JP3155505B2 - 船舶用推進軸の軸封装置 - Google Patents

船舶用推進軸の軸封装置

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JP3155505B2
JP3155505B2 JP11213198A JP11213198A JP3155505B2 JP 3155505 B2 JP3155505 B2 JP 3155505B2 JP 11213198 A JP11213198 A JP 11213198A JP 11213198 A JP11213198 A JP 11213198A JP 3155505 B2 JP3155505 B2 JP 3155505B2
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sealing device
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巌 松岡
政治 山丈
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株式会社コベルコ・マリンエンジニアリング
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶用推進軸の軸
封装置に関するものである。なお、本明細書中において
「海水」には淡水も含めるものとする。
【0002】
【従来の技術】船舶には、推進軸(スクリューを支持す
る軸)まわりを伝って潤滑油が船外へ漏洩したり反対に
海水が船内へ浸水したりするのを防止するために、この
推進軸を船外へ突出させる部分に設けられた船尾管の船
外側端部に、軸封装置を採用してある。
【0003】この種、軸封装置は、推進軸の軸方向に並
んで設けられた少なくとも3つのシールリングに対し、
推進軸がこれらを串刺し状に貫通する構造になってい
る。一般に、船外寄りとされた複数のシールリング相互
間で形成される一次環状室には、空気が供給され、また
船尾管寄りとされた複数のシールリング相互間で形成さ
れる二次環状室には、潤滑油が供給される。
【0004】ところで、最近では、船舶の大型化に伴う
吃水圧の増大のため、シールリングの早期損傷や、潤滑
油の船外漏洩による環境汚染等が問題とされることが多
く、そのため、実公平3−32478号公報(以下「第
1従来例」と言う)や実公平5−35249号公報(以
下「第2従来例」と言う)では、一次環状室の内圧を海
水圧よりも高くして、一次環状室から船外側へ向けて空
気を吹き出させるようにし、もって、シールリングのリ
ップ部に作用する摺動負荷を低減させることが提案され
ている。
【0005】すなわち、第1従来例では、図6に模式的
に示すように、一次環状室100へ供給する空気を、こ
の一次環状室100を形成している両側のシールリング
101,102から室外へ吹き出させるようにしてい
る。従って、このことから、二次環状室103の内圧
は、一次環状室100の内圧よりも低くしてあることが
明らかである。
【0006】なお、この第1従来例では、一次環状室1
00の内圧を海水圧よりも高くすることで、海水浸入を
防止できるだけでなく、一次環状室100から二次環状
室103へ吹き出した空気によって二次環状室103か
ら船外へ向けた潤滑油の漏洩をも防止できる旨、説明さ
れている。一方、第2従来例では、図7に模式的に示す
ように、一次環状室200へ供給する空気の供給圧を、
海水圧の変動に応じて作動する定流量式圧力制御弁ユニ
ット205により制御して、海水圧との間の差圧を所定
に保持させると共に、二次環状室206へ供給する潤滑
油の供給圧を、一次環状室200の内圧変動に応じて作
動する圧力調整弁(図示略)により制御して、一次環状
室200の内圧よりも更に高くなる差圧を保持させてい
る。
【0007】ここで、定流量式圧力制御弁ユニット20
5は、海水圧の変動に伴って一次環状室200の圧力が
変化するときに、この圧力変化をパイロット圧に利用し
て、ダイヤフラムの流通間隙を連動的に変更させるもの
とされている。一例として、パイロット圧が低下した場
合にはダイヤフラムの流通間隙を小さくさせ、反対にパ
イロット圧が上昇したときには、ダイヤフラムの流通間
隙を大きくさせると説明されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】第1従来例において、
一次環状室100に供給された空気を、両側のシールリ
ング101,102から吹き出させることは、実際上は
非常に困難なものであると言わざるを得ない。なぜな
ら、実船では、載貨状態や波浪等により、海水圧は絶え
ず変動しているため、海水圧と二次環状室103の内圧
との間に圧力バランスの崩れが頻繁に発生し、一次環状
室100からは、その時その時で、圧力が低くなる一方
側(船外側又は二次環状室103側)へ向けて空気が吹
き出すようになるからである。
【0009】このような事態を回避させるには、一次環
状室100からの空気の吹き出し方向を、船外へ向ける
か又は二次環状室103へ向けるかの、いずれか一方に
固定することが必要になってくるが、この場合には、前
者、即ち、一次環状室100から船外への空気吹き出し
にすることを選択することになる。この理由は、二次環
状室103への空気吹き出しは、ただでさえ潤滑条件が
過酷である最も船外寄りのシールリング101に対し、
過負荷状態を課せることに繋がり、このシールリング1
01を早期損傷させことになるためである。
【0010】しかも、これを防止するには、二次環状室
103の内圧を海水圧よりも高くする必要があるため
に、今度は一次環状室100と二次環状室103との間
のシールリング102を過負荷状態にする原因となり、
このシールリング102を早期損傷させることになるの
である。以上のようなことから、この第1従来例は実用
性に欠けるものであると言わざるを得ないのである。
【0011】一方、第2従来例では、定流量式圧力制御
弁ユニット205の作動によって一次環状室200の内
圧を制御し、また圧力調整弁の作動によって二次環状室
206の内圧を制御しているので、装備関係に高コスト
がかかり、また使用機器の性能次第では、海水圧の変動
に対する応答性が悪く、圧力バランスを適正に保持する
のが困難になるということがあった。
【0012】殊に、二次環状室206を形成している両
側のシールリング207,208が、いずれも背面向き
の配置とされている関係上、これらが損傷でもしない限
り、この二次環状室206へ供給される潤滑油の圧力は
保持され続けることになる。従って、例えばこの二次環
状室206へ必要十分量を越えた潤滑油が供給されるよ
うなことがあると、この潤滑油の給油管209における
管路抵抗等が影響して、この二次環状室206の内圧が
設定圧よりもかなり高くなるおそれがでてくる。
【0013】このようになると、二次環状室206を形
成している両側のシールリング207,208が過負荷
状態となるため、それらの早期損傷を招来することにな
るのである。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、構造の簡潔化を追求してその装備的コストの
低減を図ると共に、空気や潤滑油の管路抵抗を低減させ
て海水圧の変動に対応させた迅速な応答性を得られるよ
うにし、更にシールリングの長寿命化をも図れるように
した船舶用推進軸の軸封装置を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発
明に係る船舶用推進軸の軸封装置では、推進軸がその軸
方向に並設された少なくとも3つのシールリングを串刺
し状に貫通して、船外寄りの複数のシールリング相互間
で一次環状室が形成され、船尾管寄りの複数のシールリ
ング相互間で二次環状室が形成されたものである。
【0015】そして、一次環状室には、海水圧にリング
締付け圧を一義的に加えた内圧が保持されるように空気
の供給を行う無制御連動型の給気装置が接続されてい
る。また、二次環状室には、一次環状室に供給された空
気を船外側へ吹き出させるのに必要な内圧にすべく潤滑
油の供給を行う無制御連動型の給油装置が接続されてい
る。
【0016】このように、一次環状室へ空気の供給を行
う給気装置や二次環状室へ潤滑油の供給を行う給油装置
には、いずれも、海水圧の変動時に自然現象として各供
給量が変化することは拒まない(許容する)が、作動を
伴った制御は行わない構成(即ち、無制御連動型)のも
のが用いられている。そのため、本発明では、徹底した
構造の簡潔化が図れることになる。従って、装備コスト
の低減を可能になるだけでなく、空気や潤滑油における
管路抵抗を低減させることに繋がり、その結果、海水圧
の変動に対して応答性の早い対応がなされるものとな
る。
【0017】給気装置において、無制御連動型とする具
体的な構成は、二次側圧の変動とは無関係に、流通空気
圧力の上限(最大吃水に伴う海水圧に相当)を制限可能
な減圧弁と、二次側圧の変動とは無関係に、流通空気流
量の上限(一次環状室で残圧を生じさせないための最大
流量に相当)を制限可能な流量調整弁とを有した空気制
御ユニットと、この空気制御ユニットの一次側に接続さ
れた給気源とを有している。
【0018】また、給油装置において、無制御連動型と
する具体的な構成は、給油管を介して二次環状室に接続
された油溜タンクと、前記給気装置と一次環状室とを接
続する給気管の中途部から上記油溜タンクへ接続された
内圧感知管とを有したものとする。また、油溜タンク
は、二次環状室へ供給する潤滑油に対して、海水圧より
も所定だけ高いヘッド圧を付加できる高さに設置するも
のとする。
【0019】すなわち、このように油溜タンクを高位設
置とすることで、一次環状室から空気を船外側へ吹き出
させるのに必要な圧を、二次環状室の内圧に持たせるも
のである。しかもこのヘッド圧は、内圧感知管を通じて
給気管内、即ち、一次環状室の内圧の変化と同調するも
のであり、この一次環状室の内圧は、給気装置における
流通空気圧力の上限以内で、海水圧の変動に追従するも
のであるから、結果として、二次環状室の内圧は、常に
海水圧よりも高くなる。
【0020】二次環状室を形成するシールリングのう
ち、船尾管寄りに配されるシールリングにおいて、その
背面(流体圧を受けたときにリップ部を益々、被シール
面へ押し付けるようになる側が正面であり、その反対面
を「シールリングの背面」と言う)を二次環状室内へ向
けるように設けておくと、万が一、二次環状室に必要十
分量を越えた潤滑油等(一次環状室からの空気や海水を
含む)が供給されたような場合に、この潤滑油等を船尾
管側へ逃がすことができるようになる。
【0021】そのため、潤滑油が船外側へ漏洩するのを
防止できるだけでなく、シールリングに対する過負荷を
防止できると共に、このシールリングの潤滑性を保持で
きるためにその損傷を防止できる利点にも繋がる。一次
環状室よりも船外側に昇圧緩衝用環状室を形成すべく、
更にシールリングを設けるようにすると、一次環状室の
内圧と海水圧との差圧を大きく取ることができるため、
タンクの設置位置を極端に高くする必要がなくなり、構
造の簡潔化を一層進めることができる等の利点に繋が
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1乃至図4は、本発明に係る船
舶用推進軸の軸封装置1における第1実施形態を示して
いる。まず、この軸封装置1の概要を説明すると、図2
に示すように船尾管軸受2に対して船外後方(図1左
方)へ向けて複数のガイドリング3が取り付けられてお
り、これらガイドリング3の各隣接間に1個の割合で、
少なくとも3つのシールリング5,6,7が挟持されて
いる。推進軸10にはスリーブ11が外挿されており、
このスリーブ11ごと、上記した全てのシールリング
5,6,7を串刺し状に貫通するようになっている。
【0023】そして、船外寄りの複数のシールリング
5,6相互間において、推進軸10まわりに一次環状室
14が形成されており、また船尾管(船尾管軸受2)寄
りの複数のシールリング6,7相互間において、推進軸
10まわりに二次環状室15が形成されたものとなって
いる。なお以下では、説明の便宜上、各シールリング5
〜7のうち、最も船外寄りとされるものから船尾管側へ
向けて順に、「1番シール5」「2番シール6」「3番
シール7」と言うものとする。即ち、一次環状室14は
1番シール5と2番シール6とで形成され、二次環状室
15は2番シール6と3番シール7とで形成されている
ことになる。
【0024】1番シール5は、その正面(流体圧を受け
たときにリップ部を益々、被シール面である推進軸10
の外面へ押し付けるようになる側)を船外側へ向けるよ
うに配されており、反対に、2番シール6及び3番シー
ル7は、それらの背面を船外側へ向けるように配されて
いる。図1に示すように、上記一次環状室14には、給
気管17を介して船内側に設置された給気装置18が接
続されていると共に、ドレン回収管19を介して船内側
に設置されたドレンタンク20が接続されている。
【0025】一方、上記二次環状室15には、給油管2
1が接続されている。この給油管21は、船尾管軸受2
内と給油装置24との間を送給管23aと回収管23b
とで接続した循環路23のうち、送給管23aの中途部
から分岐して設けられたものである。従って、この二次
環状室15は、結果として給油装置24に接続されてい
ることになる。なお、循環路23の送給管23aには、
潤滑油の送給用ポンプ26が設けられている。
【0026】上記給気装置18は、圧力空気タンク等よ
り成る給気源30と、この給気源30と一次環状室14
との間に設けられた空気制御ユニット31とを有してい
る。また、この空気制御ユニット31は、減圧弁32と
流量調節弁33とを有している。図3に示すように、減
圧弁32は、一次ポート35と二次ポート36とを備え
た弁本体37の内部に、両ポート35,36間を仕切る
かたちで弁座38が設けられており、この弁座38に
は、バネ39によって付勢された弁体40が閉方向へ押
圧されている。また、この弁体40には、連結棒42を
介してダイヤフラム43が連結されており、このダイヤ
フラム43によって、二次ポート36と連通孔44のみ
で連通した二次圧力室45が区画形成されている。
【0027】更に、このダイヤフラム43は、バネ47
によって背圧を受けるように保持されており、このバネ
47のバネ力は、弁本体37の下部に対して螺合された
下部操作体48の螺合度を調節することで、バネ座49
を介して変更することが可能になっている。従って、こ
の減圧弁32における二次側圧力は、二次ポート36か
ら連通孔44を介して二次圧力室45内へ作用する圧力
と、バネ47のバネ力とが、ダイヤフラム43を介して
バランスしたときに、弁体40と弁座38との間に形成
される流通間隙の広さによって決定されるものとなって
いる。
【0028】すなわち、例えば下部操作体48を、その
螺合度合を増す方向へ回動操作すると、バネ47が圧縮
してダイヤフラム43は二次圧力室45側へ湾曲し、弁
座40が連結棒42を介して弁座38から所定だけ離れ
るから、これによって流通間隙を広げることができる。
そのため、一次ポート35から二次ポート36へ流れる
空気量を多くでき、二次側圧力を高く設定することがで
きる。
【0029】反対に、下部操作体48を、その螺合度合
を緩める方向へ回動操作すると、バネ47が弛緩してダ
イヤフラム43は二次圧力室45側への湾曲を減少乃至
解消するものとなり、弁座40が連結棒42を介して弁
座38へ近接するようになるから、これによって流通間
隙を狭めることができる。そのため、一次ポート35か
ら二次ポート36へ流れる空気量を少なくでき、二次側
圧力を低く設定することができるというものである。
【0030】ところで、一般に減圧弁と呼ばれるものの
基本動作は、二次ポートの下流側で圧力変動が生じた場
合に、この変動する圧力(二次側圧力)を設定値に維持
させようとするものである。しかし、減圧弁の二次側ポ
ートを大気へ解放させると仮定すると、減圧弁の設定が
どのようになっていようとも、この減圧弁から排出され
た直後に二次側圧力は大気圧に等しくなる。
【0031】このことからも明らかなように、本発明で
用いられた減圧弁32は、その二次側ポート36が給気
管17を介して一次環状室14に解放されていることに
なるため、この減圧弁32の二次側圧力は、一義的に、
海水圧にリング締付け圧を加えた合計値に等しくなる。
すなわち、この減圧弁32において、下部操作体48の
回動操作は、二次側圧力(=一次環状室14の内圧)の
上限を、最大吃水に伴う海水圧に合わせて設定するため
だけのものであり、これを一度設定してしまえば、減圧
弁32は海水圧が変動することを起因としては何ら機械
的な作動を伴うものではなく、制御は一切、行わないも
のである。
【0032】図4に示すように、流量調節弁33は、一
次ポート50と二次ポート51とを備えた弁本体52の
内部に、両ポート50,51間を仕切るかたちで弁座5
4が設けられており、この弁座54には、調節ネジ軸5
5を介して弁体56が開閉進退可能に設けられている。
従って、一次ポート50から二次ポート51へと流れ出
る空気流量は、調節ネジ軸55を操作したときに弁座5
4と弁体56との間で形成させる流通間隙の大きさによ
って決定されるものであり、このとき二次ポート51か
らの空気流量は一定に保持されることになる。
【0033】なお、本実施形態で用いた流量調節弁33
には、各種の使用目的に合わせて接続向きを変えられる
ように、弁本体52の内部に、弁座54を回避するかた
ちで一方向弁57が設けられたものとしてある。この一
方向弁57は、二次ポート51から一次ポート50へ向
かう逆方向流れは通すが、その反対向きとなる順方向流
れは阻止するものである。
【0034】そのため、この流量調節弁33の接続を上
記とは反対に、二次ポート51から一次ポート50への
空気流れが生じるようにした場合には、一次ポート50
から流れ出る流量を制御することができなくなり、その
流量は、一次側と二次側との圧力差で決まってしまうこ
とになる。従って、このような接続は不都合であるた
め、注意を要する。
【0035】このように、流量調節弁33についても、
二次ポート51の下流側圧力(=一次環状室14の内
圧)の上限を、一次環状室14内で残圧を生じさせない
ための流量に設定するためだけのものであり、これを一
度設定してしまえば、流量調節弁33は海水圧が変動す
ることを起因としては何ら機械的な作動を伴うものでは
なく、制御は一切、行わないものである。
【0036】このようなことから、これら減圧弁32及
び流量調節弁33を具備して成る空気制御ユニット31
として、即ち、この空気制御ユニット31と給気源30
とを有して構成される給気装置18としては、海水圧の
変動時に、自然現象として空気供給量が変化することは
拒まない(許容する)ものの、海水圧の変動に基づいた
機械的作動は行わない無制御連動型となっている。
【0037】一方、図1に示したように、前記した給油
装置24は、船内において所定高さに設置された油溜タ
ンク60と、上記給気装置18と一次環状室14とを接
続する給気管17の中途部から油溜タンク60へ接続さ
れた内圧感知管61とを有している。油溜タンク60が
設置される高さは、二次環状室15へ供給する潤滑油に
対して、海水圧よりも所定だけ高いヘッド圧を付加でき
るような高さとする。すなわち、このように油溜タンク
60を高位設置とすることで、一次環状室14から空気
を船外側へ吹き出させるのに必要な圧を、二次環状室1
5の内圧に持たせるものである。
【0038】本実施形態では、推進軸10の中心から油
溜タンク60内の油面レベルまでの高さhが約3mとな
るようにした。この油溜タンク60内の油面には、油溜
タンク60が内圧感知管61を通じて給気管17内、即
ち、一次環状室14と連通されていることにより、一次
環状室14の内圧の変化と時間遅れもなく同調変化する
圧力が作用するため、結果として、二次環状室15の内
圧は、常に海水圧よりも高くなる。
【0039】なお、一次環状室14にドレン回収管19
を介して接続されたドレンタンク20は、タンク構造と
しては密封式とされたものであるが、そのタンク上部に
はニードル弁等の空気用流量調節弁65が設けられてい
る。そのため、ドレンタンク20内は微量ながら大気に
向けて解放された状態にある。このように大気解放とな
っていることは、一次環状室14からドレンタンク20
への回収流れを円滑化するうえで有益となっている。
【0040】このような構成の軸封装置1では、次のよ
うに作用する。すなわち、一次環状室14には、給気装
置18により、空気制御ユニット31における減圧弁3
2の設定値及び流量調節弁33の設定値の範囲内におい
て、海水圧にリング締付け圧を一義的に加えた内圧が保
持されるように空気が供給されることになる。
【0041】また、二次環状室15には、給油装置24
により、油溜タンク60の設置高さに応じたヘッド圧を
受けて、海水圧よりも所定だけ高くなる状態で潤滑油が
供給されることになる。勿論、これら一次環状室14及
び二次環状室15の内圧は、海水圧の変動に応じて、常
に、その変動量だけ海水圧よりも高くなるものとされ
る。従って、一次環状室14に供給された空気は、常に
船外側へ吹き出る状態となる。
【0042】通常時において、一次環状室14に対する
空気の供給圧は、海水圧の2倍程度に設定すればよく、
また空気流量は20〜60Nl/min程度に調整すれ
ばよい。但し、使用条件等によっては、これらの値は変
更できる。なお、万が一、一次環状室14への空気供給
量が過剰になる等して、この一次環状室14内で船外側
へ漏れる空気消費量との流量バランスが崩れて、残圧が
発生することがあったとしても、海水圧と一次環状室1
4の内圧との圧力差は拡大するものの、二次環状室15
の内圧は一次環状室14の内圧より高い状態を維持され
ることになる。従って、結果として、二次環状室15の
内圧は、海水圧の変動に完全に追従できるものである。
【0043】すなわち、(海水圧)<(一次環状室14
の内圧)<(二次環状室15の内圧)の関係が固定され
ることになる。また、一次環状室14よりも二次環状室
15の方が内圧が高くなる関係上、2番シール6に対し
ては一定負荷が作用することになる。ここで、2番シー
ル6及び3番シール7は、前記したようにそれらの正面
が船尾管寄りを向いており、その結果、二次環状室15
と船尾管の内圧とは同圧に保たれることになり、3番シ
ール7はアイドル状態となる。
【0044】殊に、3番シール7は、その背面を二次環
状室15内へ向けていることになり、その結果、仮令、
二次環状室15に必要十分量を越えた潤滑油等が供給さ
れたような場合であっても、この潤滑油等を船尾管側へ
逃がすことができるようになる。そのため、潤滑油が船
外側へ漏洩するのを防止できるだけでなく、2番シール
6に対して過大負荷が作用するといったことは、自動的
に回避されることになる。
【0045】また、万が一、1番シール5や2番シール
6が損傷し、一次環状室14に海水や潤滑油等が浸入す
るようなことがあれば、これら海水や潤滑油はドレン回
収管19を介してドレンタンク20へと容易且つ確実に
回収されることになるため、何ら問題は生じないもので
ある。図5は、本発明に係る船舶用推進軸の軸封装置1
における第2実施形態である。
【0046】この第2実施形態では、一次環状室14よ
りも船外側に昇圧緩衝用の環状室70を形成すべく、1
番シール5よりも更に船外側に、シールリング71が設
けられている。そのため、海水圧と一次環状室14の内
圧との差圧を大きくとることができ、油溜タンク60の
設置位置を下げることが可能になる。
【0047】なお、この第2実施形態の場合には、昇圧
緩衝用の環状室70に対し、グリース等の潤滑材を封入
しておき、潤滑性の向上を図るのが望ましい。ところ
で、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではな
く、その他、細部にわたる構造等に関して、適宜変更可
能である。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る船舶用推進軸の軸封装置では、一次環状室に空気
を供給する給気装置及び二次環状室に対して潤滑油の供
給を行う給油装置に、いずれも機械的作動を伴った制御
はせず、自然現象として海水圧の変動に連動させる構成
(即ち、無制御連動型)のものを用い、これにより(海
水圧)<(一次環状室14の内圧)<(二次環状室15
の内圧)の関係が得られるようにしているので、構造の
簡潔化が図れ、装備コストの低減をはじめ、空気や潤滑
油の管路抵抗の低減が可能になり、また海水圧の変動に
対する一次環状室や二次環状室の内圧変化として、迅速
な応答性が得られるようになった。
【0049】また、シールリングに対する過負荷状態の
発生を防止できるために、シールリングの損傷防止も図
れ、その長寿命化が可能になる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸封装置の第1実施形態を示した
回路構成図である。
【図2】第1実施形態におけるシールリングの装着状態
を拡大して示す側断面図である。
【図3】第1実施形態で用いる減圧弁の拡大断面図であ
る。
【図4】第1実施形態で用いる流量調節弁の拡大断面図
である。
【図5】本発明に係る軸封装置の第2実施形態において
そのシールリングの装着状態を拡大して示す側断面図で
ある。
【図6】軸封装置の第1従来例を模式的に示した図であ
る。
【図7】軸封装置の第2従来例を模式的に示した図であ
る。
【符号の説明】
1 軸封装置 2 船尾管軸受 5 シールリング(1番シール) 6 シールリング(2番シール) 7 シールリング(3番シール) 10 推進軸 14 一次環状室 15 二次環状室 17 給気管 18 給気装置 21 給油管 24 給油装置 30 給気源 31 空気制御ユニット 32 減圧弁 33 流量調整弁 43 ダイヤフラム 60 油溜タンク 61 内圧感知管 70 昇圧緩衝用の環状室 71 シールリング
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−242197(JP,A) 特開 平8−285089(JP,A) 特開 平7−113470(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/32 311 B63H 23/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船尾管の船外側端部に設けられる船舶用
    推進軸の軸封装置において、推進軸(10)に少なくと
    も3つのシールリング(5,6,7)が軸方向に並設さ
    れ、船外寄りの複数のシールリング(5,6)相互間で
    一次環状室(14)が形成され、船尾管寄りの複数のシ
    ールリング(6,7)相互間で二次環状室(15)が形
    成されており、 前記一次環状室(14)には、海水圧にリング締付け圧
    を一義的に加えた内圧が保持されるように空気の供給を
    行う無制御連動型の給気装置(18)が接続されて
    り、 前記給気装置(18)は、二次側圧の変動とは無関係に
    流通空気圧力の上限を制限可能な減圧弁(32)と、二
    次側圧の変動とは無関係に流通空気流量の上限を制限可
    能な流量調整弁(33)とを有した空気制御ユニット
    (31)と、該空気制御ユニット(31)の一次側に接
    続された給気源(30)とを有している ことを特徴とす
    る船舶用推進軸の軸封装置。
  2. 【請求項2】 船尾管の船外側端部に設けられる船舶用
    推進軸の軸封装置において、推進軸(10)に少なくと
    も3つのシールリング(5,6,7)が軸方向に並設さ
    れ、船外寄りの複数のシールリング(5,6)相互間で
    一次環状室(14)が形成され、船尾管寄りの複数のシ
    ールリング(6,7)相互間で二次環状室(15)が形
    成されており、 前記一次環状室(14)には、海水圧にリング締付け圧
    を一義的に加えた内圧が保持されるように空気の供給を
    行う無制御連動型の給気装置(18)が接続されてお
    り、 前記二次環状室(15)には、前記一次環状室(14)
    に供給された空気を船外側へ吹き出させるのに必要な内
    圧にすべく潤滑油の供給を行う無制御連動型の給油装置
    (24)が接続されていることを特徴とする 船舶用推進
    軸の軸封装置。
  3. 【請求項3】 前記給気装置(18)は、二次側圧の変
    動とは無関係に流通空気圧力の上限を制限可能な減圧弁
    (32)と、二次側圧の変動とは無関係に流通空気流量
    の上限を制限可能な流量調整弁(33)とを有した空気
    制御ユニット(31)と、該空気制御ユニット(31)
    の一次側に接続された給気源(30)とを有しているこ
    とを特徴とする請求項2記載の船舶用推進軸の軸封装
    置。
  4. 【請求項4】 前記給油装置(24)は、給油管(2
    1)を介して二次環状室(15)に接続された油溜タン
    ク(60)と、前記給気装置(18)と一次環状室(1
    4)とを接続する給気管(17)の中途部から上記油溜
    タンク(60)へ接続された内圧感知管(61)とを有
    しており、上記油溜タンク(60)は、二次環状室(1
    5)へ供給する潤滑油に対して、海水圧よりも所定だけ
    高いヘッド圧を付加できる高さに設置されていることを
    特徴とする請求項2又は請求項3記載の船舶用推進軸の
    軸封装置。
  5. 【請求項5】 二次環状室(15)を形成するシールリ
    ング(6,7)のうち船尾管寄りに配されるシールリン
    グ(7)は、該二次環状室(15)内へ背面を向けて設
    けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    いずれかに記載された船舶用推進軸の軸封装置。
  6. 【請求項6】 一次環状室(14)よりも船外側に昇圧
    緩衝用の環状室(70)を形成すべく更にシールリング
    (71)が設けられていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項5のいずれかに記載の船舶用推進軸の軸封装
    置。
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