JP2001208137A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2001208137A
JP2001208137A JP2000019394A JP2000019394A JP2001208137A JP 2001208137 A JP2001208137 A JP 2001208137A JP 2000019394 A JP2000019394 A JP 2000019394A JP 2000019394 A JP2000019394 A JP 2000019394A JP 2001208137 A JP2001208137 A JP 2001208137A
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toothed belt
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JP2000019394A
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Nobutaka Osako
信隆 大迫
Akihiro Ueno
明宏 上野
Kazuhiro Takeda
和宏 竹田
Taisuke Nakai
泰典 中井
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯布に含浸被覆されるゴム組成物に、フッ素
樹脂を摩擦係数低減作用が発揮されやすい形態にして大
量に含有させ、さらに前記ゴム組成物と歯布との接着成
分に減摩材を含ませ耐摩耗性および耐歯欠け性を改善し
た歯布被覆の歯付ベルトを提供する。 【解決手段】 背面部3を構成するゴム層を2層構造に
形成し、少なくとも前記2層構造の外側の層3aを内側
の層3bよりも高硬度のゴムを使用し、前記歯布4の表
裏面及び内部が互いに連通状態になるように第1ゴム組
成物5を含浸被覆し、前記歯布4を構成する糸にグラフ
ァイトあるいは二硫化モリブデンのうちから選ばれた少
なくとも1種の減摩材を含んだ前記第1ゴム組成物5の
第1接着成分13が付与された歯付ベルトである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用エ
ンジンのカム軸及びインジェクションポンプの駆動用、
一般産業用機械の同期伝導用、小型機械に用いられる正
確な位置決め精度を要求される搬送用などに使用される
歯布被覆の歯付ベルトに関し、特に耐摩耗性および耐歯
欠け性を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのカム軸、インジェク
ションポンプ、オイルポンプ、水ポンプを同時に駆動し
ている歯付ベルトは、エンジンの高出力化やエンジンル
ールのコンパクト化に伴い使用条件が従来より一層厳し
くなり、更なる耐久性の向上が要求されてきている。ま
た、一般産業用に使用される同期伝導用の歯付ベルトや
小型機械に用いられる正確な位置決め精度を要求される
搬送用の歯付ベルトも、同様でベルトの取り替え周期の
延長を要求されている。
【0003】歯付ベルトの故障形態は、心線の疲労によ
るベルトの切断と過負荷や歯布摩耗による歯欠けに大別
される。心線の疲労による切断に対しては、アラミド心
線や高強度ガラスの細径心線の使用、耐熱性に優れる水
素化ニトリルゴム(H−NBR)組成物の使用、エンジ
ン側の改良としてベルト張力を始動時及び走行時共に一
定に保つオートテンショナーの使用などにより改良さ
れ、切断故障の発生は減少している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、歯欠けの発生
については、高強力タイプのナイロン6−6、アラミド
繊維を使用した歯布の使用などの対策が施されているも
のの、未だ十分ではない。そこで、歯布を被覆した歯付
ベルトの耐歯欠け性を更に向上させるために、歯布表面
の低摩擦係数化を図ることが有力視されている。EP0
662571B1には、歯布の織物層の外側にフッ素樹
脂を含むポリマーマトリックス層を吹き付け又は塗布に
よりコーティングする歯付ベルトが提案されている。こ
のフッ素樹脂は、特殊なポリマーマトリックス内に境界
層無しに結合されている。そして、このポリマーマトリ
ックスを歯布に結合させる。しかしながら、フッ素樹脂
がポリマーマトリックスに強固に結合されているため、
フッ素樹脂がマトリックスに囲われたままになって、フ
ッ素樹脂による摩擦係数低減作用が十分発揮できなくな
るという問題点があった。また、ポリマーマトリックス
の材質的制限から、含有できるフッ素樹脂量が少なく、
ポリマーマトリックス層の厚みも薄くなり、フッ素樹脂
による耐歯欠け性の向上が十分ではないという問題点が
あった。
【0005】また、特開平7−151190には、歯布
の表面及び内部に繊維化したフッ素樹脂を含むゴム組成
物を含浸させ、歯布の裏面を接着層を介してベルト本体
のゴム層に結合する歯付ベルトが提案されている。ゴム
組成物中のフッ素樹脂を混練工程等により繊維化するの
は、ゴム組成物中のフッ素樹脂が異物化してゴム組成物
の強度を低下させないためである。しかし、ゴム組成物
中で繊維化したフッ素樹脂は、摩擦面に露出する機会が
少なく、フッ素樹脂による摩擦係数低減作用が十分では
なくなるという問題点があった。また、フッ素樹脂を繊
維化して異物化させずに強度を維持するために、歯布に
含浸させるゴム100重量部に対して1〜30重重量部
程度のフッ素樹脂しか含有させることができず、耐歯欠
け性の向上が十分ではないという問題点があった。
【0006】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であって、歯布に含浸被覆されるゴム組成物に、フッ素
樹脂を摩擦係数低減作用が発揮されやすい形態にして大
量に含有させ、耐摩耗性および耐歯欠け性を改善した歯
布被覆の歯付ベルトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯布に含浸被
覆されるゴム組成物と結合しないフッ素樹脂を、歯布の
表裏面及び内部であって歯布を構成する経糸や緯糸の繊
維フィラメントに近い部分まで分散配置させると、多量
のフッ素樹脂を含有させることができるとともに、フッ
素樹脂が摩擦面に対して露出する機会が増大し、フッ素
樹脂による摩擦係数低減作用を確実に発揮できる、とい
う知見を得て完成されたものである。
【0008】すなわち、第1発明は、長手方向に沿って
所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部
を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルトに
おいて、背面部を構成するゴム層を2層構造に形成し、
少なくとも前記2層構造の外側の層を内側の層よりも高
硬度のゴムを使用し、前記歯布の表裏面及び内部が互い
に連通状態になるように第1ゴム組成物を含浸被覆し、
この第1ゴム組成物内にフッ素樹脂が前記第1ゴム組成
物と結合されることなく分散されており、さらに前記歯
布を構成する糸にグラファイト或いは二硫化モリブデン
のうちから選ばれた少なくとも1種の減摩材を含んだ前
記第1ゴム成分との接着成分が付与され、前記第1ゴム
組成物と前記歯部及び前記背部を構成する第2ゴム組成
物とを加硫加圧により一体化したことを特徴とする。背
面部を構成するゴム層を2層構造に形成し、少なくとも
前記2層構造の外側の層を内側の層よりも高硬度のゴム
を使用したので、背面部の外側の層は高硬度のゴムで形
成されており、背面部の外側の層で耐摩耗性を高めるこ
とができる。歯布の表裏面及び内部が互いに連通状態に
なるように含浸被覆された第1ゴム組成物にすると、第
1ゴム組成物と結合しない状態のフッ素樹脂を歯布を構
成するフィラメントに絡ませることができ、更に大量の
フッ素樹脂を含有させることができる。歯布に二硫化モ
リブデンを含んだ第1ゴム組成物との接着成分を含ませ
ると、フッ素樹脂を保持する第1ゴム組成物が歯布を構
成する繊維周辺まで浸透し、結果的に大量のフッ素樹脂
を歯布に絡ませることができる。さらに上記第1接着成
分中にグラファイト或いは二硫化モリブデンのうちから
選ばれた少なくとも1種の減摩材を含ませることによっ
てグラファイト或いは二硫化モリブデンを繊維織物及び
それを構成する各繊維の表裏面に集束させることがで
き、結果的に大量のフッ素樹脂とグラファイト或いは二
硫化モリブデンとを歯布に絡ませることができる。
【0009】また、第2発明は、長手方向に沿って所定
間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部を有
し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルトにおい
て、背面部を構成するゴム層を2層構造に形成し、少な
くとも前記2層構造の外側の層を内側の層よりも高硬度
のゴムを使用し、前記歯布の表裏面及び内部に、フッ素
樹脂を第1ゴム組成物中のゴム100重量部に対して5
0〜400重量部添加して分散させた配合物又は、粉末
状のフッ素樹脂を第1ゴム組成物中のゴム100重量部
に対して100〜250重量部添加して分散させた配合
物を付着させ、さらに前記歯布を構成する糸にグラファ
イト或いは二硫化モリブデンのうちから選ばれた少なく
とも1種の減摩材を含んだ前記第1ゴム成分との第1接
着成分を付与し、前記フッ素樹脂は前記第1ゴム組成物
と結合させず、前記第1ゴム組成物と前記歯部及び前記
背部を構成する第2ゴム組成物とを直接結合させたこと
を特徴とする。そして、好ましくは、前記配合物を付着
処理前の歯布重量に対して7〜40重量%付着させる。
さらに好ましくは前記2層構造の外側の層を、100%
伸張時のモジュラスが4.5MPa以上で且つ内側の層
のゴムよりも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度が
400%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が
3度以上高い物性を有するゴムで形成してなる歯付ベル
トである。
【0010】さらに背面部を構成する2層構造のゴム層
の外側の層が、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸
金属塩とを98:2〜55:45の重量比で混合したポ
リマー成分100重量部に対して、有機過酸化物0.2
〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成されている
ことが好ましい。さらに好ましくは前記第1ゴム組成物
と前記第1接着成分の間、或いは第1ゴム組成物と第1
接着成分とを跨って、第2接着成分としてイソシアネー
ト化合物を含んだゴム配合物を介在させ歯布用接着層を
設け、また更に好ましくは、前記フッ素樹脂を粉末状に
して粉末平均径を0.1〜500μmとしたものであ
る。背面部を構成するゴム層を2層構造に形成し、少な
くとも前記2層構造の外側の層を内側の層よりも高硬度
のゴムを使用したので、背面部の外側の層は高硬度のゴ
ムで形成されており、背面部の外側の層で耐摩耗性を高
めることができる。第1ゴム組成物と結合しないフッ素
樹脂を、第1ゴム組成物100重量部に対して50〜4
00重量部又は100〜250重量部になる程度に大量
に含ませると、フッ素樹脂の摩擦面での露出の程度が大
きくなって摩擦係数低減作用を発揮する。
【0011】また、前記第1発明及び第2発明におい
て、前記歯布の第1ゴム組成物に前記フッ素樹脂以外の
減摩材が添加されているか、又は、前記歯布の第1ゴム
組成物と前記歯部及び前記背部の第2ゴム組成物とが同
種であるものが好ましい。あるいは前記第1接着成分に
含まれているグラファイト或いは二硫化モリブデンが粉
末状であり、粉末の粒度が0.1〜500μmであるこ
とが好ましい。さらに、背面部を構成する2層構造のゴ
ム層の内側の層が、水素添加率90〜98%の水素化ニ
トリルゴム100重量部に対して、カーボンブラック1
0〜80重量部、可塑剤2〜15重量部、有機過酸化物
0.2〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成され
ていることが好ましい。前記第1ゴム組成物にフッ素樹
脂以外の摩擦係数低減剤を添加すると、フッ素樹脂と摩
擦係数低減剤の両方による摩擦係数低減効果が発揮され
る。歯布の第1ゴム組成物とベルト本体の第2ゴム組成
物を同質にすると、歯布の第1ゴム組成物に大量の未結
合状態のフッ素樹脂を含ませても、第1ゴム組成物と第
2ゴム組成物の結合を確保できる。また、背面部を構成
する2層構造のゴム層の内側の層を、水素添加率90〜
98%の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、カ
ーボンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜15重量
部、有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋し
たゴムで形成するようにしたので、静粛性や寿命向上に
必要な硬度やモジュラスの物性を有するもので背面部の
内側の層のゴムを形成することができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、歯布の拡大断面図であり、
図2は、本発明の歯付ベルトの全体構造を示す図であ
る。図2において、歯付ベルトAは、長手方向に沿って
所定間隔で配置した複数の歯部1と、歯部1と連続する
背面部3と、背面部3に埋設された心線2と、歯部1の
表面に被覆された歯布4とを有する構造である。背面部
3と歯部1は、第2ゴム組成物9で形成されたベルト本
体を構成する。また、歯布4は、ベルトの長手方向に延
在する緯糸7と、ベルトの幅方向に延在する経糸8とを
織成して成る。このように、歯布の繊維材料は、ベルト
の伝動面に被覆され、ベルト本体の表の全面又は一部に
被覆される。
【0013】また背面部3及び歯部1はゴム層によって
形成されるが、背面部3を構成するゴム層を外側(歯部
1と反対側)の層3aと、内側(歯部1側)の層3bの
2層構造に形成するようにしてある。
【0014】ここで本発明において、背面部3の外側の
層3aを構成するゴムとしては、水素化ニトリルゴムと
不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重
量比で混合したポリマー成分100重量部に対して、有
機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴム
であり、且つ100%伸張時のモジュラス(引張弾性率
M100)が4.5MPa以上であると共に切断時の伸
度が400%以上の物性を有するゴムが用いられるもの
である。
【0015】背面部3の外側の層3aのゴムが、100
%伸長時のモジュラスが4.5MPa未満であると、歯
付ベルトがテンションプーリやアイドラープーリ等と接
触した際の応力によるゴム変形が大きくなる場合に、ゴ
ムがこれに耐えることができなくなるために、耐摩耗性
や耐クラック性が小さくなってベルト寿命が短くなるも
のである。また、切断時の伸度が400%未満である
と、屈曲による亀裂が発生し易く、ベルト寿命が短くな
るものである。この為に本発明では背面部3の外側の層
3aのゴムとして上記のように、100%伸長時のモジ
ュラスが4.5MPa以上であり且つ切断時の伸度が4
00%以上のものを用いるものであるが、100%伸長
時のモジュラスが10MPaを越えると、切断時の伸度
を400%以上に調整でき難くなるので、100%伸長
時のモジュラスが4.5〜10MPaの範囲から外れな
いように伸度を調整するのが好ましい。
【0016】また背面部3の外側の層3aを構成するゴ
ムに用いられる上記の水素化ニトリルゴムとしては、耐
熱性の観点から水素添加率が少なくとも90%以上であ
ることが必要であり、92〜98%が好適である。そし
てこの水素化ニトリルゴムに不飽和カルボン酸金属塩を
配合することによって、モジュラス(引張弾性率)を高
めるようにしているものであり、上記に規定した数値の
モジュラス(引張弾性率)や切断伸度、さらに高い引き
裂き強度を確保する為には、上記のように水素化ニトリ
ルゴムと不飽和カルボン酸金属塩とを98:2〜55:
45の重量比で混合することが必要である。不飽和カル
ボン酸金属塩としては特に制限されるものではないが、
アクリル酸亜鉛やメタクリル酸亜鉛等を用いることがで
きる。尚、不飽和カルボン酸金属塩を用いず、カーボン
ブラックによる補強でモジュラス(引張弾性率)を高め
ることは可能であるが、ゴムの切断伸度や引き裂き強度
が低下してしまい、ゴムの変形や屈曲によるクラックの
発生に対する十分な耐久性を付与することができないの
で、好ましくない。
【0017】この水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン
酸金属塩からなるポリマー成分に配合される上記の有機
過酸化物は架橋剤として用いられるものであり、上記に
規定した数値のモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を
確保する為には、上記のようにポリマー成分100重量
部に対して有機過酸化物を0.2〜10重量部配合して
架橋することが必要である。有機過酸化物としては、特
に制限されるものではないが、例えば、1,1−ジ−t
−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジブチルクミ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ
イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート等を使用することができる。またこ
のような有機過酸化物の他に、硫黄化合物、オキシムニ
トロソ化合物や、モノマー類、ポリマー類で共架橋剤と
して一般に使用されるものを適量添加しても差し支えな
い。
【0018】さらに、これらの他に、上記に規定した数
値にモジュラス(引張弾性率)や切断伸度を確保し、適
度な引き裂き強度を確保する範囲で、カーボンブラック
や可塑剤等を適宜添加することもできる。水素化ニトリ
ルゴムと不飽和カルボン酸金属塩からなるポリマー成分
100重量部に対して、カーボンブラックは5〜50重
量部、可塑剤は2〜15重量部配合するのが好ましい。
可塑剤としては耐熱性に優れたトリメリット酸系、ポリ
エステル系、ポリエーテル系、フタル酸系のものなどを
用いることができる。
【0019】一方、本発明において、背面部3の内側の
層3aを構成するゴムとしては、水素添加率90〜98
%の水素化ニトリルゴム100重量部に対して、カーボ
ンブラック10〜80重量部、可塑剤2〜15重量部、
有機過酸化物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴ
ムが用いられるものであり、歯部1も背面部3のこの内
側の層3aと同じゴムで一体に形成されるものである。
可塑剤や有機過酸化物としては、上記したものを使用す
ることができるものであり、またこれらの他に、硫黄化
合物、オキシムニトロソ化合物や、モノマー類、ポリマ
ー類で共架橋剤として一般に使用されるものを適量添加
しても差し支えない。
【0020】背面部3の外側の層3aは上記のように高
モジュラスで硬度の高いゴムで形成している為に、ベル
トの振動による音の発生や寿命低下のおそれがある。こ
のために背面部3の内側の層3bを構成するゴムとし
て、外側の層3aのゴムよりも低モジュラスで低硬度の
ものを用いることによって、ベルトの振動による音の発
生や寿命低下を抑えるようにしているものであり、背面
部3の内側の層3bを構成するゴムは硬度が60〜75
度の範囲にある必要が有り(100%伸長時のモジュラ
スは2.5〜6.5MPaになる)、硬度65〜70度
がより好適である(100%伸長時のモジュラスは3.
0〜5.0MPaになる)。背面部3の内側の層3bを
構成するゴムの硬度が60度未満であると、歯付ベルト
がプーリとかみ合うときの歯部1の変形が大きくなって
寿命が低下する恐れが有り、硬度が75度を超えるとベ
ルトの振動による音の発生が大きくなる恐れが有る。
尚、本発明においてゴムの硬度は、JIS K 630
1に記載のスプリング式硬度計を用い、JIS K 6
301に規定される方法に準じて測定した硬度である。
【0021】そして背面部3の内側の層3bを構成する
ゴムとして上記のようなゴム組成を採用することによっ
て、硬度やモジュラス(引張弾性率)が上記の範囲の物
性のゴムで背面部3の内側の層3bを形成するものがで
きるものである。また背面部3の内側の層3bを構成す
るゴムの硬度やモジュラス(引張弾性率)は上記の範囲
に設定されるが、ベルトの振動による音の発生や寿命低
下を抑えながら高い耐摩耗性や耐クラック性を得るため
には、背面部3の外側の層3aを構成するゴムは、この
内側の層3bのゴムよりも、モジュラス(引張弾性率)
が1.0MPa以上大きく、硬度が3度以上高くなるよ
うに設定したものを用いるのがよい。背面部3の外側の
層3aと内側の層3bのゴムのモジュラス(引張弾性
率)が1.0MPa以上大きく、硬度が3度以上高くな
るように設定したものを用いるのがよい。背面部3の外
側の層3aと内側の層3bのゴムのモジュラス(引張弾
性率)の差や硬度の差の上限値は特に設定されるもので
はないが、モジュラス(引張弾性率)の差の上限は7M
Pa程度、硬度の差の上限は15程度が好ましい。
【0022】図1に示されるように、緯糸7と経糸8と
を織成してなる歯布4の表面と裏面と内部に、ゴムを主
体とする第1ゴム組成物5が含浸被覆されている。この
ゴム組成物5の内部に、粉末状のフッ素樹脂6が分散し
て配設されている。そして、フッ素樹脂6と第1ゴム組
成物5とは、結合されておらず、周囲の全部又は一部分
に隙間10が形成されている。また、歯布4が被覆され
る歯部1や背面部3はゴムを主体とする第2ゴム組成物
9で形成されている。
【0023】フッ素樹脂6と第1ゴム組成物5とは、フ
ッ素樹脂6が粉末状のままであって化学的に結合されて
いない。そのため、歯布4が摩擦作用を受けた場合、第
1ゴム組成物5に含まれるフッ素樹脂6が摩擦面に対し
て大きく露出し、摩擦係数低減作用を効果的に発揮す
る。また、フッ素樹脂6を粉末状にすると、歯布4を構
成する緯糸7と経糸8に絡むように大量に配合し、フッ
素樹脂6を歯布4の摩擦面に対して大量に供給できる。
さらに、歯布4の第1ゴム組成物5がベルト本体(歯部
1及び背面部3)の第2ゴム組成物9と、加熱加硫等で
化学的に結合しており、第1ゴム組成物5に大量の粉末
状フッ素樹脂6を配合しても、歯布4とベルト本体の境
界面11は強固に接合されている。
【0024】さらに歯布4と第1ゴム成分を接着する接
着成分13中にグラファイト12が大量に含まれてお
り、歯布4を形成する緯糸7と、経糸8とに絡んで存在
している。これらの第1ゴム成分中に存在するフッ素樹
脂と前記接着成分中に存在するグラファイトの作用とし
ては、まず、プーリとの接触面14を有する第1ゴム成
分がプーリとの摩擦によって摩耗が発生するが、上記フ
ッ素樹脂が第1ゴム成分中に分散して存在している為に
フッ素樹脂が存在しない場合と比べると摩擦係数が小さ
いことにより耐摩耗性に優れ第1ゴム組成物の摩滅が遅
い。さらに万一第1ゴム組成物が摩滅し消滅した場合で
も歯布4の周囲にはグラファイト12を含んだ接着成分
13が存在し、プーリ表面との摺動面に現れることにな
るので、歯布4周囲の耐摩耗性も優れ、従来のベルトと
比較して歯布4の摩耗を極端に遅くすることができ、ひ
いては歯付ベルトの寿命を極端に延ばすことができる作
用がある。ここで、グラファイト12の代わりに二硫化
モリブデンを用いても同様の効果が有る。
【0025】歯布4を構成する緯糸7、経糸8の材質と
しては、それぞれナイロン、アラミド、ポリエステル、
ポリベンゾオキサゾール繊維の何れか又は組み合わせが
採用できる。繊維の形態は、フィラメント糸及び紡績糸
の何れでも良く、単独組成の撚糸又は混撚糸、混紡糸の
何れであっても良い。第1ゴム組成物5を繊維内部にま
で含浸できる程度に紡績糸又はフィラメントが集まった
糸が好ましい。また、アラミド繊維又はポリベンゾオキ
サゾール繊維は、それ自体が低摩擦係数の繊維であるた
め、少なくともベルト長手方向の緯糸7に含ませること
により、耐歯欠け性を向上させる。
【0026】また、歯布の織成構成は綾織り、繻子織
り、平織り等何れでもフッ素樹脂6及びグラファイト1
2を大量に含ませることができる。フッ素樹脂6が分散
した第1ゴム組成物5が歯布4に効果的に含浸被覆する
ためには、第1ゴム組成物5が歯布4の表裏面及び内部
で互いに連通状態になる程度に、繊維の太さや密度を選
択する。
【0027】歯布4に含浸被覆される第1ゴム組成物5
のゴムは、歯部及び背部のベルト本体を構成する第2ゴ
ム組成物9のゴムと、同種のものが選定される。自動車
エンジン及び各種エンジン用歯付きベルトにはその使用
環境により、第1ゴム組成物及び第2ゴム組成物のゴム
として、耐熱性と耐油性を兼ね備えた水素化ニトリルゴ
ム(H−NBR)、クロロプレン(CR)、クロロスル
ホン化ポリエチレン(CSM)等が用いられる。何れの
ゴムを使用した第2ゴム組成物を背部及び歯部に用い、
且つ、同種のゴムを用いた第1ゴム組成物をゴム糊にし
てフッ素樹脂を添加して処理液として処理した歯布を使
用した歯付きベルトはいずれのゴム組成物の場合もフッ
素樹脂添加の効果が大きい。ただし、その他一般産業用
機械に用いる歯付きベルトに使用される上記以外のゴ
ム、例えば、アクリロニトリルブタジエン共重合体(N
BR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPD
M)、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、スチレ
ンブタジエン共重合体(SBR)、イソプレンゴム(I
R)、天然ゴム(NR)、アクリルゴム、フッ素ゴム、
シリコンゴム等何れの場合も同様にフッ素樹脂を歯布の
処理に使用することにより歯欠け寿命向上の効果があ
る。特に、前記水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オ
ゾン性の特性を発揮するために、水素添加率が80%以
上、更に水素添加率が90%以上であるのが良い。水素
添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び
耐オゾン性が極度に低下する。
【0028】前記第1ゴム組成物は、前記ゴムに、配合
剤としてカーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可
塑剤、老化防止剤等が添加され、また加硫剤として硫
黄、有機過酸化物が添加されてなる。これらの配合剤や
加硫剤などの含有量は常法によればよく、特に制限され
ない。
【0029】歯布4に含浸被覆される第1ゴム組成物の
ゴムと結合しないフッ素樹脂6は、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリトリフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラ
フルオロエチレン−パ−フルオロアルコキシエチレン共
重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体の
一種以上である。これらフッ素樹脂6は造粒又は破砕に
より粉末状とされ、その平均粒直径が500μm以下で
ある。歯布4の緯糸及び経糸を構成する繊維フィラメン
ト表面に近い位置に、フッ素樹脂6を付着させ歯付きベ
ルトとプーリとの噛み合い時の摩擦係数を低減させベル
ト寿命を延長させる作用は、フッ素樹脂6中のフッ素原
子数の割合が多い程その効果は大きい。そのため、同量
の歯布への付着量を前提とした場合、上記フッ素樹脂6
の中ではポリテトラフルオロエチレンが最も摩擦係数低
減の効果が大きく歯欠け寿命が長い。しかし、他のフッ
素樹脂も分子内のフッ素原子数の割合にほぼ比例してそ
の効果がある。そのフッ素樹脂の粉末状の形態について
は特に制限されないが、平均直径が500μm以下に粉
砕又は造粒された粉体の状態でゴム組成物中に分散させ
る。直径が500μmを越えるとベルト内におけるフッ
素樹脂6の表面積が減少して効果が少なくなる。直径が
0.1μmになると、粉末が分散しすぎて、摩擦面に露
出する機会が少なくなる。特に、乳化重合や懸濁重合等
で得られる粒子直径の小さい3〜30μmのフッ素樹脂
が摩擦係数低減効果が大きい。
【0030】フッ素樹脂6を歯布4に付着させる具体的
方法として下記のものが例示できる。第1ゴム組成物を
混練り後、第1ゴム組成物をメチルエチルケトン(ME
K)、トルエン等の溶剤に溶解させ、フッ素樹脂6を第
1ゴム組成物中のゴム100重量部に対し50〜400
重量部添加し、均一に分散させて処理液とする。処理液
に歯布4を浸漬し乾燥させ、浸漬処理前の歯布4の重量
に対しフッ素樹脂6とゴム組成物の配合物の付着量を7
〜40重量%としてベルト作製に使用する。また、フッ
素樹脂6を水に分散させたものを、レゾルシンホルマリ
ンゴムラテックス混合物中に混合して、歯布用織物を浸
漬、乾燥、熱処理して歯布表面、裏面、歯布内部の繊維
フィラメント表面に固着する方法を用いることもでき
る。
【0031】フッ素の添加量として、歯付きベルトの高
負荷条件での走行に対して性能向上の効果が認められる
ためには、ゴム組成物中のゴム100重量部に対しフッ
素樹脂6が50重量部添加しないと効果が少ない。一
方、添加するフッ素樹脂量がゴム組成物のゴム100重
量部に対し400重量部を越えると歯布の接着性が低下
し、ベルト性能が低下する。好ましい添加量は、ゴム1
00重量部に対して、100重量部を越え、250重量
部以内である。
【0032】前記フッ素樹脂の粉末とゴム組成物とから
なる配合物の歯布への付着量を測定する方法としては、
前処理済みの歯布用織物の質量を秤量し質量(W1)を
計る。次に上記配合物を溶解させた処理液に、前処理済
の歯布用織物を浸漬した後歯布用織物をオーブンに入れ
質量が一定になる迄乾燥を続け、最終質量(W2)を計
り、式((W2−W1)/W1)×100(%)で算出
する。
【0033】また、フッ素樹脂とゴム組成物との配合物
の付着量が少なくとも含浸処理前の歯布重量に対して7
重量%以上でないと接着力も低くフッ素樹脂6の付着量
の総量が少ないためベルト性能向上の効果が少なく、4
0重量%を越えると歯布剛性が上昇し、歯形を加硫中に
成型しにくくなる。好ましい付着量は、含浸処理前の歯
布重量に対して15〜25重量%である。
【0034】また、フッ素樹脂6と共に、二硫化モリブ
デン、層状構造のグラファイト、ガラスビーズ、セラミ
ック粉末、球状フェノール樹脂粉末及びアラミド、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾール、繊維
のカット糸又は粉末の一種以上を、溶剤に溶かしたゴム
組成物のゴム糊中に添加して混合分散させ、歯布を浸漬
して乾燥後ベルト作製時に加硫により歯布と接着しベル
ト本体と一体化させることが好ましい。これらの摩擦係
数低減剤の更なる添加により、摩擦係数低減作用がフッ
素樹脂6を単独で用いるより増強され、ベルトの耐久性
が更に向上する。特に、二硫化モリブデンと層状構造を
もつグラファイトは従来より摺動剤として使用されてお
り、フッ素樹脂6と併用すると、更にプーリとベルトの
噛み合い時の摩擦によるベルト歯底部に掛かる応力が軽
減される。
【0035】また、歯布4に含浸被覆されるゴム組成物
の密着性を向上させ、歯布4の緯経糸の表面に近い部分
にフッ素樹脂を付着させ、同時にベルト本体と歯布4の
優れた結合性を得るために、歯布4に使用される繊維に
接着成分付与のための処理を施すことが好ましい。この
接着成分付与の方法として下記のものが好ましい。
【0036】未処理歯布をイソシアネート化合物、エポ
キシ化合物、又はRFL液を含む室温に設定した前処理
液に0.5〜30秒間浸漬した後、150〜190℃に
調節したオーブンに2〜5分間通して乾燥させる。上記
前処理液中にはグラファイト或いは二硫化モリブデンの
うちから選ばれた少なくとも1種の減摩材を前もって混
合分散させておく。このとき使用するグラファイト又は
二硫化モリブデンは粒度が0.1〜500μmのものを
使用し、さらに0.1〜10μmの微小のものを使用す
るとより好ましい。上記前処理液は未処理歯布に付着し
て乾燥後は接着成分として機能し、歯布と第1ゴム組成
物とを接着する機能がある。そして、少なくともグラフ
ァイト或いは二硫化モリブデンのうちから選ばれた少な
くとも1種の減摩材を上記前処理液に混合分散させるこ
とにより、上記前処理液が歯布に付着、乾燥した後歯布
を構成する繊維の周囲にグラファイト或いは二硫化モリ
ブデンが存在し繊維の摩滅を防ぐ作用が有る。さらにグ
ラファイト或いは二硫化モリブデンが層状構造をしてい
るものを使用すると、歯付ベルト表面の摩耗が進行して
も連続的に上記減摩材がプーリとの摺動面に現れること
となり、常にプーリとの摺動面の摩擦係数が低く耐摩耗
性が良く、歯布の摩滅を十分抑止することができる。
【0037】上記前処理液で使用するイソシアネート化
合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、トリレン2,4−ジイソシアネート、ポ
リメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、ポリアリールポリイソシアネー
ト(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。こ
のイソシアネート化合物もトルエン、メチルエチルケト
ン等の有機溶剤に混合して使用される。また、上記イソ
シアネート化合物にフェノール類、第3級アルコール
類、第2級アルコール類等のブロック化剤を反応させて
ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化し
たブロック化ポリイソシアネートも使用可能である。
【0038】また、前処理液で使用するエポキシ化合物
としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール等の多価アルコールや、ポリエチレ
ングリコール等のポリアルキレングリコールとエピクロ
ルヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反
応生成物や、レゾルシン、ピス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ジメチルメタン、フェノール、ホルムアルデヒド樹
脂、レゾルシン、ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノ
ール類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物な
どである。上記エポキシ化合物はトルエン、メチルエチ
ルケトン等の有機溶剤に混合して使用される。
【0039】さらに、前処理液で使用されるRFL液
は、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物とニトリルゴ
ムラテックスそして水素化ニトリルゴムラテックスから
選ばれた少なくとも一種のゴムラテックスとを混合した
ものであり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比
は3/1〜1/3にすることが接着力を高めるうえで好
適である。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物
は、これをゴムラテックスのゴム分100重量部に対し
てその樹脂分が5〜100重量部になるようにゴムラテ
ックスと混合したうえ、全固形濃度を5〜40%濃度に
調節される。
【0040】本発明のフッ素樹脂6は、ゴム組成物中に
分散された状態であり、未処理の歯布用織物の繊維と直
接結合して接着しない。そのため、前記繊維を上述した
方法により予め、RFL、エポキシ樹脂、イソシアネー
トの何れかの接着成分で処理した後に、フッ素樹脂が分
散されたゴム組成物を積層してベルト本体のゴムと加圧
加硫して繊維とベルト本体を強固に接着する。又は、フ
ッ素樹脂とゴム組成物等との配合物を溶剤に溶かした処
理液中にエポキシ樹脂又はイソシアネート等の接着成分
を添加して直接未処理の歯布用織物と接着させることも
できる。フッ素樹脂を含むゴム組成物が歯布用織物の繊
維表面とエポキシ樹脂又はイソシアネートの接着成分層
を介して接着することになるからである。フッ素樹脂は
ゴム組成物及び繊維表面とは直接接着しないが、ゴム組
成物中に分散されている状態で繊維の極近い表面に存在
することにより、ベルト走行時の摩擦による歯底部に掛
かる応力を歯布が低減させる際に、フッ素樹脂が有効に
作用し、ベルトの耐久性の向上に寄与する。
【0041】さらに第2図に示すように、第1ゴム組成
物5と第1接着成分13の間に第2接着成分としてイソ
シアネート化合物を含んだゴム配合物からなる第3ゴム
組成物30を介在し歯布用接着層を設けることによって
該第3ゴム組成物30が接着力を高める中間層として機
能し、イソシアネート化合物が接着成分として作用す
る。このゴム組成物は上記ゴム配合物をメチルエチルケ
トン(MEK)、トルエン等の溶剤に溶解させ、イソシ
アネート化合物を添加して処理液とし、この処理液を塗
布した後乾燥固化することにより形成される。前記処理
液で使用するイソシアネート化合物としては、例えば
4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレ
ン2,4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニ
ルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ポリアリールポリイソシアネート(例えば商品名と
してPAPIがある)等がある。このイソシアネート化
合物もトルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混
合して使用される。また、上記イソシアネート化合物に
フェノール類、第3級アルコール類、第2級アルコール
類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートの
イソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソ
シアネートも使用可能である。
【0042】なお、フッ素樹脂6を歯布4に付着させた
ベルトに使用される心線1に制限はなく、一般にはガラ
ス心線及びアラミド心線が使用される。また、ポリベン
ゾオキサゾール、ポリパラフェニレンナフタレート、ポ
リエステル、アクリル、カーボン、スチールを組成とす
る撚コードの何れでも使用できる。ガラス心線の組成は
Eガラス、Sガラス(高強度ガラス)何れでも良く、フ
ィラメントの太さ及びフィラメントの収束本数及びスト
ランド本数に制限されない。また、接着処理剤及び屈曲
時のガラスフィラメントの保護材として使用されるサイ
ジング剤、RFL、オーバーコート剤等にも制限されな
い。一方、アラミド心線においても、材質の分子構造の
違いや心線構成及びフィラメントの大きさや接着処理剤
の違いによっても制限されない。他の組成からなる心線
の撚コードについても同様に特別の制限はない。
【0043】上述した構成を有する歯付ベルトは、第1
ゴム組成物と結合しないフッ素樹脂の粉末を歯付きベル
トの歯布表面、裏面及び内部の繊維フィラメント表面に
極近い位置に大量にゴム組成物中に分散させて付着させ
ることでベルト走行中の摩擦係数を走行中継続して低減
させて耐歯欠け性能を向上させる。フッ素樹脂は粉砕方
法や造粒方法でその形状は異なるが何れの形状でも良く
ゴム中に配合して混練りすることにより繊維化する性質
を有するポリテトラフルオロエチレンである必要もな
い。むしろ繊維化しにくい粒径の小さいフッ素樹脂がそ
の効果がより大きい。ゴム組成物を溶剤に溶解させたゴ
ム糊中に大量に添加することにより、フッ素樹脂はゴム
組成物中に分散した状態で糊ゴム中に大量に存在し、歯
布を浸漬し乾燥して加硫するとベルト本体との接着力は
予め歯布中フィラメント表面に処理したイソシアネート
類、エポキシ樹脂、RFL等の接着成分とフッ素樹脂を
除くゴム組成物とが接着結合し歯布との強力な接着力を
得られる。この場合フッ素樹脂はゴム組成物と直接結合
していないが、歯布を構成する経糸、緯糸の各単糸フィ
ラメント表面の極近い位置に大量に存在することにより
走行中継続してその効果を発揮する。
【0044】さらに上記歯布中フィラメント表面に処理
したイソシアネート類、エポキシ樹脂、RFL等の接着
成分中にグラファイト或いは二硫化モリブデンのうちか
ら選ばれた少なくとも1種の減摩材を含有させることに
よって歯布のフィラメント表面のより近い位置に大量に
存在し、フッ素樹脂が摩滅し消耗した後の歯布の耐摩耗
機能を受持ち、より歯付ベルトの寿命が長くなる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
く、目的を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。 (背面部3の外側の層3aを構成するゴムの配合)表1
に示す配合物をバンバリーミキサーを用いて約4分間混
練りを行なうことによって、ゴム組成物3a−1、3a
−2、3a−3、3a−4を得た。
【0046】得られたこのゴム組成物3a−1、3a−
2、3a−3、3a−4をオープンロールで圧延し、1
65°Cで30分間、プレス加硫して加硫ゴムシートを
得た。この加硫ゴムシートについてJIS K 630
1に準じて引張試験及び引き裂き試験等を行ない、物性
を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】(背面部3の内側の層3b及び歯部1を構
成するゴムの配合)表2に示す配合物をバンバリーミキ
サーを用いて約4分間混練りを行うことによって、ゴム
組成物3b−1、3b−2、3b−3、3b−4をオー
プンロールで圧延し、165°Cで30分間、プレス加
硫して加硫ゴムシートを得た。この加硫ゴムシートにつ
いてJIS K 6301に準じて引張試験及び引き裂
き試験等を行ない、物性を測定した。結果を表2に示
す。
【0049】
【表2】
【0050】(歯布4)表3に示す組成と構成の被覆用
繊維材料として準備した。また表4に示すゴム配合物を
混練りした。また、表5及び表6に示すRFL処理液を
調合して前処理液とした。その後歯布用織物を、上記前
処理液に浸漬し、120°Cにて乾燥後180°Cにて
2分間処理した。次に、表2のゴム配合物を、MEK、
トルエンに溶かした後にイソシアネート化合物としてポ
リアリールポリイソシアネート(商品名PAPI)を添
加した処理液に、RFL処理後の繊維織物を浸漬し、接
着層を形成した。さらに、表2の組成物を、MEK(H
−NBRの場合)、トルエン(その他のゴム成分の場
合)に溶かした後に、添加剤としてフッ素樹脂とその他
の二硫化モリブデン、グラファイト、ガラスビーズ等を
添加混合して約10%固形分の一様な処理液とした。こ
の処理液に、前処理済みの歯布用織物を浸漬し、乾燥さ
せてベルト作成用の処理歯布材料とした。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】次に、ベルト作成用金型に上記の歯布を巻
き付け、表7のSZ撚一対のRFL及びイソシアネート
にて接着処理された心線(ガラス繊維、1.2mm直
径)を一定ピッチ(1.4mm)でスパイラルに一定張
力で巻き付け、その上に表2のゴム組生物3b−1、3
b−2、3b−3、3b−4のシートを、さらにその上
に表1のゴム組成物3a−1、3b−2、3b−3、3
b−4のシートを、さらにその上に表1のゴム組成物3
a−1、3a−2、3a−3、3a−4のシートを巻き
付けた。この後、これを通常の圧入による加圧方法(1
60°Cで30分間加圧加硫して成形)によって、筒状
の加硫成形品を得た。尚、表1と表2の2種類のゴムシ
ートは事前に張り合わせておいて使用することもでき
る。
【0056】
【表7】
【0057】作製したベルトのサイズは、ベルト幅15
mm、ベルト歯形Y(8.0mmピッチ)、歯数105
であり、通常105Y15と表示される。表8に実施例
1〜4及び比較例1〜5の各材料の組み合わせを示す。
また、実施例1〜4及び比較例1〜5で得た歯付ベルト
について、物性及び走行性能を測定し、結果を表8に示
した。歯剪断力の測定は、図5の冶具13を用い、歯付
ベルトに垂直方向にベルト幅1mm当たり9.8N・c
mで締め付けた後に50mm/minの引張スピードで
上向き矢印方向へ引っ張り、歯部1の剪断力を測定する
ことによって行なった。図3において14は締め付けボ
ルト、15は歯付ベルトの歯部1にかみ合う爪である。
【0058】また、走行性能のうち走行時間の試験は、
図6の試験機を用いて、雰囲気温度100°Cで行な
い、背面部3のゴムクラック、歯部1の歯元のクラック
など歯付ベルトとしての機能が果たせなくなった時点を
もって寿命とし、そのときまでの走行時間を表8に示し
た。図6において16は歯数24の駆動プーリ(600
0rpm)、17は歯数48の従動プーリ、18は歯数
48の従動プーリ、19は50mmφの従動プーリ、2
8は50mmφのテンションプーリである。
【0059】また発音の試験は、図7の試験機を用いて
歯付ベルトAを走行させた際の発音をマイク25で集音
することによって行ない、発音レベルは聴覚を数値化し
て5段階で評価判定したものであり、数値が大きい程音
が静かで、4.0以上が合格レベルである。図7におい
て26は歯数24の駆動プーリ(3000rpm)、2
7は歯数48の従動プーリ、28は50mmφのテンシ
ョンプーリである。
【0060】
【表8】
【0061】また、次に走行試験装置として図8に示す
駆動プーリ歯数19、従動プーリ歯数38にて駆動プー
リ回転数7200rpm、従動プーリ負荷7.5kWと
し、初張力を350N、雰囲気温度を130°Cに設定
した高負荷、高張力、高温条件での耐久走行試験を実施
した。その耐久試験における寿命時間と故障形態をベル
トの構成とともに表9〜19に示す。
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
【表13】
【0067】
【表14】
【0068】
【表15】
【0069】
【表16】
【0070】
【表17】
【0071】
【表18】
【0072】
【表19】
【0073】実施例5〜16、34〜45と比較例6〜
8とによりナイロン織物をH−NBRラテックスを使用
し、グラファイト或いは二硫化モリブデンを添加したR
FL処理液にて処理し、さらにゴム配合物中のゴム10
0重量部に対して、PTFEを50〜400重量部含有
させた配合物を前記RFL液で処理を行なった歯布に含
浸被覆し、同じくゴム成分の歯ゴム及び背ゴムと一体化
させたものは、耐久性が向上している。実施例12、1
3、41、42と比較例9とにより、PTFE粉末の平
均粒子直径は、小径のものがよく、500μmを越える
と、耐久性向上の効果が少なくなる。実施例22による
と、処理前歯布重量に対して、7重量%以上の配合物を
付着させたものは、耐久性向上の効果が認められる。ま
た、実施例9〜11、38〜40によると、PTFEに
二硫化モリブデン、グラファイト、アラミド繊維パウダ
ーを添加したものは、耐久性向上に相乗効果が認められ
る。また、実施例7、15、16において、RFL処理
液のゴム成分100重量部に対してグラファイトを30
〜200重量部添加した場合、効果が顕著である。更
に、実施例36、44、45において、RFL処理液の
ゴム成分100重量部に対して二硫化モリブデンを30
〜200重量部添加した場合も、効果が顕著である。
【0074】歯布に含浸被覆されるゴム組成物、歯ゴム
及び背ゴムのゴム組成物が、H−NBR以外のゴム成分
である場合の実施例26〜33、55〜62と比較例1
0〜13、14〜16について、走行試験を実施して効
果を確認した。ただし、走行条件は、ゴム組成物の耐熱
性を考慮した、雰囲気温度のみを3軸走行では80°
C、多軸走行試験では60°Cと変更した。走行試験結
果は表13、表18、表14、表19に示される。クロ
ロプレン(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン
(CSM)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、
アクリロニトリルブタジエン共重合体(NBR)、EP
DM、EPRなどのゴムからなるゴム組成物に変更して
も、実施例5と同様に寿命向上に効果が有る。
【0075】
【発明の効果】上記のように本発明は、長手方向に沿っ
て所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背
部を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルト
において、背面部を構成するゴム層を2層構造に形成
し、少なくとも前記2層構造の外側の層を内側の層より
も高硬度のゴムを使用し、前記歯布の表裏面及び内部が
互いに連通状態になるように第1ゴム組成物を含浸被覆
し、この第1ゴム組成物内にフッ素樹脂が前記第1ゴム組
成物と結合されることなく分散されており、さらに前記
歯布を構成する糸にグラファイト或いは二硫化モリブデ
ンのうちから選ばれた少なくとも1種の減摩材を含んだ
前記第1ゴム組成物との接着成分が付与され、前記第1ゴ
ム組成物と前記歯部及び前記背部を構成する第2ゴム組
成物とを加硫加圧により一体化した歯付ベルトとしたの
で、背面部の外側の層は高硬度のゴムで形成されてお
り、背面部の外側の層で耐摩耗性を高めることができ
る。
【0076】さらに、本発明では、上記背面部を構成す
る2層構造のゴム層の外側の層を、100%伸長時のモ
ジュラスが4.5MPa以上大きく、切断時の伸度が4
00%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が3
度以上高い物性を有するゴムで形成するようにしたの
で、背面部の外側の層は高モジュラスで高硬度のゴムで
形成されていると共に背面部の内側の層は上記外側の層
よりも低モジュラスで低硬度のゴムで形成されているこ
とから、背面部の外側の層で耐摩耗性や耐クラック性を
高めることができると共に、背面部の内側の層で静粛性
や寿命を向上することができるものである。
【0077】また本発明は、背面部を構成する2層構造
のゴム層の外側の層を、水素化ニトリルゴムと不飽和カ
ルボン酸金属塩とを98:2〜55:45の重量比で混
合したポリマー成分100重量部に対して、有機過酸化
物0.2〜10重量部を配合して架橋したゴムで形成す
るようにしたので、請求項5の物性を有するもので背面
部の外側の層のゴムを形成することができるものであ
る。
【0078】また本発明は、請求項12において有機過
酸化物の他に、カーボンブラック5〜50重量部、可塑
剤2〜15重量部を配合するようにしたので、背面部の
外側の層のゴムの物性として高いモジュラスや引き裂き
強度を確保することができるものである。また本発明
は、背面部を構成する2層構造のゴム層の内側の層を、
水素添加率90〜98%の水素化ニトリルゴム100重
量部に対して、カーボンブラック10〜80重量部、可
塑剤2〜15重量部、有機過酸化物0.2〜10重量部
を配合して架橋したゴムで形成するようにしたので、静
粛性や寿命向上に必要な硬度やモジュラスの物性を有す
るもので背面部の内側の層のゴムを形成することができ
るものである。
【0079】また、上記構成の本発明によると、歯布の
表裏面及び内部が互いに連通状態になるように第1ゴム
組成物を含浸被覆し、この第1ゴム組成物内にフッ素樹
脂が前記第1ゴム組成物と結合されることなく分散され
ており、さらに前記歯布を構成する糸にグラファイト或
いは二硫化モリブデンのうちから選ばれた少なくとも1
種の減摩材を含んだ前記第1ゴム成分との接着成分が付
与され、前記第1ゴム組成物と前記歯部及び前記背部を
構成する第2ゴム組成物とを加硫加圧により一体化した
ことにより、歯布の表面、裏面及び内部の繊維フィラメ
ント表面に極近い位置にグラファイト或いは二硫化モリ
ブデンのうちから選ばれた少なくとも1種の減摩材が存
在し、そして大量のフッ素樹脂がゴム組成物中に分散付
着することでベルト走行中の摩擦係数を走行中継続して
低減させて耐歯欠け性能を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯付ベルトの要部の構造を示す拡大断
面図である。
【図2】本発明の他の実施例での歯付ベルトの要部の構
造を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の歯付ベルトの全体構造を示す図であ
り、(a)は一部破断斜視図、(b)は一部の断面図で
ある。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示す一部の断面図
である。
【図5】ベルト剪断力測定冶具を示す正面図である。
【図6】走行試験に用いる装置の概略図である。
【図7】発音測定に用いる装置の概略図である。
【図8】歯付ベルトの耐久性能測定装置を示す概略図で
ある。
【符号の説明】
1 歯部 2 心線 3 背面部 3a 外側の層 3b 内側の層 4 歯布 5 第1ゴム組成物 6 フッ素樹脂 7 緯糸 8 経糸 9 第2ゴム組成物 10 隙間 11 境界面 12 減摩材 13 第1接着成分 14 締め付けボルト 15 爪 16 駆動プーリ 17 従動プーリ 18 従動プーリ 19 従動プーリ 20 テンションプーリ 22 冶具 25 マイク 26 駆動プーリ 27 従動プーリ 28 テンションプーリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中井 泰典 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背面部を構成
    するゴム層を2層構造に形成し、少なくとも前記2層構
    造の外側の層を内側の層よりも高硬度のゴムを使用し、
    前記歯布の表裏面及び内部が互いに連通状態になるよう
    に第1ゴム組成物を含浸被覆し、この第1ゴム組成物内
    にフッ素樹脂が前記第1ゴム組成物と結合されることな
    く分散されており、さらに前記歯布を構成する糸にグラ
    ファイトあるいは二硫化モリブデンのうちから選ばれた
    少なくとも1種の減摩材を含んだ前記第1ゴム組成物と
    の第1接着成分が付与され、前記第1ゴム組成物と前記
    歯部及び前記背部を構成する第2ゴム組成物とを加硫加
    圧により一体化したことを特徴とする歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背面部を構成
    するゴム層を2層構造に形成し、少なくとも前記2層構
    造の外側の層を内側の層よりも高硬度のゴムを使用し、
    前記歯布の表裏面及び内部に、フッ素樹脂を第1ゴム組
    成物中のゴム100重量部に対して50〜400重量部
    添加して分散させた配合物を付着させ、さらに前記歯布
    を構成する糸にグラファイト或いは二硫化モリブデンの
    うちから選ばれた少なくとも1種の減摩材を含んだ前記
    第1ゴム組成物との第1接着成分を付与し、前記フッ素
    樹脂は前記第1ゴム組成物と結合させず、前記第1ゴム
    組成物と前記歯部及び前記背部を構成する第2ゴム組成
    物とを直接結合させたことを特徴とする歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背面部を構成
    するゴム層を2層構造に形成し、少なくとも前記2層構
    造の外側の層を内側の層よりも高硬度のゴムを使用し、
    前記歯布の表裏面及び内部に、フッ素樹脂を第1ゴム組
    成物中のゴム100重量部に対して100〜250重量
    部添加して分散させた配合物を付着させ、さらに前記歯
    布を構成する糸にグラファイト或いは二硫化モリブデン
    のうちから選ばれた少なくとも1種の減摩材を含んだ前
    記第1ゴム組成物との第1接着成分を付与し、前記フッ
    素樹脂は前記第1ゴム組成物と結合させず、前記第1ゴ
    ム組成物と前記歯部及び前記背部を構成する第2ゴム組
    成物とを直接結合させたことを特徴とする歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 前記配合物を付着処理前の歯布重量に対
    して7〜40重量%付着させた請求項2又は3に記載の
    歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 前記2層構造の外側の層を、100%伸
    張時のモジュラスが4.5MPa以上で且つ内側の層の
    ゴムよりも1.0MPa以上大きく、切断時の伸度が4
    00%以上であると共に、内側の層のゴムより硬度が3
    度以上高い物性を有するゴムで形成してなる請求項1か
    ら4のいずれかに記載の歯付ベルト。
  6. 【請求項6】 背面部を構成する2層構造のゴム層の外
    側の層が、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属
    塩とを98:2〜55:45の重量比で混合したポリマ
    ー成分100重量部に対して、有機過酸化物0.2〜1
    0重量部を配合して架橋したゴムで形成されている請求
    項5に記載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 前記第1ゴム組成物と第1接着成分の
    間、或いは第1ゴム組成物と第1接着成分とを跨って、
    第2接着成分としてイソシアネート化合物を含んだゴム
    配合物を介在させることで歯布用接着層を設けた請求項
    1から6のいずれかに記載の歯付ベルト。
  8. 【請求項8】 前記フッ素樹脂は粉末状であり、前記粉
    末の平均直径が0.1〜500μmである請求項7記載
    の歯付ベルト。
  9. 【請求項9】 前記歯布の第1ゴム組成物に前記フッ素
    樹脂以外の減摩材が添加されている請求項1から8のい
    ずれかに記載の歯付ベルト。
  10. 【請求項10】前記歯布の第1ゴム組成物と、前記歯部
    及び前記背部の第2ゴム組成物とが同種である請求項1
    から9のいずれかに記載の歯付ベルト。
  11. 【請求項11】前記グラファイト及び二硫化モリブデン
    は粉末状であり、前記粉末の粒度が共に0.01〜50
    0μmである請求項1から10のいずれかに記載の歯付
    ベルト。
  12. 【請求項12】背面部を構成する2層構造のゴム層の内
    側の層が、水素添加率90〜98%の水素化ニトリルゴ
    ム100重量部に対して、カーボンブラック10〜80
    重量部、可塑剤2〜15重量部、有機過酸化物0.2〜
    10重量部を配合して架橋したゴムで形成されているこ
    とを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の歯
    付ベルト。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007009039A (ja) * 2005-06-30 2007-01-18 Sumikou Junkatsuzai Kk 乾性潤滑被膜組成物
WO2009034422A1 (en) 2007-09-12 2009-03-19 Dayco Europe S.R.L. Power transmission belt comprising a coating treatment of the fabric and coating treatment thereof
JP7176726B2 (ja) 2018-08-03 2022-11-22 伊東電機株式会社 ローリング機構付き搬送装置
JP7487145B2 (ja) 2020-06-23 2024-05-20 三ツ星ベルト株式会社 伝動用vベルト

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