に比べて悪かった。
【0050】
【発明の効果】本発明の製造方法は、初期使用時から長
期にわたって、キャリア抵抗及び帯電量を安定に維持で
きる長寿命の静電荷像現像剤を提供することができ、そ
の生産性も良好なものである。また本発明における静電
荷像現像剤は、フルカラー対応現像剤等のカラー現像剤
への適用が特に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−78137(JP,A) 特開 昭60−258562(JP,A) 特開 平4−333861(JP,A) 特開 平4−217270(JP,A) 特開 昭63−309969(JP,A) 特開 昭55−67754(JP,A) 特開 平4−116663(JP,A) 特開 平1−204072(JP,A) 特開 昭63−80267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凹部を有する多孔性の不定型鉄粉
    の当該凹部粉末状の結着剤とフッ素樹脂に機械的シ
    ェアをかけることにより、前記結着剤とフッ素樹脂
    さらに芯材外表面シリコーン樹脂で被覆してキ
    ャリアを製造する工程、並びに該キャリア及びトナー
    混合する工程を有する静電荷像現像剤の製造方法
  2. 【請求項2】 当該凹部に充填されるフッ素樹脂が、四
    フッ化エチレン系樹脂又はフッ化ビニリデン系樹脂であ
    り、フッ素樹脂と共に用いられる結着剤が、ポリアミド
    イミド系樹脂又はエポキシ系樹脂である請求項1記載の
    静電荷像現像剤の製造方法
  3. 【請求項3】 当該凹部及び/又は芯材外表面に導電性
    物質を混在添加させ請求項1又は2記載の静電荷像現
    像剤の製造方法
  4. 【請求項4】 トナーがカラートナーである請求項1〜
    3のいずれか記載の静電荷像現像剤の製造方法
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