JP3153687B2 - 耐熱性、回復特性に優れた医療用の輸液用栓体 - Google Patents

耐熱性、回復特性に優れた医療用の輸液用栓体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、柔軟性に富み、針刺し
時のシール性、抜針後の穴の自己閉塞性、永久伸び、ゴ
ム弾性、圧縮永久歪み、機械的強度および安全衛生性に
優れた、熱可塑性を有する医療用の輸液用栓体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、医療用の輸液用栓体は、天然ゴ
ム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、あ
るいはこれらのブレンド物等の加硫ゴムを素練りして、
これに各種充填剤および補強剤、オイル、硫黄、加硫促
進剤、その他助剤を添加して混練し、栓体の金型に供給
し、加熱、加圧して得られていた。
【0003】この様に、従来の栓体は成形体を得るまで
に複雑な工程を経る為、大掛かりな設備を必要とし、ま
た添加剤の種類も多く調整も複雑な為、高価かつ生産性
の悪いものであった。特にプレス金型での加硫工程は、
加硫時間が約10〜20分であるため、長時間を要し、
必然的に生産性を制限するものであった。これに加え
て、加硫方法で得られる栓体は、不要なバリ部分が多く
バリ取り工程を有し、また加硫物であるため再利用でき
ず経済的にもロスの多い製造方法であった。また、この
方法で得られる栓体は、製造中に硫黄、加硫促進剤等が
添加されるため、栓体が取り付けられている容器内の薬
液と接触した場合、薬液中にこれらの添加物が溶出する
恐れがあった。さらに、この栓体は使用した後、廃棄処
理において燃焼させると亜硫酸ガス等の有毒ガスが発生
し好ましくなかった。
【0004】このため栓体は近年、熱可塑性エラストマ
ーを素材とし上記した生産性の改良および安全衛生性の
改良、さらにはリサイクル可能な栓体とすることを目的
にいくつかの提案がなされている。例えば、特開昭58
−58057号,特開昭59−28965号,特開昭6
1−64253号にはブチル系ゴムとポリエステル系,
スチレン系,オレフィン系等の熱可塑性エラストマーを
混合し得られる栓体が開示されており、特開昭61−1
31746号にはスチレン系熱可塑性エラストマーから
なる栓体が開示されている。また特開平3−68363
号にはオレフィン系樹脂と水添ブロック共重合体からな
る栓体用樹脂組成物が開示されている。さらに実開昭6
1−24050号には水添ブロック共重合体を基礎原料
とする熱可塑性エラストマーからなる栓体が開示されて
おり、実開平2−147131号には加硫ゴムの芯材を
熱可塑性エラストマー材料で被覆した栓体について開示
されている。
【0005】しかし、これらの熱可塑性エラストマー材
料からなる栓体は耐熱性が低く、滅菌時に容器に組み込
まれ、ある程度の外部応力がかかった状態で、100℃
以上の高温にさらされた場合、物理的性能の低下、もし
くは変形等の問題が生じる。また、これらの栓体の使用
目的とする針は、そのほとんどが径が1mmφ前後の小
口径の金属針であり、輸液用途で用いられる様な大口径
の樹脂針等を差し込んだ場合、針抜き後、液が漏れ出す
不具合が生ずる。さらにその改良手段として、加硫ゴム
の栓体をプラスチックで被覆した栓体や、加硫ゴムの芯
材を熱可塑性エラストマーで覆う形で成形された栓体な
どが提案されているが、衛生性はそれでも完全ではな
く、生産性も加硫ゴムのみの栓体同様に悪いなどの問題
点があった。一方、本出願人は特開昭63−57663
号公報で、本発明に用いられる材料に関して、シリンジ
用ガスケットを出願した。本発明においては、該材料が
新たに、本発明の目的に適ったものであることを見出し
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の加硫方法で得ら
れる栓体の生産性、衛生性等の問題点を解決し、さらに
柔軟性、耐熱性、針抜き後の自己閉塞性に優れる熱可塑
性エラストマーの加硫ゴム材料の輸液用栓体と同レベル
の回復特性を有する輸液用栓体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(a)少なくとも2個のビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化
合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック
共重合体を水素添加して得られる数平均分子量が、5
0,000〜250,000水添ブロック共重合体
100重量部(b)結合単位が下記式(1);
【0008】
【化2】
【0009】からなり、還元粘度(0.5g/dlクロ
ロホルム溶液、30℃測定)が0.15〜0.70の範
囲にあるホモ重合体および、または共重合体であるポリ
フェニレンエーテル樹脂 20〜150重量部 (c)非芳香族系ゴム用軟化剤 50〜300重量部 (d)ポリオレフイン系炭化水素樹脂 5〜100重量
【0010】以上(a)、(b)、(c)、(d)から
なる、熱可塑性エラストマー材料を用いて成形した耐熱
性、回復特性に優れた医療用の輸液用栓体を提供するも
のである。本発明で(a)成分として用いられる水添ブ
ロック共重合体は、少なくとも2個のビニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共
役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからな
るブロック共重合体を水素添加して得られるものであ
り、一般式、A(B−A)n、B(A−B)n、(A−
B)n、(A−B)mX〔ただし、式中のnは1〜10
の整数、mは3〜8の整数、Xはm個の結合手を持つ多
官能残基を示す〕であらわされるものが適し、単一の構
造を有するものや構造の異なるもの、水素添加率の異な
るものの混合物であってもよい。本明細書中でいう「主
体とする」という表現は、該当モノマーの少なくとも5
0重量%以上、好ましくは70重量%以上を占める事を
意味する。
【0011】この水添ブロック共重合体を構成するビニ
ル芳香族化合物Aの割合としては、20〜40重量%、
好ましくは25〜35重量%である。また、これらのビ
ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役
ジエン化合物またはその水素添加物を主体とする重合体
ブロックBは、それぞれの重合体ブロック中における分
子鎖中の共役ジエン化合物またはその水素添加物とビニ
ル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖
中に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、
一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなってい
ても良く、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックAと共役ジエン化合物またはその水素添加物を主
体とする重合体ブロックBとがそれぞれ2個以上ある場
合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっ
ても、また異なる構造であっても良い。
【0012】本発明のブロック共重合体を構成するビニ
ル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、p−第三ブチルスチレン
などのうちから1種または2種以上が選択でき、中でも
スチレンが好ましい。又、共役ジエン化合物としては、
例えばブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,
3-ジメチル-1,3- ブタジエンなどのうちから1種または
2種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレンお
よびこれらの組合わせが好ましい。そして、共役ジエン
化合物またはその水素添加物を主体とする重合体ブロッ
クBは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶ
ことができ、例えば、水素添加前のポリブタジエンブロ
ックの場合において、1,2-ビニル結合構造が25〜55
重量%、好ましくは30〜50重量%である。
【0013】また、上記した構造を有するブロック共重
合体の数平均分子量は、50,000〜250,00
0、好ましくは70,000〜210,000、さらに
好ましくは90,000〜170,000の範囲であ
り、分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平均分子
量(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下、好まし
くは5以下、さらに好ましくは2以下である。上記した
ブロック共重合体の数平均分子量が50,000未満の
ものは、得られる栓体の耐熱性が低下し好ましくない。
また、ブロック共重合体の数平均分子量が250,00
0を超える場合は、加工性、永久伸び特性が劣り、得ら
れる栓体の性能低下となり好ましくない。
【0014】これらのブロック共重合体は、上記した構
造を有するものであれば、その製造方法を制限するもの
ではなく、例えば、特公昭40−23798号公報に記
載された方法により、リチウム触媒を用いて不活性溶媒
中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共
重合体を合成することができる。また、より好ましい性
能を発揮するビニル芳香族化合物−水素添加された共役
ジエン化合物ブロック共重合体の製造方法としては、例
えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−66
36号公報に記載された方法で良いが、特に高度の耐侯
性や耐熱老化性を求められる用途にあっては、チタン系
水添触媒の使用が推奨され、例えば、特開昭59−13
3203号公報、特開昭60−79005号公報の方法
が上げられる。その際の共役ジエン化合物に由来する脂
肪族二重結合は、少なくとも80%以上、好ましくは9
0%以上が水素添加されていることが好ましく、共役ジ
エン化合物の多くは形態的にオレフィン性化合物に変換
されたことになる。例えば、ブタジエン重合体ブロック
は、エチレン−ブチレンを主体とする重合体ブロックへ
と変換する。
【0015】また、ビニル芳香族化合物を主体とする重
合体ブロックA、および必要に応じて共役ジエン化合物
またはその水素添加物を主体とする重合体ブロックBに
共重合されているビニル芳香族化合物に由来する芳香族
二重結合の水素添加率についての制限は特にないが、2
0%以下が好ましい。上記水素添加ブロック共重合体の
水素添加率については、赤外線分光分析や核磁気共鳴分
析により容易に知ることができる。
【0016】つぎに本発明の(b)成分として用いられ
るポリフェニレンエーテル樹脂は得られる栓体の圧縮永
久歪ならびに永久伸び歪を改善するための必須成分であ
り、結合単位が式(1)からなり、還元粘度(0.5g
/dlクロロホルム溶液、30℃測定)が0.15〜
0.70、好ましくは0.20〜0.60の範囲にある
ものがもちいられる。このポリフェニレンエーテル樹脂
としては公知のものを用い得る。具体的な例としてはポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2−メチル−6エチル−1,4−フェニレ
ンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フ
ェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル
−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジク
ロロ−1,4−フェニレンエーテル)などがあげられ、
また2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類
(例えば2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチ
ル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリ
フェニレンエーテル共重合体も挙げられる。なかでもポ
リ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリ
メチルフェノールが好ましく、さらにポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0017】ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)の場合はその還元粘度(0.5g/dl
クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.7
0の範囲のものが好ましく、より好ましくは0.20〜
0.60の範囲である。成分(b)の配合量は、成分
(a)の100重量部に対し20〜150重量部の範囲
で好適に選ぶことができる。該配合量が150重量部を
超えた配合では得られる栓体の硬度が高くなり、ゴム弾
性が劣ってしまい好ましくない。また20重量部未満の
配合では、ポリフェニレンエーテルを添加する効果とし
ての高温でのゴム弾性[圧縮永久歪み(100℃×22
時間)]の改良が認められず好ましくない。
【0018】つぎに本発明の(c)成分として用いられ
る非芳香族系ゴム用軟化剤は、得られる栓体の硬度を調
整し、柔軟性を付与するのに有用である。ここで供する
非芳香族系ゴム用軟化剤は流動パラフィンと呼ばれるも
のが使用でき、石油の潤滑油留分に含まれる芳香族炭化
水素や硫黄化合物等の不純物を無水硫酸や発煙硫酸で取
り除き、精製された飽和炭化水素からなる無色透明、無
味、無臭のオイルである。また本発明では(c)成分と
して、上述した流動パラフィンのほかに、FDA(米国
食品医薬品局)で認可されている石油系の軟化剤も有用
できる。
【0019】成分(c)の軟化剤の配合量は、成分
(a)の100重量部に対して50〜300重量部であ
り、好ましくは100〜250重量部である。300重
量部を超えた配合のものは、オイルのブリードアウトを
生じやすく、得られる栓体に粘着性を与えるおそれがあ
り好ましくない。さらに機械的強度も低下せしめ好まし
くない。また50重量部未満の配合では、柔軟性付与お
よび経済性の点からも好ましくない。
【0020】つぎに本発明の(d)成分として用いられ
るポリオレフィン系炭化水素樹脂は、得られる栓体の加
工性およびまたは耐熱性向上に有用であり、例えばポリ
エチレン、アイソタクチックポリプロピレンや、プロピ
レンと他の少量のα−オレフィンの共重合体、例えばプ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセ
ン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共
重合体、およびポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポ
リブテン−1等を挙げることができる。ポリオレフィン
系樹脂として、アイソタクチックポリプロピレンまたは
その共重合体を用いる場合のMFR(ASTM−D−1
238−L条件、230℃)は0.1〜50g/10
分、とくに0.5〜30g/10分の範囲のものが好適
に使用できる。成分(d)の配合量は、成分(a)10
0重量部に対して5〜100重量部であり、好ましくは
5〜50重量部である。100重量部を超えた配合では
得られる栓体の硬度が高くなりすぎて柔軟性が失われ、
ゴム的感触の製品が得られないばかりでなく、高温での
ゴム弾性(圧縮永久歪み)および永久伸び歪みが悪化し
て好ましくない。また、栓体の針抜き後の穴の自己閉塞
性を保持するためにゴム弾性を有していなければ液漏れ
を生ずる為、100重量部を超えた配合では針抜き後の
穴の自己閉塞性を保持するゴム弾性が無くなるためであ
る。
【0021】つぎに本発明の組成物に(e)成分とし
て、ポリスチレン樹脂を成分(a)100重量部に対し
て5〜50重量部の範囲内で配合することで、成型加工
性に有効である。ポリスチレン樹脂は、公知のラジカル
重合法、イオン性重合法で得られるものが好適に使用で
き、その数平均分子量は5,000〜500,000、
好ましくは10,000〜400,000の範囲ものが
好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)]は10以下の
ものが好ましい。
【0022】さらに、本発明の医療用の輸液用栓体の成
分として、必要に応じてヒンダードアミン系光安定剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、着色剤、シリ
コーンオイル等を添加することができる。本発明の医療
の輸液用栓体の素材となる水添ブロック共重合体組成
物の製造方法としては、通常の樹脂組成物の製造あるい
はゴム組成物の製造に際して用いられる方法が採用で
き、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加
熱ロール、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機
を用いて複合化することができる。この際、各成分の添
加順序には制限がなく、例えば全成分をヘンシェルミキ
サー、ブレンダー等の混合機で予備混合し上記の混合機
で溶融複合化したり、任意の成分を予備混合しマスター
バッチ的に溶融複合化し、さらに残りの成分を添加し溶
融複合化する等の添加方法が採用できる。
【0023】そして、複合化された本発明の医療用の輸
液用栓体は、一般に使用される熱可塑性樹脂成形機で成
形することが可能であって、射出成形、押出成形、ブロ
ー成形、カレンダー成形、コンプレッション成形等の各
種成形方法が適用可能であるが、栓体の効率的な製法と
しては射出成形が好適である。
【0024】
【実施例】実施例および比較例における試験法は以下の
とおりである。 (1)硬度は、JIS−K−6301に従い、A型で測
定した。 (2)引張強度[ kgf/cm2 ]および伸度[%]は、J
IS−K−6301に従い、試験片は2mm厚のインジ
ェクションシートを、3号型ダンベルで打ち抜いたもの
を使用した。 (3)圧縮永久歪み[%]は、JIS−K−6301に
従い、100℃×22時間、25%変形後の歪残率とし
た。 (4)永久伸び歪み[%]は、JIS−K−6301に
従い、試験片は2mm厚のインジェクションシートを、
1号型ダンベルで打ち抜いたものを使用した。破断伸び
[%]の1/2伸度における、保持時間は10分後の残
存伸びで示す。 (5)針抜き後自己閉塞性試験は、水槽下部に栓体サン
プルを取り付け、その水槽中に栓体から高さ20cmの
ところまで水を張り、その栓体の中心に輸液用針を速や
かに差し込み、30分間放置する。30分後針を抜き、
その漏れ量を確認する。
【0025】評価は3段階で行い、○;針抜き後、針穴
よりの水漏れが瞬時に停止するもの,△;針穴よりの水
漏れがあるが、10分以内に停止するもの,×;針穴よ
りの水漏れが、10分を越えても停止しないもの,とし
た。使用する栓体サンプルとしては、図1に示した5m
m厚、25mmφの円盤で、両面中央部に最大径5mm
最小径2mmで深さ1mmの円錐台状の窪みが付いてい
るものを射出成形し、実製造時に行われると予想される
加熱滅菌処理として模擬的に、水槽容器に取り付けた状
態で121℃×30分加熱処理したものと、全く加熱処
理しないものについて試験を行った。
【0026】輸液用針は、市販されているもので、最大
径が約4mmのプラスチック針を使用した。また、配合
した各成分は以下のとおりである。 (1) <成分(a−1)> 水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添
加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、
結合スチレン量31重量%、数平均分子量45,00
0、分子量分布1.18、水添前のポリブタジエンの
1,2結合量が37重量%、水添率99%の水添ブロッ
ク共重合体を特開昭61−33132号公報に記載され
たTi系水添触媒をもちいて合成した。
【0027】<成分(a−2)>水素添加されたポリブ
タジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエ
ン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量22重
量%、数平均分子量78,000、分子量分布1.1
8、水添前のポリブタジエンの1,2結合量が36重量
%、水添率99%の水添ブロック共重合体を特開昭61
−33132号公報に記載されたTi系水添触媒をもち
いて合成した。
【0028】<成分(a−3)>水素添加されたポリブ
タジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエ
ン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量33重
量%、数平均分子量136,000、分子量分布1.2
0、水添前のポリブタジエンの1,2結合量が38重量
%、水添率99%の水添ブロック共重合体を特開昭61
−33132号公報に記載されたTi系水添触媒をもち
いて合成した。
【0029】<成分(a−4)>ポリスチレン−水素添
加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、
結合スチレン量29重量%、数平均分子量113,00
0、分子量分布1.08、水添前のポリブタジエンの
1,2結合量が41重量%、水添率99%の水添ブロッ
ク共重合体を特開昭61−33132号公報に記載され
たTi系水添触媒をもちいて合成した。
【0030】<成分(a−5)>(ポリスチレン−水素
添加されたポリブタジエン)4 Siの構造を有し、結合
スチレン量30重量%、数平均分子量201000、分
子量分布1.36、水添前のポリブタジエンの1,2結
合量が40重量%、水添率99%の水添ブロック共重合
体を特開昭61−33132号公報に記載されたTi系
水添触媒をもちいて合成しとした。
【0031】<成分(a−6)>ポリスチレン−水素添
加されたポリイソプレン−ポリスチレンの構造を有し、
結合スチレン量34重量%、数平均分子量141,00
0、分子量分布1.20、水添前のポリイソプレンの
1,4結合量が94重量%、3,4結合量が6重量%、
ポリイソプレンの水添率99%のスチレン/イソプレン
ブロック共重合体の水添ブロック共重合体を特開昭61
−33132号公報に記載されたTi系水添触媒をもち
いて合成した。 (2) 成分(b) ポリフェニレンエーテル樹脂として、ポリ(2,6−ジ
メチル−1,4−フェニレン)エーテル<還元粘度;
0.54>を合成した。 (3) 成分(c) 出光興産社製ダイアナプロセスオイルPW−380[パ
ラフィン系プロセスオイル、動粘度;381.6cst
(40℃)、30.1cst(10℃)、環分析;CN
=27%、CP =73%] (4) 成分(d) 旭化成社製ポリプロピレン樹脂、M1600[MFR
(230℃,2.16kg)14g/10分] (5) 成分(e) 旭化成社製ポリスチレン樹脂、ポリスチレン685[M
FR(200℃,5.0kg)2g/10分]
【0032】
【実施例1〜6】水添ブロック共重合体として(a−
4)を用い、表1に示す各成分をヘンシェルミキサーで
混合後、30mm径の二軸押出機にて270℃の条件で
溶融混練し熱可塑性エラストマーのペレットを得た。こ
れを射出成形品として評価し、結果を表1に載せた。
【0033】この結果から、本発明の医療用の輸液用
体は100℃の圧縮永久歪み、永久伸び歪みに優れ、さ
らに針抜き後の穴の自己閉塞性にも優れることが判明し
た。
【0034】
【比較例1〜4】水添ブロック共重合体として(a−
4)を用い、表1に示す各成分を実施例1〜5と同様の
方法で混練し、成形して評価した。結果を表1に載せ
た。この結果から、本発明の範囲外の熱可塑性エラスト
マーで成形した栓体は、100℃の圧縮永久歪み、永久
伸び歪みに劣り、針抜き後の穴の自己閉塞性にも劣るこ
とが判明した。
【0035】
【実施例7〜10】水添ブロック共重合体として(a−
2)、(a−3)、(a−5)、(a−6)を用い、表
2に示す各成分を実施例1〜5と同様の方法で混練し、
成形して評価した。結果を表2に載せた。この結果か
ら、水添ブロック共重合体の構造が本発明記載の範囲内
のものであれば、本発明の医療用の輸液用栓体は100
℃の圧縮永久歪み、永久伸び歪みに優れ、さらに針抜き
後の穴の自己閉塞性にも優れることが判明した。
【0036】
【比較例5】水添ブロック共重合体として(a−1)を
用い、表2に示す各成分を実施例1〜5と同様の方法で
混練し、成形して評価した。結果を表2に載せた。この
結果から、使用する水添ブロック共重合体の数平均分子
量が50,000未満の熱可塑性エラストマーで成形し
た栓体は、針抜き後の穴の自己閉塞性に劣り好ましくな
いことが判明した。
【0037】
【実施例11、12】実施例4および実施例9で得た医
療用の輸液用栓体を、第十二改正日本薬局法の輸液用ゴ
ム栓試験法に準じて材質および溶出物試験を行った。こ
の結果を表3に示す。この結果から、本発明の医療用
輸液用栓体は基準に適合するものであることが判明し
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】医療用の輸液用栓体として要求される耐
熱性、針抜き後の穴の自己閉塞性、永久伸び、ゴム弾
性、圧縮永久歪みが改良されたものとなり、さらに加硫
ゴムのように硫黄をふくまないため、栓体と接触する薬
液または血液中に硫黄の溶出がなく、かつ亜鉛等の重金
属を含まないため無毒であり、遊離の硫黄および金属と
が反応する事もなく衛生的である。
【0042】そして、本発明の医療用の輸液用栓体は射
出成形できるので、成形時間が従来の加硫工程を含むも
のに比べ大幅に短縮され、離型性もよいので生産性に優
れる。さらにコールドランナー方式で射出成形した場
合、成形後のランナー部およびスプルー部は熱可塑性エ
ラストマーであるためリサイクル可能で経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】自己閉塞性試験に使用した本発明の医療用の輸
液用栓体の断面図および正面図である。
【符号の説明】
1 断面図 2 正面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61J 1/05 A61L 31/00 C08L 9/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも2個のビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個
    の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとか
    らなるブロック共重合体を水素添加して得られる数平均
    分子量が、50,000〜250,000水添ブロッ
    ク共重合体 100重量部 (b)結合単位が下記式(1); 【化1】 (ここで、R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、ハ
    ロゲン、炭化水素、置換炭化水素基からなる群から選択
    されるものであり、互いに同一でも異なってもよい
    からなり、還元粘度(0.5g/dlクロロホルム溶
    液、30℃測定)が0.15〜0.70の範囲にあるホ
    モ重合体および、または共重合体であるポリフェニレン
    エーテル樹脂 20〜150重量部 (c)非芳香族系ゴム用軟化剤 50〜300重量部 (d)ポリオレフイン系炭化水素樹脂 5〜100重量
    以上(a)、(b)、(c)、(d)からなる、熱可塑
    性エラストマー材料を成形した針抜き後の自己閉塞性に
    優れた医療用の輸液用栓体。
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