JP3158379U - 立体構造作業合羽 - Google Patents

Abstract

【課題】セパレートタイプの樹脂引き作業用合羽において、作業時の体の動きを制約しない構造を有した立体構造作業合羽を提供する。【解決手段】上衣においては前身頃Ａと後見頃の縫製部に帯状Ｄの部品を配置し、この部品を袖部Ｃまで連続させることにより上体のどのような動きにも制約を与えず、さらにズボン部においては膝の部分に膨らみを持たせた立体形状部品を配置することで屈伸時の膝にかかる負担をなくし、臀部にマチをいれることでしゃがんだ姿勢の時に臀部にかかる負担をなくした。さらにはフード部分も頭頂部を前後に分割し、間に帯状の部品を配置することで頭の動きの制約をなくすことが可能となった。【選択図】図１

Description

本考案は、作業上、体の動きに制約を与えない構造を有する作業用樹脂引き合羽に関するものである。

水を扱う作業、例えば農林水産業に代表される一次産業や雨中での土木作業等には濡れ防止のために樹脂引き、ゴム引き或いは繊維を用いない樹脂シートを材料として作られた合羽が日常的に使用されている。
しかしながらゴム引きの場合は重く、また樹脂シートでは強度が不足するなどの理由で作業用としては樹脂引きの合羽が市場では多く使用されている

この合羽の形状として作業用としては上下セパレートタイプがほとんどで、セパレートタイプのズボン部分（下衣）については、腰より下のみのいわゆるズボンタイプと前部が胸まである胸当てタイプがあり用途により使い分けられている。

上衣としては衿部、前見頃、後見頃、袖部からなり、前見頃と後見頃を縫製或いは接着してそれを本体となし、袖部、衿部を縫製或いは接着するのが一般的な製造方法であり、ズボン部においても上衣とほぼ同様の作りとなっており、着脱自由のフードも付属しているのが一般的である。

形状的には、着用して作業することを考慮して、衣服と同様に人体の形状に合わせたものが一般的である。

しかしながら、構成材料として使用しているゴム引布、樹脂引布、樹脂シートいずれにおいても、前述人形状から作業時においては肘や膝などの人体の大きな曲がりに追従することは不可能であり、つっぱり感などにより作業に大きな制約を与えるばかりでなく、時として労働災害の一因ともなりかねない現状がある。

この改善策として肘や膝部分に伸縮の大きな材料を用いたり、ジャバラ形状とするものも提案されていたが期待通りの効果を得ることができていないのが現状である。

特開２００１−１１７０７号公報

解決しようとする問題点は、着用のし易さから形状を人体に合わせた形としながらも、着用作業時に体の動きを制約しない構造とすることである。

本考案は、上衣においては袖から裾にかけて、前見頃と後見頃の間にあり、胴部の裾から腕部の袖にかけて１枚の帯状部品を配置し、ズボン部においては膝部分にふくらみを持たせる立体構造としさらに臀部中央部にマチを入れて立体感をもたせた。またフード部中央にも臀部同様帯状のマチを入れたことを大きな特長としている。

本考案の合羽は、屈曲時に肘、膝の動き、屈伸時に通常かかる膝と臀部の突っ張り感を無くし、さらにはフード部にも頭の動きを制約しないことにより安全で快適な作業環境を提供できる。

図１は本項案上衣の正面図である。 図２は本項案上衣の背面図である。 図３は本項案上衣の側面図である。 図４は本項案上衣の側面図であり、肘を曲げた状態図である。 図５図４と同様の側面図であるが袖口形状を変えたものである。 図６は本項案ズボン（胸付）の正面図である。 図７は本項案ズボン（胸付）の背面図である。 図８は本項案ズボンを着用し、屈伸時の臀部状態を示したものである。 図９は本項案フード部の側面図である。 図１０は本項案フード部の背面図である。 図１１は本項案ズボン吊りベルトの形状を示したものである。 図１２は本項案ズボン吊りベルトで、体を傾けた時の形状である。 図１３は本項案ズボン膝部の形状を示す斜視図である。 図１４は本項案ズボン膝部の屈曲時の形状を示したものである。 図１５は一般的な上衣の側面図である。 図１６は一般的なズボン部の側面図である。 図１７は一般的なズボンを着用し、屈曲時の臀部状態を示したものである。

安全で快適な作業用合羽を作る目的のため、上衣については袖から裾にかけて前見頃（Ａ）と後身頃（Ｂ）の間に帯状の部品（Ｄ）を配置し、ズボンの臀部には屈伸時の体型変化を吸収するマチ（Ｈ）を中心に配し、膝部は屈伸時の伸びに追随するよう立体構造部品（Ｇ）を配した。さらにフード中央にも帯状のマチ（Ｊ）を挿入することで実現した。

図１から図１４の本考案を達成するための材料として、３０番手のポリエステルの平織りに接着処理を行い、厚さ０．３５ｍｍの塩化ビニルシートを貼合わせて樹脂引きシートを得た。

樹脂として塩化ビニルを選択したのは、加工性、接着性に優れているためであり、特に使用される樹脂を塩化ビニルに限定するものではない。一般的に使用される樹脂としては、塩化ビニルの他ポリウレタン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレン、ポリスチレン等があるが、繊維との接着性、加工性など問題がなければその使用材料は選ばず、また複数の樹脂のブレンドも問題ない。

成型方法としては、作製した塩化ビニル樹脂引きシートを所定の形状に裁断し、高周波ウェルダーによる溶着により上衣については図１、図２、ズボンは図５、図６、フードは図８、図９の形状とした。

ポイントとなるのは上衣の場合、胴部においては前身頃と後身頃の両側面の間に帯状の部品を配置することであり、この帯状の部品は胴部の裾より腕部（Ｃ）の袖口まで連通している。

ズボンの場合は一般的には表裏２枚の貼合わせとなるところを、前部においては膝にあたる部分を分離して膝の形状に合わせた膨らみを持った立体構造として接合し、臀部については立体感を持たせるマチを挿入している。

フード部については頭頂部を左右に分割し、上衣と同様の帯状の同生地を挿入した。

作業を行う際に人体の動きにより、特に肘、膝、臀部の屈曲変形が大きく、従来の作業合羽では余裕がないため、つっぱり感があり作業の支障になっていたが、この考案により問題は解決され安全快適な作業環境が実現できる。

Ａ 上衣前身頃
Ｂ 上衣後身頃
Ｃ 袖部
Ｄ 上衣挿入帯状部品
Ｅ ズボン部前部分
Ｆ ズボン部後部分
Ｇ ズボン膝部立体構造部品
Ｈ ズボン臀部挿入マチ
Ｉ フード側面部
Ｊ フード中央配置帯状部品
Ｋ ズボン吊りベルト
Ｌ ズボン胸当て部

Claims (2)

1. 両脇の前身頃と後身頃の間に帯状の部品を胴部の裾から袖まで連通して配置した上衣と、膝部分を膨らみのある立体構造生地を配置し、さらに臀部にマチをいれたズボン部よりなることを特長としたセパレートタイプの作業用樹脂引き合羽。
2. フード部中央前端から後端まで帯状の部品を挿入配置したことを特長とする請求項１記載のセパレートタイプの作業用樹脂引き合羽。

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