JP3180971B2 - ジルコニアセラミックスおよびその製造方法 - Google Patents
ジルコニアセラミックスおよびその製造方法Info
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Description
る構造材料用ジルコニアセラミックスおよびその製造方
法に関する。
コニアセラミックスは、高強度、高靱性材料としてさま
ざまな分野に広く用いられている。最も一般的に用いら
れているものは、3モル%のY2 O3 と97モル%のZ
rO2 を主成分とし、0.2重量%程度のAl2 O3 を
含む組成からなり、平均粒径0.1μm以下の微細なセ
ラミック原料を成形し、1400〜1500℃の温度で
焼成することによって、平均結晶粒径0.1〜0.3μ
mで、正方晶と立方晶の結晶相を合わせて99%以上含
有するような焼結体が知られている(例えば特公昭61
−21184号、61−21185号公報等参照)。
温での強度が100kg/mm2 以上と各種セラミック
スの中で最も強度、靱性が高く、この特性を利用して、
例えば製紙を行う際に、抄紙機においてパルプを載せた
抄網(ワイヤ)を支持し摺動させるための抄網支持部材
など、さまざまな分野に使用されている。
従来のジルコニアセラミックスを製造するために用いる
原料は、ZrO2 純度が高く不純物をほとんど含んでい
ないものであり、しかも平均粒径0.1μm以下と極め
て微細な粉末を用いる必要があった。また、その製造工
程においても不純物が混入せず、結晶粒径を微細とする
ために複雑な工程が必要であり、その結果コストが高い
ものであった。
若干強度が低くても低コストで容易に製造できるものが
求められていたが、そのような要求を満たすものはなか
った。例えば、ジルコニア原料として不純物を多く含
み、粒径の大きいものを用いたとすると、焼結しにくく
なり、焼結したとしても極めて強度の低いものとなっ
て、全く使用できないものであった。
たすべく、常温強度60kg/mm2 以上の充分な特性
を持ったジルコニアセラミックスを低コストで得ること
を目的とする。
ミックスは、安定化剤であるY2 O3 を5〜6重量%
と、Al2 O3 を6.5〜7.5重量%と残部がZrO
2 から成り、正方晶と立方晶の結晶相を95%以上含
み、平均結晶粒径が4〜6μmであることを特徴とす
る。
製造方法は、安定化剤であるY2 O3 を5〜6重量%
と、Al2 O3 を6.5〜7.5重量%と残部がZrO
2 から成り、平均粒径0.4〜1.0μmのセラミック
原料を所定形状に成形した後、最高焼成温度1650〜
1690℃で、かつこの最高焼成温度から100℃まで
の降温速度を175℃/時以上として焼成すればよい。
〜6重量%としたのは、5重量%より少ないと焼結体中
に単斜晶の結晶相が多くなり、逆に6重量%より多いと
立方晶の結晶相が多くなり、いずれも焼結体の強度が低
下してしまうためである。また、Al2 O3 は焼結助剤
として作用し、6.5〜7.5重量%の範囲で含有する
ことで焼結性を高めることができる。即ち、本発明のジ
ルコニアセラミックスは、低純度で粒径の大きい原料を
用いるが、上記範囲のAl2 O3 を含有させることで焼
結性を高め、強度を高くできるのである。
2 などを含むが、SiO2 は焼成段階でガラス相を形成
し、強度の低下につながるため、含有量は0.3重量%
以下とすることが望ましい。また、これらの他に微量不
純物としてMgO、TiO2、Fe2 O3 などを0.1
重量%以下含有していてもよい。そして、これらの添加
物、不純物を差し引いた残部がZrO2 であって、その
含有量は85.0〜88.0重量%となる。
としたのは、本発明のジルコニアセラミックスでは、比
較的粒径の大きい一次原料を用いるため、完全に焼結さ
せると上記範囲の平均結晶粒径となるのである。つま
り、平均結晶粒径が4μm未満では、完全に焼結してい
ないことから結晶が不安定な状態となって強度が低くな
ってしまい、一方6μmより大きいと異常粒成長が起こ
って強度が低くなってしまうためである。
きな結晶粒径としてあることにより、特に抄紙機用支持
部材として用いると、摺動相手であるワイヤの摩耗を少
なくし、寿命を長くすることができる。
を1650〜1690℃としたのは、1650℃以下で
は完全に焼結せず、平均結晶粒径が4μm以下となって
強度が低下してしまい、一方1690℃以上では異常粒
成長が生じ、平均結晶粒径が6μm以上となって強度が
低下するためである。
温速度を175℃/時以上とすることによって、正方晶
や立方晶の結晶相が単斜晶へ相変態を起こすことがな
く、正方晶と立方晶の結晶相を95%以上とすることが
でき、強度が高くかつ安定した焼結体を得ることができ
る。なお、一般にジルコニアセラミックスにおいて、正
方晶の結晶相が存在すると、正方晶から単斜晶へ相変態
する応力誘起変態のメカニズムによって強度、靱性を高
められるため、正方晶の結晶相が多く含まれているほど
強度、靱性を高くできる。また、これらの結晶相の存在
量は、X線回折によるピーク強度比で求めることができ
るが、正方晶と立方晶のピークを分離することが困難で
あるため、本発明では正方晶と立方晶の結晶相の合計が
95%以上あれば良いとした。
6重量%のY2 O3 と、表1に示すように5〜10重量
%のAl2 O3 と、0.2重量%のSiO2 を添加し、
ボールミルにて混合粉砕後、成形助剤として有機バイン
ダーを4.6重量%添加し、スプレードライヤーにて乾
燥造粒した。次に、この造粒粉末を1ton/cm2 の
圧力でプレス成形し、大気雰囲気炉にて500℃でバイ
ンダーを除去した後、表1に示すさまざまな条件で大気
雰囲気炉にて焼成を行った。
げ強度、平均結晶粒径、正方晶と立方晶の結晶相量を測
定した。結果は表2に示す通りである。
少なく、一方No.2はAl2 O3量が多すぎるため、
いずれも強度が60kg/mm2 以下と低かった。ま
た、No.5、6は降温速度が遅すぎたため、正方晶と
立方晶の結晶相量が少なくなり、強度が低かった。さら
に、No.7は最高焼成温度が低すぎ、一方No.10
は最高焼成温度が高すぎたため、それぞれ平均結晶粒径
が本発明の範囲を外れており、強度が低かった。
3、4、8、9、11、12はいずれも曲げ強度65.
0kg/mm2 以上で、平均結晶粒径4〜6μmであり
異常粒成長したものがないなど優れた特性を示した。
最高焼成温度から100℃までの降温速度を種々に変化
させて、それぞれ得られた焼結体の強度を測定した。結
果を図1、図2にそれぞれ示すように、焼結体の強度を
65kg/mm2 以上とするためには、最高焼成温度を
1650〜1690℃とし、降温速度を175℃/時以
上とすればよいことがわかる。これは、前記したよう
に、本発明のジルコニアセラミックスは、粒径の大きい
一次原料を用いていることから、1650〜1690℃
の範囲が最適な焼成温度であることを意味しており、ま
た降温速度を175℃/時以上とすることによって、正
方晶や立方晶から単斜晶への相変態を防止し、強度を高
くできるためである。
ルコニアセラミックスを用いて抄紙機用支持部材を形成
し、比較例として従来の高強度ジルコニアセラミック
ス、アルミナセラミックスからなる抄紙機用支持部材と
ともに使用試験を行った。それぞれ、抄網(ワイヤ)と
してプラスチック製のものを用い、抄速650m/分で
6ヵ月使用後の、ワイヤおよび支持部材の摩耗量を比較
した。
アセラミックスを用いたものは、支持部材自体の摩耗量
が、従来のアルミナよりもはるかに少なく、従来の高強
度ジルコニアと同程度である。また、ワイヤの摩耗量
も、従来のアルミナよりも少なく、優れていた。このよ
うに、本発明のジルコニアセラミックスは、特に抄紙機
の支持部材として用いると、耐摩耗性に優れるとともに
ワイヤを摩耗させにくいことから長期間使用することが
できる。
あるY2 O3 を5〜6重量%と、Al2 O3 を6.5〜
7.5重量%と残部がZrO2 から成り、正方晶と立方
晶の結晶相を95%以上含み、平均結晶粒径が4〜6μ
mであるジルコニアセラミックスを構成したことによっ
て、平均粒径の大きい安価な原料を用いても、実用上充
分な強度を有するジルコニアセラミックスを得ることが
できる。
均結晶粒子が適度な大きさであるから特に抄紙機用支持
部材として用いると、支持部材自体およびワイヤの摩耗
を少なくでき、特に好適である。
スは、安定化剤であるY2 O3 を5〜6重量%と、Al
2 O3 を6.5〜7.5重量%と残部がZrO2 から成
り、平均粒径0.4〜1μmのセラミック原料を所定形
状に成形した後、最高焼成温度1650〜1690℃
で、かつこの最高焼成温度から100℃までの降温速度
を175℃/時以上で焼成することによって、原料の粒
径を微細とする必要がないことから、低コストで安定し
て上記特性を持ったジルコニアセラミックスを得ること
ができる。
おける、最高焼成温度と得られた焼結体の曲げ強度との
関係を示すグラフである。
おける、降温速度と得られた焼結体の曲げ強度との関係
を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】5〜6重量%のY2 O3 と、6.5〜7.
5重量%のAl2 O3 と、残部がZrO2 からなり、正
方晶と立方晶の結晶相を95%以上含み、かつ平均結晶
粒子径が4〜6μmであることを特徴とするジルコニア
セラミックス。 - 【請求項2】5〜6重量%のY2 O3 と、6.5〜7.
5重量%のAl2 O3 と、残部がZrO2 からなり、平
均粒径0.4〜1.0μmのセラミック原料を所定の形
状に成形した後、最高焼成温度1650〜1690℃
で、この最高温度から100℃までの降温速度を175
℃/時以上として焼成する工程からなるジルコニアセラ
ミックスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04162192A JP3180971B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | ジルコニアセラミックスおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04162192A JP3180971B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | ジルコニアセラミックスおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05238824A JPH05238824A (ja) | 1993-09-17 |
JP3180971B2 true JP3180971B2 (ja) | 2001-07-03 |
Family
ID=12613409
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04162192A Expired - Lifetime JP3180971B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | ジルコニアセラミックスおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3180971B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6008687A (en) * | 1988-08-29 | 1999-12-28 | Hitachi, Ltd. | Switching circuit and display device using the same |
JP6999716B2 (ja) * | 2020-02-12 | 2022-02-04 | クラレノリタケデンタル株式会社 | ジルコニア焼結体及び歯科用製品 |
-
1992
- 1992-02-27 JP JP04162192A patent/JP3180971B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05238824A (ja) | 1993-09-17 |
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