JP3164554B2 - 熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム - Google Patents
熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムInfo
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Description
束包装、収縮ラベル等の用途に好適な特性を有する熱収
縮性積層フィルムに関する。
るいはプラスチック容器の収縮ラベル、ガラス容器の破
壊飛散防止包装やキヤップシールなどに広く利用される
熱収縮性フィルムの材質としては、ポリ塩化ビニル(P
VC)が最もよく知られている。これは、PVCから作
られた熱収縮性フィルムが、機械強度、剛性、光学特
性、収縮特性等の実用特性、およびコスト性も含めて、
ユーザーの要求を比較的広く満足するからである。
発生する塩素ガスに伴う廃棄物処理の問題等があること
から、PVC以外の材料からなる熱収縮性フィルムが要
望されていた。
て、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)
を主たる材料とするポリスチレン系熱収縮性フィルムが
提案され使用されているが、このポリスチレン系熱収縮
性フィルムは、PVCフィルムに比べ、収縮仕上がり性
は良好なものの、室温における剛性が乏しく、自然収縮
(常温よりやや高い温度、例えば夏場においてフィルム
が本来の使用前に少し収縮してしまうこと)率が大きい
ことや、耐破断性に劣る等の問題を有している。また、
その重合方法に起因して、比較的高価な材料となること
は避け難かった。
らは、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマーからなる共重合体の連続相中にゴム状弾性
体を分散させたゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂に
着目し検討を行い、剛性や耐破断性等の特性、およびコ
スト性に関し良好な結果を得ることができた。
重要な特性である収縮仕上がり性が不十分であり、被収
縮製品のディスプレー効果を著しく低減してしまい、ま
た前記のSBSを主たる材料とするポリスチレン系熱収
縮性フィルムと比較して、ボトリング時にラベル同士が
融着する、いわゆる熱融着性に劣るために破れを生じた
り、フィルム透明性が低下してしまうため、熱収縮性フ
ィルムとしての要求を満足できないことが分かった。
29838号等で提案したように上記内容のゴム状弾性
体分散ポリスチレン系樹脂を用い、押出条件と延伸条件
を制御することにより特定の収縮特性を与えることで、
透明性が良好で収縮仕上がり性も向上し、また、滑剤の
添加等によって熱融着性も改良されたフィルムを得るこ
とが出来た。
状弾性体分散ポリスチレン系樹脂でも、損失弾性率
(E”)のピーク温度以上での温度領域で急激に貯蔵弾
性率(E’)が低下するため、収縮トンネル内(特に高
温熱風下)でのボトル用ラベル等の収縮工程において、
ボトルの肩部等でフィルム端部が折れ曲る現象、いわゆ
るフィルムの倒れ込みに起因するシワ入りやアバタ等が
発生しやすという問題があり、さらに改良が要望されて
いた。
を重ねた結果、損失弾性率(E”)のピーク温度が特定
の範囲のゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂を中間層
とし、さらに貯蔵弾性率(E’)が特定範囲のスチレン
系炭化水素と共役ジエン系炭化水素からなるブロック共
重合体を主成分とした樹脂を表裏層とした積層フィルム
を延伸することによって、単層では解決が困難であった
上記の諸問題を解決できることを見出だし本発明を完成
するに至った。
マーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる
共重合体の連続相中に、分散粒子としてゴム状弾性体を
1〜20重量%含有し、損失弾性率 (E”)のピーク温度
が50〜85℃の範囲にあるゴム状弾性体分散ポリスチレン
系樹脂を中間層とし、スチレン系炭化水素と共役ジエン
系炭化水素とからなるブロック共重合体にスチレン系重
合体を配合してなる混合重合体または異なった種類の上
記ブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合
体樹脂からなり、振動周波数10 Hz で測定した90℃にお
ける貯蔵弾性率(E')が2.0 × 109 dyn/cm2〜9.0× 10
9 dyn/cm2の範囲である樹脂を表裏層として積層し延伸
したフィルムであって、100℃ × 1分の熱収縮率が少
なくとも一方向において40%以上であることを特徴とす
る熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムにある。
本発明の熱収縮性フィルムの中間層を構成する樹脂は、
スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モ
ノマーよりなるスチレン系共重合体の連続相に、分散粒
子としてゴム状弾性体を1〜20重量%含有し、損失弾
性率(E”)のピーク温度が50〜85℃の範囲にある
ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂であり、連続相を
共重合体とすることにより分散粒子と屈折率を合わせ透
明性を維持するとともに、ゴム状弾性体の効果により耐
衝撃性を付与したものである。
は、下記一般式(A)で示される構成単位からなり、
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、下記一般式
(B)で示される構成単位からなる。
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等を挙げるこ
とができる。また、(メタ)アクリル酸エステル系モノ
マーとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリ
ル(メタ)アクリレート等を用いることができる。ここ
で、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び
/又はメタクリレートを示している。
エステル系モノマーの比率は、この連続相の屈折率が選
択したゴム状弾性体分散粒子の屈折率に近くなるように
選択されるが、通常30〜90/70〜10重量%の範
囲で、他の特性も考慮しながら適宜調整される。
レン系モノマーはスチレンであり、一方、(メタ)アク
リル酸エステル系モノマーはメチルメタクリレート(以
下「MMA」と表記する)およびブチルアクリレート
(以下「BA」と表記する)である。この理由は、工業
的に非常に多く生産されているため原料としてのコスト
性に優れ、しかも重合時の反応性が高く原料生産上のコ
スト性にも優れるばかりか、ランダム性の高い共重合が
可能で、三者の組合せによって損失弾性率(E”)のピ
ーク温度をはじめとする特性の制御が容易なためであ
る。
BA=30〜90/10〜70/3〜25重量%の範囲
で調整される。MMAの共重合比はより好ましくは20
〜60重量%の範囲であるが、この範囲外では、連続相
の屈折率をゴム状弾性体分散粒子の屈折率に近くなるよ
うに設定することが困難になり透明性が低下し、熱収縮
性フィルムとしてのクリアーなディスプレー効果が低下
して、一般的に好ましくない。またBAの共重合比はよ
り好ましくは5〜20重量%の範囲であって、BAの共
重合比が上記範囲以外では損失弾性率のピーク温度を本
発明範囲に調整することが難しくなる。
記組成からなる中間層の損失弾性率(E”)のピーク温
度が50〜85℃の範囲にあることが重要である。損失
弾性率(E”)のピーク温度が50℃未満であると得ら
れる熱収縮フィルムの自然収縮率が非常に大きくなって
しまう。自然収縮率はより小さいほうが好ましいが、一
般的に1%未満、より好ましくは0.5%未満であれば
実用上問題を生じない。また、85℃を越えると収縮率
不足となり、収縮仕上がりが低下してしまうという問題
がある。
主に連続相の組成に依存する。スチレン/MMA/BA
の系でいうと、剛直なMMA成分はピーク温度を高め、
柔軟なBA成分はピーク温度を下げるのでこれらの成分
比でピーク温度を調整することができる。
には、分散粒子としてゴム状弾性体を含有している。こ
こでいうゴム状弾性体としては、常温でゴム的性質を示
すものであればよく、例えばポリブタジエン類、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体類、イソプレン共重合体類が好適に用いられ
る。
全体(連続相+分散粒子)の1〜20重量%、より好ま
しくは3〜15重量%の範囲とすればよく、1重量%未
満では得られる熱収縮性フィルムの耐衝撃性(耐破断
性)が低くなり、20重量%を越えると、熱収縮性フィ
ルムの剛性が低下し、例えば収縮ラベルとして瓶などに
被覆する工程で所定の位置に被覆ができない等の不具合
を生じる。
は、0.1〜1.5μmの範囲が好ましく、分散粒子径
が0.1μm未満のものでは、熱収縮性フィルムの耐衝
撃性の効果が十分発現しない。一方、分散粒子径が1.
5μmを越えるものでは、耐衝撃性は十分付与される
が、透明性が低下してしまう。なお粒子径は、原料ペレ
ットから超薄切片法により調整した試料を透過型電子顕
微鏡を用いて撮影した写真から求めた数平均粒子径であ
る。
弾性体分散ポリスチレン系樹脂の製造は、連続相形成用
の原料溶液中にゴム状弾性体を溶解し、攪拌しながら重
合する方法によることができる。ゴム状弾性体粒子は、
フィルム製膜までのいかなる工程でも添加することが可
能であるが、重合時に重合槽中のモノマーおよび重合溶
液に添加し分散することが最も効果的である。モノマー
および重合溶液は粘度が低く分散が容易であり、また重
合時にゴム状弾性体の粒子表面にモノマーがグラフト重
合し、連続相重合体への親和性が著しく高まり、透明性
と耐衝撃性向上効果が最も発現しやすい。分散粒子の粒
子径は、ゴム状弾性体の種類や分子量ににも依存する
が、重合槽の攪拌羽根の回転数にも大きく依存する。本
発明では、この回転数を調整し、分散粒子径を制御する
ことが望ましい。
である上記内容のゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂
の他に、他の樹脂をブレンドすることも可能である。た
だし、上記記載のように連続相と分散相の屈折率を合わ
せて透明性を維持しているため、その屈折率が出来るだ
け近い樹脂(主にポリスチレン系樹脂)を選択すること
が好ましい。上述した内容の中間層は本発明のフィルム
が持つ優れた特性のうち、特に剛性、低自然収縮性、実
用収縮率、低コスト性を発現させる機能を担っている。
る樹脂は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素
とからなるブロック共重合体を主成分とし、振動周波数
10Hzで測定した貯蔵弾性率(E’)が90℃で2.
0×109 dyn/cm2 〜9.0×109 dyn/c
m2 の範囲のものである。この90℃における貯蔵弾性
率が上記範囲未満のものでは、収縮トンネル内でのペッ
トボトル用ラベル等の収縮工程においてフィルムの倒れ
込み等が発生し、良好な収縮仕上がり性を得られなくな
り、耐熱融着性も発現し難くなり好ましくない。また、
上記範囲を越えるものでは良好な収縮仕上がり性が得ら
れないという問題がある。
レン系炭化水素ブロックには、例えばスチレン、o−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン等の単独重合体、それらの共重合体及び/又はスチレ
ン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内
に含む共重合体等がある。
役ジエン系炭化水素ブロックには、例えばブタジエン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン等の単独重合体、そ
れらの共重合体及び/又は共役ジエン系炭化水素以外の
共重合可能なモノマーをブロック内に含む共重合体があ
る。
部分の構造は特に限定されない。ブロック共重合体の構
造としては、例えば直線型、星型等がある。また、各ブ
ロック部分の構造としては、例えば完全対称ブロック、
非対称ブロック、テトラブロック、テーパードブロッ
ク、ランダムブロック等がある。また、共重合組成比、
ブロック共重合の構造および各ブロック部分の構造、分
子量、重合方法の異なるブロック共重合体を2種類以上
配合されているものでもよい。
る樹脂の組成は、スチレン系炭化水素がスチレンであ
り、共役ジエン系炭化水素がブタジエンのいわゆるスチ
レン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)を主体と
する混合物である。この理由は、工業的に非常に多くの
種類の樹脂(共重合組成比、共重合の構造、ブロック部
分の構造、分子量等が様々に異なっている)、つまり屈
折率や熱的性質をはじめとする特性が異なった樹脂が生
産されているため、要求特性に応じて複数の異なったス
チレン−ブタジエンブロック共重合体を組み合わせるこ
とによってフィルム特性の制御が容易に行えるからであ
る。
エン共重合体混合物以外にもスチレン系重合体を配合す
ることもできる。本発明において最も好適に用いられる
スチレン系重合体はポリスチレン(GPPS)である。
本発明積層フィルムは主に中間層を構成する樹脂によっ
て剛性を付与しているが、収縮仕上がり性を低下させな
い範囲でポリスチレンを混合することによって表裏層の
剛性の向上も期待できる。
中間層を構成する樹脂単層では透明性が出にくいことを
改良する機能を担っている。すなわち、中間層を構成す
る樹脂は損失弾性率(E”)のピーク温度以上の温度領
域で連続相が軟化して急激に貯蔵弾性率(E’)が低下
するため、単層では延伸加工時に分散しているゴム状弾
性体がフィルム表面に突出しやすく、透明性の低下した
フィルムとなってしまうが、前述した樹脂から構成され
る表裏層を積層し延伸することによりこの現象を防止
し、透明性を保持させることができるのである。
としては、全ヘーズで10%以下であることが好まし
く、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは5%以
下である。全ヘーズが10%を越えるようなフィルムで
はクリアーなディスプレー効果が低下して好ましくな
い。上述した内容の表裏層は本発明の積層フィルムがも
つ優れた特性うち、特に良好な収縮仕上がり性、耐熱融
着性、透明性を発現させる機能を担っている。
ムでの各層の厚み比は、(表層+裏層)/中間層=1/
1〜1/5であることが好ましく、1/2〜1/4がよ
り好ましい。中間層の厚みが(表層+裏層)/中間層=
1/5を越えると、表裏層によって主に付与される収縮
仕上がり性が低下してしまい、(表層+裏層)/中間層
=1/1未満となると剛性、自然収縮性の改良効果が低
下してしまう。また、コスト面の観点からは上記範囲内
でできるだけ中間層を厚くすることが好ましい。なお、
本発明の積層フィルムの表裏層の厚み比および構成成分
は、収縮特性やカール防止等の点から同一厚み、同一組
成に調整することが好ましいが、必ずしも同一内容とす
る必要はない。
収縮開始温度を低下させる目的で可塑剤及び/又は粘着
付与樹脂を1〜10重量部、さらに好ましくは2〜8重
量部添加することが可能である。可塑剤及び/又は粘着
付与樹脂の量が1重量部未満であると、可塑化が十分達
成されず、低温収縮性が得られにくい。一方可塑剤及び
/又は粘着付与樹脂の量が10重量部を越えるものでは
溶融粘度の低下、耐熱融着性の低下を招き、自然収縮を
起こしてしまうという問題が生じ易い。添加量は中間
層、表裏層において同量もしくは異なった量でもよい。
ものを例示することができる。 :ジオクチルセバケート、ジオクチルアジペート、ジ
イソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート等の脂
肪族エステル系可塑剤、 :ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオク
チルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジシクロヘ
キシルフタレート等の芳香族エステル系可塑剤、 :ポリ(1,4−エチレンアジペート)、ポリ(1,
4−エチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系
可塑剤、 :トリクレジルホスフェート、トリフエニルホスフェ
ート等のリン酸エステル系可塑剤。
例示することができる。 :ロジン、変成ロジン、重合ロジン、ロジングリセリ
ンエステル等のロジン系、:αピネン重合体、βピネ
ン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール重
合体、αピネン−フェノール共重合体等のポリテルペン
系樹脂、 :シクロペンタジエン−イソプレン−(1,3−ペン
タジエン)−(1−ペンテン)の共重合体、(2−ペン
テン)−ジシクロペンタジエンの共重合体、1,3−ペ
ンタジエン主体の樹脂等のC5 系石油樹脂、 :インデン−スチレン−メチルインデン−αメチルス
チレン共重合体等のC8〜C10系のタール系石油樹脂、 :ジシクロペンタジエン主体の樹脂等のDCPD系石
油樹脂、および〜の部分水添品や完全水添品。
脂では2種以上混合して用いてもよい。特に透明性と低
温収縮性等の収縮特性の改良効果とのバランスから可塑
剤としては、フタル酸系、ポリエステル系の可塑剤が、
粘着付与樹脂としては、重合度200以下の水添テルペ
ン樹脂、および同じくC5 系水添石油樹脂が好適に使用
される。
示した可塑剤もしくは粘着付与樹脂以外にも目的に応じ
て各種の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸
化防止剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、無機フ
ィラー等を各用途に応じて、中間層及び/又は表裏層に
適宜添加できる。
体的に説明するが、下記製造方法には限定されない。中
間層用、表裏層用に各々上記内容で配合されたポリスチ
レン系樹脂を別々の押出機によって溶融させ、得られた
溶融体をダイ内で合流させて押出す製造方法が一般的で
ある。押出に際しては、Tダイ法、チューブラ法などの
既存のどの方法を採用してもよい。溶融押出された積層
樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却された後、熱
風、温水、赤外線、マイクロウエーブ等の適当な方法で
再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラ法等に
より、1軸または2軸に延伸される。
脂の軟化温度や熱収縮性フィルムに要求される用途によ
って変える必要があるが、概ね60〜130℃、好まし
くは80〜120℃の範囲で制御される。
段、延伸温度、目的の製品形態に応じて1.5〜6倍の
範囲で適宜決定される。また、1軸延伸にするか2軸延
伸にするかは目的の製品の用途によって決定される。ま
た、延伸した後フィルムの分子配向が緩和しない時間内
に速やかに、当フィルムの冷却を行うことも、収縮性を
付与して保持する上で重要な技術である。
1分の熱収縮率が少なくとも一方向において40%以上
である必要がある。収縮率が40%未満の場合、収縮フ
ィルムとして実用的な機能を発揮し得ない。
は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例に示す
測定値および評価は次のように行った。ここで、フィル
ムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと
記載する。
に切り取り、100℃の温水バスに1分間浸漬し収縮量
を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量
の比率を%値で表示する。
mm×TD280mmの大きさに切り取り、TDの両端
を10mm重ねてヒートシールし円筒状にした。この円
筒状フィルムを、容量300mlの胴部が俵型のガラス
瓶にかぶせ、蒸気加熱方式の長さ1mの収縮トンネル中
を10cm/秒のコンベア駆動で、ガラス瓶を回転させ
ずに通過させた。吹き出し蒸気温度は99℃、トンネル
内雰囲気温度は94℃、サーモラベルを用いて調べたフ
ィルムの温度は、収縮部で80〜92℃であった。
タ、歪みの大きさおよび個数を総合的に評価した。評価
基準は、シワ入り、アバタ、格子目の歪みがなく密着性
が良好なものを(◎)、シワ入り、アバタ、格子目の歪
みがほとんどなく密着性も実用上問題のないものを
(○)、シワ入り、アバタ、格子目の歪みが若干ある
か、収縮不足が若干目立つものを(△)、シワ入り、ア
バタ、格子目の歪みがあるか、収縮不足が目立ち実用上
問題のあるものを(×)とした。
さに切取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置
し、TD方向における収縮量を原寸に対する収縮量の比
率を%値で表示した。
り、キャスティングロールに接した面同士を2枚重ね
て、10mm幅のヒートシールバーを有するヒートシー
ル機に、バーの長手方向にフイルムのMDを合わせセッ
トした後、所定の温度で片側より加熱し、1.5kgf
/cm2 の圧力で60秒間ヒートシールした。その後、
5分間放置してシール部を剥離し、破れずに剥離できる
最高温度を調査した。
定した。
(株)製)を用い、振動周波数10Hzで測定した。な
お、測定値は表裏層、中間層を構成する原料とも各々単
独で押出した0.5mm厚みのシートをサンプルとしT
D、MD方向の平均値を採用した。
ン5重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合体を
分散粒子とし、スチレン46重量%、メチルメタクリレ
ート30重量%、ブチルアクリルレート12重量%から
なる共重合体が連続相となった、損失弾性率のピーク温
度が75℃であるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂
を中間層原料とし、スチレン80重量%とブタジエン2
0重量%とからなるブロック共重合体40重量%、スチ
レン71重量%とブタジエン29重量%とからなるブロ
ック共重合体60重量%の混合樹脂を表裏層原料とし、
それぞれの原料を別々の押出機で溶融押出しし、ダイ内
で合流させて、表層/中間層/裏層の3層構造からなる
溶融体をキャストロールで冷却し総厚み200μmの未
延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを105℃の
温度の雰囲気のテンター延伸設備内でTD方向に4.0
倍延伸して、約50μm(表層/中間層/表層=1/5
/1)の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィル
ムを用いて特性を評価した結果を表1に示した。なお、
表裏層を構成する原料の90℃での貯蔵弾性率(E’)
は4.2×109 dyn/cm2 であった。
ン2.7重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合
体を分散粒子とし、スチレン47.3重量%、メチルメ
タクリレート38重量%、ブチルアクリレート8重量%
からなる共重合体が連続相となった、損失弾性率のピー
ク温度が77℃である樹脂を中間層原料とする以外は実
施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。
層原料とし、スチレン80重量%とブタジエン20重量
%とからなるブロック共重合体50重量%、スチレン7
1重量%とブタジエン29重量%とからなるブロック共
重合体40重量%、ポリスチレン10重量%の混合樹脂
を表裏層原料とする以外は実施例1と同様な方法で熱収
縮性積層フィルムを得た。なお、表裏層を構成する樹脂
の90℃での貯蔵弾性率(E’)は6.9×109 dy
n/cm2 であった。
ン5重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合体を
分散粒子とし、スチレン48重量%、メチルメタクリレ
ート30重量%、ブチルアクリレート10重量%からな
る共重合体が連続相となった、損失弾性率のピーク温度
が79℃であるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂を
中間層原料、実施例1と同様な樹脂を表裏層原料とし、
延伸温度を110℃とする以外は実施例1と同様な方法
で熱収縮性積層フィルムを得た。
ン2.7重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合
体を分散粒子とし、スチレン51.3重量%、メチルメ
タクリレート22重量%、ブチルアクリレート20重量
%からなる共重合体が連続相となった、損失弾性率のピ
ーク温度が65℃であるゴム状弾性体分散ポリスチレン
系樹脂を中間層原料、実施例1と同様な樹脂を表裏層原
料とし、延伸温度を100℃とする以外は実施例1と同
様な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。
クチルフタレート(DOP)を中間層、表裏層とも3重
量部添加し、延伸温度を100℃とした以外は実施例1
と同様な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。なお、中
間層を構成する樹脂の損失弾性率のピーク温度は70
℃、表裏層を構成する樹脂の90℃での貯蔵弾性率
(E’)は3.2×109 dyn/cm2 であった。
ン2.7重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合
体を分散粒子とし、スチレン45.3重量%、メチルメ
タクリレート48重量%からなる共重合体が連続相とな
った、損失弾性率のピーク温度が103℃であるゴム状
弾性体分散ポリスチレン系樹脂を中間層原料、実施例1
と同様な樹脂を表裏層原料とし、延伸温度を125℃と
する以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィル
ムを得た。このフィルムは収縮率不足となり良好な収縮
仕上がり性を得ることは出来なかった。
ン2.7重量%とからなるスチレン−ブタジエン共重合
体を分散粒子とし、スチレン51.3重量%、メチルメ
タクリレート15重量%、ブチルアクリレート27重量
%からなる共重合体が連続相となった、損失弾性率のピ
ーク温度が48℃であるゴム状弾性体分散ポリスチレン
系樹脂を中間層原料、実施例1と同様な樹脂を表裏層原
料とし、延伸温度を95℃とする以外は実施例1と同様
な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。このフィルムは
自然収縮率が6.29%と大きく実用上問題を生じた。
層原料とし、スチレン71重量%とブタジエン29重量
%とからなるブロック共重合体を表裏層原料とした以外
は実施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィルムを得
た。なお、表裏層を構成する樹脂の90℃での貯蔵弾性
率(E’)は9.7×108 dyn/cm2 であった。
このフィルムは熱融着温度が97℃となり、耐熱融着性
に問題が生じた。
層原料、ポリスチレン樹脂を表裏層原料とし延伸温度を
130℃とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性
積層フィルムを得た。なお、表裏層を構成する樹脂の9
0℃での貯蔵弾性率(E’)は2.3×1010dyn/
cm2 であった。このフィルムは収縮率不足となり良好
な収縮仕上がり性を得ることは出来なかった。
層原料とし、表裏層原料もこの中間層と同様な樹脂とし
たこと以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィ
ルムを得た。このフィルムは良好な収縮仕上がり性が得
られず、また融着温度が94℃となり、実用上問題を生
じた。
脂とし、中間層も表裏層と同様な樹脂としたこと以外は
実施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。
このフィルムは収縮仕上がりは良好なものの、自然収縮
率が1.97%と実用上問題を生じた。
と、中間層、表裏層とも本発明の原料組成に即し、粘弾
性特性が規定範囲にある場合は、熱収縮性フィルムとし
て優れた低自然収縮率(自然収縮率0.5%以下)、耐
熱融着性(熱融着温度100℃以上)、透明性、収縮仕
上がり性を発現することが分かる。一方、比較例1〜
3、4のように中間層および表裏層のいずれかが本発明
の規定範囲外になるか、もしくは比較例5、6のように
各単層フィルムでは、収縮率、自然収縮率、耐融着性、
透明性、収縮仕上がり性のいずれかが不良となり、優れ
た熱収縮性フィルムを得ることは難しいことが分かる。
る積層フィルムであって、各層が特定の熱的性質の範囲
をもつ特定のポリスチレン系樹脂からなり、単層では困
難であった自然収縮率が低く、耐熱融着性、透明性、収
縮仕上がり性のいずれの特性に優れた熱収縮性ポリスチ
レン系積層フィルムが得られる。
Claims (5)
- 【請求項1】スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸
エステル系モノマーからなる共重合体の連続相中に、分
散粒子としてゴム状弾性体を1〜20重量%含有し、損失
弾性率 (E”)のピーク温度が50〜85℃の範囲にあるゴ
ム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂を中間層とし、スチ
レン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなるブロ
ック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重
合体または異なった種類の上記ブロック共重合体を2種
類以上配合してなる混合重合体樹脂からなり、振動周波
数10 Hz で測定した90℃における貯蔵弾性率(E')が2.
0 × 109 dyn/cm2〜9.0× 109 dyn/cm2の範囲である樹
脂を表裏層として積層し延伸したフィルムであって、10
0℃ × 1分の熱収縮率が少なくとも一方向において40
%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系
積層フィルム。 - 【請求項2】 中間層の連続相中に含まれるスチレン系
モノマーがスチレンであり、(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマーが、メチルメタクリレートおよびブチル
(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1
記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。 - 【請求項3】 中間層の連続相中に含まれるスチレン/
メチルメタクリレート/ブチル(メタ)アクリレートの
共重合比が30〜90/10〜70/3〜25重量%の
範囲で調整されることを特徴とする請求項2記載の熱収
縮性ポリスチレン系積層フィルム。 - 【請求項4】表裏層のスチレン系炭化水素がスチレンで
あり、共役ジエン系炭化水素がブタジエンであることを
特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱収
縮性ポリスチレン系積層フィルム。 - 【請求項5】中間層、表裏層の各樹脂に、可塑剤及び/
又は粘着付与樹脂を1〜10重量部の範囲で添加したこ
とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
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