JP2001173725A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2001173725A
JP2001173725A JP36271599A JP36271599A JP2001173725A JP 2001173725 A JP2001173725 A JP 2001173725A JP 36271599 A JP36271599 A JP 36271599A JP 36271599 A JP36271599 A JP 36271599A JP 2001173725 A JP2001173725 A JP 2001173725A
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rubber
layer
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toothed belt
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JP36271599A
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Inventor
Taisuke Nakai
泰典 中井
Akihiro Ueno
明宏 上野
Kazuhiro Takeda
和浩 竹田
Nobutaka Osako
信隆 大迫
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐クラック性、静粛性に優れ、寿
命を大幅に向上させ、さらにゴム配合物で形成されたベ
ルト本体の表面の全部又は一部が繊維材料で被覆された
ゴムベルトにおいて、前記繊維材料に、フッ素樹脂粉末
を摩擦係数低減作用が発揮されやすい形態にして大量に
含有させ、前記繊維材料の摩擦抵抗を長期にわたって低
減させる歯付ベルトを提供する。 【解決手段】 背面部3を構成するゴム層を2層構造に
形成し、少なくとも前記2層構造の外側の層3aを内側
の層3bよりも高硬度のゴムを使用し、前記歯布の表裏
面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状
減摩材とが前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着
されている歯付ベルトである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝動面に繊維材料
が被覆された歯付ベルトに関し、特に前記繊維材料の摩
擦抵抗を長期に渡って低減させるものに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのカム軸、インジェク
ションポンプ、オイルポンプ、水ポンプを同時に駆動し
ている歯付ベルトは、エンジンの高出力化やエンジンル
ールのコンパクト化に伴い使用条件が従来より一層厳し
くなり、更なる耐久性の向上が要求されてきている。ま
た、一般産業用に使用される同期伝導用の歯付ベルトや
小型機械に用いられる正確な位置決め精度を要求される
搬送用の歯付ベルトも、同様でベルトの取り替え周期の
延長を要求されている。
【0003】歯付ベルトの故障形態は、心線の疲労によ
るベルトの切断と過負荷や歯布摩耗による歯欠けに大別
される。心線の疲労による切断に対しては、アラミド心
線や高強度ガラスの細径心線の使用、耐熱性に優れる水
素化ニトリルゴム(H−NBR)組成物の使用、エンジ
ン側の改良としてベルト張力を始動時及び走行時共に一
定に保つオートテンショナーの使用などにより改良さ
れ、切断故障の発生は減少している。
【0004】一方、歯付ベルトを構成するゴムとして、
使用環境の苛酷化に応じて、クロロプレンゴムからクロ
ロスルフォン化ポリエチレンへと変化し、さらに現在で
は水素化ニトリルゴムへと、より耐熱性に優れた素材が
使用されるようになってきており、耐久性の向上が図ら
れている。
【0005】また、自動車エンジン用の歯付ベルトのゴ
ムとして現在最も広く使用されている水素化ニトリルゴ
ムにおいても、その水素添加率、架橋剤の種類、あるい
は各種の添加剤を検討することにより、耐久性を向上す
ることがなされている。例えば特開平8−3374号公
報には、固形ゴムに多官能性共架橋剤を含有する繊維化
可能なフッ素樹脂を添加して調製したゴム組成物を用い
たベルトが提供されている。
【0006】さらに、この水素化ニトリルゴムに不飽和
カルボン酸金属塩を含有させることによって耐摩耗性や
耐クラック性を向上させ、この改良したゴムにて歯付ベ
ルトの歯部及び背面部を構成するようにしたものも提供
されている。(特公平5−64252号公報、特公平6
−37576号公報、特公平5−262914号公報等
参照。)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、歯欠けの発生
については、高強力タイプのナイロン6−6、アラミド
繊維を使用した歯布の使用などの対策が施されているも
のの、未だ十分ではない。そこで、歯布を被覆した歯付
ベルトの耐歯欠け性を更に向上させるために、歯布表面
の低摩擦係数化を図ることが有力視されている。EP0
662571B1には、歯布の織物層の外側にフッ素樹
脂を含むポリマーマトリックス層を吹き付け又は塗布に
よりコーティングする歯付ベルトが提案されている。こ
のフッ素樹脂は、特殊なポリマーマトリックス内に境界
層無しに結合されている。そして、このポリマーマトリ
ックスを歯布に結合させる。しかしながら、フッ素樹脂
がポリマーマトリックスに強固に結合されているため、
フッ素樹脂がマトリックスに囲われたままになって、フ
ッ素樹脂による摩擦係数低減作用が十分発揮できなくな
るという問題点があった。また、ポリマーマトリックス
の材質的制限から、含有できるフッ素樹脂量が少なく、
ポリマーマトリックス層の厚みも薄くなり、フッ素樹脂
による耐歯欠け性の向上が十分ではないという問題点が
あった。
【0008】また、特開平7−151190には、歯布
の表面及び内部に繊維化したフッ素樹脂を含むゴム組成
物を含浸させ、歯布の裏面を接着層を介してベルト本体
のゴム層に結合する歯付ベルトが提案されている。ゴム
組成物中のフッ素樹脂を混練工程等により繊維化するの
は、ゴム組成物中のフッ素樹脂が異物化してゴム組成物
の強度を低下させないためである。しかし、ゴム組成物
中で繊維化したフッ素樹脂は、摩擦面に露出する機会が
少なく、フッ素樹脂による摩擦係数低減作用が十分では
なくなるという問題点があった。また、フッ素樹脂を繊
維化して異物化させずに強度を維持するために、歯布に
含浸させるゴム100重量部に対して1〜30重重量部
程度のフッ素樹脂しか含有させることができず、耐歯欠
け性の向上が十分ではないという問題点があった。
【0009】また、自動車エンジン用の歯付ベルトのよ
うに、高負荷の伝動を強いられる歯付ベルトの場合、前
記の特開平8−3374号公報で提供されたゴム組成物
を用いると、ゴムの硬度が高くなるために歯部がプーリ
にかみ合ったとき、その衝撃のために歯部が大きく反発
し、これがベルトの振動の一因となって、騒音やベルト
寿命に悪影響を与える恐れがあるという問題が有る。ま
た特開平8−3374号公報で提供されたゴム組成物を
歯付ベルトの背面部に使用すると、伸びや引張弾性率が
不足するために、歯付ベルトを正逆方向に曲げる使用条
件下では耐クラック性において期待される程の効果を得
ることができないという問題があり、さらにテンション
プーリやアイドラープーリ等と接触することにより摩耗
や亀裂を起こし易いという問題もある。
【0010】また、上記のように水素化ニトリルゴムに
不飽和カルボン酸金属塩を含有させたゴムで歯付ベルト
の歯部及び背面部を形成すると、確かに、背面部の摩耗
が少なくなると共に歯部の歯元の耐クラック性は向上す
るが、ベルトの振動が発生して音が生じるという問題が
ある。本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、
耐摩耗性、耐クラック性、静粛性に優れ、寿命を大幅に
向上した歯付ベルトを提供することを目的とするもので
ある。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る歯付ベルト
は、長手方向に沿って所定間隔で配置した複数の歯部
と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表面に歯布
を被覆した歯付ベルトにおいて、背面部を構成するゴム
層を2層構造に形成し、前記歯布の表裏面及び繊維間
に、少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集
束するように、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記フ
ッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の表
裏面及び繊維間に含浸付着されている歯付ベルトにあ
る。
【0012】前記2層構造の外側の層を、100%伸張
時のモジュラスが4.5MPa以上で且つ内側の層のゴ
ムよりも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度が40
0%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が3度
以上高い物性を有するゴムで形成してなることが好まし
い。
【0013】さらに、背面部を構成する2層構造のゴム
層の外側の層が、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン
酸金属塩とを98:2〜55:45の重量比で混合した
ポリマー成分100重量部に対して、有機過酸化物0.
2〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成されてい
ることが好ましい。より好ましくは、有機過酸化物の他
に、カーボンブラック5〜50重量部、可塑剤2〜15
重量部を配合すればより好ましい。
【0014】また、前記樹脂系接着成分及びゴム成分
は、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス処理液を
乾燥して形成されたものが好ましい。また、前記フッ素
樹脂粉末は、前記ゴム成分100重量部に対し30〜2
00重量部添加され、その平均粒子径は、100μm以
下であり、前記混合物は、前記繊維材料重量の5〜40
%含浸付着しているものが好ましい。さらに、前記フッ
素樹脂粉末は、前記接着成分及び前記ゴム成分と結合し
ていないことが好ましい。また、前記混合物を含浸付着
した前記繊維材料に、フッ素樹脂粉末及びフッ素樹脂粉
末以外の減摩材を配合したゴム糊を更に付着させたもの
が好ましい。歯布の表裏面及び内部が互いに連通状態に
なるように含浸被覆されたゴム成分と樹脂系接着成分と
を、繊維材料を構成する各繊維に絡ませるとともに、フ
ッ素樹脂粉末を繊維材料およびそれを構成する各繊維の
表裏面に集束させることができ、これらゴム成分と樹脂
系接着成分の中に大量のフッ素樹脂粉末を含有させるこ
とができる。ここで、繊維材料とは、不織布や、編布
や、繊維から構成される糸を織成して形成された織物な
ど、繊維からなるものをいう。
【0015】また、前記発明において、前記混合物を含
浸付着した前記繊維材料に、イソシアネート化合物を含
んだゴム配合物を第1ゴム層としてさらに形成させたも
のが好ましい。また、前記第1ゴム層を形成した前記繊
維材料に、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外の減
摩材を配合したゴム配合物を第2ゴム層としてさらに形
成させたものが好ましい。また、前記減摩材がグラファ
イトであるものが好ましい。また、前記第1ゴム層及び
前記第2ゴム層のゴム成分は、前記ベルト本体の前記ゴ
ム配合物と同種であるものが好ましい。また、背面部を
構成する2層構造のゴム層の内側の層が、水素添加率9
0〜98%の水素化ニトリルゴム100重量部に対し
て、カーボンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜1
5重量部、有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して
架橋したゴムで形成されていることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、歯付ベルトの歯面に被覆さ
れた繊維材料(歯布)の拡大断面図であり、図2は、本
発明の歯付ベルトの全体構造を示す図であり、図3は歯
付ベルトの歯面に被覆された繊維材料(歯布)の断面の
拡大写真を示す図である。
【0017】図2において、歯付ベルトAは、長手方向
に沿って所定間隔で配置した複数の歯部1と、歯部1と
連続する背面部3と、背面部3で埋設された心線2と、
歯部1の表面に被覆された歯布4とを有する構造であ
る。背面部3と歯部1は、ゴム配合物9で形成されたベ
ルト本体を構成する。また、歯布4は、ベルトの長手方
向に延在する緯糸7と、ベルトの幅方向に延在する経糸
8とを織成して成る繊維材料を基材として構成される。
このように、歯布の繊維材料は、ベルトの伝動面に被覆
され、ベルト本体の表の全面又は一部に被覆される。
【0018】また背面部3及び歯部1はゴム層によって
形成されるが、背面部3を構成するゴム層を外側(歯部
1と反対側)の層3aと、内側(歯部1側)の層3bの
2層構造に形成するようにしてある。
【0019】ここで本発明において、背面部3の外側の
層3aを構成するゴムとしては、水素化ニトリルゴムと
不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重
量比で混合したポリマー成分100重量部に対して、有
機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴム
であり、且つ100%伸長時のモジュラス(引張弾性率
M100)が4.5MPa以上であると共に切断時の伸
度が400%以上の物性を有するゴムが用いられるもの
である。
【0020】背面部3の外側の層3aのゴムが、100
%伸長時のモジュラスが4.5MPa未満であると、歯
付ベルトがテンションプーリやアイドラープーリ等と接
触した際の応力によるゴム変形が大きくなる場合に、ゴ
ムがこれに耐えることができなくなるために、耐摩耗性
や耐クラック性が小さくなってベルト寿命が短くなるも
のである。また、切断時の伸度が400%未満である
と、屈曲による亀裂が発生し易く、ベルト寿命が短くな
るものである。このために本発明では背面部3の外側の
層3aのゴムとして上記のように、100%伸長時のモ
ジュラスが4.5MPa以上であり且つ切断時の伸度が
400%以上のものを用いるものであるが、100%伸
長時のモジュラスが10MPaを越えると、切断時の伸
度を400%以上に調整でき難くなるので、100%伸
長時のモジュラスが4.5〜10MPaの範囲から外れ
ないように伸度を調整するのが好ましい。
【0021】また背面部3の外側の層3aを構成するゴ
ムに用いられる上記の水素化ニトリルゴムとしては、耐
熱性の観点から水素添加率が少なくとも90%以上であ
ることが必要であり、92〜98%が好適である。そし
てこの水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を
配合することによって、モジュラス(引張弾性率)を高
めるようにしているものであり、上記に規定した数値の
モジュラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き
裂き強度を確保するためには、上記のように水素化ニト
リルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜5
5:45の重量比で混合することが必要である。不飽和
カルボン酸金属塩としては特に制限されるものではない
が、アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等を用いること
ができる。尚、不飽和カルボン酸金属塩を用いず、カー
ボンブラックによる補強でモジュラス(引張弾性率)を
高めることは可能であるが、ゴムの切断伸度や引き裂き
強度が低下してしまい、ゴムの変形や屈曲によるクラッ
クの発生に対する十分な耐久性を付与することができな
いので、好ましくない。
【0022】この水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン
酸金属塩からなるポリマー成分に配合される上記の有機
過酸化物は架橋剤として用いられるものでありね上記に
規定した数値のモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を
確保するためには、上記のようにポリマー成分100重
量部に対して有機過酸化物を0.2〜10重量部配合し
て架橋することが必要である。有機過酸化物としては、
特に制限されるものではないが例えば、1,1−ジ−t
−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジブチルクミ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート等を使用することができる。またこ
のような有機過酸化物の他に、硫黄化合物、オキシムニ
トロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋剤と
して一般に使用されるものを適量添加しても差し支えな
い。
【0023】さらに、これらの他に、上記に規定した数
値にモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保し、適
度な引き裂き強度を確保する範囲で、カーボンブラック
や可塑剤等を適宜添加することもできる。水素化ニトリ
ルゴムと不飽和カルボン酸金属塩からなるポリマー成分
100重量部に対して、カーボンブラックは5〜50重
量部、可塑剤は2〜15重量部配合するのが好ましい。
可塑剤としては耐熱性に優れたトリメリット酸系、ポリ
エステル系、ポリエーテル系、フタル酸系のものなどを
用いることができる。
【0024】一方、本発明において、背面部3の内側の
層3aを構成するゴムとしては、水素添加率90〜98
%の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、カーボ
ンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜15重量部、
有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴ
ムが用いられるものであり、歯部1も背面部3のこの内
側の層3aと同じゴムで一体に形成されるものである。
可塑剤や有機過酸化物としては、上記したものを使用す
ることができるものであり、またこれらの他に、硫黄化
合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマ
ー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加
しても差し支えない。
【0025】背面部3の外側の層3aは上記のように高
モジュラスで硬度の高いゴムで形成しているために、ベ
ルトの振動による音の発生や寿命低下のおそれがある。
このために背面部3の内側の層3bを構成するゴムとし
て、外側の層3aのゴムよりも低モジュラスで低硬度の
ものを用いることによって、ベルトの振動による音の発
生や寿命低下を抑えるようにしているものであり、背面
部3の内側の層3bを構成するゴムは硬度が60〜75
度の範囲にある必要が有り(100%伸長時のモジュラ
スは2.5〜6.5MPaになる)、硬度65〜70度
がより好適である(100%伸長時のモジュラスは3.
0〜5.0MPaになる)。背面部3の内側の層3bを
構成するゴムの硬度が60度未満であると、歯付ベルト
がプーリとかみ合うときの歯部1の変形が大きくなって
寿命が低下する恐れが有り、硬度が75度を超えるとベ
ルトの振動による音の発生が大きくなる恐れが有る。
尚、本発明においてゴムの硬度は、JIS K 630
1に記載のスプリング式硬度計を用い、JIS K 6
301に規定される方法に準じて測定した硬度である。
【0026】そして背面部3の内側の層3bを構成する
ゴムとして上記のようなゴム組成を採用することによっ
て、硬度やモジュラス(引張弾性率)が上記の範囲の物
性のゴムで背面部3の内側の層3bを形成するものがで
きるものである。また背面部3の内側の層3bを構成す
るゴムの硬度やモジュラス(引張弾性率)は上記の範囲
に設定されるが、ベルトの振動による音の発生や寿命低
下を抑えながら高い耐摩耗性や耐クラック性を得るため
には、背面部3の外側の層3aを構成するゴムは、この
内側の層3bのゴムよりも、モジュラス(引張弾性率)
が1.0MPa以上大きく、硬度が3度以上高くなるよ
うに設定したものを用いるのがよい。背面部3の外側の
層3aと内側の層3bのゴムのモジュラス(引張弾性
率)が1.0MPa以上大きく、硬度が3度以上高くな
るように設定したものを用いるのがよい。背面部3の外
側の層3aと内側の層3bのゴムのモジュラス(引張弾
性率)の差や硬度の差の上限値は特に設定されるもので
はないが、モジュラス(引張弾性率)の差の上限は7M
Pa程度、硬度の差の上限は15程度が好ましい。
【0027】図1に示されるように、歯付ベルトにおけ
る歯布4は、緯糸7と経糸8とを織成してなる繊維材料
の表面と裏面と繊維間にフッ素樹脂粉末が集束するよう
に、ゴム成分21と、樹脂系接着成分22と、フッ素樹
脂粉末23とからなる混合物24が含浸形成され、好ま
しくは第1層として第1ゴム層5が更に形成され、より
好ましくは第2層として第2ゴム層6が更に形成されて
なる。
【0028】ゴム成分21は乳化重合で得られたゴムラ
テックスを加熱し乾燥して得られたゴム固形物であり、
樹脂系接着成分22はレゾルシンとホルマリンの初期縮
合物である。前記ゴム成分21と樹脂系接着成分22
は、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス(RF
L)処理液を乾燥、加熱した後に残る固形分である。
【0029】樹脂系接着成分22は緯糸7及び経糸8の
繊維に接着している。また、ゴム成分21と樹脂系接着
成分22とで構成されるマトリックス中にはフッ素樹脂
粉末23が分散して混合されている。そして、フッ素樹
脂粉末23とゴム成分21及び樹脂系接着成分22とは
結合されておらず、フッ素樹脂粉末23の周囲の全部又
は一部に隙間が形成されている。
【0030】図3は、本発明の歯付ベルトの歯布の一部
の拡大写真を示す図である。この図3により、フッ素樹
脂粉末が各繊維の回りに集束している状態を詳細に説明
する。図3より、フッ素樹脂粉末23を含むゴム成分2
1と樹脂系接着成分22とからなる混合物24が各繊維
の表面に付着しているのが判る。この結果、フッ素樹脂
粉末23が繊維材料の表裏面及び繊維間に集束すること
ができ、歯布4の摩擦係数を低減させることができる。
なお、符号5は第1ゴム層を示す。
【0031】歯布4の緯糸7、経糸8等を形成する繊維
材料の材質としては、それぞれナイロン、アラミド、ポ
リエステル、ポリペンゾオキサゾール、綿等の何れか又
はこれらの組み合わせが採用できる。繊維の形態は、フ
ィラメント糸及び紡績糸の何れでも良く、単独組成の撚
糸又は混撚糸、混紡糸の何れであっても良い。混合物2
4のフッ素樹脂粉末23、ゴム成分21や樹脂系接着成
分22が各繊維の間にまで含浸できる程度の太さのもの
が集まった繊維が好ましい。歯付ベルトの場合、使用環
境と要求寿命により、ナイロン、アラミド等が使用され
る。
【0032】また、織成構成は綾織り、繻子織り、平織
り等何れでもフッ素樹脂粉末23を大量に含ませること
ができる。フッ素樹脂粉末23が分散した混合物24が
繊維材料の表裏面及び内部で互いに連通状態になる程度
に、糸の太さや密度を選択する。
【0033】ゴム成分21と樹脂系接着成分22とフッ
素樹脂23とからなる混合物24は、レゾルシン−ホル
マリン−ゴムラテックス(以下、RFLと略記する)処
理液に、フッ素樹脂粉末を分散混合したものを、繊維材
料を浸漬し、乾燥後加熱することにより形成することが
好ましい。
【0034】前記RFL処理液は、レゾルシンとホルマ
リンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したもので
あり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は3/
1〜1/3にすることが接着力を高めるうえで好適であ
る。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、こ
れをゴムラテックスのゴム分100重量部に対してその
樹脂分が5〜50重量部になるようにゴムラテックスと
混合したうえ、フッ素樹脂粉末を含む全固形濃度を10
〜40%濃度に調節する。
【0035】ゴム成分21を形成するゴムラテックスと
しては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共
重合体(VP)、スチレンブタジエン共重合体(SB
R)、クロロプレン(CR)、アクリロニトリルブタジ
エン共重合体(NBR)、水素添加NBR(H−NB
R)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、天然
ゴム等の一種又は二種以上のブレンド物が使用される。
【0036】自動車用歯付ベルトであって、使用環境が
100°C以上の高温で、150,000km以上の長
寿命を要求される場合、ベルト本体にH−NBRが使用
されるが、歯布に含浸付着されるRFL処理液には、V
Pラテックス、SBRラテックス及びこれらのブレンド
物を使用することができる。
【0037】前述したゴム成分21や樹脂系接着成分2
2とも結合しないフッ素樹脂粉末23は、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体の一種以上
である。フッ素樹脂粉末23中のフッ素原子数の割合が
多い程、摩擦係数低減効果は大きい。そのため、同量の
繊維材料への付着量を前提とした場合、上記フッ素樹脂
粉末23の中ではポリテトラフルオロエチレンが最も摩
擦係数低減の効果が大きく歯欠け寿命が長い。しかし、
他のフッ素樹脂粉末も分子内のフッ素原子数の割合にほ
ぼ比例してその効果がある。
【0038】このようなフッ素樹脂粉末23は、前記R
FL処理液中のゴム成分100重量部に対して30〜2
00重量部(より好ましくは50〜200重量部)添加
し、均一に分散させた処理液とすることが好ましい。ま
た、処理液に繊維材料を浸漬し乾燥させ、浸漬前の繊維
材料の重量に対して、フッ素樹脂粉末を含む固形の混合
物24が5〜40%の付着量となるように調整すること
が好ましい。30重量部未満又は5%未満のフッ素樹脂
粉末であると、繊維材料に絡むフッ素樹脂粉末の総量が
少なく、摩擦係数低減効果が認められにくくなる。30
0重量部を越える又は40%を越えるフッ素樹脂粉末で
あると、繊維材料に絡むフッ素樹脂粉末の総量が多過
ぎ、繊維材料のベルト本体等への接着性が低下し、ベル
ト性能の低下を来す。
【0039】また、前記RFL処理液中には、フッ素樹
脂粉末以外の粉末状減摩材も同時に使用しても良い。前
記粉末状減摩材としては、層状構造のグラファイト、二
硫化モリブデン、ガラスビーズ、セラミック粉末、球状
フェノール樹脂粉末及びアラミド、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリベンゾオキサゾール、繊維のカット糸又は
粉末の一種以上が例示できる。特にグラファイトはゴム
成分との馴染みもよく、ベルトの耐久性をより向上させ
る。そして、前記粉末状減摩材は、前記RFL処理液中
のゴム成分100重量部に対して30〜200重量部で
あり、フッ素樹脂粉末の添加量を多くすることが好まし
い。しかし、フッ素樹脂粉末と粉末状減摩材の混合比率
には、特に制限はない。
【0040】前記混合物の繊維材料への付着量を測定す
る方法は、浸漬処理前の繊維材料の質量を秤量し質量
(W1)を計り、次にフッ素樹脂粉末を分散させたRF
L処理液に繊維材料を浸漬し、その繊維材料をオーブン
に入れ質量が一定になる迄乾燥を続け、最終質量(W
2)を計り、式((W2−W1)/W1)×100
(%)で算出する方法である。
【0041】繊維材料の内部まで大量のフッ素樹脂粉末
23を絡ませる為には、粉砕又は造粒により粉粒状とな
ったフッ素樹脂粉末を用い、その平均粒子径が100μ
m以下(より好ましくは10μm以下)になったものを
用いることが好ましい。100μmを越えると、RFL
処理液中にフッ素樹脂粉末が沈降し均一に分散しにくく
なり、更に混合物内におけるフッ素樹脂粉末の表面積が
減少して摩擦係数低減効果が少なくなるからである。こ
のような観点から、フッ素樹脂粉末はできるだけ小さい
粒径のもの例えば10μm以下のものが好ましい。
【0042】フッ素樹脂粉末を分散させたRFL液にて
処理された繊維材料の表面に対して、必要に応じてゴム
糊を付着させることができる。図1の例では、イソシア
ネート化合物を含んだゴム配合物の第1ゴム糊を第1ゴ
ム層5として付着させ、更にフッ素樹脂粉末又はフッ素
樹脂粉末以外の減摩材を配合したゴム配合物の第2ゴム
糊を第2ゴム層6として付着させている。なお、前記第
1ゴム層5は省略可能であり、第2ゴム層6をフッ素樹
脂粉末を含むRFL処理液で処理された繊維材料の表面
に形成することもできる。或いは第2ゴム糊としてイソ
シアネート化合物さらにはフッ素樹脂粉末又はフッ素樹
脂粉末以外の減摩材を配合したゴム配合物の第2ゴム層
6をフッ素樹脂粉末を含むRFL処理液で処理された繊
維材料の表面に形成することもできる。
【0043】第1ゴム層5は、接着力を高める中間層と
して機能し、イソシアネート化合物が接着成分として作
用する。そのため、ベルト本体と同種のゴム成分を有す
る第1ゴム糊を採用できる。この第1ゴム糊は、ベルト
本体と同種のゴム配合物をメチルエチルケトン(ME
K)、トルエン等の溶剤に溶解させ、イソシアネート化
合物を添加して処理液とし、この処理液を塗布した後乾
燥固化するすることにより形成される。前記処理液で使
用するイソシアネート化合物としては、例えば4,4´
−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4
−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリア
リールポリイソシアネート(例えば商品名としてPAP
Iがある)等がある。このイソシアネート化合物もトル
エン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用
される。また、上記イソシアネート化合物にフェノール
類、第3級アルコール類、第2アルコール類等のブロッ
ク化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネー
ト基をブロック化ポリイソシアネートも使用可能であ
る。
【0044】第2ゴム層6は、摩擦係数低減効果を有す
る表層として機能し、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉
末以外の減摩材が配合されている。この第2ゴム層6
は、第1ゴム層5と同様に、ベルト本体と同種のゴム配
合物をメチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の溶
剤に溶解させ、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外
の減摩材を添加して処理液とし、この処理液を塗布した
後乾燥固化することにより形成される。フッ素樹脂粉末
以外の減摩材としては、層状構造のグラファイト、二硫
化モリブデン、ガラスビーズ、セラミック粉末、球状フ
ェノール樹脂粉末及びアラミド、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリベンゾオキサゾール、繊維のカット糸又は粉
末の一種以上が例示できる。特にグラファイトはゴム成
分との馴染みもよく、耐久性を有した減摩材として有効
である。
【0045】なお、ベルト本体を形成するゴム配合物の
材質には特に制限はなく、使用条件に応じて適切なもの
が適宜選択される。自動車エンジン用及び各種エンジン
用歯付ベルトの場合、耐熱性と耐油性を備えたH−NB
R、CR、CSM等が使用される。一般産業用機械に用
いる歯付ベルトには、H−NBR、CR、CSM以外
に、NBR、エチレンプロピレンジエンモノマー(EP
DM)、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、SB
R、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、フッ
素ゴム、シリコンゴム等何れの場合も使用可能である。
このような歯付ベルトの場合、図1で説明した歯布の使
用が有効である。
【0046】また、ベルト本体の内部に埋設される心線
1に制限はなく、一般にはガラス心線及びアラミド心線
が使用される。また、ポリベンゾオキサゾール、ポリパ
ラフェニレンナフタレート、ポリエステル、アクリル、
カーボン、スチールを組成とする撚コードの何れでも使
用できる。ガラス心線の組成はEガラス、Sガラス(高
強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフ
ィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されな
い。また、接着処理剤及び屈曲時のガラスフィラメント
の保護材として使用されるサイジング剤、RFL、オー
バーコート剤等にも制限されない。一方、アラミド心線
においても、材質の分子構造の違いや心線構成及びフィ
ラメントの大きさや接着処理剤の違いによっても制限さ
れない。他の組成からなる心線の撚コードについても同
様に特別の制限はない。
【0047】上述した構成を有するベルトは、ベルトの
歯面又は及び背面に被覆される繊維材料に、ゴム成分、
樹脂系接着成分及びこれらと結合しないフッ素樹脂粉末
を繊維材料の表裏面及び内部の繊維に極近い位置に位置
させることにより、大量のフッ素樹脂粉末を繊維材料に
分散させることができる。また、繊維材料中の樹脂系接
着成分は、ベルト本体等の接着性を向上させるととも
に、ゴム成分及び樹脂系接着成分と結合しないフッ素樹
脂粉末の保持を確実にするという作用を有する。そのた
め、繊維材料に含浸付着させるゴム成分は、ベルト本体
と同種である必要がなく、それぞれ使用条件に応じて適
切なものに選択できる。
【0048】尚、図4の歯付ベルトは、背面部3を外側
の層3aと内側の層3bが平面で分割される2層構造に
なるように形成したものである。このような構造の歯付
ベルトは、背面部3の内側の層3bと歯部1を先に成形
した後に、これに背面部3の外側の層3aを積層して成
形加硫することによって、得ることができる。
【0049】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。本発明はかかる実施例に限定されるものではな
く、目的を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。 (背面部3の外側の層3aを構成するゴムの配合)表1
に示す配合物をバンバリーミキサーを用いて約4分間混
練りを行なうことによって、ゴム組成物3a−1、3a
−2、3a−3、3a−4を得た。
【0050】得られたこのゴム組成物3a−1、3a−
2、3a−3、3a−4をオープンロールで圧延し、1
65°Cで30分間、プレス加硫して加硫ゴムシートを
得た。この加硫ゴムシートについてJIS K 630
1に準じて引張試験及び引き裂き試験等を行ない、物性
を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】(背面部3の内側の層3b及び歯部1を構
成するゴムの配合)表2に示す配合物をバンバリーミキ
サーを用いて約4分間混練りを行うことによって、ゴム
組成物3b−1、3b−2、3b−3、3b−4をオー
プンロールで圧延し、165°Cで30分間、プレス加
硫して加硫ゴムシートを得た。この加硫ゴムシートにつ
いてJIS K 6301に準じて引張試験及び引き裂
き試験等を行ない、物性を測定した。結果を表2に示
す。
【0053】
【表2】
【0054】(歯布4)表3に示す組成と構成の被覆用
繊維材料として準備した。また表4に示すゴム配合物を
混練りした。また、表5に示すRFL処理液を調合し
た。また、表6に示すゴム糊の溶液を調合した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】実施例A 表3の繊維材料を、フッ素樹脂粉末を含むRFL処理液
に浸漬し、120°Cにて乾燥後180°Cにて2分間
熱処理した。次に、表4のゴム配合物を、MEK、トル
エンに溶かした後にイソシアネート化合物としてポリア
リールポリイソシアネート(商品名PAPI)を添加し
た処理液に、RFL処理後の繊維材料を浸漬し、第1ゴ
ム層を形成した。更に、表6の処理液配合表に従って、
表4のゴム配合物にゴム配合物100に対してノクラッ
クNBC(老化防止剤)を20重量部加え、MEK、ト
ルエンに前記ゴム配合物とノクラックNBCとが前記混
合液に対して約15%となるような処理液とした上に、
フッ素樹脂粉末又はグラファイト、二硫化モリブデン等
を添加混合した処理液とした。この処理液に第1ゴム層
を形成した繊維材料を浸漬し乾燥して第2ゴム層を形成
してベルト本体被覆用の歯布とした。
【0060】次に、ベルト作製用金型に上記の歯布を巻
き付け、表7のSZ撚一対のRFL及びイソシアネート
にて接着処理された心線(ガラス繊維、1.2mm直
径)を一定ピッチ(1.4mm)でスパイラルに一定張
力で巻き付け、その上に表2のゴム組成物3b−1、3
b−2、3b−3、3b−4のシートを、さらにその上
に表1のゴム組成物3a−1、3a−2、3a−3、3
a−4のシートを巻き付けた。この後、これを通常の圧
入による加圧方法(160°Cで30分間加圧加硫して
成形)によって、筒状の加硫成形品を得た。尚、表1と
表2の2種類のゴムシートは事前に張り合わせておいて
使用することもできる。
【0061】
【表7】
【0062】作製したベルトのサイズは、ベルト幅15
mm、ベルト歯形Y(8.0mmピッチ)、歯数105
であり、通常105Y15と表示される。表8に実施例
1〜4及び比較例1〜5の各材料の組み合わせを示す。
また、実施例1〜4及び比較例1〜5で得た歯付ベルト
について、物性及び走行性能を測定し、結果を表8に示
した。歯剪断力の測定は、図5の冶具13を用い、歯付
ベルトAに垂直方向にベルト幅1mm当たり9.8N・
cmで締め付けた後に50mm/minの引張スピード
で上向き矢印方向へ引っ張り、歯部1の剪断力を測定す
ることによって行なった。図3において14は締め付け
ボルト、15は歯付ベルトAの歯部1にかみ合う爪であ
る。
【0063】また、走行性能のうち走行時間の試験は、
図6の試験機を用いて、雰囲気温度100°Cで行な
い、背面部3のゴムクラック、歯部1の歯元のクラック
など歯付ベルトとしての機能が果たせなくなった時点を
もって寿命とし、そのときまでの走行時間を表8に示し
た。図6において16は歯数24の駆動プーリ(600
0rpm)、17は歯数48の従動プーリ、18は歯数
48の従動プーリ、19は50mmφの従動プーリ、2
0は50mmφのテンションプーリである。
【0064】また発音の試験は、図7の試験機を用いて
歯付ベルトAを走行させた際の発音をマイク25で集音
することによって行ない、発音レベルは聴覚を数値化し
て5段階で評価判定したものであり、数値が大きい程音
が静かで、4.0以上が合格レベルである。図7におい
て26は歯数24の駆動プーリ(3000rpm)、2
7は歯数48の従動プーリ、28は50mmφのテンシ
ョンプーリである。
【0065】
【表8】
【0066】また、次に走行試験装置として図8に示す
駆動プーリ歯数19、従動プーリ歯数38にて駆動プー
リ回転数7200rpm、従動プーリ負荷7.5kWと
し、初張力を350N、雰囲気温度を130°Cに設定
した高負荷、高張力、高温条件での耐久走行試験を実施
した。その耐久試験における寿命時間と故障形態をベル
トの構成と共に表9〜11に示す。
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
【表11】
【0070】実施例5〜7と比較例6とにおいて、ナイ
ロン織物H−NBRラテックスを使用しフッ素樹脂粉末
(商品名 フルオンAD1)を添加したRFL処理液に
て処理した場合、高負荷走行寿命時間が大幅に延びてい
ることが判る。また、実施例5〜7において、繊維材料
中のゴム成分100重量部に対しフッ素樹脂粉末を30
〜200重量部添加した場合、効果が顕著である。ま
た、実施例3〜7、実施例20と比較例6において、R
FL処理液に添加されるフッ素樹脂粉末の粒径は小さい
ものほど効果が大きく、実施例20のように350μm
になると、何も添加しない比較例6よりも若干の効果が
見られるが、RFL処理液の不十分となってその効果が
粒径の小さい実施例5〜9に比べると小さくなる。ま
た、実施例13と実施例21において、フッ素樹脂粉末
を含むRFL処理液の濃度を下げて含浸被覆、乾燥、熱
処理後の歯布重量を処理前歯布の重量と比較して見られ
る付着量を6%及び4%に調整したが、6%では顕著な
効果が得られるが、4%では若干の効果に留まることか
ら、5%以上が好ましいことが判る。
【0071】実施例10〜14は、RFL処理液のゴム
成分を変更したものである。歯布のゴム成分がVP、C
R、CSMの何れであっても、効果が認められる。実施
例14〜17は、フッ素樹脂粉末を含む歯布に更に、H
−NBR配合のゴム糊中に添加剤としてフッ素樹脂粉末
とその他の減摩材を添加したゴム糊処理を施したものの
効果を確認したものである。ゴム糊の添加物として、フ
ッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン、グラファイト、アラ
ミド繊維粉末を添加したものは、更にベルト寿命向上の
効果がある。実施例18〜20と比較例7〜9について
は、歯布用織物の組成はアラミド、ポリエステル、PB
Oの何れの織物も、フッ素樹脂粉末を含むRFL処理液
を含浸付着させたものは効果がある。また、ベルト本体
の歯ゴムを含んだ背面部の内側の層のゴム配合物のゴム
成分は、CR、CSM、EPTの何れのゴム配合物でも
効果が認められる。また、歯付ベルトの心線はガラス心
線の他アラミド、PBOからなる心線を使用しても効果
がある。
【0072】
【発明の効果】上記のように本発明は、長手方向に沿っ
て所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背
部を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルト
において、背面部を構成するゴム層を2層構造に形成
し、少なくとも前記2層構造の外側の層を内側の層より
も高硬度のゴムを使用し、前記歯布の表裏面及び繊維間
に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集束
するように、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記フッ
素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の表裏
面及び繊維間に含浸付着されている歯付ベルトとしたの
で、背面部の外側の層は高硬度のゴムで形成されてお
り、背面部の外側の層で耐摩耗性を高めることができ
る。
【0073】さらに、本発明では、上記背面部を構成す
る2層構造のゴム層の外側の層を、100%伸長時のモ
ジュラスが4.5MPa以上大きく、切断時の伸度が4
00%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が3
度以上高い物性を有するゴムで形成するようにしたの
で、背面部の外側の層は高モジュラスで高硬度のゴムで
形成されていると共に背面部の内側の層は上記外側の層
よりも低モジュラスで低硬度のゴムで形成されているこ
とから、背面部の外側の層で耐摩耗性や耐クラック性を
高めることができると共に、背面部の内側の層で静粛性
や寿命を向上することができるものである。
【0074】また本発明は、背面部を構成する2層構造
のゴム層の外側の層を、水素化ニトリルゴムと不飽和カ
ルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重量比で混
合したポリマー成分100重量部に対して、有機過酸化
物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成す
るようにしたので、請求項2の物性を有するもので背面
部の外側の層のゴムを形成することができるものであ
る。
【0075】また本発明は、請求項3において有機過酸
化物の他に、カーボンブラック5〜50重量部、可塑剤
2〜15重量部を配合するようにしたので、背面部の外
側の層のゴムの物性として高いモジュラスや引き裂き強
度を確保することができるものである。また本発明は、
背面部を構成する2層構造のゴム層の内側の層を、水素
添加率90〜98%の水素化ニトリルゴム100重量部
に対して、カーボンブラック10〜80重量部、可塑剤
2〜15重量部、有機過酸化物0.2〜10重量部を配
合して架橋したゴムで形成するようにしたので、静粛性
や寿命向上に必要な硬度やモジュラスの物性を有するも
ので背面部の内側の層のゴムを形成することができるも
のである。
【0076】また、上記構成の本発明によると、繊維材
料の表裏面及び繊維間にフッ素樹脂粉末を集束させたの
で、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記接着成分及び
前記ゴム成分と結合しないフッ素樹脂粉末との混合物が
含浸付着すると、繊維材料の内部迄大量のフッ素樹脂粉
末を含んだゴム成分及び樹脂系接着成分を位置させるこ
とができ、ベルト走行中の摩擦係数を走行中継続して低
減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯付ベルトの要部の構造を示す拡大断
面図である。
【図2】本発明の歯付ベルトの全体構造を示す図であ
り、(a)は一部破断斜視図、(b)は一部の断面図で
ある。
【図3】本発明の歯付ベルトの歯布の一部の拡大写真を
示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示す一部の断面図
である。
【図5】ベルト剪断力測定冶具を示す正面図である。
【図6】走行試験に用いる装置の概略図である。
【図7】発音測定に用いる装置の概略図である。
【図8】歯付ベルトの耐久性能測定装置を示す概略図で
ある。
【符号の説明】
1 歯部 2 心線 3 背面部 3a 外側の層 3b 内側の層 4 歯布 5 第1ゴム層 6 第2ゴム層 7 緯糸 8 経糸 9 ゴム配合物 10 カバー帆布 11,12 境界面 13 冶具 14 締め付けボルト 15 爪 16 駆動プーリ 17 従動プーリ 18 従動プーリ 19 従動プーリ 20 テンションプーリ 21 ゴム成分 22 樹脂系接着成分 23 フッ素樹脂 24 混合物 25 マイク 26 駆動プーリ 27 従動プーリ 28 テンションプーリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大迫 信隆 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背面部を構成
    するゴム層を2層構造に形成し、少なくとも前記2層構
    造の外側の層を内側の層よりも高硬度のゴムを使用し、
    前記歯布の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉
    末を含む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成
    分と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減
    摩材とが前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着さ
    れている歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 前記2層構造の外側の層を、100%伸
    張時のモジュラスが4.5MPa以上で且つ内側の層の
    ゴムよりも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度が4
    00%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が3
    度以上高い物性を有するゴムで形成してなる請求項1に
    記載の歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 背面部を構成する2層構造のゴム層の外
    側の層が、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属
    塩とを98:2〜55:45の重量比で混合したポリマ
    ー成分100重量部に対して、有機過酸化物0.2〜1
    0重量部を配合して架橋したゴムで形成されている請求
    項2に記載の歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 有機過酸化物の他に、カーボンブラック
    5〜50重量部、可塑剤2〜15重量部を配合すること
    を特徴とする請求項3に記載の歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 前記樹脂系接着成分及びゴム成分は、レ
    ゾルシンーホルマリンーゴムラテックス処理液を乾燥し
    て形成された請求項1から3のいずれかに記載の歯付ベ
    ルト。
  6. 【請求項6】 前記フッ素樹脂粉末は、前記ゴム成分1
    00重量部に対し30〜200重量部添加され、その平
    均粒子径は、100μm以下であり、前記混合物は、前
    記繊維材料重量の5〜40%含浸付着している請求項1
    から4のいずれかに記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 前記フッ素樹脂粉末が前記接着成分及び
    前記ゴム成分と結合していない請求項1から5いずれか
    に記載の歯付ベルト。
  8. 【請求項8】 前記混合物を含浸付着した前記繊維材料
    に、さらにイソシアネート化合物を含んだゴム配合物を
    第1ゴム層として形成させた請求項1から5のいずれか
    に記載の歯付ベルト。
  9. 【請求項9】 前記第1ゴム層を含浸形成した前記繊維
    材料に、さらにフッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外
    の減摩材を配合した第2ゴム層を形成させた請求項7に
    記載の歯付ベルト。
  10. 【請求項10】 前記減摩材がグラファイトである請求
    項8に記載の歯付ベルト。
  11. 【請求項11】前記第1ゴム層及び前記第2ゴム層のゴ
    ム成分は、前記ベルト本体の前記ゴム配合物と同種であ
    る請求項1から9のいずれかに記載の歯付ベルト。
  12. 【請求項12】背面部を構成する2層構造のゴム層の内
    側の層が、水素添加率90〜98%の水素化ニトリルゴ
    ム100重量部に対して、カーボンブラック10〜80
    重量部、可塑剤2〜15重量部、有機過酸化物0.2〜
    10重量部を配合して架橋したゴムで形成されているこ
    とを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の歯
    付ベルト。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005098470A (ja) * 2002-10-17 2005-04-14 Mitsuboshi Belting Ltd 歯付ベルト

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JP2005098470A (ja) * 2002-10-17 2005-04-14 Mitsuboshi Belting Ltd 歯付ベルト

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