JP3151424B2 - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP3151424B2
JP3151424B2 JP25867097A JP25867097A JP3151424B2 JP 3151424 B2 JP3151424 B2 JP 3151424B2 JP 25867097 A JP25867097 A JP 25867097A JP 25867097 A JP25867097 A JP 25867097A JP 3151424 B2 JP3151424 B2 JP 3151424B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車エンジン用
などに使用される歯付ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車エンジンの高出力化、高回
転化に伴って、回転駆動の伝達に使用される歯付ベルト
の使用環境温度が上昇しており、また歯付ベルトに掛か
る負荷も増大してきている。そしてこのような自動車エ
ンジンに使用される歯付ベルトに対する要求品質は、歯
部の歯元の耐クラック性、背面部の耐摩耗性、耐亀裂性
がそれぞれ高く、ベルト長手方向の屈曲性に優れること
が挙げられる。
【0003】一方、歯付ベルトを構成するゴムとして、
使用環境の苛酷化に応じて、クロロプレンゴムからクロ
ロスルフォン化ポリエチレンへと変化し、さらに現在で
は水素化ニトリルゴムへと、より耐熱性に優れた素材が
使用されるようになってきており、さらに心線や歯布に
も種々の改良が加えられ、耐久性の向上が図られている
(特開平7−151189号公報、特開平2−2085
56号公報等参照)。
【0004】また、自動車エンジン用の歯付ベルトのゴ
ムとして現在最も広く使用されている水素化ニトリルゴ
ムにおいても、その水素添加率、架橋剤の種類、あるい
は各種の添加剤を検討することにより、耐久性を向上す
ることがなされている。例えば特開平8−3374号公
報には、固形ゴムに多官能性共架橋剤を含有する繊維化
可能なフッ素樹脂を添加して調製したゴム組成物を用い
たベルトが提供されている。
【0005】さらに、この水素化ニトリルゴムに不飽和
カルボン酸金属塩を含有させることによって耐摩耗性や
耐クラック性を向上させ、この改良したゴムにて歯付ベ
ルトの歯部及び背面部を構成するようにしたものも提供
されている(特公平5−64252号公報、特公平6−
37576号公報、特公平5−262914号公報等参
照。)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、自動車エンジ
ン用の歯付ベルトのように、高負荷の伝動を強いられる
歯付ベルトの場合、前記の特開平8−3374号公報で
提供されたゴム組成物を用いると、歯部の歯元の耐クラ
ック性を向上することはできるものの、ゴムの硬度が高
くなるために歯部がプーリに噛み合ったとき、その衝撃
のために歯部が大きく反発し、これがベルトの振動の一
因となって、騒音やベルト寿命に悪影響を与えるおそれ
があるという問題がある。また特開平8−3374号公
報で提供されたゴム組成物を歯付ベルトの背面部に使用
すると、伸びや引張弾性率が不足するために、歯付ベル
トを正逆方向に曲げる使用条件下では耐クラック性にお
いて期待される程の効果を得ることができないという問
題があり、さらにテンションプーリーやアイドラプーリ
ー等と接触することにより磨耗や亀裂を起こし易いとい
う問題もある。
【0007】また、上記のように水素化ニトリルゴムに
不飽和カルボン酸金属塩を含有させたゴムで歯付ベルト
の歯部及び背面部を形成すると、確かに、背面部の摩耗
が少なくなると共に歯部の歯元の耐クラック性は向上す
るが、ベルトの振動が発生して音が生じるという問題が
ある。本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、
耐摩耗性、耐クラック性、静粛性に優れ、寿命を大幅に
向上した歯付ベルトを提供することを目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る歯付ベルト
は、長手方向に沿って複数設けられた歯部1と、歯部1
の背面側の心線2を埋設した背面部3と、歯部1の表面
及び歯底部の表面を被覆する歯布4からなる歯付ベルト
において、背面部3を構成するゴム層を2層構造に形成
し、2層構造の外側の層3aを、100%伸長時のモジ
ュラスが4.5MPa以上で且つ内側の層3bのゴムよ
りも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度が400%
以上であると共に、内側の層3bのゴムより硬度が3度
以上高い物性を有するゴムで形成して成ることを特徴と
するものである。
【0009】また請求項2の発明は、背面部3を構成す
る2層構造のゴム層の外側の層3aが、水素化ニトリル
ゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:4
5の重量比で混合したポリマー成分100重量部に対し
て、有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋し
たゴムで形成されていることを特徴とするものである。
【0010】また請求項3の発明は、請求項2において
有機過酸化物の他に、カーボンブラック5〜50重量
部、可塑剤2〜15重量部を配合することを特徴とする
ものである。また請求項4の発明は、背面部3を構成す
る2層構造のゴム層の内側の層3aが、水素添加率90
〜98%の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、
カーボンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜15重
量部、有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋
したゴムで形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0011】また請求項5の発明は、歯布4として、芳
香族ポリアミド繊維を少なくとも一部に含む布で形成さ
れたものを用いることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。歯付ベルトは、図1に示すように、長手方向に沿
って所定の一定間隔で複数設けられる歯部1と、歯部1
の背面側のベルト本体を構成する背面部3と、長手方向
に沿って背面部3に埋設した複数本の心線2と、歯部1
の表面及び歯部1間の歯底部の表面を被覆する歯布4か
ら形成されるものである。そして背面部3及び歯部1は
ゴム層によって形成されるが、背面部3を構成するゴム
層を外側(歯部1と反対側)の層3aと、内側(歯部1
側)の層3bの2層構造に形成するようにしてある。
【0013】ここで本発明において、背面部3の外側の
層3aを構成するゴムとしては、水素化ニトリルゴムと
不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重
量比で混合したポリマー成分100重量部に対して、有
機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴム
であり、且つ100%伸長時のモジュラス(引張弾性率
M100)が4.5MPa以上であると共に切断時の伸
度が400%以上の物性を有するゴムが用いられるもの
である。
【0014】背面部3の外側の層3aのゴムが、100
%伸長時のモジュラスが4.5MPa未満であると、歯
付ベルトがテンションプーリーやアイドラプーリー等と
接触した際の応力によるゴム変形が大きくなる場合に、
ゴムがこれに耐えることができなくなるために、耐摩耗
性や耐クラック性が小さくなってベルト寿命が短くなる
ものである。また、切断時の伸度が400%未満である
と、屈曲による亀裂が発生し易く、ベルト寿命が短くな
るものである。このために本発明では背面部3の外側の
層3aのゴムとして上記のように、100%伸長時のモ
ジュラスが4.5MPa以上であり且つ切断時の伸度が
400%以上のものを用いるものであるが、100%伸
長時のモジュラスが10MPaを超えると、切断時の伸
度を400%以上に調整でき難くなるので、100%伸
長時のモジュラスの上限値は10MPaに設定するのが
好ましい。切断時の伸度は大きいほど望ましいので上限
値は特に設定されないが、100%伸長時のモジュラス
が4.5〜10MPaの範囲から外れないように伸度を
調整するのが好ましい。
【0015】また背面部3の外側の層3aを構成するゴ
ムに用いられる上記の水素化ニトリルゴムとしては、耐
熱性の観点から水素添加率が少なくとも90%以上であ
ることが必要であり、92〜98%が好適である。そし
てこの水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を
配合することによって、モジュラス(引張弾性率)を高
めるようにしているものであり、上記に規定した数値の
モジュラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き
裂き強度を確保するためには、上記のように水素化ニト
リルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜5
5:45の重量比で混合することが必要である。不飽和
カルボン酸金属塩としては特に制限されるものではない
が、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等を用いること
ができる。尚、不飽和カルボン酸金属塩を用いず、カー
ボンブラックによる補強でモジュラス(引張弾性率)を
高めることは可能であるが、ゴムの切断伸度や引き裂き
強度が低下してしまい、ゴムの変形や屈曲によるクラッ
クの発生に対する十分な耐久性を付与することができな
いので、好ましくない。
【0016】この水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン
酸金属塩からなるポリマー成分に配合される上記の有機
過酸化物は架橋剤として用いられているものであり、上
記に規定した数値のモジュラス(引張弾性率)や切断伸
度を確保するためには、上記のようにポリマー成分10
0重量部に対して有機過酸化物を0.2〜10重量部配
合して架橋することが必要である。有機過酸化物として
は、特に制限されるものではないが例えば、1,1−ジ
−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジブチル
クミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオ
キシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイ
ソプロピルカーボネート等を使用することができる。ま
たこのような有機過酸化物の他に、硫黄化合物、オキシ
ムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋
剤として一般に使用されるものを適量添加しても差し支
えない。
【0017】さらに、これらの他に、上記に規定した数
値にモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保をし、
適度な引き裂き強度を確保する範囲で、カーボンブラッ
クや可塑剤等を適宜添加することもできる。水素化ニト
リルゴムと不飽和カルボン酸金属塩からなるポリマー成
分100重量部に対して、カーボンブラックは5〜50
重量部、可塑剤は2〜15重量部配合するのが好まし
い。可塑剤としては耐熱性に優れたトリメリット酸系、
ポリエステル系、ポリエーテル系、フタル酸系のものな
どを用いることができる。
【0018】一方、本発明において、背面部3の内側の
層3aを構成するゴムとしては、水素添加率90〜98
%の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、カーボ
ンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜15重量部、
有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴ
ムが用いられるものであり、歯部1も背面部3のこの内
側の層3aと同じゴムで一体に形成されるものである。
可塑剤や有機過酸化物としては、上記したものを使用す
ることができるものであり、またこれらの他に、硫黄化
合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマ
ー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加
しても差し支えない。
【0019】背面部3の外側の層3aは上記のように高
モジュラスで硬度の高いゴムで形成しているために、ベ
ルトの振動による音の発生や寿命低下のおそれがある。
このために背面部3の内側の層3bを構成するゴムとし
て、外側の層3aのゴムよりも低モジュラスで低硬度の
ものを用いることによって、ベルトの振動による音の発
生や寿命低下を抑えるようにしているものであり、背面
部3の内側の層3bを構成するゴムは硬度が60〜75
度の範囲にある必要があり(100%伸長時のモジュラ
スは2.5〜6.5MPaになる)、硬度65〜70度
がより好適である(100%伸長時のモジュラスは3.
0〜5.0MPaになる)。背面部3の内側の層3aを
構成するゴムの硬度が60度未満であると、歯付ベルト
がプーリと噛み合う時の歯部1の変形が大きくなって却
って寿命が低下するおそれがあり、硬度が75度を超え
るとベルトの振動による音の発生が大きくなるおそれが
ある。尚、本発明においてゴムの硬度は、JIS K
6301に記載のスプリング式硬度計を用い、JIS
K 6301に規定される方法に準じて測定した硬度で
ある。
【0020】そして背面部3の内側の層3bを構成する
ゴムとして上記のようなゴム組成を採用することによっ
て、硬度やモジュラス(引張弾性率)が上記の範囲の物
性のゴムで背面部3の内側の層3bを形成することがで
きるものである。また背面部3の内側の層3bを構成す
るゴムの硬度やモジュラス(引張弾性率)は上記の範囲
に設定されるが、ベルトの振動による音の発生や寿命低
下を抑えながら高い耐摩耗性や耐クラック性を得るため
には、背面部3の外側の層3aを構成するゴムは、この
内側の層3bのゴムよりも、モジュラス(引張弾性率)
が1.0MPa以上大きく、硬度が3度以上高くなるよ
うに設定したものを用いるのがよい。背面部3の外側の
層3aと内側の層3bのゴムのモジュラス(引張弾性
率)の差や硬度の差の上限値は特に設定されるものでは
ないが、モジュラス(引張弾性率)の差の上限は7MP
a程度、硬度の差の上限は15程度が好ましい。
【0021】歯付ベルトの歯部1を被覆する歯布4とし
ては、ナイロン6、ナイロン6,6などの脂肪族ポリア
ミド繊維を素材とする織布に接着処理をしたものが一般
に用いられるが、本発明では強度や分解温度がナイロン
よりも高く耐摩耗性に優れている芳香族系のポリアミド
繊維(アラミド繊維)を素材とする織布を用いるのが好
ましい。芳香族ポリアミド繊維を素材とする織布を歯布
4として使用することによって、歯部1の耐摩耗性や耐
歯欠け性の向上を図ることができるものである。芳香族
ポリアミド繊維が100%の織布である必要はなく、織
布の一部が芳香族ポリアミド繊維で形成されていればよ
いが、表面に露出する方の経糸あるいは緯糸として芳香
族ポリアミド繊維を用いるのが好ましく、また芳香族ポ
リアミド繊維を50%以上使用すると効果は飛躍的に高
まる。芳香族ポリアミド繊維としては、ポリパラフェニ
レンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタル
アミド、ポリパラフェニレン−3,4−ジフェニルエー
テルテレフタルアミドなどを用いることができる。
【0022】また歯付ベルトを補強する心線2として
は、ガラス繊維を撚り合わせて接着処理をしたものを用
いるのが一般的であるが、芳香族ポリアミド繊維から形
成したものを用いることもできる。歯付ベルトを製造す
るにあたっては、まず歯布4をエンドレスの筒状体に仕
上げてこれを金型にセットし、その外周に心線2を一定
で螺旋状に巻き上げ、次にこの上に内側の層3b用のゴ
ム組成物を巻き付けると共に、さらにその上に外側の層
3a用のゴム組成物のシートを巻き付ける。そして、こ
れを加熱加圧して加硫することによって筒状の加硫成形
品を成形した後、この筒状成形品を輪切りに切断するこ
とによって歯付ベルトを得ることができるものである。
このようにして背面部3のゴムが外側の層3aと内側の
層3bの2層構造になった歯付ベルトを得ることができ
るものであり、歯部1は内側の層3bのゴムによって形
成されるが、成形の際に、図1に示すように外側の層3
aのゴムも歯部1に一部が食い込むことになる。
【0023】尚、図2の歯付ベルトは、背面部3を外側
の層3aと内側の層3bが平面で分割される2層構造に
なるように形成したものである。このような構造の歯付
ベルトは、背面部3の内側の層3aと歯部1を先に成形
した後に、これに背面部3の外側の層3bを積層して成
形加硫することによって、得ることができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (背面部3の外側の層3aを構成するゴムの配合)表1
に示す配合物をバンバリーミキサーを用いて約4分間混
練りを行なうことによって、ゴム組成物3a−1,3a
−2,3a−3,3a−4を得た。
【0025】得られたこのゴム組成物3a−1,3a−
2,3a−3,3a−4をオープンロールで圧延し、1
65℃で30分間、プレス加硫して加硫ゴムシートを得
た。この加硫ゴムシートについてJIS K 6301
に準じて引張試験及び引き裂き試験等を行ない、物性を
測定した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】(背面部3の内側の層3b及び歯部1を構
成するゴムの配合)表2に示す配合物をバンバリーミキ
サーを用いて約4分間混練りを行なうことによって、ゴ
ム組成物3b−1,3b−2,3b−3,3b−4を得
た。得られたこのゴム組成物3b−1,3b−2,3b
−3,3b−4をオープンロールで圧延し、165℃で
30分間、プレス加硫して加硫ゴムシートを得た。この
加硫ゴムシートについてJIS K 6301に準じて
引張試験及び引き裂き試験等を行ない、物性を測定し
た。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】(歯布4)経糸や緯糸に表3に示す繊維を
使用して作製した織布を、歯布4−1,4−2として用
いた。
【0030】
【表3】
【0031】(歯付ベルトの製造)表4の歯布4−1,
4−2をエンドレス状の筒状体に仕上げ、これを金型に
セットしその外周からS撚りのガラス繊維とZ撚りのガ
ラス繊維からなる2本の心線2をピッチ1.45mmで
交互に配置するように巻き上げ、次にこの上に表2のゴ
ム組成物3b−1,3b−2,3b−3,3b−4のシ
ートを、さらにその上に表1のゴム組成物3a−1,3
a−2,3a−3,3a−4のシートを巻き付けた。こ
の後、これを通常の圧入による加圧方法(160℃で3
0分間加圧加硫して成形)によって、筒状の加硫成形品
を得た。そしてこの筒状成形品を輪切りに切断すること
によって、図1に示すような、実施例1〜4及び比較例
1〜5の105S8M19(歯形S8M、歯数105、
幅19.1mm、歯ピッチ8.000mm)の歯付ベル
トを得た。尚、表1と表2の2種類のゴムシートは事前
に張り合わせておいて使用することもできる。
【0032】表4に実施例1〜4及び比較例1〜5の各
材料の組み合わせを示す。また、実施例1〜4及び比較
例1〜5で得た歯付ベルトについて、物性及び走行性能
を測定し、結果を表4に示した。歯剪断力の測定は、図
3の治具10を用い、歯付ベルトAに垂直方向にベルト
幅1mm当たり9.8N・cmで締め付けた後に50m
m/minの引張スピードで上向き矢印方向へ引っ張
り、歯部1の剪断力を測定することによって行なった。
図3において11は締め付けボルト、12は歯付ベルト
Aの歯部1に噛み合う爪である。
【0033】また、走行性能のうち走行時間の試験は、
図4の試験機を用いて、雰囲気温度100℃で行ない、
背面部3のゴムクラック、歯部1の歯元のクラックなど
歯付ベルトとしての機能が果たせなくなった時点をもっ
て寿命とし、そのときまでの走行時間を表4に示した。
図4において13は歯数24の駆動プーリ(6000r
pm)、14は歯数48の従動プーリ、15は歯数48
の従動プーリ、16は50mmφの従動プーリ、17は
50mmφのオートテンショナーである。
【0034】また発音の試験は、図5の試験機を用いて
歯付ベルトAを走行させた際の発音をマイク18で集音
することによって行ない、発音レベルは聴覚を数値化し
て5段階で評価判定したものであり、数値が大きいほど
音が静かで、4.0以上が合格レベルである。図5にお
いて19は歯数24の駆動プーリ(3000rpm)、
20は歯数48の従動プーリ、21は50mmφのテン
ションプーリである。
【0035】
【表4】
【0036】
【発明の効果】上記のように本発明は、長手方向に沿っ
て複数設けられた歯部と、歯部の背面側の心線を埋設し
た背面部と、歯部の表面及び歯底部の表面を被覆する歯
布からなる歯付ベルトにおいて、背面部を構成するゴム
層を2層構造に形成し、2層構造の外側の層を、100
%伸長時のモジュラスが4.5MPa以上で且つ内側の
層のゴムよりも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度
が400%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度
が3度以上高い物性を有するゴムで形成するようにした
ので、背面部の外側の層は高モジュラスで高硬度のゴム
で形成されていると共に背面部の内側の層は低モジュラ
スで低硬度のゴムで形成されており、背面部の外側の層
で耐摩耗性や耐クラック性高めることができると共に、
背面部の内側の層で静粛性や寿命を向上することができ
るものである。
【0037】また請求項2の発明は、背面部を構成する
2層構造のゴム層の外側の層を、水素化ニトリルゴムと
不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重
量比で混合したポリマー成分100重量部に対して、有
機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴム
で形成するようにしたので、請求項1の物性を有するも
ので背面部の外側の層のゴムを形成することができるも
のである。
【0038】また請求項3の発明は、請求項2において
有機過酸化物の他に、カーボンブラック5〜50重量
部、可塑剤2〜15重量部を配合するようにしたので、
背面部の外側の層のゴムの物性として高いモジュラスや
引き裂き強度を確保することができるものである。また
請求項4の発明は、背面部を構成する2層構造のゴム層
の内側の層を、水素添加率90〜98%の水素化ニトリ
ルゴム100重量部に対して、カーボンブラック10〜
80重量部、可塑剤2〜15重量部、有機過酸化物0.
2〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成するよう
にしたので、静粛性や寿命向上に必要な硬度やモジュラ
スの物性を有するもので背面部の内側の層のゴムを形成
することができるものである。
【0039】また請求項5の発明は、歯布として、芳香
族ポリアミド繊維を少なくとも一部に含む布で形成され
たものを用いるようにしたので、芳香族ポリアミド繊維
は強度や分解温度が高く耐摩耗性に優れているものであ
り、歯部の耐摩耗性や耐歯欠け性を向上することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、
(a)は一部破断斜視図、(b)は一部の断面図であ
る。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す一部の断面図
である。
【図3】ベルト剪断力測定治具を示す正面図である。
【図4】走行試験に用いる装置の概略図である。
【図5】発音測定に用いる装置の概略図である。
【符号の説明】
1 歯部 2 心線 3 背面部 3a 外側の層 3b 内側の層 4 歯布
フロントページの続き (72)発明者 大屋 俊之 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21 号 三ツ星ベルト株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−208558(JP,A) 特開 平5−280590(JP,A) 特開 平4−341639(JP,A) 特開 平5−262914(JP,A) 実用新案登録2503709(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16G 1/00 - 17/00 C08K 5/098 C08K 5/14 C08L 9/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って複数設けられた歯部
    と、歯部の背面側の心線を埋設した背面部と、歯部の表
    面及び歯底部の表面を被覆する歯布からなる歯付ベルト
    において、背面部を構成するゴム層を2層構造に形成
    し、2層構造の外側の層を、100%伸長時のモジュラ
    スが4.5MPa以上で且つ内側の層のゴムよりも1.
    0MPa以上大きく、切断時の伸度が400%以上であ
    ると共に、内側の層のゴムより硬度が3度以上高い物性
    を有するゴムで形成して成ることを特徴とする歯付ベル
    ト。
  2. 【請求項2】 背面部を構成する2層構造のゴム層の外
    側の層が、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属
    塩とを98:2〜55:45の重量比で混合したポリマ
    ー成分100重量部に対して、有機過酸化物0.2〜1
    0重量部を配合して架橋したゴムで形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 有機過酸化物の他に、カーボンブラック
    5〜50重量部、可塑剤2〜15重量部を配合すること
    を特徴とする請求項2に記載の歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 背面部を構成する2層構造のゴム層の内
    側の層が、水素添加率90〜98%の水素化ニトリルゴ
    ム100重量部に対して、カーボンブラック10〜80
    重量部、可塑剤2〜15重量部、有機過酸化物0.2〜
    10重量部を配合して架橋したゴムで形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯付
    ベルト。
  5. 【請求項5】 歯布として、芳香族ポリアミド繊維を少
    なくとも一部に含む布で形成されたものを用いることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の歯付ベル
    ト。
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