JP3155796B2 - ポリカーボネート及びその組成物の粒状体の製造法 - Google Patents

ポリカーボネート及びその組成物の粒状体の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネートの粒状
体の製造法に関するものである。詳しくはポリカーボネ
ートの有機溶媒溶液から嵩密度が高く、取り扱いが容易
なポリカーボネートの粒状体を製造する方法に関するも
のであり、更に詳しくは、粒径が大きく、実質的に微粉
末を含まない、性状の優れたポリカーボネートの粒状体
を製造する方法に関するものである。また本発明はポリ
カーボネート組成物の粒状体の製造法に関するものでも
あり、詳しくはポリカーボネートと少なくとも一種の安
定化剤とからなるポリカーボネート組成物の粒状体の製
造法に関するものであり、更に詳しくは、ペレット化工
程を経ることなく直接成形加工することが可能なポリカ
ーボネート組成物の粒状体を製造する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポリ
カーボネートを製造する方法は、従来より種々提案され
ている。例えば、ポリカーボネートの有機溶媒溶液を濃
縮して結晶化させ、粉砕する方法(特公昭38−224
97号公報)があるが、この方法は粉砕可能な結晶化状
態とするまでに長時間を要する為に工業的に見て効率が
良いとは言えない。また、ポリカーボネートの有機溶媒
溶液にメタノール(特公昭36−22447号公報)、
アセトン、酢酸エチル等(特公昭37−7000号公
報)を加え、ポリカーボネートの析出を行う方法もある
が、これらの方法により得られるポリカーボネートは嵩
密度の低い微粉末状のものである。更にまた、ポリカー
ボネートの有機溶媒溶液を水媒体中で加熱して有機溶媒
を蒸発留去することによりポリカーボネートを得る方法
(米国特許第3、505、273号)も提案されている
が、一般にこの方法によれば粘着性の塊状物が生成する
ために充分な攪拌を行う必要がある。
【0003】また、水媒体中での塊状物の生成を防止す
る為の改良法も、いくつか提案されている。例えば、ポ
リカーボネートの有機溶媒溶液をスプレーノズルを用い
て温水中に噴霧させる方法(米国特許第4、423、2
07号)、ポリカーボネートのジクロロメタン溶液を造
粒槽に供給し、水中で懸濁状態を保ちながら、1.1 〜50
気圧の圧力下でジクロロメタンを蒸発させる方法(特開
昭60−116412号公報)、ポリカーボネートのジ
クロロメタン溶液を連続的に造粒槽内の温水に供給して
ポリカーボネート粒状体を生成させ、このポリカーボネ
ート粒状体を含む水スラリーの少なくとも一部を湿式粉
砕処理して造粒槽に循環する方法(特開昭59−133
228号公報)、ポリカーボネートのジクロロメタン溶
液を、ジクロロメタンの沸点以上の温度に維持した熱水
を貯留した粉砕機構を有する混練機に供給し、これを混
練することにより脱溶媒、粉砕を同時に行う方法(特開
昭60−202126号公報)、温水中にポリカーボネ
ート粒状体を存在させておき、温水の攪拌流中に狭い流
路を設けると共に、この流路内で攪拌翼を高速回転させ
て剪断力を付与しながら、温水を高速対流させて、該温
水中にポリカーボネートのジクロロメタン溶液を供給し
て造粒する方法(特開平1−74231号公報)等があ
るが。しかし、いずれの方法も高圧条件や、湿式粉砕
機、混練機等の特殊な装置、条件を必要とする方法であ
り、より簡便にポリカーボネートの粒状体を製造する方
法が望まれていた。
【0004】一方、ポリカーボネートの有機溶媒溶液
に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ポリカーボネートに対する貧溶媒〔anti-solvent〕及び
水を加え、加熱して有機溶媒を蒸発留去してポリカーボ
ネートを得る方法(米国特許第4、668、768号)
も知られているが、この方法により得られるポリカーボ
ネートは微粉末を含んでいるために、貯蔵、収袋、成形
時に微粉末の飛散を起こしたり、成形時に押出成形機の
ホッパー内でブリッジングを起こしてしまう等、取り扱
いの際の飛散性、流動性に於いて難点があった。
【0005】更に粒径の大きなポリカーボネートを得る
ための方法としてポリカーボネートの有機溶媒溶液にポ
リカーボネートの膨潤剤として低級アルキル置換ベンゼ
ンを加え、有機溶媒の大部分を蒸発留去してゲル化せし
め、このゲル化物を粒状化して、残存している有機溶媒
と膨潤剤を蒸発させて多孔性粒状体とする方法(特公昭
46−31468号公報)、ポリカーボネートの有機溶
媒溶液に固形化用溶媒を添加混合し、加熱下の温水中に
該混合溶液を供給しつつ有機溶媒および固形化用溶媒を
留去してポリカーボネートの水スラリー液を製造する方
法において固形化過程の液を湿式粉砕機に循環しつつ固
形化する方法(特開昭61−250026号公報)、ポ
リカーボネートの粒子を懸濁させた水にポリカーボネー
トの有機溶媒溶液を加え、有機溶媒を蒸発留去してポリ
カーボネートの粒状体を得る方法(米国特許第4、60
3、194号)等がある。特公昭46−31468号公
報の多孔性粒状体の製造法では、固形化過程において餅
状物が形成され、これを攪拌により粉砕しなくてはなら
ず、そのため多大な力を必要とし、しばしば攪拌が困難
になることもある。また、特開昭61−250026号
公報の方法では湿式粉砕機を装備した特殊な造粒槽が必
要であり、更に、供給するポリカーボネートの有機溶媒
溶液に固形化用溶媒を加えているため、供給過程にポリ
カーボネートの析出が起こり円滑にポリカーボネートの
有機溶媒溶液を供給できなくなることがある。更に、米
国特許第4、603、194号の方法は、殆ど微粉末を
含まないポリカーボネートの粒状体を得ることはできる
ものの、粒径の揃ったポリカーボネートの粒状体を得る
には、ポリカーボネート粒子の量やポリカーボネートの
有機溶媒溶液の供給速度や有機溶媒の留去速度を厳密に
制御しなくてはならず、しばしば塊状物を生成する事も
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は貯蔵、収袋、
運搬、成形時の取り扱いに著しく優れ、実質的に微粉末
を含まず、粒径が大きく、更に嵩密度が高く、性状の優
れたポリカーボネートの粒状体を、ポリカーボネートの
有機溶媒から特殊な装置を用いることなく、効率よく製
造することを目的とするものである。また本発明の別の
目的はペッレト化等の処理をすることなく直接成形加工
することのできるポリカーボネートの粒状体を製造する
ことであり、詳しくは色調の優れたポリカーボネートを
成形することができるポリカーボネートの粒状体を製造
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、良好な性
状を有するポリカーボネートの粒状体を効率よく製造す
るために鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、水
に、ポリカーボネートに対する貧溶媒とポリカーボネー
ト粉体を加え懸濁混合液とし、この懸濁混合液にポリカ
ーボネートの有機溶媒溶液を供給しながら、有機溶媒を
留去するという極めて簡単な操作により、実質的に微粉
末を含まず、粒径の揃った、平均粒径が約1〜4mm、嵩
密度0.3 〜0.6 g/ml程度の、取り扱い性に著しく優れた
ポリカーボネートの粒状体が得られることを見出し本発
明を完成した。即ち、本発明は、水と、水の量に対し
て、容量比で0.05〜1.5倍であるポリカーボネー
トに対する貧溶媒と、ポリカーボネートの有機溶媒溶液
中のポリカーボネートの量に対し、0.5〜50重量%
の範囲の量のポリカーボネート粉体よりなる懸濁混合液
に、攪拌下、ポリカーボネートの有機溶媒溶液を供給し
ながら、ポリカーボネートの有機溶媒を蒸発留去し、粒
状体を形成させることからなるポリカーボネートの粒状
体の製造法を提供するものであり、更に、水と、水の量
に対して、容量比で0.05〜1.5倍であるポリカー
ボネートに対する貧溶媒と、ポリカーボネートの有機溶
媒溶液中のポリカーボネートの量に対し、0.5〜50
重量%の範囲の量のポリカーボネート粉体よりなる懸濁
混合液に、安定化剤の存在下で、攪拌下、ポリカーボネ
ートの有機溶媒溶液を供給しながら、ポリカーボネート
の有機溶媒を蒸発留去し、粒状体を形成させることから
なるポリカーボネートと少なくとも一種の安定化剤とか
らなるポリカーボネート組成物の粒状体の製造法を提供
するものである。
【0008】本発明で使用するポリカーボネートは、脂
肪族ポリカーボネートでも、芳香族ポリカーボネートで
もよいが、好ましくは、芳香族ポリカーボネートが使用
される。芳香族ポリカーボネートは、通常よく知られた
方法、例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物とホスゲンま
たはジヒドロキシ芳香族化合物のビスクロロホーメート
から製造される。ポリカーボネートの平均分子量につい
ては特に制限は無いが、通常、平均分子量1000〜50000
程度のものが好ましく使用される。芳香族ポリカーボネ
ートの原料として用いられるジヒドロキシ芳香族化合物
としては、例えば、次式で表されるジヒドロキシ芳香族
化合物があげられる。
【0009】HO−Ar1−X−Ar2−OH ここでAr1とAr2は各々2価の単環式芳香族基であり、
XはAr1とAr2を結び付ける基である。Ar1およびAr2
は、置換されていないフェニレン基でも、置換されたフ
ェニレン基でもよい。置換基としては、例えば、アルキ
ル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基等
の炭化水素基や、ハロゲン、ニトロ基、アルコキシ基等
があげられる。Ar1とAr2の両方がp−フェニレン基で
あるのが好ましいが、両方がo−もしくはm−フェニレ
ンであってもよいし、あるいは一方がo−もしくはm−
フェニレンであってもよい。また、Xは、通常、単結合
または2価の炭化水素基であり、更には炭素と水素以外
の原子を含む基、例えば−O−,−S−,−SO−,−
SO2 −、−CO−であってもよい。2価の炭化水素基
は、飽和の炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、
2,2-プロピリデン、シクロヘキシリデン等のアルキリデ
ン基があげられるが、アリール基等で置換された基も包
含され、また、芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基
を含有する炭化水素基であってもよい。
【0010】ジヒドロキシ芳香族化合物の具体例として
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)-1-ナフチルメタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2-(4'−
ヒドロキシフェニル)-2-(3'−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2-
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス
(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2-ビス(3'−エチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2-ビス(3'−n−プロピル−4'−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2-ビス(3'−イソプロピル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−sec−
ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、
【0011】2,2-ビス(3'−tert−ブチル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−シクロヘ
キシル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス
(3'−アリル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2-ビス(3'−メトキシ−4'−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2-ビス(3',5'-ジメチル−4'−ヒドロキシフェ
ニル) プロパン、2,2-ビス(2',3',5',6'-テトラメチル
−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3'−
クロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス
(3',5'-ジクロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2-ビス(3'−ブロモ−4'−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2-ビス(3',5'-ジブロモ−4'−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2-ビス(2',6'-ジブロモ−3',
5'-ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1-シアノ
-3,3−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
【0012】1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロペンタン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、1,1-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘプタン、2,2-ビス(4'−ヒドロキシフェニル)アダ
マンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカ
ン類、4,4'- ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'-
ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルエーテル、エチ
レングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル等のジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4'- ジヒ
ドロキシジフェニルスルフィド、4,4'- ジヒドロキシ-
3,3'-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシ
ジアリールスルフィド、4,4'- ジヒドロキシジフェニル
スルホキシド、4,4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフ
ェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホ
キシド類、4,4'- ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4'- ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルスルホン等
のジヒドロキシジアリールスルホン類、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリー
ル)ケトン類、
【0013】更には、5,6'−ジヒドロキシ-3,3,3',3'-
テトラメチルスピロ(ビス) インダン〔”スピロビイン
ダンビスフェノール”〕、トランス-2,3- ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)-2- ブテン、9,9-ビス(4'−ヒドロ
キシフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4'−ヒドロキシ
フェニル)-2- ブタノン、1,6-ビス(4'−ヒドロキシフ
ェニル)-1,6- ヘキサンジオン、1,1-ジクロロ-2,2−ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ
-2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-
ジクロロ-2,2−ビス(5'−フェノキシ−4'−ヒドロキシ
フェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラメチ
ル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p-キ
シレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m-キシレン、4,4'
- ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。。上記のジ
ヒドロキシ芳香族化合物の他にもハイドロキノン、レゾ
ルシン等も同様に使用される。これらは単独で、あるい
は2種以上混合して使用してもよい。本発明において、
特に好ましく使用されるジヒドロキシ芳香族化合物は、
ビスフェノールAである。
【0014】本発明で対象とするポリカーボネートの有
機溶媒溶液 (以下、ポリカーボネート溶液と略記する)
とは、ポリカーボネートを有機溶媒に溶解して調製した
ものでもよく、また、従来のポリカーボネートの製法、
即ち界面重合法(Interscience Publishing, ”Encycl
opedia of Polymer Science and Technology",vol.10,p
olycarbonate, p.710 〜764,(1969), H.Schnell,”Chem
istry and Physics ofPolycarbonate",Interscience P
ublishing,p.33 〜41,(1964) 参照) により、ポリカー
ボネートを溶解する有機溶媒の存在下、少量の分子量調
製剤及び所望により分岐化剤を用いて、ジヒドロキシ芳
香族化合物をホスゲンまたはジヒドロキシ芳香族化合物
のビスクロロホーメート組成物と反応させて得られるポ
リカーボネートのホモポリマーもしくはコーポリマーの
溶液またはこれを適宜濃縮したものでもよく、これ以外
の方法によって調製したものであってもよい。ポリカー
ボネート溶液の溶媒として使用する有機溶媒は、ポリカ
ーボネートを溶解するものであれば任意に使用可能であ
り、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジク
ロロエタン、1,2-ジクロロエチレン等の塩素化炭化水素
またはそれらの混合物が好ましい。本発明においては、
低沸点であり、且つポリカーボネートを良く溶解するジ
クロロメタンを利用するのが特に好ましい。ポリカーボ
ネート溶液中のポリカーボネートの濃度は、飽和濃度ま
での任意の濃度を採りうる。しかし、あまり高濃度のも
のはその粘性が高く取り扱いが困難になるため、通常、
その濃度は5〜35重量%程度が好ましい。
【0015】ポリカーボネートに対する貧溶媒(以下貧
溶媒と略記する)とは、ポリカーボネート溶液に充分な
量を加えると有機溶媒を除去しなくてもポリカーボネー
トを析出させる能力をもつ溶媒〔anti-solvent〕であ
り、多量に加えてもポリカーボネートの溶解度に影響を
与えない非溶媒〔non-solvent 〕とは異なる。貧溶媒の
具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブ
チル等のエステル類、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪
族炭化水素類、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン
等の脂環式炭化水素類、メタノール、イソプロパノール
等のアルコール類、更には、ニトロメタン、アセトニト
リル、エチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン及びそれらの混合物が例示される。
【0016】本発明の特徴は、粒径の揃った、嵩密度の
高い、ほぼ球状のポリカーボネートの粒状体を得る事で
あり、そのために好ましい貧溶媒は、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類
と、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類である。こ
れらの貧溶媒をポリカーボネート溶液ではなく、水とポ
リカーボネート粉体の懸濁液に混合しておくことが、本
発明のもう一つの特徴である。貧溶媒をポリカーボネー
ト溶液に予め添加しておき、温水等に供給して固体のポ
リカーボネートを製造することは公知であるが、この方
法によると、外気温等の様々な要因により、ポリカーボ
ネート溶液を温水等に供給したり、送液している間にポ
リカーボネート溶液中のポリカーボネートが析出するこ
とがあり、操作上、不都合が生じることがあった。ま
た、ポリカーボネート溶液を供給する初期の段階では、
温水等の水媒体中に殆ど貧溶媒が存在していないことに
なるため、供給初期においてはポリカーボネートの塊状
物が生じ、順次供給されるポリカーボネート溶液中の貧
溶媒が、有機溶媒との沸点の差により水媒体中に蓄積さ
れ、最終的に水媒体中の貧溶媒量が所定量になって、水
媒体中に残存している有機溶媒中のポリカーボネートの
析出やポリカーボネート溶液の供給初期に生成した塊状
物の粉砕が起こる。
【0017】即ち、ポリカーボネート溶液中に貧溶媒を
添加しておく方法では、微粉末のポリカーボネートの生
成を完全に抑制することはできないのである。本発明の
方法によれば、予め水媒体中に貧溶媒を添加しておくの
で上記の様な事はなく、実質的に微粉末を含まないポリ
カーボネートの粒状体が得られる。また、貧溶媒を予め
水媒体中に添加しておくことは、後述する本発明の構成
要素の一つであるポリカーボネート粉体を水中に均等に
分散させる効果もある。ポリカーボネート粉体はポリカ
ーボネート粒状体を製造するための種晶になるのである
が、水媒体中で均等に分散していないと、その効果は極
度に低くなる。ポリカーボネートは水との相溶性が殆ど
無いために、ポリカーボネート粉体を水中に添加しただ
けでは、凝集してしまったり、水面上に広がるだけであ
る、この状態では強力な攪拌を行わないかぎり均等な分
散状態を維持することはできない。ところが、水中に所
定量の貧溶媒を添加することにより、極微弱な攪拌でも
ポリカーボネート粉体を均等に分散させ、且つその状態
を維持することができるのである。貧溶媒の使用量は、
使用する水の量に対して容量比で0.05倍〜 1.5倍が好ま
しく、特に 0.1倍〜1倍が好ましい。貧溶媒の量が0.05
倍未満だと粒径の揃いが悪くなり、塊状物を生成し易く
なる傾向がある。また貧溶媒の量が 1.5倍を超える場合
には、製造されるポリカーボネートの粒状体が、嵩密度
の低い、微粉末に近いものとなるため好ましくない。
【0018】水の使用量は、使用するポリカーボネート
溶液の量に対し、容量比で 0.5倍以上あればよいが、好
ましくは、容量比で0.5 〜3倍とするのがよい。水の使
用量が 0.5倍未満の場合には、ポリカーボネートの塊状
物が生成したりして、スラリーの攪拌が困難になること
があるので好ましくない。水と貧溶媒の量関係が前述の
範囲であれば、ポリカーボネート溶液に対する水の量
は、多量に使用しても製造されるポリカーボネートの粒
状体の性状の面から不都合は無い。しかしながら、多量
の水を用いることは、大きな装置が必要となり、貧溶媒
の使用量も増え、また熱効率も悪くなるため工業的に考
えて得策ではない。
【0019】水と貧溶媒の混合溶液中に分散させるポリ
カーボネート粉体とは、ポリカーボネート粒状体を製造
するための種晶になるものである。その粒径及び粒度分
布等については、特に制約は無いが、平均粒径0.1 〜1
mmのポリカーボネート粉体であることが好ましい。本発
明の方法により製造されたポリカーボネートの粒状体の
一部を粉砕して懸濁させてもよい。また、分散させるポ
リカーボネート粉体の量は、ポリカーボネート溶液中の
ポリカーボネートの量にたいして、 0.5重量%以上あれ
ばよいが、好ましくは 0.5〜50重量%であり、特に好ま
しくは、3〜30重量%である。分散させるポリカーボネ
ート粉体の量が 0.5重量%未満であるとポリカーボネー
トの塊状物を生じて均一な性状のポリカーボネート粒状
体を得ることが困難になる。また、分散させるポリカー
ボネート粉体の量が多いことは製造されるポリカーボネ
ートの粒状体の性状の面からは特に不都合な点はない
が、生産性の点から不利である。
【0020】水と貧溶媒とポリカーボネート粉体の懸濁
混合液にポリカーボネート溶液を供給する方法は、例え
ば滴下の様な供給手段によっても良いが、その他のどの
様な方法を用いても良い。また、ポリカーボネート溶液
を供給する速度は、可能な限り速くても良いが、供給す
るポリカーボネート溶液中の有機溶媒の量は、ポリカー
ボネート溶液を供給している間に蒸発留去される有機溶
媒の量に対して1〜10容量倍程度であることが好まし
く、更に1〜5容量倍程度であることがより好ましい。
以下に説明する有機溶媒を蒸発留去させる方法や、加熱
温度等にもよるが通常は、供給するポリカーボネート溶
液の全量を0.1 〜3時間程度で供給するのが好ましい。
長時間かけて供給することは、生産性の点から好ましく
ないことは明らかである。
【0021】有機溶媒を蒸発留去させる方法は、通常の
加熱による蒸発留去の他に、窒素等の不活性ガスを流し
ながら加熱して有機溶媒を蒸発留去させる方法や、減圧
留去によって留去させる方法等が用いられる。通常、水
と貧溶媒とポリカーボネート粉体の懸濁混合液は、ポリ
カーボネート溶液を供給し有機溶媒を蒸発留去させる
間、加熱状態を保つ。この加熱温度は、ポリカーボネー
トの有機溶媒の沸点以下でもよいが、大幅に低い場合
は、有機溶媒の蒸発速度が遅くなり、懸濁混合液中に有
機溶媒が多量残留する様になるため、餅状物あるいは塊
状物が生成し、均一な品質のポリカーボネートの粒状体
を得ることが困難になり好ましくない。一方、加熱温度
が高すぎる場合には、懸濁混合液中の貧溶媒や水が蒸発
留去される様になるため好ましくない。従って、本発明
の方法では、懸濁混合液の加熱温度は、ポリカーボネー
トの有機溶媒の沸点以上の温度とすることが好ましく、
ポリカーボネートの有機溶媒の沸点以上からポリカーボ
ネートに対する貧溶媒の沸点以下且つ水の沸点以下の範
囲の温度とすることが、より好ましい。
【0022】このように上記温度範囲に保持された水と
貧溶媒とポリカーボネート粉体の懸濁混合液に、攪拌
下、ポリカーボネート溶液を供給しつつ、有機溶媒を蒸
発留去することによって、実質的に餅状態を経ることも
なく、また、攪拌による粉砕を受けることもなく、直接
粒状体を得ることが出来る。このため特別な攪拌装置や
攪拌翼、混練機、粉砕機等を用いる必要がなく、通常
は、懸濁混合液中のポリカーボネート粉体の分散状態を
維持し、有機溶媒の蒸発留去を定常的に行える程度の攪
拌(例えば100 〜300rpm程度)で容易に性状の揃ったポ
リカーボネートの粒状体を定量的に製造することができ
る。本発明の方法により製造されるポリカーボネートの
粒状体は、有機溶媒留去後、そのまま濾過しても、ま
た、本発明により製造されるポリカーボネートの粒状体
は、有機溶媒を蒸発留去した後は、攪拌や加熱によりそ
の性状が変化することはないので、貧溶媒の沸点が低い
場合には、有機溶媒を蒸発留去した後に、更に加熱温度
を貧溶媒の沸点以上にして貧溶媒を蒸発留去させ、その
後濾過しても良い。濾過した粒状体は、減圧乾燥や流動
乾燥等の通常の方法で乾燥され製品化される。
【0023】安定化剤の存在下にポリカーボネート溶液
から安定化剤を含むポリカーボネート組成物の粒状体を
製造する方法も本発明の範囲とされる。ポリカーボネー
トがペレット化や成形加工時の熱履歴により少なからず
色相の劣化や分子量低下を生じる事は知られており、こ
の為ペレット化の際に燐系加工安定剤や酸化防止剤等の
安定化剤を添加することは、公知である。本発明の製造
法により得られるポリカーボネートの粒状体はペレット
化工程を経ることなく直接成形加工することが可能であ
る。即ちこのことは、従来のようにポリカーボネート溶
液から得られたポリカーボネートを一旦ペレット化した
後に成形加工するという手順をふむ必要がないために熱
履歴を受ける回数が少なく、分子量低下を起こさずに色
調のよいポリカーボネート成形品を提供することができ
ることを示す。本発明によるポリカーボネートの粒状体
の製造法は、比較的低温で行われるので、本発明により
製造されるポリカーボネートの粒状体は熱による劣化を
全く受けていないが、得られたポリカーボネートの粒状
体を直接フィルムやシート等の成形品に成形加工する際
には、ポリカーボネートの粒状体の製造時に安定化剤を
添加しておくことが好ましい。
【0024】安定化剤は、水とポリカーボネートに対す
る貧溶媒とポリカーボネート粉体の懸濁混合液中に存在
させておいても良く、またポリカーボネート溶液中に存
在していても良い。また懸濁混合液とポリカーボネート
溶液中にそれぞれ同種または異種の安定化剤が存在して
いても良く、ポリカーボネートの粒状体の製造工程中
に、ポリカーボネート溶液の供給とは別に、液体、固
体、溶液もしくは懸濁状態で安定化剤を供給してもよ
い。更に本発明によりポリカーボネートの粒状体を製造
し、濾過した後に有機溶媒もしくは貧溶媒の一部を含ん
だポリカーボネートの粒状体と安定化剤とを混合し、ポ
リカーボネートの粒状体の表面に安定化剤を存在させた
状態で乾燥する方法でも良い。例えば界面重合により得
られたポリカーボネート溶液にポリカーボネートの安定
化剤を添加して調製されるポリカーボネート溶液を用い
てポリカーボネート組成物の粒状体を製造することや、
水とポリカーボネートに対する貧溶媒とポリカーボネー
ト粉体と安定化剤よりなる懸濁混合液にポリカーボネー
ト溶液を供給しながらポリカーボネート組成物の粒状体
を製造すること等が挙げられる。
【0025】ポリカーボネートの安定化剤としては、例
えば、燐系加工安定剤、酸化防止剤等の加工及び熱安定
剤、紫外線吸収剤の様な耐光安定剤が挙げられる。その
具体例としては、トリブチルホスファイト、トリス(2
−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファ
イト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(ノニル
フェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ−t-ブチルフ
ェニル)ホスファイト、デシル−ジフェニルホスファイ
ト、フェニル−ジ−2-エチルヘキシルホスファイト、フ
ェニル- ジデシルホスファイト、トリシクロヘキシルホ
スファイト、ジステアリル−ペンタエリスリチル−ジホ
スファイト、トリス(混合モノ−、ジ−フェニル)ホス
ファイト、ジノニルフェニル−ビス(ノニルフェニル)
ホスファイト、オクチル−(2,2'−ジ(4,6-ジ−t-ブチ
ルフェニル)メチレンホスファイト等の亜燐酸エステル
【0026】トリエチルホスフィン、トリイソプロピル
ホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリシクロ
ヘキシルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、ト
リフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリス
(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−
トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(o-トリル)
ホスフィン、トリス(o-アニシル)ホスフィン、ジフェ
ニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフ
ィン、トリス−(p−ノニルフェニル)ホスフィン、ト
リス(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル−(ヒドロキ
シメチル)ホスフィン、ジフェニル−アセトキシメチル
ホスフィン、ジフェニル−(β−エチルカルボキシエチ
ル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフ
ェニル−(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジフ
ェニル-1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、
フェニルナフチルベンジルホスフィン等の有機ホスフィ
ン類、トリフェニルホスホナイト、ジノニルフェニルホ
スホナイト、ジイソオクチルフェニルホスホナイト、フ
ェニル(2,4,6-トリメチルフェニル)フェニルホスホナ
イト、〔(3−エチルオキセタニル−3)−メチル〕−
(2,4,6-トリメチルフェニル)フェニルホスホナイト、
テトラキス(2,4-ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビ
フェニレンジホスホナイト等の有機ホスホナイト類、
【0027】2,6-ジ−t-ブチル−p-クレゾール、2,6-ジ
−t-ブチル−4−エチルフェノール、2,2'−メチレンビ
ス(6−t-ブチル−p−クレゾール)、4,4'−メチレン
ビス(6−t-ブチル−o−クレゾール)、4,4'−メチレ
ンビス(6−t-ブチル−m−クレゾール)、テトラキス
−〔メチレン−3−(3',5'-ジ−t−ブチル−4'−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、4,4'−チオ
ビス(6−t-ブチル−m−クレゾール),ステアリル−
β−(3,5-ジ−t−ブチル−4-ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、1,3,5-トリメチル−2,4,6-トリス(3,5-
ジ−t−ブチル−4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オ
クタデシル−3−(3,5-ジ−t−ブチル−4-ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、3,5-ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル等
のフェノール系抗酸化剤、
【0028】2-(5-メチル-2- ヒドロキシフェニル) ベ
ンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3,5−ビス(α,
α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリ
アゾール、3',3'-ビス〔2-(5'-オクチル-2'-ヒドロキシ
フェニル) ベンゾトリアゾリル〕メタン等のベンゾトリ
アゾール類等が挙げられる。またこれらのポリカーボネ
ートの安定化剤は単独で、あるいは2種以上混合して使
用しても良い。また、ポリカーボネートの安定化剤の使
用量は、安定化効果を示す最少限の使用量が好ましく、
それぞれの安定化剤により差はあるが、通常、0.1ppm〜
5000ppm 程度使用するのが好ましい。
【0029】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。
【0030】実施例1 蒸留水2lとアセトン 0.9lに粒径0.25〜1mmのポリカ
ーボネート粉体25g(供給するポリカーボネート溶液中
のポリカーボネートに対して5wt%)を分散させて50℃
まで加熱した。約200rpmの攪拌下にビスフェノールAか
ら製造した平均分子量25000 のポリカーボネートを20重
量%含むポリカーボネートのジクロロメタン溶液2.5 kg
を、温度を47〜50℃に保持しながら、40分かけて供給し
ながらジクロロメタンを蒸発留去した。生成したポリカ
ーボネートの粒状体を濾別し、 120℃、30〜40mmHgで6
時間乾燥した。得られたポリカーボネートの粒状体の粒
径、嵩密度を第1表(表1)に示した。ほぼ球状の、粒
径の揃ったポリカーボネートの粒状体が得られた。
【0031】実施例2 実施例1においてポリカーボネート粉体25gを使用する
代わりに、ポリカーボネート粉体を150g(供給するポリ
カーボネート溶液中のポリカーボネートにたいして30wt
%)用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボ
ネートの粒状体を製造した。得られたポリカーボネート
の粒状体の粒径、嵩密度を第1表に示した。ほぼ球状
の、粒径の揃ったポリカーボネートの粒状体が得られ
た。
【0032】実施例3 実施例1においてアセトンを用いる代わりに、メチルエ
チルケトンを用いた以外は、実施例1と同じ条件操作で
ポリカーボネートの粒状体を製造した。得られたポリカ
ーボネートの粒状体の粒径、嵩密度を第1表に示した。
ほぼ球状の、粒径の揃ったポリカーボネートの粒状体が
得られた。
【0033】実施例4 実施例1においてアセトンを用いる代わりに、酢酸エチ
ルを用いた以外は、実施例1と同じ条件操作でポリカー
ボネートの粒状体を製造した。得られたポリカーボネー
トの粒状体の粒径、嵩密度を第1表に示した。ほぼ球状
の、粒径の揃ったポリカーボネートの粒状体が得られ
た。
【0034】比較例1 比較のため貧溶媒をポリカーボネート溶液に加え、ポリ
カーボネートを製造した。即ち、蒸留水2lに粒径0.25
〜1mmのポリカーボネート粉体25gを分散させて50℃に
加熱し、この懸濁液にビスフェノールAから製造した平
均分子量25000のポリカーボネートを20重量%含むジク
ロロメタン溶液2.5 kgにアセトン 0.9lを加えたポリカ
ーボネート溶液を、温度を47〜50℃に保持しながら、40
分かけて供給しながらジクロロメタンを蒸発留去した。
得られたポリカーボネートは塊状物と微粉体の混合物
で、粒径の揃いの悪いものであった。また塊状物は直径
30mm程度のものも有り、ペレット化あるいは成形加工に
使用するには甚だ不適当な物であった。
【0035】比較例2 ポリカーボネート粉体を加えずにポリカーボネートの粒
状体の製造を行った。即ち、蒸留水2lにアセトン 0.9
lを加え、50℃に加熱し、この混合溶液にビスフェノー
ルAから製造した平均分子量25000 のポリカーボネート
を20重量%含むジクロロメタン溶液 2.5kgを40分かけて
供給しながらジクロロメタンを蒸発留去した。得られた
ポリカーボネートは多量の微粉末を含む粒径の揃いの悪
いものであり、微粉末の飛散等を起こす取り扱い性の悪
いものであった。
【0036】比較例3 米国特許第4、668、768号の方法に準じて、ポリ
カーボネート溶液を供給する代わりに、ポリカーボネー
ト溶液と水と貧溶媒の混合物を加熱し、有機溶媒を蒸発
留去する方法でポリカーボネートの粒状体の製造を行っ
た。即ち、ビスフェノールAから製造した平均分子量25
000 のポリカーボネートを20重量%含むジクロロメタン
溶液 2.5kgに蒸留水2lとアセトン0.9lを加えた後
に、50℃に加熱し、この混合液からジクロロメタンを蒸
発留去た。ジクロロメタンの留去中にポリカーボネート
のゲル化が起こり、ゲルが粉砕される過程でゲル内の溶
媒が突然多量に留出し、操作上危険であった。また、得
られたポリカーボネートは微粉末を多量に含んでおり、
粒径の揃いの悪いものであった。
【0037】比較例4 実施例1においてポリカーボネート粉体25gを用いる代
わりにポリカーボネート粉体1.5 g(供給するポリカー
ボネート溶液中のポリカーボネートに対して 0.3wt%)
を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネー
トの粒状体の製造を行った。得られたポリカーボネート
は塊状物と微粉末を含む物であり、成形加工に用いられ
る物ではなかった。
【0038】比較例5 実施例1においてアセトンを 0.9l用いる代わりにアセ
トンを4l用いた以外は、実施例1と同様にしてポリカ
ーボネートの粒状体の製造を行った。得られたポリカー
ボネートは嵩密度が極端に低い物であった。
【0039】比較例6 比較のため貧溶媒を加えずにポリカーボネートの粒状体
の製造を行った。即ち、蒸留水2lに粒径0.25〜1mmの
ポリカーボネート粉体25gを分散させて50℃に加熱し、
この懸濁液にビスフェノールAから製造した平均分子量
25000 のポリカーボネートを20重量%含むジクロロメタ
ン溶液 2.5kgを、温度を47〜50℃に保持しながら、40分
かけて供給しながらジクロロメタンを蒸発留去した。得
られたポリカーボネートは、微粉末は含まないが、粒径
10mm程度のものが殆どであり、また粒径の揃いが悪く、
粒状体の形状も様々な物であった。これらはペッレト化
や成形加工に用いるには不適当なものであった。
【0040】実施例5 実施例1において、安定化剤としてジノニルフェニル−
ビス(ノニルフェニル)ホスファイト150ppmを予めポリ
カーボネート溶液に添加した以外は、実施例1と同様に
してポリカーボネート組成物の粒状体を製造した。得ら
れたポリカーボネート組成物の粒状体の粒径、嵩密度を
第1表に示した。ほぼ球状の、粒径の揃ったポリカーボ
ネート組成物の粒状体が得られた。
【0041】実施例6 実施例1において、安定化剤としてジノニルフェニル−
ビス(ノニルフェニル)ホスファイト150ppmを、予め水
とアセトンとポリカーボネート粉体の懸濁混合液中に添
加した以外は、実施例1と同様にして、ポリカーボネー
ト組成物の粒状体を製造した。得られたポリカーボネー
ト組成物の粒状体の粒径、嵩密度を第1表に示した。ほ
ぼ球状の、粒径の揃ったポリカーボネート組成物の粒状
体が得られた。
【0042】
【表1】
【0043】使用例1 実施例1で得られたポリカーボネートの粒状体を、乾燥
し、射出成形機(日精樹脂工業製PS-20E2ASE型)を用い
て280℃で厚さ2mm、80×40mmの試験片を成形した。
黄色度(YI値)を色差計(スガ試験機製、CDE-SCH-3
型、以下同じ)で透過測定法により測定したところYI
値は4.3であった。
【0044】使用例2 使用例1において、実施例1で得られたポリカーボネー
トの粒状体を用いる代わりに実施例5で得られたポリカ
ーボネート組成物の粒状体を用いた以外は、使用例1と
同様にして厚さ2mm、80×40mmの試験片を成形した。黄
色度(YI値)を色差計(スガ試験機製)で透過測定法
により測定したところYI値は3.1と良好なものであ
った。
【0045】使用例3 使用例1において、実施例1で得られたポリカーボネー
トの粒状体を用いる代わりに実施例6で得られたポリカ
ーボネート組成物の粒状体を用いた以外は、使用例1と
同様にして厚さ2mm、80×40mmの試験片を成形した。黄
色度(YI値)を色差計(スガ試験機製)で透過測定法
により測定したところYI値は3.1と良好なものであ
った。
【0046】使用例4 比較例2で得られたポリカーボネートに安定化剤として
ジノニル−ビス(ノニルフェニル)ホスファイト150ppm
を添加混合し、乾燥後、篩分けにより粒径0.25〜1mmの
ものとし、20mmφ押出機(東洋精機2軸押出機、押出温
度270 ℃)でペレット化した。次にこのペレットを実施
例7と同様に射出成形機(日精樹脂工業製PS20E2ASE
型)を用いて280℃で厚さ2mm、80×40mmの試験片を
成形した。黄色度(YI値)を色差計(スガ試験機製)
で透過測定法により測定したところYI値は6.9であ
った。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、貯蔵、収袋、運搬、成
形時の取り扱いに著しく優れ、実質的に微粉末を含ま
ず、嵩密度が高く、更に粒径が大きい品質の揃ったポリ
カーボネートの粒状体を、特殊な装置を用いることな
く、効率よく製造することができる。また本発明により
得られるポリカーボネートの粒状体はペレット化等の処
理をすることなく直接成形加工することができ、成形加
工品の熱履歴を低減する事ができるため色調の優れたポ
リカーボネート成形品を提供することができるものであ
る。従って本発明の製造法は工業的に極めて有用性の高
いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/14

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と、水の量に対して、容量比で0.0
    5〜1.5倍であるポリカーボネートに対する貧溶媒
    、ポリカーボネートの有機溶媒溶液中のポリカーボネ
    ートの量に対し、0.5〜50重量%の範囲の量のポリ
    カーボネート粉体よりなる懸濁混合液に、攪拌下、ポリ
    カーボネートの有機溶媒溶液を供給しながら、ポリカー
    ボネートの有機溶媒を蒸発留去し、粒状体を形成させる
    ことからなるポリカーボネートの粒状体の製造法。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有機
    溶媒の沸点以上の温度で蒸発留去することを特徴とする
    請求項1記載のポリカーボネートの粒状体の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有機
    溶媒の沸点以上から該貧溶媒の沸点以下且つ水の沸点以
    下の範囲の温度で蒸発留去することを特徴とする請求項
    1記載のポリカーボネートの粒状体の製造法。
  4. 【請求項4】 水と、水の量に対して、容量比で0.0
    5〜1.5倍であるポリカーボネートに対する貧溶媒
    、ポリカーボネートの有機溶媒溶液中のポリカーボネ
    ートの量に対し、0.5〜50重量%の範囲の量のポリ
    カーボネート粉体よりなる懸濁混合液に、安定化剤の存
    在下で、攪拌下、ポリカーボネートの有機溶媒溶液を供
    給しながら、ポリカーボネートの有機溶媒を蒸発留去
    し、粒状体を形成させることからなるポリカーボネート
    と少なくとも一種の安定化剤とからなるポリカーボネー
    ト組成物の粒状体の製造法。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有機
    溶媒の沸点以上の温度で蒸発留去することを特徴とする
    請求項記載のポリカーボネート組成物の粒状体の製造
    法。
  6. 【請求項6】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有機
    溶媒の沸点以上からポリカーボネートに対する貧溶媒の
    沸点以下且つ水の沸点以下の範囲の温度で蒸発留去する
    ことを特徴とする請求項記載のポリカーボネート粒状
    体の組成物の製造法。
  7. 【請求項7】 安定化剤を懸濁混合液中に予め存在させ
    ておくことを特徴とする請求項記載のポリカーボネー
    ト組成物の粒状体の製造法。
  8. 【請求項8】 安定化剤をポリカーボネートの有機溶媒
    溶液中に予め存在させておくことを特徴とする請求項
    記載のポリカーボネート組成物の粒状体の製造法。
  9. 【請求項9】 安定化剤の少なくとも一種を懸濁混合液
    中に予め存在させ、同種もしくは異種の少なくとも一種
    の安定化剤をポリカーボネートの有機溶媒溶液中に予め
    存在させておくことを特徴とする請求項記載のポリカ
    ーボネート組成物の粒状体の製造法。
  10. 【請求項10】 ポリカーボネート組成物の粒状体を形
    成させる過程中に安定化剤を液体、固体、溶液もしくは
    懸濁液状態で供給することを特徴とする請求項記載の
    ポリカーボネート組成物の粒状体の製造法。
  11. 【請求項11】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有
    機溶媒の沸点以上から該貧溶媒の沸点以下且つ水の沸
    点以下の範囲の温度で蒸発留去し、安定化剤を懸濁混合
    液中に予め存在させておくことを特徴とする請求項
    載のポリカーボネート組成物の粒状体の製造法。
  12. 【請求項12】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有
    機溶媒の沸点以上から該貧溶媒の沸点以下且つ水の沸
    点以下の範囲の温度で蒸発留去し、安定化剤をポリカー
    ボネートの有機溶媒溶液中に予め存在させておくことを
    特徴とする請求項記載のポリカーボネート組成物の粒
    状体の製造法。
  13. 【請求項13】 ポリカーボネートの有機溶媒を、該有
    機溶媒の沸点以上から該貧溶媒の沸点以下且つ水の沸
    点以下の範囲の温度で蒸発留去し、安定化剤の少なくと
    も一種を懸濁混合液中に予め存在させ、同種もしくは異
    種の少なくとも一種の安定化剤をポリカーボネートの有
    機溶媒溶液中に予め存在させておくことを特徴とする請
    求項記載のポリカーボネート組成物の粒状体の製造
    法。
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