JP3156567B2 - 車両用自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の変速制御装置

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JP3156567B2
JP3156567B2 JP29543695A JP29543695A JP3156567B2 JP 3156567 B2 JP3156567 B2 JP 3156567B2 JP 29543695 A JP29543695 A JP 29543695A JP 29543695 A JP29543695 A JP 29543695A JP 3156567 B2 JP3156567 B2 JP 3156567B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60WCONJOINT CONTROL OF VEHICLE SUB-UNITS OF DIFFERENT TYPE OR DIFFERENT FUNCTION; CONTROL SYSTEMS SPECIALLY ADAPTED FOR HYBRID VEHICLES; ROAD VEHICLE DRIVE CONTROL SYSTEMS FOR PURPOSES NOT RELATED TO THE CONTROL OF A PARTICULAR SUB-UNIT
    • B60W2552/00Input parameters relating to infrastructure
    • B60W2552/15Road slope, i.e. the inclination of a road segment in the longitudinal direction

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  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用自動変速
機の変速制御装置に係り、詳しくはマニュアルモードと
オートモードとを備えた自動変速機の変速制御装置に関
する。
【0002】
【関連する背景技術】従来より、車両用の変速機とし
て、変速操作を自動化した自動変速機が多用されてい
る。この自動変速機は、小型車の場合にあっては、クラ
ッチに代えてトルクコンバータを採用したものが主流に
なっているが、一方、バスやトラック等の大型車にあっ
ては、駆動トルクの伝達量が大きいため、トルクコンバ
ータではその駆動トルクを充分に伝達するのが困難とな
っている。
【0003】そこで、手動変速機と同様の機械式の変速
機において、クラッチを自動的に断接するアクチュエー
タを設け、これによりクラッチペダルを排するようにし
た構成の自動変速機が大型車用に開発されている。通
常、このような機械式の自動変速機の変速制御装置で
は、車速とアクセル開度に応じて目標変速段を設定して
いる。しかしながら、この目標変速段にはドライバの意
思が充分に反映されていないことが多い。従って、この
場合には、ドライバの意に反した変速が行われてしまう
虞がある。
【0004】このようなことから、路面傾斜、車速、ア
クセル開度及びブレーキの作動状況等の情報に基づいて
ファジイ推論し、得られたファジイルールに応じて変速
マップの変速特性を切換える等し、これにより、ドライ
バの意思を反映して変速を行う構成の変速制御装置が特
開平1−255748号公報や特開平2−3738号公
報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようにして、上記
公報等に開示された自動変速機の変速制御装置にあって
は、ドライバの意思を反映した変速が行われることにな
るが、一方、ドライバの好みに応じた変速が実施される
ようなのもとはなっていない。つまり、通常、手動変速
機の場合にはドライバ毎に変速操作をするタイミングが
微妙に異なるのであるが、上記のような自動変速機で
は、変速タイミングはドライバの好みによらず所定のタ
イミングに設定されており、ドライバによっては違和感
を覚えることになるのである。
【0006】そこで、近年では、自動変速を主体としな
がら、ドライバの好みに応じて手動変速も可能な自動変
速機が開発されている。さらには、手動変速内容に基づ
いてドライバの好みを学習して記憶し、この記憶値を自
動変速時に適用可能にした自動変速機も開発されてい
る。ところで、変速にドライバの好みを良好に反映させ
るためには、多くの入力パラメータを必要とするととも
に、アップシフトとダウンシフトの両方の学習を必要と
している。従って、学習時における演算が膨大且つ煩雑
になる虞があり好ましいものではない。
【0007】本発明は、上述した事情に基づきなされた
もので、その目的とするところは、煩雑な構成にするこ
となく容易にしてアップシフトとダウンシフトの双方を
ドライバの好みに応じて好適に制御可能な車両用自動変
速機の変速制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、エンジンに連結され、運転者
の操作により変速段を切換えるマニュアルモードと車両
の運転状態に応じて自動的に変速段を切換えるオートモ
ードとを備えた車両用自動変速機の変速制御装置におい
て、前記マニュアルモード及び前記オートモードの少な
くとも一方における変速状態をパラメータとしてニュー
ラルネットワークにより運転者の変速嗜好を反映した変
速パターン学習を行う学習手段と、前記学習手段からの
出力及び前記オートモードでの車両の運転状態に基づき
目標変速段を設定する目標変速段設定手段と、前記目標
変速段に基づき前記自動変速機の変速制御を行う変速制
御手段とを備え、前記学習手段は、運転者による前記マ
ニュアルモードの使用頻度に応じて、前記マニュアルモ
ードと前記オートモードのうちのいずれか一方の変速状
態を選択しパラメータとすることを特徴としている。
【0009】従って、運転者によるマニュアルモードの
使用頻度に応じて、マニュアルモード及びオートモード
の少なくとも一方における変速状態がパラメータとされ
てニューラルネットワークにより運転者の変速嗜好を反
映した変速パターン学習が行われ、この学習による出力
とオートモードでの車両の運転状態とに基づき目標変速
段が設定される。そして、この目標変速段に基づき自動
変速機の変速制御が良好に行われる。
【0010】
【0011】また、請求項の発明では、前記エンジン
のエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段を
さらに備え、前記学習手段は、前記マニュアルモード
使用頻度が所定値より大きいとき、前記マニュアルモー
ドにおける変速状態をパラメータとし、少なくとも運転
者の変速操作時における前記エンジン回転数をパラメー
タに前記変速パターン学習を行うことを特徴としてい
る。
【0012】従って、運転者によるマニュアルモード
使用頻度が所定値より大きいと、マニュアルモードにお
ける変速状態がパラメータとされ、少なくとも運転者の
変速操作時におけるエンジン回転数がパラメータとさ
れ、変速パターン学習が良好に行われる。
【0013】また、好ましい態様として、前記学習手段
は、前記マニュアルモードの使用頻度が所定値より小さ
いとき、前記オートモードにおける変速状態をパラメー
タとしてもよい。この場合、マニュアルモードの使用
度が所定値より小さいと、オートモードにおける変速状
態がパラメータとされ、変速パターン学習が良好に行わ
れる。
【0014】また、このとき、前記エンジンのアクセル
開度を検出するアクセル開度検出手段をさらに備え、前
記学習手段は、前記オートモードにおける変速状態とし
て少なくとも変速段切換わり時の前記アクセル開度をパ
ラメータに前記変速パターン学習を行ってもよいこの
場合、オートモードにおける変速状態として少なくとも
変速段切換わり時のアクセル開度がパラメータとされ、
変速パターン学習が良好に行われる。
【0015】また、さらに好ましい態様として、前記学
習手段は、現在の変速パターン情報をパラメータに含ん
で前記変速パターン学習を行ってもよい。この場合、現
在の変速パターン情報が変速パターン学習の基準パラメ
ータとして使用され、変速パターン学習が良好に行われ
る。また、請求項の発明では、車両が平坦路を走行し
ているか否かを検出する平坦路検出手段をさらに備え、
前記学習手段は、車両が前記平坦路を走行しているとき
前記変速パターン学習を行うことを特徴としている。
【0016】従って、車両が運転者の好みの現れ易い平
坦路を走行しているときにおいてのみ変速パターン学習
が良好に行われる。また、好ましい態様として、前記目
標変速段設定手段は、変速パターンの異なる複数種類の
変速マップを有し、前記学習手段からの出力に応じて前
記複数種類の変速マップから最適マップを選択するとと
もに、この最適マップと前記車両の運転状態とに基づき
前記目標変速段を設定してもよい
【0017】この場合、学習手段からの出力に応じて複
数種類の変速マップから最適マップが選択され、この最
適マップと車両の運転状態とに基づいて目標変速段が良
好に設定される。また、このとき、車両が平坦路を走行
しているか否かを検出する平坦路検出手段をさらに備
え、前記目標変速段設定手段は、車両が前記平坦路を走
行していないときには前回選択した変速マップと前記車
両の運転状態とに基づいて前記目標変速段を設定しても
よい
【0018】この場合、車両が運転者の好みの現れ易い
平坦路を走行していないときには前回選択した変速マッ
プと車両の運転状態とに基づいて目標変速段が良好に設
定される。また、請求項の発明では、前記学習手段
は、前記マニュアルモード及び前記オートモードの少な
くとも一方における変速状態をパラメータとして前記ニ
ューラルネットワークにより運転者のシフトアップ時の
変速嗜好を反映した変速パターン学習を行うことを特徴
としている。
【0019】従って、マニュアルモード及びオートモー
ドの少なくとも一方における変速状態をパラメータとし
てニューラルネットワークにより運転者のシフトアップ
時の変速嗜好を反映した変速パターン学習が良好に行わ
れる
【0020】また、請求項の発明では、エンジンに連
結され、運転者の操作により変速段を切換えるマニュア
ルモードと車両の運転状態に応じて自動的に変速段を切
換えるオートモードとを備えた車両用自動変速機の変速
制御装置において、前記マニュアルモード及び前記オー
トモードの少なくとも一方における変速状態をパラメー
タとしてニューラルネットワークにより運転者の変速嗜
好を反映した変速パターン学習を行う学習手段と、前記
学習手段からの出力及び前記オートモードでの車両の運
転状態に基づき目標変速段を設定する目標変速段設定手
段と、前記目標変速段に基づき前記自動変速機の変速制
御を行う変速制御手段と、車速を検出する車速検出手段
と、ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検
出手段とを備え、前記学習手段は、前記ブレーキ作動状
態がオンであり且つ前記車速の減少量が所定量以上のと
き、少なくとも前記車速の減少量が前記所定量となるま
での間におけるシフトダウン側への変速のうちの運転者
による前記マニュアルモードの使用頻度をパラメータと
して前記変速パターン学習を行うとともに、少なくとも
前記車速の減少量が前記所定量となるまでの間の運転者
による前記オートモードから前記マニュアルモードへの
モード切換頻度をパラメータとして前記変速パターン学
習を行い、運転者のシフトダウン時の変速嗜好を反映し
た変速パターン学習を行うことを特徴としている。
【0021】従って、ブレーキ作動状態がオンであり且
つ車速の減少量が所定量以上のとき、運転者のシフトダ
ウン時の変速嗜好を反映した変速パターン学習が良好に
行われる。また、少なくとも車速の減少量が所定量とな
るまでの間におけるシフトダウン側への変速のうちの運
転者によるマニュアルモードの使用頻度がパラメータと
され、変速パターン学習が良好に行われる。さらに、少
なくとも車速の減少量が所定量となるまでの間の運転者
によるオートモードからマニュアルモードへのモード切
換頻度がパラメータとされ、変速パターン学習が良好に
行われる。
【0022】た、好ましい態様として、前記変速制御
手段は、車両情報に基づきファジイ推論を用いて前記目
標変速段を補正するファジイ制御手段を含んでもよい
【0023】この場合には、車両情報に基づいてファジ
イ推論が行われ、このファジイ推論の結果に応じて目標
変速段が好適に補正され、良好な変速制御が実施され
る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態としての車両用自動変速機の変速制御装置につい
て説明する。図1には、その要部構成を示す模式的なブ
ロック図を、図2には、その全体構成を示す模式的な構
成図を示してある。先ず、図2を参照して本発明の変速
制御装置の全体構成について説明する。
【0025】この図2に示すように、本発明の変速制御
装置は、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)
11の回転駆動力をクラッチ15を有する歯車式変速機
(以下、変速機構という)17を用いて自動変速するシ
ステムである。ここに、変速機構17は、後退段の他に
前進7段の変速段を有しており、自動変速のみならず手
動変速も可能とされている。
【0026】エンジン11には、エンジン出力軸13の
1/2の回転速度で回転するポンプ入力軸19を備えた
燃料噴射ポンプ(以下、噴射ポンプという)21が設け
られており、この噴射ポンプ21のコントロールラック
23には電磁アクチュエータ25が連結されている。ま
た、コントロールラック23の位置を検出するためのラ
ック位置検出センサ123も設けられている。また、ポ
ンプ入力軸19には、エンジン11の出力軸13の回転
数信号を検出するためのエンジン回転センサ27が付設
されている。
【0027】エンジン11からは、エキゾーストマニホ
ールド12を介して排ガスを導く排気管12aが延びて
おり、この排気管12aには、エンジン補助ブレーキの
一つである排気ブレーキ装置119が介装されている。
クラッチ15には、クラッチ用アクチュエータとしての
エアシリンダ33が設けられている。このクラッチ15
は、フライホイール29に対してクラッチ板31を図示
しない周知の挟持手段により圧接させることで接続状態
となるものである。つまり、エアシリンダ33が非作動
状態から作動状態に移行すると、上記挟持手段が解除方
向に作動し、これにより、クラッチ15は接続状態から
遮断状態に変化する。
【0028】また、このクラッチ15には、遮断及び接
続の情報をクラッチストローク量により検出するクラッ
チストロークセンサ35が取付けられている。なお、こ
のクラッチストロークセンサ35に代えてクラッチタッ
チセンサ37を利用するようにしてもよい。変速機構1
7の入力軸39には、入力軸39の回転数を検出するク
ラッチ回転センサ41が付設されている。
【0029】ところで、上記エアシリンダ33には、エ
ア通路43が接続されており、エアシリンダ33は逆止
弁45を介してエア源としての一対のエアタンク47,
49に連結されている。エア通路43の途中には、作動
エアを供給すべくデューティ制御されて開閉手段として
の機能をなす電磁弁X1,X2と、エアシリンダ33内
を大気開放すべくデューティ制御される電磁弁Y1,Y
2とが設けられており、さらに上記電磁弁X1,X2の
上流側に位置して3方向電磁弁Wが設けられている。
【0030】なお、図示するように、上記電磁弁X1,
X2は、互いに並列接続されており、通常時は閉鎖状態
となっている。また、電磁弁Y1,Y2も互いに並列接
続されており、通常時は開放状態となっている。電磁弁
Wは、エアシリンダ33のオン時にはエアタンク47,
49とエア通路とを接続するように制御され、エアシリ
ンダ33のオフ時には、エア通路を大気開放するよう制
御される。
【0031】ここに、上記電磁弁X1,X2及び電磁弁
Y1,Y2は互いに交互に使用されるものであり、これ
により、各電磁弁X1,X2,Y1,Y2を長期間使用
可能である。また、電磁弁X1,X2のうちの一方の電
磁弁が故障した場合や、電磁弁Y1,Y2のうちの一方
の電磁弁が故障した場合には、他方の電磁弁が使用さ
れ、これにより、装置全体の信頼性が保持される。
【0032】なお、一対のエアタンク47,49のう
ち、エアタンク49は非常用のタンクであって、何らか
の理由によりメインエアタンク47のエアがなくなる
と、電磁弁55を開いて非常用エアタンク49からエア
の供給を行う。このため、各エアタンク47,49に
は、内部エア圧が規定値以下になるとオン信号を出力す
るエアセンサ57,59が取付けられている。
【0033】また、エアタンク47には、エア通路43
とは異なった通路であって、下流側で2系統に分岐する
エア通路が接続され、このエア通路の先端は、一対の電
磁弁MVQ111,111を介して制動系(エアオーバ
ハイドロリック式)内の一対のエアマスタ109,10
9に接続されている。これらのエアマスタ109,10
9には、強ブレーキ踏力センサ(BPSセンサ)106
が取付けられている。このBPSセンサ106は、設定
値を上回る強い制動力を必要とする場合のエア圧に相当
する強ブレーキ踏力情報を受けた際にオン作動するダイ
アフラム式の開閉スイッチとして構成されている。
【0034】チェンジレバー61は、変速機構17のセ
レクトレバーであって、図3に示すように、セレクト方
向及びこのセレクト方向と直交する方向に移動すること
ができ、さらに、この直交する方向に移動した位置から
上記セレクト方向と平行なシフト方向に移動することが
できる。これら各方向でのセレクトパターン及びシフト
パターンは、セレクト方向にあっては、N(ニュートラ
ル)レンジとR(リバース)レンジと自動変速モード
(オートモード)に相当するD(ドライブ)レンジとが
設定されており、シフト方向にあっては、上記D(ドラ
イブ)レンジから上記直交する方向にチェンジレバー6
1が動かされた位置に設定され手動変速モード(マニュ
アルモード)に相当するM(マニュアル)レンジを挟ん
でUP(シフトアップ)ポジションとDOWN(シフト
ダウン)ポジションとを有するI型シフトパターンが設
定されている。
【0035】このようなセレクトパターン及びシフトパ
ターンにおいて、Nレンジ、Rレンジ及びDレンジに位
置したチェンジレバー61は、その位置への操作後にド
ライバの手が離れた場合でもその位置に保持されて停止
する一方、Mレンジが選択された後、UPポジション或
いはDOWNポジションにシフト操作された場合には、
操作後、ドライバの手が離れると、Mレンジに向け自動
的に復動しその位置(図3中にHOLDで示す)で保持
される。チェンジレバー61の各レンジ及びポジション
の検出は、変速段選択スイッチ63によって行われ、こ
れによりギヤシフトユニット65が操作され、変速機構
17内のギヤがセレクトレンジ及びシフトポジションに
応じて切換えられる。
【0036】ギヤシフトユニット65は、変速制御手段
としてのコントロールユニット71からの作動信号によ
り作動する複数個の電磁弁(図2では1つのみ示した)
73と、変速機構17内のセレクトフォーク及びシフト
フォーク(共に図示せず)を作動させる一対のパワーシ
リンダ(図示せず)とを有している。このパワーシリン
ダは、上記電磁弁73を介して前述のエアタンク47,
49から高圧作動エアが供給されると作動する。つま
り、上記電磁弁73に与えられる作動信号により、各パ
ワーシリンダが操作され、セレクト、シフトの順で歯車
式変速機構17の噛み合い状態が変更される。
【0037】さらに、ギヤシフトユニット65には、各
変速段を検出するギヤ位置センサとしてのギヤ位置スイ
ッチ75が付設され、このギヤ位置スイッチ75からの
ギヤ位置信号がコントロールユニット71に出力され
る。また、変速機構17の出力軸77には、車速信号を
検出する車速センサ79が付設され、さらに、アクセル
ペダル81には、エンジン負荷情報としてその踏込み量
(アクセル開度VA)を検出するアクセル開度センサ8
5が備えられている。このアクセル開度センサ85は、
アクセルペダル81の踏込み量に応じた抵抗変化を電圧
値(VA)として検出し、これをA/D変換器83でデ
ジタル信号化して出力するものである。図4には、アク
セル開度と電圧値(VA)との関係を示すマップを示し
てあり、アクセル開度VAはこのマップに基づいて設定
されている。
【0038】ブレーキペダル69には、これが踏込まれ
たときにハイレベルのブレーキ信号を出力するブレーキ
センサ87が取付けられており、エンジン11には、フ
ライホイール29の外周のリングギヤに適時噛み合って
エンジン11をスタートさせるスタータ89が取付けら
れている。スタータ89にはスタータリレー91が設け
られており、このスタータリレー91はコントロールユ
ニット71に接続されている。
【0039】なお、図中符号120,121は、それぞ
れエンジン補助ブレーキである排気ブレーキ装置11
9、エンジンブレーキ補助装置、即ち圧縮開放型エンジ
ン補助ブレーキ装置(図示せず)を作動待機状態と作動
しない状態とに切換えるための排気ブレーキオンオフス
イッチ(エンジン補助ブレーキ作動検出手段)及びエン
ジンブレーキ補助装置オンオフスイッチであり、これら
は運転席近傍に配設されている。
【0040】図2中符号93は、コントロールユニット
71とは別に設けられたエンジンコントロールユニット
を示しており、噴射ポンプ21内の電子ガバナ25に対
して各センサからの情報や、コントロールユニット71
からのアクセル開度情報VA等に応じエンジン11の駆
動制御を行うものである。即ち、エンジンコントロール
ユニット93からの指令信号を受けた電子ガバナ25で
は、コントロールラック23が作動して燃料の増減操作
が実施され、エンジン11の出力軸13の回転数の増減
が制御される。
【0041】コントロールユニット71は、マイクロコ
ンピュータ(以下、CPUという)95、メモリ97及
び入力出力信号処理回路としてのインタフェイス99と
で構成されている。インターフェイス99のインプット
ポート(入力インタフェイス)101には、上述の変速
段選択スイッチ63、ブレーキセンサ87、アクセルセ
ンサ85、エンジン回転センサ27、クラッチ回転セン
サ41、ギヤ位置スイッチ75、車速センサ79、クラ
ッチストロークセンサ35、クラッチタッチセンサ37
(クラッチ15の断接情報をクラッチストローク35に
代えて出力するときに用いる)、エアセンサ57,5
9、強ブレーキ踏力情報を出力するBRSセンサ10
6、排気ブレーキオンオフスイッチ120、エンジンブ
レーキ補助装置オンオフスイッチ121及びラック位置
検出センサ123や、後述する坂道発進スイッチ103
が接続され、これら各センサから検出情報がコントロー
ルユニット71に入力される。
【0042】坂道発進スイッチ103は、上り坂での車
両の発進時に後退を防止するシステム(以下、AUSと
いう)を作動させるためのものである。このAUSは、
複数のホイールブレーキ107,107のエアマスタ1
09,109に対するエアの供給を一対の電磁弁MVQ
111,111を介して制御しながら車両を発進させる
ようなシステムである。
【0043】一方、アウトプットポート(出力インタフ
ェース)113には、上述のエンジンコントロールユニ
ット93、スタータリレー91、電磁弁X1,X2,Y
1,Y2,W及び電磁弁55,73,111がそれぞれ接
続されている。なお、図中の符号115は、エアタンク
47,49のエア圧が設定値に達していない場合にエア
センサ57,59からの検出信号を受けて点灯するエア
ウォーニングランプ、符号117は、クラッチ15の磨
耗量が規定値を越えた場合に検出信号を受けて点灯する
クラッチウォーニングランプ、符号116は、ブレーキ
ペダル69の踏込みによりオンするストップランプスイ
ッチを示している。
【0044】ところで、メモリ97は、各種フローチャ
ートをプログラムやデータとして書き込んだ読み出し専
用のROMと書き込み可能なRAMとで構成されてい
る。ROMには、制御プログラムの他に、アクセル開度
情報VAに対応した電磁弁X1,X2,Y1,Y2のデュー
ティ率が予めマップとして記憶されており、CPU95
が適宜このマップより適正値を読み出している。
【0045】上述した変速段選択スイッチ63は、変速
信号としてのセレクト信号及びシフト信号を出力する
が、ROMには、この両信号の一対の組合せに対応した
変速段位置が予めデータマップとして記憶されている。
従って、コントロールユニット71がセレクト信号及び
シフト信号を受けると、CPU95はこのマップより出
力信号を算出し、さらにこの出力をギヤシフトユニット
65の各電磁弁73に与え、変速信号に対応した目標変
速段にギヤを合わせる。ギヤ位置スイッチ75からのギ
ヤ位置信号は、変速完了によって出力され、これによ
り、セレクト信号及びシフト信号に対応した各ギヤ位置
信号が全て出力されたか否かが判断される。つまり、こ
のギヤ位置信号は、噛み合いが正常か否かの信号を発す
るのに用いられる。
【0046】また、ROMには、Dレンジでの目標変速
段が存在するとき、車速V、アクセル開度VA及びエン
ジン回転数Neの各値に基づき、最適変速段を決定する
ためのシフトマップも記憶されている。シフトマップと
しては、ブレーキセンサ87及び排気ブレーキオンオフ
スイッチ120からのフットブレーキ信号及び排気ブレ
ーキ信号のオンオフ状況に応じ、選択マップとして表1
に示すように#1,#2,#3の3種類が設定されてい
る。このように3種類設定されているのは、下り坂での
走行フィーリングを向上させるためである。通常、制動
が行われていない場合には選択マップ#1が適用され
る。
【0047】
【表1】
【0048】また、通常、バスやトラックは積載状況や
運転状況等に応じて必要とする駆動トルクが変化するこ
とから、ROMには、この積載状況(例えば、後述の車
両負荷度αVL)、運転状況及び後述するドライバの好み
等に応じて自動的に或いはドライバの意思に基づいて切
換えられるシフトマップも記憶されている。この積載状
況や運転状況等に応じたシフトマップには、例えば、燃
費重視のエコノミモード、通常モード、加速重視のパワ
ーモードの3種類があり、これらは、それぞれ上記の#
1,#2,#3の各シフトマップ毎に設けられている。
つまり、ROMには、例えば、車速Vとアクセル開度V
Aとの関係においていえば、合計9種類のシフトマップ
が記憶されている。図5乃至図13には、これら9種類
のシフトマップを示してあり、図5乃至図7は、エコノ
ミモードでの#1,#2,#3の各シフトマップを示
し、図8乃至図10は、通常モードでの#1,#2,#
3の各シフトマップを示し、図11乃至図13は、パワ
ーモードでの#1,#2,#3の各シフトマップを示し
てある。即ち、CPU95は、これらのシフトマップ群
から状況に応じたシフトマップを適宜選択することにな
る。なお、これらのシフトマップでは、シフトアップの
変速特性を実線で示し、シフトダウンの変速特性を破線
で示してある。
【0049】ところで、上述の自動変速機の基本的な動
作は公知でありここではその詳細な説明を省略するが、
この自動変速機は、例えば、実開平2−49663号公
報において開示されたものと同様に作動するものであ
る。次に、本発明の要部としてのコントロールユニット
71における制御内容について説明する。
【0050】図1に示すように、この自動変速装置のコ
ントロールユニット71には、上記シフトマップ群から
適合するシフトマップを選択し、車速センサ79からの
車速情報V及びアクセル開度センサ89からのアクセル
開度情報VAに基づきこの選択されたマップから目標変
速段を設定する目標変速段設定手段3と、ドライバの意
思を反映させて目標変速段を補正しうる最適変速段決定
手段1とが設けられている。
【0051】目標変速段設定手段3には、シフトマップ
を格納する記憶手段3Aと学習式選択手段3Bとが設け
られており、記憶手段3Aは、上記図5乃至図13のシ
フトマップ群の他に、後述するような5−4シフトダウ
ン及び4−3シフトダウンを規制するシフトダウン規制
マップ(図33参照)を選択マップ#1の各モード毎に
記憶している。従って、目標変速段設定手段3はマップ
形式の記憶手段として構成されている。
【0052】また、目標変速段設定手段3の学習式選択
手段3Bは、ドライバの運転の好みに応じて学習を行い
上記各モードのうちからいずれかのシフトマップを選択
する機能を有している。ドライバの運転の好みとは、例
えば、燃費を重視して早めのシフトアップを希望してい
るか、或いは、加速性を重視した走行を希望しているか
という運転の仕方を指している。従って、この学習式選
択手段3Bでは、ドライバによる運転操作情報を入力情
報としてドライバの運転操作を学習し、ドライバの好み
や個性に応じて上記記憶手段3A内の複数のシフトマッ
プの中から最適なシフトマップを選択するのである。
【0053】詳しくは、学習式選択手段3Bは、図28
乃至図30に示すような複数からなるニューラルネット
ワークを備えて構成されており、これらニューラルネッ
トワークに各種運転操作情報が入力されると、ニューラ
ルネットワーク内において学習を含む演算処理が行わ
れ、これによりドライバの好みに応じた最適な出力信号
(判断出力)が出力される。そして、各ニューラルネッ
トワークからの出力信号に応じたシフトマップが選択さ
れ、このシフトマップに基づき、車速Vとアクセル開度
VAに応じた目標変速段が設定されるのである。
【0054】また、最適変速段決定手段1は、ファジイ
理論を用いてドライバの意思や車両の走行状態を判定
し、目標変速段設定手段3で設定された目標変速段を補
正しうるファジイ式最適変速段決定手段として構成され
ている。このファジイ式最適変速段決定手段1では、車
両負荷情報を有する車両情報をパラメータとして後述の
ファジイルールを適用することになるが、車両負荷情報
としては、車両が空車状態で直線平坦路を加速した場合
の加速度α0と、車両が実際に加速したときの実加速度
αとの差(=車両負荷度αVL)をパラメータとして用い
る。
【0055】このため、コントロールユニット71に
は、図1に示すように、上記車両負荷度αVLを算出する
ための車両負荷度算出手段2が設けられている。車両負
荷度算出手段2は、エンジントルク算出手段4と、駆動
力算出手段5と空気抵抗算出手段6と、直線平坦路空車
相当加速度算出手段7と、減算手段8とを備えて構成さ
れており、このうちエンジントルク算出手段4は、ラッ
ク位置検出センサ123から供給されるコントロールラ
ック23の位置情報SRCとエンジン回転数情報Neと
からエンジントルクTeを算出するものであって、目標
変速段設定手段3と同様にマップ形式の記憶手段として
構成されている。
【0056】ここに、エンジントルクTeの算出にコン
トロールラック23の位置情報SRCを使用するのであ
るが、実際のラック位置と電圧値である位置情報SRC
とは、図14に示すような関係を有している。また、こ
の位置情報SRCを使用するにあたり、ノイズ除去を目
的としたフィルタ処理が行われている。詳しくは、フィ
ルタとしては図15に示すような公知のローパスフィル
タ(バターワース型一次デジタルフィルタ)が使用され
る。このローパスフィルタにおいて、処理係数a及びb
はそれぞれ次式で示される。
【0057】a=ωc/(ωc+2) b=(ωc−2)/(ωc+2) ここに、ωcはカットオフ周波数であり、例えば0.0
628rad/secである。図16には、図15のローパス
フィルタ処理ルーチンのフローチャートを示してある
が、同図に基づきフィルタ処理を簡単に説明する。
【0058】ステップF10では、処理変数buffer1及
びbuffer2に初期値0を設定する。そして、ステップF
12で、上式に基づき処理係数a及びbを計算し、ステ
ップF14にて一旦処理変数buffer2を処理変数buffer1
とする。ステップF16では、上記のように求めた処理
変数buffer2に基づき次式から処理変数buffer1を設定す
る。
【0059】buffer1=buffer2・(−b)+(入力値) そして、ステップF18において、最終的な出力値、即
ちSRCを次式から求める。 (出力値)=SRC=(buffer1+buffer2)・a このようにして、電圧値である位置情報SRCがフィル
タ処理されるが、これらステップF14、F16、F1
8の処理は、ステップF20での判別結果が真(Ye
s)で入力値が存在する限り継続される。
【0060】また、エンジン回転数情報Neについても
同様のフィルタ処理がなされる。このようにフィルタ処
理した位置情報SRCとエンジン回転数情報Neとから
エンジントルクTeが予め設定されたマップ(図示せ
ず)に基づき求められるが、エンジントルクTeは、排
気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキの使用に
よって異なるため、排気ブレーキや圧縮開放型エンジン
補助ブレーキを使用している状況では、この状況に応じ
別途設定されたマップ(図示せず)が使用される。
【0061】また、上記各マップから求めた値は、一次
遅れ処理される。この一次遅れ処理には、上記図15及
び図16に示したローパスフィルタ及び処理ルーチンが
適用され、このとき、処理係数a及びbは、排気ブレー
キ(EXB)や圧縮開放型エンジン補助ブレーキ(P
T)の使用状況に応じて表2のように設定されている。
【0062】
【表2】
【0063】ここに、Tは演算周期を示し、τA,τB,
τCは、それぞれ排気ブレーキ(EXB)や圧縮開放型
エンジン補助ブレーキ(PT)の使用状況毎に予め設定
された時定数である。但し、この場合、排気ブレーキ
(EXB)や圧縮開放型エンジン補助ブレーキ(PT)
の使用状況の切換わり時点においては、図16に示した
処理ルーチンのステップF10の処理変数buffer1及びb
uffer2の初期値を上記処理係数a,bを用いて次式によ
り算出する。
【0064】buffer1=y/a−buffer2 buffer2=(y/a−x)/(1−b) ここに、xは切換え直前の入力値であり、yは切換え直
前の出力値である。
【0065】また、駆動力算出手段5は、上記エンジン
トルク算出手段4で求められたエンジントルク情報Te
に基づいて車両の駆動力Fを算出するものであり、駆動
力Fの算出は、例えば下式により行われる。 F=(Te・it・if・η)/R ここに、itは変速段のギヤ比、ifは終減速ギヤ比(デ
ファレンシャルギヤ比)、ηは動力伝達効率、Rはタイ
ヤ動半径である。
【0066】また、空気抵抗算出手段6は、実車速情報
Vから車両の走行抵抗としての空気抵抗Rlを算出する
ものであって、下式により算出するようになっている。 Rl=λ・A・V2 但し、λは空気抵抗係数、Aは車両の前面投影面積、V
は実車速である。次に、直線平坦路空車相当加速度算出
手段7(以下、加速度算出手段という)7について説明
すると、この加速度算出手段7は、上述の駆動力算出手
段5で算出された駆動力情報Fと空気抵抗算出手段6で
算出された空気抵抗係数情報Rlとから、車両が空車状
態で直線平坦路を加速した場合の上記加速度α0、つま
り直線平坦路空車相当加速度を算出するのである。この
直線平坦路空車相当加速度α0は車両の駆動力Fを用い
て下式により算出される。
【0067】 α0=g・{F−(μW0+Rl)}/(W0+Wr) 但し、gは重力加速度、μは路面摩擦係数、W0は空車
重量、Wrは回転部重量である。そして、減算手段8で
は、加速度算出手段7で算出された直線平坦路空車相当
加速度情報α0と車速センサ79からの実加速度情報α
とに基づいて車両負荷度情報αVLを下式により算出す
る。この車両負荷度情報αVLは、車両の重量及び車両の
勾配抵抗に相当するものである。
【0068】αVL=α0−α 即ち、αVL>0であれば車両負荷が重く、αVL<0であ
れば車両負荷が軽いということができる。そして、この
αVLの値の大きさから、どの程度車両負荷が重い(或い
は軽い)のかを判定する。ここで、図17乃至図19は
いずれも車両負荷度αVLをシュミレーションして算出し
た例であって、横軸は車両総重量gvw(グロスビーク
ルウェイト)、縦軸は車両負荷度αVLである。図17
は、平坦路、図18は10%勾配の登坂路、図19は1
0%勾配の降坂路における車両負荷度αVLの算出例であ
り、車両重量以外は車両の条件を一定にして算出したも
のである。
【0069】このようにして、車両負荷度算出手段2で
車両負荷度αVLが算出されると、ファジイ式最適変速段
決定手段1では、この車両負荷度αVLに加えて、アクセ
ル開度情報VA、アクセル開度変化情報ΔVA、車速情
報V、ブレーキ情報及び現在の変速段情報の各情報を取
り込んで、目標変速段設定手段3で設定された目標変速
段に対して補正を行う。なお、このブレーキ情報として
は、ブレーキセンサ87からから入力されるフットブレ
ーキの作動情報以外に、排気ブレーキや圧縮開放型エン
ジン補助ブレーキ等の作動情報も入力され、最適変速段
決定手段1では、これらの情報も加味して補正を行う。
【0070】つまり、最適変速段決定手段1では、各情
報を所定のファジイルールからファジイ推論により目標
変速段の補正を行う。図20乃至図22は、運転情報の
パラメータとして最適変速段決定手段1に入力される各
情報αVL、VA、ΔVAのメンバシップ関数である。こ
のうち、図20は車両負荷度αVLのメンバシップ関数で
ある。ここに、車両負荷度αVLのα1,α2,α3,α4,
α5,α6は予め設定されたものであり、これらの値は前
進7段ある変速段毎にそれぞれ異なる値をとっている。
つまり、各変速段は、車両負荷度αVLに関しそれぞれ固
有のメンバシップ関数を有している。
【0071】図23はドライバの意思を反映して変速段
を補正するためのメンバシップ関数である。なお、車速
情報Vのメンバシップ関数については省略する。この最
適変速段決定手段1では、min−max合成重心法を
用いたファジイ推論法により目標変速段の補正が行われ
る。ここで、min−max合成重心法について図24
(a)〜(c)を用いて順を追って簡単に説明する。
【0072】1)先ず、ファジイルール前件部の入力値
に対するメンバシップ関数の適合度を全てのファジイル
ールについて求める。例えば、ある時間tにおける各セ
ンサからの出力をa1(t),a2(t),・・・とする
と、図24(a),(b)に示すように、各ファジイル
ールR1,R2,・・・において、各メンバシップ関数か
らa1(t)及びa2(t)に対するメンバシップグレー
ド(適合度)A1,A2を求める。
【0073】2)次に、各ルール毎に適合度の最小値m
inを求める。即ち、図24(a)のファジイルールR
1の前件部においては、a1(t)に対する適合度A1の
方がa2(t)に対する適合度A2よりも小さく、従っ
て、ファジイルールのパラメータがa1(t),a2
(t)の2つのみの場合には、A1が最小値minとな
る。同様に、図24(b)に示すように、ファジイルー
ルR2では、a2(t)に対する適合度A2が最小値mi
nとなる。
【0074】3)上記最小値minで後件部のメンバシ
ップ関数を規定する。そして、後件部のメンバシップ関
数の適合度のうち、上記2)で求めた最小値min以上
となる部分をカットし、後件部のメンバシップ関数を規
定する。これも、図24(a),(b)に示すように、
各ファジイルールR1,R2,・・・毎に行う。
【0075】4)各ファジイルールで得られたグラフを
重ね合わせmax図形を求める。ここでは、図24
(c)に示すように、上記の3)で得られたグラフ(図
形)を重ね合わせて、メンバシップ関数の最大値を求め
る。5)上記4)における図形の重心位置を求める。そ
して、図24(c)で示すメンバシップ関数の図形重心
C1を求めることにより、各ファジイルールR1,R2,
・・・での適合度に応じた重みづけを行うことができ
る。そして、後件部のメンバシップ関数において、この
出力C1に対応する適合度からドライバの意思を判定す
るのである。
【0076】なお、上述の図24(a)〜(c)に示す
メンバシップ関数は、min−max合成重心法を説明
するためのものであり、図20乃至図23に示す本実施
形態のメンバシップ関数と必ずしも一致するものではな
い。ところで、図25に示すように、ファジイルールと
しては、R1〜R15の15通りのルールが設定されてい
る。このうち、R1〜R10の各ルールでは、図5乃至図
13に示す変速マップから求められる目標変速段(即
ち、通常の目標変速段設定手段3で設定される変速段)
と現在の変速段が異なっていても、最適変速段決定手段
1では、ドライバに変速する意思があまりないものと推
定して、現在の変速段を保持するように補正信号を出力
する。
【0077】以下、R1〜R10の各ファジイルールにつ
いて説明すると、第1のファジイルールR1では、車両
負荷度αVL>0でその絶対値が中くらい、且つアクセル
開度VAが大であって、且つ目標変速段が現在の変速段
よりも大で目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、上述の#1の選択マップ)に基づいてシフトアップ
が指示されているときは、最適変速段決定手段1では、
車両が登坂路を走行中であるか、または積載状態で走行
中であると推定する。そして、この場合は、目標変速段
設定手段3においてシフトアップが指示されたとして
も、最適変速段決定手段1ではドライバにシフトアップ
の意思がないと推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保
持するように目標変速段設定手段3からの変速指令信号
を補正する。これにより、変速段のシフトアップが抑制
されて、現在の変速段(最適変速段)に保持される。
【0078】また、第2のファジイルールR2では、車
両負荷度αVL>0でその絶対値が中くらい、且つアクセ
ル開度VAが中くらい、且つ目標変速段設定手段3のシ
フトマップ(例えば、#1)に基づいてシフトアップが
指示されているときは、上記の第1のファジイルールR
1と同様に、最適変速段決定手段1において車両が登坂
路を走行中、または積載状態で走行中であると推定する
が、この場合も最適変速段決定手段1ではドライバにシ
フトアップの意思がないと推定して、ギヤ変速段を最適
変速段としての現在の状態に保持するのである。
【0079】このように、第1、第2のファジイルール
R1,R2では、登坂路の走行時や積載状態で走行時にお
いて、不必要なシフトアップが抑制されドライバビリテ
ィが向上する。第3のファジイルールR3では、車両負
荷度αVL<0でその絶対値が小、且つアクセル開度VA
が小、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1)に基づいてシフトアップが指示されていると
きは、最適変速段決定手段1では車両が降坂路を走行中
であると推定する。そして、この場合もドライバにシフ
トアップの意思がないと推定して、目標変速段設定手段
3からの変速指令信号を補正し、ギヤ変速段を現在の状
態に保持する。
【0080】第4のファジイルールR4では、車両負荷
度αVL<0その絶対値が中くらい、且つアクセル開度V
Aが小、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例
えば、#1)に基づいてシフトアップが指示されている
ときは、上述の第3のファジイルールR3と同様、最適
変速段決定手段1では車両が降坂路を走行中であると推
定する。そして、上述と同様に目標変速段設定手段3か
らの変速指令信号を補正し、ギヤ変速段を現在の状態に
保持する。
【0081】このように、第3、第4のファジイルール
R3,R4では、降坂路の走行時において不必要なシフト
アップが抑制されることになり、これにより有効なエン
ジンブレーキを得ることができることになる。従って、
車両の安全性が向上するとともに、ドライバビリティが
向上するのである。次に、第5のファジイルールR5に
ついて説明すると、この第5のファジイルールR5で
は、アクセル開度VAが小であって、且つ車速Vが低
く、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1)に基づいてシフトアップが指示されていると
きは、最適変速段決定手段1では車両が渋滞路を走行中
であると推定する。この場合、最適変速段決定手段1で
はドライバにシフトアップの意思がないと推定して、ギ
ヤ変速段を現在の状態に保持するべく目標変速段設定手
段3からの変速指令信号を補正する。これにより、変速
段のシフトアップが抑制されて、最適変速段としての現
在の変速段に保持される。従って、渋滞路での不要なシ
フトアップが抑制されてドライバビリティが向上する。
【0082】第6のファジイルールR6では、車両負荷
度αVL>0でその絶対値が小、且つアクセル開度変化Δ
VA<0でその絶対値が大、且つ目標変速段設定手段3
のシフトマップ(例えば、#1)に基づいてシフトアッ
プが指示されているときには、コーナフラグfcに値1
を設定するとともに、最適変速段決定手段1において車
両がカーブ手前で減速したと推定する。この場合も、ド
ライバにシフトアップの意思がないと推定して、ギヤ変
速段を現在の状態に保持すべく補正する。従って、変速
段のシフトアップが禁止されて、最適変速段としての現
在の変速段に保持される。このように、第6のファジイ
ルールR6では、カーブ手前で減速したときにシフトア
ップするようなことがなくなり、やはり有効なエンジン
ブレーキを得ることができ、ドライバビリティが向上す
ることになる。
【0083】第7のファジイルールR7では、車両負荷
度αVL<0でその絶対値が大、且つアクセル開度VAが
小であって、且つ排気ブレーキ或いは圧縮開放型エンジ
ン補助ブレーキのいずれか一方の補助ブレーキがオンで
目標変速段設定手段3のシフトマップ(例えば、#3の
選択マップ)に基づいてシフトアップが指示されている
ときは、最適変速段決定手段1において、車両は補助ブ
レーキがオンであるにも拘わらず車速がさらに増加する
ような急降坂路を走行中と推定する。この場合も、ドラ
イバにシフトアップの意思がないと推定して、ギヤ変速
段を現在の状態に保持すべく補正する。従って、変速段
のシフトアップが禁止されて、最適変速段としての現在
の変速段に保持される。つまり、この第7のファジイル
ールR7では、目標変速段が現在の変速段よりもシフト
アップ側の変速段であっても、変速段をこの目標変速段
より1段低速段側の変速段、即ち最適変速段としての現
在の変速段に保持するように変速指令信号を補正する。
よって、現在の変速段でのエンジンブレーキを引き続き
良好且つ確実に得ることが可能となる。
【0084】第8のファジイルールR8では、アクセル
開度変化ΔVA>0でその絶対値が小、且つ車速Vが低
い状態であって、且つ目標変速段が現在の変速段よりも
小、即ち、目標変速段設定手段3のシフトマップ(例え
ば、#1の選択マップ)に基づいてシフトダウンが指示
されているときは、最適変速段決定手段1では、車両を
一度減速させた後の再加速であると推定する。そして、
この場合には、ドライバにシフトダウンの意思がないと
推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保持すべく補正す
る。従って、変速段のシフトダウンが抑制されて、最適
変速段としての現在の変速段に保持される。これも、主
に渋滞時での走行を考慮したしたものであり、このよう
な渋滞時では、変速を実行してもすぐに減速することが
多いことに基づくものである。
【0085】第9のファジイルールR9では、アクセル
開度変化ΔVA>0でその絶対値が中くらい、且つ車速
Vが低く、且つシフトマップ(例えば、#1)に基づい
てシフトダウンが指示されているときは、やはり、渋滞
時等に車両を一度減速させた後の再加速であると推定
し、変速段を現在の変速段に保持する。即ち、上記第
8,第9のファジイルールR8,R9では、渋滞時等にお
ける加速時において、不必要なシフトダウンを抑制する
ことができ、やはりドライバビリティが向上する。ま
た、シフトダウンを抑制することで燃費の向上も図るこ
とができるという利点もある。
【0086】第10のファジイルールR10では、排気ブ
レーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキ等の補助ブレ
ーキの作動がオンで、且つフットブレーキがオフでシフ
トマップ(例えば、#3)に基づいてシフトダウンが指
示されているときは、車両を軽く減速させようとしてい
るものと推定して、ギヤ変速段を現在の状態に保持する
ように目標変速段設定手段3からの変速指令信号を補正
する。これにより、変速段のシフトダウンが抑制され、
現在の変速段(最適変速段)に保持される。従って、ド
ライバの意思に反するような大きな減速を抑制したり、
シフトダウンに伴う変速ショックを防止することがで
き、ドライバビリティが向上する。
【0087】第11のファジイルールR11〜第14のフ
ァジイルールR14について説明すると、これらのファジ
イルールでは、図5乃至図13に示すシフトマップに基
づいて設定される変速段と現在の変速段とが一致してい
ても、最適変速段決定手段1では、ドライバに変速する
意思あるものと推定して、現在の変速段よりも1段低速
段側の変速段に変速するように補正信号を出力する。
【0088】即ち、第11のファジイルールR11では、
車両負荷度αVL>0でその絶対値が大、且つアクセル開
度VAが大、且つ目標変速段設定手段3により変速指示
がない、つまりシフトマップ(例えば、#1)に基づい
て設定される変速段と現在の変速段とが一致していると
きは、最適変速段決定手段1では、車両が急な登坂路を
走行中であるか、または積載状態で走行中であると推定
する。そして、この場合は、目標変速段設定手段3にお
いて変速段の変更の指令が設定されなかったとしても、
最適変速段決定手段1ではドライバにシフトダウンの意
思があると推定し、ギヤ変速段を現在の変速段よりも1
段低速段側の変速段に変速するように変速指令信号を補
正する。これにより、変速段が最適変速段にシフトダウ
ンされて、より大きな駆動トルクを得ることができるよ
うになり、従って、急な登坂路の走行や積載状態での走
行における加速性が向上するのである。
【0089】また、第12のファジイルールR12では、
車両負荷度αVL<0でその絶対値が大、且つ補助ブレー
キがオン、且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ
(例えば、#3)に基づき変速指示がない場合、最適変
速段決定手段1では、車両が急な降坂路を走行中である
と推定する。ところで、この場合は、急な降坂路であり
ながらアップシフト側への変速指示がないことから、同
様に急な降坂路走行と推定される上記第7のファジイル
ールR7の場合よりも補助ブレーキが良好に効いている
と考えられる。しかしながら、このような場合であって
も、最適変速段決定手段1においてドライバにシフトダ
ウンの意思があると推定し、ギヤ変速段を目標変速段で
ある現在の変速段よりも1段低速段側の変速段に変速す
るように変速指令信号を補正するのである。これによ
り、より大きなエンジンブレーキを確実に得ることが可
能となる。
【0090】また、第13のファジイルールR13では、
車両負荷度αVL<0でその絶対値が大、且つ補助ブレー
キがオン、且つフットブレーキがオン、且つ目標変速段
設定手段3のシフトマップ(例えば、#2の選択マッ
プ)に基づき変速指示がない場合、最適変速段決定手段
1では、車両が上記第12のファジイルールR12の場合
と同様に急な降坂路を走行中であると推定する。但し、
この場合は、ファジイルールR12の場合に加えてドライ
バがフットブレーキを作動させている場合であり、車両
はより急な降坂路を走行中と推定する。従って、最適変
速段決定手段1では、やはり、ドライバにシフトダウン
の意思があると推定して、ギヤ変速段を現在の変速段よ
りも1段低速段側の変速段に変速するように変速指令信
号を補正する。これにより、より大きなエンジンブレー
キを確実に得ることが可能となる。
【0091】このように、上記第12,第13のファジ
イルールR12,R13では、変速段が最適変速段にシフト
ダウンされることで、大きなエンジンブレーキを得るこ
とができ、フットブレーキの負荷が軽減されてより安全
性の高い走行状態とすることができる。第14のファジ
イルールR14では、車両負荷度αVL>0でその絶対値が
小、且つアクセル開度VAが中、且つアクセル開度変化
ΔVA>0でその絶対値が大、且つ車速Vが中くらい、
且つ目標変速段設定手段3のシフトマップ(例えば、#
1)に基づき変速指示がないときは、最適変速段決定手
段1では、車両が追越し加速を行おうとしていると推定
して、ギヤ変速段を現在の変速段よりも1段低速段側の
変速段に変速するように変速指令信号を補正する。これ
により、低速段側へのシフトが実行されて、スムースな
加速を行うことができる。
【0092】第15のファジイルールR15では、車両負
荷度αVL>0でその絶対値が大、且つ目標変速段が現在
の変速段よりも大で目標変速段設定手段3のシフトマッ
プ(例えば、上述の#1)に基づいてシフトアップが指
示されているときは、アクセル開度VA等によらず、最
適変速段決定手段1では、車両が急な登坂路を走行中で
あるか、または積載状態で走行中であると推定する。そ
して、この場合は、目標変速段設定手段3においてシフ
トアップの指令がされたとしても、最適変速段決定手段
1ではドライバにシフトアップの意思がないと推定し
て、ギヤ変速段を現在の状態に保持するように目標変速
段設定手段3からの変速指令信号を補正する。これによ
り、変速段のシフトアップが抑制されて、やはり、最適
変速段である現在の変速段に保持される。
【0093】本発明の一実施形態としての車両用自動変
速機の変速制御装置では、上記の如く目標変速段が補正
され最適変速段が決定されることになるが、この最適変
速段は、詳しくは、コントロールユニット71によっ
て、図26に示すようなメインルーチンのフローチャー
トに従って決定される。以下、図26に従い、自動変
速、つまりDレンジにおける最適変速段の決定手順を詳
しく説明する。
【0094】先ず、ステップS10において、上述した
ように、エンジントルク算出手段4によりエンジントル
クTeを算出する。そして、ステップS12で、駆動力
算出手段5により車両の駆動力Fを算出し、次のステッ
プS14では、空気抵抗算出手段6により車両の空気抵
抗Rlを算出する。ステップS16では、上記ステップ
S12で算出された駆動力情報FとステップS14で算
出された空気抵抗情報Rlとから、直線平坦路空車相当
加速度算出手段7により直線平坦路空車相当加速度α0
を算出する。
【0095】そして、ステップS18では、ステップS
16で算出された直線平坦路空車相当加速度α0と車速
センサ79からの実加速度情報αとに基づいて車両の負
荷度情報αVLを算出する。次のステップS19では、目
標変速段設定手段3の学習式選択手段3Bにおいて、ド
ライバの好みに応じた変速の学習制御を行うとともに、
記憶手段3Aから最適なシフトマップを選択する。以
下、ドライバの好みに応じた変速の学習制御について、
図27のフローチャートに基づき説明する。
【0096】先ず、図27のステップS70では、ドラ
イバの好みに応じた変速の学習に必要なデータの計算を
行う。学習データとしては、以下のようなものがある。
なお、ここでは、学習の効果が大きいことから、アップ
シフトの学習に関しては2−3アップシフト、3−4ア
ップシフトを学習の対象としており、さらに、ドライバ
の好みの分散し易い平坦路走行時を対象としている。 (1)Mレンジ使用頻度FMU:使用頻度FMUはシフトア
ップ時のM(マニュアル)レンジの使用頻度であり、過
去10回の2−3アップシフト、3−4アップシフト中
のMレンジの使用回数を求める。 (2)2−3アクセル開度平均AVA(23):2−3アク
セル開度平均AVA(23)はDレンジでの2速段から3速
段への変速時のアクセル開度VAの平均値であり、過去
5回の平坦路での平均を次式から求める。
【0097】AVA(23)=(VA(23)0+VA(23)1+・
・・+VA(23)4)/5 (3)2−3標準偏差SVA(23):2−3標準偏差SV
A(23)はDレンジでの2速段から3速段への変速時のア
クセル開度VAの標準偏差(3σ)であり、やはり、過
去5回の平坦路での標準偏差を次式から求める。
【0098】SVA(23)=3・((1/5)・Σ(VA(2
3)i−AVA(23))21/2,i=0〜4 (4)3−4アクセル開度平均AVA(34):3−4アク
セル開度平均AVA(34)はDレンジでの3速段から4速
段への変速時のアクセル開度VAの平均値であり、やは
り、過去5回の平坦路での平均を次式から求める。
【0099】AVA(34)=(VA(34)0+VA(34)1+・
・・+VA(34)4)/5 (5)3−4標準偏差SVA(34):3−4標準偏差SV
A(34)はDレンジでの3速段から4速段への変速時のア
クセル開度VAの標準偏差(3σ)であり、やはり、過
去5回の平坦路での標準偏差を次式から求める。
【0100】SVA(34)=3・((1/5)・Σ(VA(3
4)i−AVA(34))21/2,i=0〜4 (6)2−3エンジン回転平均ANe(23):2−3エン
ジン回転平均ANe(23)はMレンジでのマニュアル操作
による2速段から3速段への変速時のエンジン回転数の
平均値であり、過去5回の平坦路での平均値を次式から
求める。詳しくは、シフト開始直前のエンジン回転速度
Neの平均値から求める。
【0101】ANe(23)=(Ne(23)0+Ne(23)1+・・
・+Ne(23)4)/5 (7)3−4エンジン回転平均ANe(34):3−4エン
ジン回転平均ANe(34)はMレンジでのマニュアル操作
による3速段から4速段への変速時のエンジン回転数の
平均値であり、やはり、過去5回の平坦路での平均値を
次式から求める。上記同様に、シフト開始直前のエンジ
ン回転速度Neの平均値から求める。
【0102】ANe(34)=(Ne(34)0+Ne(34)1+・・
・+Ne(34)4)/5 (8)ホールドレンジ(HOLDレンジ)使用頻度F
H:HOLDレンジ使用頻度FH、つまりMレンジ側への
切換え頻度はフットブレーキをオンのまま車速Vが所定
値V2(例えば、40km/h)から所定値V1(例えば、1
0km/h)となった際の総時間tsとHOLDレンジ使用
時間tHとの比であり、過去5回の平均値を次式から求
める。
【0103】FHi=tHi/tsi ,i=0〜4 FH=(FH0+FH1+・・・+FH4)/5 (9)シフトダウン時のMレンジ使用頻度FMD:シフト
ダウン時のMレンジ使用頻度FMDはフットブレーキをオ
ンのまま車速Vが所定値V2(例えば、40km/h)から
所定値V1(例えば、10km/h)となった間のマニュア
ル操作によるシフトダウン頻度であり、過去5回の平均
値を次式から求める。
【0104】FMDi=NMDi/NDi ,i=0〜4 FMD=(FMD0+FMD1+・・・+FMD4)/5 ここに、NMDiは上記期間のマニュアル操作によるシフ
トダウン回数であり、NDiはマニュアル操作を含む全シ
フトダウン回数である。そして、次のステップS72で
は、上記理由により、平坦路を走行中であるか否かを判
別する。ここでは、車両負荷度αVLが、各変速段毎に設
定された所定範囲(0値近傍)内であるか否かで判別す
る。このように車両が平坦路を走行中であるか否かの判
別を行うことにより、ドライバの好みが大きく現れる平
坦路においてのみ限定して学習を行うようにできる。
【0105】ステップS72の判別結果が偽(No)、
つまり、車両負荷度αVLが所定範囲外であって車両が平
坦路を走行していないと判定された場合には、シフトア
ップ学習を行うことなくステップS82に進む。一方、
ステップS72の判別結果が真(Yes)、つまり、車
両負荷度αVLが所定範囲内にあり車両が平坦路を走行し
ていると判定された場合には、次にステップS74に進
む。
【0106】ステップS74では、シフトアップ時のM
レンジの使用頻度FMUが小であるか否かを判別する。詳
しくは、使用頻度FMUが所定閾値以下であるか否かを判
別する。判別結果が真の場合には、シフトアップ時にお
いてMレンジの使用頻度が小さいと判定でき、この場合
には、次にステップS76に進む。ステップS76で
は、シフトアップの好みをDレンジ操作によるシフトア
ップに基づいて学習を行い、シフトマップの選択に必要
な出力、つまり判断出力を設定する。即ち、ここでは、
Mレンジの使用頻度が小さいことから、Mレンジの使用
に基づく好みの学習を行わず、自動変速に基づいた学習
を行うのである。詳しくは、図28に示す第1ニューラ
ルネットワークによって、バックプロパゲーション学習
法に基づく学習と判断出力の計算が行われる。以下、第
1ニューラルネットワークにおける処理について説明す
る。
【0107】図28の第1ニューラルネットワークの入
力層には、前回選択されたシフトマップ情報、上述の2
−3アクセル開度平均AVA(23)、2−3標準偏差SV
A(23)、3−4アクセル開度平均AVA(34)及び3−4
標準偏差SVA(34)の各入力値I1,I2,I3,I4,I
5が入力される。ここに、前回選択されたシフトマップ
情報とは即ち前回の判断出力のことであり、今回の学習
のための基準値としての性格を有している。そして、こ
れらI1〜I5の入力値は、次式により正規化されてIi'
とされ、それぞれ3個からなる中間層に入力する。
【0108】Ii'=(Ii−Iimin)/(Iimax−Iimi
n),i=1〜5 ここに、IiminはIiの最小値、つまりI1〜I5の各入
力値の最小値であり、IimaxはIiの最大値、つまりI1
〜I5の各入力値の最大値である。そして、3個からな
る中間層に入力するにあたり、各中間層入力値Ii'には
各々異なる結合係数Wij(i=1〜5,j=1〜3)をそれぞ
れ積算する。つまり、5個の入力層から3個の中間層に
入力する入力値Ii'のそれぞれに、予め実験等により1
5個設定された結合係数Wij(W11,W12,W13,W2
1,W22・・・W53)のうちの対応する結合係数Wijを
積算する。
【0109】そして、3個の中間層からは、次式のシグ
モイド関数によって計算された出力値O1,O2,O3が
出力される。 Oj=1/(1+exp(−Xj)),j=1〜3 但し、Xj=W1j・I1'+W2j・I2'+・・・+W5j・
I5'−θj,j=1〜3 ここに、θj(j=1〜3)はそれぞれ予め実験等により設
定された所定の閾値である。
【0110】そして、この出力値O1,O2,O3につい
ても予め設定された結合係数Wj4(j=1〜3)が積算さ
れて出力層に入力し、出力層からは次式により算出され
た判断出力O4が出力される。 O4=(1/(1+exp(−Y4)))・(Omax−Om
in)+Omin 但し、Y4=W14・O1+W24・O2+W34・O3−θ4 ここに、Omaxは判断出力O4の最大値であり、Ominは
判断出力O4の最小値である。また、θ4は予め実験等に
より設定された所定の閾値である。
【0111】なお、上記のIimin、Iimax、Omin、Om
ax、Wij、Wj4、θj、θ4の詳細な値についてはここで
は列記を省略する。但し、入力値Iiのうち前回選択さ
れたシフトマップ情報に対応する入力値I1及び判断出
力値O4は、後述するように値1〜値3の間の値を取る
ことから、入力値I1の最小値I1min及び出力値O4の最
小値Ominについては値1となり、一方、入力値I1の最
大値I1max及び出力値O4の最大値Omaxについては値3
となる。
【0112】このようにして、ドライバによるシフトア
ップ時のMレンジ使用頻度が小さい場合には、Mレンジ
操作ではなくDレンジ操作によるシフトアップに基づい
て学習が行われ、シフトマップを選択するための出力、
つまり判断出力O4が良好且つ安定的に設定される。一
方、上記ステップS74の判別結果が偽で、シフトアッ
プ時におけるMレンジの使用頻度が大きいと判定された
場合には、ドライバがMレンジを多用しDレンジのみで
は満足していないと判定でき、次にステップS78に進
む。
【0113】このステップS78では、ステップS74
においてMレンジの使用頻度が大きくされたことに基づ
き、シフトアップの好みをMレンジ操作、つまりマニュ
アル操作によるシフトアップに基づいて学習し、シフト
マップを選択するための出力、つまり判断出力を設定す
る。詳しくは、第1ニューラルネットワークとは別個に
設けられた図29に示すような第2ニューラルネットワ
ークによって学習と判断出力の計算が行われる。以下、
第2ニューラルネットワークにおける処理を説明する。
【0114】図29の第2ニューラルネットワークの入
力層には、前回選択されたシフトマップ情報、上述の2
−3エンジン回転平均ANe(23)及び3−4エンジン回
転平均ANe(34)の各入力値I'1,I'2,I'3が入力さ
れる。ここに、上記同様前回選択されたシフトマップ情
報は前回の判断出力のことであり、今回の学習の基準値
としての性格を有している。そして、これらI1〜I5の
入力値は、次式により正規化されてI'i'とされ、それ
ぞれ3個からなる中間層に入力する。
【0115】そして、さらに中間層を経て出力値O'1,
O'2,O'3が得られ、最終的に判断出力O'4が導かれる
ことになるのであるが、この第2ニューラルネットワー
クにおける演算処理についても第1ニューラルネットワ
ークにおける演算処理と同様であり、ここでは詳細な説
明を省略する。このようにして、シフトアップ時のMレ
ンジ使用頻度が大きい場合には、Mレンジ操作によるマ
ニュアル操作によるシフトアップに基づき学習が行われ
ることになり、ドライバの好みに応じたシフトマップを
選択する判断出力O'4が好適に設定されることになる。
つまり、ドライバによるMレンジの操作状況に応じてエ
コノミモード、標準モード、パワーモードの各シフトマ
ップのいずれを選択するかの出力が設定されるのであ
る。
【0116】以上ようにして、第1ニューラルネットワ
ークまたは第2ニューラルネットワークの処理によって
シフトアップに関する判断出力O4,O'4が設定された
ら、次にステップS80に進む。ステップS80では、
上記判断出力O4,O'4に応じたシフトマップの選択を
行う。即ち、エコノミモード、標準モード、パワーモー
ドのいずれかのシフトマップがここで選択される。
【0117】具体的には、図31に示したような、判断
出力O4,O'4と選択マップとの関係を示すグラフに基
づいてシフトマップは選択される。例えば、第1ニュー
ラルネットワークまたは第2ニューラルネットワークか
らの判断出力O4,O'4値が1以上1.5未満(1≦O
4,O'4<1.5)のときには、エコノミモードのシフ
トマップが選択され、判断出力O4,O'4値が1.5以
上2.5未満(1.5≦O4,O'4<2.5)のときに
は、標準モードのシフトマップが選択され、判断出力O
4,O'4値が2.5以上3未満(2.5≦O4,O'4<
3)のときには、パワーモードのシフトマップが選択さ
れる。
【0118】ここに、エコノミモードの選択マップは上
述したように燃費重視のシフトマップであって、通常の
Dレンジ同様のシフトタイミングを有する標準モードに
対し、各変速段でのシフトタイミングが低車速側に設定
されている。また、パワーモードの選択マップは加速重
視のシフトマップであって、標準モードに対し各変速段
のアップシフトのタイミングが高車速側に設定されてい
る。つまり、上記学習によって判断出力O4,O'4が変
化すると、これに応じてDレンジ(自動変速)における
シフトタイミングがドライバの好みに応じたシフトパタ
ーンに好適に切換えられるのである。
【0119】次のステップS82では、フットブレーキ
がオンで車速Vが所定値V2(例えば、40km/h)から
所定値V1(例えば、10km/h)に変化したか否かを判
別する。この判別は、シフトダウンの好みの学習を行う
か否かの判別である。ステップS82の判別結果が偽
で、フットブレーキがオンのままに車速Vが所定値V2
(例えば、40km/h)から所定値V1(例えば、10km/
h)に変化していない場合には、シフトダウンの好みの
学習を行う必要のない状況と判定でき、この場合には、
何もせずに当該ルーチンを抜ける。
【0120】一方、ステップS82の判別結果が真で、
フットブレーキがオンのままに車速Vが所定値V2(例
えば、40km/h)から所定値V1(例えば、10km/h)
に変化している場合には、シフトダウンの好みの学習を
行う状況と判定でき、この場合には、次にステップS8
4に進む。ステップS84では、シフトダウンの好みを
判断する。つまり、ドライバのMレンジの使用状況に応
じてシフトダウンの好みの学習を行い、シフトマップの
選択に必要な判断出力を設定する。詳しくは、図30に
示す第3ニューラルネットワークによって学習と判断出
力の計算が行われる。以下、第3ニューラルネットワー
クにおける処理を説明する。
【0121】図30の第3ニューラルネットワークの入
力層には、前回選択されたシフトマップ情報、上述のH
OLDレンジ使用頻度FH及びMレンジ使用頻度FMDの
各入力値I"1,I"2,I"3が入力される。ここに、上記
同様前回選択されたシフトマップ情報は今回の学習の基
準値としての性格を有している。そして、これらI"1,
I"2,I"3の入力値は、次式により正規化されてI"i'
とされ、それぞれ3個からなる中間層に入力する。
【0122】そして、中間層を経て出力値O"1,O"2,
O"3が得られ、最終的に判断出力O"4が導かれることに
なるのであるが、この第3ニューラルネットワークにお
ける演算処理についても第1及び第2ニューラルネット
ワークにおける演算処理と同様であり、ここでは説明を
省略する。但し、ここでは、入力値I"iのうち前回選択
されたシフトマップ情報に対応する入力値I"1及び判断
出力値O"4は、後述するように値〜値の間の値を取
ることから、入力値I"1の最小値I"1min及び出力値O"
4の最小値O"minについては値となり、一方、入力値
I"1の最大値I"1max及び出力値O"4の最大値O"maxに
ついては値となる。
【0123】このようにして、シフトダウン時における
Mレンジの使用状況に基づきシフトダウンに関する学習
が行われることになり、ドライバの好みに応じたシフト
マップを選択する判断出力O"4が設定されることにな
る。つまり、ここでは、5−4シフトダウン及び4−3
シフトダウンを規制するシフトダウン規制マップを選択
するか否かの出力が設定されるのである。ここに、シフ
トダウン規制マップは、前述したように、エコノミモー
ド、標準モード、パワーモードの選択マップ#1毎に設
けられ、前述の図5、図8、図11のマップとは異なる
シフトマップである。
【0124】図33には、エコノミモードにおけるシフ
トダウンマップを代表として示してあるが、同図に示す
ように、シフトダウン規制マップでは、アクセル開度V
Aが小の場合において、5−4シフトダウン及び4−3
シフトダウンのシフトタイミングが低車速側に移行して
いる。つまり、5−4シフトダウン及び4−3シフトダ
ウンのタイミングが3−2シフトダウンのタイミングと
同一にされている。従って、このシフトダウン規制マッ
プでは、車速Vが極めて小さくならない限り5速段或い
は4速段が保持され、5−4シフトダウン及び4−3シ
フトダウンは実施されないのである。
【0125】そして、ステップS86において、上記判
断出力O"4に応じ、シフトダウンの可否判断がされ、通
常のエコノミモード、標準モード、パワーモードの選択
マップ#1及び各モード毎に設けられたシフトダウン規
制マップのいずれか一つが選択される。詳しくは、図3
2に示すような、判断出力O"4とシフトダウン可否との
関係を示すグラフから、判断出力O"4に応じたシフトダ
ウン可否が選択され、この結果に基づいてシフトダウン
規制マップが適宜選択される。つまり、判断出力O"4値
が0以上0.5未満(0≦O"4<0.5)であれば、シ
フトダウン否であってシフトダウン規制マップが選択さ
れ、一方、判断出力O"4値が0.5以上1以下(0.5
≦O"4≦1)であれば、シフトダウン可であって、通常
のエコノミモード、標準モード、パワーモードの選択マ
ップ#1が選択されるのである。
【0126】例えば、減速時において、ドライバがMモ
ードにおいてマニュアル操作によるダウンシフトを頻繁
に実施するような場合には、通常のエコノミモード、標
準モード、パワーモードの選択マップ#1が選択され、
このとき、Dレンジにおいては、減速につれて順次5−
4、4−3シフトダウンが実行され、これによりエンジ
ンブレーキが好適に作用する。一方、減速時において、
ドライバがHOLDレンジを保持しながらフットブレー
キを操作することが多いような場合、つまり、ドライバ
がシフトダウンのショック等を好まない場合には、シフ
トダウン規制マップが選択され、このとき、Dレンジに
おいては、車速Vの低下によらず5速段及び4速段が良
好に保持されてシフトショック等の不快感が好適に防止
されることになる。
【0127】以上のようにして、学習が加味されてドラ
イバの好みに応じたシフトマップの選択が終了すると、
次に図26のステップS20に進む。このステップS2
0以降は、主として車両の運転状態に基づいた最適変速
段の設定ルーチンとなる。ステップS20では、コーナ
フラグfcが値1で、車両がコーナにさしかかったか否
かを判別する。このコーナフラグfcは、上述したよう
に、第6のファジイルールR6に基づいて値1に設定さ
れるものであり、当該ルーチンではドライバ意思推論を
行う後述のステップS32において設定される。ステッ
プS20の判別結果が真(Yes)で、コーナフラグf
cが値1、つまり車両がコーナにさしかかり、コーナ手
前で減速中と判定された場合には、次にステップS26
に進む。
【0128】ステップS26では、コーナ後処理を行
う。このコーナ後処理は、即ちコーナフラグfcを値0
にリセットする処理であり、ここでは、次に示す条件が
成立したときにコーナフラグfcがリセットされること
になる。 fcリセット条件:車両負荷度αVLが所定値TH2未満
(αVL<TH2)、または、アクセル開度VAが所定値
TH3以上(VA≧TH3)、または、目標変速段が現段
に一致(現=目標) なお、上記所定値TH3は、実際のアクセル開度の75
%の開状態に対応している。
【0129】通常、コーナフラグfcが値1にセットさ
れた直後にあっては、上記コーナフラグfcのリセット
条件は成立せず、この場合には、コーナフラグfcはリ
セットされることなく値1に保持されたままとされ、次
にステップS28に進む。ステップS28では、最終目
標段を現段に設定する。これにより、上記ステップS2
0での判別により、コーナフラグfcが値1であって車
両がコーナ手前で減速中と判定された場合にあっては、
後述のドライバ意思推論を行わず、たとえ目標変速段が
現段より大、即ちシフトアップが指示されているときで
あっても、目標変速段に拘わらず変速段は現段のままに
保持されるのである(第6のファジイルールR6)。
【0130】一方、ステップS20の判別結果が偽(N
o)で、コーナフラグfcがステップS26の実行によ
って値0に設定され、車両が直線走行中であると判定さ
れた場合には、次にステップS22に進む。ステップS
22では、車速Vとアクセル開度VAとに基づき、目標
変速段設定手段3で上記のようにして選択されたシフト
マップから、走行状態に適した目標変速段を求める。
【0131】そして、ステップS24では、ステップS
10〜ステップS18で求めた車両負荷度αVLの他、各
センサからの情報及び目標変速段とに基づき、上述のフ
ァジイルールR1〜R15に基づいて車両の走行状態を推
定するとともにドライバの運転意思を推定する。ステッ
プS30では、上述のステップS24で推定されたドラ
イバ意思に基づき、ファジイルールR1〜R15毎に目標
変速段への変速指令の補正を行う(図25参照)。詳し
くは、このステップS30では、図34及び図35に示
す目標変速段補正のサブルーチンが実行される。以下、
図34,35に基づき、目標変速段の補正手順を説明す
る。
【0132】図34のステップS32では、前回の変速
が終了してから所定時間t1(例えば、3sec)が経過し
たか否かを判別する。判別結果が偽で変速終了後所定時
間t1(例えば、3sec)が未だ経過していないと判定さ
れた場合には、連続して変速が実施されてシフトショッ
クが引き起こされることのないよう、次にステップS4
2に進んで最終目標段を現段に保持する。一方、判別結
果が真で変速終了後所定時間t1(例えば、3sec)が経
過したと判定された場合には、次にステップS34に進
む。
【0133】ステップS34では、排気ブレーキまたは
圧縮開放型エンジン補助ブレーキ等の補助ブレーキのオ
ンオフ切換えが実施されてから所定時間t2(例えば、
3sec)が経過したか否かを判別する。判別結果が偽で
補助ブレーキのオンオフ切換え後所定時間t2(例え
ば、3sec)が未だ経過していないと判定された場合に
は、やはりステップS42に進んで最終目標段を現段に
保持する。これは、つまり、上述したようにエンジント
ルクTeは排気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレ
ーキ等の補助ブレーキのオンオフに応じマップに基づい
て算出されるが、このオンオフ切換え直後にあっては、
排気ブレーキや圧縮開放型エンジン補助ブレーキに作動
遅れがあり、算出されたエンジントルクTeと実際のエ
ンジントルクとの間にアンマッチが生じてドライバの意
思に反した不要な変速が実施されてしまうことを防止し
ているのである。
【0134】ステップS34の判別結果が真で補助ブレ
ーキのオンオフ切換え後所定時間t2(例えば、3sec)
が経過したと判定された場合には、次にステップS36
に進む。ステップS36では、ファジイ推論の出力値、
即ち前述した各メンバシップ関数のメンバシップグレー
ド(適合度)が所定値TH0(例えば、値0)より大き
く所定値TH1(例えば、値0.5)以下であるか否か
を判別する。つまり、ドライバ意思が変速段を現段のま
まに保持したい状況であるか否かを判別する。
【0135】ステップS36の判別結果が真で、出力値
が所定値TH0(例えば、値0)より大きく且つ所定値
TH1(例えば、値0.5)以下(TH1≧出力値>TH
0)と判定された場合には、ステップS42に進んで最
終目標段を現段に保持する。一方、ステップS36の判
別結果が偽で、出力値が所定値TH0(例えば、値0)
か或いは所定値TH1(例えば、値0.5)より大きい
と判定された場合には、次にステップS38に進む。
【0136】ステップS38では、ファジイ推論の出力
値、即ちメンバシップグレード(適合度)が所定値TH
1(例えば、値0.5)より大きいか否かを判別する。
つまり、ドライバ意思が変速段を1段シフトダウンした
い状況であるか否かを判別する。ステップS38の判別
結果が真で、出力値が所定値TH1(例えば、値0.
5)より大きい(出力値>TH1)と判定された場合に
は、次にステップS40に進む。
【0137】このステップS40では、車速Vがオーバ
ラン車速以上であるか否かを判別する。判別結果が真の
場合には、ステップS42に進んで最終目標段を現段に
保持する。一方、判別結果が偽の場合には、次にステッ
プS44に進む。ステップS44では、ステップS38
の判別により、出力値が所定値TH1(例えば、値0.
5)より大きい(出力値>TH1)と判定されたことに
基づき、最終目標段を現段より1段低い変速段にシフト
ダウンする。
【0138】先のステップS38の判別結果が偽で、出
力値が所定値TH1(例えば、値0.5)より大きくな
いと判別された場合には、次にステップS46に進む。
このような状況は、つまり、出力値が所定値TH0(例
えば、値0)に等しい場合であり、この場合には、上記
各ファジイルールを適用する必要がなく、ステップS4
6において、最終目標段を図26中のステップS22で
求めた目標変速段とする。
【0139】以上のようにして、目標変速段に対してド
ライバの意思を反映させた最適変速段がファジイルール
R1〜R15に基づき設定されることになる。つまり、目
標変速段設定手段3で現在の走行変速段と異なる目標変
速段が設定され、シフトダウンまたはシフトアップの指
令信号が最適変速段決定手段1に入力された場合であっ
ても、ドライバの意思を反映した最適変速段が現在の走
行変速段に該当すると推定した場合には、最適変速段決
定手段1により目標変速段への変速指令を禁止する補正
が行われることになる。従って、この場合、車両は現在
の変速段を保持したまま走行することになり、車両の負
荷状態や道路状況(登坂路、降坂路、カーブ有無、渋滞
路等)に応じた最も適切な変速段で走行することが可能
となる。
【0140】また、目標変速段設定手段3で設定された
目標変速段が現在の走行変速段と一致して、変速指令信
号が最適変速段決定手段1に入力されない場合であって
も、ドライバの意思を反映した最適変速段が現在の走行
変速段(ここでは目標変速段)と異なる場合は、最適変
速段決定手段1では変速動作を実行する補正信号が設定
されることになる。これにより、変速機構17では変速
動作が実行され、やはり、車両の負荷状態や道路状況に
応じた最も適切な変速段で走行することができるように
なる。
【0141】そして、目標変速段と最適変速段とが一致
していれば、当然目標変速段が最適変速段となり、この
目標変速段への変速動作が行われることになる。図35
のステップS50では、飛びシフトアップ指令(例え
ば、4段→6段)が出力されたか否かを判別する。つま
り、上記ステップS46において最終目標段をシフトマ
ップに基づく目標変速段としたが、このときの目標変速
段が、1段ずつの変速指令ではなくて飛びシフトアップ
指令であるか否を判別する。
【0142】ステップS50の判別結果が偽で、飛びシ
フトアップ指令が出力されていないと判定された場合に
は、当該ルーチンを終了して図26のメインルーチンに
戻る。一方、ステップS50の判別結果が真で、飛びシ
フトアップ指令が出力されていると判定された場合に
は、次にステップS52に進む。
【0143】ステップS52では、飛びシフトアップ指
令が出力されてから所定時間t3(例えば、3sec)が経
過し、且つ後述の飛びシフトフラグfjが値1であるか
否かを判別する。判別結果が偽の場合、つまり、飛びシ
フトアップ指令が出力された直後から所定時間t3(例
えば、3sec)が経過するまでの間は、次のステップS
54において、飛びシフトアップ指令に拘わらず、最終
目標段を現段よりも単に1段だけシフトアップするもの
とする。これにより、飛びシフトアップが所定時間t3
(例えば、3sec)禁止され、シフトフィーリングの悪
化が好適に防止される。そして、ステップS56におい
て、最終目標段を現段よりも1段だけシフトアップした
ことを記憶するために飛びシフトフラグfjに値1を設
定する。
【0144】そして、次回当該ルーチンが実行され、ス
テップS52での判別により、飛びシフトアップ指令が
出力されてから所定時間t3(例えば、3sec)が経過
し、且つ飛びシフトフラグfjが値1であると判定され
た場合には、ステップS58において飛びシフトフラグ
fjを値0にリセットする。以上、詳細に説明したよう
に、本発明の車両用自動変速機の変速制御装置では、ニ
ューラルネットワークを用いたバックプロパゲーション
学習法に基づいて学習を行うことにより、ドライバ毎に
微妙に異なるドライバの好みを加味して複数のシフトマ
ップからドライバの好みに応じた最適なシフトマップを
選択するとともに、このシフトマップにより求まる目標
変速段を、さらに、車両負荷度αVLをパラメータとして
所望のファジイルールにより補正するので、ドライバの
好みとともにドライバの意思をも反映して最適変速段を
好適に決定することができる。従って、当該車両用自動
変速機の変速制御装置では、自動変速機でありながら、
マニュアル操作を主体とする手動変速機のシフトアッ
プ、シフトダウンに極めて近い変速制御を実施すること
ができ、ドライバビリティを大幅に向上させることがで
きる。
【0145】さらに、ドライバの好みの学習制御を行う
ニューラルネットワークを、Mレンジの使用頻度FMUに
応じて、Dレンジ操作に基づいた学習を行う第1ニュー
ラルネットワークと、Mレンジに基づいた学習を行う第
2ニューラルネットワークとにそれぞれ区別してアップ
シフト時の学習制御を行い、また、ダウンシフト時の学
習制御を別の第3ニューラルネットワークにより個別に
行うようにしたので、ニューラルネットワークを複雑な
ものとすることなく容易にドライバの好みの学習を行う
ことができ、常に良好に最適変速段を設定して自動変速
機の変速制御を違和感なく滑らかに行うことができる。
【0146】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の車両用
自動変速機の変速制御装置によれば、エンジンに連結さ
れ、運転者の操作により変速段を切換えるマニュアルモ
ードと車両の運転状態に応じて自動的に変速段を切換え
るオートモードとを備えた車両用自動変速機の変速制御
装置において、マニュアルモード及びオートモードの少
なくとも一方における変速状態をパラメータとしてニュ
ーラルネットワークにより運転者の変速嗜好を反映した
変速パターン学習を行う学習手段と、学習手段からの出
力及びオートモードでの車両の運転状態に基づき目標変
速段を設定する目標変速段設定手段と、目標変速段に基
づき自動変速機の変速制御を行う変速制御手段とを備
、学習手段は、運転者によるマニュアルモードの使用
頻度に応じて、マニュアルモードとオートモードのうち
のいずれか一方の変速状態を選択しパラメータとするよ
うにしたので、マニュアルモードの使用頻度に基づき、
運転者の変速嗜好を反映した変速パターン学習を良好に
行うことができ、この学習による出力とオートモードで
の車両の運転状態とに基づいて目標変速段を好適に設定
できる。これにより、自動変速機の変速制御を手動変速
機の変速操作に近いものにできる。
【0147】
【0148】また、請求項の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、学習手段は、マニュアルモードの使
頻度が所定値より大きいとき、マニュアルモードにお
ける変速状態をパラメータとするので、マニュアルモー
の使用頻度が所定値より大きいときにはマニュアルモ
ードにおける変速状態をパラメータにして良好な変速パ
ターン学習を実施できる。
【0149】このとき、エンジンのエンジン回転数を検
出するエンジン回転数検出手段をさらに備え、学習手段
は、マニュアルモードにおける変速状態として少なくと
も運転者の変速操作時におけるエンジン回転数をパラメ
ータに変速パターン学習を行うので、マニュアルモード
における変速状態として少なくとも運転者の変速操作時
におけるエンジン回転数をパラメータにして良好な変速
パターン学習を実施できる。
【0150】また、好ましい態様として、学習手段は、
マニュアルモードの使用頻度が所定値より小さいとき、
オートモードにおける変速状態をパラメータとしてもよ
く、これにより、マニュアルモードの使用頻度が所定値
より小さいときには、オートモードにおける変速状態を
パラメータとして良好な変速パターン学習を実施でき
る。
【0151】また、このとき、エンジンのアクセル開度
を検出するアクセル開度検出手段をさらに備え、学習手
段は、オートモードにおける変速状態として少なくとも
変速段切換わり時のアクセル開度をパラメータに変速パ
ターン学習を行ってもよく、これにより、オートモード
における変速状態として少なくとも変速段切換わり時の
アクセル開度をパラメータとして良好な変速パターン学
習を実施できる。
【0152】また、さらに好ましい態様として、学習手
段は、現在の変速パターン情報をパラメータに含んで変
速パターン学習を行ってもよく、これにより、現在の変
速パターン情報を変速パターン学習の基準パラメータと
して使用して良好な変速パターン学習を実施できる。ま
た、請求項の車両用自動変速機の変速制御装置によれ
ば、車両が平坦路を走行しているか否かを検出する平坦
路検出手段をさらに備え、学習手段は、車両が平坦路を
走行しているとき変速パターン学習を行うので、車両が
運転者の好みの現れ易い平坦路を走行しているときにお
いて変速パターン学習を良好に行うようにできる。
【0153】また、好ましい態様として、目標変速段設
定手段は、変速パターンの異なる複数種類の変速マップ
を有し、学習手段からの出力に応じて複数種類の変速マ
ップから最適マップを選択するとともに、この最適マッ
プと車両の運転状態とに基づき目標変速段を設定しても
よく、これにより、学習手段からの出力に応じて複数種
類の変速マップから最適マップを選択するようにでき、
この最適マップと車両の運転状態とに基づいて目標変速
段を良好に設定できる。
【0154】また、このとき、車両が平坦路を走行して
いるか否かを検出する平坦路検出手段をさらに備え、目
標変速段設定手段は、車両が平坦路を走行していないと
きには前回選択した変速マップと車両の運転状態とに基
づいて目標変速段を設定してもよく、これにより、車両
が運転者の好みの現れ易い平坦路を走行していないとき
には、前回選択した変速マップと車両の運転状態とに基
づいて目標変速段を良好に設定できる。
【0155】また、請求項の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、学習手段は、マニュアルモード及び
オートモードの少なくとも一方における変速状態をパラ
メータとしてニューラルネットワークにより運転者のシ
フトアップ時の変速嗜好を反映した変速パターン学習を
行うので、マニュアルモード及びオートモードの少なく
とも一方における変速状態をパラメータとしてニューラ
ルネットワークにより運転者のシフトアップ時の変速嗜
好を反映した変速パターン学習を良好に行うことができ
る。
【0156】また、請求項の車両用自動変速機の変速
制御装置によれば、エンジンに連結され、運転者の操作
により変速段を切換えるマニュアルモードと車両の運転
状態に応じて自動的に変速段を切換えるオートモードと
を備えた車両用自動変速機の変速制御装置において、マ
ニュアルモード及びオートモードの少なくとも一方にお
ける変速状態をパラメータとしてニューラルネットワー
クにより運転者の変速嗜好を反映した変速パターン学習
を行う学習手段と、学習手段からの出力及びオートモー
ドでの車両の運転状態に基づき目標変速段を設定する目
標変速段設定手段と、目標変速段に基づき自動変速機の
変速制御を行う変速制御手段と、車速を検出する車速検
出手段と、ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動
状態検出手段とをさらに備え、学習手段は、ブレーキ作
動状態がオンであり且つ車速の減少量が所定量以上のと
き運転者のシフトダウン時の変速嗜好を反映した変速パ
ターン学習を行うので、ブレーキ作動状態がオンであり
且つ車速の減少量が所定量以上のときにおいて、運転者
のシフトダウン時の変速嗜好を反映した良好な変速パタ
ーン学習を行うことができる。
【0157】このとき、学習手段は、少なくとも車速の
減少量が所定量となるまでの間におけるシフトダウン側
への変速のうちの運転者によるマニュアルモードの使用
頻度をパラメータとして変速パターン学習を行うので、
少なくとも車速の減少量が所定量となるまでの間におけ
るシフトダウン側への変速のうちの運転者によるマニュ
アルモードの使用頻度をパラメータとして良好な変速パ
ターン学習を実施できる。
【0158】さらに、学習手段は、少なくとも車速の減
少量が所定量となるまでの間の運転者によるオートモー
ドからマニュアルモードへのモード切換頻度をパラメー
タとして変速パターン学習を行うので、少なくとも車速
の減少量が所定量となるまでの間の運転者によるオート
モードからマニュアルモードへのモード切換頻度をパラ
メータとして良好な変速パターン学習を実施できる。
【0159】また、好ましい態様として、変速制御手段
は、車両情報に基づきファジイ推論を用いて目標変速段
を補正するファジイ制御手段を含んでもよく、これによ
、車両情報に基づいてファジイ推論が行われ、このフ
ァジイ推論の結果に応じて目標変速段を好適に補正で
き、良好な変速制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用自動変速機
の変速制御装置における要部構成を示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態としての車両用自動変速機
の変速制御装置における全体構成を示す構成図である。
【図3】チェンジレバーのセレクトパターンを示す図で
ある。
【図4】アクセル開度とVAとの関係を示すグラフであ
る。
【図5】エコノミモードでのシフトマップ#1を示すグ
ラフである。
【図6】エコノミモードでのシフトマップ#2を示すグ
ラフである。
【図7】エコノミモードでのシフトマップ#3を示すグ
ラフである。
【図8】通常モードでのシフトマップ#1を示すグラフ
である。
【図9】通常モードでのシフトマップ#2を示すグラフ
である。
【図10】通常モードでのシフトマップ#3を示すグラ
フである。
【図11】パワーモードでのシフトマップ#1を示すグ
ラフである。
【図12】パワーモードでのシフトマップ#2を示すグ
ラフである。
【図13】パワーモードでのシフトマップ#3を示すグ
ラフである。
【図14】ラック位置とSRCとの関係を示すグラフで
ある。
【図15】ローパスフィルタの構成を示す図である。
【図16】ローパスフィルタのフィルタ処理手順を示す
フローチャートである。
【図17】平坦路での変速制御パラメータとしての車両
負荷度の特性を示す図である。
【図18】10%登坂路での変速制御パラメータとして
の車両負荷度の特性を示す図である。
【図19】10%降坂路での変速制御パラメータとして
の車両負荷度の特性を示す図である。
【図20】車両負荷度のメンバシップ関数を示す図であ
る。
【図21】アクセル開度のメンバシップ関数を示す図で
ある。
【図22】アクセル開度変化のメンバシップ関数を示す
図である。
【図23】ドライバ意思のメンバシップ関数を示す図で
ある。
【図24】ファジイ推論について説明するための図であ
る。
【図25】ファジイルールを示す図である。
【図26】変速制御のメインルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図27】図26中の学習制御のルーチンを示すフロー
チャートである。
【図28】第1ニューラルネットワークを示す図であ
る。
【図29】第2ニューラルネットワークを示す図であ
る。
【図30】第3ニューラルネットワークを示す図であ
る。
【図31】判断出力O4,O'4と選択マップとの関係を
示すグラフである。
【図32】判断出力O"4とシフトダウン可否との関係を
示すグラフである。
【図33】エコノミモードでのシフトマップ#1に対応
するシフトダウン規制マップを示すグラフである。
【図34】図26中の目標変速段補正のサブルーチンを
示すフローチャートの一部である。
【図35】図34に続く目標変速段補正のサブルーチン
を示すフローチャートの残部である。
【符号の説明】
1 最適変速段決定手段(変速制御手段) 2 車両負荷度算出手段 3 目標変速段設定手段 3A 記憶手段 3B 学習式選択手段(学習手段) 4 エンジントルク算出手段 5 駆動力算出手段 6 空気抵抗算出手段 7 直線平坦路空車相当加速度算出手段 8 減算手段 11 ディーゼルエンジン(エンジン) 17 歯車変速機(変速機構) 27 エンジン回転センサ(エンジン回転数検出手段) 61 チェンジレバー 63 変速段選択スイッチ 65 ギヤシフトユニット 71 コントロールユニット 79 車速センサ(車速検出手段) 81 アクセルペダル 85 アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段) 87 ブレーキセンサ(ブレーキ作動状態検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16H 59:42 59:44 59:54 59:66 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/02 F16H 61/10 F16H 61/18 F16H 59:02 F16H 59:18 F16H 59:42 F16H 59:44 F16H 59:54 F16H 59:66

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンに連結され、運転者の操作によ
    り変速段を切換えるマニュアルモードと車両の運転状態
    に応じて自動的に変速段を切換えるオートモードとを備
    えた車両用自動変速機の変速制御装置において、 前記マニュアルモード及び前記オートモードの少なくと
    も一方における変速状態をパラメータとしてニューラル
    ネットワークにより運転者の変速嗜好を反映した変速パ
    ターン学習を行う学習手段と、 前記学習手段からの出力及び前記オートモードでの車両
    の運転状態に基づき目標変速段を設定する目標変速段設
    定手段と、 前記目標変速段に基づき前記自動変速機の変速制御を行
    う変速制御手段とを備え 前記学習手段は、運転者による前記マニュアルモードの
    使用頻度に応じて、前記マニュアルモードと前記オート
    モードのうちのいずれか一方の変速状態を選択しパラメ
    ータとする ことを特徴とする車両用自動変速機の変速制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記エンジンのエンジン回転数を検出す
    るエンジン回転数検出手段をさらに備え、 前記学習手段は、前記マニュアルモードの使用頻度が所
    定値より大きいとき、前記マニュアルモードにおける変
    速状態をパラメータとし、少なくとも運転者の変速操作
    時における前記エンジン回転数をパラメータに前記変速
    パターン学習を行うことを特徴とする、請求項記載の
    車両用自動変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 車両が平坦路を走行しているか否かを検
    出する平坦路検出手段をさらに備え、 前記学習手段は、車両が前記平坦路を走行しているとき
    前記変速パターン学習を行うことを特徴とする、請求項
    または2記載の車両用自動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記学習手段は、前記マニュアルモード
    及び前記オートモードの少なくとも一方における変速状
    態をパラメータとして前記ニューラルネットワークによ
    り運転者のシフトアップ時の変速嗜好を反映した変速パ
    ターン学習を行うことを特徴とする、請求項1乃至
    いずれか記載の車両用自動変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 エンジンに連結され、運転者の操作によ
    り変速段を切換えるマニュアルモードと車両の運転状態
    に応じて自動的に変速段を切換えるオートモードとを備
    えた車両用自動変速機の変速制御装置において、 前記マニュアルモード及び前記オートモードの少なくと
    も一方における変速状態をパラメータとしてニューラル
    ネットワークにより運転者の変速嗜好を反映した変速パ
    ターン学習を行う学習手段と、 前記学習手段からの出力及び前記オートモードでの車両
    の運転状態に基づき目標変速段を設定する目標変速段設
    定手段と、 前記目標変速段に基づき前記自動変速機の変速制御を行
    う変速制御手段と、 車速を検出する車速検出手段と、 ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出手
    段とを備え、 前記学習手段は、前記ブレーキ作動状態がオンであり且
    つ前記車速の減少量が所定量以上のとき、少なくとも前
    記車速の減少量が前記所定量となるまでの間におけるシ
    フトダウン側への変速のうちの運転者による前記マニュ
    アルモードの使用頻度をパラメータとして前記変速パタ
    ーン学習を行うとともに、少なくとも前記車速の減少量
    が前記所定量となるまでの間の運転者による前記オート
    モードから前記マニュアルモードへのモード切換頻度を
    パラメータとして前記変速パターン学習を行い、運転者
    のシフトダウン時の変速嗜好を反映した変速パターン学
    習を行うことを特徴とする車両用自動変速機の変速制御
    装置。
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